JP4627756B2 - コンタクトレンズ - Google Patents

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Description

本発明は、コンタクトレンズに関する。特に、本発明は、トーリックコンタクトレンズ、二焦点又は多焦点コンタクトレンズ、トーリック多焦点コンタクトレンズ、高次の波面収差を矯正可能なコンタクトレンズ等の、眼の上で回転及び/又は向き安定性を要するコンタクトレンズに関する。
コンタクトレンズは、種々のタイプの視力不全症を矯正するために広く使用されている。これらは、近視及び遠視(各々、マイオピア(myopia)及びハイパーメトロピア(hipermetropia))、乱視並びに通常、加齢に伴って発生する近見視力域の視覚障害(老視、プレズビオピア(prsbyopia))のごとき障害を含む。
眼中の屈折率異常として現れる乱視は、経線に左右される。これは、通常一つ以上の屈折表面、最も一般的にはトロイダル形状を有する前面角膜によるものである。また、横方向に変位している又は傾いている一つ以上の表面による可能性もある。乱視は、通常規則的であり、これは、主(最大及び最小度数)経線が互いに直角であることを意味する。乱視者は、乱視のタイプによって遠距離又は近距離でひどくなるが、すべての視力距離で像がぼける。これらの人は、過酷な視覚作業でただれ眼や頭痛を訴える。乱視は、通常一つの球面と一つのトロイダル面(円柱面)とを有する乱視用眼科レンズで矯正可能である。
老視は、人が加齢により、眼球レンズの柔軟性を消失すると、その結果最終的に(遠見視力を矯正すると)通常の読書距離のような近距離に、場合により中距離に、眼の焦点を合わせる能力が低下すると考えられる。老視の人(老視者)は近距離視覚作業の困難を訴える。老視を補正するには、遠見視力矯正よりもプラスの度数が大きい又はマイナスの度数が小さい眼科用レンズが必要となる。老視の人が、近見視力と遠見視力の両方の障害を持っている場合もあり、そのような人の視力を適切に矯正するには、同時視又は交替視レンズが必要になる。
同時視レンズとは、遠見視力用光学度数と近見視力用光学度数とが、装着者の眼の瞳孔区域内に同時に設けられている二焦点又は多焦点コンタクトレンズのクラスをいう。それらは、一般的には、眼の瞳孔区域内に遠見視力用と近見視力用との度数を交互に提供する二つ以上の同心環状ゾーン又は選択した範囲の度数にわたって連続勾配を備える非球面を有する多焦点ゾーンで構成されている。同時視レンズ設計の視機能は、瞳孔の大きさによって制限される。更に、あらゆる同時視レンズについて言えることだが、部分的に質が低下した対象物の像が網膜上に投影される。この像の低下の結果として、視覚明瞭度及び/又はコントラスト感度の低下(シグナルがより少なく、ノイズがより多い)となり、低下した像の品質が患者に受け入れられたり、受け入れられなかったりする。この低下の臨床的影響は、客観的には視覚明瞭度又はコントラスト感度という形で測定される。低下の主観的影響は、まとめて主観的ボケといわれている種々な捉え方で感知されている。したがって、同時視レンズを装着すると、患者は、近距離像と遠距離像とを区別して選択することができない。むしろ、主観的ボケのあるなかで、患者は、低下した像によってもたらされる低レベルの空間情報を機能させようとする。
交替視レンズとは、レンズが二つのオプチカルゾーンに分割されているセグメント化された(又は並進する)二焦点コンタクトレンズのクラスをいう。典型的には、上ゾーンが遠見視力矯正用であるのに対して、下ゾーンが近見視力矯正用である。遠見視力部分(上ゾーン)は、第一注視における眼の瞳孔範囲内にあるが、レンズの付加度数又は近見視力部分(下ゾーン)は、下方視における瞳孔範囲内にある。交替視レンズを効果的に使用するには、眼が第一注視から下方視に移るとき、瞳孔を横切ってオプチカルゾーンが垂直に並進していることが必要である。このような状況では、レンズは、第一注視用の遠見視力ゾーンが支配的に瞳孔範囲内にあり、下方視用の近見視力ゾーンが支配的に瞳孔範囲内にあるように動かなければならない。同時視レンズとは異なって、交替視レンズの視機能は、瞳孔の大きさによって著しくは制限されない。
更に、老視者の多くは、乱視障害も持っている。これら老視者は乱視と老視両方を矯正可能なコンタクトレンズを装着する必要があろう。このようなコンタクトレンズは2002年7月31に出願された米国特許出願公開番号2004−0021824に開示され、乱視を矯正するための円柱光学表面(又は度数)と老視を補正するための多焦点度数とを有している。
人間の眼は、焦点ぼけ、乱視及びプリズムのような低次の単色収差だけでなく、非標準的量の球面収差、コマ収差、及び他の変則的な高次の収差のような高次の単色収差に苦しむ。眼に高次の収差があると、網膜上に形成される像をぼけさせ、視力を悪くする。これら網膜像の品質に及ぼす高次収差の影響は、場合によっては、例えば、高齢の眼、正常な眼だが大きな瞳孔の眼、並びに変則的乱視、円錐角膜、角膜ジストロフィー、穿孔後角膜移植、潰瘍性角膜瘢痕、外科的修復を伴う又は伴わない角膜損傷、及び屈折矯正手術後の次善の結果を有する多くの人の眼においては問題になる可能性がある。これらの人には、特別注文のコンタクトレンズ又は人間の眼の高次の単色収差を矯正可能なコンタクトレンスを装着させることにより、視力20/20以上を達成することができる。現状のコンタクトレンズとは異なり、特別注文のコンタクトレンズ又は高次収差を矯正可能なコンタクトレンズは、必然的に回転対称制限のない複合表面設計が必要となる。
上記したコンタクトレンズ等を使用して効果をもたらすには、眼の上で、回転及び/又は向きの安定性が必要となる。コンタクトレンズを眼の上で所定の向きに保持させることのできる最も常用されている基本的な手法の一つは、プリズム安定化である。この手法を使うには、コンタクトレンズにプリズムバラストを設ける。これは一般的にはベースダウンプリズムであって、レンズの下部の質量を増加させ、レンズの向きのための重り効果を生じさせる。しかし、先行技術では、プリズムバラストを有するコンタクトレンズを設計するときに伴う不利な点がある。これらのレンズは、装着するのに快適ではない及び/又はレンズの向きを保持するのにそれほど効果的ではない。更に、向き機構としてのプリズムバラストのあるコンタクトレンズは、プリズムとして知られる光学歪みを生じる傾向にあるので、あまりよい視力性能を提供できないかもしれない。
他にもコンタクトレンズの向き/安定化機構が、使用されたり提案されたりしている。その向き/安定化機構の例としては、レンズの向きを制御するためにレンズの幾何学的形状の一部を除去するファセット面、及び眼の上でレンズの向きをレンズ上の視覚上のキューとともに保持するために上スラブオフゾーンと下スラブオフゾーンとを有する二重スラブオフ機構があり、その結果、装着者はレンズを正しい向きに挿入できる。これら向き/安定化機構を有するレンズは、装着に快適ではないし、及び/又はレンズの向きを保持するのに、高い効果は得られない。
従って、実質的にプリズム光学効果のない、装着快適性の優れた向き機構を有するコンタクトレンズが必要とされている。
本発明の目的は、実質的にプリズム光学効果がなく装着快適性の優れた、眼の上で所定の回転位置及び向きにレンズを効果的に保持できる向き機構を有するコンタクトレンズを提供することにある。
本発明の他の目的は、実質的にプリズム光学効果がなく装着快適性の優れた、眼の上で所定の向きに保持できる向き機構を有するコンタクトレンズの製造方法を提供することにある。
前記を達成するために、本発明の一つの態様によると、プリズム光学歪みをもたらさず、眼の上で所定の向きにレンズを保持できる向き/安定化機構を有するコンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは前面及び反対側の後面を含む。前面は、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含む。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。コンタクトレンズは、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。代替の好ましい実施態様では、レンズ厚さプロフィールが、更に、(1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は(2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が約15〜約65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加することを特徴とする。
本発明のもう一つの態様では、上記した本発明の向き/安定化機構を有するコンタクトレンズの製造方法を提供する。方法は、コンタクトレンズの前面及び後面を設計する工程を含み、前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含む。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。コンタクトレンズは、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。中央オプチカルゾーンは、周辺ゾーンと独立して設計され、その後第一のブレンドゾーンを使用して周辺ゾーンとブレンドされる。
本発明の更に別の態様では、異なる視力不全症を矯正することのできる一連のコンタクトレンズであって、一連のコンタクトレンズの各々が、前面及び後面を含み、一連の各々のレンズの後面が、相互にほぼ同一であり、一連の各々のレンズの前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンは相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なる一連のコンタクトレンズを提供する。各々のレンズの前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。各々のレンズは周辺ゾーンと第二のブレンドゾーン内でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。
本発明の更に別の態様では、異なる視力不全症を矯正することのできる一連のコンタクトレンズを製造する方法を提供する。方法は、コンタクトレンズの前面と後面を設計する工程を含み、一連の各々のレンズの後面が、相互にほぼ同一であり、一連の各々のレンズの前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンは相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なる。各々のレンズの前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。各々のレンズは、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、各々のレンズは、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有し、そして中央オプチカルゾーンは、周辺ゾーンと独立して設計され、その後第一のブレンドゾーンを使用して周辺ゾーンとブレンドされる。
本発明のこれら及び他の態様は、次の図面と併せて、以下に記載する好ましい実施態様から明らかになろう。当業者には明白なように、本発明の多くの変更及び変形は、本開示の新規な概念の思想及び範囲から離脱することなく有効である。
本発明の実施態様について、詳細に言及する。当業者に明らかなように、本発明では、本発明の範囲及び思想から離れることなく、種々の変形及び変更が可能である。例えば、一つの実施態様として図解または説明される特徴は、他の実施態様にも適用でき、さらに別の実施態様を生む。したがって、本発明では、このような変形及び変更は、添付した請求項及び均等物の範囲にあるものとして、包含することを意図している。本発明の他の目的、特徴及び態様は、以下の詳細な説明に開示され且つ明白である。本議論は、例示ための実施態様の説明に過ぎず、本発明の広範な態様を制限する意図ではないことを、当業者は理解すべきである。
別に定義をしなければ、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に広く理解されているのと同様な意味を有する。一般的に、本明細書で使用する命名法及び実験手順は周知であり、当該技術分野で広く用いられている。これらの手順には、当該技術分野や種々の一般的な参考文献に用意されているような常套的方法が用いられている。用語が単数の場合は、発明者らはその用語の複数も考慮している。本明細書で使用する命名法及び以下に述べる実験手順は周知であり、当該技術分野で広く用いられている。
本発明は、一般的に、眼の上での回転及び/又は向き安定化機構を要するコンタクトレンズに関する。特に、本発明は眼の上で所定の向きを保持できる向き/安定化機構を有し、レンズに実質的にプリズム光学効果のない、装着に快適なコンタクトレンズに関する。
一つの態様において、本発明は、前面及び反対側の後面を含み、前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含むコンタクトレンズを提供する。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。コンタクトレンズは、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、コンタクトレンズは、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。
好ましい実施態様においては、レンズ厚さプロフィールが、更に、(1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は(2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が約15〜約65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、を特徴とする。
コンタクトレンズの前面における「垂直経線」とは、コンタクトレンズが眼の上で所定の向きに保持されるとき、前面の上端から幾何学的中心を通過して下端へ垂直に走る仮想線をいう。コンタクトレンズの前面における「水平経線」とは、コンタクトレンズが眼の上で所定の向きに保持されるとき、前面の左側から幾何学的中心を通過して右側へ水平に走る仮想線をいう。垂直経線と水平経線とは、互いに直交する。
コンタクトレンズの前面の中央オプチカルゾーンとは別のゾーンについての「外側境界」とは、そのゾーンの二つの周辺境界のうちの一つで、前面の幾何学的中心から更に離れている周辺境界をいう。
コンタクトレンズの前面の中央オプチカルゾーンとは別のゾーンについての「内側境界」とは、そのゾーンの二つの周辺境界のうちの一つで、前面の幾何学的中心により近い周辺境界をいう。
「半経線」とは、コンタクトレンズの前面の幾何学的中心よりコンタクトレンズのエッジまで放射方向に走る仮想線をいう。
「垂直経線上部」とは、コンタクトレンズが眼の上の所定の向きに保持されるとき、コンタクトレンズの前面の幾何学的中心から上半分の垂直経線をいう。
「垂直経線下部」とは、コンタクトレンズが眼の上の所定の向きに保持されるとき、コンタクトレンズの前面の幾何学的中心から下半分の垂直経線をいう。
2以上のゾーンにおける「連続移行」とは、これらのゾーンが、少なくとも一次導関数において、好ましくは二次導関数において連続であることをいう。
「垂直経線面」とは、コンタクトレンズの光軸とコンタクトレンズの前面上の垂直経線とを通過して切断する面をいう。
コンタクトレンズの前面における「セクター」とは、垂直経線下部に対して等しい角度をなすセクターを区切る二つの半経線と、セクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とで区切られる範囲をいう。セクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分は、二つの半経線のうちの一つと垂直経線下部との間のエッジの第一の部分及び他方の半経線と垂直経線下部との間のエッジの第二の部分の和である。
「セクターを区切る二つの半経線」とは、前面を二つのセクターに分割する二つの半経線をいう。
「レンズ厚さ」とは、コンタクトレンズの前面の一点から後面までの最短距離をいう。
「レンズ厚さの二つの差の百分率」は、大きいほうの値から小さいほうの値を引いて、その差を大きいほうの値で除した後、100を掛けて得られる。
コンタクトレンズの中央オプチカルゾーンは、コンタクトレンズ設計に適した、例えば、円形、楕円形のような任意の形をとることができる。好ましくは、中央オプチカルゾーンは円形である。更に好ましくは、中央オプチカルゾーンは前面の幾何学的中心と同心の円形ゾーンであるが、中央オプチカルゾーンの中心は前面又は後面の幾何学的中心から2mmまでずれてもよい。中央オプチカルゾーンが前面又は後面の幾何学的中心と同心の場合は、垂直経線及び水平経線は各々中央オプチカルゾーンの中心を通過する。中央オプチカルゾーンの中心が前面又は後面の幾何学的中心からずれている場合は、オプチカルゾーンの中心は垂直経線上にあり、前面の幾何学的中心から約1mmより少なくずれている。
「ブレンドゾーン」とは、二つのゾーンの間に位置し、これらゾーンの間に連続移行ゾーンを提供する非光学ゾーンをいう。
第一のブレンドゾーンの存在は、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を確保するように、中央オプチカルゾーンと周辺ゾーンとを別個独立した設計を可能にする。中央オプチカルゾーンと周辺ゾーンとの間の第一のブレンドゾーンに関して、二つのゾーン間の接合部に屈曲点及び/又は鋭い境界ができるのを解消し、装着用者の快適性を改善したコンタクトレンズを作製することができる。加えて、中央オプチカルゾーンと周辺ゾーンとの間に第一のブレンドゾーンを設けることにより、光学構造と機械的安定性やレンズの並進構造とを分離できるので、光学系にプリズム効果が持ち込まれるのを防ぐことができる。第一のブレンドゾーンは、周辺ゾーンと第一のブレンドゾーンと中央オプチカルゾーンとがたがいに正接することを確保する面を有する。本発明のブレンドゾーンは、数学的関数、好ましくはスプラインベースの数学的関数で記述される表面又は異なる正接表面パッチで構成されている表面とすることができる。
「正接表面パッチ」とは、たがいに一次導関数において、好ましくは二次導関数において連続である曲率を有する表面の組み合わせをいう。
周辺ゾーンは、連続表面を形成するようにつなぎ合わせた一つ以上の周辺帯又は周辺区域で構成できる。コンタクトレンズが、上記したレンズ厚さプロフィールを周辺ゾーン及び第一のブレンドゾーンに有していると、そのようなコンタクトレンズは、眼の上で所定の向きに効果的に保持させることができる。従来のレンズバラストと同じように、本発明の向き機構は、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置とする。このような向き機構を用いて、前面のオプチカルゾーンは独立して設計でき最適な視機能を提供することができる。
他の好ましい実施態様では、レンズ厚さは、垂直経線上部に沿って周辺ゾーンの中央90%内において、110〜150μmの範囲の値を有している。実際の値は、材料の物性及びベースプロフィール(後面)パラメーターに依存する。
他の好ましい実施態様では、垂直経線下部と周辺ゾーンの中央90%の内側境界との交点におけるレンズ厚さは約200〜約280μmであり、垂直経線下部と周辺ゾーンの中央90%の外側境界との交点におけるレンズ厚さは約320〜約400μmである。実際の値は、材料の物性及びベースプロフィール(後面)パラメーターに依存する。
セクターの大きさは、変えることができる。セクターは、垂直経線下部に対して好ましくは約90度、より好ましくは約120度、更により好ましくは約135度の角度をなしてセクターを区切る二つの半経線と、セクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジとにより区切られる。これらの好ましい実施態様では、水平経線に沿った最大レンズ厚さは、好ましくは約200〜約300μmである。セクターが、垂直経線下部に対して約120度の角度をなしてセクターを区切る二つの半経線と、セクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジとにより区切られる場合は、このセクター内のレンズ厚さは、各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少するが、他の残りのセクター内の各々の半経線に沿ったレンズ厚さは、ほぼ一定にとどまるか、又は任意の半経線と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加する。
他の好ましい実施態様では、半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の若干内側、境界上又は若干外側に位置している。より好ましくは、半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の若干外側(0.4mm以内)に位置している。
他の好ましい実施態様では、レンズのエッジとセクター内の周辺ゾーンの外側境界に沿った任意の点との間の距離が、約0.6〜約2.0mmである。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの全周辺ゾーンは、一次導関数及び/又は二次導関数において連続性を有する。このような周辺ゾーンは、一つ以上の数学的関数、好ましくはスプラインベースの数学的関数で定義される連続表面であるか、又は数個の異なる表面パッチで構成されている。
コンタクトレンズが、眼が第一注視から下方視に移るときに瞳孔を横切るオプチカルゾーンの垂直並進を必要とする並進多焦点レンズ等の場合、周辺ゾーンがリッジ状構造を含みリッジ状構造が、中央オプチカルゾーンの下に配置され、周辺ゾーン(前面)から外側へ延びて装着者の下瞼に係合可能となり、それにより、装着者が装着したときコンタクトレンズの垂直方向並進支持を提供するのが好ましい。より好ましくは、「傾斜リッジを有する並進コンタクトレンズ」と題して、2002年7月24日出願の米国特許出願公開番号2004−0017542に開示されているように、周辺ゾーンは傾斜リッジゾーンを含む。傾斜リッジゾーンは、オプチカルゾーンの下に配置され、上境界線、下傾斜境界線、前面から外側に延びる緯線方向リッジ、及び下傾斜境界線から下側に延びる傾斜を含む。この傾斜は、傾斜リッジゾーンに触れる眼の下瞼の場所によって傾斜リッジゾーンと下瞼との間の種々な相互作用の程度を与える曲率又は勾配を有する。眼の下瞼は、少なくとも傾斜リッジゾーンの一定の部分と常に係合している。このような傾斜リッジゾーンは、装着者に快適感をもたらすことができ、第一注視における眼の上でのコンタクトレンズの位置及び/又は遠距離にある物体から中間距離の物体若しくは近距離の物体へ眼が視線を変えるときの眼を横切る並進量を制御することを可能にする。
傾斜リッジゾーンに傾斜を組み込む一つの利点は、瞼がリッジを上るために、円滑な移行ゾーンを用意できることである。このように徐々に係合すれば、装着者の快適感を増し、リッジが常に係合するので、眼の中のレンズの感覚を減らすのに役立つであろう。
傾斜リッジゾーンに傾斜を組み込むもう一つの利点は、傾斜の勾配が第一注視(水平)での眼の上のレンズ位置を決めるので、並進コンタクトレンズを製造する場合に、所望の視機能を得るためのレンズ設計を信頼性高く実施できる。例えば、傾斜は、単純な球面曲率で構成する。傾斜の勾配は曲率半径で決まる。曲率が大きな半径を有するときは、傾斜は長く且つ急峻である。曲率が小さな半径を有するときは、傾斜は短く且つ変化が少ない。二焦点並進コンタクトレンズでは、傾斜の曲率は0.1〜2.0mmの半径を有して、第一注視での眼の上で所望のレンズ位置を用意する。
当業者に容易に認識されるように、本発明では、多くの異なる傾斜リッジゾーンが可能である。好ましい傾斜リッジゾーンとしては、平坦な下傾斜エッジと平坦な緯線方向リッジを有する傾斜リッジゾーン、及び緯線方向リッジの二つの終点で形成された二つの隆起を有し緯線方向リッジの高さが両終点の方が中間より高くなっている傾斜リッジゾーンを含むが、これに限定されない。上記の傾斜リッジゾーンは眼の下瞼によりよく適応し、下瞼がレンズと触れ合う部分全体により均一な並進応力を分散する。
好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズのリッジ状構造又は傾斜リッジ形状を含む周辺ゾーン全体は、一次導関数において及び/又は二次導関数において連続性を有する。このような周辺ゾーンは、一つ以上の数学的関数で、好ましくはスプラインベースの数学的関数で定義されているか又は数個の異なる表面パッチで構成されている連続表面を有する。
リッジ又は傾斜リッジの最大レンズ厚さは約400〜約600μmである。実際の値は、材料特性及びベースプロフィール(後面)パラメーターに依存する。
第二のブレンドゾーンは、周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続的移行を確保し、周辺ゾーンと組み合わされてレンズの下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるように設計される。周辺ゾーンとエッジゾーンの間に第二のブレンドゾーンがあることにより、二つのゾーンの接合部に屈曲点及び/又は鋭い境界ができるのを解消し、着用者の快適性を改善したコンタクトレンズを作製することができる。第二のブレンドゾーンは、数学的関数、好ましくはスプラインベースの数学的関数で記述される表面又は異なる正接表面パッチで構成されている表面とすることができる。
コンタクトレンズの前面は、第二のブレンドゾーンに隣接するエッジゾーンを含む。エッジゾーンは、後面と組み合わされて、目に快適な装着性を与えることのできるほぼ均一な厚さを提供する。エッジゾーンは円形状であるのが好ましい。
本発明のコンタクトレンズは、ハードでもソフトでもよい。本発明のソフトコンタクトレンズは、好ましくは、シリコーン若しくはフッ素含有ヒドロゲル又はHEMAのような、ソフトコンタクトレンズ材料で作製される。いかなるレンズ材料も、本発明のコンタクトレンズの製造に使用できることが理解できるであろう。
本発明のコンタクトレンズは、トーリック、多焦点、トーリック多焦点コンタクトレンズ、特別注文のコンタクトレンズ等である。
本明細書で使用する特別注文のコンタクトレンズとは、(1)個人の眼の波面収差の測定入力を使用して設計され、高次の波面収差を矯正することができるコンタクトレンズ、及び/又は(2)個人の眼の角膜トポグラフィー若しくは人口のセグメントを統計的に代表する角膜トポグラフィーに合わせた後面を有するコンタクトレンズをいう。
個人の眼の波面収差は、Shack-Hartmann法、Tscherning法、網膜光線追跡法(retinal raytracing technique)、空間解像屈折計法(spatially-resolved refractometer technique)を含む当業者に公知の任意の適切な方法によって測定するが、これらに限定されない。例えば、Liang等は、J. Optical Soc. Am.11:1-9でHartmann-Shackシステムを用いて種々の瞳孔径の眼の波面収差測定法を教示している。波面収差は、単位円に直交する一組の関数であるゼルニケ多項式で一般に定量化される。ゼルニケ多項式は互いに直交するので、収差は分離可能であり、このように扱うことができる。一次のゼルニケモードは、一次式である。二次のゼルニケモードは、ピントはずれや乱視に相当する二次式である。三次のゼルニケモードは、コマ収差及びコマ様収差に相当する三次式である。四次のゼルニケモードは、球面収差とその他を含む。五次のゼルニケモードは、高次の不規則な収差である。瞳孔内の波面の部分的な不規則性は、このような高次のゼルニケモードで表される。
本明細書で用いる眼の「高次」の収差とは、ピントはずれや乱視を超える単色収差、即ち、三次、四次、五次及びより高次の波面収差をいう。
眼の角膜トポグラフィー若しくは人口のセグメントを統計的に代表する角膜トポグラフィーに合わせた後面を有するコンタクトレンズは、その眼の角膜に良好な又は適切な適合性を提供するので、装着者の快適性を助長する。コンタクトレンズの後面は、眼の角膜トポグラフィーに完全にはマッチしなくともよいと考えられている。完全なマッチとは、コンタクトレンズの後面を正確に角膜トポグラフィーに重ね合わせられることをいう。眼の角膜トポグラフィーに完全にマッチしている後面を有するコンタクトレンンズは、眼の上でのレンズの動きが不完全となり、装着者の快適性に逆の影響をもたらす。
角膜トポグラフィーのデータは、角膜トポグラファー又はビデオ角膜鏡を使って得ることができる。角膜トポグラフィーのデータは、眼科用レンズを設計に使用するのに適した任意の様式でもよい。様式の例として、ゼルニケ多項式、点雲データ等が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、角膜トポグラフィーのデータは、眼の波面収差が定量化されている様式のものがよい。
個人の眼の収差測定に基づいて、特別注文のコンタクトレンズの前面の中央オプチカルゾーンは、低次の収差(ピントはずれ、乱視及びプリズム)を矯正するばかりでなく、一つ以上の高次の収差も矯正する目的で種々な方法により設計される。
本発明の特別注文のコンタクトレンズは、好ましくは、国際特許出願番号WO02/088830に記載されている方法を用いて、設計及び製造することができる。
当業者には容易に理解できるように、前面及び後面のいずれか又は両方とも、多くの異なるタイプのオプチカルゾーンとすることが、本発明では可能である。好ましくは、これら異なるタイプのオプチカルゾーンは、前面にあるのが好ましい。
好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前面及び後面のオプチカルゾーンの少なくとも一つが、眼に遠見視力矯正を提供する第一の部分及び第一の部分の下に配置され、眼に近見視力矯正を提供する第二の部分を含む。特に、コンタクトレンズの前面は、少なくとも、第一注視用の第一のオプチカルゾーン、下方視用の第二のオプチカルゾーン及び第一と第二のオプチカルゾーンの間にある光学ブレンドゾーンを有する中央オプチカルゾーンを含み、光学ブレンドゾーンが、第一のオプチカルゾーンから第二のオプチカルゾーンへの円滑な表面移行を確保し、第一及び第二のオプチカルゾーンからのゴースト像及びボケを最小化又は解消するように第一及び第二のオプチカルゾーンを独立に且つ最適に設計することができる表面を有する。このような好ましいレンズは、「オプチカル
ゾーンブレンド設計を有する眼科用レンズ」と題して2003年2月11に出願された係属中の米国特許出願番号60/446,658に開示されている。
第一のオプチカルゾーンは中央オプチカルゾーンの上部分にある。「第一のオプチカルゾーンは中央オプチカルゾーンの上部分にある」とは、第一のオプチカルゾーンの少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が水平経線上の半分の中央オプチカルゾーンにあることをいう。遠見視力ゾーンは、水平経線上の半分の中央オプチカルゾーンより大きい又は小さい又は等しい大きさとすることができることが理解できる。
好ましくは、第一のオプチカルゾーンの光学ブレンドゾーンの下境界線は、中央オプチカルゾーンの中心を通る水平線又はその下(水平経線又は水平経線に平行な線)で、少なくともその中央部分にある(即ち、下境界線と垂直経線又は垂直経線と平行で中央オプチカルゾーンの中心を通る線との交点付近)。より好ましくは、第一のオプチカルゾーンの光学ブレンドゾーンの下境界線は、中央オプチカルゾーンの中心を通る水平線の下にある。
第一のオプチカルゾーンの頂点は、好ましくは中央オプチカルゾーンの中心と一致する。レンズの光軸は、第一のオプチカルゾーンの頂点と後面(ベース曲面)のオプチカルゾーンの中心とを通る。第一のオプチカルゾーンは、例えば球関数、円錐関数、二重円錐関数、ゼルニケ多項関数、スプラインベースの数学的関数又はこれらの組み合わせのような、任意の数学的関数で定義されてもよい。
第二のオプチカルゾーンは、典型的には、下方視用(読書用)の近見視力オプチカルゾーンである。第二のオプチカルゾーンは、光学ブレンドゾーンの下にある。第二のオプチカルゾーンの頂点中心は、好ましくは、垂直経線と、第二のオプチカルゾーン及び光学ブレンドゾーンの境界線との交点にある。交点は、好ましくは第一のオプチカルゾーンの頂点(中心点)の下1mmのオーダー上にあるが、他の離隔距離も可能である。第二のオプチカルゾーンは、例えば球関数、円錐関数、二重円錐関数、ゼルニケ多項関数、スプラインベースの数学的関数又はこれらの組み合わせのような、いかなる数学的関数で定義されてもよい。
セグメント化焦点コンタクトレンズでは、第一及び第二の両オプチカルゾーンからの眼の上の像は、ゴースト像を最小化又は解消するために、横方向で一致していなければならない。ゴースト像は、多くのオプチカルゾーンからの眼の上の像が横方向に分離するとき発生する。両ゾーンからの像は、二焦点レンズの典型例のように、眼の上で軸分離を有するだろう。本明細書で具体的態様を示すように、第二のオプチカルゾーンの頂点中心と第二のオプチカルゾーンの頂点中心における曲率中心とを通る線は、第一のオプチカルゾーンの頂点と後面の頂点における曲率中心とを通る線と交差し、この交点が、後面の頂点における曲率中心の2mm以内にあるが好ましい。このようなオプチカルゾーンは、レンズの光軸近くの横方向の像を適切に合わせ、装着者にとっての像飛びを制御する。
より好ましい実施態様では、第二のオプチカルゾーンの最適な配置を、第二のオプチカルゾーンの頂点の周りに第二のオプチカルゾーンを回転することで制御する。横方向の像を的確に合わせるには、第二のオプチカルゾーンの頂点中心と第二のオプチカルゾーンの頂点中心における曲率中心とを通る線が、(後)ベース曲面の曲率中心を通るべきである。しかし、好ましい実施態様では、非対称安定性及びレンズの並進構造は、第二のオプチカルゾーンの頂点中心と第二のオプチカルゾーンの頂点中心における曲率中心とを通る線が、曲面中心から若干ずれている後面(又はベース曲面)の中心軸と交わることを要求する。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前及び後面のオプチカルゾーンの少なくとも一つが、装着者の乱視を矯正するためのトーリック光学構造を有する。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前及び後面のオプチカルゾーンの少なくとも一つが、トーリック光学構造を含み、他のオプチカルゾーンが多焦点光学構造を含み、両方のオプチカルゾーンは共に結合して、乱視視力異常矯正用の円柱光学度数及び老視補正用の多焦点度数を提供する。多焦点光学構造は、多重の同心環状ゾーン又は累進度数ゾーン等であってよい。多焦点光学構造は、中心軸とほぼ同心の累進度数ゾーンが好ましい。累進度数ゾーンは、好ましくは、約1.0〜約3.0mm、より好ましくは、約1.5〜2.2mmの直径を有している。トーリック光学構造は前面上に、多焦点光学構造は後面上に、又はこの逆であってよい。トーリック光学構造は前面上に、多焦点光学構造は後面上にあるのが好ましい。トーリック光学構造は、いかなる従来のトーリックレンズのトーリック光学形状であってよい。好ましくは、トーリック光学構造は、円形である。更に好ましくは、トーリック光学構造は、中心軸にほぼ同心である。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前及び後面のオプチカルゾーンの一つが、その中にトーリック光学構造と多焦点光学構造とを含み、二つのオプチカルゾーンは共に結合して、乱視視力異常矯正用の円柱光学度数及び老視補正用の多焦点度数を提供する。トーリック光学構造と多焦点光学構造の両方とも、前面上にあっても又は後面上にあってもよい。好ましくは、トーリック光学構造と多焦点光学構造の両方が前面上にある。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前及び後面のオプチカルゾーンの少なくとも一つが、垂直に向いたコマ様波面収差を提供する。このようなレンズは、老視の矯正が可能であるか、又は子供の眼が重篤な近視になるのを防止でき、「眼科用レンズ」と題して2003年1月29日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み入れられている、同時継続中特許出願番号60/443,440に記載されている。
「コマ様波面収差」とは、OSA標準案(Optical Society of America)ゼルニケ多項式における3次、5次、7次いずれかのゼルニケコマ様収差の項で記述される波面収差又はそれと同等のもの、及びそれらの組み合わせをいう。
7次までのゼルニケ多項式OSA標準案(Optical Society of America)の表を下記に表示する。(ゼルニケ多項式のより詳しい情報はhttp://color.eri.harvard.edu/standardization/standards TOPS4.pdfで入手可能である。)
Figure 0004627756
垂直に向いたコマ様収差は、3次コマ様収差ゼルニケ項Z7、5次コマ様収差ゼルニケ項Z17、7次コマ様収差ゼルニケ項Z31の少なくとも一つ、及びそれらの組み合わせにより記述される波面収差、若しくはそれと同等のものの波面収差である。
他の好ましい実施態様では、「眼科用レンズ」と題して2003年1月29日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み入れられている、同時継続中特許出願番号60/443,440に開示されているように、本発明の特別注文のコンタクトレンズの前面上のオプチカルゾーンは、単独で又は眼の光学系と組み合わされて、垂直に向いたコマ様波面収差を形成する。このようなレンズは、老視の矯正が可能であるか、又は子供の眼が重篤な近視になるのを防止できる。
他の好ましい実施態様では、本発明のコンタクトレンズの前面のオプチカルゾーンは、遠見視力ゾーン及び遠見視力ゾーンに隣接する回転非対称累進ゾーンを含み、遠見視力ゾーンが、中央オプチカルゾーンの上部分にあり且つ遠見視力矯正用の遠見視力度数を提供し、回転非対称累進ゾーンが中央オプチカルゾーンの下部分にあり且つ可変の中見視力及び近見視力矯正を提供し、回転非対称累進ゾーンが、上境界線、下境界線、放射中心、垂直方向に放射する上半経線及び垂直方向に放射する下半経線を有し、回転非対称累進ゾーンが、度数プロフィールを提供する面を更に有し、度数プロフィールが、垂直方向に放射する上半経線に沿って、上境界線の遠見視力度数から放射中心の近見視力度数へと増加し、垂直方向に放射する下半経線に沿って、放射中心から下境界線近傍点までほぼ一定に保たれる。このようなオプチカルゾーンは、「多焦点眼科用レンズ」と題して2003年4月16日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み入れられている、同時継続中特許出願番号60/463,210に記載されている。
垂直方向に放射する上半経線に沿ったレンズの光学度数プロフィールは、複数の(少なくとも二つの)一次式(1)で定義できると解される。
Figure 0004627756
式中、p(x)は、放射中心から放射方向距離xにおける付加度数であり、bは、直線の切片である係数であり、kは、放射中心からの距離の関数としての付加度数の変化率である。bは最大付加度数と考えられ、約3〜10の値、好ましくは5の値を持つことができる。各々の関数は付加度数を、累進ゾーン内での特定の範囲、例えばxi−1〜xの間で定義する。好ましい実施態様では、付加度数プロフィールは二つ以上の線形関数で定義される。
あるいはまた、垂直方向に放射する上半経線に沿ったレンズの光学度数プロフィールは、式(2)又は式(3)で定義できる。
Figure 0004627756
式中、p(x)は、放射中心から放射方向距離xにおける付加度数であり、Aは、最大付加度数であり、Xは、放射中心と光軸との間の放射方向距離であり、nは1より大きく、10以下の整数又は非整数である。好ましくは、nは3以上、5以下である。
コンタクトレンズの中央オプチカルゾーンについての「上端境界」とは、水平経線より上で、垂直経線と周辺境界との交点近傍の中央オプチカルゾーンの周辺境界部分をいう。
コンタクトレンズの中央オプチカルゾーンについての「下端境界」とは、水平経線より下で、垂直経線と周辺境界との交点近傍の中央オプチカルゾーンの周辺境界部分をいう。
コンタクトレンズのオプチカルゾーンについての「可変の中間視力矯正」とは、オプチカルゾーンが、オプチカルゾーン内の異なる位置で異なる光学度数を提供し、それにより、異なる中間距離における視力を矯正することができることをいう。
コンタクトレンズの回転非対称累進ゾーンについての「放射中心」とは、垂直経線に沿って上端から下端へたどったとき、レンズの光学度数が近見光学度数へと変わる最初の表面点をいう。
コンタクトレンズの回転非対称累進ゾーンについての「放射する半経線」とは、コンタクトレンズの前面の回転非対称累進ゾーンの放射中心から、回転非対称累進ゾーンの周辺境界へと放射方向に走る仮想線をいう。
「垂直方向に放射する上半経線」とは、コンタクトレンズの前面の回転非対称累進ゾーンの放射中心から回転非対称累進ゾーンの上境界線へと上向き垂直に走る仮想線をいう。
「垂直方向に放射する下半経線」とは、コンタクトレンズの前面の回転非対称累進ゾーンの放射中心から回転非対称累進ゾーンの下境界線へと下向き垂直に走る仮想線をいう。
「中央オプチカルゾーンの上部分に位置する遠見視力ゾーン」とは、遠見視力ゾーンの少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が、水平経線の上半分の中央オプチカルゾーン内にあることを意味する。遠見視力ゾーンは、水平経線の上半分の中央オプチカルゾーンより大きくとも、小さくとも、等しくともよいことがわかる。
「中央オプチカルゾーンの下部分に位置する回転非対称累進ゾーン」とは、回転非対称累進ゾーンの少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が、水平経線の下半分の中央オプチカルゾーン内にあることを意味する。回転非対称累進ゾーンは、水平経線の下半分の中央オプチカルゾーンより大きくとも、小さくとも、等しくともよいことがわかる。
「回転非対称累進ゾーンの上境界線」とは、水平経線に平行で放射中心を通る線より上の周辺境界の半分をいう。
「回転非対称累進ゾーンの下境界線」とは、水平経線に平行で半径中心を通る線より下の周辺境界の半分をいう。
図1A〜1Dは、本発明の好ましい実施態様による向き/安定化機構を有するコンタクトレンズを模式的に説明する。コンタクトレンズ100は前面、反対側の後面を有する。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し、少なくとも一次導関数において連続である。前面は、中央オプチカルゾーン110、中央オプチカルゾーン110を囲む第一のブレンドゾーン120、第一のブレンドゾーン120を囲む周辺ゾーン130、周辺ゾーン130を囲む第二のブレンドゾーン150及び第二のブレンドゾーン150を囲むエッジゾーン160を含む。
中央オプチカルゾーン110は、前面の幾何学的中心と同心の円形ゾーンである。中央オプチカルゾーン110は後面と共に、例えば、乱視、老視、プリズム、高次単色収差(例えば、非標準的球面収差、コマ、等)、又はそれらの組み合わせのような、一つ以上の視力矯正を提供する。
第一のブレンドゾーン120は、周辺ゾーン130、第一のブレンドゾーン120及び中央オプチカルゾーン110が、互いに正接することを確実にする面を有する。第一のブレンドゾーン120は、好ましくは、スプラインベースの数学的関数で定義されている。中央オプチカルゾーンと周辺ゾーンとの間の第一のブレンドゾーン120は、レンズの光学構造と機械的安定性と並進構造とを分離できるので、光学系にプリズム効果が持ち込まれるのを防ぐことができる。
周辺ゾーン130は、前面上の位置に依存して変化するレンズ厚さを有するように、設計されている。垂直経線上部分に沿って、周辺ゾーン130のレンズ厚さは、ほぼ一定又は垂直経線の上部分と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの二つの値の差が、好ましくは30%未満(図1C)となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へと、徐々に増加する。垂直経線下部分に沿って、周辺ゾーン130のレンズ厚さは、ほぼ一定又は垂直経線の下部分と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さが、約15〜約65%互いに異なる(図1C)ように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へと、徐々に増加する。
垂直経線下部分に対して、好ましくは約120度をなす二つの半経線と、二つの半経線間に含まれるエッジで区切られるセクタ−内では、周辺ゾーン130のレンズ厚さは各々の半経線に沿って、内側境界から外側境界へと徐々に増加する(図1C及び図1D)。残る他のセクター内では(セクターの外側)、周辺ゾーン130のレンズ厚さは、ほぼ一定を維持するか、各半経線に沿って、任意の半経線と周辺ゾーン130の外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へと徐々に増加する。
第二のブレンドゾーン150は、周辺ゾーン130からエッジゾーンへの連続的移行を確保するように設計されている。加えて、第二のブレンドゾーンは、周辺ゾーン130と組み合わせて、その下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置になるようにしてある。
半経線に沿った最大レンズ厚さは、垂直経線下部分に対して好ましくは約120度をなす二つの半経線と二つの半経線間に含まれるエッジとで区切られるセクタ−内の、周辺ゾーン130の外側境界の若干外側(0.4mm未満)にあるのが好ましい(図1C及び図1D)。
エッジゾーン160は、好ましくは円形である。それは、第二のブレンドゾーンに隣接しており、コンタクトレンズの後面とテーパーを形成している。エッジゾーン160は、後面と組み合わさって、眼の上での快適なレンズ装着性をもたらすことのできる、ほぼ均一な厚みを提供する。
図2A−2Dは、本発明の好ましい実施態様による向き/安定化機構及び並進構造を有する並進コンタクトレンズを模式的に説明する。並進コンタクトレンズ200は、前面及び後面を有する。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し、少なくとも一次導関数において連続である。前面は、中央オプチカルゾーン210、中央オプチカルゾーンを囲む第一のブレンドゾーン220、第一のブレンドゾーン220を囲む周辺ゾーン230、周辺ゾーン230を囲む第二のブレンドゾーン250及び第二のブレンドゾーンを囲むエッジゾーン260を含む。
中央オプチカルゾーン210は、前面の幾何学的中心と同心の円形ゾーンである。中央オプチカルゾーン210は、眼の遠見視力矯正を提供する第一の部分、第一の部分の下に配置され、眼の近見視力矯正を提供する第二の部分を含む。
第一のブレンドゾーン220、第二のブレンドゾーン250及びエッジゾーン260は、図1A〜1Dに示すコンタクトレンズについて、上記した好ましい設計を有する。
周辺ゾーン230は、リッジ240を含む。リッジは、図1A〜1Dのコンタクトレンズについて上記したのとほぼ同一の設計を有する周辺ゾーン240上にあるように設計されている。
本発明のコンタクトレンズのオプチカルゾーン及び非オプチカルゾーン(又は向き/安定化機構及び/又は並進構造)は、別個に設計される。本発明のコンタクトレンズは、任意の公知の適切な設計システムを使用しても設計することができる。光学モデルレンズを設計するためのコンピュータ−支援光学設計システムの例は、ZEMAX(ZEMAX Development Corporation)を含むが、これに限定されない。好ましくは、光学設計はZEMAX(ZEMAX Development Corporation)を使用して行う。光学モデルレンズの設計は、例えば、機械コンピューター支援設計システム(CAD)によって、物理的にレンズを作製するための一組の機械パラメーターに変換することができる。本発明では、任意の公知の適切な機械CADシステムを使用することができる。光学モデルレンズの設計は、光学CADシステム及び機械CADシステムのいずれかの受け側のシステムに、NURBs(非均一有理B−スプライン)、意図する設計のBezier表面又はパラメーター設計を制御するASCIIパラメーターを構築することを可能にする変換フォーマットを用いて、光学CADシステムと機械CADシステムとの間を往復して変換される。変換フォーマットの例は、VDA(verband der automobilindustrie)及びIGES(Initial Graphic Exchange Specification)を含むが、これらに限定されない。このような変換フォーマットを使うことにより、レンズ表面全体が連続的な形態となり、放射方向非対称形のレンズの製造を容易にする。Bezier及びNURBs表面は、多重なゾーンがブレンドされ、分析されそして最適化されるから、オプチカルゾーン及び非オプチカルゾーンを含む複数のゾーンを有するレンズに特に有利である。より好ましくは、機械CADシステムが高次の表面を正確に且つ数学的に表現できる。このような機械CADシステムの例は、Parametric Technology社のPro/Engineerである。
「光学モデルレンズ」とは、コンピューターシステムで設計され、眼科用レンズを構成する他の非光学構造を一般的に含まない眼科用レンズをいう。
光学モデルレンズ設計を一組の機械パラメーターに変換する場合、眼科用レンズ群の共通構造パラメーターをレンズ設計工程に組み込むことができる。このようなパラメーターの例は、収縮、非光学境界ゾーン及びその曲率、中心厚み、光学度数の範囲等である。
任意の数学的関数を、それらがレンズの設計を最適化することを可能にするのに充分なダイナミックレンジを有している限り、本発明のコンタクトレンズのオプチカルゾーン及び非オプチカルゾーンを記述するために使うことができる。数学的関数の例は、円二重円錐及び二次関数、諸次数の多項関数、ゼルニケ多項関数、指数関数、三角関数、双プロフィール関数、有理関数、フーリエ級数、並びにウェーブレットを含む。本発明のコンタクトレンズのオプチカルゾーン及び非オプチカルゾーンを記述するには、スプラインベースの数学的関数又は二つ以上の数学的関数の組み合わせを使うのが好ましい。
本発明のコンタクトレンズは、例えば、コンピューター制御可能な製作装置、成形等の任意の従来の製作手段によって製造することができる。「コンピューター制御可能な製作装置」とは、コンピューターシステムで制御可能で、コンタクトレンズを直接又はコンタクトレンズを製造するための光学機器を製造することのできる装置をいう。任意の公知の適切なコンピューター制御可能な製作装置を本発明に使用することができる。コンピューター制御可能な製作装置の例は、旋盤、研削機、及びフライス盤、成形装置、並びにレーザーを含むが、これに限定されない。好ましくは、コンピューター制御可能な製作装置は、45°ピエゾカッターのついた二軸旋盤若しくは米国特許番号6,122,999にDurazo及びMorganによって開示されている旋盤装置、又は、例えば、Precitech Inc.から市販されているVariform(登録商標)若しくはVarimaxピエゾセラミック高速工具サーボアタッチメントを有するOptform(登録商標)超精密旋盤(モデル30、40、50及び80)のような数値制御旋盤である。
好ましくは、コンタクトレンズは、レンズを成形型に注型すると、コンタクトレンズ面を複製する成形表面を含むコンタクトレンズ成形型から成形される。例えば、数値制御旋盤のついた光学用切削工具を使用して、本発明のコンタクトレンズの前面の構造を組み込む金属製の光学用工具を形成することができる。工具を使用して前面成形型を作製し、次に後面成形型と併せて使用し、液体レンズ形成材料を成形型の間におき、次いで、レンズ形成材料を圧縮、硬化して、本発明のレンズを形成する。
好ましくは、本発明のコンタクトレンズ又は本発明のコンタクトレンズを製造するための光学用工具は、国際出願WO2004/011990に記載されている方法に従って数値制御旋盤、例えば、Precitech Inc.から市販されているVariform(登録商標)若しくはVarimaxピエゾセラミック高速工具サーボアタッチメントを有するOptform(登録商標)超精密旋盤(モデル30、40、50及び80)を用いて作製される。
説明のための例のように、図2A〜2Dに示した並進コンタクトレンズは、次のような工程を通して製造される。最初に、装着者は、一組のパラメーター、例えば、表面許容差、同心度許容差、レンズ設計の向き、Z軸の00位置にゼロ点を形成して前後両表面の各々に発生すべき準直径のスポークの数及び図形に変換されるべきレンズ表面のタイプ(凹か凸か)を決める。「表面許容差」とは、レンズ設計の表面上の理想位置からの投影点までの許容位置偏差をいう。偏差は、レンズ設計の中央軸に平行か直角かいずれかの方向であってよい。「同心度許容差」とは、所与の弧から点までの許容偏差をいう。「準直径のスポーク」とは、中央軸から外側に放射する曲率をいい、中央軸に直角であり、表面に投影されるプロフィール。「等間隔に置かれた準直径スポーク」とは、すべての準直径スポークが中央軸から放射方向外側に伸び、一つの等角度で互いに離れていることを意味する。「点間隔」とは、準直径スポークに沿った二点間の距離をいう。
第二に、装着者は、中央軸に平行方向における等間隔に置かれた準直径スポークの数の各々に沿って、レンズ設計表面(例えば、前面)に投影される点密度を決める。方位角をなす準直径スポ−クは、ベース円筒面から最も偏った形に対応し、そして準直径探知スポークとして選ばれる。等間隔点は、準直径探知スポークに沿って投影され、各々の対の点は、典型的には10μmの点間隔により離れている。次いで、すべての投影点は、各々の群が第一点、中間点及び第三点の三つの連続した点で構成されている一連の群に分けられる。各点は、一つの群か二つの群かのいずれかに属することができる。一つの群は、中間点と相当する群の第一点と第三点とを結ぶ線との間隔を所定の表面許容差で比べることにより、中央軸から境界へ又は境界から中央軸へ、群の中間点における表面の曲率から同時に分析される。もし、中間点とその群の第一点と第三点とを結ぶ線との間隔が所定の表面許容差より大きい場合、その点での表面の曲率は鋭いので、その群の第一点と中間点との間に追加の点が投影される。第一点と追加の点との点間隔は、追加の点と第三の点との点間隔に等しい。追加の点を加えた後、新しく加えた点も含めてすべての点が再グループ化され、各一連の群の中間点での表面の曲率が分析される。探知スポークに沿って、一連の群の各々の中間点と相当する群の第一点と第三点とを結ぶ線との間隔が所定の表面許容差以下になるまで、このような反復操作が繰り返される。このようにして、レンズ設計の表面に投影されるべき点の数が、各々の所望の数の等間隔に置かれた準直径スポーク及び一連の隣接点の対の点間隔に沿って決められる。
次に、上のようにして決められた点の数は、好ましい実施態様では、24、96又は384の準直径の各々に沿ってレンズ設計の前面に投影される。他のスポーク数も可能である。各準直径スポークに対して、一次導関数において連続な半経線が形成される。半経線は、一連の弧と場合により直線とを含み、各弧は、少なくとも三連続点を所望の同心許容差内で球面数学的関数に当てはめることによって決められる。各直線は、少なくと三連続点を結ぶことにより得られる。好ましくは、弧当てはめ作業は中央軸から始め、境界へと進める。同様に、レンズ設計の後面の図形への変換は、上記した手順で行うことができる。
作製システムで、レンズ設計を製造すべきコンタクトレンズ形状への変換を行った後、ヘッダー情報とレンズ形状情報との両方を含むミニファイル又は同等のフォーマットが作成される。このミニファイルは、他の経線の各放射位置の各々の平均高さに基づいており、Variform又はVarimaxに、その振動計算の基礎を置くことのできるゼロ位置を与えるゼロ半経線も含む。このミニファイルの中で、すべての半経線は同じ数の領域を有している。これは、半経線の最後の領域を、すべての経線について領域数を等しくするだけの回数を複写することで達成される。ミニファイルが完成したら、それを、Variform(登録商標)ピエゾセラミック高速工具サーボアタッチメントを有するOptoform(登録商標)超精密旋盤(モデル30、40、50又は80)にロードして並進コンタクトレンズの製造運転をする。
本発明のコンタクトレンズは、任意の公知の光学測定システムにより作製することを特徴とする。レンズの垂直向きコマ様及び他の波面収差は、当業者に公知の適切な方法、例えば、Shack-Hartmann法、Tscherning法、網膜光線追跡法、空間解像屈折計法によって測定できるが、これらに限定されない。本発明はまた、本発明の眼科用レンズの製造方法も提供する。
本発明は、もう一つの態様において、上記したような、本発明の向き安定化機構を有するコンタクトレンズを製造する方法を提供する。方法は、コンタクトレンズの前面及び後面を設計する工程を含み、前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含む。前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。コンタクトレンズは、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーン内でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、コンタクトレンズは、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。中央オプチカルゾーンは、周辺ゾーンと独立して設計され、その後第一のブレンドゾーンを使用して、周辺ゾーンにブレンドされる。
好ましい実施態様では、レンズ厚さプロフィールが、更に、(1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は(2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の間の差が約15〜約65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、を特徴とする。
本発明の製造方法は、好ましくは更に、上記した製作手段によって眼科用レンズを製造する工程を含む。
更なる態様では、本発明は、異なる視力不全症の矯正を可能にする一連のコンタクトレンズを提供する。ここで、一連のコンタクトレンズは、前面及び後面を含み、一連の各々のレンズの後面は、相互にほぼ同一であり、一連の各々のレンズの前面は、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンは相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なる。各々のレンズの前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。各々のレンズは周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして各々のレンズは、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する。
好ましい実施態様では、レンズ厚さプロフィールが、更に、(1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は(2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の間の差が約15〜約65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、を特徴とする。
更に別の態様では、本発明は、各々が異なる視力不全症の矯正を可能にする一連のコンタクトレンズの製造方法を提供する。方法は、コンタクトレンズの前面及び後面を設計する工程を含み、一連の各々のレンズの後面は、相互にほぼ同一であり、一連の各々のレンズの前面は、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンが相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なる。各々のレンズの前面は、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続である。各々のレンズは周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、各々のレンズは、垂直経線下部に対して約35度以上の角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有し、そして中央オプチカルゾーンは、周辺ゾーンと独立して設計され、その後第一のブレンドゾーンを使用して周辺ゾーンとブレンドされる。
好ましい実施態様では、レンズ厚さプロフィールが、更に、(1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は(2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が約15〜約65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、を特徴とする。
読者が必要以上の実験をしなくとも、本発明を実施することが可能なように、いくつかの好ましい実施態様に特に言及して、本発明を詳細に記載してきた。当業者は、本発明の範囲及び思想から離脱することなく、多くの前記した成分、組成及び/又はパラメーターを適度に変更したり変形したりできることを容易に認識するであろう。更に、表題、見出し、例示材料等は、読者の理解を助けるために提供されたものであって、本発明の範囲を限定するように読まれるべきものではない。従って、本発明は、次に掲げる請求項並びにそれの適切な拡張及び均等物によって定義される。
図1Aは、本発明の好ましい実施態様における、コンタクトレンズの斜視図である。 図1Bは、図1Aに示すコンタクトレンズの側面図である。 図1Cは、図1Aに示すコンタクトレンズの垂直断面図である。 図1Dは、図1Aに示すコンタクトレンズの水平断面図である。 図2Aは、本発明の好ましい実施態様における、コンタクトレンズの側面図である。 図2Bは、図2Aに示すコンタクトレンズの垂直断面図である。 図2Cは、図2Aに示すコンタクトレンズの水平断面図である。 図2Dは、図2Aに示すコンタクトレンズの斜め方向断面図である。

Claims (79)

  1. 後面及び反対側の前面を含むコンタクトレンズであって、
    前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、
    前面が、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続であり、
    コンタクトレンズが、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして、
    コンタクトレンズが、垂直経線下部に対して90度以上の等しい角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する、
    コンタクトレンズ。
  2. レンズ厚さプロフィールが、更に、
    (1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は
    (2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が1〜65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、
    を特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズ。
  3. 中央オプチカルゾーンが円形ゾーンで、円形ゾーンの中心が、垂直経線上にあり、前面の幾何学的中心から2.0mm以下にある、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  4. 中央オプチカルゾーンが、前面の幾何学的中心と同心の円形ゾーンである、請求項3記載のコンタクトレンズ。
  5. コンタクトレンズのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿った周辺ゾーンにおいて、110〜150μmの範囲の値を有する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  6. 垂直経線下部と周辺ゾーンの内側境界との交点におけるレンズ厚さが200〜280μmであり、垂直経線下部と周辺ゾーンの外側境界との交点におけるレンズ厚さが320〜400μmであり、半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の若干内側、境界上又は若干外側に位置する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  7. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の内側、境界上又は外側に位置する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  8. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の外側で、外側境界から0.4mm以内に位置する、請求項7記載のコンタクトレンズ。
  9. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して90度の角度をなす、請求項7記載のコンタクトレンズ。
  10. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して120度の角度をなす、請求項7記載のコンタクトレンズ。
  11. 他の残りのセクター内の各々の半経線に沿ったレンズ厚さが、ほぼ一定にとどまるか、又は任意の半経線と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加する、請求項10記載のコンタクトレンズ。
  12. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の外側で、外側境界から0.4mm以内に位置する、請求項11記載のコンタクトレンズ。
  13. レンズのエッジとセクター内の周辺ゾーンの外側境界に沿った任意の点との間の距離が、0.6〜2.0mmである、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  14. 周辺ゾーン、第一のブレンドゾーン及び第二のブレンドゾーンの少なくとも一つが、スプラインベースの数学的関数若しくは多項関数で定義されているか又は数個の異なる表面パッチで構成されている、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  15. トーリック、多焦点、トーリック多焦点又は特別注文のコンタクトレンズである、請求項14記載のコンタクトレンズ。
  16. 周辺ゾーンがリッジ状構造を更に含みリッジ状構造が、中央オプチカルゾーンの下に配置され、周辺ゾーンから外側に延びて装着者の下瞼と係合することができ、それにより、装着者が装着したときのコンタクトレンズの垂直方向並進支持を提供する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  17. リッジ状構造が傾斜リッジであり傾斜リッジが、上境界線、下傾斜境界線、前面から外側に延びる緯線方向リッジ、及び下傾斜境界線から下側に延び且つ、傾斜リッジゾーンに触れる眼の下瞼の場所によって傾斜リッジゾーンと下瞼との間の種々な相互作用の程度を与える曲率又は勾配を有する傾斜を含む、請求項16記載のコンタクトレンズ。
  18. リッジ状構造の最大レンズ厚さが、400〜600μmである、請求項16記載のコンタクトレンズ。
  19. 傾斜リッジが、平坦な傾斜エッジ及び平坦な緯線方向リッジを有する、請求項17記載のコンタクトレンズ。
  20. 傾斜リッジが、緯線方向リッジの二つの終点に形成された二つの隆起を有し、緯線方向リッジの高さが中央部より両終点の方が高い、請求項17記載のコンタクトレンズ。
  21. 中央オプチカルゾーンが、少なくとも、第一注視用の第一のオプチカルゾーン、下方視用の第二のオプチカルゾーン及び第一のプチカルゾーンと第二のオプチカルゾーンとの間にある光学ブレンドゾーンを有し、第一のオプチカルゾーンが、中央オプチカルゾーンの上部分にあり、第二のオプチカルゾーンが中央オプチカルゾーンの下部分にあり、そして光学ブレンドゾーンが、第一のオプチカルゾーンから第二のオプチカルゾーンへの円滑な表面移行を確保する面を有し、それにより、第一及び第二のオプチカルゾーンを独立に且つ最適に設計することを可能にする、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  22. 第一のオプチカルゾーンの頂点が中央オプチカルゾーンの中心と一致し、第二のオプチカルゾーンの頂点中心が垂直経線と、第二のオプチカルゾーンの光学ブレンドゾーンの境界線との交点にあり、そして第二のオプチカルゾーンの頂点中心と第一のオプチカルゾーンの頂点との間隔が1.5mm以下である、請求項21記載のコンタクトレンズ。
  23. 第二のオプチカルゾーンの頂点中心と第二のオプチカルゾーンの頂点中心における曲率中心とを通る第一の線が、第一のオプチカルゾーンの頂点と後面の頂点における曲率中心とを通る第二の線と交差し、その交点が後面の頂点における曲率中心の2mm以内にある、請求項22記載のコンタクトレンズ。
  24. 光学ブレンドゾーン面が、第一及び第二のオプチカルゾーンのどちらよりもはるかに高い光学度数を有し、また光学ブレンドゾーンの幅が垂直経線から中央オプチカルゾーンの周辺にかけて増加する、請求項22記載のコンタクトレンズ。
  25. 中央オプチカルゾーンが、トーリック光学構造若しくは多焦点光学構造又は両者の組み合わせを含む、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  26. 多焦点光学構造が、中心軸とほぼ同心の1.0〜2.5mmの直径を有する累進度数ゾーンである、請求項25記載のコンタクトレンズ。
  27. 中央オプチカルゾーンが、レンズの上端から下端へと垂直に向くコマ様波面収差を提供する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  28. 中央オプチカルゾーンが、非対称面を有し、中央オプチカルゾーンの上端から下端へ増加する光学度数を有する、請求項2記載のコンタクトレンズ。
  29. 中央オプチカルゾーンが、少なくとも一つの垂直に向くコマ様収差ゼルニケ項又はそれと同等なものと二円錐若しくは円錐数学的関数との組み合わせで記述される、請求項28記載のコンタクトレンズ。
  30. OSAゼルニケ標準案に基づいた垂直に向くゼルニケコマ項の係数の大きさが、6mm径のオプチカルゾーンで0.1〜2μmRMS(二乗平均平方根)である、請求項29記載のコンタクトレンズ。
  31. 前記少なくとも一つの垂直に向くコマ様収差ゼルニケ項が、垂直に向く3次のコマ様収差ゼルニケ項Z7、垂直に向く5次のコマ様収差ゼルニケ項Z17、垂直に向く7次のコマ様収差ゼルニケ項Z31(OSA標準ゼルニケ多項式案に基づく)又はそれらの組み合わせである、請求項29記載のコンタクトレンズ。
  32. 中央オプチカルゾーンが、遠見視力ゾーン及び遠見視力ゾーンに隣接する回転非対称累進ゾーンを有し、遠見視力ゾーンが、中央オプチカルゾーンの上部分にあり且つ遠見視力矯正用の遠見視力度数を提供し、回転非対称累進ゾーンが中央オプチカルゾーンの下部分にあり且つ可変の中間視力矯正及び近見視力矯正を提供する、請求項3記載のコンタクトレンズ。
  33. 回転非対称累進ゾーンが、上境界線、下境界線、放射中心、垂直方向に放射する上半経線及び垂直方向に放射する下半経線を有し、回転非対称累進ゾーンが度数プロフィールを提供する面を更に有し、度数プロフィールが、垂直方向に放射する上半経線に沿って、上境界線の遠見視力度数から放射中心の近見視力度数へと増加し、垂直方向に放射する下半経線に沿って、放射中心から下境界線近傍点までほぼ一定にとどまる、請求項32記載のコンタクトレンズ。
  34. 遠見視力ゾーンが、中央オプチカルゾーンの上端境界から下方へと延び、遠見視力ゾーンと回転非対称累進ゾーンとの下境界線が、少なくとも中央部分で、中央オプチカルゾーンの中心を通り、水平経線と平行な水平線上又はその上方にある、請求項33記載のコンタクトレンズ。
  35. 放射中心が、中央オプチカルゾーンの中心の下で垂直経線上にあり、放射中心とレンズ光軸との間隔が2.0mm以下である、請求項33記載のコンタクトレンズ。
  36. 回転非対称累進ゾーンが、回転非対称累進ゾーンの上及び下境界線に沿った任意の点において遠見視力ゾーンと正接する、請求項33記載のコンタクトレンズ。
  37. 回転非対称累進ゾーンが、式(1)又は(2)又は(3)
    Figure 0004627756
    (式中、p(x)は、放射中心から放射方向距離xにおける付加度数であり、bは、直線の切片である係数であり、kは、放射中心からの距離の関数としての付加度数の変化率であり、Aは、最大付加度数であり、Xは、放射中心と光軸との間の放射方向距離であり、nは、1より大きく、10以下である整数又は非整数であることができる任意の数である)
    の二以上の一次関数によって画定される度数付加プロフィールを垂直方向に放射する上半経線に沿って提供する面を有する、請求項33記載のコンタクトレンズ。
  38. コンタクトレンズの前面及び後面を設計する工程を含むコンタクトレンズを製造する方法であって、
    前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、
    前面が、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続であり、
    コンタクトレンズが、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして、
    コンタクトレンズが、垂直経線下部に対して90度以上の等しい角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する、
    方法。
  39. レンズ厚さプロフィールが、更に、
    (1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は
    (2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が1〜65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、
    を特徴とする請求項38記載の方法。
  40. 中央オプチカルゾーンが円形ゾーンで、円形ゾーンの中心が、垂直経線上にあり、前面の幾何学的中心から2.0mm以下にある、請求項39記載の方法。
  41. コンタクトレンズのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿った周辺ゾーンにおいて、110〜150μmの範囲の値を有する、請求項40記載の方法。
  42. 垂直経線下部と周辺ゾーンの内側境界との交点におけるレンズ厚さが200〜280μmであり、垂直経線下部と周辺ゾーンの外側境界との交点におけるレンズ厚さが320〜400μmであり、半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の内側、境界上又は外側に位置する、請求項40記載の方法。
  43. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の内側、境界上又は外側に位置する、請求項40記載の方法。
  44. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の外側で、外側境界線から0.4mm以内に位置する、請求項43記載の方法。
  45. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して90度の角度をなす、請求項44記載の方法。
  46. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して120度の角度をなす、請求項44記載の方法。
  47. 他の残りのセクター内の各々の半経線に沿ったレンズ厚さが、ほぼ一定にとどまるか、又は任意の半経線と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加する、請求項46記載の方法。
  48. レンズのエッジとセクター内の周辺ゾーンの外側境界に沿った任意の点との間の距離が、0.6〜2.0mmである、請求項43記載の方法。
  49. 周辺ゾーン、第一のブレンドゾーン及び第二のブレンドゾーンの少なくとも一つが、スプラインベースの数学的関数若しくは多項関数で定義されているか又は数個の異なる表面パッチで構成されている、請求項43記載の方法。
  50. 一つの製作手段によって眼科用レンズを製造する工程を更に含む、請求項40記載の方法。
  51. 周辺ゾーンがリッジ状構造を更に含みリッジ状構造が、中央オプチカルゾーンの下に配置され、周辺ゾーンから外側に延びて装着者の下瞼と係合することができ、それにより、装着者が装着したときのコンタクトレンズの垂直方向並進支持を提供する、請求項40記載の方法。
  52. リッジ状構造が傾斜リッジであり傾斜リッジが、上境界線、下傾斜境界線、前面から外側に延びる緯線方向リッジ、及び下傾斜境界線から下側に延び且つ、傾斜リッジゾーンに触れる眼の下瞼の場所によって傾斜リッジゾーンと下瞼との間の種々な相互作用の程度を与える曲率又は勾配を有する傾斜を含む、請求項51記載の方法。
  53. リッジ状構造の最大レンズ厚さが、400〜600μmである、請求項51記載の方法。
  54. 傾斜リッジが、平坦な傾斜エッジ及び平坦な緯線方向リッジを有する、請求項53記載の方法。
  55. 傾斜リッジが、緯線方向リッジの二つの終点に形成された二つの隆起を有し、緯線方向リッジの高さが中央部より両終点の方が高い、請求項53記載の方法。
  56. 一つの製作手段によって眼科用レンズを製造する工程を更に含む、請求項51記載の方法。
  57. 製作手段が、コンピューター制御可能な製作装置である、請求項56記載の方法。
  58. コンピューター制御可能な製作装置が、数値制御旋盤である、請求項57記載の方法。
  59. 一連のコンタクトレンズの各々が前面及び後面を含む一連のコンタクトレンズであって、
    一連の各々のレンズの後面が、相互にほぼ同一であり、
    一連の各々のレンズの前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、
    一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンが相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なり、
    各々のレンズの前面が、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続であり、
    各々のレンズが、周辺ゾーンと第二のブレンドゾーンの中でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、そして
    各々のレンズが、垂直経線下部に対して90度以上の等しい角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有する、
    一連のコンタクトレンズ。
  60. レンズ厚さプロフィールが、更に、
    (1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は
    (2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の間の差が1〜65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、
    を特徴とする請求項59記載の一連のコンタクトレンズ。
  61. 中央オプチカルゾーンが円形ゾーンで、円形ゾーンの中心が、垂直経線上にあり、前面の幾何学的中心から2.0mm以下にある、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  62. コンタクトレンズのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿った周辺ゾーンにおいて、110〜150μmの範囲の値を有する、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  63. 垂直経線下部と周辺ゾーンの内側境界との交点におけるレンズ厚さが200〜280μmであり、垂直経線下部と周辺ゾーンの外側境界との交点におけるレンズ厚さが320〜400μmである、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  64. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の内側、境界上又は外側に位置する、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  65. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の外側で、外側境界から0.4mm以内に位置する、請求項64記載の一連のコンタクトレンズ。
  66. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して90度の角度をなす、請求項64記載の一連のコンタクトレンズ。
  67. セクターを区切る二つの半経線が、垂直経線下部に対して120度の角度をなす、請求項64記載の一連のコンタクトレンズ。
  68. 他の残りのセクター内の各々の半経線に沿ったレンズ厚さが、ほぼ一定にとどまるか、又は任意の半経線と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加する、請求項67記載の一連のコンタクトレンズ。
  69. 半経線に沿ったレンズ厚さの最大が、セクター内の周辺ゾーンの外側境界の外側で、外側境界から0.4mm以内に位置する、請求項68記載の一連のコンタクトレンズ。
  70. レンズのエッジとセクター内の周辺ゾーンの外側境界に沿った任意の点との間の距離が、0.6〜2.0mmである請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  71. 周辺ゾーン、第一のブレンドゾーン及び第二のブレンドゾーンの少なくとも一つが、スプラインベースの数学的関数若しくは多項関数で定義されているか又は数個の異なる表面パッチで構成されている、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  72. 周辺ゾーンがリッジ状構造を更に含みリッジ状構造が、中央オプチカルゾーンの下に配置され、周辺ゾーンから外側に延びて装着者の下瞼と接合することができ、それにより、装着者が装着したときのコンタクトレンズの垂直方向並進支持を提供する、請求項60記載の一連のコンタクトレンズ。
  73. リッジ状構造が傾斜リッジであり傾斜リッジが、上境界線、下傾斜境界線、前面から外側に延びる緯線方向リッジ、及び下傾斜境界線から下側に延び且つ、傾斜リッジゾーンに触れる眼の下瞼の場所によって傾斜リッジゾーンと下瞼との間の種々な相互作用の程度を与える曲率又は勾配を有する傾斜を含む、請求項72記載の一連のコンタクトレンズ。
  74. リッジ状構造の最大レンズ厚さが、400〜600μmである、請求項72記載の一連のコンタクトレンズ。
  75. 傾斜リッジが、平坦な傾斜エッジ及び平坦な緯線方向リッジを有する、請求項73記載の一連のコンタクトレンズ。
  76. 傾斜リッジが、緯線方向リッジの二つの終点に形成された二つの隆起を有し、緯線方向リッジの高さが中央部より両終点の方が高い、請求項73記載の一連のコンタクトレンズ。
  77. コンタクトレンズの前面と後面を設計する工程を含む一連のコンタクトレンズを製造する方法であって、
    一連の各々のレンズの後面が、相互にほぼ同一であり、
    一連の各々のレンズの前面が、垂直経線、水平経線、中央オプチカルゾーン、周辺ゾーン、エッジゾーン、中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへ外側に延び中央オプチカルゾーンから周辺ゾーンへの連続移行を提供する第一のブレンドゾーン、周辺ゾーンからエッジゾーンへ外側に延び周辺ゾーンからエッジゾーンへの連続移行を提供する第二のブレンドゾーンを含み、
    一連の各々のレンズの周辺ゾーン、第二のブレンドゾーン及びエッジゾーンが相互に同一であるが、一連の各々のレンズの中央オプチカルゾーンと第一のブレンドゾーンとは相互に異なり、
    各々のレンズの前面が、垂直経線面に対して鏡面対称性を有し且つ少なくとも一次導関数において連続であり、
    各々のレンズが、周辺ゾーン及び第二のブレンドゾーン内でレンズ厚さを変えることにより下半分を重くして、コンタクトレンズを眼の上で平衡位置となるようにし、
    各々のレンズが、垂直経線下部に対して90度以上の等しい角度でセクターを区切る二つの半経線とセクターを区切る二つの半経線の間に含まれるエッジ部分とによって区切られるセクター中のレンズ厚さが、周辺ゾーンの内側境界から各々の半経線に沿って徐々に増加して最大レンズ厚さに達したのち減少することを特徴とするレンズ厚さプロフィールを有し、そして
    中央オプチカルゾーンが、周辺ゾーンと独立して設計され、その後第一のブレンドゾーンを使用して周辺ゾーンとブレンドされる、
    方法。
  78. レンズ厚さプロフィールが、更に、
    (1)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線上部に沿って、ほぼ一定にとどまるか、又は垂直経線上部と周辺ゾーンの外側及び内側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満となるように、周辺ゾーンの外側境界から周辺ゾーンの内側境界へ徐々に増加すること、及び/又は
    (2)コンタクトレンズの周辺ゾーンのレンズ厚さが、垂直経線下部に沿って、垂直経線下部と周辺ゾーンの内側及び外側境界との二つの交点におけるレンズ厚さの値の差が1〜65%となるように、周辺ゾーンの内側境界から周辺ゾーンの外側境界へ徐々に増加すること、
    を特徴とする請求項77記載の方法
  79. 中央オプチカルゾーンが円形ゾーンで、円形ゾーンの中心が、垂直経線上にあり、前面の幾何学的中心から2.0mm以下にある、請求項78記載の方法。
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