JP4633818B2 - タイロッド調整用オープンエンドレンチ - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直径の異なるタイロッドのタイロッド六角部の中心が必ず回転中心に位置するように、確実にタイロッド六角部を把持して確実に回転させることにより、自動車のトー調整を迅速かつ正確に行うことにある。
タイロッド六角部に直接的に当接するための、互いに対向する一対の当接部の二面巾を適宜変更して、該一対の当接部によりタイロッド六角部を挟持することにより、タイロッド調整用オープンエンドレンチに汎用性を持たせ、タイロッドの径の大小にかかわらずタイロッド六角部を確実に挟持して、タイロッド六角部を回転させることを可能とするものである。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、挟持手段の開閉駆動機構が回転駆動手段と独立して作動することにより、互いに対向する一対の当接部の二面巾を適宜変更して、タイロッドの径の大小にかかわらずタイロッド六角部を確実に挟持し、タイロッド六角部を回転させるものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、リニアアクチュエータによって一対のアームの先端部が互いに離間接近することで、一対のアームの各々に軸支された摩擦車をタイロッド六角部に当接させ、タイロッドの径の大小にかかわらずタイロッド六角部を確実に挟持するものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、摩擦車によってタイロッド六角部を挟持した状態で、回転駆動手段の歯車列によって摩擦車を全て同一方向に同一速度で自転させることで、タイロッド六角部を回転させるものである。
そして、リニアアクチュエータの動作をカム機構によって一対のスライドプレートの開閉動作に変換することで、互いに平行な平面状に構成された各スライドプレートの互いに対向する端面を、タイロッド六角部に当接させ、タイロッドの径の大小にかかわらずタイロッド六角部を確実に挟持するものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、当接部である各スライドプレートの互いに対向する端面によって、タイロッド六角部を挟持した状態で、回転駆動手段の歯車列により、環状外歯歯車を駆動することで、環状外歯歯車によりタイロッド六角部の中心軸周りに回転可能に保持された一対のスライドプレートを回転させ、タイロッド六角部を回転させるものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、挟持手段の開閉駆動機構が回転駆動手段と連動して作動することにより、互いに対向する一対の当接部の二面巾を適宜変更して、タイロッドの径の大小にかかわらずタイロッド六角部を確実に挟持し、タイロッド六角部を回転させるものである。
そして、当接部である各スライドプレートの互いに対向する端面によって、タイロッド六角部を挟持した状態で、回転駆動手段によって、一対のスライドプレートをタイロッド六角部の中心軸周りに駆動することにより、タイロッド六角部を回転させるものである。
本項に記載のタイロッド調整用オープンエンドレンチは、挟持手段を取り囲む位置に設けられた環状の太陽歯車及び環状の外輪歯車の何れも、その一部が切り欠かれたC字状をなし、該切り欠き部が、タイロッドの側方からタイロッドに接近する際のオープンエンド部に配置されている。よって、一対のスライドプレートが最も離間した状態で、許容し得る最大直径のタイロッド六角部を、オープンエンド部にひき込みことを可能としている。
又、各スライドプレートの互いに対向する端面がタイロッド六角部に当接し、一対のスライドプレートが停止することにより、スライドプレート駆動歯車の回転が規制され、スライドプレート駆動歯車、環状の太陽歯車、遊星歯車が全てロックされた状態で環状の外輪歯車と一体回転する。このとき、一対のスライドプレート及びスライドプレート駆動歯車も、環状の外輪歯車と共に、タイロッド六角部の中心軸周りに回転することにより、タイロッド六角部を回転駆動させるものである。
図1、図2には、本発明の第1の実施の形態に係るタイロッド調整用オープンエンドレンチ14(以下、単に「オープンエンドレンチ」という。)が示されている。オープンエンドレンチ14は、タイロッド10(図6参照)の側方からタイロッドに接近して、タイロッド六角部12(図6参照)を挟持するための挟持手段16と、タイロッド六角部12を挟持した状態で、挟持手段16を回転させるための回転駆動手段18とを備えている。又、挟持手段16は、タイロッド六角部12に直接的に当接するための、互いに対向する一対の当接部20と、一対の当接部20が連動してタイロッド六角部に対し離間接近するための開閉駆動機構22とを備えている。そして、挟持手段16の開閉駆動機構22は、回転駆動手段18と独立して作動する機構を備えている。なお、挟持手段16は、オープンエンドレンチ14のオープンエンド部Oに配置されている。
よって、一対のアーム24は、リニアアクチュエータ26のピストンロッド26aの伸縮に伴い、支点(回転軸36)を回転中心として先端部が互いに離間接近するものである。なお、図1には、一対のアーム24の先端部が最も離間した状態(待機状態)が実線で、一対のアーム24の先端部が接近し、一対の当接部20がタイロッド六角部12に当接する状態が二点鎖線で示されている。
なお、図1には、リニアアクチュエータ26、駆動軸48を駆動するモータ49及びリニアアクチュエータ26及びモータ49を作動制御する制御装置50が模式的に示されている。制御装置50は、パーソナルコンピュータ等の電子計算機によって構成することが可能である。そして、オープンエンドレンチ14の各部の動作は、以下に説明する手順によって、自動的に行われる。
(S1)トー調整設備に車両が搬送される。なお、トー調整設備には、操作盤、アライメント計測装置が備えられている。
(S2)作業者によって、操作盤の起動スイッチが操作される。
(S3)ロボットアームが作動し、オープンエンドレンチ14が、タイロッド10の側方からタイロッドに接近して、オープンエンド部Oを、タイロッド六角部12に引き込む。そして、制御装置50によりリニアアクチュエータ26を作動させ、一対のアーム24に軸支された当接部20(摩擦車46)をタイロッド六角部12に当接させる。一対のアーム24の停止位置は、リニアアクチュエータ26の負荷検出を行う等によって決定される。
(S4)アライメント計測装置により、トー角度の計測が行われる。
(S5)必要な回転量が、制御装置50によって算出される
(S6)制御装置50によりモータ49を作動させ、3個の摩擦車46を自転させることにより、タイロッド六角部12を回転させる。この際、タイロッド六角部12の表面に対し各摩擦車46が適切な圧力で当接するように、一対のアーム24を駆動するアクチュエータ26が受動的に作動し、一対のアーム24の、若干の開閉を許容する。
(S7)アライメント計測装置により、トー角度の計測が行われる。
(S8)トー角度が適正値となるまで、S5からS7の各ステップが繰り返される。
(S9)トー角度が適正値となると、制御装置50によりリニアアクチュエータ26を作動させ、一対のアーム24が開き、タイロッド六角部12を開放する。そして、ロボットアームが作動し、オープンエンドレンチ14は待機位置へと復帰する。
よって、オープンエンドレンチ14によれば、直径の異なるタイロッドのタイロッド六角部12の中心が、必ず回転中心に位置するように確実に把持して、タイロッド六角部12を確実に回転させることにより、自動車のトー調整を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
なお、図3(a)にはオープンエンドレンチ52の要部分解図が、図3(b)には同オープンエンドレンチ52の完成図が示されている。
具体的には、開閉駆動機構54として、スライド動作により互いに離間接近する一対のスライドプレート56と、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ26と同様のリニアアクチュエータ(図1、図2参照)と、リニアアクチュエータ26の動作を一対のスライドプレート56の開閉動作に変換するカム機構58と、一対のスライドプレート56を常時開方向へと付勢するばね60とを備えている。そして、一対のスライドプレート56及びばね60が、これらを取り囲む位置に配置された環状外歯歯車62(便宜上、歯形は省略されている。)によって、タイロッド六角部の中心軸12C周りに回転可能に保持されている。又、一対のスライドプレート56の互いに対向する端面64が、互いに平行な平面状をなすことにより、タイロッド六角部12に直接的に当接するための当接部を構成している。なお、環状外歯歯車62は、その一部が切り欠かれたC字状をなしている。
更に、回転駆動手段18、開閉駆動機構54の各構成部材は、ベースプレート65A及びプレートカバー65Bの内部に格納され、環状外歯歯車62の切り欠き部62aが、タイロッド12(図6)の側方からタイロッドに接近する際の、ベースプレート65A及びプレートカバー65Bのオープンエンド部Oに配置されている。リニアアクチュエータ26(図1、図2参照)及びモータについても、ベースプレート65A又はプレートカバー65Bに固定されている。なお、ベースプレート65A及びプレートカバー65Bには、タイロッド六角部12を挿通するための切り欠き651、652が形成されている。
又、カム機構58には、一対の横行カムプレート68及び一対のスライドプレート56の相対回転を許容し、なおかつ、一対の横行カムプレート68の開閉動作を一対のスライドプレート56に伝達するための、一対の横行カムプレート68に形成された円弧状摺接面68bと、一対のスライドプレート56の互いに対向する端面を囲むようにしてタイロッド六角部の中心軸12C方向へと突出し、円弧状摺接面68bに摺接する円弧状突起部56aとが含まれている。
なお、オープンエンドレンチ52を用いた自動車のトー調整手順については、第1の実施の形態に係るオープンエンドレンチ14と同様であり、詳しい説明を省略する。
又、オープンエンドレンチ52は、当接部である各スライドプレートの互いに対向する端面64によって、タイロッド六角部12を挟持した状態で、回転駆動手段18の歯車列34により、環状外歯歯車62を駆動することで、環状外歯歯車62によりタイロッド六角部12の中心軸12C周りに回転可能に保持された一対のスライドプレート56を回転させ、タイロッド六角部12を回転させることができる。
その他、本発明の第1の実施の形態と同一の作用効果については、詳しい説明を省略する。
なお、本発明の第3の実施の形態に係るオープンエンドレンチ70の外観は、第2の実施の形態に係るオープンエンドレンチ52と同様であることから、図4にはオープンエンドレンチ70の要部分解図のみ示し、完成図は省略する。
具体的には、挟持手段16の開閉駆動機構72は、スライド動作により互いに離間接近する一対のスライドプレート74を備え、タイロッド六角部12(図6)に直接的に当接するための、互いに対向する一対の当接部として、一対のスライドプレートの互いに対向する端面76が互いに平行な平面状に構成されている。又、回転駆動手段18は、一対のスライドプレート74を、タイロッド六角部の中心軸12C周りに回転駆動するものである。
なお、図中、符号90で示される板ばね90は、ねじ92によって環状外歯歯車78の内周面に固定されている。そして、板ばね90がスライドプレート88のばね受け面88aに当接することによって、環状外歯歯車78に対するスライドプレート88の位相をセンター位置へと常時付勢すると共に、板ばね90が適宜弾性変形することにより、環状外歯歯車78と回転プレート88との位相のずれを許容するものである。
ここで、モータにより歯車列34を駆動すると、環状外歯歯車78が回転し、環状外歯歯車78に対しスライドプレート88が相対回転する。このとき、一対のスライドプレート74の各従動子84は、カム面82の、星形の腕の各頂点部分からカム面82に沿ってスライドし、タイロッド六角部の中心軸12Cへ向けて移動する。よって、一対のスライドプレート74は、ばね86の開方向への付勢力に対抗して互いに接近し、当接部である一対のスライドプレート74の互いに対向する端面76を、タイロッド六角部12(図6)に当接させ、タイロッド10の径の大小にかかわらずタイロッド六角部12を確実に挟持することができる。この状態で、モータにより歯車列34の駆動を継続すると、環状外歯歯車78が回転し、環状外歯歯車78と共に、一対のスライドプレート74及びばね86がタイロッド六角部の中心軸12C周りに回転する。
なお、オープンエンドレンチ70を用いた自動車のトー調整手順については、第1の実施の形態に係るオープンエンドレンチ14と同様であり、詳しい説明を省略する。
その他、本発明の第1、第2の実施の形態と同一の作用効果については、詳しい説明を省略する。
具体的には、挟持手段16の開閉駆動機構95は、スライド動作により互いに離間接近する一対のスライドプレート96を備え、タイロッド六角部12(図6)に直接的に当接するための、互いに対向する一対の当接部として、一対のスライドプレートの互いに対向する端面98が互いに平行な平面状に構成されている。一対のスライドプレート96は、ガイドピン100に対し、ガイド溝102が嵌まり込むことで、互いに離間接近する方向へとスライド可能となっている。なお、ガイドピン100は、後述するスライドプレート駆動歯車110と共に、タイロッド六角部の中心軸12C周りに回転可能となっている。
更に、太陽歯車104の内周面104b及び外輪歯車108の外周面108bにも歯が形成され、外輪歯車108の外周面108bの歯を駆動する歯車列34が設けられている。歯車列34は、本発明の第2、第3の実施の形態に係るオープンエンドレンチ52、70と同様に、モータの回転軸に連結される駆動軸に固定された歯車34Fと、歯車34F及び外輪歯車108との間に配置される一対の歯車34Gとを備えている。
なお、オープンエンドレンチ94を用いた自動車のトー調整手順については、第1の実施の形態に係るオープンエンドレンチ14と同様であり、詳しい説明を省略する。
その他、本発明の第1から第3の実施の形態と同一の作用効果については、詳しい説明を省略する。
22、54、72、95:開閉駆動機構、24:一対のアーム、26:リニアアクチュエータ、28:リンク機構、34:歯車列、 34A、34B、34C、34D、34E:歯車、 36、44:回転軸、38:連結ロッド、 40、42:ピボット、46:摩擦車、 56、74、96:一対のスライドプレート、56a:円弧状突起部、58:カム機構、 60、86:ばね、 62、78:環状外歯歯車、 64、76、98:端面、66:昇降カムプレート、66a:傾斜面、68:横行カムプレート、68a:傾斜面、68b:円弧状摺接面、80:カムプレート、82:カム面、84:従動子、88:回転プレート、104:太陽歯車、106:遊星歯車、108:外輪歯車、110:スライドプレート駆動歯車、O:オープンエンド部
Claims (1)
- タイロッドの側方からタイロッドに接近して、タイロッド六角部を挟持するための挟持手段と、タイロッド六角部を挟持した状態で、前記挟持手段を回転させるための回転駆動手段とを備えるタイロッド調整用オープンエンドレンチであって、
前記挟持手段は、タイロッド六角部に直接的に当接するための、互いに対向する一対の当接部と、該一対の当接部が連動してタイロッド六角部に対し離間接近するための開閉駆動機構とを備え、
該開閉駆動機構は、前記回転駆動手段と独立して作動する機構として、
支点を回転中心として先端部が互いに離間接近する一対のアームと、リニアアクチュエータと、該リニアアクチュエータの動作を前記一対のアームの開閉動作に変換するリンク機構とを備え、前記一対のアームの各々に、前記当接部として摩擦車が軸支されており、
前記回転駆動手段は、前記摩擦車を全て同一方向に同一速度で自転させるための歯車列を備えることを特徴とするタイロッド調整用オープンエンドレンチ。
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