JP4616425B2 - インクジェット印字システム用インク配送システム - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに関し、更に詳細には、静止インク供給源付き走査印字ヘッドを有するインクジェットプリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
プリンタ、図形プロッタ、ファクシミリ機、および複写機のような感熱式インクジェットハードコピー装置は、広く受け入れられてきた。これらハードコピー装置は、Ｏutput Ｈardcopy Ｄevicesの（サンディエゴのアカデミック・プレス1988年発行、Ｒ.Ｃ.ＤurbeckおよびＳ.Ｓherr 編集）の第13章「インクジェット装置」にＷ.Ｊ.ＬloydおよびＨ.Ｔ.Ｔaub により、および米国特許第4,490,728 号および第4,313,684 号に説明されている。この技術の基本は更に、ヒューレット・パッカード・ジャーナルの幾つかの号［Ｖol.36,Ｎo.5（Ｍay 1985），Ｖol.39,Ｎo.4（Ａugust 1988），Ｖol.39,Ｎo.5（Ｏctober 1988），Ｖol.43,Ｎo.4（Ａugust 1992），Ｖol.43,Ｎo.6（Ｄecember 1992）， およびＶol.43,Ｎo.4（Ｆebruary 1994）の色々な論文に記されており、それらを参照により本明細書に取り込む。インクジェットハードコピー装置は、高品質のプリントを生成し、コンパクトで持運びでき、且つインクが紙を叩くだけなので素早く静かに印刷を行う。
【０００３】
インクジェットプリンタは、印刷媒体について規定された配列の特定の場所に、個別ドットのパターンを印刷することにより、印刷画像を形成する。その場所は直線配列を成す小さいドットであるように便利に目に見えるようになっている。これらの場所を、時に「ドット場所」、「ドット位置」、または「画素」という。したがって、印刷動作は、ドット場所のパターンをインクのドットで埋めることと見なすことができる。
【０００４】
インクジェットハードコピー装置は、非常に小さいインク滴を印刷媒体上に放出することによりドットを印刷し、通常、各々がインク放出ノズルを有する一つ以上の印字ヘッドを支持する可動キャリッジを備える。キャリッジは、印刷媒体の表面上を通過し、ノズルは、インク滴をマイクロコンピュータまたは他の制御器の命令に従って、適切な時機に放出するよう制御され、インク滴を加えるタイミングは、印刷される画像の画素のパターンに対応させるよう意図されている。
【０００５】
通常のインクジェット印字ヘッド（すなわち、シリコン基板、基板上に構成された構造、および基板との接続）は、液体インク（すなわち、溶解着色剤または溶媒内に分散した顔料）を使用している。該印字ヘッドは、液体インクをインク溜めから受け取るインク放出室の配列を組み込んだ印字ヘッド基板に取付けられた、精密に形成されたオリフィスまたはノズルの配列を備える。各室は、インクが室とノズルとの間に集まることができるように、ノズルと反対に配置される。インク滴の放出は通常、マイクロプロセッサの制御下で行われ、その信号は、電気線路により抵抗器素子に伝えられる。電気的印字パルスが、インクジェット発射室の抵抗器を加熱すると、それに隣接したインクの小部分が蒸発し、インク滴を印字ヘッドから放出する。正しく配列されたノズルは、ドット行列パターンを形成する。各ノズルの動作を正しい順序で行うと、印字ヘッドが紙を通過するにつれて、紙の上に文字または画像が印刷される。
【０００６】
ノズルを備えたインクカートリッジは、その上に印刷しようとする媒体の幅を横断して繰り返し移動する。媒体を横断するこの移動の増分の指定数ごとに、各ノズルは、制御マイクロプロセッサのプログラム出力に従って、インクを放出またはインクの放出を抑制せしめられる。媒体を横断する移動が完了するごとに、インクカートリッジの列に配列されたノズルの数に、ノズル中心間の距離を乗じた程の広さの帯を印刷することができる。このような移動または帯が完了するごとに、媒体は帯の幅だけ前進し、インクカートリッジは次の帯を始める。信号の選択およびタイミングを正しくすることにより、媒体上に所要プリントが得られる。
【０００７】
カラー・インクジェットハードコピー装置は普通、色の完全スペクトルを発生するのに、プリンタのキャリッジに取付けた複数の、通常は２個か４個の印字カートリッジを採用している。４個のカートリッジを有するプリンタでは、各印字カートリッジは、普通使用される基本色をシアン、マゼンタ、黄、および黒として、別々の色のインクを備える。２個のカートリッジを有するプリンタでは、一つのカートリッジに通常、黒インクが入っており、他のカートリッジは、基本色のシアン、マゼンタ、および黄のインクが入っている、３区画カートリッジである。基本色は、所要色のインク滴をドット場所に堆積させることにより媒体上で作られるが、二次色または濃淡色は、別々の基本色のインクの多数の滴を同じドット場所に堆積させることにより形成され、二つ以上の基本色を重ね印刷することにより、十分に確立されている光学原理に従って二次色が作られる。
【０００８】
パーソナルコンピュータ用プリンタおよびファックス機のような、多数の用途の場合、インク溜めが、ペン本体に組み込まれるので、ペンのインクが尽きると、印字ヘッドを含むペン全体が交換される。
【０００９】
しかし、工学図面、カラーポスタ、などの大型描画のような他のハードコピー用途の場合、交換可能なペンの中に入れることができるよりはるかに大きい体積のインクを使用するという必要性が存在する。したがって、最近、管を介して走査カートリッジに接続された外部静止インク供給源を提供する、種々の盤外インク溜めシステムが開発されてきている。外部インク供給源は通常、「軸外」、「盤外」、または「キャリッジ外」インク供給源と言われる。インク容量が大きくなるが、これらキャリッジ外システムには多数の問題も存在する。キャリッジ外インク溜めおよび配管用の空間を必要とすることが、プリンタの大きさに影響し、その結果コストが上昇する。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
これら色々の問題には、印字カートリッジ内のインク圧力の不要な変動、印字カートリッジと外部インク供給源との間の流体シールの不確実さおよび複雑さ、印字カートリッジへの外部インク供給源の接続によるプリンタの大きさの増大、インク配送システムの詰まり、印字カートリッジに至る管の内部の空気の蓄積、インクの漏れ、高価格、および複雑さなどがある。
【００１１】
更に重要なのは、新しい軸外構成の印字カートリッジの溜めの中の内部インク容量が、非常に小さいことである。新しい印字カートリッジを製造する都度、自動印字品質テスタ（ＡＰＱＴ）により、印字カートリッジを動作させる必要がある。これにより、製造業者は、最低品質規格を満たすことができないカートリッジをふるい落とすことができる。この試験にはインクを使用する必要がある。インクを使用する別の生産ラインプロセスには、ノズルのダウンフラッシュ、湿り発射、および再印刷がある。新しい軸外カートリッジ構成の場合、内部で利用できるインクの量は、ＡＰＱＴ試験を通じてそれを行うのに、および他のインク使用に十分でないことがある。
【００１２】
プリンタに設置する前には、カートリッジは輸送および保管の状態にある。したがつて、入口ポートを潤滑し保護する手段を設けることも必要である。特に、ポートを乾燥、インク漏れ、および空気流入から保護すべきである。
【００１３】
必要なのは、印字カートリッジに、外側大気からのシール、従順性、および印字カートリッジ用補助インク源を与えるように、インク補給のために印字カートリッジの入口ポートに解放自在に且つ流体的に接続する流体継手である。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、印字カートリッジの入口ポートに解放自在に且つ流体的に接続する流体継手を提供する。流体継手は、印字カートリッジが輸送および保管状態にある間、印字カートリッジのシールおよび入口ポートを潤滑し、乾燥、インク漏れ、および空気流入から保護する手段として動作する。流体継手はまた、印字カートリッジ用補助インク溜めを提供する。流体継手は更に、外部インク供給源から印字ヘツドへのインク導管を提供する。
【００１５】
本発明の流体アダプタは、走査キャリッジに挿入される交換可能な印字カートリッジを備えたインクジェットプリンタに有利に利用される。印字カートリッジの流体相互接続部が、印字カートリッジをキャリッジに挿入して、外部インク源と印字カートリッジとの間の流体接続を完成すると、キャリッジの流体相互接続部と接続される。流体相互接続は、印字カートリッジとインク管との間で、単に印字カートリッジを走査キャリッジの区画の中に配置することにより行われる。圧力調整器が、印字カートリッジの内部でも外部でもよいが、外部インク源から印字カートリッジまでのインクの流れを調整する。外部インク源を加圧してもよいし、加圧しなくてもよい。
【００１６】
本発明は、ハウジングと、ハウジングに固定されてインク滴を媒体上に放出する印字ヘッドと、ハウジング内部に配置された調整器と、印字ヘッドに補給するためのインク源と、インク源と弁入口を接続するためのインク通路とを含む、インクジェット印字システムのインク配送システムである。調整器は、入口および出口を有し、出口が印字ヘッドと流体連通している弁と、印字カートリッジ内部にあって、基準表面およびインク表面を有する柔軟部材であって、基準表面は外側大気と連通し、インク表面は印字ヘッドと流体接続し、外側大気と印字ヘッドとの間の圧力差により、インク表面の方に片寄せられる柔軟部材と、柔軟部材のインク表面から力を受け、基準表面と外側大気との間の差圧に基づき弁を作動させるアクチュエータとを備える。
【００１７】
【発明の実施の形態】
図１は本発明の種々の特徴を取り入れた、そのカバーを取り外した状態の、インクジェットプリンタ10の一実施例の斜視図である。一般に、プリンタ10は未使用の紙を保持するトレー12を備える。印刷動作を開始すると、トレー12からの紙のシートが、シートフィーダを使用してプリンタ10に送られ、次にＵ方向に回って今度はトレー12に向かって反対方向に進む。シートは印刷領域14で停止し、一つ以上の印字カートリッジ18を備える走査キャリッジ16がシートを横断して走査され、シート上にインクの帯を印刷する。
【００１８】
単一走査または多数走査の後、シートを通常のステッパモータおよび送りローラ20を使用して、印刷領域14内の次の位置まで歩進的にシフトさせ、キャリッジ16が再びシートを横断して走査し、次のインク帯を印刷する。シートへの印刷が終了すると、シートをトレー12の上方位置まで前進させ、その位置に保持してインクを確実に乾燥させてから解放する。
【００１９】
代替実施例のプリンタは、プリンタ10の背部に配置された出力トレーを有するものであり、紙シートは、Ｕ方向に送り返されることなく、印刷領域14を通して送られる。
【００２０】
キャリッジ16の走査機構は通常のものでよく、一般に、キャリッジ16がそれに沿って滑る滑り棒22、およびキャリッジ16にある光検出器により光学的に検出されて、キャリッジ16を精密に位置決めするための符号ストリップ24を備える。ステッパモータ（図示せず）は、通常の駆動ベルト及びプーリ装置を使用してキャリッジ16に接続されるが、キャリッジ16を印刷領域14を横断して移動させるのに使用される。
【００２１】
インクジェットプリンタ10および本明細書に記した他のインクジェットプリンタの斬新な特徴は、印字カートリッジ18へと、結局は印字ヘッドのインク放出室へとインクを供給するインク配送システムに関連する。このインク配送システムは、交換可能なインク供給カートリッジ31、32、33、および34を備えた軸外インク供給ステーション30を備えており、これらは加圧されていても大気圧であってもよい。カラープリンタの場合、通常は黒インク、黄インク、マゼンタインク、およびシアンインクに対して別々のインク供給カートリッジが存在する。
【００２２】
４本の管36が、インクを交換可能なインク供給源カートリッジ31-34から４個の印字カートリッジ18に運ぶ。
【００２３】
軸外インク供給源、走査キャリッジ、および印字カートリッジの種々の実施例を本明細書で説明する。
【００２４】
図２は、図１に示したものと非常に良く似ているが、紙トレーを取り外した他のプリンタ10の俯瞰図である。図示のように、電気コネクタ37が、プリンタ10とパーソナルコンピュータとの間に接続される。種々の図を通じて同じ番号で識別する要素は同じである。
【００２５】
図３は、代替実施例のプリンタ40のインク配送システムを示す。この実施例の場合、図示のように、４個の交換可能なインク供給源カートリッジ42-45が、走査キャリッジ48の上方の固定ステーション46に配置される。ステーション46のこの特定の場所およびインク供給カートリッジ42-45の水平配置の結果として、プリンタ40の内部の利用可能な空間を効率良く利用できることになる。他の実施例の場合、ステーション46を、プリンタ40の内部のどこにでも垂直に配置することもできる。
【００２６】
図示のように、単一印字カートリッジ50がキャリッジ48に配置される。４本の管36は、各々インク供給カートリッジ42-45に接続されるが、キャリッジ48の四つの区画の各々について、ゴム隔壁52で流体連通している。各印字カートリッジ50の一部として形成される中空針60（図４）は、印字カートリッジ50をキャリッジ48の内部のその関連隔壁に押し込むと、ゴム隔壁52を貫いて挿入されるので、特定のインク供給カートリッジ42-45と特定の印字カートリッジ50との間に、印字カートリッジ50にインク供給を行う流体連通経路が存在する。
【００２７】
紙のシートは、プリンタ40の底部を通って矢印53の方向に入り、次にＵ方向に案内されて戻り、印刷領域14を通って矢印54の方向に移動する。キャリッジ48は次に、印刷領域14を横断して走査して、シート上に印刷する。他の実施例の場合、紙のシートは矢印53の方向で印刷領域14に入る。
【００２８】
図４は、キャリッジ48を見上げる斜視図であり、印字カートリッジ50および隔壁52を断面で示している。この断面図では、穴65を開閉することにより圧力を調整する、印字カートリッジ50内の調整弁は示されていない。キャリッジ48の下部にある開口が、各印字カートリッジ50の印字ヘッド位置58を露出させる。キャリッジ電極49が、印字カートリッジ50に配置された接触パッドに対向している。
【００２９】
前述の調整弁が開くと、中空針60が、印字カートリッジ50の内部のインク室61と流体連通する。中空針60は、隔壁52の中心を貫いて形成された自己封止スリットを通して延伸している。この自己封止スリットは、針60を取り外すと、ゴム隔壁52の弾力により自動的に封止される。
【００３０】
プラスチックのインク導管62が、針60から穴65を経てインク室61に達している。導管62は、印字カートリッジ本体と一体にすることもできる。導管62は、印字カートリッジ本体に、糊付け、熱かしめ、超音波溶接、または別様で固定することができる。
【００３１】
インクは、プラスチック多岐管66に接続される管36により、キャリッジ48に供給される。管36は、Ｓaran^TMのような塩化ポリビニリデン（ＰＶＤＣ）、または他の適切なプラスチックで形成することができる。管36は、非常に柔軟なポリマ材料で形成し、ＰＶＤＣに浸漬して管による空気の拡散を減らすこともできる。好適実施例の場合、非加圧インク管36の内径は約1.5-2.5mm であるが、加圧インク管36の内径は約1-1.5mm である。多岐管66は、インク流をそれぞれ90°方向を向けなおす。このような多岐管66は、管36が十分細長く座屈せずに曲げることができれば、不要であろう。加圧軸外インク源（後で説明する）は、このような細長い管を使用する。多岐管66の代替例として、熱形成管からモールドまたは成形された一連のエルボがある。
【００３２】
隔壁エルボ71が、インクを多岐管66から隔壁52に経路指定し、隔壁52を支持する。隔壁52は、クリンプキャップ73を使用して、エルボ71に固定される。
【００３３】
ベロー67（断面で示してある）が、各個別の区画68に設けられて、針60を隔壁52に挿入したとき、隔壁52をｘ、ｙ、およびｚ方向に或る程度移動可能にして、針60にかかるｘ、ｙ、およびｚ方向の負荷を最小にし、針60の周りに液密および気密シールを確保する。ベロー67は、ブチルゴム、高アクロルニトリルのニトリルゴム、または他の、蒸気および空気伝達性の低い柔軟材料から形成することができる。ベロー67は、どんな長さにすることもでき、柔軟ダイアフラムにさえすることができる。
【００３４】
ばね70が隔壁52を上方に押す。これにより、隔壁52がｚ公差を大きくし、針60にかかる負荷を最小にし、針60の周りに緊密なシールを確保することが可能となる。
【００３５】
キャリッジ48の各区画68に形成されたスロット72は、各印字カートリッジ50のタブと整列して、区画68内での印字カートリッジ50の移動を制限する。
【００３６】
印字カートリッジ50の頂部に形成された排気口74は、印字カートリッジ50の圧力調整器により使用されるが、後で説明することにする。代替実施例の場合、別々の調整器を、軸外インク源と各印字カートリッジ50との間に接続することができる。
【００３７】
図５は、キャリッジ48を俯瞰するキャリッジ48の斜視図であり、配置された一つの印字カートリッジ50を示している。
【００３８】
図６−図９に示した他の実施例の場合、ベロー67が、Ｕ形、円形、または真直ぐの柔軟な管で置換えられている。
【００３９】
図６は、エルボ71と多岐管66との間に接続された円形の柔軟管63を示す。
【００４０】
図７は、管63を組み込んだキャリッジ16の上面図である。
【００４１】
図８に示す他の実施例の場合、多岐管66はなく、管63は管36（またはその一部）に接続される。管63を案内するのに、プラスチックガイド64を使用することができる。
【００４２】
図９では、管36は、コイル状に巻かれずに、隔壁52を支持している剛いプラスチックエルボ71に直接接続される。
【００４３】
所望であれば、手動またはばね負荷とすることができる個別ラッチにより、走査キャリッジ内部に固定することができ、この場合ラッチは、印字カートリッジのタブまたは隅に押し下げる。他の実施例の場合、蝶番式バーのような単一ラッチが、４個のすべての印字カートリッジをキャリッジ内部の所定位置に固定する。
【００４４】
図１０は、図４に関して説明した、多岐管66、管36、クリンプキャップ73、隔壁52、隔壁エルボ71、ばね70、およびエルボ67の詳細図である。管36用の応力解放器77も図示されている。
【００４５】
図１１は、印字カートリッジ50の一実施例の斜視図である。覆い76（図５にも図示してある）が、針60（覆い76により隠されている）を囲み、印字カートリッジ50をキャリッジ48に配置したとき、針60に不注意に接触するのを防止するとともに、隔壁52（図４）と針60との整列を補助する。
【００４６】
符号付きタブ79が、キャリッジ区画68の符号付きスロットと整列して、正しいカラー印字カートリッジ50が、正しい区画68に確実に配置されるようにする。他の実施例の場合、符号付きタブ79は覆い76に配置される。
【００４７】
印字ヘッド基板に至る接触パッド86を備える柔軟テープ80が、印字カートリッジ50に固定される。これら接触パッド86は、キャリッジ48にある電極49（図４）と整列し、これと電気的に接触している。好適には、キャリッジ48にある電極は、印字カートリッジ50の方に弾力的に片寄せられ、信頼性の良い接触を確保している。このようなキャリッジ電極は、Ｊeffrey Ｔhoman他による「Datum Formation for Improved Alignment of Multiple Nozzle Members in a Orinter（プリンタの多数ノズル部材の整列を改良するためのデータム形成）」と称する、本出願人による米国特許第5,408,746 号に見出され、この特許を参照により本明細書に組み込む。
【００４８】
印字ヘッドノズル配列は場所58にある。集積回路チップ78が、印字カートリッジ50の幾つかのパラメータに関して、プリンタにフィードバックを行う。
【００４９】
図１２は、印字カートリッジ50の下側を示す。図示のように、平行な２列の偏りノズル82が、テープ80を貫いてレーザ融除される。インク充填穴81を利用して、初期に印字カートリッジ50にインクが充填される。ストッパ（図示せず）は、初期充填後に、穴81を永久的にシールしようとするものである。
【００５０】
図１３は、テープ80がなく、図１１の線５Ｃ−５Ｃに沿ってとった、印字カートリッジ50の断面図である。図示のように、覆い76は、隔壁52を受け、隔壁52を針60に対して中心付ける、内部円錐形または先細の部分75を有している。代替実施例の場合、針60は別々の部分組立体の一部であり、覆い76は別々の部分組立体であり、それは、製造しやすくするためと、カラーキータブが覆いに配置されると仮定すると、覆いを変えることによりカラーキーを変えることができるようにするためである。
【００５１】
上述の印字カートリッジおよびインク源接続は、印字カートリッジをキャリッジ内に押し下げるときインク接続が行われる、押し下げ接続式のものである。これにより、インク経路が印字カートリッジの上方に突出しないので、得られるプリンタを極めて低背型にすることができる。印字カートリッジから突出した針を有する図示した実施例の場合、針を隔壁で置換ることができ、走査キャリッジの隔壁を中空針で置換ることができる。
【００５２】
図１４、図１５、および図１６は、印字ヘッド組立体83の基本原理を示す。印字ヘッド組立体83は、好適には、内部にレーザ融除により形成されたノズル82を有する柔軟なポリマテープ80（図１２）である。導体84（図１５）が、テープ80の裏面に形成され、キャリッジ48の電極と接触するための接触パッド86に終端する。導体84の他端は、種々のインク放出室およびインク放出素子が形成される基板88の端子に、窓87を通して接合される（図１５）。インク放出素子は、ヒータ抵抗器または圧電要素とすることができる。印字ヘッド組立体は、Ｂrian Ｋeefe他による「Ink Delivery System for an Inkjet Printhead（インクジェット印字ヘッド用インク配送システム）」と称する、本出願人による米国特許第5,278,584 号に記載されているものと同じである。尚、この特許を参照により本明細書に組み込む。このような印字ヘッド組立体の場合、印字カートリッジ50内のインクは、長方形基板88の縁の周りを流れ、各インク放出室に至るインク溝90に流入する。
【００５３】
図１６は、印字カートリッジ50内のインク室61からインク放出室94までのインク92の流れを示す。インク放出素子96および98を付勢すると、インク滴101、102が関連ノズル82を介して放出される。ホトレジスト障壁層104が、インク溝およびインク室を形成し、接着剤層106が、柔軟テープ80を障壁層104に固定する。他の接着剤108によって、テープ80とプラスチック印字カートリッジ本体110との間のシールが与えられる。一実施例の場合、壁112が、基板88の二つの縁の周りのインク経路を分離し、異なる色のインクが壁112の両側に供給される。
【００５４】
柔軟テープ80の導体部分は、印字カートリッジ本体110に、糊付けまたは熱かしめされる。
【００５５】
基板88上のデマルチプレクサが、接触パッド86に加えられた到来電気信号を多重分離し、印字ヘッド79が印刷領域を横断して走査する際に、種々のインク放出素子を選択的に付勢して、ノズル82からインク滴を放出させる。一実施例の場合、インチあたりのドット（dpi）解像度は300dpiであり、300個のノズル82が存在する。他の実施例の場合、少なくとも黒インクカートリッジが600dpiの解像度で印刷を行う。
【００５６】
図１７は、４個の印字カートリッジ122-125が配置される、他の実施例の走査カートリッジ120の斜視図である。印字カートリッジの一つ122を図１９に示してある。軸外インク供給ステーション128（図１８）からの管36は、インクを多岐管130に供給し、そこでインクは、各印字カートリッジ122-125について、90°インターフェースキャップ132に向け直される。好適には、各キャップ132は、各印字カートリッジ122-125内のカラーインクと同様の色のものである。この実施例と図４の実施例の相違点は、針60（図４）を隔壁52（図４）に押し込むのではなく、隔壁133（図２０）を、印字カートリッジ122の上から突出する中空針134（図１９）の上に押し下げることにより、インクが印字カートリッジ122-125と結合される、という点にある。また図１９に図示されるものとして、内部圧力調整器用の排気口74、正しいカラー印字カートリッジを確実に正しいキャリッジ区画に配置するための符号付きタブ135、および印字ヘッドの場所58がある。
【００５７】
図１８に示す特定の実施例の場合、４個のカラーインク供給カートリッジ136-139の内３個だけがインク供給ステーション128に配置される。インク供給ステーション128の区画から突出している中空針142は、図２３および図２４に関して更に詳細に説明することにするが、管36の一つと流体連通している。各インク供給カートリッジ136-139の中のインクは大気圧にあり、インクは、各印字カートリッジ内部の調整器により決定される、各印字カートリッジ122-125内部の負圧により各印字カートリッジ122-125へと引き込まれる。
【００５８】
後に説明する他の実施例の場合、軸外インク供給カートリッジが加圧される。加圧および非加圧インク供給の両実施例において、各印字カートリッジ内部の調整器は、印字カートリッジに供給されるインクの圧力を調整する。
【００５９】
図２１に示す他の実施例の場合、キャリッジ120に配置された印字カートリッジ122は、針134に直接接続されたインク供給カートリッジ139を備えるので、キャリッジ120は、印字カートリッジ122およびインク供給カートリッジ139を支持している。インク供給カートリッジ139の隔壁が、図２０に示したと同じようにして、針134に接続される。インク供給カートリッジ139は、好適には、低背型プリンタを達成するよう、背を低くするように作られる。
【００６０】
図２２は、管36により軸外インク供給ステーション128に接続される、図１７のキャリッジ120および印字カートリッジ組立体の側面図である。
【００６１】
図２３は、図１８の線12Ｂ−12Ｂに沿う、軸外インク供給ステーション128のインク供給カートリッジ138の断面図である。そこで分かるように、インク源支持体144から上向き方向に突出している中空針142が、インク供給カートリッジ138のゴム隔壁146を貫いて挿入され、インク供給カートリッジ138内のインク溜め148と、多岐管150内の一つのインク導管との間に流体連通経路を作っている。一実施例の場合、インク溜め148は、後に説明する潰れ得るインク袋を備える。多岐管150内のインク導管は、走査キャリッジ120の中の色々な印字カートリッジに接続する管36に結合される。
【００６２】
図２４は、インク供給ステーション128から突出している針142の詳細図である。また図示されているのは、インク供給カートリッジ138を取り外したとき、針穴147を覆うゴム部分145′を有するばね負荷加湿器145、および管36に接続されたプラスチックのエルボ149である。エルボ149は、図２４の実施例の場合、多岐管150（図２３）に置き変わるものである。
【００６３】
図２５は、図２３の軸外インク供給ステーション128の多岐管150の斜視図である。多岐管150は、内部インク導管152-155を明示するよう開いてある。
【００６４】
図２６は、管36からのインクの流れを図１７の印字カートリッジ122-125に向けなおすための、図１７の走査キャリッジ120の多岐管130の４本のインク導管156の斜視図である。
【００６５】
図２７は、他の実施例の印字カートリッジ158の部分断面で示す斜視図である。
【００６６】
図２７の印字カートリッジ158は、印字カートリッジの上面から突出する針を備える代わりに、中空針を受けるゴム隔壁160を備える点を除けば、図１７に示す印字カートリッジ122-125のいずれか一つと同じとすることができる。印字カートリッジ158は、図１７のキャリッジ120と同様のキャリッジに配置すべきである。軸方向通路162が、隔壁160に形成された中心スリットと、印字カートリッジ158内部のインク室164とを連通している。キャップ166が、頚部168および隔壁160にクリンプされ、隔壁160と印字カートリッジ158の残りの部分との間にシールを形成している。また、キャップ166をクリンプすることにより、隔壁160を圧縮すべく機能するため、中心スリットが確実にシールされる。
【００６７】
印字ヘッド組立体の一部を形成している柔軟テープ80は、印字カートリッジ158の側面に明示されている。キャリッジの電極に接続するための接触パッド86も図示されている。
【００６８】
図２８は、インク供給管36と印字カートリッジ158の隔壁160との間の流体相互接続を示す。管36は、軸外インク供給源に接続されるが、中空針170の外側に嵌まっている。針170は、好適には、直径が約1.2mmの18ゲージのステンレス鋼である。走査キャリッジのハウジング172が、ばね174、および剛いプラスチックカラー176および従順な内側部分178から成る滑り加湿器を収容している。従順な内側部分178にあるポケット180が、従順な内側部分178と針170との間の摩擦を軽減する。図２８で、印字カートリッジ158は、流体相互接続を行う前にキャリッジに配置される。
【００６９】
図２９は、キャリッジの流体相互接続システムを印字カートリッジ158の上に降ろした後、軸外インク供給源と印字カートリッジ158との間で完成した流体相互接続部を示す。流体相互接続システムの下向き力は、針170を隔壁160の中心スリットを通して挿入させながら、ばね174を圧縮する。従順な内側部分178およびゴム隔壁160は互いに接触している。インクは今や、軸外インク供給ステーションから、管36を通り、中空針170を通り、中空針170に形成された穴182を通り、軸方向経路162を通って、印字カートリッジのインク室164に入る（図２７）。
【００７０】
他の実施例の場合、針170は、図２１のインク供給カートリッジ139からのような、交換可能なインク供給カートリッジから直接突出し、インク供給カートリッジおよび印字カートリッジ158は、走査キャリッジにより支持される。
【００７１】
隔壁160に形成された中心スリットは、針170の周りに気密シールを作る。スリットは、針170が隔壁160から引き出されるとシールされる。
【００７２】
印字カートリッジ158には、したがって、軸外インク供給ステーションからインクが供給される。
【００７３】
このように、多数の印字カートリッジ実施例および軸外インク供給源と印字カートリッジとの間のインク相互接続を図示してきた。
【００７４】
図３０−図４７は、印字カートリッジ内のインク室の圧力を調整するために、本明細書に記載の印字カートリッジ実施例のどれかに使用できる、圧力調整器を示している。したがって、軸外インク供給システムの圧力は調整されない。調整器は、印字カートリッジ内のインク室を、わずかではあるが一定な負圧（たとえば、水柱-2から-7インチ）にさせて、インクが印字ヘッドのノズルから垂れるのを防止する。また、軸外インク供給システムが大気圧にあれば、たとえインク供給システムの位置が印字カートリッジよりわずかに下にあっても、印字カートリッジ内のこのわずかな負圧が、軸外インク供給システムからインクを引き出すように作用する。調整器はまた、印字カートリッジのインク室内を所望の負圧に維持しながら、加圧軸外インク供給源の使用を可能にする。調整器は、印字ヘッドの構成にもよるが、水柱0から-50インチまでの広い範囲の負圧（または背圧）を与えるように設計することができる。
【００７５】
図３０−図４７に示す実施例の場合、調整器の説明において、隔壁235（図３０）を有する図２７の印字カートリッジ158と同様の型式の印字カートリッジを参照するが、同様の概念を用いる調整器が、どんな他の印字カートリッジ実施例にも使用できることを理解すべきである。
【００７６】
図３０を参照すると、参照番号214は概ね、カートリッジ用ハウジングであるペン本体242と、ハウジングのキャップを形成する冠243とを備えた印字カートリッジを示す。ペン本体の遠端に配置されるのは、タブヘッド組立体244すなわちＴＨＡである。ＴＨＡは、フレックス回路245と、印字ヘッド240を形成するシリコンダイ246とを備える。ＴＨＡは通常の構造のものである。またペン本体242の内部に配置されるのは、圧力調整器レバー248、アキュムレータレバー250、および柔軟な袋252である。図３０では、袋を完全に膨れているように示してあるが、明瞭にするため図３１には図示してない。圧力調整器レバー248およびアキュムレータレバー250は、図３１に示したばね253、253′により共に押される。ばねに対抗して、袋が外側に膨れるにつれて二つのレバーを離して広げる。袋は、冠243にプレス嵌めされる留め具254にかしめられる。この留め具には、弦巻迷路の形状をとる周囲圧力への排口255がある。排口は、袋の内側に接続し流体連通しているので、袋は基準圧力に維持される。弦巻経路は、袋から水が拡散するのを制限する。
【００７７】
圧力調整器レバー248を図３２および図３３に詳細に示す。参照番号257は概ね、袋252がレバーを直接押している区域の位置を示している。レバー248は、レバーの回転軸を形成する二つの対向軸258の周りを回転する。レバーの回転は、図４７に示すように、レバーがペン本体242と係合すると停止する。軸は、深いスロットにより形成された片持ち梁259の端に配置されるので、片持ち梁および軸は、製造中広げて離しておくことができ、図４４に示すように、冠243の適所にスナップ留めすることができる。圧力調整器レバー248の平面と垂直に、弁座261および弁座ホルダ262がある。弁座は、ホルダの所定位置に押し込まれ、弾力材料から製作される。袋252の膨張および収縮に応答して、圧力調整器レバー248は、軸258、258′の周りを回転し、弁座を開かせ、下に説明するように、冠243の相手面に対して遮断させる。この回転運動は、インクプレナム238（図４６）へのインクの流入を制御する。弁座にかかる力を最大にすることと、レバーの十分な運動を得ることとの間には最適化が存在する。実際に構成された実施例の場合、概ね点257にあるレバーの重心と軸258の間の距離と、弁座の中心と軸258の間の距離とのレバー比は、２対１と５対１の間にあり、４対１が好適である。圧力調整器はまた、ばねボス264を備え、ばね253（図３１）に係合する。ばねボスは、製造時に、図３１に示してない二つの肩265により保護される。
【００７８】
アキュムレータレバー250を図３４に示してあるが、これは、袋252がレバーを直接支承する作動区域268を備える。レバーは、二つの対向軸270、270′の周りを回転し、これらはアキュムレータレバーの回転軸を形成する。軸は、片持ち梁271の遠隔に配置されるので、軸および片持ち梁は、製造時に、広げ離しておくことができ、下に説明するように、冠243の所定位置にスナップ留めすることができる。アキュムレータレバーはまた、ばね253（図３１）の他端に係合するばねボス272を備える。圧力調整器のばねボス64と同様に、アキュムレータのボス272は、製造時に肩273により保護される。これらの肩は図３１に示してない。
【００７９】
アキュムレータレバー250および袋252は、印字カートリッジ214に捕らえられる空気に起因するだけでなく、他の圧力変化にも起因して、体積変化に適応するよう共に動作する。アキュムレータは背圧の変動を和らげるよう機能する。アキュムレータレバーは、その内側が周囲圧力にある袋を絞り、空気を袋から押し出し、印字カートリッジに捕らえられた空気を膨張させる。
【００８０】
蓄積の大部分は、アキュムレータレバー250および袋252の移動により与えられるが、弾力性弁座261（図３２）と協働して圧力調整器レバー248により与えられる追加の蓄積がある。弁座はばねとして動作し、弁を遮断しながら調整器レバー248が幾らか移動できるようにする。換言すれば、プレナム238（図４６）の背圧が減少するにつれて、袋252がレバーに及ぼす力は少なくなり、ばね253がレバーを共に押す。調整器レバーの運動により弁座は圧縮され、調整器レバーは更に少し遮断する。この、調整器レバー248が袋252と共に移動することにより、幾らか追加の空気順応が生ずる。
【００８１】
アキュムレータレバー250のボス272は、圧力調整器レバーのボス264（図３２および２１）がその回転軸に対するよりも、アキュムレータレバーの回転軸に近いことを認めるベきである。この距離の差により、アキュムレータレバーは、圧力調整器レバーが移動する前に作動せしめられる。
【００８２】
アキュムレータレバー250は、図４３に示すように、レバーの止め275がクラウン243内部の表面276に係合するまで、軸270の周りを回転する。この止めにより、インクプレナムの背圧が降下したとき、アキュムレータレバーが、圧力調整器レバー248に近付きすぎてこれを妨害するのが防止される。アキュムレータレバーは、図４６および図４７に示すように、ペン本体242と接触するまで反対方向に回転する。
【００８３】
図３１で、参照番号253は概ね、二つのレバー248、250を共に押す弦巻引っ張りばねを示している。ばねは、予備負荷されており、コイルのループを各遠端にした状態で、ボス264、272と係合する。各ループは平行な、交差する、完全に閉じた、中心のあるループである。このばねは、その全移動範囲にわたり、その力の変動の最小量を一定にするように設計されているので、背圧を可能なかぎり厳密に調整することができる。
【００８４】
図３０および図３５に示す留め具254は、袋252を支持し、その袋を冠243に取付ける。この留め具は、冠に係合し、それで密封シールを形成するリップ278を備える。留め具内には、袋の内部と周囲圧力とを連通する排口255がある。留め具の遠端には、隆起した円形ボス279と、競走トラック形状のボス280がある。袋252は二つのボスにかしめられる。円形ボスは、袋と留め具との間の主シールを与える。競争トラック形状のボスは、二次的な冗長シール面を与えるだけでなく、袋の更なる支持および位置決めをも与える。
【００８５】
図３０および図３６に示す柔軟な袋252は、インクプレナム238（図４６）の背圧と、留め具254の排口255を介して連通する周囲圧力との間の差圧の関数として膨張および収縮する。袋は、図３６において、完全に膨張しているように示してある。袋は、レバーの行程の全範囲を通じて、最大接触面積で二つのレバー248、250に抗して押すように設計されている。袋は、多層膜の単一シートから形成され、軸284の周りで膨張および収縮する二つの肺282を備える。肺は互いに連通し、同じ基準圧力に維持される。各肺には両側に二つの隆起域283があるので、全体で四つの隆起域がある。互いに支え合う二つの内部隆起域は、図３６には図示されていないが、参照番号283′および283″で示してある。留め具とは反対の側には、袋が完全に収縮しているとき、空気が流れる経路となる、隆起域の間の隆起連通溝285（図３８、図４０）を備える。隆起域は、袋の残りの部分よりも薄く、軸284の周りのレバーの移動および肺の運動に対して、一層大きい柔軟性を与える。隆起域は、レバーに対する袋の相対運動または滑りを排除するように設計されている。非常にわずかの圧力で動作するシステムの場合、この不要な影響をヒステリシスと呼んでいる。肺および隆起領域を組合せると、その中に袋が膨張できる余分な材料が得られるだけでなく、差圧の変化により、袋が押しのけるインク体積の変化が最大にもなる。
【００８６】
袋252を作るプロセスを図３７−図４２に示す。最初に、平らな膜のシート287が所定の大きさに切断される（図３７）。膜は、厚さが１ミル（0.0254mm）と３ミル（0.1572mm）との間の多層構造であり（一つのレールは25.4ミクロンである）、1.5ミル（0.0381mm）が好適な厚さである。好適実施例の場合、三つの材料が受容可能な性能を示している。すなわち、（１）ＰＥ/結合材/ＰＶＤＣ/結合材/ＰＥ、（２）ＰＥ/結合材/ＰＶＤＦ/結合材/ＰＥ、および（３）ＰＥ/結合材/ＥＶＯＨ/結合材/ＰＥである。ＰＶＤＣは、ポリ塩化ビニリデンであり、そのダウ社の商品がサランとして知られている。ＥＶＯＨは、エチレン-ビニルアルコール共重合体である。ＰＥはポリエチレンである。結合材は、異物質を共に結合するのに使用される層である。ＰＶＤＦはポリ弗化ビニリデンであり、Ｋynar^TMの商標名で販売されている。次に、シートをダイ板の上に置き、熱および真空を加えて四つの隆起領域288、288′を形成する（図３８）。四つの隆起区域またはポケット288′の内二つは連通していることに注目されたい。その後、シート287を、図３９に示すように、留め具254の二つのボス279、280に熱かしめする（図３５）。次に、穴289を膜の、円形ボスの中心にあけ、留め具の排口255との連通を確立する。次にシートを軸290に沿って折畳み、余裕ができる袋の周辺をかしめる。このかしめは、三つの開継目に沿って行うが、図４１に参照番号291で示してある。次に袋の周縁を切り落とす。その後、袋を、図４１に示すように、留め具の長手軸296に沿って折り畳む。これにより、袋に二つの肺282、282′が形成される。図４１、図４２、および図３６を参照すると、留め具の長手軸296および図４１の折畳み線は、袋の膨張/収縮を含む二つの肺の回転の軸284に平行である。
【００８７】
図４３は、弁面293と、それを通してインクがプレナム238に入る先細ノズルまたはオリフィス292とを備えた冠243の下面を示す。弁面は、圧力調整器レバー248にある弁座261（図３２）と嵌合する。この嵌合は、図４４にも示してある。インクは、流体相互接続部、隔壁235、およびオリフィス292を通って流れる。先細オリフィス292は、弁座261と弁面293との間の接触面積を減らし、それにより、弁のシール圧力が増大する。
【００８８】
オリフィス292において、プレナム238（図４６）内部の背圧は、レバー248により制御される。冠243の弁面293の隣に、嵌合材254（図３６）のリップ278を受ける円形ボス294がある。ボス294およびリップは密閉シールを形成する。圧力調整器レバー248の軸258、258′（図３３）は、上述の片持ち梁構造により許容されるように、ジャーナル295、295′にスナップ嵌めされる。同様にアキュムレータレバー250の軸270、270′は、ジャーナル297、297′（図４３）に受けられる。また冠の下側に配置されているのは、アキュムレータレバー250にある止め275（図３４）に係合する表面276である。止め275および表面276は、アキュムレータレバーが圧力調整器レバー248を妨害しないようにする。
【００８９】
印字カートリッジ214の動作を図４５、図４６、および図４７に示す。カートリッジの初期状態では、インクプレナム238の内部にインクが存在せず、袋252はしなやかである。プレナムの背圧は周囲圧力に等しい。ばね253は二つのレバー248、250を共に完全に押す。
【００９０】
次に、中空針を隔壁235に挿入し、真空を印字ヘッド240（図３０）のノズルで引き、インクを印字カートリッジに引き込む。この真空に応答して、アキュムレータレバー250が最初に移動し、図３６に示すように、袋が膨張し始める。アキュムレータレバーは、図３６に示すように、ペン本体242の側壁に係合するまで、その回転軸の周りを回転し続ける。この時点で、圧力調整器レバー248が移動し始め、インクは、オリフィス292（図４３）を通ってプレナム238に入り始める。
【００９１】
調整器レバー248は、図４７に示すように、ペン本体242の側壁に係合するまで、その回転軸の周りを回転することができる。これは弁の全開位置である。調整器レバーは、印刷の速さ、および印字ヘッドがどれだけ速くインクを必要とするかに依存して、図４６と図４７に示す状態の間を移動する。
【００９２】
プレナム238がインクで充填されるか、または印刷が停止すると、圧力調整器レバー248は、ゆっくり回転してばね253の押しによりオリフィスを閉じる。レバー248および250は、印字カートリッジの正常状態または定常状態である図４６に示す状態に戻る。この状態は、印刷の直前または印刷に続いて発生する。
【００９３】
図４６を参照すると、参照番号298は、インクプレナム238に入った気泡を示す。印字カートリッジが温度上昇を受けるか、またはその高度が増大すると、気泡はプレナム内で膨張する。気泡の膨張は、泡の体積変化が原因である圧力変化に起因した袋252の収縮により補償されるが、次いで泡の体積変化により、アキュムレータレバーが、図４６に示す状態から図４５に示す状態の方に移動する。加えて、弁座261の弾力のため、調整器レバー248が付随して幾らか運動する。他方、気泡が収縮すると、袋は応答して膨張し、圧力調整器レバー248がオリフィスを開き、インクをプレナムに入れる。換言すれば、気泡の膨張または収縮により、袋が逆に、すなわち、膨張に対して収縮することにより、収縮に対して膨張することにより補償される。各レバーは袋の運動を追跡し、アキュムレータレバー250は、レバー腕の距離の差のため、調整器レバー248より先に回転する。
【００９４】
軸外インク供給源（たとえば、図１の供給源30）のインクが空になると、レバー248、250は図４７の全開位置へと回転し、印字ヘッドがインクの放出を停止する。
【００９５】
図４８は、図３、図１８、および図２３に示すような非加圧インク供給カートリッジ300の分解図である。このようなインク供給カートリッジ300は、そのインク供給源が空になってしまうと、インク供給源支持体（たとえば、図２３の支持体144）から簡単に取り外され処分される。流体相互接続部へのこのようなインク供給カートリッジ300の接続は、図２３に関して説明した。
【００９６】
非加圧インク供給カートリッジ300は、潰れ得るインク袋302と、二つの剛いプラスチックハウジング部材303および304から構成される。インク袋302は、ＭylarまたはＥＶＡのような柔軟膜、低密度ポリエチレン層と、接着剤と、金属化ポリエチレンテレフタレートとを有する多層膜、または参照により本明細書に組み込む、本出願人による米国特許第5,450,112号に記載の９層膜から形成することができる。インク袋302の端をハウジング部材303または304に熱かしめまたは超音波溶接して、袋302の移動を制限することができる。
【００９７】
符号付きタブ305が、インク供給源支持体に形成されたスロットと整列して、正しいカラーインク供給カートリッジが、確実にインク供給源支持体の正しい区画に挿入される。一実施例の場合、インク供給源支持体も、ばね負荷ラッチを使用して、タブ305にラッチしてカートリッジ300を固定し、またユーザにカートリッジ300が正しく配置される旨の触覚フィードバックを与える。
【００９８】
プラスチックインク袋の留め具306が、開口307を通してインク袋302に部分的に挿入され、糊または熱融着により、開口307に対してシールされる。ポペット308が留め具306から突出している。袋留め具306は、プラスチックハウジング部材303および304に形成されたスロット307により、適所に堅く保持される。
【００９９】
ポペットばね309が、ポペット308の穴310 に挿入され、続いてポペット玉311が挿入される。玉311は、ステンレス鋼またはプラスチックとすることができる。
【０１００】
ゴム隔壁313の端312が次に、ポペット308の穴310に挿入される。隔壁313を次にクリンプし、クリンプキャップ314を使用してポペット308に固定する。
【０１０１】
隔壁313には、印字カートリッジと流体連通している中空針142（図２３）が、図２９に示すように、挿入されるその中心を貫いて形成されたスリット315がある。隔壁313のスリット315は、針を取り外すと、隔壁313の弾力により自動的に押されて閉じる。
【０１０２】
ポペットばね309およびポペット玉311は、インクが隔壁313のスリット315を通して漏れないという追加の保証を与える働きをする。スリット315を通して針が挿入されていないと、ポペットばね309は、ポペット玉311を、閉じたスリット315に対して押すので、玉311は、スリット315の閉鎖に連携して、インク漏れに対するシールを与える。
【０１０３】
ポペットの無い隔壁、または隔壁の無いポペットを使用して、流体相互接続を設計することが可能である。ポペットの無い隔壁は、針の周りを半径方向シールで確実にシールする。しかし、隔壁のあるインク源がプリンタに長期間設置されていると、隔壁は圧縮固化する傾向がある。取り外すと、隔壁はそれ自身を完全に再シールしないことがある。供給源を傾けたり、落としたりすれば、インクが漏れだすことがある。ポペット弁には（それ自身で）、圧縮固化の問題なく、自己シールするという長所（隔壁に比較して）がある。しかし、ポペット弁は、針の周りをシールしないという点で信頼性が少ない。したがって、カートリッジを用いて耐漏洩流体相互接続を確保するには、或る種の面シールを確立しなければならない。加えて、ポペット弁は、シールしている表面が硬質プラスチックである場合、信頼性が変化する。すなわち、シール表面の小さい欠陥によって漏洩する傾向がある。隔壁/ポペット弁の組合せは、両者の長所、すなわち、圧縮固化の問題を排除しながら、針の周りの隔壁の非常に良好なシールを利用することにより、これらの制限を克服する。更に、隔壁の内面は、欠陥にあまり敏感でないポペット弁に対する従順なシール表面を与える。
【０１０４】
好適実施例の場合、集積回路センサ/記憶装置316が、インク供給カートリッジ300に永続的に取付けられる。この回路は、インク供給源の挿入を確認すること、供給源内の残存インクの指示を与えること、およびインク供給源とシステムの残りの部分との互換性を保証する符号を与えること、などの多数の機能を提供する。
【０１０５】
代替実施例の場合、インク袋302には正の圧力が与えられる。これにより、インク供給源を印字カートリッジに接続する管を更に細くすることができ、またインク供給ステーションを印字カートリッジの下にうまく配置することができる。インク袋302に剛い側面パネル318を設けて、ばね力を分散させることにより、ばねを使用してインク袋302の側面を共に押し、正の内部圧力を作り出すことができる。弓形ばね、渦巻きばね、泡、ガス、または他の弾力装置が、ばね力を供給することができる。他の実施例の場合、インク袋302をガスのような間歇圧力源により加圧することもできる。代替として、本出願人により1996年8月30日に出願された「Inkjet Printing System with Off-Axis Ink Supply Having Ink Path Which Does Not Extend above Print Cartridge（印字カートリッジの上に突出しないインク経路を有する軸外インク供給源を備えたインクジェット印刷システム）」と称する、米国特許出願第08/706,121号に記載されているような、インク供給源内のポンプを使用することもできる。この特許出願を参照により本明細書に組み込む。
【０１０６】
溜め324からのインクが空になると、または他のなんらかの理由により、インク供給源320をドッキングベイ338から容易に取り外すことができる。取り外すと、流体出口328および流体入口342は閉じて、残りのインクがプリンタ内にまたはユーザに漏れないようにするのに役立つ。次に、インク供給源は廃棄されるか、または後に再設置するために保管される。このようにして、本発明のインク供給源320は、インクジェットプリンタのユーザに、インクジェットプリンタに信頼性があり且つ容易に交換可能であるインク供給源を与える、簡単で経済的な方法を提供する。
【０１０７】
例示したプラスチックシートは柔軟であり、インクが溜めから空になるにつれて、溜めの体積を変化させることが可能となる。これは、インクが溜めから空になるにつれて作り出される背圧の量を減らすことによって、溜めの中のすべてのインクを引き出して使用可能とするのに役立つ。
【０１０８】
本明細書に記載の印字カートリッジ、キャリッジ、および軸外インク配送システムは、インクを印字カートリッジ印字ヘッドのノズルに与える種々の組合せに使用することができる。一例として、記載の印字カートリッジのいすれかを、加圧または非加圧インク供給カートリッジに使用することができる。インク供給カートリッジは、アクセスを便利にするため、使用しやすくするため、空間を最大限利用するため、および所望の配送インク体積を可能とするためのプリンタに構成することができる。圧力調整器は、好適実施例の場合、印字カートリッジと一体であるが、それによって、印字ヘッドの性能をインク供給源および印字ヘッドの相対高さに無関係にすることができる。
【０１０９】
最低価格システムは通常、非加圧供給源を備えているものである。しかし、或る状況では加圧が必要なことがある。これは、動圧または静圧変化の原因を考察することにより最も良く理解される。印字ヘッドの静圧は、印字ヘッドが止まっていて、且つ通常、調整器のばねにより水柱-2から−6インチに最適に設定されている場合に存在する圧力として規定される。しかし、インク供給源が、印字ヘッドの下６インチを越えて配置されていれば、調整器は常に開いており（上の設定点範囲を仮定すると）、静圧は常に高さが異なる。更に事態を悪くするのは、問題とする圧力が、印字ヘッドが動作時に受ける圧力として規定される、動圧である。したがって、実際の動圧は、大きい負数になることさえあり、調整器範囲外にある。
【０１１０】
インク供給源を加圧すると、この問題が解決される。これは前述の方法によりまたはばねを使用して一定のインク供給圧を与えることにより行うことができる。これは、相対高さ、または動圧降下に影響する他の因子に対抗するように行うことができる。動圧降下を増大させる因子には、印字ヘッドにより使用されるインクの割合、配管直径の減少、配管長さの増大、およびインク粘度の増大がある。加圧は、圧力が印刷品質推進圧力仕様内に、調整器により完全に制御されるまで、増大させねばならない。
【０１１１】
プリンタ10で使用する場合、図１１−図１３、１９および２７に示した印字カートリッジは、インク供給ステーション30に解放可能に取付けられたキャリッジ外インク供給源31-34と流体連通している。この流体連通がなければ、新しい軸外構成インクカートリッジの溜め内のインク容量は非常に少なくなり、これら印字カートリッジ50は、ほぼ１ccのインクしか放出できない。しかし、新しいカートリッジ50を製造すると、自動印刷品質テスタに通す必要がある。これにより、製造業者は、最低品質規格に合格できないカートリッジをふるい分けることができる。インクを使用する別の生産ラインプロセスには、ノズルのダウンフラッシュ、湿式発射、および再印刷がある。この試験にはインクを使用する必要がある。新しい軸外カートリッジ構成の場合、内部で利用できるインクの量は、自動印刷品質テスタを通し、上記インクを他に利用するには不十分である。
【０１１２】
その上、ユーザがプリンタを設置する前に、カートリッジは輸送され、保管されている。したがって、中空針60および印字カートリッジ50の入口ポートを潤滑し保護する手段を設ける必要もある。特に、中空針60および入口ポートを、乾燥、インク漏洩、および空気流入から保護すべきである。
【０１１３】
図４９に示されているのは、本発明の流体継手すなわちアダプタ400の一実施例である。流体継手すなわちアダプタ400は、中心部または本体部402と、第１肩部404と、第２肩部406を備える。第１の肩404は、その端部において、中空針60および印字カートリッジの入口ポートとインターフェースをとるための隔壁408を備える。第２の隔壁（図示せず）は、第２の肩の端部に含まれるが、それは、生産ラインインク供給源にある針に接続するためである。流体継手またはアダプタ400は、継手を印字カートリッジに挿入した場合に、流体継手400を案内し整列させるための案内412を備える。また図示されているのは、流体継手400の本体402に取付けられた把手414である。
【０１１４】
図５０は、印字カートリッジ420内に設置された流体継手またはアダプタ400を示す。印字カートリッジ420は、中空針（図示せず）を囲んで保護する覆い422を備える。印字カートリッジ420は、流体継手またはアダプタ400の把手414を受けるために、覆い422に開口424を有する。覆い422は内部テーパを有し、これは、肩404および案内412における対応するテーパと嵌合して、流体継手またはアダプタ400を針60に対して受け且つ中心出しし、流体継手またはアダプタ400を、それが上向きに覆い422に挿入されたとき摩擦により保持する。継手400を印字ヘッドに固定するために、どんな形式のラッチ方法をも使用できることが認められよう。印字カートリッジ420の下部に配置された印字ヘッドノズル配列426は、インクを428の方向に下向きに放出する。
【０１１５】
流体継手またはアダプタ400の他の実施例を図５２に示してある。この実施例の場合、内部室430には、インクで飽和した発泡樹脂材431が充填される。図５３に示す実施例の場合、内部室に浮袋432が入っている。浮袋432の壁434は弾性材料から作られる。図５４は、内部室430に配置されたばね袋436が存在する場合の一実施例を示す。ばね袋の壁438は、ＭylarまたはＥＶＡのような柔軟膜、低密度ポリエチレンと、接着剤と、金属化ポリエチレンテレフタレートの層を有する多層膜、または、参照により本明細書に組み込む、本出願人による米国特許第5,450,112 号に記載の９層膜のような、材料から作られる。インク浮袋またはインク袋の端部は、流体継手400に熱かしめまたは超音波溶接を施して、移動を制限することができる。ばね袋436は、袋壁438の内面に配置された側板440に押しつけるばね442により、片寄せられ開いている。図５１は、図５０の線Ａ−Ａに沿って取った、印字カートリッジ420の断面図である。図５１は、隔壁408を貫いて、流体継手またはアダプタ400の本体402の内部に配置された内部室430へと入る中空針60を示す。図５１に示す実施例の場合、内部室430は中空であり、隔壁410を貫いて挿入された針（図示せず）から供給されるインク用の流体導管として働く。
【０１１６】
図５３および図５４に示す実施例の場合、浮袋432およびばね袋436は、従順部材として機能する。インクが浮袋またはばね袋から引き出されるにつれて、それらは内部室430の中で潰れる。この従順性により、浮袋またはばね袋に背圧が生じ、この背圧は、浮袋またはばね袋が潰れるにつれて増大する。たとえば、米国特許第4,500,895 号（浮袋式インク溜め）、および米国特許第5,359,353 号（ばね袋式インク溜め）を参照。これら全ては、本出願人によるものであり、参照により本明細書に組み込む。
【０１１７】
図５２、図５３、および図５４に示した実施例は、上に示した機能を与えることに加えて、製造時にカートリッジと共に走行できるインク溜めを提供し、それにより、印字カートリッジの再充填の必要性が排除される。認められるように、この溜めは、0.5から50ccまでのどれかの量のインクを保持するよう寸法決め可能である。したがって、この溜めは、キャリッジ搭載の補助インク溜めを提供することさえでき、それにより、軸外インク供給源の必要性が排除される。
【０１１８】
図５５および図５６は、本発明の流体継手に対する異なる形状を示す。他の形状に変えることも可能であり、また本発明の範囲内であることが認められるであろう。
【０１１９】
図４９−図５４に示す流体継手またはアダプタ400の実施例は、次の機能を備えている。すなわち、（１）針および印字カートリッジの入口ポートからのインクの漏れを防止し、（２）空気が印字カートリッジ内に流入するのを防止し、（３）補助的な基板搭載インク溜めを提供し、（４）たとえば、印字カートリッジ生産ラインでのような、他のインク供給源からの入口および流体継手を提供することである。
【０１２０】
図５７に示すのは、上述の機能（１）−（３）を提供するが、他のインク供給源との流体継手は提供しない、本発明の一実施例である。この実施例の場合、印字カートリッジ50の針60とインターフェースをとるために、隔壁408が一つしか存在しない。インクで飽和した発泡樹脂材431の下には、未飽和の発泡樹脂材がある。排気穴452が設けられ、インクが引き出される際に空気を入れることができる。任意として、空気を通すが液体を通さないＧortexのような材料を、飽和した発泡樹脂材の界面に使用することもできる。図５７に示す実施例は、発泡樹脂材を充填した内部室を備えるが、上述の浮袋およびばね袋の実施例も利用することができる。
【０１２１】
上に示した実施例の場合、流体継手400の本体402および肩404、406の形状は、円筒であるが、他のどんな形状も利用できる。その上、本体402および肩404、406の形状は同じである必要はない。唯一つの制約は、流体継手400の肩404が、針60および肩422と嵌合して、流体継手400と印字カートリッジ420の入口ポートとの間のシールを効果的にする能力にある。
【０１２２】
印字カートリッジから突出する中空針を有する上に示した実施例の場合、針を隔壁で置換え、流体継手の隔壁を中空針で置換ることができる。これはまた、補助インク供給源に接続する隔壁に関する場合でもある。
【０１２３】
これら設計オプションの結果として、一体型圧力調整器は、図１および図２に示したもの以外の広い範囲の製品実施例を与える。たとえば、このようなインク配送システムは、図５８に示すようなファクシミリ機500に使用されるインクジェットプリンタに組み込むことができ、図５８には、走査カートリッジ502と軸外インク配送システム504が、管506を介して接続される様子を想像線で示してある。
【０１２４】
図５９は複写機510を示すが、これはまた、本明細書に記載のインク配送システムを組み込んだ複合ファクシミリ/複写機とすることもできる。走査印字カートリッジ502と軸外インク供給源504が、管506を介して接続される様子を想像線で示してある。
【０１２５】
図６０は、大型判プリンタ516を示し、これは、トレー518により支持される広い連続した紙ロールに印刷を行う。図示のように、走査印字カートリッジ502は、管506を介して軸外インク供給源504に接続されている。
【０１２６】
ファクシミリ機、複写機、および大型判機は、重い仕事を共有する傾向にある。それら機械はしばしば、無管理で多数枚コピーに使用される。したがって、大容量（50-500cc)のインク供給源が、これら機械にとって望ましい傾向にある。対照的に、家庭用プリンタまたは可搬プリンタは、製品の大きさおよびコストを最小にするために、低容量供給源を備えるのが最良であろう。したがって、図１および図２に示す製品配置は、このような形状係数の小さい、またはコストの低い用途に最も適している。
【０１２７】
本発明の特定の実施例を図示し説明してきたが、当業者には、本発明の更に広い態様から逸脱することなく、変更および修正を行い得ることは明らかであり、したがって、特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に入るようなすべての変更および修正を、請求項の範囲内に包含するものである。
【０１２８】
以下に、本発明の実施態様を列挙する。
【０１２９】
１．インクジェット印字システム用インク配送システムにおいて、
ハウジングと、
インク滴を媒体上に放出するために、ハウジングに固定された印字ヘッドと、
ハウジング内に配置される調整器であって、
入口および出口を有し、出口は印字ヘッドと流体連通している弁と、
印字カートリッジ内の柔軟部材であって、該柔軟部材は、基準表面およびインク表面を有し、基準表面は外側大気と連通し、インク表面は印字ヘッドと流体連通しており、外側大気と印字ヘッドとの間の圧力差により、インク表面に向かって片寄せられる柔軟部材と、
柔軟部材のインク表面から力を受け、基準表面と外側大気との間の差圧に基づいて弁を作動させるアクチュエータと、
を備える調整器と、
印字ヘッドに補給するためのインク源と、
インク源と弁入口を接続するためのインク通路と、
からなることを特徴とするインク配送システム。
【０１３０】
２．前記インク通路は、インクが放出方向とは反対の方向に流れる部分を含むことを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１３１】
３．前記インク通路は、インクが放出方向と平行な方向に流れる部分を含むことを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１３２】
４．前記インク通路は、インクが放出方向と垂直な方向に流れる部分を含むことを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１３３】
５．前記インク通路は、前記インク源と流体連通し且つ第１の流体継手を有する第１の導管と、前記弁と流体連通し且つ第２の流体継手を有する第２の導管とを含み、第１および第２の流体継手は、前記インク源と前記弁との間の流体接続を与えるように適応されることを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１３４】
６．前記第１流体継手は針および隔壁を備え、前記第２流体継手は針および隔壁を備えることを特徴とする、前項５記載のインク配送システム。
【０１３５】
７．前記第２流体継手は、ハウジングに固定されることを特徴とする、前項５記載のインク配送システム。
【０１３６】
８．前記柔軟部材は柔軟な袋を備え、該袋の内側は前記基準表面を与え、該袋の外側は前記インク表面を与えることを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１３７】
９．前記柔軟な袋は、二つの柔軟な袋から成り、前記アクチュエータは、少なくとも一つの袋を押し、それにより弁を作動させる調整器レバーを備え、該調整器レバーは、レバーが袋の膨張および収縮を追跡するように、袋の膨張および収縮の軸に平行な回転軸を有することを特徴とする、前項８記載のインク配送システム。
【０１３８】
１０．少なくとも一つの袋に一定の力を加えるアキュムレータレバーから更になることを特徴とする、前項９記載のインク配送システム。
【０１３９】
１１．前記弁は、弾力性部材の先細ノズルを備えることを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１４０】
１２．前記ハウジングは、走査キャリッジ上に取付けるべく適応されることを特徴とする、前項１記載のインク配送システム。
【０１４１】
１３．前記インク源は、キャリッジと共に走査するように適応されることを特徴とする、前項１１記載のインク配送システム。
【０１４２】
１４．前記インク源は、キャリッジから外れた固定位置に配置すべく適応されることを特徴とする、前項１１記載のインク配送システム。
【０１４３】
１５．印字システムにおいて、
走査キャリッジと、
該走査キャリッジに取付けられたハウジングと、
インクを放出方向にある媒体上に放出するために、ハウジングに取付けられた印字ヘッドと、
ハウジング内に配置された調整器であって、
入口および出口を有し、出口は印字ヘッドと流体連通している弁と、
印字カートリッジ内の柔軟部材であって、基準表面およびインク表面を有し、基準表面は外側大気と連通し、インク表面は印字ヘッドと流体連通しており、外側大気と印字ヘッドとの間の圧力の差により、インク表面に向かって片寄せられる柔軟部材と、
柔軟部材のインク表面から力を受け、基準表面と外側大気との間の差圧に基づいて弁を作動させるアクチュエータと、
を備える調整器と、
インク源からインクを受け、インクを弁入口に供給する流体導管と、
からなることを特徴とする印字システム。
【０１４４】
１６．前記流体導管は、インクが放出方向とは反対の方向に流れる部分を有することを特徴とする、前項１５記載の印字システム。
【０１４５】
１７．前記流体導管は、インクが放出方向と平行に流れる部分を有することを特徴とする、前項１５記載の印字システム。
【０１４６】
１８．前記流体導管は、インクが放出方向と垂直に流れる部分を有することを特徴とする、前項１５記載の印字システム。
【０１４７】
１９．前記ハウジングは、前記弁と流体連通している入口継手を備え、前記流体導管は、入口継手に流体的に接続する出口継手を備えることを特徴とする、前項１５記載の印字システム。
【０１４８】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、印字カートリッジの入口ポートに解放自在に且つ流体的に接続する流体継手を提供することが可能となる。流体継手は、印字カートリッジが輸送および保管状態にある間、印字カートリッジのシールおよび入口ポートを潤滑し、乾燥、インク漏れ、および空気流入から保護する手段として動作する。流体継手はまた、印字カートリッジ用補助インク溜めを提供する。流体継手は更に、外部インク供給源から印字ヘツドへのインク導管を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を取り入れたインクジェットプリンタの一実施例の斜視図である。
【図２】本発明を取り入れた他のインクジェットプリンタの上面図である。
【図３】本発明を取り入れた他の実施例のインクジェットプリンタのインク配送システムおよびキャリッジの斜視図である。
【図４】印字カートリッジの一実施例を備えた好適なキャリッジの断面図である。
【図５】一つの印字カートリッジが配置されたキャリッジを俯瞰した斜視図である。
【図６】剛いエルボ部材および多岐管に接続された柔軟な管の使用を示す。
【図７】図６の柔軟な管を組み込んだキャリッジの上面図である。
【図８】多岐管が無く、剛いエルボ部材に接続された柔軟な管を組み込んだキャリッジの上面図である。
【図９】多岐管が無く、剛いエルボ部材に接続された柔軟な管を組み込んだキャリッジの斜視図である。
【図１０】外部インク供給源に接続された柔軟な管と、キャリッジに配置された流体相互接続部との間のインターフェースの詳細図である。
【図１１】好適な印字カートリッジ、およびキャリッジの流体相互接続部分の斜視図である。
【図１２】好適な印字カートリッジ、およびキャリッジの流体相互接続の他の斜視図である。
【図１３】今やキャリッジの流体相互接続部に接続されている図１２の印字カートリッジの断面図である。
【図１４】好適な印字カートリッジ上の印字ヘッド組立体の簡略前面図である。
【図１５】印字ヘッド組立体の裏側の斜視図である。
【図１６】印字ヘッド組立体が入っている印字カートリッジの部分の断面図であり、印字ヘッドのインク放出室へのインクの流れを示している。
【図１７】本発明の他の実施例による４個の印字カートリッジを組み込んだ走査キャリッジの斜視図である。
【図１８】本発明の一実施例による内部にインク供給カートリッジが配置されているインク供給ステーションである。
【図１９】他の実施例の印字カートリッジの斜視図である。
【図２０】走査キャリッジの流体相互接続部に接続された図１９の印字カートリッジの側面図である。
【図２１】他の実施例のプリンタにおいて、図１９および図２０の印字カートリッジのインク再充填ポートに係合しようとしている交換可能なインク供給カートリッジを示す。
【図２２】図１７のキャリッジの側面図である。
【図２３】図１８のインク供給ステーションの部分断面で表した側面図である。
【図２４】インク供給カートリッジに接続するために、インク供給ステーションに配置された流体相互接続部分の詳細図である。
【図２５】インク供給ステーションで多岐管を構成している二つの部品の斜視図である。
【図２６】走査キャリッジで多岐管を構成している二つの部品の斜視図である。
【図２７】本発明の他の実施例による印字カートリッジの部分切り開き図である。
【図２８】図２７の印字カートリッジの流体相互接続部と、走査キャリッジの流体相互接続部との間の相互接続の前の状態を示す。
【図２９】図２７の印字カートリッジの流体相互接続部と、走査キャリッジの流体相互接続部との間の相互接続の後の状態を示す。
【図３０】図２７の印字カートリッジの部分断面で表した斜視図であり、本明細書に記載の印字カートリッジのどれにでも内部に配置できる、インク圧力調整器を示している。
【図３１】柔軟な空気袋のない図３０の印字カートリッジの圧力調整器部分組立体の斜視図である。
【図３２】図３１の圧力調整器部分組立体の圧力調整器レバーの斜視図である。
【図３３】図３２の圧力調整器レバーの反対側の斜視図である。
【図３４】図３１の圧力調整器部分組立体の圧力調整器のアキュムレータ・レバーの斜視図である。
【図３５】図３０の印字カートリッジ用の留め具の斜視図である。
【図３６】図３０の印字カートリッジ用の柔軟な袋および留め具の斜視図である。
【図３７】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図３８】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図３９】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図４０】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図４１】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図４２】図３６の柔軟な袋を作るプロセスの模式図である。
【図４３】図３０の印字カートリッジ用の冠の斜視図である。
【図４４】アキュムレータを取り外した状態の図３１の冠および圧力調整器の、一部切り開いた、斜視図である。
【図４５】図３０の印字カートリッジの動作を示す、部分断面で表した側部立面図である。
【図４６】図３０の印字カートリッジの動作を示す、部分断面で表した側部立面図である。
【図４７】図３０の印字カートリッジの動作を示す、部分断面で表した側部立面図である。
【図４８】非加圧インク供給カートリッジの分解図である。
【図４９】本発明の流体継手の一実施例の斜視図である。
【図５０】印字カートリッジに配置された図４９の流体継手の斜視図である。
【図５１】印字カートリッジの流体相互接続部に接続された図４９の流体継手を有する図５０の印字カートリッジの部分断面図である。
【図５２】発泡樹脂材が充填された内部室を有する図４９の流体継手の断面図である。
【図５３】内部室に浮き袋を有する図４９の流体継手の断面図である。
【図５４】内部室にばね袋を有する図４９の流体継手の断面図である。
【図５５】印字カートリッジの流体相互接続部に接続された流体継手の代替実施例を有する、図１６の印字カートリッジの部分断面図である。
【図５６】印字カートリッジの流体相互接続部に接続された流体継手の代替実施例を有する、図１６の印字カートリッジの部分断面図である。
【図５７】本発明の流体アダプタの断面図である。
【図５８】インク配送システムの一実施例を想像線で示したファクシミリ機の斜視図である。
【図５９】ファクシミリ機とプリンタの結合機とすることもできる複写機の斜視図であり、インク配送システムの一実施例を想像線輪郭で示している。
【図６０】インク配送システムの一実施例を示す、大型判インクジェットプリンタの斜視図である。
【符号の説明】
10 プリンタ
16 キャリッジ
18 印字カートリッジ
31-34 インク供給カートリッジ
40 プリンタ
48 キャリツジ
50 印字カートリッジ
52 隔壁
60 針
62 流体導管
83 印字ヘッド
214 印字カートリッジ
240 印字ヘッド
242 ハウジング（ペン本体）
248 圧力調整器レバー
250 アキュムレータレバー
252 袋
261 弁座
400 流体継手

Claims (5)

1. インクジェット印字システムの製造時試験用インク配送システムであって、
   流体入口を有するハウジングと、
   放出方向にインク滴を放出するための、前記ハウジングに固定されている印字ヘッドと、
   インク源と流体連通しているインク導管と、
   インク用の流体経路をもたらす内部室を有するアダプタであって、前記インク導管からインクを受容する流体継手の入口と、前記ハウジングの流体入口と解放自在にかつ流体的に接続する流体継手の出口とを有するアダプタとからなり、
   前記アダプタが、前記ハウジングに対して前記インク放出方向とは反対向きに取り付け可能であり、前記インク放出方向とは実質上反対向きに前記流体継手の入口から前記流体継手の出口へとインクを流す第１の部分を有し、
   前記流体継手の入口が隔壁を含み、前記流体継手の出口が隔壁を含み、前記アダプタが、製造時の試験中に前記内部室内に所定量のインクを保持することによって製造時の試験中におけるインク溜めとして機能することを特徴とする、製造時試験用インク配送システム。
2. さらに、前記ハウジング内のインク室に一定の負圧を生じさせるように、当該インク室に柔軟部材を備える調整器を含み、この柔軟部材が柔軟な袋からなり、この柔軟な袋の内側が基準表面をなし、この柔軟な袋の外側がインク表面をなす請求項１記載のインク配送システム。
3. 前記柔軟な袋が２つの柔軟な袋からなり、各柔軟な袋が、当該柔軟な袋のインク表面と実質上垂直な、前記柔軟な袋の膨張及び収縮方向を有し、アクチュエータが弁に接続されている調整器レバーからなり、この調整器レバーが前記柔軟な袋の少なくとも１つを直接押し、前記調整器レバーが前記柔軟な袋の膨張及び収縮する方向に回転し、それによって前記弁を作動させるように、前記調整器レバーが前記柔軟な袋の膨張及び収縮する方向と垂直な回転軸を有する請求項２記載のインク配送システム。
4. さらに、前記柔軟な袋の少なくとも１つに対して実質上一定の力を加えるアキュムレータレバーを含む請求項３記載のインク配送システム。
5. 前記流体入口が、前記ハウジングに当該流体入口からインクを導くように前記ハウジングに取り付けられている弾力性部材の先細ノズルからなる弁に接続されている請求項１記載のインク配送システム。

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