以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態1のモータ駆動装置100aは、単相交流電源1を入力とし、3相交流出力によりモータ2を、要求される周波数で駆動するものである。この実施の形態1では、上記モータ2は、インダクションモータ、DCブラシレスモータ、リラクタンスモータ等といったもので、その種類は限定されない。また、ここでは、上記モータ駆動装置100aは、空気調和機に搭載された冷媒を循環させる圧縮機のモータを駆動するものとする。
以下、上記モータ駆動装置100aを構成する単相整流回路3、インバータ回路4、及びインバータ制御部5aについて詳しく説明する。
単相整流回路3は、単相交流電源1を入力とし、直流電圧をインバータ回路4に供給するものである。また、インバータ回路4は、インバータ制御部5から出力されるドライブ信号Sgに基づいて、単相整流回路3から出力される直流電圧を3相交流電圧に変換し、3相交流電圧及び3相交流電流をモータ2に供給するものである。
ここで、上記単相整流回路3及びインバータ回路4は、従来のモータ駆動装置100におけるものと同一のものであり、上記単相整流回路3は、整流ダイオード31〜34から構成されており、インバータ回路4は、スイッチング素子41〜46と、各スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオード51〜56とから構成されている。
なお、ここでインバータ回路4は3相のフルブリッジ構成の回路であるが、該インバータ回路4は、3相交流を出力可能なものならどのような回路構成であってもよい。例えば、上記インバータ回路4は、上記3相交流出力のうちの1相に相当する回路部分をコンデンサを用いて構成したものでもよい。また、上記インバータ回路4は、各スイッチング素子に対してスナバ回路が付加されたものでもよい。
インバータ制御部5aは、モータ2が、使用者が望む回転数で駆動されるよう、インバータ回路4にドライブ信号Sgを供給するものであり、電源電圧推定部6aとドライブ信号生成部7aとから構成されている。
電源電圧推定部6aは、単相交流電源1の出力電圧(以下、電源電圧ともいう。)のモニタ信号Svm1に基づいて電源電圧vの波形を推定し、該波形を示す信号を出力するものである。本実施の形態1では、この電源電圧推定部6aは、単相交流電源1から出力される交流電圧(電源電圧)を抵抗分圧等により直接検出して、出力電圧の波形を求める回路構成を用いている。この電源電圧の検出方法としては、電源電圧を検出して得られたアナログ値を、マイコン等を用いてAD変換して、該電源電圧を示す信号を出力する方法が考えられる。また、単相交流電源1と上記電源電圧推定部6aとを絶縁する必要がある場合は、上記電源電圧推定部6aには、トランス等の絶縁回路を用いればよい。
ドライブ信号生成部7aは、モータ駆動装置100aの外部から入力される回転数指令ωoと、上記推定された電源電圧vの波形とに基づいて、インバータ回路4を制御するものである。具体的には、上記ドライブ信号生成部7aは、回転数指令ωoから、インバータ回路4を構成する各スイッチング素子41〜46を通電するパルス信号のPWM(pulse width modulation)幅を算出し、算出したPWM幅を有するパルス信号を、モータ2に3相電流が供給されるようドライブ信号Sgとしてインバータ回路4に出力するものである。また、上記ドライブ信号生成部7aは、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)を減少させる第1の制御、及び電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)を増加させる第2の制御を行うものである。なお、ドライブ信号生成部7aは、上記第1の制御及び第2の制御の一方の制御を行うものであってもよい。また、この実施の形態1では、上記第1の制御の対象となる、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間は、電源電圧vがゼロから正のピークへと変化する動作区間と、電源電圧vがゼロから負のピークへと変化する動作区間との両方の区間である。また、上記第2の制御の対象となる、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間は、電源電圧vが正のピークからゼロへと変化する動作区間と、電源電圧vが負のピークからゼロへと変化する動作区間との両方の区間である。このようにモータ駆動電流を制御することによって単相交流電源1からモータ駆動装置100aに流入する電流の波形が良好なものとなり、入力力率が改善される。
なお、上記モータ駆動電流を増加(あるいは減少)させる具体的な方法は、パルス信号のPWM幅を広げて(あるいは狭めて)、モータ2に供給する電圧を大きく(あるいは小さく)する方法や、実際にモータ2に流入する電流を検出し、その電流値が大きくなるよう(あるいは小さくなるよう)に上記パルス信号のPWM幅を制御する方法がある。
次に、動作について説明する。
単相交流電源1の出力である交流電圧は、単相整流回路3により整流され、単相整流回路3からは、直流電圧がインバータ回路4に出力される。インバータ回路4では、ドライブ信号生成部7aからのドライブ信号Sgにより、各スイッチング素子41〜46のオンオフ動作が行われ、該インバータ回路4からはモータ駆動電流が出力される。モータ2は、インバータ回路からのモータ駆動電流により駆動する。
このとき、電源電圧推定部6aでは、電源電圧のモニター信号Svm1に基づいて、電源電圧vの波形が推定され、該波形を示す信号が上記ドライブ信号生成部7aに出力される。
該ドライブ生成部7aでは、外部からの回転数指令ωoと、電源電圧vの波形とに基づいて、上記スイッチング素子41〜46のゲートにドライブ信号Sgとして印加するパルス信号が生成される。
以下、上記ドライブ信号生成部7aの具体的な基本動作を簡単に説明する。
上記モータ2がインダクションモータである場合には、ドライブ信号生成部7aは、指令回転数ωoから、インダクションモータの特性に基づいてモータの駆動に必要な電圧レベルを割り出し、振幅レベルが該割り出された電圧レベルと一致し、かつ周波数が上記指令回転数と一致した基準正弦波形を作成し、該基準正弦波形を、スイッチング素子の動作周波数を示すスイッチングキャリアの三角波と比較して、上記パルス信号のPWM幅を決定する。ここで、上記インダクションモータの特性には、モータの回転数とその駆動電圧レベルとの関係を示すVF関数を用いる。
また、上記モータ2がDCブラシレスモータである場合には、ドライブ信号生成部7aは、モータの位相、及びモータに供給される3相駆動電流に基づいて、インバータ回路4に対する電流マイナ制御を行って、パルス信号のPWM幅を決定する。つまり、ドライブ信号生成部7aは、モータの位相を検出する位相検出部(図示せず)の検出出力、及びモータ駆動電流を検出する駆動電流検出部(図示せず)の検出出力に基づいて、3相駆動電流の波形が、上記検出したモータの位相に基づいた電流波形となるよう、パルス信号のPWM幅を決定する。
なお、このドライブ信号生成部7aの基本動作については、一般的に、駆動するモータ2の種類に応じて様々な種類のものがあるが、この実施の形態1では、ドライブ信号生成部7aの基本動作が、どのような種類のモータに対応するものであっても問題ない。
そして、上記ドライブ信号生成部7aは、電源電圧vがゼロからピークへと変位する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)が減少するよう、パルス信号のPWM幅を調整する第1の制御、及び電源電圧vがピークからゼロへと変位する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)が増加するようパルス信号のPWM幅を調整する第2の制御を行う。
上記のようにモータ駆動電流を制御することによりモータ駆動装置の入力力率が改善される理由としては、次のようなことが挙げられる。
単相交流電源1からモータ駆動装置100aに流入する電流には、モータ2が消費する電流だけではなく、インバータ回路4に存在する寄生容量、スイッチングノイズ低減のためのスナバ回路を構成するコンデンサ、あるいは入力電圧の平滑化する、インバータ回路4の入力側に接続されたコンデンサなどへの充放電電流が含まれている。つまり、電源電圧がゼロからピークへと変化するとき、単相交流電源1から上記コンデンサに充電電流が流入し、逆に、電源電圧がピークからゼロへと変化するとき、上記コンデンサから放電電流が流出する。モータ2が消費する電流が上記充放電電流より小さい、もしくは同等であれば、上記充放電電流が、単相交流電源1からモータ駆動装置100へ流入する電流のうちの大半を占め、これが、モータ駆動装置の入力電流の波形を歪ませる要因となる。
そこで、本実施の形態1のように、単相交流電源1からモータ駆動装置100aに供給される電流を、上記充放電電流を考慮に入れて変化させることにより、単相交流電源1からインバータ回路4に流入する電流の波形を改善することができる。
次に、本実施の形態1のモータ駆動装置100aを用いた場合の、単相交流電源1が出力する電流波形の変化を、実際にモータ2がDCブラシレスモータである場合を例に挙げて、説明する。
図2(b)は、本実施の形態1のモータ駆動電流の制御を行う場合の電圧波形及び電流波形を示し、図2(a)は、上記モータ駆動電流の制御を行わない場合の電圧波形及び電流波形を示している。
図中、|v|は、単相交流電源1の電圧の絶対値、Vpnは、インバータ回路4の入力電圧、Cpsは、単相交流電源1から出力される電流、Amdは、モータ2に入力される電流の振幅値である。
図2(b)から、本実施の形態1のモータ駆動装置100aでは、モータ2に入力する電流の振幅値Amdを、コンデンサに充電電流が流れ込む、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少し、コンデンサから放電電流が流れ出す、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で、増加していることがわかる。
この結果、インバータ回路4の入力電圧Vpnの波形と、単相交流電源1の出力電圧の絶対値|v|の波形とが近似したものとなり、単相交流電源1からの出力電流Cpsの通電幅も広がり、入力電圧Vpnの波形が改善されている。
本実施の形態1では、モータ駆動装置100aの入力力率が0.4から0.9まで向上している。
このように本実施の形態1では、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相整流回路3に接続され、モータ2に電流及び電圧を出力するインバータ回路4と、インバータ回路4を制御するインバータ制御部5aとを備え、インバータ制御部5aにより、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)を減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間でモータ2に供給する電流(モータ駆動電流)を増加させるので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなる。
つまり、単相交流電源がゼロからピークへと立ち上がる区間では、インバータ回路4には単相交流電源1から、モータに供給する電流だけでなく、寄生容量への充電電流もながれ込むことなるが、その区間で、モータに供給する電流量を減少させることにより、単相交流電源からインバータ回路4に流れ込む電流が増加するのを抑えることができる。また、逆に電源電圧がピークからゼロへと立ち下がる区間では、インバータ回路4では、モータに供給する電流が減少するだけでなく、寄生容量からの放電電流も発生することとなって、単相交流電源からインバータ回路4に流れ込む電流が減少するが、その区間で、モータに供給する電流を増やすことにより、単相交流電源からインバータ回路4に流れ込む電流が減少するのを抑えることができる。この結果、単相交流電源の出力する電流を平準化することができる。
また、インバータ回路の出力電流の値を、電源電圧推定部6aが推定した電源電圧に応じて変化させるので、モータ駆動電流を交流電源の出力波形により変調する従来の力率改善方法(第1の従来技術)に比べると、モータの駆動電流あるいは駆動電圧の制御を簡単な構成により実現できる。
また、推定した電源電圧に応じてインバータ回路の出力電流を制御するので、インバータ回路の制御は、モータの誘起電圧に応じてモータの駆動電圧の位相を制御する従来の力率改善方法(第2の従来技術)とは異なり、モータからインバータ回路への回生電流が考慮されたものとなり、回生電流の発生によるモータ駆動効率の低下や入力力率の劣化を回避することができる。
この結果、簡単な回路構成により、モータ駆動効率を高く保持しつつ力率の低下を効果的に抑制することができる、IEC高調波規制を満足するモータ駆動装置を得ることができる。
なお、この実施の形態1では、図2(b)に示すように、モータ2に入力される電流の振幅値Amdの波形は、正弦波の、位相が0〜πの区間の波形をπ〜2πの区間側へずらしたような形状となっているが、モータへの電流の振幅値Amdの波形は、図2(b)のものに限定されるものではなく、矩形波や三角波等の形であってもよい。
また、この実施の形態1では、インバータ制御部5aは、モータに供給する電流を直接制御しているが、インバータ制御部の制御はこれに限るものではなく、インバータ制御部5aは、モータに供給する電圧を制御するものであってもよい。
例えば、インバータ制御部5aは、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間でモータ2に供給する電圧(モータ駆動電圧)を減少させる第1の制御、及び電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間でモータ2に供給する電圧(モータ駆動電圧)を増加させる第2の制御のすくなくとも一方の制御を行うものであってもよい。この場合も上記実施の形態1と同様の効果がある。
また、上記実施の形態1では、上記第1の制御の対象となる、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間は、電源電圧vがゼロから正のピークへと変化する動作区間と、電源電圧vがゼロから負のピークへと変化する動作区間のいずれか一方の区間とし、上記第2の制御の対象となる動作区間は、電源電圧vが正のピークからゼロへと変化する動作区間と、電源電圧vが負のピークからゼロへと変化する動作区間のいずれか一方の区間としてもよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態2のモータ駆動装置100bは、単相交流電源1を入力とし、3相交流出力によりモータ2を、要求される周波数で駆動するものであり、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相整流回路3に接続され、モータ2に駆動電流及び駆動電圧を出力するインバータ回路4と、該インバータ回路4を制御するインバータ制御部5bとを有している。
そして、この実施の形態2のモータ駆動装置100bにおける単相整流回路3及びインバータ回路4は、上記実施の形態1のモータ駆動装置100aにおけるものと同一のものである。
以下、上記モータ駆動装置100bのインバータ制御部5bについて詳しく説明する。
インバータ制御部5bは、モータ2が使用者が望む回転数で駆動されるよう、インバータ回路4にドライブ信号Sgを供給するものであり、電源電圧推定部6aと、インバータ入力電圧検出部8と、ドライブ信号生成部7bとから構成されている。
ここで、電源電圧推定部6aは、上記実施の形態1のモータ駆動装置100におけるものと同一のものである。
インバータ入力電圧検出部8は、インバータ回路4に入力される電圧を、抵抗分圧等によりアナログ値として直接検出し、検出されたアナログ値を、マイコン等を用いてAD変換して出力するものである。但し、インバータ入力電圧検出部8での具体的な入力電圧の検出方法は、これに限るものではない。
ドライブ信号生成部7bは、回転数指令ωoから、インバータ回路4を構成する各スイッチング素子を通電するパルス信号のPWM幅を算出し、算出されたPWM幅を有するパルス信号をドライブ信号Sgとして上記インバータ回路4に出力するものである。
また、このドライブ信号生成部7bは、PWM幅を算出するとき、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形が等しくなるよう、上記PWM幅を決定するものである。
具体的には、このドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流を増やす方向にPWM幅を変更し、一方、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るときには、モータ2に供給する電流を減らす方向にPWM幅を変更するものである。またここでは、ドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnと、電源電圧の絶対値|v|とが等しいときには、回転数指令により決まるPWM幅を維持するものとする。なお、ドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnと、電源電圧の絶対値|v|とが等しいときには、モータ2に供給する電流をあらかじめ一定量だけ減少させるものでもよい。これは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流を増やすと、結果としてモータ2に生じるトルクが上昇し、モータの回転数が指令回転数以上の回転数となり、結果的に、回転数が減少するよう全体の電流値を減少させなければならないからである。
また、モータ2に供給する電流量の増減量は、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値|v|との差分と、実際にモータ2に流れている平均電流から決定するのが最も簡単な方法であるが、モータへの供給電流量の増減量を決定する方法は、この方法に限らず、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値|v|が等しい波形となるよう、これらの差分電圧をモータへの供給電流量の増減量にフィードバックして、該増減量を決定する方法であってもよい。
次に動作について説明する。
この実施の形態2のモータ駆動装置100bでは、単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態1のモータ駆動装置100aのものと同様に動作し、インバータ回路4からの出力によりモータ2が駆動する。
このとき、電源電圧推定部6aでは、電源電圧のモニター信号Svm1に基づいて、電源電圧vの波形が推定され、該波形を示す信号が上記ドライブ信号生成部7bに出力される。また、インバータ入力電圧検出部8では、インバータ回路4の入力電圧のモニター信号Svm2に基づいて、インバータ入力電圧Vpnが検出され、該インバータ入力電圧を示す信号が上記ドライブ信号生成部7bに出力される。
該ドライブ生成部7bでは、外部からの回転数指令ωoと、電源電圧vの波形と、インバータ入力電圧Vpnとに基づいて、上記スイッチング素子41〜46のゲートに印加されるパルス信号が、上記ドライブ信号Sgとして生成される。
このドライブ信号生成部7bは、ドライブ信号SgのPWM幅を算出するとき、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形が等しくなるよう、上記PWM幅を決定する。
具体的には、ドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流を増やす方向にPWM幅を変更する。一方、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るときには、モータ2に供給する電流を減らす方向にPWM幅を変更する。また、ドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnと、電源電圧の絶対値|v|とが等しいときには、回転数指令により決まるPWM幅を維持する。
次に、本実施の形態2のようにモータ駆動電流を制御することにより、単相交流電源1からモータ駆動装置100bに流入する電流の波形が良好なものとなり、力率が改善されるメカニズムを述べる。
まず、本実施の形態2における、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値との比較結果に応じたモータ駆動電流の制御を行わない場合について説明する。
単相交流電源1とインバータ回路4の間には単相整流回路3が介在しているため、単相交流電源1の出力電圧の絶対値よりインバータ回路4の入力電圧が高いときには、単相交流電源1への電流が流れない。そのため、単相交流電源1からモータ駆動装置100bへの電流が流れない、電源の出力電流がゼロである非通電区間が生じる。一方、電源電圧の絶対値よりインバータ回路4の入力電圧が低いときには、単相交流電源1からインバータ回路4には、モータの駆動電流だけでなく、インバータ回路入力側の寄生容量の充電電流が流れ込むこととなり、整流回路3では、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れることとなる。その結果、電源からの出力電流の波形が歪み、モータ駆動装置100bの入力力率が低下する。
次に、本実施の形態2における、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値との比較結果に応じたモータ駆動電流の制御を行う場合について説明する。
本実施の形態2では、インバータ回路の入力電圧Vpnが単相交流電源1の電圧vの絶対値より高く、整流回路には電流が流れない期間には、ドライブ信号生成部7bは、インバータ回路4に出力するドライブ信号SgのPWM幅を、モータ2に供給する電流を増やす方向に変更する。これにより、インバータ入力電圧Vpnのレベルが小さくなり、整流回路の通電期間を延ばすことができる。
また、実施の形態2では、上記インバータ入力電圧が電源電圧の絶対値より低く、整流回路に、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れる期間には、ドライブ信号生成部7bは、インバータ回路4に出力するドライブ信号SgのPWM幅を、モータ駆動電流が減少する方向に変更する。これにより、インバータ入力電圧Vpnのレベルが大きくなり、整流回路に、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れるのを抑制することができる。
その結果、電源からモータ駆動装置に供給される電流の波形が良好なものに修正され、該モータ駆動装置の入力力率を改善することができる。
このように本実施の形態2では、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相整流回路3に接続され、モータ2に電流及び電圧を出力するインバータ回路4と、インバータ回路4を制御するインバータ制御部5bとを備え、インバータ制御部5bが、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形が等しくなるよう、モータ電流が増大あるいは減少する方向にドライブ信号SgのPWM幅を変更するので、モータ駆動電流の波形を交流電源の出力電圧の波形により変調したり、モータの誘起電圧に応じたモータ駆動電圧の進角調整を行ったりすることなく、入力力率を改善することができ、IEC高調波規制をクリアした効率のよいモータ駆動装置を得ることができる。
なお、この実施の形態2では、ドライブ信号生成部7bは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流を増やす方向にPWM幅を変更する第1の制御と、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、モータ2に供給する電流を減らす方向にPWM幅を変更する第2の制御とを行うものであるが、上記ドライブ信号生成部7bは、上記第1の制御と第2の制御のいずれか一方を行うものであってもよい。
また、この実施の形態2では、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電流である、モータに供給する電流を直接制御しているが、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電圧である、モータに供給する電圧を制御するものであってもよい。
例えば、モータ駆動装置100bは、インバータ回路4の入力電圧Vpnの波形が単相交流電源1の電圧出力の絶対値|v|と同じ波形となるよう、モータ2に供給される電圧を制御するものであってもよい。この場合も上記実施の形態2と同様の効果がある。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態3のモータ駆動装置100cは、単相交流電源1を入力とし、3相交流出力によりDCブラシレスモータ9を、要求される周波数で駆動するものである。
以下、上記モータ駆動装置100cを構成する単相整流回路3、インバータ回路4、及びインバータ制御部5cについて詳しく説明する。
ここで、単相整流回路3及びインバータ回路4は、上記実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。
インバータ制御部5cは、DCブラシレスモータ9が使用者が望む回転数で駆動されるよう、インバータ回路4にドライブ信号Sgを供給するものであり、電源電圧推定部6aと、インバータ入力電圧検出部8と、ドライブ信号生成部7cとから構成されている。
ここで、電源電圧推定部6a及びインバータ入力電圧検出部8は、上記実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。
ドライブ信号生成部7cは、外部からの回転数指令ωoからインバータ回路4を構成する各スイッチング素子を通電するパルス信号のPWM幅を算出し、算出されたPWM幅を有するパルス信号を、ドライブ信号Sgとして上記インバータ回路4に出力するものである。
また、このドライブ信号生成部7cは、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、該インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧vの絶対値|v|の波形とが等しくなるよう、上記PWM幅を決定するものである。
具体的には、該ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相を進める方向にPWM幅を変更する。
これは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より大きな値をとるときは、インバータ回路4の出力する電圧より、DCブラシレスモータ9の誘起電圧が高くなり、回生電流が流れ、逆にインバータ回路4の入力側にある寄生容量や、スナバ回路にあるコンデンサ、もしくは平滑用に接続されたコンデンサが充電され、これによりモータ駆動電流の位相が遅れる方向に変化していると考えられるからである。
また、ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相を遅らせる方向にPWM幅を変更する。
これは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より小さな値をとるときは、インバータ回路4の出力する電圧より、DCブラシレスモータ9の誘起電圧が低くなり、これによりモータ電流の位相が進む方向に変化していると考えられるからである。
また、ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|と等しい値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相が変化しないよう、回転数指令により決まるPWM幅を維持する。
なお、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相を調整する位相調整量、つまり位相進め量あるいは位相遅延量は、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値|v|との差分と、実際にDCブラシレスモータ9に流れている平均電流とから決定するのが最も簡単な方法であるが、上記位相調整量の決定は、この方法に限らず、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形とが等しくなるよう、これらの差電圧を位相調整量にフィードバックして、位相調整量を決める方法であってもよい。
次に動作について説明する。
この実施の形態3のモータ駆動装置100cでは、単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態1のモータ駆動装置100aのものと同様に動作し、インバータ回路4からの出力によりモータ2が駆動する。
このとき、インバータ制御部5cでは、電源電圧推定部6aにより電源電圧vの波形が推定され、また、インバータ入力電圧検出部8によりインバータ入力電圧Vpnが検出される。そして、該ドライブ生成部7cでは、外部からの回転数指令ωoと、電源電圧vの波形と、インバータ入力電圧Vpnとに基づいて、上記スイッチング素子41〜46のゲートに印加されるパルス信号が、上記ドライブ信号Sgとして生成される。
つまり、ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相を進める方向にPWM幅を変更し、一方、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相を遅らせる方向にPWM幅を変更する。また、ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|と等しい値を取るとき、DCブラシレスモータ9に供給する電流の位相が変化しないよう、回転数指令により決まるPWM幅を維持する。
このようにモータに供給する電流を制御することにより、単相交流電源1からモータ駆動装置100cに流入する電流の波形が良好なものとなり、力率が改善される。
この力率改善のメカニズムを簡単に説明すると、DCブラシレスモータ9からインバータ回路4に回生電流が流れ込むと、インバータ回路4の入力側にある寄生容量が充電され、整流回路3aの前段にある単相交流電源1の電圧の絶対値より高くなることから、インバータ回路の入力電圧が電源電圧の絶対値より高い場合は、回生電流が流れていると考えられる。従って、回生電流が流れているとされる期間では、ドライブ信号生成部7cは、DCブラシレスモータを駆動する電流が大きくなるようその位相を進める。これによりDCブラシレスモータの誘起電圧が減少して、DCブラシレスモータにブレーキをかける回生電流が減少することとなり、DCブラシレスモータに発生するトルクを上昇させ、効率効率を高めることができる。また、上記回生電流が減少することによりインバータ回路の入力電圧は、電源電圧の絶対値と波形がほぼ等しくなり、単相交流電源とインバータ回路の間に存在する整流回路での通電期間を広げることができる。
一方、上記インバータ入力電圧が電源電圧の絶対値より低い場合には、整流回路には、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れている考えられる。従って、このようにモータの駆動に必要な電流以上の電流が流れる期間には、ドライブ信号生成部7cは、DCブラシレスモータを駆動する電流が小さくなるようその位相を遅らせる。これにより、インバータ入力電圧Vpnのレベルが大きくなり、整流回路に、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れるのを抑制することができる。
その結果、電源からモータ駆動装置に供給される電流の波形が良好なものに修正され、該モータ駆動装置の入力力率を改善することができる。
次に、本実施の形態3のモータ駆動装置100cを用いた場合の、単相交流電源1が出力する電流波形の変化を、実験例を挙げて説明する。
図5(b)は、本実施の形態3のモータ電流の制御を行っている場合の電流波形及び電圧波形を示し、図5(a)は、上記モータ電流の制御を行っていない場合の電流波形及び電圧波形を示す。
図中、|v|は、単相交流電源1の電圧の絶対値、Vpnは、インバータ回路4の入力電圧、Cpsは、単相交流電源1から出力される電流、Pmdは、DCブラシレスモータ9に入力する電流の進角値である。
図5(b)及び図5(a)から分かるように、本実施の形態3のモータ駆動装置100cでは、インバータ回路4の入力電圧Vpnが単相交流電源1の電圧値の絶対値|v|より高い動作区間には、DCブラシレスモータ9に入力する電流の進角値Pmdが大きくなっており、インバータ回路4の入力電圧Vpnが単相交流電源1の電圧値の絶対値|v|より低い動作区間には、DCブラシレスモータ9に入力する電流の進角値Pmdが小さくなっている。
図5(b)では、図5(a)に比べて、インバータ回路4の入力電圧Vpnの波形と、単相交流電源1の電圧の絶対値|v|の波形とが近似したものとなり、単相交流電源1からの出力電流の通電幅も広がり、入力電圧の波形が改善されていることが分かる。
本実施の形態3では、モータ駆動装置100cの入力力率は、力率0.8から0.9まで向上している。
このように本実施の形態3では、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相整流回路3の出力に接続され、モータ2の駆動電流を発生するインバータ回路4と、インバータ回路4を制御するインバータ制御部5cとを備え、インバータ制御部5cが、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形が等しくなるよう、モータ電流の位相が進むあるいは遅れる方向に上記PWM幅を変更するので、モータ駆動電流の波形を電源電圧の波形により変調したり、モータ誘起電圧に応じたモータ駆動電圧の進角調整を行ったりすることなく、DCブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置の入力力率を改善することができる。これにより、DCブラシレスモータを効率よく駆動することができる、簡単な回路構成のIEC高調波規制をクリアしたモータ駆動装置を得ることができる。
なお、この実施の形態3では、図5(b)に示すように、DCブラシレスモータ9に入力される電流の進角値Pmdを矩形波状に変化させているが、モータ電流の進角値の波形は、図5(b)のものに限定されるものではなく、正弦波や三角波等の形であってもよい。
また、この実施の形態3では、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電流であるモータに供給する電流の位相を制御しているが、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電圧であるモータに供給する電圧の位相を制御するものであってもよい。この場合も、実施の形態3と同様な効果が得られる。
また、上記実施の形態3では、ドライブ信号生成部7cは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流の位相を進める方向にPWM幅を変更する上記第1の制御と、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、モータ2に供給する電流の位相を遅らせる方向にPWM幅を変更する第2の制御とを行うものであるが、上記ドライブ信号生成部7cは、上記第1の制御と第2の制御のいずれか一方を行うものであってもよい。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態4のモータ駆動装置100dは、単相交流電源1を入力とし、3相交流出力によりインダクションモータ10を任意の周波数で駆動するものである。
以下、上記モータ駆動装置100cを構成する単相整流回路3、インバータ回路4、及びインバータ制御部5dについて詳しく説明する。
ここで、単相整流回路3及びインバータ回路4は、上記実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。
インバータ制御部5dは、インダクションモータ10が使用者が望む回転数で駆動されるよう、インバータ回路4にドライブ信号Sgを供給するものであり、電源電圧推定部6aと、インバータ入力電圧検出部8と、ドライブ信号生成部7dとから構成されている。
ここで、電源電圧推定部6a及びインバータ入力電圧検出部8は、上記実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。
ドライブ信号生成部7dは、回転数指令ωoから、インバータ回路4を構成する各スイッチング素子を通電するパルス信号のPWM幅を算出し、該算出されたPWM幅を有するパルス信号をドライブ信号Sgとして出力するものである。また、このドライブ信号生成部7dは、電源電圧推定部6により推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形とが等しくなるよう、上記PWM幅を決定するものである。
具体的には、該ドライブ信号生成部7dは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、インダクションモータ10に供給する電流の角速度を小さくする方向にPWM幅を変更するものである。
これは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より大きな値をとるときは、インバータ回路4の出力する電圧より、インダクションモータ10の誘起電圧が高くなり、回生電流が流れ、逆にインバータ回路4の入力側にある寄生容量や、スナバ回路にあるコンデンサ、もしくは平滑用に接続されたコンデンサが充電され、これによりモータ駆動電流の角速度が大きくなる方向に変化していると考えられるためである。
一方、ドライブ信号生成部7dは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、インダクションモータ10に供給する電流の角速度を大きくする方向にPWM幅を変更するものである。
これは、インバータ入力電圧Vpnが電源電圧の絶対値|v|より小さな値をとるときは、インバータ回路4の出力する電圧より、インダクションモータ10の誘起電圧が低くなり、これによりモータ駆動電流の角速度が小さくなる方向に変化していると考えられるからである。
なお、ここでは、上記ドライブ信号生成部7dは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|と等しい値を取るときは、回転数指令により決まるPWM幅を維持するものとする。
また、インダクションモータ10に供給する電流の角速度の調整量は、インバータ入力電圧Vpnと電源電圧の絶対値|v|との差分と、実際にインダクションモータ10に流れている平均電流から決定するのが最も簡単な方法であるが、角速度の調整量の決定は、この方法によらず、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|が等しい波形となるよう、これらの差電圧を角速度の調整量にフィードバックして、角速度の調整量を決定する方法であってもよい。
次に動作について説明する。
この実施の形態4のモータ駆動装置100dでは、単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態1のモータ駆動装置100aのものと同様に動作し、インバータ回路4からの出力によりモータ2が駆動する。
このとき、インバータ制御部5dでは、電源電圧推定部6aにより電源電圧vの波形が推定され、また、インバータ入力電圧検出部8によりインバータ入力電圧Vpnが検出される。そして、該ドライブ生成部7dでは、外部からの回転数指令ωoと、電源電圧vと、インバータ入力電圧Vpnとに基づいて、上記スイッチング素子41〜46のゲートに印加されるパルス信号が、上記ドライブ信号Sgとして生成される。
つまり、ドライブ信号生成部7dは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、インダクションモータ10に供給する電流の角速度を小さくする方向にPWM幅を変更し、一方、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、インダクションモータ10に供給する電流の角速度を大きくする方向にPWM幅を変更する。また、インバータ入力電圧Vpnのレベルが電源電圧の絶対値|v|と等しい値を取るときは、ドライブ信号生成部7dは、回転数指令により決まるPWM幅を維持する。
上記のようにモータに供給する電流を制御することにより、単相交流電源1からモータ駆動装置100dに流入する電流の波形が良好なものとなる。
以下簡単に力率が改善されるメカニズムについて説明する。
つまり、インダクションモータ10からインバータ回路4に回生電流が流れ込むと、インバータ回路4の入力側にある寄生容量が充電され、インバータ回路の入力電圧が整流回路前段の単相交流電源の電圧より高くなることから、インバータ回路の入力電圧が電源電圧の絶対値より高い場合は、回生電流が流れていると考えられる。従って、回生電流が流れているとされる期間では、ドライブ信号生成部7dは、インダクションモータを駆動する電流が大きくなるようその角速度を小さくする。これにより、インダクションモータに発生する誘起電圧が減少して、インダクションモータにブレーキをかける回生電流が減少することとなり、インダクションモータに発生するトルクは上昇し、モータの駆動効率が向上する。また、回生電流が減少することによりインバータ回路の入力電圧は単相交流電源の電圧の絶対値と波形がほぼ等しくなり、単相交流電源とインバータ回路の間に存在するダイオード整流回路の通電期間が延びる。
一方、上記インバータ入力電圧が電源電圧の絶対値より低い場合には、整流回路には、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れていると考えられる。従って、このようにモータの駆動に必要な電流以上の電流が流れる期間には、ドライブ信号生成部7dは、インダクションモータを駆動する電流が小さくなるようその角速度を大きくする。これにより、インバータ入力電圧Vpnのレベルが大きくなり、整流回路に、モータの駆動に必要な電流以上の電流が流れるのを抑制することができる。
その結果、電源からモータ駆動装置に供給される電流の波形が良好なものに修正され、該モータ駆動装置の入力力率を改善することができる。
このように本実施の形態4では、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相整流回路3の出力に接続され、モータ2の駆動電流を発生するインバータ回路4と、インバータ回路4を制御するインバータ制御部5dとを備え、インバータ制御部5dが、電源電圧推定部6aにより推定された電源電圧vの絶対値|v|と、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnとを比較し、インバータ入力電圧Vpnの波形と電源電圧の絶対値|v|の波形が等しくなるよう、モータ電流の角速度が小さくなる方向あるいは大きくなる方向に上記PWM幅を変更するので、モータ駆動電流の波形を電源電圧の波形により変調したり、モータの誘起電圧に応じたモータ駆動電圧の進角調整を行ったりすることなく、インダクションモータを駆動するモータ駆動装置の入力力率を改善することができる。これにより、インダクションモータを効率よく駆動することができる、簡単な回路構成のIEC高調波規制をクリアしたモータ駆動装置を得ることができる。
なお、この実施の形態4では、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電流であるモータに供給する電流の角速度を制御しているが、インバータ制御部は、インバータ回路の出力電圧であるモータに供給する電圧の角速度を制御するものであってもよい。この場合も、実施の形態4と同様な効果が得られる。
また、上記実施の形態4では、ドライブ信号生成部7dは、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より大きな値を取るとき、モータ2に供給する電流の角速度を小さくする方向にPWM幅を変更する第1の制御と、インバータ入力電圧Vpnのレベルが、電源電圧の絶対値|v|より小さな値を取るとき、モータ2に供給する電流の角速度を大きくする方向にPWM幅を変更する第2の制御とを行うものであるが、該ドライブ信号生成部7dは、上記第1の制御と第2の制御のいずれか一方を行うものであってもよい。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態5のモータ駆動装置100eは、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相交流回路3に接続され、モータに駆動電流及び駆動電圧を出力するインバータ回路4と、該インバータ回路4を制御するインバータ制御部5eとを備えたものである。
ここで、上記単相整流回路3及びインバータ回路4は実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。上記インバータ制御部5eは、実施の形態2のインバータ制御部5aにおける電源電圧推定部6aに代えて、単相交流電源1のゼロクロスタイミングを用いて電源電圧vを推定する電源電圧推定部6eを備えたものである。なお、上記インバータ制御部5eのインバータ入力電圧検出部8及びドライブ信号生成部7bは、実施の形態2のものと同一のものである。
以下、上記電源電圧推定部6eについて説明する。
この電源電圧推定部6eを構成するゼロクロス検出回路11は、単相交流電源1のゼロクロスのタイミングを検知するものである。具体的には、この電源電圧推定部6eには、電源電圧を抵抗分圧する抵抗回路と、該抵抗回路の出力に接続されたフォトカップラとを有し、フォトカップラの出力に基づいて、電源電圧の全波整流した矩形波を得、該矩形波の立ち上がり及び立下りをゼロクロスタイミングとして検知するものが考えられる。
但し、このようにフォトカップラを利用するものでは、実際の電源電圧のゼロクロスタイミングではなく、電源電圧がフォトカップラに電流が流れる最小の電圧レベルとなるタイミングを検知する場合がある。このような場合には、フォトカップラの出力の1つの立ち上がりタイミングと、その次の立ち上がりタイミングとから、単相電源1の電圧の周期を取得するとともに、立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングとから単相電源1の電圧がピークレベルとなるタイミングを取得することにより、電源電圧の周期と、立ち上がりタイミングあるいは立下りタイミングとから正しいゼロクロスタイミングを得ることができる。
上記電源電圧推定部6eは、ゼロクロス検出回路11により検出されたゼロクロスタイミングと、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnの波高値とから、電源電圧1から出力される正弦波電圧vを推定するものである。この場合、何らかの影響で電源電圧の振幅値が変化した場合でも、正確に電源電圧を推定することができ、精度の高い制御を提供することができる。
次に動作について説明する。
このような構成の実施の形態5のモータ駆動装置100eでは、単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態2と同様に動作する。
そして、上記電源電圧推定部6eでは、ゼロクロス検出回路11により電源電圧のゼロクロスタイミングが検出され、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnの波高値と、該検出された電源電圧のゼロクロスタイミングとから、電源電圧の波形が推定される。
すると、ドライブ信号生成部7bでは、実施の形態2と同様、外部からの回転数指令ωoと、電源電圧vの波形と、インバータ入力電圧Vpnとに基づいて、インバータ回路のスイッチング素子41〜46に印加されるパルス信号のPWM幅が決定され、決定されたPWM幅を有するパルス信号が上記ドライブ信号Sgとして出力される。
このように本実施の形態5のモータ駆動装置100eでは、上記電源電圧推定部11を、上記単相交流電源1のゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス検出回路を備え、上記ゼロクロス検出回路が検出したゼロクロスタイミングから上記単相交流電源の電圧を推定するものとしたので、実施の形態2の効果に加えて、電源電圧のモニター信号をAD変換するAD変換器等といった高価な部品を用いることなく、容易に単相交流電源の電圧波形を推定することができる効果がある。
なお、上記実施の形態5では、モータ駆動装置100eは、実施の形態2のモータ駆動装置100bの電源電圧推定部6aに代えて、単相交流電源1のゼロクロスタイミングを用いて電源電圧vを推定する電源電圧推定部6eを備えたものであるが、このような電源電圧推定部6eを備えたモータ駆動装置は、実施の形態2のものに限らず、実施の形態3あるいは4のモータ駆動装置であってもよい。
また、上記実施の形態5では、上記電源電圧推定部6eは、ゼロクロスタイミングと、インバータ入力電圧Vpnの波高値とから、電源電圧の波形を推定するものとしているが、上記電源電圧推定部6eは、ゼロクロスタイミングと、単相交流電源1の既知の電圧波高値とから、電源電圧の波形を推定するものであってもよい。このような電源電圧推定部6eを備えたモータ駆動装置は、実施の形態2のものに限らず、実施の形態1,3あるいは4のいずれのモータ駆動装置であってもよい。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態6のモータ駆動装置100fは、単相交流電源1に接続された単相整流回路3と、該単相交流回路3に接続され、モータに駆動電流及び駆動電圧を出力するインバータ回路4と、該インバータ回路4を制御するインバータ制御部5fとを備えたものである。
ここで、上記単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態2のモータ駆動装置100bにおけるものと同一のものである。上記インバータ制御部5fは、実施の形態2のインバータ制御部5aにおける電源電圧推定部6aに代えて、インバータ回路4の入力電圧Vpnを用いて、電源電圧の波形を推定する電源電圧推定部6fを備えたものである。また、上記インバータ制御部5fのインバータ入力電圧検出部8及びドライブ信号生成部7bは、実施の形態2のものと同一のものである。
以下、上記電源電圧推定部6fについて説明する。
電源電圧検出部6fは、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnの波高値(ピークレベル)をとるタイミングから、電源電圧の波高値(ピークレベル)をとるタイミングを推測し、そのタイミングと、インバータ入力電圧の波高値とから、電源電圧の波形である正弦波電圧を推定するものである。
次に動作について説明する。
このような構成の実施の形態6のモータ駆動装置100fでは、単相整流回路3及びインバータ回路4は、実施の形態2と同様に動作する。
そして、上記電源電圧推定部6fでは、インバータ入力電圧検出部8により検出されたインバータ入力電圧Vpnに基づいて、その波高値(ピークレベル)をとるタイミングが検出され、該検出されたタイミングから、電源電圧の波高値(ピークレベル)をとるタイミングが推測され、該推定された、電源電圧がピークレベルとなるタイミングと、インバータ入力電圧の波高値とから、電源電圧の波形である正弦波電圧の波形が推定される。
すると、ドライブ信号生成部7bでは、実施の形態2と同様、外部からの回転数指令ωoと、上記推定された電源電圧vの波形と、上記インバータ入力電圧Vpnとに基づいて、インバータ回路のスイッチング素子41〜46に印加されるパルス信号のPWM幅が決定され、決定されたPWM幅を有するパルス信号が、インバータ回路4のドライブ信号Sgとして出力される。
このように本実施の形態6では、電源電圧推定部6fを、インバータ入力電圧検出部により検出されたインバータ入力電圧に基づいて、インバータ入力電圧が最大値をとるタイミングを検出し、該検出されたタイミングと、そのときのインバータ入力電圧の値とから、上記単相交流電源の電圧を推定するものとしたので、実施の形態2の効果に加えて、電源電圧のモニターを行う回路などを不要として、部品点数の少ない回路構成により、容易に単相交流電源の電圧波形を推定することができる効果がある。
なお、この実施の形態6では、電源電圧検出部6fは、インバータ入力電圧Vpnの波高値(ピークレベル)をとるタイミングと、インバータ入力電圧の波高値とから、電源電圧の波形を推定するものであるが、この電源電圧検出部6fは、インバータ入力電圧Vpnの波高値(ピークレベル)をとるタイミングと、単相交流電源1の既知の電圧波高値とから、電源電圧の波形を推定するものであってもよい。
また、上記実施の形態6では、モータ駆動装置100fは、実施の形態2のモータ駆動装置100bの電源電圧推定部6aに代えて、インバータ回路4の入力電圧Vpnを用いて電源電圧の波形を推定する電源電圧推定部6fを備えたものであるが、このような電源電圧推定部6fを備えたモータ駆動装置は、実施の形態2のものに限らず、実施の形態3あるいは4のモータ駆動装置であってもよい。
(実施の形態7)
図9は、本発明の実施の形態7によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態7のモータ駆動装置100gは、実施の形態1のモータ駆動装置100aの単相整流回路3の出力側に、モータからの回生電流を充電する小容量のコンデンサ12を付加したものであり、該コンデンサ12は上記単相整流回路3の一方の出力端子3aと他方の出力端子3bとの間に接続されている。
この実施の形態7のモータ駆動装置100gのその他の構成は、実施の形態1のモータ駆動装置100aと同一である。
ここで、上記コンデンサ12の容量は、モータ回生電流による装置の損傷が回避される程度の容量にすればよい。例えば、モータ制御装置が、家庭用の空気調和機に使用される圧縮機のモータを制御するものである場合は、上記コンデンサ12の容量は、0.1F〜50μF程度でよい。この値は、モータのインダクタンスの容量、インバータ入力電圧に対して許容される最大変動量、及びモータに流す電流の最大値から求められる最小の限界値である。なお、このコンデンサ12の容量は、図11に示す従来のモータ駆動装置100における平滑コンデンサ12aの容量と比べると、1000分の1程度の小さいものである。
つまり、モータに最大電流が流れているときにモータが保持しているエネルギーは、モータ内部のインダクタンスの容量から求められる。そして、そのエネルギーがモータ回生電流としてコンデンサに与えられたときに発生するコンデンサの端子電圧の上昇をどの程度まで許容できるかに基づいて、上記コンデンサの容量が決定される。
具体的には、モータに流す最大電流をIm、モータ内部のインダクタンスをLm、コンデンサ端子電圧の上昇許容電圧値をVmとすると、上記コンデンサの容量Cmは、Cm>Lm・Im・Im/Vm/Vmで決定される。
次に動作について説明する。
この実施の形態7のモータ駆動装置100gでは、単相整流回路3,インバータ回路4,インバータ制御部5aは、実施の形態1のものと同様に動作するので、以下では、実施の形態1と異なる動作について説明する。
モータ2の停止時やインバータ回路4のスイッチング動作が停止した時には、モータ2に流れている電流がインバータ回路4の入力側に回生される。その回生電流が大きいと、インバータ回路4の入力側電圧が過大電圧となって、モータ駆動装置が損傷する場合が発生する。
この実施の形態7のモータ駆動装置100gでは、図9に示すように、単相整流回路3の出力側、つまりインバータ回路4の入力側にコンデンサ12が付加されているので、モータ2の停止時などには、モータ2からの回生電流が上記コンデンサ12に充電されることとなり、上記回生電流によるインバータ回路4の入力側電圧の上昇を抑えることができる。
これにより、モータ停止時などに発生するモータ回生電流によりモータ駆動装置が損傷を受けるのを防止することができ、より安全なモータ制御装置を実現することができる。
このように本実施の形態7では、実施の形態1のモータ駆動装置100aの整流回路3aの出力側に、上記モータからの回生電流を充電するコンデンサを付加したので、実施の形態1の効果に加えて、モータの停止時やインバータ回路のスイッチング動作が停止した時に発生するインバータ入力電圧の上昇を抑えることができ、素子等の破壊を防ぐ効果がある。
なお、上記実施の形態7では、実施の形態1のモータ駆動装置100aの整流回路3の出力側に上記モータからの回生電流を充電するコンデンサを付加したものを示したが、このようなコンデンサを付加したモータ駆動装置は、実施の形態1のものに限らず、実施の形態2ないし6のいずれのモータ駆動装置であってもよい。
(実施の形態8)
図10は、本発明の実施の形態8によるモータ駆動装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態8のモータ駆動装置100hは、実施の形態1のモータ駆動装置100aの単相整流回路3と、単相交流電源13との間にインダクタ13を挿入したものであり、該インダクタ13は、単相交流電源1と単相整流回路3との間に直列に接続されている。
そして、この実施の形態8のモータ駆動装置100hのその他の構成は、実施の形態1のモータ駆動装置100aと同一である。
ここで、上記インダクタ13の値は、インバータ回路のスイッチング動作に伴って発生するスイッチング電流ノイズを除去し、電源電流の波形が歪まない程度の値にすればよい。例えば、モータ駆動装置が、家庭用の空気調和機に使用される圧縮機のモータを駆動するものである場合は、インダクタ13の値は、0.01mHから4.0mH程度でよい。この値は、インバータ回路4でのキャリア周波数の逆数に比例した値となり、キャリア成分の高調波が抑制できるように決定される。なお、このインダクタ13の値は、従来のモータ駆動装置で用いられる力率改善用リアクトルとして用いられるインダクタの値と比べると、1000分の1程度の小さいものである。
具体的には、減衰させたい量を−X[dB]、円周率をπ、キャリア周波数をf[Hz]とした場合、上記インダクタの値Lrは、10×log(2×π×f×Lr)>Xを満たす値に決定される。
次に動作について説明する。
この実施の形態8のモータ駆動装置100hでは、単相整流回路3,インバータ回路4,インバータ制御部5aは、実施の形態1のものと同様に動作するので、以下では、実施の形態1と異なる動作について説明する。
単相交流電源1の出力電流は、インバータ回路4のスイッチング動作の影響を受け、スイッチング電流がノイズとして重畳される。
この実施の形態8のモータ駆動装置100hでは、図10に示すように、単相交流電源1と単相整流回路3との間に挿入されたインダクタ13により、インバータ回路4で発生したノイズが遮断されることとなって、電源の出力電流に重畳される電源スイッチングノイズが低減される。これにより単相交流電源1の出力電流の波形が歪むのが抑制され、入力電流の力率が改善される。
このように本実施の形態8では、実施の形態1のモータ駆動装置100aの整流回路3の入力と単相交流電源1との間に、上記インバータ回路4で発生したノイズを遮断するインダクタ13を挿入したので、実施の形態1の効果に加えて、単相交流電源1の出力に重畳されるスイッチングノイズを低減することができ、これにより入力電流の力率を高め、電流波形を改善することができる効果がある。
なお、上記実施の形態8では、実施の形態1のモータ駆動装置100aの整流回路3と単相交流電源1との間に、インバータ回路4で発生したノイズを遮断するインダクタ13を挿入したものを示したが、このようなインダクタを有するモータ駆動装置は、実施の形態1のものに限らず、実施の形態2ないし6のいずれのモータ駆動装置であってもよい。
また、上記実施の形態7では、モータ駆動装置は、モータ駆動装置を構成する単相整流回路の出力側にコンデンサを付加したもの、上記実施の形態8では、モータ駆動装置は、モータ駆動装置を構成する単相整流回路と、電源との間にコンデンサを挿入したものとしているが、モータ駆動装置は、上記コンデンサとインダクタの両方を備えたものであってもよい。
この場合は、インダクタとコンデンサとからなる直列接続回路が形成されるため、共振現象が発生することがある。この共振周波数は一般的に知られるように1/2π√(LC)であり、インダクタとコンデンサの容量で決まる。従って、共振周波数が、電源に対する高調波規制の対象となる周波数よりも高くなるよう、インダクタとコンデンサの容量を決定すれば、より発生ノイズの少ないモータ制御装置を提供することができる。
さらに、本発明の各実施の形態のモータ駆動装置は、空気調和機に使用される圧縮機のモータを駆動制御するものに限らず、インバータ回路を使用してモータを駆動制御するものであればどのような機器のモータを駆動制御するものであってもよい。
例えば、上記各実施の形態のモータ駆動装置を適用可能な機器は、モータ及びその駆動電流を発生するインバータ回路を搭載した、冷蔵庫,電気洗濯機,電気乾燥機,電気掃除機,送風機等の機器がある。いずれの機器についても、インバータ回路を小型化、軽量化することで、設計の自由度が高く、安価な機器を提供することができる等、効用は計り知れない。
以下、実施の形態1のモータ及びモータ駆動装置を用いた機器である空気調和機,冷蔵庫,電気洗濯機,送風機,電気掃除機,電気乾燥機,ヒートポンプ給湯器について具体的に説明する。
(実施の形態9)
図12は本発明の実施の形態9による空気調和機を説明するブロック図である。
この実施の形態9の空気調和機250は、室内機255及び室外機256を有し、冷暖房を行う空気調和機である。
この空気調和機250は、冷媒を室内機255と室外機256の間で循環させる圧縮機250aと、電圧源1を入力とし、該圧縮機250aのモータを駆動するモータ駆動装置250bとを有している。ここで、電圧源1,圧縮機250aのモータ,及びモータ駆動装置250bはそれぞれ、上記実施の形態1の単相交流電源1,モータ2,及びモータ駆動装置100aと同一のものである。
また、上記空気調和機250は、冷媒循環経路を形成する四方弁254,絞り装置253,室内側熱交換器251及び室外側熱交換器252を有している。ここで、室内側熱交換器251は上記室内機255を構成しており、絞り装置253,室外側熱交換器252,圧縮機250a,四方弁254及びモータ駆動装置250bは上記室外機256を構成している。
上記室内側熱交換器251は、熱交換の能力を上げるための送風機251aと、該熱交換器251の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ251bとを有している。上記室外側熱交換器252は、熱交換の能力を上げるための送風機252aと、該熱交換器252の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ252bとを有している。
そして、この実施の形態9では、上記室内側熱交換器251と室外側熱交換器252との間の冷媒経路には、圧縮機250a及び四方弁254が配置されている。つまりこの空気調和機250は、冷媒が矢印Aの方向に流れ、室外側熱交換器252を通過した冷媒が圧縮機250aに吸入され、該圧縮機250aから吐出された冷媒が室内側熱交換器251へ供給される状態と、冷媒が矢印Bの方向に流れ、室内側熱交換器251を通過した冷媒が圧縮機250aに吸入され、圧縮機250aから吐出された冷媒が室外側熱交換器252へ供給される状態とが、上記四方弁254により切り替えられるものである。
また、上記絞り装置253は、循環する冷媒の流量を絞る絞り作用と、冷媒の流量を自動調整する弁の作用とをあわせ持つものである。つまり、絞り装置253は、冷媒が冷媒循環経路を循環している状態で、凝縮器から蒸発器へ送り出された液冷媒の流量を絞って該液冷媒を膨張させるとともに、蒸発器に必要とされる量の冷媒を過不足なく供給するものである。
なお、上記室内側熱交換器251は暖房運転では凝縮器として、冷房運転では蒸発器として動作するものであり、上記室外側熱交換器252は、暖房運転では蒸発器として、冷房運転では凝縮器として動作するものである。凝縮器では、内部を流れる高温高圧の冷媒ガスは、送り込まれる空気により熱を奪われて徐々に液化し、凝縮器の出口付近では高圧の液冷媒となる。これは、冷媒が大気中に熱を放熱して液化することと等しい。また、蒸発器には絞り装置253で低温低圧となった液冷媒が流れ込む。この状態で蒸発器に部屋の空気が送り込まれると、液冷媒は空気から大量の熱を奪って蒸発し、低温低圧のガス冷媒に変化する。蒸発器にて大量の熱を奪われた空気は空調機の吹きだし口から冷風となって放出される。
そして、この空気調和機250では、空気調和機の運転状態、つまり空気調和機に対して設定された目標温度、実際の室温及び外気温に基づいてモータの指令回転数が設定され、モータ駆動装置250bは、実施の形態1と同様、該設定された指令回転数に基づいて圧縮機250aのモータの回転数を制御する。
次に動作について説明する。
この実施の形態9の空気調和機250では、モータ駆動装置250bから圧縮機250aに駆動電圧が印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が循環し、室内機255の熱交換器251及び室外機256の熱交換器252にて熱交換が行われる。つまり、上記空気調和機250では、冷媒の循環閉路に封入された冷媒を圧縮機250aにより循環させることにより、冷媒の循環閉路内に周知のヒートポンプサイクルが形成される。これにより、室内の暖房あるいは冷房が行われる。
例えば、空気調和機250の暖房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁254は、冷媒が矢印Aで示す方向に流れるよう設定される。この場合、室内側熱交換器251は凝縮器として動作し、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により熱を放出する。これにより室内が暖められる。
逆に、空気調和機250の冷房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁254は、冷媒が矢印Bで示す方向に流れるよう設定される。この場合、室内側熱交換器251は蒸発器として動作し、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により周辺空気の熱を吸収する。これにより室内が冷やされる。
ここで、空気調和機250では、空気調和機に対して設定された目標温度、実際の室温及び外気温に基づいて指令回転数が決定され、実施の形態1と同様、該指令回転数に基づいて、モータ駆動装置250bにより、圧縮機250aのモータの回転数が制御される。これにより、空気調和機250では、快適な冷暖房が行われる。
このように本実施の形態9の空気調和機250では、圧縮機250aの動力源であるモータを駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を、電源から供給される電流の波形歪みによる力率の低下を抑えつつ小さくすることができる。これにより空気調和機におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては空気調和機を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態10)
図13は本発明の実施の形態10による冷蔵庫を説明するブロック図である。
この実施の形態10の冷蔵庫260は、圧縮機260a,モータ駆動装置260b,凝縮器261,冷蔵室蒸発器262,及び絞り装置263から構成されている。
ここで、圧縮機260a,凝縮器261,絞り装置263,及び冷蔵室蒸発器262は、冷媒循環経路を形成するものであり、モータ駆動装置260bは、電圧源1を入力とし、上記圧縮機260aの駆動源であるモータを駆動するものである。なお、上記電圧源1、圧縮機260aのモータ及びモータ駆動装置260bはそれぞれ、上記実施の形態1の単相交流電源1,モータ2及びモータ駆動装置100aと同一のものである。
絞り装置263は、上記実施の形態9の空気調和機250の絞り装置253と同様、冷媒が冷媒循環経路を循環している状態で、凝縮器261から送り出された液冷媒の流量を絞って該液冷媒を膨張させるとともに、冷蔵室蒸発器262に、必要とされる量の冷媒を過不足なく供給するものである。
凝縮器261は、内部を流れる高温高圧の冷媒ガスを凝縮させて、冷媒の熱を外気に放出するものである。該凝縮器261に送り込まれた冷媒ガスは、外気により熱を奪われて徐々に液化し、凝縮器の出口付近では高圧の液冷媒となる。
冷蔵室蒸発器262は、低温の冷媒液を蒸発させて冷蔵庫内の冷却を行うものである。この冷蔵室蒸発器262は、熱交換の効率を上げるための送風機262aと、庫内の温度を検出する温度センサ262bとを有している。
そして、この冷蔵庫260では冷蔵庫の運転状態、つまり冷蔵庫に対して設定された目標温度、及び冷蔵庫内の温度に基づいて指令回転数が設定され、モータ駆動装置260bは、実施の形態1と同様、該設定された指令回転数に基づいて、圧縮機260aのモータの回転数を制御する。
次に動作について説明する。
この実施の形態10の冷蔵庫260では、モータ駆動装置260bから圧縮機260aのモータに駆動電圧Vdが印加されると、圧縮機260aが駆動して冷媒循環経路内で冷媒が矢印Cの方向に循環し、凝縮器261及び冷蔵室蒸発器262にて熱交換が行われる。これにより、冷蔵庫内が冷却される。
つまり、凝縮器261で液状となった冷媒は、絞り装置263にてその流量が絞られることにより膨張して、低温の冷媒液となる。そして、冷蔵室蒸発器262へ低温の液冷媒が送り込まれると、冷蔵室蒸発器262では、低温の冷媒液が蒸発して、冷蔵庫内の冷却が行われる。このとき、冷蔵室蒸発器262には、送風機262aにより強制的に冷蔵室内の空気が送り込まれており、冷蔵室蒸発器262では、効率よく熱交換が行われる。
また、この実施の形態10の冷蔵庫260では、該冷蔵庫260に対して設定された目標温度及び冷蔵庫内の室温に応じて指令回転数が設定され、該モータ駆動装置260bは、実施の形態1と同様、該設定された指令回転数に基づいて圧縮機260aのモータの回転数を制御する。これにより、冷蔵庫260では、冷蔵庫内の温度が目標温度に維持される。
このように本実施の形態10の冷蔵庫260では、圧縮機260aの動力源であるモータを駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を、電源から供給される電流の波形歪みによる力率の低下を抑えつつ小さくすることができる。これにより冷蔵庫におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては冷蔵庫を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態11)
図14は本発明の実施の形態11による電気洗濯機を説明するブロック図である。
この実施の形態11の電気洗濯機270は、洗濯機外枠271を有し、該洗濯機外枠271内には外槽273が吊り棒272により吊り下げられている。該外槽273内には、回転自在に洗濯兼脱水槽274が配設され、該洗濯兼脱水槽274の底部には、攪拌翼275が回転自在に取り付けられている。
上記洗濯機外枠271内の、外槽273下側のスペースには、洗濯兼脱水槽24及び攪拌翼275を回転させるモータ276が配置され、また、洗濯機外枠271には、外部の電圧源1を入力とし、上記モータ276を駆動するモータ駆動装置277が取り付けられている。
ここで、上記電圧源1,モータ276,及びモータ駆動装置277はそれぞれ、実施の形態1の単相交流電源1,モータ2,及びモータ駆動装置100aと同一のものであり、上記モータ駆動装置277には、電気洗濯機270の動作を制御するマイクロコンピュータ(図示せず)から、ユーザの操作に応じた指令回転数を示す回転数指令が入力される。
次に動作について説明する。
この実施の形態11の電気洗濯機270では、ユーザが所定の操作を行うと、マイクロコンピュータから、モータ駆動装置277に回転数指令が入力され、モータ駆動装置277からモータ276に駆動電圧が印加される。すると、モータ276の駆動により、攪拌翼275あるいは洗濯兼脱水槽274が回転して、洗濯兼脱水槽274内の衣服等などの洗濯や脱水が行われる。
このとき、この実施の形態11の電気洗濯機270では、マイクロコンピュータからの回転数指令が示す指令回転数に基づいて、実施の形態1と同様、モータ駆動装置277によりモータの回転数が制御される。これにより、電気洗濯機270では、洗濯物の量や汚れに応じた動作が行われる。
このように本実施の形態11の電気洗濯機270では、動力源であるモータ276を駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を小さくすることができる。これにより電気洗濯機におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては電気洗濯機を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態12)
図15は本発明の実施の形態12による送風機を説明するブロック図である。
この実施の形態12の送風機280は、ファン281と、該ファン281を回転駆動するモータ282と、電圧源1を入力とし、上記モータ282を駆動するモータ駆動装置283とを有している。
ここで、上記電圧源1,上記モータ282,及びモータ駆動装置283はそれぞれ、実施の形態1の単相交流電源1,モータ2及びモータ駆動装置100aと同一のものであり、上記モータ駆動装置283には、送風機280の動作を制御するマイクロコンピュータから、ユーザの操作に応じた指令回転数を示す回転数指令が入力される。
次に動作について説明する。
この実施の形態12の送風機280では、ユーザが所定の操作を行うと、マイクロコンピュータから、モータ駆動装置283に回転数指令が入力され、モータ駆動装置283からモータ282に駆動電圧が印加される。すると、モータ282の駆動によりファン281が回転し、送風が行われる。
このとき、この実施の形態12の送風機280では、マイクロコンピュータからの回転数指令に基づいて、実施の形態1と同様、モータ駆動装置283によりモータ282の出力が制御される。これにより、送風機280では、送風量や風の強さの調整が行われる。
このように本実施の形態12の送風機280では、動力源であるモータ282を駆動するモータ駆動装置として、、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を小さくすることができる。これにより送風機におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては送風機を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態13)
図16は本発明の実施の形態13による電気掃除機を説明するブロック図である。
この実施の形態13の電気掃除機290は、底面に吸引口が形成された床用吸込具297と、空気を吸引する掃除機本体290aと、一端が床用吸込具297に、その他端が掃除機本体に接続された吸塵ホース296とを有している。
上記掃除機本体290aは、前面の一部に吸塵ホース296の他端が開口した集塵室295と、該集塵室295の背面側に配置された電動送風機291とから構成されている。
電動送風機291は、該集塵室295の背面に対向するよう配置されたファン292と、該ファンを回転させるモータ293と、電圧源1を入力とし、該モータ293を駆動するモータ駆動装置294とから構成され、ファン292の回転により上記空気の吸引が行われるよう送風を行うものである。
ここで、上記電圧源1,モータ293,及びモータ駆動装置294はそれぞれ、実施の形態1の単相交流電源1,モータ2,及びモータ駆動装置100aと同一のものであり、上記モータ駆動装置294には、電気掃除機290の動作を制御するマイクロコンピュータから、ユーザの操作に応じた指令回転数を示す回転数指令が入力される。
次に動作について説明する。
この実施の形態13の電気掃除機290では、ユーザが所定の操作を行うと、マイクロコンピュータから、モータ駆動装置294に回転数指令が入力され、モータ駆動装置294からモータ293に駆動電圧が印加される。すると、モータ293の駆動によりファン292が回転し、掃除機本体290a内で吸引力が発生する。この掃除機本体290aで発生した吸引力はホース296を介して床用吸込具297の底面に設けた吸引口(図示せず)に作用し、床用吸込具297の吸引口から被掃除面の塵埃が吸引され、掃除機本体290aの集塵室295に集塵される。
このとき、この実施の形態13の電気掃除機290では、マイクロコンピュータからの回転数指令に基づいて、実施の形態1と同様、モータ駆動装置294によりモータ293の回転数が制御される。これにより、電気掃除機290では、吸引力の強さの調整が行われる。
このように本実施の形態13の電気掃除機290では、動力源であるモータ293を駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を小さくすることができる。これにより電気掃除機におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては電気掃除機を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態14)
図17は本発明の実施の形態14による電気乾燥機を説明するブロック図である。
この実施の形態14の電気乾燥機360は、圧縮機360a,モータ駆動装置360b,凝縮器361,蒸発器362,及び絞り装置363から構成されている。
ここで、圧縮機360a,凝縮器361,絞り装置363,及び蒸発器362は、冷媒循環経路を形成するものであり、モータ駆動装置360bは、電圧源1を入力とし、上記圧縮機360aの駆動源であるモータを駆動するものである。なお、上記電圧源1、圧縮機360aのモータ及びモータ駆動装置360bはそれぞれ、上記実施の形態1の単相交流電源1,モータ2及びモータ駆動装置100aと同一のものである。
絞り装置363は、上記実施の形態9の空気調和機の250の絞り装置253と同様、冷媒が冷媒循環経路を循環している状態で、凝縮器361から送り出された液冷媒の流量を絞って該液冷媒を膨張させるとともに、蒸発器362に、必要とされる量の冷媒を過不足なく供給するものである。
凝縮器361は、内部を流れる高温高圧の冷媒ガスを凝縮させて、冷媒の熱を外気に放出するものである。該凝縮器361に送り込まれた冷媒ガスは、外気により熱を奪われて徐々に液化し、凝縮器の出口付近では高圧の液冷媒となる。
蒸発器362は、低温の冷媒液を蒸発させて乾燥機内の除湿を行うものである。この蒸発器362は、除湿の効率を上げるための送風機362aを有している。
そして、この乾燥機360では、モータ駆動装置360bは、乾燥機の運転状態、つまり乾燥機に対して設定された除湿度、及び乾燥機内の湿度に基づいて、圧縮機360aのモータの出力を制御する。
次に動作について説明する。
この実施の形態14の電気乾燥機360では、モータ駆動装置360bから圧縮機360aのモータに駆動電圧Vdが印加されると、圧縮機360aが駆動して冷媒循環経路内で冷媒が矢印Eの方向に循環し、凝縮器361及び蒸発器362にて熱交換が行われる。これにより、乾燥機内の除湿が行われる。
つまりこの電気乾燥機360では、凝縮器361で液状となった冷媒は、絞り装置363にてその流量が絞られることにより膨張して、低温の冷媒液となる。そして、蒸発器362へ低温の液冷媒が送り込まれると、蒸発器362では、低温の冷媒液が蒸発して、乾燥機内の除湿が行われる。具体的には、乾燥機内の湿り空気がその露点温度以下まで冷却され、水分が凝縮水として除去された空気が再加熱(再熱)される。このとき、蒸発器には、送風機により強制的に乾燥機内の空気が送り込まれており、蒸発器では、効率よく熱交換が行われて除湿される。
このように本実施の形態14の電気乾燥機360では、圧縮機360aの動力源であるモータを駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を、電源から供給される電流の波形歪みによる力率の低下を抑えつつ小さくすることができる。これにより電気乾燥機におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいては電気乾燥機を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
(実施の形態15)
図18は本発明の実施の形態15によるヒートポンプ給湯器を説明するブロック図である。
この実施の形態15のヒートポンプ給湯器380は、供給された水を加熱して温水を排出する冷凍サイクル装置381aと、冷凍サイクル装置381aから排出された温水を貯める貯湯槽381bと、これらを連結する水配管386a,386b,387a,及び387bとを有している。
上記冷凍サイクル装置381aは、冷媒循環経路を形成する圧縮機380a,空気熱交換器382,絞り装置383,及び水熱交換器385を有するとともに、電圧源1を入力とし、該圧縮機380aのモータを駆動するモータ駆動装置380bを有している。
ここで、上記電圧源1,圧縮機380aのモータ,及びモータ駆動装置380bは、それぞれ実施の形態1の単相交流電源1,モータ2,及びモータ駆動装置100aと同一のものである。
絞り装置383は、上記実施の形態9の空気調和機250の絞り装置253と同様、水熱交換器385から空気熱交換器382へ送り出された液冷媒の流量を絞って、該液冷媒を膨張させるものである。
水熱交換器385は、冷凍サイクル装置381aに供給された水を加熱する凝縮器であり、加熱された水の温度を検出する温度センサ385aを有している。空気熱交換器382は、周辺雰囲気から熱を吸収する蒸発器であり、熱交換の能力を上げるための送風機382aと、該周辺温度を検出する温度センサ382bとを有している。
なお、図中、384は、上記冷媒を、圧縮機380a,水熱交換器385,絞り装置383,及び空気熱交換器382により形成される冷媒循環経路に沿って循環させる冷媒配管である。該冷媒配管384には、圧縮機380aから吐出された冷媒を、水熱交換器385及び絞り装置383をバイパスして空気熱交換器382に供給する除霜バイパス管384aが接続されており、該バイパス管384aの一部には除霜バイパス弁384bが設けられている。
上記貯湯槽381bは、水あるいは温水を貯める貯湯タンク388を有している。該貯湯タンク388の受水口388c1には、該貯湯タンク388内へ水を外部から供給する給水配管388cが接続され、上記貯湯タンク388の湯出口388d1には、該貯湯タンク388から浴槽へ湯を供給する浴槽給湯管388dが接続されている。また、上記貯湯タンク388の水出入口388aには、該タンク388に貯められた湯を外部に供給する給湯管389が接続されている。
上記貯湯タンク388と冷凍サイクル装置381aの水熱交換器385とは、配管386a,386b,387a,及び387bにより接続されており、貯湯タンク388と水熱交換器385との間には水の循環路が形成されている。
ここで、水配管386bは、水を貯湯タンク388から水熱交換器385へ供給する配管であり、その一端は、貯湯タンク388の水出口388bに接続され、その他端は、ジョイント部分387b1を介して、水熱交換器385の入水側配管387bに接続されている。また、この水配管386bの一端側には、貯湯タンク388内の水あるいは温水を排出するための排水弁388b1が取り付けられている。上記水配管386aは、水を水熱交換器385から貯湯タンク388へ戻す配管であり、その一端は、貯湯タンク388の水出入口388aに接続され、その他端は、ジョイント部分387a1を介して水熱交換器385の排出側配管387aに接続されている。
そして、水熱交換器385の入水側配管387bの一部には、上記水循環路内で水を循環させるポンプ387が設けられている。
さらに、この給湯器380では、給湯器の運転状態、つまり給湯器に対して設定された温水の目標温度、貯湯槽381bから冷凍サイクル装置381aの水熱交換器385aに供給される水の温度、及び外気温に基づいて、圧縮機380aのモータの指令回転数が決定され、モータ駆動装置380bは、指令回転数に基づいて圧縮機380aのモータに要求されるモータ出力を決定する。
次に動作について説明する。
圧縮機380aのモータにモータ駆動装置380bから駆動電圧Vdが印加され、圧縮機380aが駆動すると、圧縮機380aにより圧縮された高温冷媒は、矢印Fが示す方向に循環し、つまり冷媒配管384を通り、水熱交換器385に供給される。また、水循環路のポンプ387が駆動すると、貯湯タンク388から水が水熱交換器385に供給される。
すると、水熱交換器385では、冷媒と貯湯タンク388から供給された水との間で熱交換が行われ、熱が冷媒から水へ移動する。つまり供給された水が加熱され、加熱された水は、貯湯タンク388へ供給される。このとき、加熱された水の温度は凝縮温度センサ385aにて監視されている。
また、水熱交換器385では、冷媒は上記熱交換により凝縮し、凝縮した液冷媒は、その流量が絞り装置383により絞られることにより膨張し、空気熱交換器382に送り込まれる。この給湯器380では、該空気熱交換器382は、蒸発器として働く。つまり、該空気熱交換器382は、送風機382aにより送り込まれた外気から熱を吸収し、低温の冷媒液を蒸発させる。このとき、上記空気熱交換器382の周辺雰囲気の温度は温度センサ382bにより監視されている。
また、冷凍サイクル装置381aでは、空気熱交換器382に霜がついた場合は、除霜バイパス弁384bが開き、高温の冷媒が除霜バイパス路384aを介して空気熱交換器382に供給される。これにより空気熱交換器382の除霜が行われる。
一方、貯湯槽381bには、冷凍サイクル装置381aの水熱交換器385から温水が配管387a及び386aを介して供給され、供給された温水が貯湯タンク388に貯められる。貯湯タンク388内の温水は、必要に応じて、給湯管389を通して外部に供給される。特に、浴槽へ給湯する場合は、貯湯タンク内の温水は浴槽用給湯管388dを通して浴槽に供給される。
また、貯湯タンク388内の水あるいは温水の貯蓄量が一定量以下となった場合には、外部から給水管388cを介して水が補給される。
そして、この実施の形態10の給湯器380では、モータ駆動装置380bにより、該給湯器380に対して設定された温水の目標温度、水熱交換機385aに供給される水の温度、及び外気温に基づいてモータの指令回転数が決定され、実施の形態1と同様、該指令回転数に基づいて、モータ駆動装置380bにより圧縮機380aのモータの回転数が制御される。これにより、給湯器380では、目標温度の温水の供給が行われる。
このように本実施の形態15のヒートポンプ給湯器380では、圧縮機380aの動力源であるモータを駆動するモータ駆動装置として、実施の形態1と同様、モータに供給する電流を、電源電圧vがゼロからピークへと変化する動作区間で減少させ、電源電圧vがピークからゼロへと変化する動作区間で増加させるモータ駆動装置を用いたので、単相交流電源1の出力する電流が平準化されることとなり、モータ駆動装置におけるコンデンサやインダクタの値を、電源から供給される電流の波形歪みによる力率の低下を抑えつつ小さくすることができる。これによりヒートポンプ給湯器におけるモータ駆動装置を、入力力率の制約やIEC高周波規制を満たしつつ小型化,軽量化することができ、ひいてはヒートポンプ給湯器を、設計の自由度が高く、安価なものとすることができる。
なお、上記実施の形態9から15では、動力源であるモータを駆動するモータ駆動装置は、実施の形態1のモータ駆動装置と同一のものとしているが、実施の形態9ないし15の機器のモータ駆動装置は、実施の形態2ないし8のいずれかのモータ駆動装置と同一のものであってもよい。