JP4625382B2 - 直管形蛍光ランプの製造方法 - Google Patents

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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Description

この発明は、直管形蛍光ランプ及び直管形蛍光ランプの製造方法に関するもので、詳しくは水銀封入量が5mg以下のものでも、初期点灯時にランプ管に暗部を発生させない技術に関するものである。尚、暗部とはランプ管中央部から水銀放出の反対側ガラス管端部にかけて水銀が少ないために発生する暗部であり、以降は中央暗部と呼ぶ。
直管形蛍光ランプを初めて点灯させると、短時間ではあるがランプ管中央部に暗部が発生する現象がある。この中央暗部は水銀拡散不足によるもので、点灯初期のみの現象であり、しばらく点灯すると消滅し、且つ次回点灯時には点灯により水銀蒸気が拡散し、発生しない。また、この中央暗部は、その発生があってもその後のランプ特性に影響を与えることはなく、品質上の問題ではない。
しかし、これが最初に点灯した第1印象であることから、顧客の受けるイメージはよくない。すなわち、購入した直後の初回点灯時にこの中央暗部が発生すると、ランプ交換したにもかかわらず、或いは全く初めて点灯するにもかかわらず、暗く、その発光も不均一で、あたかも古いランプのままのように感じられる。この現象により、顧客によっては、クレームとなる場合があり、現象を顧客に理解してもらうのに相当の労力がかかっていた。
そこで発明者らは中央部の暗部を発生させない直管形蛍光ランプの製造方法を検討した。直管形蛍光ランプの初期点灯時にランプ管の中央部に暗部が発生しているランプを破壊し、余剰水銀がどこにあるかを確認した。余剰水銀は、電極付近にあり、液状水銀(液状粒)として確認された。水銀は最冷点に寄りやすい性質を持っていて、例えば直管形蛍光ランプを10℃以下の低温で保存すると、直管形蛍光ランプの電極には金属があり冷えやすく、水銀が寄りやすい部分となり、この最冷点に水銀が集まる。
直管形蛍光ランプの初期点灯時にランプ管の中央部が暗くなるメカニズムを図11を用いて説明する。図11(a)は余剰水銀がランプ管の任意の、例えば中央部にある場合を示している。ランプ管が低温で消灯されたまま放置されると、この余剰水銀から水銀が蒸発する。次に、図11(b)に示すように、余剰水銀から蒸発した水銀は、電極付近の最冷点に凝縮し、液化する。このため、ランプ端部においては、蒸気密度が小さくなり、ランプ管内の蒸気密度が不均一になる。そして、図11(c)に示すように、蒸気密度を均一化するため、中央部から端部に向かって蒸発した水銀が拡散移動する。このような動作が繰り返されると、図11(d)の示すように、中央部にあった余剰水銀が全て端部に移動する。
直管形蛍光ランプは、低温の環境下で点灯されることなく長期間放置されると、ランプ内に封入されている液状水銀が蒸発・凝縮を繰り返し、最冷点となる電極付近に集まる。そして、ランプ内水銀蒸気圧は、周囲温度に見合って低くなっていく。
図12は、直管形蛍光ランプの初期点灯時のメカニズムを示す図である。図12(a)に示すように、点灯初期の時点では、中央部の水銀蒸気圧が低く、端部の水銀蒸気圧が高い状態となっている。従って、中央部に暗部が発生する。点灯後、電極の温度は高温となり、電極付近に集まっていた余剰水銀は、再び蒸発し始める。図12(b)に示すように、蒸発した水銀は中央部へ拡散し、中央部水銀蒸気圧が上昇し、暗部は消滅する。この暗部が消滅する時間は、長くても数分である。
直管形蛍光ランプで、中央部に暗部が発生するのは、余剰水銀がランプ管の両端部に集まったことによる。従って、中央部に暗部が発生するのを防ぐには、ランプの製造工程において、できるだけランプ管の中央部に水銀を寄せ、両端部へ水銀が移動しきるまでの時間を長時間にするか、或いは、ランプの中央部に水銀を寄せたまま両端部へ水銀が移動しないようにすればよい。
水銀は温度の低い部分に集まりやすい性質を持っているので、製造工程の最後のエージング工程による点灯終了時に、点灯により活性化された状態となっている水銀を、ランプ管の中央部を端部より低い温度にして、なるべく中央部に集めるようにする。その方法としては、
(1)ランプ管の中央部を冷却する工程(図13参照)。
(2)ランプ管の両端部を加熱する工程(図14参照)。
のいずれか、又は両方を実施する(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−323099号公報
上記の製造方法により、直管形蛍光ランプの初期点灯時に、中央部に暗部が発生する現象は少なくなったが、その後環境保護の目的やヨーロッパのRoHS(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electroric Equipment)対応として封入水銀を更に減らす活動がなされてきた。これにより、直管形蛍光ランプの初期点灯時において、中央部に暗部が発生する現象が再発した。
ヨーロッパのRoHSとは、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限のことであり、加盟国は、2006年7月1日以降、上梓される新しい電気電子機器に鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニルあるいはポリ臭化ジフェニル・エーテルが含まれないことを保障しなければならない、と第4条(予防)に規定されている。但し、例外として、ランプ内の水銀は、少量使用することは認められる。例えば、平均的寿命の3波長タイプの直管形蛍光ランプでは、ランプ1本あたりの水銀は5mg以下である。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、水銀封入量が5mg以下の少量の水銀しか封入されていない直管形蛍光ランプにおいても、使用者の初期点灯時に中央暗部が発生することのない直管形蛍光ランプ及び直管形蛍光ランプの製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る直管形蛍光ランプは、水銀を保持する水銀保持体をガラス管の一方の端部近傍に設け、希ガスを導入した後、水銀保持体から水銀をガラス管内に放出させる直管形蛍光ランプにおいて、使用者の初回の点灯前に、ガラス管の水銀保持体を持たない側の半分に、水銀保持体の保持する水銀の20〜80%の水銀が存在することを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプは、水銀保持体を、水銀を化合物または合金として金属表面に固定し、加熱することによって水銀を放出する水銀放出部材で構成したことを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプは、ガラス管内に希ガスを導入し、ガラス管を密封した後、水銀保持体から水銀をガラス管内に放出させることを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプは、ガラス管内に存在する全水銀量を5mg以下としたことを特徴とする。
この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、水銀封入量が5mg以下の水銀放出部材を有する直管形蛍光ランプの製造方法において、
ガラス管内の排気後、高周波誘導加熱により水銀放出部材より水銀を放出させる工程と、
ガラス管内最冷点より低い温度の冷却部材をガラス管外面の所定位置の少なくとも1箇所に当て、水銀を凝縮させる工程と、
ランプ点灯中に凝縮した水銀を加熱して凝縮水銀を再蒸発させるエージング工程とを含むことを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、冷却部材として、搬送コンベアに設けられたガラス管を保持する保持具を用いることを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、保持具が空になり、次にガラス管を保持するまでの間に、保持具を送風により冷却することを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、冷却部材をガラス管外面に当て水銀を凝縮させる場合、冷却部材付近を送風により冷却することを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、水銀封入量が5mg以下の水銀放出部材を有する直管形蛍光ランプの製造方法において、
ガラス管内の気体を取り除き、希ガスを導入した後、該ガラス管を密封する工程と、
水銀放出部材を加熱して、水銀をガラス管内に放出させる工程と、
直管形蛍光ランプを1時間以上点灯するエージング工程とを含むことを特徴とする。
また、この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、水銀封入量が5mg以下の水銀放出部材を有する直管形蛍光ランプの製造方法において、
水銀を化合物または合金として金属表面に固定し、加熱することによって水銀を放出する水銀放出部材を、ガラス管の一方の端部近傍に設け、
ガラス管を排気あるいは希ガスを流すことによって、不純ガスを取り除き、
次に、水銀放出部材を加熱することによって水銀をガラス管内に放出させ、
その後、不純ガスを取り除き、
希ガスを導入し、密封することを特徴とする。
この発明に係る直管形蛍光ランプは、使用者の初回の点灯前に、ガラス管の水銀保持体を持たない側の半部に、水銀保持体の保持する水銀の20〜80%の水銀が存在することにより、使用者の初期点灯時に中央暗部が発生する恐れが少ない。
この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、一度凝縮させた水銀を、点灯中に急激に再蒸発させることで、点灯中のプラズマにより一気にガラス管内に拡散し、中央部の蛍光体層にも浸透保存され、初回点灯時に中央部の水銀不足を解消し、中央暗部発生を抑制する。従来の単にエージング中にガラス管中央を冷却し水銀をそこに寄せる方式に比べ中央暗部発生抑制効果が大きい。
この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、水銀放出部材を加熱して、水銀をガラス管内に放出させた後、エージング工程において直管形蛍光ランプを1時間以上点灯することにより、低温で保管後の使用者の初回点灯時に、数分間暗くなるという現象が解消された。
この発明に係る直管形蛍光ランプの製造方法は、水銀放出部材を加熱して水銀を放出した後、不純ガスを取り去る工程を入れることによって、直管形蛍光ランプの寿命を長くすることができる。
実施の形態1.
図1〜7は実施の形態1を示す図で、図1は口金取り付け前の直管形蛍光ランプ1の一部を断面で示す正面図、図2は直管形蛍光ランプ1のステム3aを示す図、図3は直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図、図4は口金挿入工程におけるガラス管2の保持状態を示す図、図5、6はエージング工程における水銀凝縮部のホットエアーによる加熱方法を示す図、図7は初回点灯時の中央暗部発生状況を、本発明の実施例と他のものとを比較した図である。
図1は、直管形蛍光ランプ1の口金取り付け前の状態を示し、ガラス管2の両端部にステム3a、ステム3bが封止されている。一方のステム3aには、フィラメント(図示せず)を囲むように、支持部材(図示せず)によりチタン−水銀合金付き金属リングの水銀放出部材4aが固定されている。他方のステム3bには、同様に金属リング4bが固定されるが、チタン−水銀合金は付着していない。水銀放出部材4a、金属リング4bの材質は、共にニッケルメッキの鋼板である。さらに、ステム3a、ステム3bは共に、フィラメントに電力を供給する2本のリード線6、ガラス管2内の排気を行うチップ管5を有する。ガラス管2の内部には、チップ管5により真空引き後、放電を助ける希ガス(アルゴン等)が封入されている。ガラス管2内面には、紫外線を可視光に変換する蛍光体(図示せず)が塗布されて、焼付けられている。
水銀封入量が5mg以下の場合、水銀封入量が少ないため水銀単体で封入すると製造ラインにおいて水銀封入不良が発生する。そのため、チタン−水銀合金が付着した水銀放出部材4aを用いて水銀を封入する。
図2により、水銀放出部材4aが固定されるステム3aを詳細に説明する。ステム3aに固定された2本のリード線6の先に、熱電子放射物質が塗布されたフィラメント8が接続されている。このフィラメント8を囲むように水銀放出部材4aが設けられ、水銀放出部材4aは支持部材9により、ステム3aに固定されている。水銀放出部材4aは、水銀をガラス管2内に供給するための役割以外に、フィラメント8を囲むことによりガラス管2の黒化を抑制する機能を有する。ステム3aは、ガラス管2内の真空引きを行うチップ管5を備える。
図3により、直管形蛍光ランプ1の製造方法を説明する。図3に示すS10〜S75までは、通常の水銀放出部材4aを用いて水銀の封入を行う直管形蛍光ランプの製造工程と同様である。先ず、ガラス管2の洗浄を行う(S10)。次に、蛍光体塗液をガラス管2内面に塗布する(S20)。その後、塗布した蛍光体塗液を乾燥する(S30)。そして、高温で、蛍光体を焼き付ける(S40)。
ガラス管2の一方の端部に水銀放出部材4aを有するステム3aを封止し、ガラス管2の他方の端部に通常のステム3bを封止する(S50)。チップ管5により、ガラス管2内の排気を行う(S70)。このチップ管5を通じて、希ガス、例えばアルゴンを270Pa〜400Paを導入し、チップ管5をチップオフして密封する(S75)。水銀放出部材4aを、高周波誘導加熱により約900℃に加熱して水銀を放出させる(S80)。この時のガラス管2の温度は150〜170℃である。
以降のS90〜S110の工程に、本発明の特徴がある。
水銀放出部材4aを、高周波誘導加熱により約900℃に加熱して水銀を放出させた後、ガラス管2にその管面の最も低い温度より更に低い温度の冷却部材を押し付ける。実際の製造ラインではこの冷却部材は金属であり、更にはランプを保持している冷却された保持具10a(図4参照)と呼ばれる保持具である。ランプを保持するため、冷却された保持具10aの反対側に冷却されない保持具10bを備える。この工程は搬送コンベア上にランプが載って口金が挿入される工程で、水銀放出部材4aから水銀を放出させた直後でもありガラス管2の温度は120℃以上の高温になっている。この工程のコンベアは、ランプを搬送している上面と、空になっている下面とにより構成されており、下面のコンベアの戻りの部分でランプを保持する冷却された保持具10aを空冷し(送風機を用いる)、常温程度まで冷却させ、ランプ搬送中に冷却された保持具10aが高温のガラス管2に接触し、その接触部分温度を下げてそこに水銀を凝縮させる。この凝縮は冷却された保持具10aの接触部分に黒色の水銀凝縮部位が目視確認されることで、その効果を確認できる(S90)。
冷却された保持具10aで保持する位置は、ガラス管2の中央でなくてもよい。しかし、1箇所が望ましい。図4に示すように、通常ランプ保持はガラス管2の両端部付近の2箇所で行われるが、両方の保持具を空冷する必要はない。水銀放出部材4aが設けられる側のガラス管2の一方の端部を保持する冷却された保持具10aを空冷するのがよい。但し、そこに限定されない。
尚、冷却された保持具10aで水銀凝縮部を冷却する場合、冷却された保持具10aに加えて、送風機等により、ガラス管2の、冷却された保持具10aに接触する部分を直接空冷すると、さらに効果的である。
S90の工程に続いて、ガラス管2の両端部に挿入された口金を、セメントを加熱硬化させて固定する(S100)。
そして凝縮させた水銀は、図5、6に示すように、ランプを点灯させるエージング工程で、エージング点灯機21で点灯中に加熱装置22により加熱(例えば、ホットエアーを用いる)して再蒸発させる(S110)。エージング工程におけるガラス管2の温度は60℃程度であるが、加熱部分の温度は200℃程度になる。これにより急激に蒸発した水銀蒸気が点灯中のプラズマによりガラス管2内に拡散し、中央部の蛍光体層にも浸透保存され、これにより市場における初回点灯時に中央部の水銀不足を解消し、中央暗部発生を抑制する。
特許文献1では、単にエージング中に中央部を冷却し水銀を中央部に寄せていたが、凝縮速度と蒸発速度を比較すると、加熱による蒸発速度の方が遥かに速く、従ってエージングというランプ点灯時に加熱蒸発拡散させる方が、単にエージング中に中央部を冷却する方法よりも中央に水銀を寄せる効果がより大きかった。よって、封入水銀が少ない条件下でも、凝縮させた水銀を、ランプのエージング工程で点灯中に加熱して再蒸発させる方法により、確実に中央暗部発生を抑制することができる。
図3の製造工程により生産された量産品FLR40SW/Mを25本抜き取り、周囲温度5℃において4週間消灯放置し、その後その環境下で初回点灯として定格点灯させたときの中央暗部発生状況を図7に示す。比較のために、特許文献1(特開2000−323099号公報)の方法によるものを25本、中央暗部対策を何もしない過去の製品を25本についても、同条件で中央暗部発生状況を調べた。
図7に示すように、本発明の実施例では、25本の全てにおいて中央暗部の発生はなかった。それに対し特許文献1(特開2000−323099号公報)の方法によるものは、25本中10本に中央暗部が発生した。また、中央暗部対策を何もしない過去の製品は、25本全てに中央暗部が発生した。
実施の形態2.
従来の、端部近傍に設けた水銀放出部材4aを加熱して水銀を放出する方式の直管形蛍光ランプ1において、初回点灯前に冷所で2週間以上保管し、その後点灯すると暗い放電が数分続くと理由は、封入した水銀量が少ないためと想定していた。この理由の一つは、以下の通りである。
従来の水銀導入法(液体水銀、例えば、10mg)では、真空または希ガスを微量流した状態で、ガラス管2を水平にして液体の水銀を端部に設けられたチップ管5の一方から吹き込み、さらに希ガスを導入した後、チップオフするというものである。従って、この場合でも一方の端部から液体水銀が供給されるため、水銀のガラス管2内での偏りがあるはずであるが、従来の水銀導入法による直管形蛍光ランプ1では、初回点灯時に暗い放電が数分続くという現象ははるかに小さいので、水銀のガラス管2内での偏りが、初回点灯時の暗い放電の原因ではないと想定していた。
一方、水銀量が少ない方が暗い放電を起こすプロセスが有効に働くことが想定され、水銀量が単に少なくなったことにより、初回点灯時の暗い放電が起こったと想定していた。想定するプロセスの一例は、主に蛍光面にある程度まんべんなく存在する水銀吸着サイト(位置)に吸着されると考える場合、水銀量が小さい方が、放電空間に水銀が存在しにくくなるというものである。
ガラス管2内における水銀の分布と、初回点灯時の暗い放電との関係を、以下の実験で検証した。
水銀量が5mg以下の水銀放出部材4aを高周波で加熱して水銀を放出させた直管形蛍光ランプ1の、水銀放出部材4aのある側の約半分を加熱して、一部の水銀を他方の端部に移動させた。加熱温度(200〜300℃)と加熱時間(数分〜数十分)を変えて移動水銀量を変化させた。同条件で加熱した試料(直管形蛍光ランプ1)を10本ずつ用意し、冷所に4週間おき、その後、一部を点灯して放電の様子を観察した。また、残りの試料を半分に切断してそれぞれの水銀量を測定した。その結果を、図8に示す。図8のように、水銀放出部材4aのない半分のガラス管2内に存在する水銀の比率と初回点灯時の暗状態との関係が明確になった。即ち、水銀放出部材4aのない半分に存在する水銀の、水銀放出部材4aの放出前の水銀量に対する比率が20〜80%では、直管形蛍光ランプ1の初回点灯時の状態は、通常の明るさか、又は暗部の発生に気が付かない程度であった。それ以外では、暗部が発生した。水銀放出部材4aのない半分に存在する水銀の、水銀放出部材4aの放出前の水銀量に対する比率が、33〜62%のものが、初回点灯時通常の明るさであり最も好ましい。
実施の形態3.
図9は実施の形態3を示す図で、一部を省略した直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。図9のように、図示しない蛍光体の焼付け工程の後、ガラス管2の一方の端部を水銀放出部材4a付き電極により封止る。このとき、ガラス管2の他方の端部は水銀放出部材4aを持たない電極で封止る(図9のS200)。次に、排気あるいは希ガスを流すことによって、不純ガスを取り去る(図9のS210)。高周波により水銀放出部材4aを加熱して、水銀を放出させる(図9のS220)。その後、さらに排気あるいは希ガスを流し、不純ガスを取り去った後(図9のS230)、希ガスを導入し、チップオフする(図9のS240)。
水銀放出部材4aを加熱することにより、水銀を放出させるが、この水銀放出部材4aはこの温度上昇のため、付着していた不純物も放出する。このあと、排気、あるいは、希ガスを流すことによって、この不純ガスを取り去る。このように不純ガスを取り去ることによって、完成したランプ中の不純ガスが少なくなる。
直管形蛍光ランプ1が点灯しなくなる寿命は、主にフィラメント8から、放電に必要な電子を放出するために設けた電子放射物質(主にバリウムと、ストロンチウムと、カルシウムの酸化物からなる)が飛散して、なくなることによって決まる。この不純ガスはこの電子放射物質と反応する等により電子放射に悪影響を与え、このため、陰極時の電位勾配(陰極降下電圧)が上昇し、プラスイオンによる電子放射物質の飛散を増加させ、これにより、寿命が短くなる。このため、このように、水銀放出部材4aを加熱した後、一度、不純ガスを取り去る工程を入れることによって、寿命を長くする効果がある。
従来は不純ガスを取り去り、希ガスを導入し、チップオフした後、水銀放出部材4aを加熱していたが、この理由は、水銀を放出した後、不純ガスを取り去るための排気を行うと、この排気により、水銀まで排気されるため、水銀が減少すると考えられ、これを防ぐためであった。この実施の形態でも、水銀の減少は観測されたが、10%程度であり、しかもばらつきが小さく、コントロールが可能で問題にならないレベルであった。この理由のひとつは、水銀を放出する前に、十分に不純ガスを取り去ったので、水銀を放出させた後の不純ガスを取り去るための時間が短くてよく、このため、水銀の減少が小さかったと考えられる。
なお、この水銀放出後の不純ガスを取り去る工程は、ガスを、水銀放出部材4aを備えた側でない端部から抜き取る方が、水銀の減少が少なく、かつ、ばらつきが小さいので、好ましい。
実施の形態4.
図10は実施の形態4を示す図で、直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。
図3の製造工程と異なる部分のみを説明する。S80で水銀放出部材4aから水銀を放出した後、S95で単に口金を挿入する。S100の口金セメント加熱硬化工程後、S120で1時間以上のエージングを行う。これにより、使用者の初回点灯時に暗部が発生しない直管形蛍光ランプ1が得られる。上記実施の形態2の結果から、本実施の形態の直管形蛍光ランプ1も、水銀放出部材4aのない半分に存在する水銀の、水銀放出部材4aの放出前の水銀量に対する比率は、20〜80%の範囲にあると想定される。
上記実施の形態1の直管形蛍光ランプ1においても、水銀放出部材4aのない半分に存在する水銀の、水銀放出部材4aの放出前の水銀量に対する比率は、20〜80%の範囲にあると想定される。
水銀保持体の一例は、水銀放出部材4aであるが、他の例として、ガラスカプセルの内部に水銀滴が封止られたもので、ランプ内にて、水銀を加熱してガス化させガラスカプセルを割り、水銀をランプ内に放出させるものも含む。
実施の形態1を示す図で、口金取り付け前の直管形蛍光ランプ1の一部を断面で示す正面図である。 実施の形態1を示す図で、直管形蛍光ランプ1のステム3aを示す図である。 実施の形態1を示す図で、直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。 実施の形態1を示す図で、口金挿入工程におけるガラス管2の保持状態を示す図である。 実施の形態1を示す図で、エージング工程における水銀凝縮部のホットエアーによる加熱方法を示す図である。 実施の形態1を示す図で、エージング工程における水銀凝縮部のホットエアーによる加熱方法を図5とは別の角度から見た図である。 実施の形態1を示す図で、初回点灯時の中央暗部発生状況を、本発明の実施例と他のものとを比較した図である。 実施の形態2を示す図で、ガラス管2内における水銀の分布と、初回点灯時の暗い放電との関係を実験で検証した結果を示す図である。 実施の形態3を示す図で、一部を省略した直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。 実施の形態4を示す図で、直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。 直管形蛍光ランプ1の初期点灯時にランプ管の中央部が暗くなるメカニズムを示す図である。 直管形蛍光ランプ1の初期点灯時のメカニズムを示す図である。 従来の直管形蛍光ランプ1の製造工程を示す図である。 従来の直管形蛍光ランプ1の他の製造工程を示す図である。
符号の説明
1 直管形蛍光ランプ、2 ガラス管、3a ステム、3b ステム、4a 水銀放出部材、4b 金属リング、5 チップ管、6 リード線、7 チタン−水銀合金、8 フィラメント、9 支持部材、10a 冷却された保持具、10b 冷却されない保持具、21 エージング点灯機、22 加熱装置。

Claims (9)

  1. 水銀保持体を有する直管形蛍光ランプの製造方法において、
    ガラス管内の排気後、前記水銀保持体より水銀を放出させる工程と、
    ガラス管内最冷点より低い温度の冷却部材をガラス管外面の所定位置の少なくとも1箇所に当て、水銀を凝縮させる工程と、
    ランプ点灯中に凝縮水銀を蒸発させるエージング工程とを含むことを特徴とする直管形蛍光ランプの製造方法。
  2. 前記水銀保持体は、5mg以下の水銀封入量を有することを特徴とする請求項1記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  3. 前記水銀を放出させる工程は、加熱により前記水銀保持体より水銀を放出させることを特徴とする請求項1又は2記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  4. 前記エージング工程は、凝縮水銀を加熱して水銀を蒸発させることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  5. 水銀封入量が5mg以下の水銀放出部材を有する直管形蛍光ランプの製造方法において、
    ガラス管内の排気後、高周波誘導加熱により前記水銀放出部材より水銀を放出させる工程と、
    ガラス管内最冷点より低い温度の冷却部材をガラス管外面の所定位置の少なくとも1箇所に当て、水銀を凝縮させる工程と、
    ランプ点灯中に凝縮した水銀を加熱して凝縮水銀を再蒸発させるエージング工程とを含むことを特徴とする直管形蛍光ランプの製造方法。
  6. 前記冷却部材として、搬送コンベアに設けられたガラス管を保持する保持具を用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  7. 前記保持具が空になり、次にガラス管を保持するまでの間に、前記保持具を送風により冷却することを特徴とする請求項6記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  8. 前記冷却部材をガラス管外面に当て水銀を凝縮させる場合、該冷却部材付近を送風により冷却することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の直管形蛍光ランプの製造方法。
  9. 前記水銀保持体は、
    チタン−水銀合金付き金属リングと、
    水銀滴が封止されたガラスカプセルと
    のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の直管形蛍光ランプの製造方法
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