JP4624164B2 - 継手部を一体に具えた容器及びその製法 - Google Patents
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Description
又、容器を洗浄ラインの相手接続管部材に繋ぐためには、液漏れを確実に防止するために精度良く仕上げられた継手部を介して行われる。
容器口部となるフッ素系樹脂ブロックを回転成形金型にセットし、容器胴部を回転成形する際に、該胴部と該樹脂ブロックを融着一体化する。
回転成形型から容器を取り出した後、樹脂ブロックの軸心に貫通孔加工と内ネジ加工或いは外ネジ加工を行い継手部を形成する。
予め機械加工、射出成形等によって精密に形成された継手部を上記継手部の内ネジに螺合し、或いは締付リングの内向きフランジを継手部の段部に当て、該締付リングを、上記容器継手部の外ネジに螺合して、継手部を容器継手部に取り付けるのである。
イ.継手部と容器は別体であるから、部品点数が増える。
ロ.継手部を容器に接合するために、容器側にも必ずネジ加工が必要となる。
ハ.継手部の加工と、容器側のネジ加工は別個に行なわねばならず、手間が掛かる。
ニ.継手部を容器に取り付ける手間が掛かる等、コストアップの要因が多い。
又、容器と継手部の接続部の信頼性、具体的には容器側の継手部のネジ加工等の精度不良による液漏れや、使用中のネジの緩みによる液漏れの虞れがある。従って、洗浄ラインの点検箇所が増え、ネジ部の定期的な追い締めが必要となる等、メンテナンスの手間が増える。
その製造手順は、回転成形金型に、継手部となる大型のフッ素系樹脂ブロックをセットし、胴部を回転成形する際に、該胴部と該ブロックを融着一体化する。型開き後に、胴部を保持して、樹脂ブロックに切削加工を施して継手部を形成する。
ところが、この種容器の継手部の加工性精度は、部分的には3/100mm乃至7/100mm程度の精度が要求されるが、その精度をクリヤーすることが出来なかった。
これは、フッ素系樹脂容器の剛性が、一般の樹脂容器のそれに比べて大きくても、中空の容器胴部を保持して、保持部とは離れている容器端部の樹脂ブロックに、ドリルやバイトによって切削加工を施すと、容器の加工部の振動を抑えることが出来ず、加工精度が悪くなるからである。
予め、機械加工して精度内に仕上げた継手部を、回転成形金型にセットしておき、胴部を回転成形する際に、胴部と継手部を融着一体化することも考えられる。しかし、回転成形金型を稼動させる加熱炉内の温度雰囲気や、金型冷却の際に継手部が熱変形するので、如何に精度良く継手部を形成しておいても、そのままでは到底使いものにはならず、実用には論外である。
フッ素系樹脂ブロック(30)に、ドリル、バイト等、必要な切削工具を用いて継手部(3)を形成する際、該ブロック(30)上のチャック掴み部(32)を掴んで容器(1)を保持でき、即ち、切削加工位置の近傍を掴んで、必要な切削加工ができるので、切削加工時の該ブロック(30)の振動を可及的に抑えて、高精度の切削加工が可能となる。
出願人が本発明に先立って試みた、容器胴部だけを保持して該胴部端部の樹脂ブロックに切削加工を施した場合には実現出来なかった、この種継手部として必要な精度を、請求項1の発明ではクリヤーできた。
容器胴部(2)を掴んでの樹脂ブロック(30)に対する外ネジ(35)の切削加工では、切削加工時に該胴部が振動する等により、精度の高いネジ形成は出来ないが、容器(1)を保護ケース(4)に固定するためネジ形成には、高精度のネジ加工は不要であり、この点での問題は生じない。
これによって、容器胴部(2)が熱収縮した際に、首部(21)が一種の緩衝材としての役割をなして、樹脂ブロック(30)との融着部にクラックが発生することを防止し、該融着部の引っ張り強度を高めることができる。
尚、上記案内面(36)は、該案内面(36)の中央に位置する貫通孔(36)を液体の排出口とした場合、樹脂ブロック(30)の内端面上に液体が残留することを防止するためのものである。
又、容器(1)と継手部(3)の接続部の加工精度不良による液漏れ、使用中のネジの緩みによる液漏れの不安は解消される。従って、メンテナンスでの点検箇所を減らすことができると共に、容器(1)と継手部(3)のネジ接続部に対する定期的な追い締めの労力からも開放される。
容器(1)は、全体がフッ素系樹脂にて形成され、容器胴部(2)上に、相手接続管部材(5)(5a)(5b)に接続するための1又は複数の継手部(3)(3)(3)を突設している。
実施例の容器(1)は、上端に2つの継手部(3)(3)、下端に1つの継手部(3)を有している。
上部の2つの継手部(3)(3)の内、一方の継手部(3)は、容器(1)内の液体を使用場所へ送るための管部材(5)接続用であり、他方の継手部(3)は、窒素ガス等、容器(1)内の液体に対して不活性な圧力ガスを容器(1)内に導入するための管部材(5a)接続用である。
容器(1)下端の継手部(3)は、使い残りの液を排出するための管部材(5b)接続用である。
尚、上記不活性ガスは、容器(1)内の液体の送給速度を速めたり、一定にするためのものである。
容器胴部(2)は、外部から容器(1)内の液面高さが分かる程度の乳白色半透明、継手部(3)は白色不透明である。
容器胴部(2)の肉厚は、2〜10mm程度であるが、容器(1)の大きさ、必要強度、経済性、外部から液面高さを判別できる必要性の有無等を考慮して適宜決めればよい。回転成形の場合、回転成形金型(6)への材料樹脂の投入量によって、胴部(2)の肉厚を容易に調整できる。
容器首部(21)の内面は、全周に亘って胴部から継手部(3)端面へ、断面が円弧状を呈する様に縮径しており、首部(21)内面に突出物は存在しない。
継手部(3)は、容器首部(21)の外径に対応する太さで容器首部(21)に融着するベース部(31)と、夫々ベース部(31)と同軸に形成され相手管部材(5)(5a)(5b)固定用の外ネジ(以下、「第1外ネジ(33)」と呼ぶ)及び容器(1)固定用の外ネジ(以下、「第2外ネジ(35)」)を有している。
第1外ネジ(33)は、第2外ネジ(35)よりも外側に位置し、第1外ネジ(33)は、第2外ネジ(35)よりも小径である。
各継手部(3)(3)(3)の軸心には、相手管部材(5)が貫通し、或いは相手管部材(5a)(5b)の先端部が途中まで嵌まる貫通孔(34)(34)(34)が開設されている。
ベース部(31)は、第1外ネジ(33)及び貫通孔(34)を切削形成する際に、PTFE樹脂ブロック(30)を掴むためのチャック掴み部(32)を兼用するものであって、少なくともチャックの掴み代分の長さを有している。
但し、実施例のPTFE樹脂ブロック(30)は一様太さの丸軸体であるから、切削加工前はベース部(31)と他の部分の区別は付かない。
保護ケース(4)には、適所に窓孔(45)が開設され、容器(1)内の液面高さをケース外から目視できる。
各継手部(3)の第2外ネジ(35)を含む外側部分は、保護ケース(4)から臨出しており、第2外ネジ(35)に支えリング(37)が螺合される。
支えリング(37)は、短い筒状脚部(38)と、該脚部(38)の一端に内向きフランジ(39)を突設し、フランジ(39)内面に、継手部(3)の第2外ネジ(35)に螺合する内ネジを開設している。
容器(1)の上下に突設した各継手部(3)に支えリング(37)を螺合して、脚部(38)を保護ケース(4)に当てることによって、保護ケース(4)内に容器(1)を宙吊り状態に支持している。
必要に応じて、保護ケース(4)と容器(1)との間に、弾性部材(図示せず)を介装して、保護ケース(4)内に容器(1)を一層安定して保持できる。
管部材(5)(5a)(5b)に予め嵌めておいた締付リング(52)を継手部(3)の第1外ネジ(33)に締め付けて、締付リング(52)の内向きフランジ(53)で管部材(5)(5a)(5b)の膨らみ部(50)を継手部(3)側に押圧し、管部材(5)(5a)(5b)を継手部(3)に固定する。
図3a、bに示す回転成形金型(6)を準備する。
回転成形金型(6)は、一端中央部に筒状の保持部(62)を突設し、保持部(62)の軸心を含む面で2分可能である。
図3aに示す如く、金型半体(61)に、容器胴部(2)と容器首部(21)を成形するに足りるPFA樹脂の粉末(20)を投入し、該金型半体(61)の保持部半体(62a)に、継手部(3)となるPTFE製の円柱状樹脂ブロック(30)を配置する。このとき、図6に示す如く、金型(6)の保持部(62)に対して、PTFE樹脂ブロック(30)の内側端面の位置が、保持部(62)の基端から少し先端側にずれた位置になる様に位置決めしてセットする。これは、容器胴部(2)と一体に突出高さの低い首部(21)を形成するためである。
回転支持枠(8)は、回転駆動装置(図示せず)に連繋された駆動軸(81)と、該駆動軸(81)に直交し回転成形金型(6)を支持する支持軸(82)の2軸で回転成形金型(6)を3次元的に回転させる。
成形温度は、320〜400℃が好ましく、PFA樹脂の融点である310℃、PTFE樹脂の融点である327℃よりも少し高温度の340〜380℃とすることが一層望ましい。
成形時間は2〜4時間とする。
成形温度が320℃以下では、容器胴部(2)を形成するPFA樹脂と、継手部(3)となるPTFE樹脂ブロック(30)の溶着が不十分となる。400℃を越えるとPFA樹脂とPTFE樹脂ブロック(30)の熱分解が進行し易くなる。
図6に示す如く、容器胴部(2)を形成するPFA樹脂はPTFE樹脂ブロック(30)の内側端面の外周部に環状に融着するだけで、該端面の中央部側には融着しない。これは、該端面の中央部側ではPFA樹脂と融着する温度に達しないためである。
加熱炉(7)から回転成形金型(6)を取り出して、冷却炉(図示せず)中にて冷却させると、樹脂の熱収縮によって、容器(1)が金型(6)内面から離型する。
貫通孔(34)は、相手管部材(5)に対して隙間が生じない様な孔径精度が必要である。又、相手部材(51)を貫通孔(35)の途中までしか挿通しない場合は、相手管部材に対応して要求される様な形状、例えば、孔内面に段差を設ける等、通常のドリルでは加工出来ない形状を切削加工せねばならない。
尚、図4aに示すPTFE樹脂ブロック(30)、に対する切削加工の際に、必要に応じて容器胴部(2)を、図5aに示す保持部材Yによって補助的に保持しておいてもよい。容器胴部(2)が大型になるほど、該胴部を補助的に支持した方が、切削加工を安定して精度よく行うことができる。
実施例の様に、継手部(3)が複数の場合、1つの継手部用の樹脂ブロック(30)をガス抜きパイプ挿通用に肉厚筒状体とし、他の継手部用樹脂ブロック(30)は中実体で可い。
筒状体の樹脂ブロックに対しても、前記切削加工によって、筒孔を拡げて相手管部材を挿入する貫通孔(34)を形成するから、切削加工前の樹脂ブロックが肉厚の筒状体であることに問題はない。
上記首部(21)は、容器胴部(2)と継手部(3)との融着部の引っ張り強度を高めることに寄与している。
即ち、容器回転成形の冷却工程において、容器胴部(2)が熱収縮した際に、PTFE樹脂ブロック(30)を胴部側に引っ張る力が作用する。PTFE樹脂ブロック(30)は金型(6)の保持部(62)を滑って容器(1)側に移動して、胴部(2)との間にクラックが生じることを防止する役割をなす。首部(21)が一種の緩衝材としての役割を果たして、樹脂ブロック(30)との融着部にクラックが発生することを防止したと言える。
然も、首部(21)の存在によって、PTFE樹脂ブロック(30)が容器胴部(2)の肉厚に食い込むことは防止される。
首部(21)の高さ−2.0mmの場合のみ容器胴部(2)との融着強度は、成形温度により大きく左右され、±0mm、+1.5mmでは成形温度による強度に余り差は生じない。
数値だけ見ると、首部(21)高さが±0mmの方が、首部(21)高さ+1.5mmよりも良好である。しかし、首部(21)の高さが±0mmとなる様に、PTFE樹脂ブロック(30)を回転成形金型(6)の保持部(62)にセットした場合、位置決めの誤差によって、首部(21)がマイナス高さになる虞れがあり、この場合のPTFE樹脂ブロック(30)とPFA樹脂である容器胴部(2)の融着強度の信頼性に問題が生じる。
首部(21)の高さを必要以上に大きくすることは、PFA樹脂を無駄に消費することになるだけであり、PTFE樹脂ブロック(30)との融着強度の向上に寄与しない。
以上のことから、首部(21)の高さは、0mm以上とし、望ましくは3mm以下とする。
容器胴部(2)のPTFE樹脂ブロック(30)の付け根近傍を該樹脂ブロックと同心の略円形に切り取り、試験機の挟み部材(101)(102)の間に切取り胴部(2)を挟圧保持し、PTFE樹脂ブロック(30)の軸心を貫通させた引張り治具(103)によって該樹脂ブロック(30)引っ張り、該樹脂ブロック(30)と胴部(2)の融着部が破断したときの荷重を計測した。
2.容器胴部
3.継手部
30.樹脂ブロック
32.チャック掴み部
6.回転成形金型
Claims (8)
- フッ素系樹脂の回転成形によって形成され相手接続管部材(5)(5a)(5b)に対する継手部(3)を有する容器(1)の製法であって、
回転成形金型(6)に、後工程の切削加工によって継手部(3)となり且つ該切削加工の際のチャック掴み部(32)を具えたフッ素系樹脂ブロック(30)を保持せしめておき、回転成形の際に成形される胴部(2)と前記樹脂ブロック(30)とを融着一体化させ、型開き後に、該樹脂ブロック(30)上の前記チャック掴み部(32)を掴んで、切削刃にて樹脂ブロック(30)の外周部を切削して相手接続管部材(5)(5a)(5b)に対する継手部(3)を形成した後、
容器胴部(2)を掴んで該樹脂ブロック(30)上に、容器(1)に被せる保護ケース(4)固定用の外ネジ(35)加工を行う、継手部を一体に具えた容器の製法。 - 容器胴部(2)の回転成形の際に、胴部(2)から樹脂ブロック(30)側に低く環状に突出する首部(21)が胴部(2)と一体に回転成形される請求項1に記載の、継手部を一体に具えた容器の製法。
- 樹脂ブロック(30)の容器胴部(2)側の端面には、予め樹脂ブロック(30)の軸心側に徐々に凹む案内面(36)を形成しておき、胴部(2)形成後に、樹脂ブロック(30)の軸心に貫通孔(34)を開設する請求項1又は2に記載の、継手部を一体に具えた容器の製法。
- フッ素系樹脂の回転成形によって形成された容器胴部(2)と、相手接続管部材(5)(5a)(5b)に対するフッ素系樹脂製の継手部(3)とを一体に具え、請求項1に記載の方法で製造された、継手部を一体に具えた容器。
- 保護ケース(4)に収容され継手部(3)が該保護ケース(4)から臨出している請求項4に記載の、継手部を一体に具えた容器。
- 容器胴部(2)は継手部(3)側に突出高さの低い環状の首部(21)が形成され、該首部(21)が継手部(3)に融着して一体に繋がっている請求項4又は5に記載の、継手部を一体に具えた容器。
- フッ素系樹脂ブロック(30)の内端面は、該ブロック(30)の軸心に向けて徐々に凹んでいる請求項4乃至6の何れかに記載の、継手部を一体に具えた容器。
- 容器胴部(2)は、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、継手部(3)は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にて形成されている請求項4乃至7の何れかに記載の、継手部を一体に具えた容器。
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