JP4628788B2 - 廃熱ボイラ - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼ガスがほぼ水平方向に貫流する燃焼ガス通路内に蒸発器・貫流伝熱面が配置され、該伝熱面が流れ媒体の貫流に対し並列接続された多数の蒸気発生管を有し、該発生管の内、同じ貫流伝熱面の他の蒸気発生管に比べ余計に加熱される蒸気発生管が、前記他の蒸気発生管に比べ大きな流れ媒体流量を有するように設計されたボイラに関する。
ガス・蒸気複合タービン設備において、ガスタービンからの膨張した作動媒体又は燃焼ガスに含まれる熱は、蒸気タービン用の蒸気を発生するために利用される。熱伝達はガスタービンに後置接続された廃熱ボイラで行われ、該ボイラには通常給水加熱用、蒸気発生用、蒸気過熱用の多数の伝熱面が配置されている。これら伝熱面は、蒸気タービンの水・蒸気回路に接続されている。該水・蒸気回路は一般に複数、例えば3つの圧力段を含み、その各圧力段は蒸発伝熱面を有している。
ガスタービンの排気ガス側に廃熱ボイラとして後置接続されたボイラは、種々の選択可能な設計構想に対応し、貫流ボイラ又は循環ボイラとしての設計が考えられる。貫流ボイラの場合、蒸発管として設けた蒸気発生管の加熱により、蒸気発生管内の流れ媒体は一回の貫流で蒸発する。これに対し自然循環又は強制循環ボイラの場合、循環水は、これを更に蒸発させるべく発生した蒸気を分離した後で、同じ蒸発管にあらためて導入される。
貫流ボイラは自然循環ボイラや強制循環ボイラと異なり圧力の制限がないので、生蒸気圧は、液相と気相との区別がつかず、従って、相の分離もできない水の臨界圧(Pkri≒221×105Pa)よりかなり高く設計できる。高い生蒸気圧は熱効率を高め、従って化石燃料形発電所のCO2放出を僅かにする。また、貫流ボイラは循環ボイラに比べて簡単な構造を持つので、特に安価に製造できる。従って、ガス・蒸気複合タービン設備の総合効率を簡単な構造で高めるべく、ガス・蒸気複合タービン設備の廃熱ボイラとして貫流原理で設計したボイラを使用すると特に有利である。
横置形構造の廃熱ボイラは、製造費用に関する他に必要な点検作業に関しても特に利点を有する。この横置形廃熱ボイラの場合、加熱された媒体又は燃焼ガス、即ちガスタービンからの排気ガスが、ほぼ水平の流れ方向に貫流する。しかし横置形ボイラでは、伝熱面の蒸気発生管はその位置に応じ著しく異なる加熱に曝される。特に、貫流ボイラの出口側が共通の出口管寄せに開口している蒸気発生管では、個々の蒸気発生管の異なる加熱は、互いに著しく異なった蒸気パラメータを有する蒸気流の合流を生じさせ、従って望ましくない効率損失を生じ、特にその伝熱面の効率を非常に悪化させ、この結果発生蒸気量を低下させる。また隣接する蒸気発生管の異なる加熱は、特にそれらの出口管寄せの開口部において蒸気発生管又は管寄せに損傷を生じさせる恐れがある。従って横置形構造に形成された貫流ボイラのガスタービンの廃熱ボイラとしての望ましい利用は、十分安定した流れ案内に関して大きな問題をもたらす。
欧州特許第0944801号明細書で、横置形構造の設計に適し、かつ貫流ボイラの上述の利点を有するボイラが公知である。そのため、該ボイラの蒸発伝熱面は貫流伝熱面として形成され、同じ貫流伝熱面の他の蒸気発生管に比べ余計に加熱される蒸気発生管が、前記の他の蒸気発生管に比べ大きな流れ媒体流量を有するよう設計されている。ここで貫流伝熱面とは、一般に、貫流原理に応じた貫流に対し設計された伝熱面を意味する。即ち貫流伝熱面として形成された蒸発伝熱面に導入された流れ媒体は、その貫流伝熱面を通しての一回の貫流で、又は直列接続された多数の貫流伝熱面を有する伝熱面系を通しての一回の貫流で、完全に蒸発する。
従って、公知のボイラの貫流伝熱面として形成した蒸発伝熱面は、個々の蒸気発生管が異なる加熱を受ける場合でも自然循環蒸発伝熱面の流れ特性の形で自己安定挙動を呈し、この自己安定挙動は、流れ媒体側において並列接続され、異なる加熱を受ける蒸気発生管においても、それらの出口側温度を、外的処置を施すことなく同じにさせる。
公知のボイラは多段式に形成され、第1貫流伝熱面に流れ媒体側でもう1つ(第2)の貫流伝熱面が後置接続されている。第1貫流伝熱面から第2貫流伝熱面への確実で非常に均質な転流を保証すべく、公知のボイラに、非常に高価な建築上および構造上の経費を伴う複雑な分配系を設けている。
本発明の課題は、非常に安価な建築上および構造上の経費で、貫流伝熱面として形成された蒸発伝熱面又は蒸発器・貫流伝熱面の運転中、特に大きな流れ安定性が得られる冒頭に述べた形式のボイラを提供することにある。
この課題は、本発明に基づき、蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管に流れ媒体側で後置接続された出口管寄せの長手軸線を、燃焼ガス流れ方向に対してほぼ平行に向けることによって解決される。
本発明は、ボイラを製造する際の建築上および構造上の経費を、使用する構成要素の種類数を減少させることで低減できるという考えから出発する。かかる構成要素の減少は、上述の形式のボイラでは、貫流伝熱面に元来存在する特性、即ち自己安定循環特性の徹底した利用により、貫流伝熱面に後置接続された分配系を省くことで達成される。即ちその特性のため、互いに並列接続された種々の蒸気発生管から流出する流れ媒体の混合個所と、流れ媒体の後置接続された伝熱面系への転流個所が、混合時に得られた均質化を著しく害することなしに、従来後置接続されていた分配系から蒸気発生管に元々後置接続されている出口管寄せに移される。その結果、流れ安定性が顕著に不安定になることも、別の問題が生ずることもない。従って、比較的高価な分配系を省ける。この目的のため、即ち蒸気発生管から流出する流れ媒体の適当な混合と、継続案内に適した出口管寄せの形成とは、燃焼ガス流れ方向に見て連続して配置され、従って蒸発器・貫流伝熱面の加熱分布に関連し局所的に異なる加熱に曝される蒸気発生管の出口側が共通の管寄せ室に開口することで達成される。燃焼ガス流れ方向に見て、連続して配置された蒸気発生管に対し共通のかかる管寄せ室は、出口管寄せの長手軸線を燃焼ガス流れ方向に対しほぼ平行に向けることで得られる。
出口管寄せの単純な構造は、出口管寄せをほぼ円筒状に形成することで得られる。
非常に単純な構造にすべく、蒸発器・貫流伝熱面は、燃焼ガス流れ方向に見て連続して配置された多数の管層を有し、該各管層は燃焼ガス流れ方向に見て並べて配置された多数の蒸気発生管で形成される。その際、各管層の適当数の蒸気発生管に共通の出口管寄せを付設してもよい。しかし、他の有利な実施態様では、貫流伝熱面に流れ媒体側において後続する次の貫流伝熱面への高価な分配系を省いての流れ媒体の分配は、蒸発器・貫流伝熱面に各管層における蒸気発生管の数に相当する数の出口管寄せを付設し、これら出口管寄せの長手軸線を燃焼ガス流れ方向に対し平行に向けることで特に単純に実施できる。その場合、各出口管寄せに各管層の1つの蒸気発生管が開口する。
ボイラの蒸発器系は多段式に形成するとよく、その際蒸発器・貫流伝熱面は予蒸発器の形で、流れ媒体が後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面に流入する前に、流れ媒体を適当に状態調整すべく利用される。従って、第2蒸発器・貫流伝熱面は、流れ媒体を蒸発させる際に第2蒸発段の形で使われる。
第2蒸発器・貫流伝熱面は、各蒸気発生管の自然循環特性の徹底した利用による自己安定流れ挙動に対し設計するとよい。そのため、第2蒸発器・貫流伝熱面は、流れ媒体の貫流に対し並列接続された多数の蒸気発生管を備える。これら発生管は、目的に応じて同様に、第2蒸発器・貫流伝熱面の他の蒸気発生管に比べ余計に加熱される蒸気発生管が、前記の他の蒸気発生管に比べて大きな流れ媒体流量を有するように設計される。
ボイラの第1蒸発器・貫流伝熱面を、流れ媒体が下から上に向けて貫流するようにほぼ垂直に敷設した蒸気発生管で形成する一方で、第2蒸発器・貫流伝熱面を、U字状に形成した蒸気発生管で構成するとよい。この実施態様では、第2蒸発器・貫流伝熱面を形成する蒸気発生管は、各々ほぼ垂直に配置され、流れ媒体が下向きに貫流する降下管部分と、流れ媒体側でこの降下管部分に後置接続され、ほぼ垂直に配置されて流れ媒体が上向きに貫流する上昇管部分とからなる。
U字状蒸気発生管を備えた第2蒸発器・貫流伝熱面の実施態様において、降下管部分内に生ずる蒸気泡は、流れ媒体の流れ方向と逆向きに上昇しようとし、そのため流れの安定を不利に害する。これを防止すべく、蒸発器系は、この蒸気泡を流れ媒体により徹底して運び去るように設計するとよい。
第2蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管の降下管部分内に存在する蒸気泡のこの所望の徹底した運び去り作用を確実に保証すべく、第1蒸発器・貫流伝熱面を、運転中、それに後置接続した第2蒸発器・貫流伝熱面に流入する流れ媒体が、発生する蒸気泡を連れ去るために必要な最低速度より大きな流速を有するように寸法づけると望ましい。
第2貫流伝熱面を形成する蒸気発生管をほぼU字状に形成すると、その流入部は燃焼ガス通路の上部又は上側に位置する。第1蒸発器・貫流伝熱面に付属し、燃焼ガス通路の上側に配置され、その長手軸線が燃焼ガスの流れ方向に対し平行に向いた出口管寄せの利用に伴い、第1蒸発器・貫流伝熱面と第2蒸発器・貫流伝熱面との結合は、有利な実施態様では、第1蒸発器・貫流伝熱面の出口管寄せ又は各出口管寄せを、流れ媒体側で後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面の対応した入口管寄せと1つの構造ユニットの形に一体化することで、特に僅かな経費で可能となる。かかる配置構造は、第1蒸発器・貫流伝熱面から流出する流れ媒体の、流れ媒体側で後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管への直接転流を可能にする。第1蒸発器・貫流伝熱面の出口管寄せと第2蒸発器・貫流伝熱面の入口管寄せとの間での、高価な分配器又は接続管並びにそれに付属する混合・分配要素は不要となり、全般的に配管案内が非常に単純になる。
他の有利な実施態様では、第2蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管を、出口管寄せの長手軸線に対し垂直な共通平面内、従って燃焼ガス流れ方向に対し垂直な平面内で、それらに対応する入口管寄せに接続する。この配置構造で、一体構造ユニットの第1蒸発器・貫流伝熱面用出口管寄せとして用いる部分から出て第2蒸発器・貫流伝熱面に流入する、部分的に蒸発した流れ媒体は、一体構造ユニットの第2蒸発器・貫流伝熱面用入口管寄せとして利用する部分の底に衝突し、そこでもう一度渦を巻き、続いて各入口管寄せに接続された第2蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管に、略同じ分量の二相流れ媒体として流入する。従って第2蒸発器・貫流伝熱面の蒸気発生管への流れ媒体の継続案内は、出口管寄せでの混合で得られた均質化を顕著に害することなしに促進される。その場合、各入口管寄せからの流出個所の管寄せの長手軸線に関する対称配置に基づき、第2貫流伝熱面への流れ媒体の特に均質な供給が行われる。
このボイラはガス・蒸気複合タービン設備の廃熱ボイラとして利用するのに適する。これは、ガスタービンの排気ガス側に後置接続される。この接続において、ガスタービンの下流に、排気ガス温度を高めるべく追加燃焼装置を配置するとよい。
本発明による利点は、特に燃焼ガス流れ方向に対して平行な出口管寄せの方向づけにより、蒸発器・貫流伝熱面の元々利用している特性、即ち自己安定循環特性を、分配の単純化に徹底して利用することにある。自己安定循環特性のため、燃焼ガス流れ方向に見て連続して配置した蒸気発生管も、出口側でほぼ同じ蒸気状態で出口管寄せに開口する。蒸気発生管から流出する流れ媒体は、その出口管寄せ内で混合され、続く伝熱面系への継続案内に対し、混合時に得られた均質化を害することなく供給される。特に、出口管寄せと入口管寄せの一体化で、蒸発器・貫流伝熱面に後置接続される非常に高価な別個の分配系が不要となる。更に、このボイラは流れ媒体側で非常に小さな総圧力損失を示す。
以下、図を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。
図1に蒸発器部分を示すボイラ1は、廃熱ボイラの形で、ガスタービン(図示せず)の排気ガス側に後置接続されている。ボイラ1は外周壁2を備える。この壁2は、ガスタービンからの排気ガスが矢印4で示す、ほぼ水平方向xに貫流する燃焼ガス通路6を形成している。この通路6内に、複数(この実施例の場合には2つ)の蒸発器・伝熱面8、10を配置している。これら蒸発器・伝熱面8、10は貫流原理に応じて設計され、流れ媒体W、Dの貫流に対して直列接続されている。
蒸発器・貫流伝熱面8、10で形成された多段蒸発器系に、未蒸発流れ媒体Wが供給される。この媒体Wは、蒸発器・貫流伝熱面8、10の一回の貫流で蒸発し、第2蒸発器・貫流伝熱面10からの流出後、蒸気Dとして排出され、通常、更に過熱のため過熱器に導かれる。蒸発器・貫流伝熱面8、10で形成した蒸発器系は、蒸気タービンの水・蒸気回路(図示せず)に接続されている。蒸気タービンの水・蒸気回路には、この蒸発器系の他に、図1に示さない別の複数の伝熱面が接続され、該伝熱面は、例えば過熱器、中圧蒸発器、低圧蒸発器および/又は給水加熱器である。
蒸発器・貫流伝熱面8は、流れ媒体Wの貫流に対し並列接続された多数の蒸気発生管12で形成されている。これら発生管12は、その長手軸線が垂直に方向づけられ、流れ媒体Wが下側入口部から上側出口部に向けて、即ち下から上に向けて貫流するよう設計されている。
蒸発器・貫流伝熱面8は、燃焼ガス流れ方向xに見て連続して配置された多数の管層14を、管束の形で備える。各管層14は、燃焼ガス流れ方向xに見て並べて配置された多数の蒸気発生管12からなり、図1では、各管層14の1つの蒸気発生管12しか見えていない。各管層14の蒸気発生管12に共通の入口管寄せ16が前置接続されている。この管寄せ16は、長手方向を燃焼ガス流れ方向xに対しほぼ垂直に向けて、燃焼ガス通路6の下側に配置されている。管寄せ16は図1に概略的に示す給水系18に接続され、給水系18は流れ媒体Wを入口管寄せ16に必要に応じ分配して流入させる分配系を持つ。蒸発器・貫流伝熱面8を形成する蒸気発生管12は出口側、従って燃焼ガス通路6の上側に位置する部分で、対応した多数の出口管寄せ20に開口している。
蒸発器・貫流伝熱面8は、比較的低い質量流量密度での蒸気発生管12への供給に適するよう設計されている。該発生管12における設計上の流れ状態は、自然循環特性を有している。この自然循環特性に応じ、同じ蒸発器・貫流伝熱面8の他の蒸気発生管12に比べて余計に加熱される蒸気発生管12は、前記他の蒸気発生管12に比べ大きな流れ媒体流量を有している。
貫流伝熱面8に流れ媒体側で後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面10も同じ原理、即ち自然循環特性を得るべく形成している。ボイラ1の第2蒸発器・貫流伝熱面10も流れ媒体Wの貫流に対し並列接続された多数の蒸気発生管22を管束の形で備えている。該蒸気発生管22は所謂管層を形成し、燃焼ガス流れ方向xに並べて配置され、この並べて配置された各管層の1つの蒸気発生管22しか見えていない。そのように並べて配置された蒸気発生管22に流れ媒体側で、各々に対応した分配器又は入口管寄せ24が前置接続され、共通の出口管寄せ26が後置接続されている。
第2蒸発器・貫流伝熱面10に対し設計上用意した自然循環特性を、特に単純な構造手段で特に確実に保証すべく、第2蒸発器・貫流伝熱面10は流れ媒体側で互いに直列接続した2つの管区域を持つ。第2蒸発器・貫流伝熱面10を形成する各蒸気発生管22は、第1管区域に、略垂直に配置され流れ媒体Wが下向きに貫流する降下管部分32を持つ。各蒸気発生管22は、第2管区域に上昇管部分34を有し、該部分34は流れ媒体側で降下管部分32に後置接続され、ほぼ垂直に配置されて流れ媒体Wが上向きに貫流する。
上昇管部分34は、それに対応した降下管部分32に、転流管部分36を経て接続されている。この実施例では、転流管部分36を燃焼ガス通路6の内部に配置している。
第2蒸発器・貫流伝熱面10の各蒸気発生管22は、図1から解るように、略U字形をしている。U字の脚部は降下管部分32と上昇管部分34とからなり、結合湾曲部は転流管部分36で形成されている。この蒸気発生管22では、降下管部分32の範囲での流れ媒体Wの測地学的圧力貢献分が、(上昇管部分34の範囲と異なり)流れを促進し、流れを妨げない圧力貢献分を発生する。換言すれば、降下管部分32内に存在する未蒸発流れ媒体Wの水柱が、各蒸気発生管22の貫流を妨げるのではなく、一層「押し進める」。このため蒸気発生管22は、全体として比較的僅かな圧力損失を示す。
各蒸気発生管22は、それらが略U字状構造をなす場合、降下管部分32の入口部およびその上昇管部分34の出口部で、燃焼ガス通路6の天井に懸架又は固定される。これに対し、転流管部分36で互いに結合された降下管部分32と上昇管部分34の空間的に見ての下端は、燃焼ガス通路6に直接空間的に固定されていない。従って、蒸気発生管22のその管区域の縦膨張が損傷の恐れなしに可能であり、転流管部分36は伸縮湾曲管として作用する。従って蒸気発生管22のかかる配置は、機械的に特に柔軟性を有し、発生する膨張差により熱応力を生じない。
ボイラ1は、非常に単純な構造で、確実且つ均質な流れ案内が可能なように設計している。その場合、蒸発器・貫流伝熱面8に対し設計上設定した自然循環特性を、分配系の単純化に対し徹底して利用する。即ち自然循環特性と、これに伴い設計上設定した比較的低い質量流量密度が、燃焼ガス流れ方向xに見て連続して配置され、従って異なる加熱を受ける蒸気発生管からの部分流の共通空間への集結を可能にする。高価な固有の分配系を省き、蒸発器・貫流伝熱面8から流出する流れ媒体Wの混合を、1つ又は複数の出口管寄せ20に転移できる。燃焼ガス流れ方向xに見て異なる位置に配置され、従って異なる加熱を受ける蒸気発生管12から流出する流れ媒体Wの混合時に達成された均質化が、後続系に継続して案内する際にできるだけ僅かしか害されないようにすべく、互いにほぼ平行に並べて配置した各出口管寄せ20の長手軸線を、ほぼ燃焼ガス流れ方向xに対し平行に向ける。出口管寄せ20は、図1では1つしか見えていない。出口管寄せ20の数は、各管層14の蒸気発生管12の数に合致している。
各出口管寄せ20に、第1貫流伝熱面8に流れ媒体側で後置接続した第2貫流伝熱面10を付設している。第2貫流伝熱面10のU字状形状のため、各入口管寄せ24は各々の出口管寄せ20と同様に燃焼ガス通路6の上側に位置している。第1貫流伝熱面8と第2貫流伝熱面10との流れ媒体側での直列接続は、各出口管寄せ20をそれに対応する入口管寄せ24と1つの構造ユニット40の形に一体化することで特に簡単になる。このユニット40により、比較的高価な分配系又は接続系を用いることなく、第1蒸発器・貫流伝熱面8から第2蒸発器・貫流伝熱面10への流れ媒体Wの直接的転流が可能となる。
略U字状に形成した蒸気発生管22を備える第2蒸発器・貫流伝熱面10を用いた横置形ボイラ1では、蒸気発生管22の降下管部分32内で蒸気泡が生ずる。この泡は、各降下管部分32内で流れ媒体Wの流れ方向と逆向きに上昇し、従って流れの安定性を妨げ、ボイラ1の確実な運転をも妨げる。これを確実に防止すべく、このボイラ1を、既に部分的に蒸発した流れ媒体Wを第2蒸発器・貫流伝熱面10に供給すべく設計している。
第2蒸発器・貫流伝熱面10への流れ媒体Wの供給にあたり、各蒸気発生管22の降下管部分32で流れ媒体Wが所定の最低速度より高い流速となるように考慮する。更に、各降下管部分32での流れ媒体Wの十分大きな流速に基づき、そこに恐らく存在する蒸気泡が流れ媒体Wの流れ方向に確実に一緒に運ばれ、各転流管部分36を介して各々後置接続された上昇管部分34に転流するように流速を決めている。この目的のために十分大きな蒸気発生管22の降下管部分32への流れ媒体Wの流速の維持は、第2蒸発器・貫流伝熱面10への流れ媒体Wの供給を、そのために十分大きな蒸気含有量および/又はそのために十分大きなエンタルピーで行うことによって保証する。
そのために適したパラメータを有し、既に部分的に蒸発した状態の流れ媒体Wを供給可能にすべく、ボイラ1の第2蒸発器・貫流伝熱面10に、流れ媒体側で、予蒸発器として蒸発器・貫流伝熱面8を前置接続している。予蒸発器の形の蒸発器・貫流伝熱面8は、場所的に燃焼ガス通路6の比較的低温の空間範囲内、従って燃焼ガス側で、第2蒸発器・貫流伝熱面10の下流に配置している。これに対し第2蒸発器・貫流伝熱面10は、ガスタービンから流出する燃焼ガスに対する燃焼ガス通路6の入口範囲近くに配置され、従って運転中、燃焼ガスによる非常に大きな熱量を受ける。
第1貫流伝熱面8と、流れ媒体側でこの第1貫流伝熱面8に後置接続された第2貫流伝熱面10とで形成された蒸発器系の設計に応じ、即ち設計的に第2蒸発器・貫流伝熱面10の入口側に、部分的に予蒸発されて十分大きな蒸気含有量および/又は十分大きなエンタルピーを有する流れ媒体Wを供給可能とすべく、蒸発器・貫流伝熱面8を適切に寸法づける。その場合、特に蒸気発生管12の適当な材料の選択と適当な寸法づけ或いは蒸気発生管12の相対位置の適当な位置付けを考慮する。これらパラメータに関し、蒸発器・貫流伝熱面8は、運転中、それに後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面10に流入する流れ媒体Wが降下管部分32内で生ずるか存在する蒸気泡を連れ去るために必要な最低速度より大きな流速を有するように寸法づける。
上述の如く設計上企図した高い運転安全性は、特に運転中の平均入熱量を蒸発器・貫流伝熱面8と第2蒸発器・貫流伝熱面10とにほぼ同量に分配することで達成される。従って両蒸発器・貫流伝熱面8、10と、これらを形成する蒸気発生管12、22とは、この実施例では、運転中、蒸発器・貫流伝熱面8を形成する蒸気発生管12への総入熱量が、第2蒸発器・貫流伝熱面10を形成する蒸気発生管22への入熱量にほぼ相当するように寸法づけている。その際に生ずる質量流量を考慮し、蒸発器・貫流伝熱面8は、流れ媒体側でそれに後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面10の蒸気発生管22の数を考慮し、適切に選択した数の蒸気発生管12を有している。
図2に部分平面図で示す如く、各々互いに隣接する2つの管層14の蒸気発生管12は燃焼ガス流れ方向xに対し垂直方向に見て互いにずらして配置され、この結果蒸気発生管12の配置に関しほぼ菱形の基本模様が生じている。この配置構造の場合、図2に1つしか示さない出口管寄せ20は、各出口管寄せ20に各管層14から各々1つの蒸気発生管12が開口するように置いている。その場合、各出口管寄せ20が蒸発器・貫流伝熱面8に後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面10に対し付設された入口管寄せ24と1つの構造ユニット40の形に一体化されていることも解る。
図2から更に、第2蒸発器・貫流伝熱面10を形成する蒸気発生管22も、燃焼ガス流れ方向xに見て連続して配置された多数の管層を形成していることが解る。その場合、燃焼ガス流れ方向xに見て最初の2つの管層は、出口側が蒸発した流れ媒体Wに対する出口管寄せ26に開口する蒸気発生管22の上昇管部分34で形成されている。これに対し、燃焼ガス流れ方向xに見て次の2つの管層は、入口側が夫々に対応した入口管寄せ24に接続された蒸気発生管22の降下管部分32で形成されている。
図3は構造ユニット40への蒸気発生管12、22の開口範囲の一部を側面図で示す。このユニット40は、一方では蒸発器・貫流伝熱面8を形成する多数の蒸気発生管12に対する出口管寄せ20を、他方では第2蒸発器・貫流伝熱面10を形成する各2本の蒸気発生管22毎の入口管寄せ24を備える。この図から、特に蒸気発生管12から流出し出口管寄せ20に流入した流れ媒体Wが、第2蒸発器・貫流伝熱面10に付属した入口管寄せ24に直接転流することが解る。流れ媒体Wの転流時、流れ媒体Wは運転状態に応じ、まず入口管寄せ24を含む構造ユニット40の底板42に衝突する。この衝突に基づき、流れ媒体Wが入口管寄せ24から対応した蒸気発生管22の降下管部分32に流入する前に、流れ媒体Wの渦巻きそして特に緊密な混合が生ずる。
図3から特に明らかなように、蒸気発生管22に対する入口管寄せ24として形成された構造ユニット40の終端部分は、蒸気発生管22への流れ媒体Wの流出が全ての蒸気発生管22で、構造ユニット40の円筒軸線に対し垂直な唯一の平面から行うように設計している。このことを、その本来の場所的位置に関し、燃焼ガス流れ方向xに見て連続して配置された2つの異なる管層に配列されている2つの蒸気発生管22に対しても可能にすべく、各蒸気発生管22に各々転流管部分46を付設している。各転流管部分46は、燃焼ガス流れ方向xに対し斜めに延び、各々に対応した蒸気発生管22の上部箇所を入口管寄せ24の流出開口48に接続している。この配置構造によって、入口管寄せ24の全流出開口48は、構造ユニット40の円筒軸線に対し垂直な共通平面内に位置し、この結果、流れ媒体D、Wの流れ軌道に関する流出開口48の対称的配置に基づき、蒸気発生管22に流入する流れ媒体D、Wの一様な分布を保証できる。
構造ユニット40への入口範囲又は構造ユニット40からの出口範囲での管案内を一層明瞭にすべく、図4にそのための複数の構造ユニット40を正面図で示す。これは図2のIV−IV断面線を基礎としている。その場合、図4の左側に示す2つの構造ユニット40は、後置接続された蒸気発生管22に対する入口管寄せ24として形成された端部範囲であり、各々転流管部分46を介して蒸気発生管22の後置接続された降下管部分32に結合されていることが解る。
それとは別に、図4の右側に示す2つの構造ユニット40は、蒸発器・貫流伝熱面8の蒸気発生管12に対する出口管寄せ20として形成された前部範囲である。この図から、各々連続して位置する管層14から構造ユニット40に開口する蒸気発生管12が、単純に折り曲げた形で構造ユニット40に導かれていることが解る。
図2〜図4に応じて特別に形成した図1のボイラ1は、第2蒸発器・貫流伝熱面10の特に確実な運転を可能とする。そのため、ボイラ1の運転中、ほぼU字形に形成した第2蒸発器・貫流伝熱面10に所定の最低速度より大きな流速で流れ媒体Wを供給できる。このため、第2蒸発器・貫流伝熱面10を形成する蒸気発生管22の降下管部分32内に存在する蒸気泡を連れ去り、後置接続した上昇管部分34に運べる。第2蒸発器・貫流伝熱面10に流入する流れ媒体Wの十分大きな流速を保証すべく、第2蒸発器・貫流伝熱面10への供給は、これに前置接続した蒸発器・貫流伝熱面8を利用して、第2蒸発器・貫流伝熱面10に流入する流れ媒体Wが、所定の最低蒸気含有量より大きな蒸気含有量を有するか、所定の最低エンタルピーより大きなエンタルピーを有するようにして行う。そのために適した運転パラメータを維持すべく、第2蒸発器・貫流伝熱面10に流入する際の流れ媒体D、Wの蒸気含有量ないしエンタルピーが、全運転点において、例えば図5a、図5bに示すような適当に設定された特性曲線の上側に位置するように蒸発器・貫流伝熱面8、10を設計し又は寸法づける。
図5a、図5bは、運転圧力を曲線群パラメータとした曲線群を用い、少なくとも設定すべき蒸気含有量Xminの関数依存性ないし少なくとも設定すべきエンタルピーHminの関数依存性を、設計上選択された質量流量密度・mの関数として示す。ここで曲線70として、p=25×105Paの運転圧力に対する設計基準が示され、これに対し曲線72はp=1×107Paの運転圧力に対して利用される。
この曲線群から、部分負荷運転時に100kg/m2sの設計質量流量密度・mおよびp=1×107Paの設定運転圧力において、貫流伝熱面8に流入する流れ媒体Wの蒸気含有量Xminを少なくとも25%、好適には約30%に保たねばならないことが解る。この設計基準の異なった図において、貫流伝熱面8に流入する流れ媒体Wのエンタルピーが、上述の運転条件において少なくともH=1750kj/kgでなければならないことも解る。これら条件を維持すべく設計上考慮した第2貫流伝熱面10は、その寸法づけ、即ち例えば第2貫流伝熱面10を形成する蒸気発生管22の形式、数および形状に関して、空間的位置に対し考慮した燃焼ガス通路6の内部における空間範囲に設計上存在する供給熱量を考えに入れてこの周辺条件に合わされる。
横置形ボイラの蒸発器部分の概略縦断面図。 図1におけるボイラの部分平面図。 図1におけるボイラの図2の(III−III)断面線に沿った側面図。 図1におけるボイラの図2の(IV−IV)断面線に沿った断面図。 エンタルピーないし流速と質量流量との関係を表した線図。
符号の説明
1 ボイラ、6 燃焼ガス通路、8、10 蒸発器・貫流伝熱面、12 蒸気発生管、14 管層、20 出口管寄せ、22 蒸気発生管、24 入口管寄せ、32 降下管部分、34 上昇管部分、40 構造ユニット、W 流れ媒体、x 燃焼ガス流れ方向

Claims (9)

  1. 燃焼ガスが水平方向(x)に貫流する燃焼ガス通路(6)内に蒸発器・貫流伝熱面(8)が配置され、該伝熱面(8)が流れ媒体(W)の貫流に対し並列接続された多数の蒸気発生管(12)を有し、該発生管(12)の内、同じ貫流伝熱面(8)の他の蒸気発生管(12)に比べ余計に加熱される蒸気発生管(12)が、前記の他の発生管(12)に比べて大きな流れ媒体流量を有するように設計されている廃熱ボイラ(1)において、
    蒸発器・貫流伝熱面(8)の、蒸気発生管(12)に流れ媒体側で後置接続された出口管寄せ(20)の長手軸線が、燃焼ガス流れ方向(x)に対し平行に向けられており、
    更に蒸発器・貫流伝熱面(8)の出口管寄せ又は各出口管寄せ(20)が、流れ媒体側で後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面(10)の対応した入口管寄せ(24)と1つの構造ユニット(40)の形に一体化され
    蒸発器・貫流伝熱面(8)が燃焼ガス流れ方向(x)に見て連続して配置された多数の管層(14)を有し、各管層(14)が燃焼ガス流れ方向(x)に見て並べて配置された多数の蒸気発生管(12)で形成されて、各管層の蒸気発生管(12)が出口管寄せ(20)に接続された
    ことを特徴とする廃熱ボイラ。
  2. 各出口管寄せ(20)が、円筒体状であることを特徴とする請求項1記載の廃熱ボイラ。
  3. 蒸発器・貫流伝熱面(8)に、各管層(14)における蒸気発生管(12)の数に相当する数の出口管寄せ(20)が付設され、該出口管寄せ(20)の長手軸線が燃焼ガス流れ方向(x)に対して平行に向けられ、各出口管寄せ(20)に各管層(14)の1つの蒸気発生管(12)が開口することを特徴とする請求項記載の廃熱ボイラ。
  4. 蒸発器・貫流伝熱面(8)に、流れ媒体側においてもう1つの(第2)蒸発器・貫流伝熱面(10)が後置接続されたことを特徴とする請求項1からの1つに記載の廃熱ボイラ。
  5. 第2蒸発器・貫流伝熱面(10)が流れ媒体(D、W)の貫流に関し並列接続された多数の蒸気発生管(22)を有し、第2蒸発器・貫流伝熱面(10)の、他の蒸気発生管(22)に比べ余計に加熱される蒸気発生管(22)が、前記の他の蒸気発生管(22)に比べて大きな流れ媒体(D、W)流量を有することを特徴とする請求項記載の廃熱ボイラ。
  6. 第2蒸発器・貫流伝熱面(10)を形成する各蒸気発生管(22)が、垂直に配置されて流れ媒体(W)が下向きに貫流する降下管部分(32)と、流れ媒体側でこの降下管部分(32)に後置接続され、垂直に配置されかつ流れ媒体(W)が上向きに貫流する上昇管部分(34)とを有することを特徴とする請求項又は記載の廃熱ボイラ。
  7. 後置接続された第2蒸発器・貫流伝熱面(10)に流入する流れ媒体(D、W)が、運転中そこに存在する蒸気泡を連れ去るのに必要な最低速度より大きな流速を持つように、蒸発器・貫流伝熱面(8)の寸法が定められたことを特徴とする請求項からの1つに記載の廃熱ボイラ。
  8. 出口管寄せ(20)が燃焼ガス通路(6)の上側に配置されたことを特徴とする請求項からの1つに記載の廃熱ボイラ。
  9. 燃焼ガス側で、ガスタービンが前置接続されたことを特徴とする請求項から8の1つに記載の廃熱ボイラ。
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