JP4631083B2 - 埋込み可能な駆動部を備える医療装置、およびその異常検出方法 - Google Patents
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Description
越地耕二、益田幸一郎、周英明、宇都宮敏男、高野久輝、阿久津哲造:完全埋込式人工心臓駆動用経皮エネルギー伝送システムの開発.人工臓器 18: 533−536, 1989 松木英敏、越地耕二:生体へのエネルギー伝送システム.平成4年電気学会全国大会講演会論文集:S.21−4,1992 三田村好矩:電磁駆動式完全埋込型人工心臓の開発と将来への課題:工学的側面.人工臓器 25: 738−743, 1996 柴建次、越地耕二:体内埋込型人工心臓駆動のためのエネルギー供給技術.日本時計学会Vol.44 No.4
図1は、本実施形態の埋込型人工心臓10のブロック図を示す。埋込型人工心臓10は、主な構成要素として、駆動部としての体内埋込型の人工心臓駆動部30、TETの中核となり、人工心臓駆動部30を駆動する電力を伝送するための電力伝送部18、および人工心臓駆動部30を駆動する電力を発生するための電源部12を有する。
人工心臓駆動部30はアクチュエータである人工心臓ポンプ36、外部からの電力を整流して人工心臓ポンプに供給するための整流平滑回路32、充放電により電力を一時的に蓄える2次電池38、および、人工心臓ポンプ36に対する電力の供給源を整流平滑回路32または2次電池38のうちのいずれかに切り替える切替回路34を有する。TETからのエネルギー伝送が絶たれた際には、体内に埋込んだバックアップ用の2次電池38により、人工心臓ポンプ36を駆動している。
電源部12は、商用電力の変換装置、または、電池からなる電源14と、電源14に接続され、交流電力を発生するDC−ACインバータ回路としてのスイッチング回路16と、を有する。
電力伝送部18は、体外の1次コイル22と、体内埋込み可能な2次コイル24とを有するトランスを備えている。1次コイル22は、電源部12に接続され、2次コイル24は、人工心臓駆動部30に接続されている。このトランスは、皮膚を隔てて電力を伝送可能な経皮トランス40(図2参照)となっている。また、電力伝送部18は、経皮トランス40のコアのずれを検出するためのセンサコイル26、28、および、これらの出力電圧を入力してコアのずれを検知する検知部20を備える。
図2は、経皮トランス40の外観を示す図である。C型磁心からなる2個のコア部材42、44の組み合わせによりコア41が構成され、このコア41には、1次コイル22が巻かれている。コア部材42、44の両端の接合面が、双方完全に重なるようにほぼ密着されることで、コイルに生じた磁束を円磁路に閉じ込めることができる。コア41(磁心)には、例えば、トロイダル型(内径22mm,外径38mm,幅8mm)のフェライト(Mn−Zn、比透磁率2200、FDK社製)を使用することができる。コイル用巻き線との絶縁を確実なものにするため、例えば、コア部材42、44の、接合面を除く部分にフッ素樹脂製テープ(ニチアス社製)を巻くのが好ましい。これにリッツ線を9回巻きして1次コイル22としている。ただし、プッシュプル型に対応するため、好ましくは、1次コイル22として、9回巻きコイルを2個フェライトコアに設置する。
ここで、経皮トランス40の正常な結合状態について定義する。正常な結合状態とは、コア部材42、44の互いに対向して接触する面である接合面を、双方完全に重ねるよう密着することをいう。これ以外の状態を結合異常(コアのずれ)と定義する。結合異常の一つは、図4の(a)のように、コア部材42、44が、正常な結合状態から水平方向にスライドする場合である。この場合磁路は磁心の中を貫通する。ここでは、コア部材42、44が互いに対向する面である接合面に水平な方向で、かつ、半径方向に平行な長さ方向をx方向とし、垂直な方向をy方向とする。コアのずれには、これらx・y方向へのずれ以外に、接合面に図4の(b)のように、ギャップを生じる場合で、絶縁体や空気などの透磁率の低い物質を挟むことも含まれる。このような結合異常を、δ方向のずれとする。
図5は、1次コイル22が巻かれた状態での、コア部材42の外観を示す図である。コア部材42は、他のコア部材44と対向する接合面48(48a、48b)を有する。コア41は、コア部材42とコア部材44が互いに対向する接合面を介して配置され、1次コイルおよび2次コイルの内部を貫く閉磁路を形成している。より具体的には、コア部材42とコア部材44は、それぞれの接合面を接触させながら配置される。
センサコイル付フェライトコアにおいて、コア部材42とコア部材44の接合面48にずれが存在しない場合(すなわち正常な結合状態の場合)には、4等分された接合面48aのそれぞれを鎖交する磁束の量が等しい。したがって、各センサコイル54、56に発生する誘導起電力(以下、信号という)V1およびV2の大きさも等しい。
電源14としての直流安定化電源、スイッチング回路16、1次コイル22、2次コイル24、整流平滑回路32、および、人工心臓ポンプ36の代替としての電子負荷を図1のように接続した。なお、切替回路34と2次電池38とは省略した。そして、コア部材42とコア部材44とを正常結合状態からx方向・δ方向へそれぞれずらしていった際の経皮トランス40の入出力電圧・電流を測定した。ここで、入力電圧とは直流安定化電源の電圧、入力電流とは直流安定化電源から出る電流、出力電圧とは電子負荷に印加される電圧、出力電流とは電子負荷に入る電流を言う。また、これにより入出力電力、効率を算出した。
図13に示すように、センサコイル付フェライトコアのコア部材42、44間の片方の接合面に、直径0.081mmの糸60を、x軸と平行な向きにフェライトコア端から2mmの位置に挿入し、差信号を測定した。
フェライトコアに案内溝を入れた影響について、効率の面から検討を行った。図15は、フェライトコアに案内溝を入れた場合と入れない場合の効率を示す。これによると、案内溝を入れた影響は誤差の範囲と考えることができる。
次に、上述の実施形態の埋込型人工心臓10において、コア41にセンサコイルをさらに追加してセンサコイルを4個とした、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係るセンサコイル付フェライトコアのコア部材42、44を、図17に示すように、x・yそれぞれに同時に、すなわち、接合面の対角線方向にずらし、センサコイルの出力電圧差を測定した。
12 電源部
14 電源
16 スイッチング回路
18 電力伝送部
20 検知部
22 1次コイル
24 2次コイル
26、28 センサコイル
30 人工心臓駆動部
32 整流平滑回路
34 切替回路
36 人工心臓ポンプ
38 2次電池
40 経皮トランス
41 コア
42 コア部材
44 コア部材
48 接合面
50、52 案内溝
54、56、58、59 センサコイル
60 糸
Claims (5)
- 体内埋込み可能な駆動部と、電源部と、当該電源部からの電力を前記駆動部へ伝送する電力伝送部と、を備える医療装置であって、
前記電力伝送部は、
前記電源部に接続される1次コイルと、
前記駆動部に接続される体内埋込み型の2次コイルと、
前記1次コイルおよび前記2次コイルの内部を貫く閉磁路を形成するための複数に分割されたコア部材から成り、前記閉磁路が複数の前記コア部材の接合面同士を接合することで形成されるコアと、
前記コア部材の接合面に配置され、複数の前記コア部材の位置ずれに関する信号を出力するセンサコイルと、
当該センサコイルから出力された信号に基づいて、前記コア部材の位置ずれを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする医療装置。 - 前記センサコイルは、前記コア部材の接合面に、それぞれの囲む領域が異なるように配置された第3のコイルと第4のコイルとから成ることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
- 前記コア部材の接合面には、当該接合面を4等分する案内溝が形成され、当該案内溝により4等分された領域の対角上に位置する領域を囲むように前記第3のコイルと前記第4のコイルとが前記案内溝の中に埋め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の医療装置。
- 前記報知手段は、報知器を備え、
前記第3のコイル及び前記第4のコイルが発生する電圧の差が所定値を超えた場合、または前記電圧に特定の変化が生じた場合に、前記報知器を介して前記コア部材の位置ずれを報知することを特徴とする請求項2または3に記載の医療装置。 - 前記センサコイルにより、複数の前記コア部材のスライド方向への位置ずれ、またはギャップ方向への位置ずれを検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医療装置。
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