JP4624874B2 - 遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体およびその製造方法 - Google Patents
遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体およびその製造方法 Download PDFInfo
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しかし、本発明者らがこれを試してみたところ、実用化するためには解決すべき重大な技術的問題があることが判明した。すなわち、ろう付けした後に陽極酸化処理すると、同様の処理をした元のAl−Mn系合金材に比べて、肝心の遠赤外線放射特性が格段に低下することである。
このことの解決策を検討し、本発明者らは結果として以下に詳述するような新しい技術に到達した。
本発明の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体は、その構成材料としてのAl−Mn系合金中に粒子径0.01〜3.0μmのAl−Mn系金属間化合物粒子が1.0×106個/mm3以上分散しているので、陽極酸化処理することによって皮膜の明度を低くして遠赤外線放射特性を高くすることができる。
Al−Mn系合金中に存在し陽極酸化皮膜に取り込まれるAl−Mn系金属間化合物粒子として、0.01〜3.0μmのものが最も遠赤外線放射特性向上に寄与する。通常の条件のろう付け構造体では、Al−Mn系合金部のMn固溶量が多くなり、結果として0.01〜3.0μmのAl−Mn系金属間化合物粒子が少なくなる。これが、1.0×106個/mm3未満となると、陽極酸化皮膜を施しても皮膜の色の明度が高くなり遠赤外線放射特性が不十分となるため不適当である。
Al−Mn系合金:
アルミニウム合金構造体の一部を形成するAl−Mn系合金は、Mn0.9〜3.0%を含有し、残部不可避的不純物とAlからなるか、Mn0.9〜3.0%およびMg0.05〜2.0%を含有し、残部不可避的不純物とAlからなるものとする。
さらにNi0.8%、V0.3%、Zr0.3%、Cu0.8%、Zn0.8%は強度向上のために添加されていてもかまわない。
Mgが添加される場合には、材料製造時の酸化防止のためにBeが500ppm以下添加されていてもかまわない。
なお、Mgを含むAl−Mn系合金を用いる場合、ろう付け方法としては(b)(c)および(d)が好適である。
これらろう付けに用いるろう材は、ろう付け方法に合わせて適宜選択することができる。
陽極酸化処理は、硫酸浴による硫酸陽極酸化が好適であるが、これに限定されず様々な浴および電流付加方法が採用できる。陽極酸化皮膜は性能上4μm〜60μmとすることが望ましいが、処理の経済性を考えれば4〜25μmで十分な遠赤外線特性が得られる。特に、耐傷つき性が求められ表面の硬度が必要な場合に、25μmを超える厚膜の硬質陽極酸化皮膜を形成することが有効で、この場合でも遠赤外線放射材としての特性上の問題は無い。
本発明の構造体の形体として、一部が気体あるいは液体の流路を形成しているものが挙げられる。これは、たとえば加温した湯や油などを流すことにより、本発明構造体の黒色陽極酸化皮膜からの遠赤外線放射を利用した加熱や、暖房用に使用できる。また、水やこれに添加物を加えたものを含む冷却用液体を流すことにより電子機器などの冷却用などにも使用できる。
この平板2a、2bには、ブレージングシート材4a、4bのろう付後に本発明の所定の析出処理と陽極酸化処理を施される。これにより、平板2a、2bの表面は良好な特性を有する遠赤外線放射面となる。
この構造体1は流路3に水などの冷却用液体を流し、電子機器などの冷却に用いられる。また、温水などを流して、加温用の部品として用いることも可能である。
この放熱性のよいランプカバー16も、照明用、検査用、顕微鏡用やプロジェクター用のランプの温度上昇を抑制するのに効果的であり、ランプの長寿命化、ファンなどの冷却機構の簡素化に有効である。
表1に各実施例及び比較例に用いた合金の組成を示す。さらに表2に表1に示す合金その他の合金を用いて構成した各種ブレージングシートの構成を示す。以上の表1及び表2に示す合金板およびクラッド板は、DC鋳造あるいは双ロール連続鋳造、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍を組み合わせた通常の方法で作製されたものである。
特に2層クラッドとは芯材とろう材との2層構造をなすクラッド材であることを意味する。
また、表2中「片面」とは芯材の片面にろう材を付着せしめてクラッド材となす場合である。
さらに、クラッド率とはろう材層の厚みのクラッド材の全厚に対する比率である。
したがって、表2中「両面」とは芯材の両面にろう材を付着せしめてクラッド材となす場合である。
その場合のクラッド率とは各ろう材層の厚みのクラッド材の全厚に対する比率である。
また、4104合金、4343合金、4005合金はそれぞれAl−Si系合金ろう材であり、JISZ3263(1992)「アルミニウム合金ろう及びブレージングシート」の表3〜表5に示され、例えば4343合金は7.5%SiのAl合金である。
また1050合金は1000系(純Al)合金である。
なお、表1に示すMn添加量が高い合金6は、鋳造時に金属組織中に粗大な晶出物が生じて、均質な材料が得られなかったため、各種適合試験を行うまでもなく不適当と判断し、以下の各実施例及び比較例には用いなかった。
すなわちA、C、E条件ではろう付け温度から40℃/min以上の平均冷却速度での冷却が行われ、ろう凝固後は速やかに炉の冷却ゾーンあるいは大気中に取り出して室温まで冷却する処理が行われ、その後、ろう付け接合された構造体に別途加熱析出処理が施される。
まず、本発明の実施例1〜実施例3及び比較例としてノコロックろう付け(NB)により図4に示す形状の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体を作製した。これは厚さ1.2mmの平板(90×90mm)と厚さ0.3mmの波板(波高さ12mm、山間隔9mm)を用い、接合面にのみフラックスを塗布し、酸素濃度40〜60ppmの窒素雰囲気中、600℃で3min保持する条件でろう付けしたものである。表4に作製条件と特性値を示す。ろう付け後の部材は、苛性エッチングおよびデスマットの後、18〜20℃の15%硫酸浴で、1.5A/dm2の電流密度により陽極酸化処理を行った。この際の平板部での陽極酸化皮膜厚を20〜24μmとし、この部位で色調および遠赤外線放射特性を評価した。
まず、析出物の粒子径は、実施例1〜実施例3及び比較例の各々のアルミニウム合金構造体の遠赤外線放射面を形成する陽極酸化皮膜を剥離し、皮膜直下の金属組織をTEMあるいはSEMで観察し、そのTEMあるいはSEMで観察された粒子最大長さとして測定した。次に粒子径が測定された析出物の分布は0.01〜1μmの範囲の細かい粒子については、TEMにて薄膜試料とされ厚さが測定されたAl−Mn系合金中の該当する粒子数を測定して、この粒子数を単位体積中の分布数に換算した。具体的にはかかる換算は該当粒子数/(薄膜試料厚×薄膜試料面積)(単位:個/mm3)として行った。
Mn固溶量については、熱フェノール溶解ろ液分析法「文献:軽金属、Vol.50、(2000年)P.521 図5」により分析した。
陽極酸化面の色調は、ハンター法による色表示のL値で評価した。この値が低いほど色調として明度が低いことになる。
また、ろう付け加熱の冷却が速く、析出処理を施さない比較例2および析出処理温度が低く不十分な比較例3でも、黒色度および遠赤外線放射率が低い。また、比較例4のように陽極酸化処理を行わないと陽極酸化被膜が形成されず遠赤外線放射率は著しく低い。
(実施例4、実施例5、実施例6と比較例)
図2の形状の部材を、厚さ0.8mmで180mm×200mmの合金2の平板と、板厚2.4mmのクラッド材BR6からなる流路壁を組み合わせて真空ろう付けして作製した。同じく合金2の平板と、板厚2.4mmのクラッド材BR7からなる流路壁で、特開2001−300762に準じた窒素中無フラックスろう付け法および特開2002−018570に準じた大気中無フラックス重ねろう付け法で同様の部材を作製した。両者とも流体の純アルミニウム製のパイプを変形させた導入口・排出口も、ろう付けにより接合されている。
Claims (7)
- Al−Si系合金ろう材にてろう付け接合されると共に少なくとも一部がAl−Mn系合金によって構成され、そのAl−Mn系合金中に粒子径0.01〜3.0μmのAl−Mn系金属間化合物粒子が1.0×106個/mm3以上分散しており、そのAl−Mn系合金の表面にAl−Mn系金属間化合物分散粒子を取り込んだ灰色あるいは黒色の陽極酸化層が形成されたことを特徴とする遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- Al−Mn系合金が、Mn0.9〜3.0%を含有し、残部不可避的不純物とAlからなる請求項1記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- Al−Mn系合金が、Mn0.9〜3.0%およびMg0.05〜2.0%を含有し、残部不可避的不純物とAlからなる請求項1記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- Al−Mn系合金の少なくとも陽極酸化層が形成された直下の固溶Mn量が0.4%以下である請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- 構造体の一部が気体あるいは液体の流路を形成している請求項1〜請求項4のいずれか一に記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- Al−Si系合金ろう材を有するクラッドブレージングシートを用いたろう付けで接合された請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体。
- 所定のろう付け接合処理後にAl−Mn系合金中にAl−Mn系金属間化合物粒子を析出させる析出処理を350〜550℃で6min以上として行い、その後に陽極酸化処理を行うことを特徴とする請求項1〜6記載の遠赤外線放射面を有するろう付けアルミニウム合金構造体の製造方法。
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