JP4633000B2 - 接合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦攪拌接合により、例えば断面方形の金属製角材フレームのような被接合部材を接合する接合体の製造方法に関する。
各種製品の製造現場では物品の搬送機が使用されることが多い。この種の搬送機として、物品を下方から上方へ運ぶ場合には、例えばL型の搬送機(株式会社下西製作所製の商品名「Lアップ型マグネポータ」)などが使用される。このようなL型の搬送機は、通常、水平な金属製の脚部フレームとこの脚部フレームから垂直あるいは傾斜して接合された支柱フレームとを筐体の骨格フレームとして相対向して配置し、これに側板などの各種部材を取り付けて長筐状に作製される。
従来、上記のようなL型の搬送機の骨格フレームにおいて、上記脚部フレームと支柱フレームは、一般にアルミニウムまたはその合金等の断面方形の金属製押出角材を適当な長さに切断して上記脚部フレームと支柱フレームを作製し、この脚部フレームと支柱フレームの継ぎ目の側面に当て板を介してボルトナットで接合されている。
この種の搬送機にあっては、その使用態様により物品の搬送高さの異なる搬送機が要求される。この場合、上記支柱フレームを構成する頭部フレームとこれに続く延長部フレームとをモジュール化し、搬送機に要求される寸法に応じて延長部フレームを必要な数だけ継ぎ足すようにすれば、容易に長尺の支柱フレームの製作に対応でき、フレーム部品の点数も削減でき、搬送高さが異なる搬送機の製作が容易となり、納期の短縮やコスト低減が図れる。
しかしながら、支柱フレームの頭部フレームと延長部フレームとの接合およびこの支柱フレームと脚部フレームとの接合を、当て板を介してボルトナットで接合する従来方法では、接合作業に手間がかかり、そのため製造効率が低下し、得られる搬送機がコスト高になり、しかもフレーム接合部の当て板やボルトナットが目立ちすぎて外観も劣るという問題がある。
ところで、各種の被接合部材を接合する方法として摩擦攪拌接合法が広く知られている(例えば特許文献1、2および非特許文献1参照)。この摩擦攪拌接合法によれば、アーク溶接などの溶融溶接に比べて、接合歪みが生ぜず、接合部における接合強度が強く、外観も優れるいという利点がある。
そこで、発明者は、上述のようなアルミニウムまたはその合金等の断面方形の金属製押出角材からなる被接合部材を用いて、摩擦攪拌接合により突き合わせ接合を試みたが従来の摩擦攪拌接合法では、突き合わせ面が互いにずれてこれを正確に一致させることが難しく、そのため良好な外観および接合強度を有する接合体を製造することができなかった。
従来、被接合部材の固定は定盤にクランプを取り付け、クランプにより挟み込むか又はクランプで定盤に押し付けて固定する方法がとられている。さらに進んだ摩擦攪拌接合装置による接合方法も提案されている(例えば特許文献3、4参照)。しかしながら、これらの方法は長尺の部材を接合するときや、斜めに接合するときに微妙に寸法や角度がずれるという問題に対処するものではない。
特許第2712838号公報 特許第2792233号公報 特開2005−186084号公報 特開平11−28585号公報 榎本正敏,溶接学会誌,69-7(2000),pp18-22
本発明者は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長尺の被接合材、あるいは斜めに被接合体を摩擦攪拌接合により突き合わせ接合して、接合体を製造する方法であって、その接合部の外観が良好で十分な接合強度を有し、且つ製造効率よく低コストで得られる接合体の製造方法を提供することにある。
上記の目的は、次のような特徴を有する接合体の製造方法により達成することができる。
すなわち、請求項1に係る発明は、断面方形の被接合部材同士を突き合わせ摩擦攪拌接合により接合する接合体の製造方法であって、対向する平行な2つの側面と前記2つの側面に対し斜めに交わる端面とを有する一の被接合部材にピン孔を設け、該ピン孔と、定盤に予め設けられたピン孔又は定盤に固定された固定部材に設けられたピン孔との位置を合わせ、これ等のピン孔にピンを挿入してピン留めし、前記一の被接合部材の対向する平行な1側面あるいは2側面に被接合部材の回転防止のための斜行固定ガイドを沿わせ一の被接合部材と他の被接合部材の突き合わせ面を位置決め固定し、前記一の被接合部材の前記端面に他の被接合材を押圧した状態で、前記端面と前記他の被接合部材との突き合せ面を摩擦攪拌接合することを特徴とする接合体の製造方法である。
請求項に係る発明は、請求項1に係る発明において、被接合部材がアルミニウムまたはその合金からなる断面方形の押出角材からなることを特徴とする接合体の製造方法である。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、断面方形の金属製押出角材からなる被接合部材を用いた。
図1は本発明の接合体の製造方法で得られる接合体の一例を示す斜視図である。図1において、10は脚部フレーム、20は支柱フレームであり、この支柱フレーム20は頭部フレーム21と延長部フレーム22とが摩擦攪拌接合により接合(a)されてなり、さらに脚部フレーム10と支柱フレーム20とは、脚部フレーム10と支柱フレーム20の延長部フレーム22とを摩擦攪拌接合することにより接合(b)されている。こうして、L型の骨格フレームが形成されている。
上記各フレームの材質としては、摩擦攪拌接合が可能な金属、例えばアルミニウムおよびその合金をはじめ、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金、ステンレス鋼などが使用される。この種のフレームは断面方形の押出角材(例えば厚さ10mm、幅125mm)からなる。
上記の脚部フレーム10と支柱フレーム20とからなる骨格フレームを製造するには、図2に平面図で示すように、先ず、支柱フレーム20の頭部フレーム21(他の接合部材に相当する)と延長部フレーム22(一の接合部材に相当する)とを定盤30の上に載置して摩擦攪拌接合装置を用いて接合する。この場合、頭部フレーム21は、製品の支柱フレーム20の長さにかかわらず一定の長さであり、支柱全体の長さは延長部フレーム22の長さを調整することにより行われる。
定盤とは、摩擦攪拌加工装置で同加工をするための加工台であり、定盤にクランプ等の取り付け具等を取り付け、取り付け具等により被加工材を固定して摩擦攪拌加工するのに用いる。
ここで頭部フレーム21は摩擦攪拌接合装置の定盤30上に設置された固定ガイド41および42により位置決めされることが好ましい。
固定ガイドとは、定盤に別途固定手段によって固定して、被接合部材の位置決めに用いるガイドであって、固定ガイドの少なくとも一面が被接合部材の側面と接することにより被接合材の位置決めをするものをいう。このような固定ガイドは、一つだけで用いられてもよいし、対で被接合部材を挟むように用いられてもよい。
固定ガイドが、底板と側板を有し、底板が定盤にボルト等により固定され、底板上に被接合部材の1側面あるいは2側面に沿わせ固定するための側板が底板にボルト等で固定される構造のものでは、被接合部材の下面が底板上面に接して置かれ、被接合部材の側面が側板により位置規制される。側板は側板間の距離が被接合部材の幅に合うよう底板に固定される。この構造の固定ガイドは加工が容易で位置決め精度が高いため好ましい。
次に、延長部フレーム22が頭部フレーム21の端面と端面を突き合わせて置かれる。延長部フレーム22は、要求される製品ごとに長さが変わり、フレームの突き合わせ面が断面方形で比較的狭いので、突き合わせ面を簡単に正確に一致させることが難しい。そこで、図3に断面図で示すように、延長部フレーム22の突き合わせ面の近くにピン孔23を設け、延長部フレーム22のピン孔23と摩擦接合装置の定盤30に予め設けられたピン孔31とを合わせ、このピン孔23および31にピン50を挿入することにより延長部フレーム22を定盤に位置決め固定する。このことにより延長部フレーム22は簡易に位置決めされ固定される。
ピン孔23は突き合わせ面から適当な距離を開けて設けることが好ましい。以下に述べる固定ガイドを併用する場合に摩擦攪拌接合箇所の近傍、特にピン孔と接合箇所までの間は放熱のためガイドで覆わないようできるだけガイドを当てないことが好ましい。摩擦攪拌による発熱を逃がして残留応力を小さくし、接合体の残留応力が大きいと寸法が狂いやすいので、それを防ぐためである。ピンを使わない場合には寸法誤差を生じるのを防ぐため接合箇所近くまで固定ガイドで被接合材を固定する必要があるが、その場合、摩擦による熱が逃げないので残留応力が残りやすい。
ピンで固定する場合においても固定ガイドを併用することが好ましい。固定ガイドを併用する場合を以下説明する。延長部フレーム22を固定ガイド42、43に接して頭部フレーム21の端面に端面を突き合わせて置く。延長部フレーム22の突き合わせ面近くにピン孔23を設け、固定ガイド43に接して延長部フレーム22を滑らせ、図3に断面図で示すように、この延長部フレーム22のピン孔23と固定ガイド43に予め設けられたピン孔31とを合わせ、このピン孔23および31にピン50を挿入することにより位置決め固定する。
固定ガイド43が、底板93と側板83を有し、底板93が定盤にボルト100等により固定され、底板上に被接合部材の1側面あるいは2側面に沿わせ固定するための側板83が底板にボルト101等で固定される構造のものでは、底板93に予め設けられたピン孔31を設けておく。固定ガイド43は定盤にボルト等により固定されているので、被接合部材である延長部フレーム22は固定ガイド43を介してピン50により実質的に定盤に対し位置決めされ固定される。
上記固定ガイド41、42および43に代えて、定盤30上に設けられたU字型クランプを用いて頭部フレーム21を上から押さえ付けるようにして固定する手段を用いてもよい。しかし、クランプでは固定が精密にできない場合があるため、固定ガイドを用いることが好ましい。
その後、エアーシリンダ60からなる押圧手段を用いて、頭部フレーム21の端面に延長部フレーム22の端面を押し当てた状態で、摩擦攪拌接合装置に取り付けられている高速回転ツール(図示せず)を用いて、頭部フレーム21と延長部フレーム22との突合せ線の上面に沿って、矢印a方向に常法により摩擦攪拌接合する。こうして、頭部フレーム21と延長部フレーム22とが接合されてなる支柱フレーム20が得られる。
次に本発明の接合体の製造方法について説明する。
さらに、図4の平面図で示すように、上記支柱フレーム20(一の接合部材に相当する)と脚部フレーム10(他の接合部材に相当する)とを定盤30の上に載置して摩擦攪拌接合装置を用いて接合する。この場合、支柱フレーム20は製品によって長さが変わり、フレームの突き合わせ面が断面方形で比較的狭いうえ傾斜面であり斜め方向に接合されるので、突き合わせ面を簡単に正確に一致させることは難しい。
そこで支柱フレーム20を構成する延長部フレーム22の突き合わせ面から適当な距離を開けてピン孔23を設ける。このピン孔23と、新たに摩擦接合装置の定盤30に予め設けられたピン孔31とを合わせ、これ等のピン孔にピン50を挿入することにより支柱フレーム20を定盤30に固定する。以上により支柱フレーム20を正確に所定の角度傾かせた状態で脚部フレーム10と突合わせすることができる。
この場合においても固定ガイドを用いることが好ましく、角度を正確に保つために、斜行固定ガイドを用い斜行固定ガイド44に沿わせることにより、支柱フレーム20を所定の角度傾かせた状態で定盤30に置くことが好ましい。ここで斜行固定ガイド44とは上記固定ガイドの1種であって、定盤に別途固定手段によって固定された、被接合部材の位置決めに用いるガイドであって、固定ガイドの側面が他辺に対し所定の角度に傾斜しており当該斜の側面が被接合部材の側面と接することにより被接合部材の位置決めをするものをいう。
斜行固定ガイド44が、図5に斜視図で示すように、底板94と側板84を有し、底板が定盤にボルト等により固定され、底板上に被接合部材の1側面あるいは2側面に沿わせ固定するための側板が底板にボルト等で固定される構造のものでは、底板94に予め設けられたピン孔31を設けておく。斜行固定ガイド44は定盤にボルト等により固定されているので、被接合部材である支柱フレーム20は斜行固定ガイド44を介してピン50により実質的に定盤に対し位置決めされ固定される。
斜行固定ガイド44によりピンの周りの回転が抑制され、かつピン50と斜行固定ガイド44により、摩擦攪拌接合時に生じる長軸方向の応力によりズレが生じるのが防止されるからである。
その後、ブロック71と72からなる押圧手段70を用いて、支柱フレーム20の端面に脚部フレーム10の側面を押し当てた状態で、摩擦攪拌接合装置に取り付けられている高速回転ツール(図示せず)を用いて、支柱フレーム20と脚部フレーム10との突き合わせ線の上面に沿って、b位置を図の左から右(固定ガイド45に近づく方向、換言すれば脚部フレームに対し支柱フレームのなす角が鈍角をなす側から鋭角をなす側にツールを相対的に移動させて)に常法により摩擦攪拌接合する。ここで、エアーシリンダからなる押圧手段に替えて、ブロック71と72からなる押圧手段70を用いると、脚部フレーム10を支柱フレーム20の端面に均一に押圧することができる。
こうして、脚部フレーム10と支柱フレーム20とが接合されてなる骨格フレームが得られる。上記操作を対となる同様なL型フレームに対して行い接合する。この場合は、斜行固定ガイドを反転して用い、接合方向は先と同じに脚部フレームに対し支柱フレームのなす角が鈍角をなす側から鋭角をなす側にツールを相対的に移動させて接合する。このようにして得られた骨格フレームを相対向して用い、これに側面板などの各種部材を取り付ければ、例えばL型の搬送機のような物品搬送機を製作することができる。この場合、搬送機に要求される寸法に応じて延長部フレームを必要な数だけ継ぎ足すようにすれば、容易に長尺の支柱フレームの製作に対応でき、フレーム部品の点数も削減でき、搬送高さが異なる搬送機の製作が容易となり、もって納期の短縮やコスト低減が図ることができる。なお、得られる上記骨格フレームにはピン孔が残るが、このピン孔は側板などの各種部材を取り付け用のビス孔やボルト孔として利用してもよい。
本発明において摩擦攪拌接合は、公知の摩擦攪拌接合装置に取り付けられている高速回転ツールを上記フレームの突き合わせ線の上面に沿って一端から他端に移動させることにより行われる。上記ツールは、径の大きいショルダ部とその先端にプローブとを有し、被接合材の材質よりも硬いSKD61等のSKあるいはSKD工具鋼やPCBN(
polycrystalline cubic boron nitride)などからなる。そして、通常、プローブ41にはねじが切ってあるが、ねじが切ってないものも使用できる。
上記ツールのショルダ部の直径は12〜20mm程度で、プローブの直径は4〜7mm程度のものが好適に使用される。また、上記プローブの長さは、フレーム等の被接合部材の厚みにより異なり、通常、被接合部材の厚みよりも0.2mm程度短くなされる。
ツールの回転速度は、脚部フレーム10、支柱フレーム20の材質や厚みなどにより異なるが、一般に数百〜数千回転/分、接合速度は一般に数十〜数百mm/分である。特に、脚部フレーム10と支柱フレーム20の材質がアルミニウムまたはその合金で、その厚みが10〜数十mmの場合は、ツール40の回転速度は600〜1800回転/分、接合速度は100〜600mm/分が、十分な接合強度を得るうえで好ましい。
なお、ツールは一方向に回転しながら一端から他端に移動していくので、左右非対称の接合となるが、片道の1パスで接合強度で特に問題はないが、できるだけ左右対称の接合が得られるように、ツールを往復の2パスで行ってもよい。また、ツールの終端部にはツールのプローブによる小さな孔が残り、使用中ここから亀裂が生ずる恐れがあり得るのでドリル等で孔あけ加工を施しておいてもよい。ここで、孔あけ加工により生じた孔は、そのまま放置することもできるが、各種部品の取り付け孔として利用してもよい。
本発明によれば、一の被接合部材にピン孔を設け、同ピン孔と定盤に予め設けられた定盤のピン孔又は定盤に固定された部材に設けられたピン孔の位置を合わせ、ピンを挿してピン留めすることにより被接合部材を定盤に位置決め固定し、前記一の被接合部材に他の被接合材を押圧した状態で突き合わせ面を摩擦攪拌接合するので、被接合部材が金属角材のように断面積が比較的小さいものであっても、突き合わせ面を容易にして且つ正確に合わせ一致させ、ずれを防止することができ、もって接合体の正確な寸法及び角度が得られるとともに接合部の強度および外観を改善することができる、という優れた効果を奏する。
特に、被接合部材の固定に、一方の被接合部材と他方の被接合部材の突き合わせ面を一致させるための固定ガイドあるいは斜行固定ガイドを併用することにより、突き合わせ面を容易にして且つ正確に合わせ一致させ、ずれをより確実に防止することができ、接合体の正確な寸法及び角度が得られるとともに接合部の強度および外観を改善することができる、という優れた効果を奏する。
またピン孔の位置を突き合わせ面から適当な距離とすることにより、位置決めが正確にできるとともに、固定ガイドを併用する場合に摩擦攪拌接合箇所の近傍、特にピン孔と接合箇所までの間は放熱のためガイドで覆わないようできるだけガイドを当てないことが好ましいが、その距離を確保することができる。この結果摩擦攪拌による発熱を逃がして残留応力を小さくし、寸法精度を高めることができる。
また、上記本発明のピン固定方法を採用することにより、摩擦攪拌接合による寸法誤差が抑制されるため、摩擦攪拌接合の採用が可能となり、摩擦熱により可塑化された固相状態で接合されるので、当て板を介してボルトナットで接合する方法に比べて、接合作業が簡単で手間がかからず、そのため製造効率がよい。また、アーク溶接などの溶融溶接に比べて、接合歪みが生ぜず、接合部における接合強度が強く、外観も優れるという利点がある。
本発明により得られた角材フレームを筐体の骨格フレームとすることにより、物品搬送機は従来の当て板を介してボルト止めにて製造していたことによる、部品点数の過多、工数大、重量大、美観不良という問題が改善され、部品点数の減少、工数の減少、軽量化、美観の向上が図られるという効果を奏する。
以下、本発明の具体的な実施例を挙げる。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
アルミニウム合金(A6063)からなる頭部フレーム21(厚さ10mm、幅125mm、長さ500mm)と延長部フレーム22(厚さ10mm、幅125mm、長さ1420mm)を、図1〜3に示す方法で摩擦攪拌接合して、頭部フレーム21と延長部フレーム22とからなる支柱フレーム20を製造した。
ピン孔として延長部フレーム22の突き合わせ面から150mmはなれた巾方向の中央の位置に10mm径のドリルによるピン孔23を空けた。固定ガイド41、42、43は底板と側板を有し、底板が定盤にボルト等により固定され、底板上に被接合部材の1側面あるいは2側面に沿わせ固定するための側板が底板にボルト等で固定される構造のものを使用した。底板は20mm厚、側板は約10mm厚、側板間距離は125mmとした。上記固定ガイド41、42、43を定盤に、所定配置になるようボルトにて取り付け固定した。固定ガイド43は底板にピン孔31を予め設けておいた。延長部フレーム22を固定ガイド43の底板93の上面上側板83に挟んだ状態で置き、延長部フレーム22のピン孔を固定ガイド43のピン孔31に合わせピン50にて延長部フレーム22を固定ガイド43に固定することにより、延長部フレーム22を固定ガイド43を介して定盤に固定した。
次に固定ガイド41に合わせて頭部フレーム21を置き、頭部フレーム21が延長部フレーム22とa位置で突き合わせ状態となるよう配置した。
押圧手段60により頭部フレーム21を延長部フレーム22にa位置で押し付けた状態で摩擦攪拌接合した。摩擦攪拌接合装置のツールは、ショルダ部の直径が20mm、プローブの長さが9.8mm、プローブの根元直径が8.4mm、先端直径が8.4mmのテーパー状で、ねじが切ってあり、ツールへの負荷は9800N、回転速度は1500回転/分、接合速度は400mm/分であった。片道の1パスとした。接合状態は良好であった。
上記接合条件は以下の予備実験により定めた。すなわち頭部フレーム21と延長部フレーム22とを、回転速度を1200、1500回転/分、接合速度を300、400mm/分と条件を変えて接合実験を行った。
予備実験における回転速度1200回転/分、接合速度300mm/分のものにつき、その接合部の外観写真を図6に示す。この写真から分るように細長い加工痕が存在するが、接合歪みはなく、表面、裏面とも良好な外観を呈し、表面部の簡単なバリ取りのみで製品に供することができた。なお、摩擦攪拌接合の終了位置に残るプローブ孔は亀裂発生の原因となる恐れがあるので、ドリルで孔明け加工を施した。
回転速度1200回転/分、接合速度300mm/分と、1500回転/分、接合速度300mm/分で、接合した接合部の断面写真を図7に示す。図7において、ASとは
(Advancing Sideの略)ツールの回転方向と進行方向が同じ側を意味し、RSとは(Retreating Sideの略)ツールの回転方向と進行方向が逆になる側を意味する。この写真から分るように表面、裏面とも良好な外観を呈し、接合状態は良好であった。
さらに、上記支柱フレーム20の頭部フレーム21と延長部フレーム22との接合部の接合強度を、回転速度1500回転/分のものにつき、JIS Z 3121に準じて測定したところ、引張強さは163MPa、破断伸びは13.3%、0.2%耐力は101MPaであり、材料自体の引張強さは227MPaであることから、継手効率は約72%であり、引張強さは163MPaは十分に実用に耐える値であった。但しJIS Z 3121では余盛を除去して平坦にした後の試験を行うが、摩擦攪拌接合では余盛が生じないため、余盛除去はせずに測定した。
以上の予備実験から接合条件を回転速度1500回転/分、接合速度400mm/分とした。
参考例1で得られた支柱フレーム20(厚さ10mm、幅125mm、長さ1920mm)とアルミニウム合金(A6063)からなる脚部フレーム10(厚さ10mm、幅125mm、長さ1400mm)とを、図4に示す方法で摩擦攪拌接合して、支柱フレーム20と脚部フレーム10とからなるL型の角材フレームを製造した。なお、摩擦攪拌接合の終了位置に残るプローブ孔は亀裂発生の原因となる恐れがあるので、ドリルで孔明け加工を施した。
正確な角度で接合するため、斜行固定ガイド44を用いた。斜行固定ガイド44は平行四辺形状の外観をした、底板と側板を有し、底板が定盤にボルト等により固定され、底板上に被接合部材の2側面に沿わせ固定するための側板が底板にボルト等で固定される構造のものを使用した。底板94は20mm厚、側板84は約10mm厚、側板間距離は125mmとした。底辺と斜辺のなす角度が60度のものを用いた。底板の幅方向中央部に予めピン孔31を設けた。斜行固定ガイド44を定盤にボルトにて取り付け固定した。
同様に固定ガイド45を定盤に固定した。固定ガイド45は底板と側板を有し、底板が定盤にボルト等により固定され、底板上に被加工材の端面に沿わせ固定するための側板が底板にボルト等で固定される構造のものを使用した。
参考例1で接合された支柱フレーム20の、脚部フレーム10との突き合わせ面から160mmはなれた幅方向中央位置に10mm径のドリルによりピン孔23を空けた。斜行固定ガイド44の側板間にその側面が接するように支柱フレーム20を置き、支柱フレーム20のピン孔23を斜行固定ガイド44のピン孔31に合わせピン50を挿し支柱フレーム20を斜行固定ガイド44に固定することにより、支柱フレーム20を斜行固定ガイド44を介して定盤に固定した。
固定ガイド45にその端部が当るように脚部フレーム10を配置した。ブロック71と72からなる押圧手段70を用いて、脚部フレーム10を延長部フレーム22に押し当て固定し押し付けた状態とし参考例1と同様にして摩擦攪拌接合した。接合部の外観は良好で、60度の大型三角定規を作成し計測したところ接合体の角度は正確に60度であった。
得られた角材フレームについて、支柱フレーム20と脚部フレーム10との接合部の引張試験を行ったところ、参考例1とほぼ同様な結果が得られた。さらに、上記L型の角材フレームを筐体の骨格フレームとして用いること以外は、従来のL型の物品搬送機の製造方法と同じ方法によりL型の物品搬送機を製造した。得られたL型の物品搬送機は、従来のL型の搬送機(株式会社下西製作所製の商品名「Lアップ型マグネポータ」)と同様に問題なく使用できた。
(比較例1)
ピンと固定ガイドを用いず、クランプのみを用いて頭部フレーム21と延長部フレーム22とを定盤に取り付け固定した以外は参考例1と同様にして頭部フレーム21と延長部フレーム22を接合した。
頭部フレーム21と延長部フレーム22との接合部にズレと曲がりが生じた。
(比較例2)
ピンと、斜行固定ガイド、固定ガイドを用いず、クランプのみを用いて支柱フレーム20と脚部フレーム10とを定盤に取り付け固定した以外は参考例1と同様にして支柱フレーム20と脚部フレーム10を接合した。
支柱フレーム20と脚部フレーム10との接合位置がズレており、角度も不正確で、後ろに倒れており、支柱フレーム先端では約10mm弱の位置のズレがあった。
本発明の製造方法で得られる支柱フレームと脚部フレームとからなるL型の角材フレームの一例を示す斜視図である。 図1に示すL型の角材フレームの製造方法において、頭部フレームと延長部フレームとからなる支柱フレームの製造方法を説明する平面図である。 図2のA−A線における断面図である。 図1に示す支柱フレームと脚部フレームとからなるL型の角材フレームの製造方法を説明する平面図である。 斜行固定ガイドの一例を示す斜視図である。 参考例1により得られた頭部フレームと延長部フレームとからなる支柱フレームの接合部の表面状態および裏面状態を示す写真である。 参考例1により得られた頭部フレームと延長部フレームとからなる支柱フレームの接合部の断面状態を示す写真である。
10 脚部フレーム
20 支柱フレーム
21 頭部フレーム
22 延長部フレーム
23 被接合部材のピン孔
30 定盤
31 定盤のピン孔、固定ガイドのピン孔
43 固定ガイド
44 斜行固定ガイド
50 ピン
84 斜行固定ガイドの側板
94 斜行固定ガイドの底板
100 ボルト
101 ボルト

Claims (2)

  1. 断面方形の被接合部材同士を突き合わせ摩擦攪拌接合により接合する接合体の製造方法であって、対向する平行な2つの側面と前記2つの側面に対し斜めに交わる端面とを有する一の被接合部材にピン孔を設け、該ピン孔と、定盤に予め設けられたピン孔又は定盤に固定された固定部材に設けられたピン孔との位置を合わせ、これ等のピン孔にピンを挿入してピン留めし、前記一の被接合部材の対向する平行な1側面あるいは2側面に被接合部材の回転防止のための斜行固定ガイドを沿わせ一の被接合部材と他の被接合部材の突き合わせ面を位置決め固定し、前記一の被接合部材の前記端面に他の被接合材を押圧した状態で、前記端面と前記他の被接合部材との突き合せ面を摩擦攪拌接合することを特徴とする接合体の製造方法。
  2. 被接合部材がアルミニウムまたはその合金からなる断面方形の押出角材からなることを特徴とする請求項1に記載の接合体の製造方法。
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