JP4619772B2 - 事業用航空機客室内の少なくとも一つの乗客用シートに設けられる安全および情報装置の配置構成 - Google Patents

Description

本発明は公の輸送機関における情報信号(signalling)に関する。特に本発明は、航空機の客室内の少なくとも一つの乗客用シートに設けられる安全および情報装置の配置構成に関する。

そうした乗り物においては、おそらく、いくつかの乗客用シートが、少なくとも一つの前後方向通路に沿って客室内に配置され、かつおそらく、シート情報を表示するための表示要素が個々の通路側シートに配置される。

公の輸送機関、たとえばバスおよび路面電車においては、加速度力の影響を受けて乗客が倒れないようにするため、立っている乗客にさまざまな把持要素を提供することは一般的慣例である。たとえば、多くの輸送車両は、天井から吊られたハンドル、あるいは床またはバックレストと天井とをつなぐ把持ロッドを備える。このタイプの把持要素は、地上輸送車両では標準的な設備であると考えられるが、航空機には装備されない。なぜなら、この場合、たいてい、付随する拘束手段（たとえばシートベルト）を備えたシートが、乗客個々および搭乗員各メンバーにとって利用可能であるからである。だが、事業用航空機(commercial aircraft)に関しては、割り当てられたシートに着座していない人は、たとえば航空機が乱気流に遭遇した際に負傷のリスクにさらされる。搭乗員に加えて、乗員も飛行中、たとえば血液の流れをよくするため、あるいは洗面所を使用するために通路を使用することがある。数人の乗客は、特に長距離飛行中、頻繁に通路に立つが、航空機は、相応の高い高度を飛行する場合、警告なしで激しいせん断気流(shear currents)または鉛直気流（いわゆる「クリーンエア乱気流」）を伴う領域に遭遇することがある。これは、そうした場合に保護されておらず、しかも加速度力を受ける、通路に立っている人にとって特に危険である。

この安全性の観点から離れて、シート列および個々の列のシートを識別するための表示要素を備えた一般に使用されている乗客情報システムは、搭乗中、航空機乗客にとって位置を突き止めるのに困難を伴うものである。この理由は、このタイプの従来型表示要素はたいてい、対応するシートとの直接の関連付けが不可能であり、かつ表示された情報を読むために乗客が体を曲げる必要があるように、シート上で荷物入れの真下に配置されるという事実に見出すことができる。客室用情報システムは既に特許文献１から公知である。この場合、改善されたシート情報を提供するために各席専用の表示要素がよく目につくようにシートに配置される。だが、この解決法には、何らかのタイプの安全手段を用意することについての言及がない。
ＤＥ １００ ５２ ５９４

本発明の目的は、飛行中通路に立っている人の安全性を向上させることが可能であるだけでなく、乗客のためのシート情報の表示を改善することが可能であるよう、事業用航空機の客室内の乗客用シートに設けられる安全および情報装置を提供することである。これは、乗客の快適さを向上させるための二つの重要な機能が、少ない費用で実現可能であることを意味する。

初めに言及したタイプの配置構成について、この目的は、請求項１に開示された特徴によって達成される。

この点で、ハンドル要素の形態の把持構造体からなる、組み合わされた安全および情報装置が通路側シートに設けられることはおそらく有益である。ここで本発明に特有の利点は、安全機能と情報機能とを組み合わせて単一の装置とした点に見出すことができる。これによって、航空機が飛行中に乱気流に遭遇した場合、乗客が負傷するリスクを低減できる。ハンドル形態のそうした安全装置が設けられた場合、乗客は制御不可能な形で加速度力の影響を受けることがなくなる。表示要素のよく目につく配置構成によって達成される航空機へのより迅速な搭乗は、さらに航空機の輸送往復時間を低減する。アクシデントを抑止することにより、航空会社にとっての間接的コストを低減でき、しかもより短い輸送往復時間は、さらに経済的な航空交通をもたらす。これによって、航空機客室内の本発明による装置の配置構成は、さらにいっそう魅力的なものとなる。

本発明の追加的な展開は従属請求項２〜１０に開示されている。本発明の他の利点は、以下で、図１ないし図４を参照して説明する。

各図に示されている本発明の実施形態において、個々の要素は、全ての図において同じ参照符号を用いてそれぞれに識別される。

図１は、事業用航空機の客室内の少なくとも一つの乗客用シート１に設けられる安全および情報装置１０の配置構成を示す。ここで、いくつかの乗客用シートが、少なくとも１本の前後方向通路４に沿って客室内に配置されている。シート情報を提供する表示要素３１は通路側シートに、好ましくはバックレストの上側端部１２の領域に配置される。ハンドル要素２の形態の把持構造体は、乗客用シート１の上側端部１２に配置され、かつ表示要素３１と組み合わせられる。ハンドル要素２は、凹状グリップ２１およびハンドル２２からなる。乗客に情報を提供するための表示パネル３は、ハンドル２２に埋め込まれる。

特に、表示要素３１は、シート列および個々のシートを識別するために設けられる。図面に示される矢印は、バックレスト内張り１１の部分が観察者の方を向くように航空機の飛行方向を指し示している。乗客用シート１の側面端部１２は、通路側のその上側セクションにおいてハンドル要素２を収容する。これは、乗客がハンドル２２につかまるのを可能とするだけでなく、乗客が表示パネル３に表示された情報を読むことを可能にする。この配置構成関して、ハンドル要素２は、乗客にとって最も手が届きやすくかつ認識可能なポジションに配置される。個々の要求に応じて、ハンドル２２は、取付け要素２３の助けによって取り付けることもでき、あるいはハンドル２２および凹状グリップ２１が一体式ユニットを形成してもよい。たとえばフランジ付きシートスチールまたは高強度プラスチックからなる成形部品２４は、ハンドル２２に作用する力をシート１のバックレスト構造体１３へ伝達するために設けられる。成形部品２４はハンドル２２に直接取り付けられるか、あるいは凹状グリップ２１と一体で形成される。ある好ましい実施形態では、表示パネル３は、照明ディスプレイに出現する電子シグナルを利用する。必要なケーブル接続部は、シートに沿って航空機客室の（図示していない）客室床から上方に延在可能である。この場合には、電子シグナルの潜在的選択肢を十分に使用可能である。すなわち、シート情報（列、シート）を提供する固定表示を実現すること、乗客への最新の指示（たとえばシートベルト着用）を表示すること、シートからシートへと伝わりかつ非常用脱出ルートを指し示す明滅ライト(blinking light)を実現すること、あるいは非常用照明要素として表示要素を使用することが可能である。

図示していない本発明の他の代表的実施形態においては、表示パネル３はハンドル２２に埋め込まれず、通路４に面する凹部フランジ２５に埋め込まれる。この場合、フランジ２５は、しかしながら容易に具現化できる相応の拡幅部を備えていなければならないであろう。この実施形態の一例を図２に示す。

図２は乗客用シート１の背面図である。ハンドル要素２およびバックレスト構造体１３を備えた乗客用シート１は後方から見た状態で示されており、ハンドル要素２は、第二の変形例である拡幅された凹部フランジ２５と共に示されている。凹部フランジ２５は、凹状グリップ２１の耐久性のある取り付けを実現するため、取付け要素または接着によってバックレスト構造体１３に取り付けることができる。あるいは、凹状グリップ２１およびバックレスト構造体１３は、たとえば成形部品の形態で一体構造をなしてもよい。図ではバックレスト構造体１３はフランジ（一点鎖線で示す）を備えるが、このフランジは、ハンドル要素に加えられる力が、成形部品２４およびハンドル２２と共にシート構造体へ伝達されることを保証する。この力の伝達に関して、もちろん別の解決策、たとえばバックレスト構造体１３の上記一体設計を採用することもできるであろう。図２において、凹部フランジ２５は、付加的な表示要素を収容するため下部領域において広げられている。これら付加的な表示要素は、たとえば、緊急時に最も近い機体開口部へのルートを指し示す明滅ライト２９からなる。緊急事態／脱出ルート照明装置を実現するのに役立つ要素２９１を設けることもまた考えられるであろう。

図３は、正面および上方から見た、本発明による装置を通る断面を示す。正面図は、ハンドル要素２が、通路４の領域で自由通路断面の障害物となっていないことを示す。なぜなら、ハンドルの輪郭はシートの縁に概ね対応しているからである。上面図は、凹状グリップ２１およびハンドル２２のそれぞれに容易に手が届くことを示している（手を点線で示す）。矢印は航空機の飛行方向を指す。上面図はまた、図２を用いて上で言及したように、一体成形部品の形態のバックレスト構造体１３および凹状グリップ２１を具現化する有利な選択肢を明らかにしている。

図４はハンドル２２を通る断面を示す。通路４に面する外面２７は、表示パネル３を収容するため、平坦なまたはわずかに湾曲した様態で具現化されている。対照的に、ハンドルの内面２８は人間工学的に湾曲した輪郭を有する。適切な保持状態を実現するため、本発明ではまた、ハンドル２２を、わずかな弾力性を持つ、ハンドル用として適当なプラスチック材２６から製造することを提案する。必要とあれば、ハンドル２２に加えられる力をバックレスト構造体１３に伝達するために、成形部品（たとえばフランジ付きスチールシート）２４がハンドル２２の内部に設けられる。さらに成形部品２４は、ハンドルコンポーネント２１および２２が相応の剛性を有する場合には省略可能である。

「具備する(comprising)」という言葉が、他の構成要素またはステップを排除するものではないこと、そして「一つ(aまたはan)」が複数となる余地を与えないわけではないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連して説明した構成要素は組み合わせられてもよい。

また、請求項の参照符号(reference signs)は請求範囲の限定として解釈されない、ということに留意されたい。

安全および情報装置の配置構成の正面から見た斜視図である。 本発明による配置構成の背面から見た斜視図である。 乗客用シートの正面から見た断面図および上から見た断面図である。 本発明によるハンドルの断面図である。

符号の説明

１ 乗客用シート
２ ハンドル要素
３ 表示パネル
４ 通路
１０ 安全および情報装置
１１ バックレスト内張り
１２ 側面端部／シート端部
１３ （シート）バックレスト構造体
２１ 凹状グリップ
２２ ハンドル
２３ 取付け要素
２４ 成形部品
２５ 凹部フランジ
２６ プラスチック材
２７ ハンドルの外面
２８ ハンドルの内面
２９ 明滅ライト
３１ 表示要素
２９１ 非常用照明

Claims (10)

1. 事業用航空機の客室内の少なくとも一つの乗客用シートに設けられる安全および情報装置の配置構成であって、複数の乗客用シートが、少なくとも一つの前後方向通路に沿って前記客室内に配列されており、前記安全および情報装置は、
   前記通路に面する前記乗客用シートの上側側面端部の領域において前記乗客用シートに配置されたハンドル要素と、
   乗客に情報を提供するための表示要素と、を具備し、
   前記ハンドル要素は、凹部と、前記凹部に取り付けられたハンドルと、を備えた凹状グリップ部分の形態を有し、
   前記表示要素は、前記ハンドルの外面又は、前記通路に面する前記凹状グリップ部分のフランジ部分に配置されていることを特徴とする安全および情報装置の配置構成。
2. 前記表示要素は表示パネルに配されており、前記表示パネルは、前記ハンドルの外面又は、前記通路に面する前記フランジ部分に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の配置構成。
3. 前記ハンドルは、取付け要素によって前記凹状グリップ部分に取り外し可能に連結されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の配置構成。
4. 前記ハンドルおよび前記凹状グリップ部分は、一つの一体式コンポーネントの形態で具現化されていることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の配置構成。
5. 前記ハンドル要素に作用している力を前記ハンドル要素からバックレスト構造体へ伝達するように、前記凹状グリップ部分および前記ハンドルの一つから延在している成形部品が、前記乗客用シートのバックレスト構造体に接続されていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の配置構成。
6. 前記ハンドル要素に作用している力を前記ハンドル要素からバックレスト構造体へ伝達するように、前記凹状グリップ部分の前記フランジ部分が前記乗客用シートのバックレスト構造体に接続されていることを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれか１項に記載の配置構成。
7. 前記凹状グリップ部分はバックレスト構造体の一体式コンポーネントを形成していることを特徴とする請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載の配置構成。
8. 前記ハンドルの外面は平坦であると共に前記ハンドルの内面は人間工学的に湾曲しており、かつ前記ハンドルはハンドルのためのプラスチック材料からなることを特徴とする請求項１ないし請求項７のいずれか１項に記載の配置構成。
9. 表示パネルは、列標識およびシート標識および、必要とあれば、たとえば、乗客のための最新の指示および警告のような他の情報を表示するための照明ディスプレイの形態で、および／またはシートからシートへと伝わり非常時の脱出ルートに関する方向情報を提供する明滅ライトの形態で、表示要素とともに具現化されていることを特徴とする請求項１ないし請求項８のいずれか１項に記載の配置構成。
10. 前記凹部フランジ部分は、たとえば明滅ライトまたは非常用照明要素のような表示要素を収めるための表面を含むことを特徴とする請求項１ないし請求項９のいずれか１項に記載の配置構成。

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