JP4605200B2 - 運転意図推定装置、車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両 - Google Patents

運転意図推定装置、車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両 Download PDF

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本発明は、走行中の運転者の運転行動意図を推定する運転意図推定装置、および運転意図に応じて運転者の操作を補助する車両用運転操作補助装置に関する。
従来の運転意図推定装置は、運転者の視線行動を用いて運転意図を推定している(例えば特許文献1参照)。この装置は、運転者の視線方向を前方投影平面に投影し、投影平面上の分割された複数の領域における視線方向頻度分布を用いて運転者の運転意図を推定する。
本願発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開2002−331850号公報
上述した従来の装置は、運転者の視線方向や視線の注視頻度等を用いて運転者の運転行動意図を推定することができる。ただし、運転者の視線行動は車両走行環境の差異に影響され、さらに運転者の個人差も大きく意図推定の精度が変動してしまうという問題があるため、常に高い精度で運転意図を推定することが望まれている。
本発明による運転意図推定装置は、自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、車両周囲状態検出手段によって検出される車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、走行状況検出手段によって検出される走行状況に基づいて、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される複数の仮想ドライバの運転操作量と、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された複数の仮想ドライバの運転操作量と、運転操作量検出手段によって検出された実際のドライバの運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の運転操作量近似度合に基づいて、実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、運転意図に応じて自車両の前方に設定される目標位置を基準として、運転操作量を計算し、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、自車両の前方に存在する障害物と自車両との相対位置関係に基づいて運転操作量を計算し、仮想ドライバ運転操作量選択手段は、走行状況検出手段によって検出される先行車両に対する接近度合に基づいて複数の仮想ドライバの運転操作量を選択する。
本発明による運転意図推定装置は、自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、車両周囲状態検出手段によって検出される車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、走行状況検出手段によって検出される走行状況に基づいて、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される複数の仮想ドライバの運転操作量と、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された複数の仮想ドライバの運転操作量と、運転操作量検出手段によって検出された実際のドライバの運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の運転操作量近似度合に基づいて、実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、運転意図に応じて自車両の前方に設定される目標位置を基準として、運転操作量を計算し、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、自車両の前方に存在する障害物と自車両との相対位置関係に基づいて運転操作量を計算し、仮想ドライバ運転操作量選択手段は、走行状況検出手段によって検出される道路のカーブ曲率に基づいて複数の仮想ドライバの運転操作量を選択する。
本発明による運転意図推定装置は、自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、車両周囲状態検出手段によって検出される車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、走行状況検出手段によって検出される走行状況に基づいて、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される複数の仮想ドライバの運転操作量と、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された複数の仮想ドライバの運転操作量と、運転操作量検出手段によって検出された実際のドライバの運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の運転操作量近似度合に基づいて、実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、運転意図に応じて自車両の前方に設定される目標位置を基準として、運転操作量を計算し、第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、自車両の前方に存在する障害物と自車両との相対位置関係に基づいて運転操作量を計算し、仮想ドライバ運転操作量選択手段は、走行状況検出手段によって検出される自車速に基づいて複数の仮想ドライバの運転操作量を選択する。
発明による車両用運転操作補助装置は、運転意図推定装置と、自車両周囲の障害物状況を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段による検出結果に基づいて、自車両周囲のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、アクセルペダルに発生する操作反力を算出する操作反力算出手段と、アクセルペダルに操作反力を発生させる操作反力発生手段と、運転意図推定装置による運転意図の推定結果に基づいて、アクセルペダルに発生する操作反力を補正する補正手段とを備える。
本発明によれば、運転意図を与えられた複数の異なる仮想ドライバについて、運転意図を遂行するために必要な運転操作量を第1の手法および第2の手法によりそれぞれ算出し、実際のドライバによる運転操作量との近似度合に基づいて運転意図を推定するので、実際のドライバの運転意図を精度よく推定することができる。
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による運転意図推定装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による運転意図推定装置1の構成を示すシステム図である。まず、第1の実施の形態による運転意図推定装置1の構成を説明する。
運転意図推定装置1は、ドライバの操作による運転操作量を検出する運転操作量検出部10と、自車両周囲の状態を検出する車両周囲状態検出部20と、車両状態を検出する車両状態検出部30と、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40と、第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50と、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60と、第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70と、仮想ドライバモデル選択部80と、運転意図推定部90とを備えている。
運転意図推定装置1は、運転意図を有する仮想のドライバを複数設定し、実際のドライバの運転操作と仮想ドライバの運転操作とを比較する。そして、実際のドライバの運転操作と仮想ドライバの運転操作がどれだけ近似しているかに基づいて運転意図を推定する。このとき、現在から過去の直近の所定時間における運転操作の系列的な近似度合に基づいて運転意図を推定する。
運転操作量検出部10は、例えば操舵系に組み込まれた操舵角センサを備え、自車両の操舵角を検出する。車両周囲状態検出部20は、例えば自車両の前方道路状況を画像として取得する前方カメラ、ヨー角センサおよびヨーレイトセンサ等を備え、自車両の車線内横方向位置、自車両と車線とのヨー角および自車両に作用するヨーレイト等を検出する。さらに、自車両の前方に存在する先行車の車線内横方向位置も検出する。なお、車両周囲状態検出部20は、前方カメラで取得した画像信号を画像処理する画像処理装置も備えている。車両状態検出部30は、例えば自車速を検出する車速センサを備えている。
第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40と、第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50と、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60と、第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70と、仮想ドライバモデル選択部80と、運転意図推定部90は、例えばそれぞれマイクロコンピュータから構成される。またはCPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成されるコントローラにおいて、CPUのソフトウェア形態によりそれぞれを構成することもできる。
第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40および第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、それぞれ異なる運転意図を与えられた複数の仮想ドライバが、それぞれの運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する。ただし、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40と第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、それぞれ異なる手法を用いて複数の仮想ドライバを生成し、その運転操作量を計算する。
具体的には、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40は、車両周囲状態検出部10によって検出される、自車両が走行する車線のレーンマーカ(車線識別線)と自車両との相対的な関係に基づいて複数の仮想ドライバの運転操作量を算出する。第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、レーンマーカと自車両との相対関係とは異なる情報、具体的には、車両周囲状態検出部20によって検出される自車両と先行車との相対的な関係に基づいて、複数の仮想ドライバの運転操作量を算出する。以降、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40で算出される仮想ドライバのモデルを前方参照型モデル、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60で算出される仮想ドライバのモデルを先行車参照型モデルとして説明する。
第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50は、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40で算出された前方参照型モデルの仮想ドライバの運転操作量と、運転操作量検出部10で検出された実際のドライバの運転操作量との近似度合を算出する。第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70は、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60で算出された先行車参照型モデルの仮想ドライバの運転操作量と、実際のドライバの運転操作量との近似度合を算出する。
前方参照型モデルでは、図2に示すように、実際のドライバは運転意図に応じた目標位置を前方参照点として自車両の前方に設定し、その前方参照点に到達するような運転操作を行うと仮定して仮想ドライバの運転操作量を決定している。ところが、自車両の走行状況によっては実際のドライバが前方参照点以外の情報に基づいて運転操作を行う場合がある。例えば、自車両と先行車との車間距離が短い場合、実際のドライバは先行車を注視して運転操作を行う傾向にあるため、前方参照点に基づいて算出した仮想ドライバの運転操作量と実際のドライバの運転操作量との近似度合は低下してしまう。その結果、実際のドライバの運転意図の推定精度が低下してしまう。
そこで、仮想ドライバモデル選択部80は、実際のドライバが運転操作量を決定する際の手法(ストラテジ)に対応するように、自車両の走行状況に応じて前方参照型モデルおよび先行車参照型モデルのいずれか一方の仮想ドライバモデルを選択する。具体的には、第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50で算出された近似度合と第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70で算出された近似度合のうち、自車両の走行状況に応じていずれか一方を選択する。
運転意図推定部90は、仮想ドライバモデル選択部80で選択された仮想ドライバモデルを用いて、複数の仮想ドライバの運転操作量と実際のドライバの運転操作量との系列的な近似度合を算出して比較することにより、実際のドライバの運転意図を推定する。
以下に、第1の実施の形態による運転意図推定装置1の動作を、図3を用いて詳細に説明する。図3は、運転意図推定装置1における運転意図推定処理プログラムの処理手順を示すフローチャートである。図3に示す処理の処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
ステップS101では、現在の自車両の車線内横位置xと自車両のヨー角ψを検出する。図4に示すように、車線内横位置xは、自車線の車線中央線から自車両中心点Oまでの左右方向距離であり、ヨー角ψは、自車線の直進方向に対する自車両の回転角である。さらに、自車両の前方に存在する先行車の車線内横位置Px(図5参照)も検出する。自車両の車線内横位置xおよび先行車の車線内横位置Pxは、それぞれ車線中央から右側を正の値、左側を負の値で表す。
ステップS102では、運転操作量検出部10によって検出される現在の操舵角θrdを、実際のドライバの運転操作量Ordとして読み込む。
ステップS103では、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40において前方参照型モデルによる複数の仮想ドライバの運転操作量を算出する。ここで算出する仮想ドライバの運転操作量を、レーンマーカと自車両との相対的な関係に基づいて算出する第1の仮想ドライバ運転操作量Oid_1とする。ここでは、車線維持(LK)、右車線変更(LCR)、および左車線変更(LCL)の運転意図を持つ3人の仮想ドライバを設定する。そして、それぞれの仮想ドライバがその運転意図を遂行するために必要な運転操作量Oid_1を算出する。ここでは、仮想ドライバが行う操舵操作の操舵角θid_1を、運転操作量Oid_1として算出する。以下に、仮想ドライバの運転操作量Oid_1の算出方法を説明する。
(1)仮想ドライバの運転意図が車線維持の場合
第1の仮想ドライバの操舵角θid_1を算出するために、まず仮想ドライバの運転意図が車線維持である場合の前方参照点LK(i)を設定し、前方参照点LK(i)の横位置p_lkを算出する。前方参照点LK(i)の個数は任意であるが、ここでは自車両の前後方向中心線上に2つの前方参照点LK1,LK2を設定した場合を例として説明する。図4に示すように、自車両中心点Oから前方参照点LK1,LK2までの距離px(i)は、例えばpx(1)=10m、px(2)=30mに設定する(px={10m、30m})。距離px(i)は、例えば自車速に応じて設定することもできる。
現在自車両が走行する車線の中央線から前方参照点LK(i)までの左右方向距離lat_pos(px(i))は、自車両のヨー角ψと前方地点LK(i)までの距離px(i)に依存し、例えば前方カメラからの画像信号に基づいて算出することができる。車線維持の場合の前方参照点LK(i)の横位置p_lk(px(i))は、以下の(式1)で表すことができる。
p_lk(px(i))=lat_pos(px(i)) i={1,...,n}・・・(式1)
ここで、n=2である。
前方参照点LK(i)の横位置p_lk(px(i))を用いて、車線維持の場合の仮想ドライバの操舵角θid_1_lkを以下の(式2)から算出することができる。
θid_1_lk=Σ{a(i)×p_lk(px(i))} ・・・(式2)
ここで、a(i)は前方参照点LK(i)における横位置p_lk(px(i))に重み付けをする重み付け係数であり、予め適切な値を設定しておく。
(2)仮想ドライバの運転意図が右車線変更の場合
第1の仮想ドライバの操舵角θid_1を算出するために、仮想ドライバの運転意図が右車線変更である場合の前方参照点LCR(i)を設定する。図4には、自車両の前方に2つの前方参照点LCR1,LCR2を設定した場合を例として示している。
右車線変更の場合の前方参照点LCR(i)の横位置p_lcr(px(i))は、以下の(式3)で表すように、車線維持の場合の前方参照点LK(i)の左右方向距離lat_pos(px(i))にオフセット量lc_offset_lcrを加算して算出することができる。
p_lcr(px(i))=lat_pos(px(i))+lc_offset_lcr i={1,...,n}・・・(式3)
ここで、n=2である。オフセット量lc_offset_lcrは、右車線変更の場合の前方参照点LCR(i)の横位置p_lcr(px(i))を設定するために予め適切な値、例えばlc_offset_lcr=−1.75に設定する。
前方参照点LCR(i)の車線内横位置p_lcr(px(i))を用いて、右車線変更の場合の操舵角θid_1_lcrを以下の(式4)から算出することができる。
θid_1_lcr=Σ{a(i)×p_lcr(px(i))} ・・・(式4)
ここで、a(i)は前方参照点LCR(i)における車線内横位置p_lcr(px(i))に重み付けをする重み付け係数であり、予め適切な値を設定しておく。
(3)仮想ドライバの運転意図が左車線変更の場合
第1の仮想ドライバの操舵角θid_1を算出するために、仮想ドライバの運転意図が左車線変更である場合の前方参照点LCL(i)を設定する。図4には、自車両の前方に2つの前方参照点LCL1,LCL2を設定した場合を例として示している。
左車線変更の場合の前方参照点LCL(i)の横位置p_lcl(px(i))は、以下の(式5)で表すように、車線維持の場合の前方参照点LK(i)の左右方向距離lat_pos(px(i))にオフセット量lc_offset_lclを加算して算出することができる。
p_lcl(px(i))=lat_pos(px(i))+lc_offset_lcl i={1,...,n}・・・(式5)
ここで、n=2である。オフセット量lc_offset_lclは、左車線変更の場合の前方参照点LCL(i)の横位置p_lcl(px(i))を設定するために予め適切な値、例えばlc_offset_lcl=1.75に設定する。
前方参照点LCL(i)の車線内横位置p_lcl(px(i))を用いて、左車線変更の場合の仮想ドライバの操舵角θid_1_lclを以下の(式6)から算出することができる。
θid_1_lcl=Σ{a(i)×p_lcl(px(i))} ・・・(式6)
ここで、a(i)は前方参照点LCL(i)における車線内横位置p_lcl(px(i))に重み付けをする重み付け係数であり、予め適切な値を設定しておく。
ステップS104では、ステップS102で検出した実際のドライバの運転操作量Ordと、ステップS103で算出した各運転意図における第1の仮想ドライバの運転操作量Oid_1とを用いて、第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1を算出する。
ここでは、説明を簡単にするために、運転意図が車線維持の場合、右車線変更の場合、および左車線変更の場合の近似度合Pid_1_lk, Pid_1_lcr, Pid_1_lclをまとめてPid_1で表す。同様に、運転意図が車線維持の場合、右車線変更の場合、および左車線変更の場合の第1の仮想ドライバの操舵角θid_1_lk, θid_1_lcr, θid_1_lclをまとめてθid_1で表す。
第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合Pid_1は、実際のドライバの操舵角θrdを平均値、所定値ρrdを標準偏差とする正規分布に対して、第1の仮想ドライバの操舵角θid_1の正規化(規準化)値の対数確率として、以下の(式7)から算出することができる。
Pid_1=log{Probn((θid_1−θrd)/ρrd)} ・・・(式7)
ここで、Probnは、与えられた標本が、正規分布で表される母集団から観測される確率を計算するための確率密度変換関数である。
このように、ステップS104では、(式7)を用いて車線維持の場合の近似度合Pid_1_lk、右車線変更の場合の近似度合Pid_1_lcr、および左車線変更の場合の近似度合Pid_1_lclをそれぞれ算出する。これらの近似度合Pid_1_lk、Pid_1_lcr、Pid_1_lclは、現時点tにおける第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合であるのでPid_1 (t)と表す。
つづくステップS105では、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60において先行車参照型モデルによる複数の仮想ドライバの運転操作量を算出する。ここで算出する仮想ドライバの運転操作量を、自車両と先行車との相対的な関係に基づいて算出する第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2とする。ここでは、車線維持(LK)と車線変更(LC)の運転意図を持つ複数の仮想ドライバを設定し、それぞれの仮想ドライバがその運転意図を遂行するために必要な運転操作量Oid_2を算出する。以下に、第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2の算出方法を説明する。
(1)仮想ドライバの運転意図が車線維持の場合
自車両と先行車との相対関係に基づいて車線維持を行おうとする場合は、自車両は車幅方向において先行車からはみ出さないように運転操作を行うと仮定する。そこでまず、自車両と先行車との車幅方向の重複率(ラップ率)を算出する。図5を用いてラップ率Sの算出方法を説明する。
ラップ率Sは、先行車の車幅Wlに対して自車両の車幅Woがどれほど重なっているかを示す値である。図5に示すように先行車の車幅Wlと自車両の車幅Woの重なり量slを算出し、以下の(式8)から先行車の車幅Wlに対する重なり量slの比率sxを算出する。
sx=sl/Wl ・・・(式8)
ラップ率Sは、比率sxを用いて以下の(式9)から算出する。
S=sgn(dx)×(sx) ・・・(式9)
(式9)において、dxは自車両の車幅方向中心位置と先行車の車幅方向中心位置のオフセット方向を示す値である。図5に示すように先行車後端面の車幅方向中心位置Plに対して自車両前端の車幅方向中心位置Poが右方向にオフセットしている場合はdx=+1とし、左方向にオフセットしている場合はdx=-1とする。sgn(dx)は、dx=+1の場合に+1を示し、dx=-1のときに-1を示す。
従って、ラップ率Sは、自車両と先行車とが車幅方向に完全に重なっている場合はS=1となり、重なり度合が小さくなるほど小さい値を示すとともに、自車両が右方向にオフセットしている場合は正の値、左方向にオフセットしている場合は負の値を示す。
つぎに、自車両と先行車とのラップ率Sが最大、すなわちラップ率S=1となるように第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2を決定する。ラップ率S=1を目標ラップ率Sdとして設定し、実際のラップ率Sと目標ラップ率Sdとの偏差e(t)を以下の(式10)から算出する。車線維持の場合の偏差e(t)を、elk(t)と表す。
elk(t)=Sd−|S| ・・・(式10)
(式10)から算出した偏差elk(t)と一周期前の偏差elk(t−1)を用いて、目標ラップ率Sdに対する時間偏差Δe(t)を以下の(式11)から算出する。車線維持の場合の時間偏差Δe(t)を、Δelk(t)と表す。
Δelk(t)=elk(t)−elk(t-1) ・・・(式11)
つぎに、(式11)で算出した時間偏差Δelk(t)を用いて、車線維持の場合の第2の仮想ドライバの操舵角θid_2_lk(t)を以下の(式12)から算出する。
θid_2_lk(t)=Kslk/(1+Tslk)×{Kplk×Δelk(t)+Kdlk(Δelk(t)−Δelk(t-1))} ・・・(式12)
(式12)において、Kslkは操舵ゲイン、Tslkは無駄時間時定数、Kplkは比例項係数、Kdlkは微分項係数であり、それぞれ任意に定められるパラメータである。
(2)仮想ドライバの運転意図が車線変更の場合
車線変更の場合は、先行車の車線内横位置Pxから車幅方向に1車線分、例えば3.5m分オフセットさせた位置を自車両の目標横位置Poとして設定し、第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2を算出する。自車両の車線内横位置xと目標横位置Poとの偏差e(t)を以下の(式13)から算出する。車線変更の場合の偏差e(t)を、elc(t)と表す。
elc(t)=|Po|−|x| ・・・(式13)
(式13)から算出した偏差elc(t)と一周期前の偏差elc(t−1)を用いて、目標横位置Poに対する時間偏差Δe(t)を以下の(式14)から算出する。車線変更の場合の時間偏差Δe(t)を、Δelc(t)と表す。
Δelc(t)=elc(t)−elc(t-1) ・・・(式14)
つぎに、(式14)で算出した時間偏差Δelc(t)を用いて、車線変更の場合の第2の仮想ドライバの操舵角θid_2_lc(t)を以下の(式15)から算出する。
θid_2_lc(t)=Kslc/(1+Tslc)×{Kplc×Δelc(t)+Kdlc(Δelc(t)−Δelc(t-1))} ・・・(式15)
(式15)において、Kslcは操舵ゲイン、Tslcは無駄時間時定数、Kplcは比例項係数、Kdlcは微分項係数であり、それぞれ任意に定められるパラメータである。
ステップS106では、ステップS102で検出した実際のドライバの運転操作量Ordと、ステップS105で算出した各運転意図における第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2とを用いて、第2の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_2を算出する。ここでは、上述した第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1と同様に、(式7)を用いて運転意図が車線維持の場合、および車線変更の場合の近似度合Pid_2_lk, Pid_2_lcを算出する。これらの近似度合Pid_2_lk, Pid_2_lcは現時点tにおける第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合であるので、以降の処理においてPid_2 (t)と表す。
ステップS107では、自車両と先行車との接近度合Lを判断する。接近度合Lとしては、例えば自車両と先行車との車間距離を用いる。先行車との車間距離Lが大きい場合、実際のドライバは自車両前方の目標位置である前方参照点を基準として運転操作を行うと考えられる。一方、先行車との接近度合L,すなわち車間距離が小さい場合は、前方参照点を視認することが困難なため、先行車との相対関係を基準として運転操作を行うと考えられる。
そこで、車間距離Lが所定値Loよりも大きい場合は、ステップS108へ進み、前方参照型モデルによる第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1を用いて、現在から過去の所定時間までの系列的な運転操作量近似度合Pidsを算出する。一方、車間距離Lが所定値Lo以下の場合は、ステップS109へ進み、先行車参照型モデルによる第2の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_2を用いて、系列的な運転操作量近似度合Pidsを算出する。
車間距離Lに基づいていずれの仮想ドライバを選択するかを判断するためのしきい値である所定値Loは、車両状態検出部30によって検出される自車速Vに基づいて可変で設定される。図6に、自車速と所定値Loとの関係を示す。図6に示すように自車速Vが大きくなるほど所定値Loが小さくなるように設定する。これにより、自車速Vが大きくなるほど前方参照型モデルによる第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1を選択する頻度が高くなる。
ステップS108における系列的な運転操作量近似度合Pidsの算出方法を以下に説明する。ここでは、過去の時点(t−m+1)から現時点tまでに算出され、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40のメモリに記憶されているm個の第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合Pid_1を用いて、各運転意図における運転操作量系列近似度合Pidsを算出する。ここでは、運転意図が車線維持の場合、右車線変更の場合、および左車線変更の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lk, Pids_lcr,Pids_lclをまとめてPidsで表す。運転操作量系列近似度合Pidsは、以下の(式16)から算出することができる。
Figure 0004605200
ここで、Πは、現時点tでの第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合Pid_1(t)から過去の時点(t−m+1)での仮想ドライバ運転操作量近似度合Pid_1(t-m+1)までを全て積算した積和を表す。
なお、図7に示すように、車線維持の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lkを算出する場合は、現時点tから過去の時点(t−m+1)の間に算出された車線維持の近似度合Pid_1_lk(t)〜Pid_1_lk(t-m+1)を用いる。同様に、右車線変更の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lcrを算出する場合は、現時点tから過去の時点(t−m+1)の間に算出された右車線変更の近似度合Pid_1_lcr(t)〜Pid_1_lcr(t-m+1)を用い、左車線変更の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lclを算出する場合は、現時点tから過去の時点(t−m+1)の間に算出された左車線変更の近似度合Pid_1_lcl(t)〜Pid_1_lcl(t-m+1)を用いる。
このように、ステップS108では(式16)を用いて、第1の仮想ドライバに基づく車線維持の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lk、および右車線変更および左車線変更の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lcr、Pids_lclをそれぞれ算出する。ここで、(式17)に示すように、右車線変更の場合の系列近似度合Pids_lcrおよび左車線変更の場合の系列近似度合Pids_lclの最大値を、車線変更の場合の系列近似度合Pids_lcとして設定する。
Pids_lc=max{Pids_lcr, Pids_lcl} ・・・(式17)
同様に、ステップS109では(式16)を用いて、第2の仮想ドライバに基づく車線維持の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lk、および車線変更の場合の運転操作量系列近似度合Pids_lcをそれぞれ算出する。
なお、車線維持の場合の系列近似度合Pids_lkは、実際のドライバが車線維持をする尤度(車線維持尤度Pr(LK))を表し、車線変更の場合の系列近似度合Pids_lcは、実際のドライバが車線変更をする尤度(車線変更尤度Pr(LC))を表す。このようにして実際のドライバの運転意図尤度を算出した後、ステップS110へ進む。
ステップS110では、実際のドライバの運転意図を推定する。まず、ステップS108またはS109で算出した車線維持尤度Pr(LK)および車線変更尤度Pr(LC)を用いて、以下の(式18)から車線変更意図スコアScを算出する。
Figure 0004605200
(式18)で算出される車線変更意図スコアScは、0〜1の間で連続的に変化し、車線変更の確信度(確率)が車線維持の確信度よりも相対的に高いほど大きな値をとる。例えば車線変更と車線維持の確信度が50:50のときに、スコアSc=0.5となり、車線変更の確信度が100%のときに、スコアSc=1となる。
つぎに、車線変更意図スコアScを車線変更意図推定しきい値Tと比較する。車線変更意図推定しきい値Tは予め適切に設定された所定値であり、例えばT=0.5に設定する。スコアScが車線変更意図推定しきい値Tよりも大きければ運転意図が車線変更であると推定し、スコアScがしきい値T以下であれば運転意図が車線維持であると推定する。
ステップS111では、ステップS110で推定した実際のドライバの運転意図の推定結果を出力する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40は、運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、車両周囲状態に基づいて各仮想ドライバがそれぞれの運転意図を遂行するために必要な運転操作量Oid_1を算出する。第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40で用いる車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれの運転意図を遂行するために必要な運転操作量Oid_2を算出する。仮想ドライバモデル選択部80は、自車両の走行状況に基づいて、仮想ドライバの運転操作量Oid_1,Oid_2のうちいずれか一方を選択する。運転意図推定部90は、選択された仮想ドライバの運転操作量Oidと実際のドライバの運転操作量Ordとの系列的な近似度合Pidsに基づいて実際のドライバの運転意図を推定する。これにより、自車両の走行状況に応じて、実際のドライバが運転操作量を決定する際の手法に基づいて仮想ドライバの運転操作量を決定することが可能となり、精度よく運転意図を推定することができる。
(2)第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40は、第1の手法として、運転意図に応じて自車両前方に設定される目標位置を基準として仮想ドライバの運転操作量Oid_1を算出する。一方、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、第2の手法として、自車両前方に存在する障害物と自車両との相対位置関係に基づいて仮想ドライバの運転操作量Oid_2を算出する。このように異なる手法を用いて仮想ドライバの運転操作量Oid_1,Oid_2を算出することにより、走行状況に応じて一層精度よく運転意図を推定することができる。
(3)第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、自車両と前方障害物との相対位置関係として、自車両の車幅Woと先行車両の車幅Wlとの重なり度合を表す重複率Sに基づいて仮想ドライバの運転操作量Oid_2を算出する。これにより、前方に先行車が存在する場合は先行車との車幅方向の重なり度合を基準にして運転操作量を決定するという実際のドライバの運転特性を考慮して、仮想ドライバの運転操作量Oid_2を算出することができる。
(4)仮想ドライバモデル選択部80は、自車両の走行状況として、先行車に対する接近度合に基づいて第1および第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_1,Oid_2のいずれか一方を選択する。具体的には、自車両と先行車との車間距離Lが大きい場合は第1の仮想ドライバの運転操作量Oid_1を選択し、車間距離Lが小さい場合は第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2を選択する。これにより実際のドライバの運転特性を考慮して、一層精度よく運転意図を推定することができる。
(5)仮想ドライバモデル選択部80は、さらに、自車速Vに基づいて第1および第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_1,Oid_2のいずれか一方を選択する。具体的には、図6に示すように、仮想ドライバモデルを選択する際の車間距離Lのしきい値Loを自車速Vに応じて設定する。これにより、車速Vが遅いほど車間距離Lが大きくても第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2が選択されるので、実際のドライバの運転特性を考慮して一層精度よく運転意図を推定することができる。
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態による運転意図推定装置について、図面を用いて説明する。第2の実施の形態による運転意図推定装置の基本構成は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第2の実施の形態においては、自車両が走行する道路の道路曲率(カーブ曲率)ρに基づいて前方参照型モデルおよび先行車参照型モデルのうち、いずれか一方の仮想ドライバモデルを選択する。さらに、自車両がカーブを走行する場合はシステムの横方向の分解能に起因して実際のドライバの運転意図の推定精度が変動するため、カーブ曲率ρに基づいて車線変更意図推定しきい値Tを変更する。
第2の実施の形態における車両周囲状態検出部20は、ナビゲーションシステムをさらに備えている。ナビゲーションシステムはGPS受信器を介して自車両の現在位置を検出するとともに、道路情報データベースから自車両が走行する道路のカーブ曲率等の道路情報を取得する。
第2の実施の形態による運転意図推定装置の動作を、図8を用いて詳細に説明する。図8は、運転意図推定装置における運転意図推定処理プログラムの処理手順を示すフローチャートである。図8に示す処理の処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。ステップS201〜S206での処理は、図3のフローチャートのステップS101〜S106における処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS207では、車両周囲状態検出部20のナビゲーションシステムから取得した、自車両が走行する道路のカーブ曲率ρを判断する。カーブ曲率ρが所定値ρoよりも小さい場合、すなわち緩やかなカーブを走行している場合は、ステップS208へ進み、前方参照型モデルによる第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1を用いて、現在から過去の所定時間までの系列的な運転操作量近似度合Pidsを算出する。一方、カーブ曲率ρが所定値ρo以上の場合、すなわち急カーブを走行している場合は、ステップS209へ進み、先行車参照型モデルによる第2の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_2を用いて、系列的な運転操作量近似度合Pidsを算出する。
カーブ曲率ρに基づいていずれの仮想ドライバを選択するかを判断するためのしきい値である所定値ρoは、車両状態検出部30によって検出される自車速Vに基づいて可変で設定される。図9に、自車速と所定値ρoとの関係を示す。図9に示すように自車速Vが大きくなるほど所定値ρoが小さくなるように設定する。これにより、自車速Vが大きくなるほど前方参照型モデルによる第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1を選択する頻度が高くなる。
ステップS210では、ステップS208またはS209で算出した車線維持尤度Pr(LK)および車線変更尤度Pr(LC)を用いて、上述した(式18)から車線変更意図スコアScを算出する。そして、算出した車線変更意図スコアScを車線意図推定しきい値Tと比較する。車線変更意図推定しきい値Tは、自車両が走行する道路のカーブ曲率ρに基づいて設定する。具体的には、カーブ曲率ρが大きくなり急なカーブであるほど、推定しきい値Tを大きな値に設定する。これにより、実際のドライバの運転意図が車線維持であるにも関わらず車線変更であると誤推定してしまうことを低減する。推定しきい値Tは、カーブ曲率ρに応じて、例えば0.5≦T<1となる値に設定する。
スコアScが車線変更意図推定しきい値Tよりも大きければ運転意図が車線変更であると推定し、スコアScがしきい値T以下であれば運転意図が車線維持であると推定する。ステップS211では、ステップS210で推定した実際のドライバの運転意図の推定結果を出力する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、とくに以下のような作用効果を奏することができる。
(1)仮想ドライバモデル選択部80は、自車両の走行状況として、自車両が走行する道路のカーブ曲率ρに基づいて第1および第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_1,Oid_2のいずれか一方を選択する。具体的には、カーブ曲率ρが大きく緩やかなカーブあるいは直線路である場合は第1の仮想ドライバの運転操作量Oid_1を選択し、カーブ曲率ρが小さく急なカーブである場合は第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2を選択する。これにより前方参照型モデル(第1の手法)では運転意図の推定精度が低下するような状況において異なる手法により第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2を算出することにより、精度よく運転意図を推定することができる。仮想ドライバモデル選択部80は、さらに、図9に示すように、仮想ドライバモデルを選択する際のカーブ曲率ρのしきい値ρoを自車速Vに応じて設定する。これにより、車速Vが速いほど、緩やかなカーブであっても第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2が選択されるので、実際のドライバの運転特性を考慮して一層精度よく運転意図を推定することができる。
(2)運転意図推定の際に用いる車線変更意図推定しきい値T(運転意図推定基準)は、道路のカーブ曲率ρに応じて変更される。これにより、カーブ走行中に実際のドライバの運転意図を誤推定してしまうことを低減できる。
(3)車線変更意図推定しきい値Tは、カーブ曲率ρが大きいほど大きくなるように設定される。これにより、カーブを走行中に車線維持を車線変更であると誤推定してしまうことを低減することができる。
《第3の実施の形態》
本発明の第3の実施の形態による運転意図推定装置について、図面を用いて説明する。図10に、第3の実施の形態による運転意図推定装置2の構成を示す。図10において、図1に示した第1の実施の形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付している。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第3の実施の形態においては、前方参照型の第1の仮想ドライバと実際のドライバとの運転操作近似度合、および先行車参照型の第2の仮想ドライバと実際のドライバとの運転操作近似度合の両方を用いて運転意図推定を行う。したがって、図10に示すように第3の実施の形態による運転意図推定装置2は、仮想ドライバモデル選択部80を備えていない。
第3の実施の形態による運転意図推定装置の動作を、図11を用いて詳細に説明する。図11は、運転意図推定装置における運転意図推定処理プログラムの処理手順を示すフローチャートである。図11に示す処理の処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。ステップS301〜S306での処理は、図3のフローチャートのステップS101〜S106における処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS307では、前方参照型モデルによる第1の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_1、および先行車参照型モデルによる第2の仮想ドライバの運転操作量近似度合Pid_2を用いて、系列的な運転操作量近似度合Pids_1、Pids_2をそれぞれ算出する。
ステップS308では、第1の仮想ドライバの運転操作量系列近似度合Pids_1と、第2の仮想ドライバの運転操作量系列近似度合Pids_2とを比較し、最も実際のドライバの運転操作量との合致度合が高い、すなわち最も運転操作量系列近似度合が大きい仮想ドライバの運転意図を、実際のドライバの運転意図として推定する。
ステップS309では、ステップS308で推定した実際のドライバの運転意図の推定結果を出力する。これにより、今回の処理を終了する。
なお、第1の仮想ドライバと第2の仮想ドライバのうち、最も大きな運転操作量系列近似度合を有する仮想ドライバについて上述した(式18)を用いて車線変更意図スコアScを算出し、運転意図推定を行うことも可能である。
このように、以上説明した第3の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40は、運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、車両周囲状態に基づいて各仮想ドライバがそれぞれの運転意図を遂行するために必要な第1の運転操作量Oid_1を算出する。第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60は、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40で用いる車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれの運転意図を遂行するために必要な第2の運転操作量Oid_2を算出する。第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50は、第1の運転操作量Oid_1と実際のドライバの運転操作量Ordとの近似度合を算出し、第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70は、第2の運転操作量Oid_2と実際のドライバの運転操作量Ordとの近似度合を算出する。そして、運転意図推定部90は、第1及び第2の運転操作量Oid_1、Oid_2の両方を用いて実際のドライバの運転意図を推定する。これにより、複数の手法により生成された複数の仮想ドライバの中から実際のドライバの運転操作に最も近似した仮想ドライバの運転意図を、実際のドライバの運転意図として推定することができる。
《第4の実施の形態》
つぎに、本発明の第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図12は、本発明の第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置100の構成を示すシステム図であり、図13は、車両用運転操作補助装置100を搭載した車両の構成図である。車両用運転操作補助装置100は、第1から第3の実施の形態で説明した運転意図推定装置1、2の運転意図推定結果に基づいて、実際のドライバの運転操作を補助するものである。
まず、車両用運転操作補助装置100の構成を説明する。
レーザレーダ110は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを照射して自車両の前方領域を走査する。レーザレーダ110は、前方にある複数の反射物(通常、先行車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、先行車までの車間距離と相対速度を検出する。検出した車間距離及び相対速度はコントローラ150へ出力される。レーザレーダ110によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg 程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
前方カメラ120は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出する。前方カメラ120からの画像信号は画像処理装置130で画像処理を施され、コントローラ150へと出力される。前方カメラ120による検知領域は車両の前後方向中心線に対して水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
車速センサ140は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出し、検出した自車速をコントローラ150に出力する。
さらに、上述した第1または第2の実施の形態による運転意図推定装置1によって推定された実際のドライバの運転意図推定結果がコントローラ150へ入力される。なお、第3の実施の形態による運転意図推定装置2の推定結果を用いてもよいことはもちろんである。
コントローラ150は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成される。コントローラ150は、例えばCPUのソフトウェア形態により、リスクポテンシャル計算部151,アクセルペダル反力指令値計算部152,およびアクセルペダル反力指令値補正部153を構成する。
リスクポテンシャル計算部151は、レーザレーダ110および車速センサ140から入力される自車速、車間距離および先行車両との相対車速と、画像処理装置130から入力される車両周辺の画像情報とから、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出する。アクセルペダル反力指令値計算部152は、リスクポテンシャル計算部151で算出されたリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル160に発生させるアクセルペダル反力の指令値FAを算出する。
アクセルペダル反力指令値補正部153は、運転意図推定装置1から入力される運転意図推定結果に基づいて、アクセルペダル反力指令値計算部152で算出されたアクセルペダル反力指令値FAを補正する。アクセルペダル反力指令値補正部153で補正されたアクセルペダル反力指令値FAは、アクセルペダル反力制御装置170へ出力される。
アクセルペダル反力制御装置170は、コントローラ150からの指令値に応じてアクセルペダル操作反力を制御する。アクセルペダル160には、リンク機構を介してサーボモータ180およびアクセルペダルストロークセンサ181が接続されている(図14参照)。サーボモータ180は、アクセルペダル反力制御装置170からの指令に応じてトルクと回転角とを制御し、運転者がアクセルペダル160を操作する際に発生する操作反力を任意に制御する。アクセルペダルストロークセンサ181は、リンク機構を介してサーボモータ180の回転角に変換されたアクセルペダル160のストローク量(操作量)ASを検出する。
なお、アクセルペダル反力制御を行わない場合の通常のアクセルペダル反力特性は、例えば、操作量ASが大きくなるほどアクセルペダル反力がリニアに大きくなるよう設定されている。通常のアクセルペダル反力特性は、例えばアクセルペダル160の回転中心に設けられたねじりバネ(不図示)のバネ力によって実現することができる。
つぎに、第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置100の動作を説明する。まず、その概要を説明する。
コントローラ150は、自車両周囲のリスクポテンシャルRP、具体的には先行車に対するリスクポテンシャルに基づいて、アクセルペダル160に発生するアクセルペダル反力を制御する。ここで、ドライバが車線変更する意図を持って先行車に接近する場合、リスクポテンシャルRPの増加に応じてアクセルペダル反力を増加すると、ドライバの運転操作を妨げたりドライバに違和感を与える可能性がある。そこで、運転意図推定装置1によってドライバの車線変更意図が推定される場合は、車線変更意図が推定されない場合に比べてアクセルペダル反力を小さくする。さらに、先行車参照型モデルの第2の仮想ドライバを用いて車線変更意図が推定された場合は、アクセルペダル反力をさらに調整する。
以下に、車両用運転操作補助装置100の動作を、図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。図15は、コントローラ150における運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
ステップS401で、レーザレーダ110、前方カメラ120および車速センサ140によって検出される自車両周囲の走行環境を表す環境状態量を読み込む。具体的には、自車両と先行車との車間距離D、先行車速V2および自車速V1を読み込む。ステップS402では、ステップS401で読み込んだ走行環境データに基づいて、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出する。ここでは、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出するために、先行車に対する余裕時間TTCと車間時間THWとを算出する。
余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量である。余裕時間TTCは、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速V1、先行車速V2および相対車速Vr(Vr=V2−V1)が一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車と先行車両とが接触するかを示す値である。余裕時間TTCは、以下の(式19)により求められる。
TTC=−D/Vr ・・・(式19)
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどの運転者が減速行動を開始することが知られている。
車間時間THWは、自車両が先行車に追従走行している場合に、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響度合、つまり相対車速Vrが変化すると仮定したときの影響度合を示す物理量である。車間時間THWは、以下の(式20)で表される。
THW=D/V1 ・・・(式20)
車間時間THWは、車間距離Dを自車速V1で除したものであり、先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す。この車間時間THWが大きいほど、周囲の環境変化に対する予測影響度合が小さくなる。つまり、車間時間THWが大きい場合には、もしも将来に先行車の車速が変化しても、先行車までの接近度合には大きな影響を与えず、余裕時間TTCはあまり大きく変化しないことを示す。なお、自車両が先行車に追従し、自車速V1=先行車速V2である場合は、(式20)において自車速V1の代わりに先行車速V2を用いて車間時間THWを算出することもできる。
そして、算出した余裕時間TTCと車間時間THWとを用いて先行車に対するリスクポテンシャルRPを算出する。先行車に対するリスクポテンシャルRPは、以下の(式21)を用いて算出することができる。
RP=a/THW+b/TTC ・・・(式21)
(式21)に示すように、リスクポテンシャルRPは、余裕時間TTCと車間時間THWとから連続的に表現される物理量である。ここで、a、bは、車間時間THWおよび余裕時間TTCにそれぞれ適切な重み付けをするための定数であり、予め適切な値を設定しておく。定数a、bは、例えばa=1,b=8(a<b)に設定する。
ステップS403では、アクセルペダルストロークセンサ181によって検出されるアクセルペダル160の操作量ASを読み込む。ステップS404では、ステップS402で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。まず、リスクポテンシャルRPに応じた反力増加量ΔFを算出する。
図16に、先行車に対するリスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係を示す。図16に示すように、リスクポテンシャルRPが最小値RPmin以下の場合は、反力増加量ΔFを0とする。これは、自車両周囲のリスクポテンシャルRPが非常に小さいときにアクセルペダル反力FAを増加することによって、運転者に煩わしさを与えてしまうことを避けるためである。最小値RPminは、予め適切な値を設定しておく。
リスクポテンシャルRPが最小値RPminを超える領域では、リスクポテンシャルRPに応じて反力増加量ΔFが指数関数的に増加するように設定する。反力増加量ΔFは、以下の(式22)で表される。
ΔF=k・RP ・・・(式22)
ここで、定数k、nはそれぞれ車種等によって異なり、ドライブシミュレータや実地試験によって取得される結果に基づいて、リスクポテンシャルRPを効果的に反力増加量ΔFに変換できるように予め適切に設定しておく。
さらに、(式22)に従って算出した反力増加量ΔFを、アクセルペダル操作量ASに応じた通常の反力特性に加算することにより、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。
ステップS405では、運転意図推定装置1による運転意図の推定結果を読み込み、推定結果が車線変更であるか否かを判定する。ドライバの運転意図が車線変更であると推定された場合は、ステップS406へ進む。ステップS406では、ステップS404で算出したアクセルペダル反力指令値FAを補正する。具体的には、ステップS404で算出したアクセルペダル反力指令値FAにローパスフィルタ等のフィルタ処理を施して減衰させる。
補正後のアクセルペダル反力指令値FAcは、以下の(式23)を用いて表すことができる。
FAc=gf(FA)
=k・{1/(1+a・Tsf)}・FA ・・・(式23)
ここで、k,aは適切に設定された定数、Tsfは反力指令値FAを減衰させる際の時定数である。
つづくステップS407では、運転意図推定装置1において先行車参照型モデルの第2の仮想ドライバを用いて車線変更意図が推定されたか否かを判定する。ステップS407が肯定判定されるとステップS408へ進み、アクセルペダル反力指令値FAを再度補正する。
再補正後のアクセルペダル反力指令値FAccは、以下の(式24)を用いて表すことができる。
FAcc=gf2(FA、S)
=k・{1/(1+Kfdx・a・Tsf)}・FA ・・・(式24)
時定数Tsfにかかる係数Kfdxは、図17に示すように車線変更意図が推定されたときの先行車とのラップ率Sに応じて設定される。
図17に示すように、時定数Tsfにかかる係数Kfdxは、0<Kfdx<1の間で、先行車とのラップ率Sの絶対値|S|が小さいほど小さくなるように設定する。これにより、車線変更意図推定時の先行車とのラップ率Sの絶対値が小さいほど時定数項(Kfdx・a・Tsf)が小さくなり、アクセルペダル反力を速やかに減衰させることができる。なお、先行車とのラップ率Sに応じて時定数Tsfを直接設定することももちろん可能である。
ステップS407が否定判定されるとステップS409へ進み、ステップS406で算出した補正値FAcを、再補正値FAccとして設定する。
一方、ステップS405において運転意図推定装置1によって推定された運転意図が車線維持であると判定された場合は、ステップS410へ進み、ステップS404で算出したアクセルペダル反力指令値FAをそのまま再補正値FAccとして設定する。
ステップS411では、ステップS408、S409またはS410で算出したアクセルペダル反力再補正値FAccを、アクセルペダル反力制御装置170へ出力する。アクセルペダル反力制御装置170は、コントローラ150から入力された指令に従ってサーボモータ180を制御する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、以上説明した第4の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ150は、自車両周囲の障害物状況に基づいてリスクポテンシャルRPを算出し、リスクポテンシャルRPに基づいてアクセルペダル操作反力制御を行う。このとき、運転意図推定装置1による推定結果に基づいてアクセルペダル160に発生する操作反力を補正する。これにより、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを車両操作機器であるアクセルペダル160の操作反力としてドライバに伝えながら、ドライバの運転意図に合った操作反力制御を行うことができる。
(2)コントローラ150は、運転意図推定結果に基づいて、アクセルペダル160に発生する操作反力、すなわちアクセルペダル反力指令値FAを補正するとともに、運転意図推定装置1の推定結果が第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2に基づくものである場合には、自車両と先行車との重複率Sに基づいてアクセルペダル反力指令値FAをさらに補正する。これにより、実際のドライバの運転意図を妨げることなく操作反力を制御してリスクポテンシャルRPを伝えることができる。
(3)コントローラ150は、運転意図推定結果が車線変更意図である場合に、車線変更意図でない場合に比べてアクセルペダル反力指令値FAが小さくなるように補正するとともに、重複率Sが小さいほどアクセルペダル反力指令値FAが小さくなるようにさらに補正する。このように車線変更意図であると推定された場合にアクセルペダル反力指令値FAを低下し、重複率Sが小さく自車両が速やかに車線変更を実行すると予測される状況ではさらにアクセルペダル反力指令値FAを低下することにより、車線変更を行おうとするドライバの運転操作を妨げることがない。
さらに、第2の実施の形態で説明したように、自車両がカーブを走行するときに先行車参照型モデルの第2の仮想ドライバを用いて運転意図推定を行う場合は、運転意図の推定精度が低下するのでカーブ曲率ρが大きくなるほど車線変更推定しきい値Tを大きくした。これにより、車線維持中に車線変更であると誤推定される頻度は低減する。しかし、車線変更意図の推定精度が高くなる反面、車線変更の意図を推定するタイミングが遅くなってしまう。そこで、とくに、カーブ走行時に第2の仮想ドライバモデルを用いて車線変更と推定された場合には、(式24)の時定数項(Kfdx・a・Tsf)を小さくすることにより、アクセルペダル反力を速やかに減衰させ、車線変更推定タイミングの遅れを補償することができる。
《第5の実施の形態》
本発明の第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図18は、本発明の第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置200の構成を示すシステム図である。図18において、図12に示す第4の実施の形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付している。ここでは、第4の実施の形態との相違点を主に説明する。
第5の実施の形態においては、運転意図推定装置1によってドライバの車線変更意図が推定された場合に、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを補正する。そこで、車両用運転操作補助装置200のコントローラ150Aは、リスクポテンシャル計算部151、リスクポテンシャル補正部154、およびアクセルペダル反力指令値計算部155を備えている。
次に、第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置200の動作を、図19を用いて詳細に説明する。図19は、コントローラ150Aにおける運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)ごとに連続的に行われる。ステップS501およびS502での処理は、図15のフローチャートのステップS401およびS402での処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS503では、運転意図推定装置1による運転意図の推定結果を読み込み、推定結果が車線変更であるか否かを判定する。ドライバの運転意図が車線変更であると推定された場合は、ステップS504へ進む。ステップS504では、ステップS502で算出したリスクポテンシャルRPを補正する。具体的には、ステップS502で算出したリスクポテンシャルRPにローパスフィルタ等のフィルタ処理を施して減衰させる。
補正後のリスクポテンシャルRPcは、以下の(式25)を用いて表すことができる。
RPc=gr(RP)
=k・{1/(1+a・Tsr)}・RP ・・・(式25)
ここで、k,aは適切に設定された定数、TsrはリスクポテンシャルRPを減衰させる際の時定数である。
つづくステップS505では、運転意図推定装置1によって先行車参照型モデルの第2の仮想ドライバを用いて車線変更意図が推定されたか否かを判定する。ステップS505が肯定判定されるとステップS506へ進み、リスクポテンシャルRPを再度補正する。
再補正後のリスクポテンシャルRPccは、以下の(式26)を用いて表すことができる。
RPcc=gr2(RP、S)
=k・{1/(1+Krdx・a・Tsr)}・RP ・・・(式26)
時定数Tsrにかかる係数Krdxは、図20に示すように車線変更意図が推定されたときの先行車とのラップ率Sに応じて設定される。
図20に示すように、時定数Tsrにかかる係数Krdxは、0<Krdx<1の間で、先行車とのラップ率Sの絶対値|S|が小さいほど小さくなるように設定する。これにより、車線変更意図推定時の先行車とのラップ率Sの絶対値が小さいほど時定数項(Krdx・a・Tsr)が小さくなり、リスクポテンシャルRPが速やかに減衰する。なお、先行車とのラップ率Sに応じて時定数Tsrを直接設定することももちろん可能である。
ステップS505が否定判定されるとステップS507へ進み、ステップS504で算出した補正値RPcを、再補正値RPccとして設定する。
一方、ステップS503において運転意図推定装置1によって推定された運転意図が車線維持であると判定された場合は、ステップS508へ進み、ステップS502で算出したリスクポテンシャルRPをそのまま再補正値RPccとして設定する。
ステップS509では、アクセルペダルストロークセンサ181によって検出されるアクセルペダルストローク量ASを読み込む。ステップS510では、ステップS506、S507またはステップS508で算出したリスクポテンシャル再補正値RPccに基づいてアクセルペダル反力指令値FAを算出する。ここでは、上述した第4の実施の形態と同様に、例えば図16のマップにしたがってアクセルペダル反力指令値FAを算出する。ただし、RP→RPccとする。ステップS511では、ステップS510で算出したアクセルペダル反力指令値FAをアクセルペダル反力制御装置170へ出力する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、以上説明した第5の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ150Aは運転意図推定結果に基づいて、リスクポテンシャルRPを補正するとともに、運転意図推定装置1の推定結果が第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_2に基づくものである場合には、自車両と先行車との重複率Sに基づいてリスクポテンシャルRPをさらに補正する。これにより、リスクポテンシャルRPに応じて算出される操作反力が低下し、実際のドライバの運転意図を妨げることなく操作反力を制御してリスクポテンシャルRPを伝えることができる。
(2)コントローラ150Aは、運転意図推定結果が車線変更意図である場合に、車線変更意図でない場合に比べてリスクポテンシャルRPが小さくなるように補正するとともに、重複率Sが小さいほどリスクポテンシャルRPが小さくなるようにさらに補正する。このように車線変更意図であると推定された場合にリスクポテンシャルRPを低下し、重複率Sが小さく自車両が速やかに車線変更を実行すると予測される状況ではさらにリスクポテンシャルRPを低下することにより、車線変更を行おうとするドライバの運転操作を妨げることがない。
上述した第1から第3の実施の形態では、第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60において、自車両と前方障害物との相対位置関係として、自車両と先行車との重複率Sを用いて第2の仮想ドライバの運転操作量Oid_2を算出した。しかしこれ以外の相対位置関係を用いることも可能である。
上述したように、第2の実施の形態では、自車両が走行する道路のカーブ曲率ρに応じて車線変更意図推定しきい値Tを設定した。これを第1または第3の実施の形態に適用することももちろん可能である。
上述した第1及び第2の実施の形態では、第1および第2の仮想ドライバ運転操作量Oid_1,Oid_2を用いて第1及び第2の仮想ドライバ運転操作近似度合Pid_1,Pid_2をそれぞれ算出した後、走行状況に応じて仮想ドライバモデルを選択し、第1または第2の仮想ドライバの運転操作量系列近似度合Pidsを算出した。ただし、処理順序はこれには限定されず、第1および第2の仮想ドライバの運転操作量系列近似度合Pidsを算出した後、走行状況に応じて仮想ドライバモデルを選択することも可能である。ただし、計算量等を考慮すると、仮想ドライバモデルを選択した後に、運転操作量系列近似度合Pidsを算出する方が好ましい。
上述した第1及び第2の実施の形態においては、仮想ドライバと実際のドライバの現在から過去の所定時間までの系列的な運転操作量近似度合Pidsを算出し、系列近似度合Pidsに基づいて、(式18)から車線変更意図スコアScを算出した。ただし、これには限定されず、仮想ドライバと実際のドライバの現時点での仮想ドライバの運転操作量近似度合Pidに基づいて車線変更意図スコアScを算出し、運転意図の推定を行うことも可能である。
また、車線変更意図尤度のスコアScを算出する代わりに、車線変更意図尤度Pr(LC)と車線維持意図尤度Pr(LK)から車線維持意図尤度のスコアを算出し、これをしきい値と比較して車線維持意図を推定することも可能である。さらに、第3の実施の形態と同様に、スコアScを算出することなく、選択された仮想ドライバモデルの運転操作量系列近似度合Pidsのうち、最も大きな近似度合を有する仮想ドライバの運転意図を実際のドライバの運転意図として推定することもできる。
なお、上述した第1から第3の実施の形態では、上述した(式18)から算出される車線変更意図スコアScを用いて運転意図推定を行うこと、および仮想ドライバと実際のドライバとの運転操作量系列近似度合に基づいて運転意図推定を行うことのいずれも可能である。
上述した第4および第5の実施の形態においては、自車両と先行車との余裕時間TTCおよび車間時間THWとを用いてリスクポテンシャルRPを算出した。ただしこれには限定されず、例えば余裕時間TTCの逆数をリスクポテンシャルとして用いることもできる。また、リスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係は図16に示すものには限定されず、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど反力増加量ΔFが増加するような種々のマップを用いることができる。
上述した第4の実施の形態においては、リスクポテンシャルRPに応じた反力増加量ΔFを通常の反力特性に加算した反力指令値FAを補正および再補正したが、これには限定されず、反力増加量ΔFを再補正してから通常の反力特性に加算して反力指令値FAの再補正値FAccを算出することも可能である。
以上説明した第1から第5の実施の形態においては、車両周囲状態検出部20が車両周囲状態検出手段および走行状況検出手段として機能し,運転操作量検出部10が運転操作量検出手段として機能し、第1の仮想ドライバ運転操作量計算部40が第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段として機能し,第2の仮想ドライバ運転操作量計算部60が第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段として機能し、仮想ドライバモデル選択部80が仮想ドライバ運転操作量選択手段として機能し、第1および第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50,70が運転操作量近似度合計算手段として機能し,第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部50が第1の運転操作量近似度合計算手段として機能し、第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部70が第2の運転操作量近似度合計算手段として機能し、運転意図推定部90が運転意図推定手段として機能することができる。また、レーザレーダ110,前方カメラ120および車速センサ140が障害物検出手段として機能し、リスクポテンシャル計算部151がリスクポテンシャル算出手段として機能し,アクセルペダル反力指令値計算部152,155が操作反力計算手段として機能し、アクセルペダル反力制御装置170が操作反力発生手段として機能することができる。アクセルペダル反力指令値補正部152およびリスクポテンシャル補正部154は補正手段として機能することができる、ただし、これらには限定されず、障害物検出手段として、別方式のミリ波レーダ等を用いることもできる。また、操作反力発生手段として、アクセルペダルとは異なる車両操作機器、たとえば操舵装置に操舵反力を発生させる操舵反力制御装置を用いることも可能である。
第1の実施の形態による運転意図推定装置のシステム図。 自車両の前方参照点を説明する図。 第1の実施の形態における運転意図推定処理の処理手順を示すフローチャート。 仮想ドライバの運転操作量の算出方法を説明する図。 先行車と自車両との相対位置関係を示す図。 自車速と仮想ドライバモデル選択所定値との関係を示す図。 仮想ドライバの運転操作量系列近似度合の算出方法を説明する図。 第2の実施の形態における運転意図推定処理の処理手順を示すフローチャート。 自車速と仮想ドライバモデル選択所定値との関係を示す図。 第3の実施の形態による運転意図推定装置のシステム図。 第3の実施の形態における運転意図推定処理の処理手順を示すフローチャート。 第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置のシステム図。 図12に示す車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。 アクセルペダルおよびその周辺の構成を示す図。 第4の実施の形態における運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャート。 リスクポテンシャルと反力増加量との関係を示す図。 先行車とのラップ率とアクセルペダル反力指令値再補正に用いる係数との関係を示す図。 第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置のシステム図。 第5の実施の形態における運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャート。 先行車とのラップ率とリスクポテンシャル再補正に用いる係数との関係を示す図。
符号の説明
1,2:運転意図推定装置
10:運転操作量検出部
20:車両周囲状態検出部
30:車両状態検出部
40:第1の仮想ドライバ運転操作量計算部
50:第1の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部
60:第2の仮想ドライバ運転操作量計算部
70:第2の仮想ドライバ運転操作量近似度合計算部
80:仮想ドライバモデル選択部
90:運転意図推定部
100,200:車両用運転操作補助装置
150,150A:コントローラ
170:アクセルペダル反力制御装置

Claims (12)

  1. 自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、
    前記自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
    実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、
    運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、前記車両周囲状態検出手段によって検出される前記車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる前記車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、前記第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記走行状況検出手段によって検出される前記走行状況に基づいて、前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量と、前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された前記複数の仮想ドライバの前記運転操作量と、前記運転操作量検出手段によって検出された前記実際のドライバの前記運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、
    前記運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の前記運転操作量近似度合に基づいて、前記実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記運転意図に応じて前記自車両の前方に設定される目標位置を基準として、前記運転操作量を計算し、
    前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記自車両の前方に存在する障害物と前記自車両との相対位置関係に基づいて前記運転操作量を計算し、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段は、前記走行状況検出手段によって検出される先行車両に対する接近度合に基づいて前記複数の仮想ドライバの運転操作量を選択することを特徴とする運転意図推定装置。
  2. 自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、
    前記自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
    実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、
    運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、前記車両周囲状態検出手段によって検出される前記車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる前記車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、前記第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記走行状況検出手段によって検出される前記走行状況に基づいて、前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量と、前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された前記複数の仮想ドライバの前記運転操作量と、前記運転操作量検出手段によって検出された前記実際のドライバの前記運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、
    前記運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の前記運転操作量近似度合に基づいて、前記実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記運転意図に応じて前記自車両の前方に設定される目標位置を基準として、前記運転操作量を計算し、
    前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記自車両の前方に存在する障害物と前記自車両との相対位置関係に基づいて前記運転操作量を計算し、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段は、前記走行状況検出手段によって検出される道路のカーブ曲率に基づいて前記複数の仮想ドライバの運転操作量を選択することを特徴とする運転意図推定装置。
  3. 自車両の車両周囲状態を検出する車両周囲状態検出手段と、
    前記自車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
    実際のドライバによる運転操作量を検出する運転操作量検出手段と、
    運転意図を与えられた複数の異なる仮想のドライバについて、第1の手法により、前記車両周囲状態検出手段によって検出される前記車両周囲状態に基づいて、各仮想ドライバが前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段で用いられる前記車両周囲状態とは異なる情報に基づいて、前記第1の手法とは異なる第2の手法により、運転意図を与えられた複数の仮想ドライバがそれぞれ前記運転意図を遂行するために必要な運転操作量を計算する第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段と、
    前記走行状況検出手段によって検出される前記走行状況に基づいて、前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段によって算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量と、前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段で算出される前記複数の仮想ドライバの運転操作量のいずれか一方を選択する仮想ドライバ運転操作量選択手段と、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段によって選択された前記複数の仮想ドライバの前記運転操作量と、前記運転操作量検出手段によって検出された前記実際のドライバの前記運転操作量との近似度合(以降、運転操作量近似度合とする)をそれぞれ計算する運転操作量近似度合計算手段と、
    前記運転操作量近似度合計算手段によって計算された複数の前記運転操作量近似度合に基づいて、前記実際のドライバの運転意図を推定する運転意図推定手段とを備え、
    前記第1の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記運転意図に応じて前記自車両の前方に設定される目標位置を基準として、前記運転操作量を計算し、
    前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記自車両の前方に存在する障害物と前記自車両との相対位置関係に基づいて前記運転操作量を計算し、
    前記仮想ドライバ運転操作量選択手段は、前記走行状況検出手段によって検出される自車速に基づいて前記複数の仮想ドライバの運転操作量を選択することを特徴とする運転意図推定装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の運転意図推定装置において、
    前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段は、前記障害物と前記自車両と前記相対位置関係として、前記自車両の車幅と先行車両の車幅との重なり度合を表す重複率に基づいて前記運転操作量を計算することを特徴とする運転意図推定装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運転意図推定装置において、
    前記複数の仮想ドライバの前記運転意図は、車線維持および車線変更であり、
    前記運転意図推定手段は、前記実際のドライバの運転意図が車線維持および車線変更のいずれであるかを推定することを特徴とする運転意図推定装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の運転意図推定装置と、
    自車両周囲の障害物状況を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記自車両周囲のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
    前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、アクセルペダルに発生する操作反力を算出する操作反力算出手段と、
    前記アクセルペダルに前記操作反力を発生させる操作反力発生手段と、
    前記運転意図推定装置による前記運転意図の推定結果に基づいて、前記アクセルペダルに発生する前記操作反力を補正する補正手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  7. 請求項4に記載の運転意図推定装置と、
    自車両周囲の障害物状況を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段による検出結果に基づいて、前記自車両周囲のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
    前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、アクセルペダルに発生する操作反力を算出する操作反力算出手段と、
    前記アクセルペダルに前記操作反力を発生させる操作反力発生手段と、
    前記運転意図推定装置による前記運転意図の推定結果に基づいて、前記アクセルペダルに発生する前記操作反力を補正する補正手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  8. 請求項7に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記補正手段は、前記運転意図の推定結果に基づいて前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルを補正するとともに、前記運転意図推定手段における前記運転意図の推定結果が前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段の計算結果に基づく場合に、前記先行車との前記重複率に基づいて前記リスクポテンシャルをさらに補正することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  9. 請求項8に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記補正手段は、前記運転意図推定手段の推定結果が車線変更意図である場合に、前記推定結果が車線変更意図でない場合に比べて前記リスクポテンシャルが小さくなるように補正するとともに、前記重複率が小さいほど前記リスクポテンシャルが小さくなるようにさらに補正を行うことを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  10. 請求項7に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記補正手段は、前記運転意図の推定結果に基づいて前記操作反力算出手段によって算出される前記操作反力を補正するとともに、前記運転意図推定手段における前記運転意図の推定結果が前記第2の仮想ドライバ運転操作量計算手段の計算結果に基づく場合に、前記先行車との前記重複率に基づいて前記操作反力をさらに補正することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  11. 請求項10に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記補正手段は、前記運転意図推定手段の推定結果が車線変更意図である場合に、前記推定結果が車線変更意図でない場合に比べて前記操作反力が小さくなるように補正するとともに、前記重複率が小さいほど前記操作反力が小さくなるようにさらに補正を行うことを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  12. 請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置を備えることを特徴とする車両。
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