JP4604320B2 - 基板洗浄方法及び基板洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弗化アンモニウム水溶液や弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として用いた基板洗浄方法及び基板洗浄装置に関するものであり、洗浄の均一安定処理、並びに洗浄液の使用量の削減を目的として開発された新規な基板洗浄方法及び基板洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
弗化アンモニウム水溶液(弗化水素酸とアンモニアとの任意混合液や界面活性剤を含有するもの等も含む。)は、弗化水素酸等と混合することにより、半導体(主にシリコン酸化膜)基板やガラス基板の洗浄やエッチングを目的として、半導体やLCD製造工程で多用されている。
【0003】
これら分野では、製品の軽量化、小型化、低消費電力化を目的として、より集積度の高い微細加工技術が求められている。このため、弗化アンモニウム水溶液や同水溶液と弗化水素酸との混合液による基板の洗浄においても、より精度の高い処理が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記洗浄やエッチングにおいては、洗浄液中の薬品成分(NH4F、HF)や水分が時間経過とともに変化(蒸発)するため、これによりシリコン酸化膜やガラス基板に対するエッチングレートが変化(増加)するという問題点を有している。
【0005】
これは、使用中に洗浄液中の弗酸成分の濃度が時間経過とともに徐々に増加することによるものであるが、現状では、洗浄液の液交換を頻繁に行うことにより、洗浄液中の各種成分濃度の変化に対する処置を講じていた。
【0006】
しかしながら、この対策では非常に多量の該洗浄液を使用することになり[特に弗化アンモニウム含有洗浄液は数十%(例えば40重量%程度)の高濃度の状態で使用されるため、通常数%程度の濃度で使用される他の洗浄液と比べて1回当たりの液交換で消費される薬品量は多くなる。]、これに伴い、弗化アンモニウムや弗化水素酸の使用量(薬品経費)が増加することになる。
【0007】
また、洗浄液が使用済みとなった場合、図7に示すような排水処理が必要となるが、この場合、多量の資源(排水処理剤)が消費され、これに伴い多量の廃棄物(排水と汚泥)を発生することになる(図8参照)。
【0008】
図7は、洗浄液の廃液処理工程を説明するものであり、洗浄槽81から生じた廃液は、pH調整槽82に運ばれ、ここで例えば20%水酸化カルシウム液で中和される。次に、廃液は、凝沈槽83に運ばれ、硫酸アルミニウム等の薬品により凝沈し、続いて凝集槽84にてポリアクリルアミド系凝集剤等の高分子凝集剤により凝集・沈殿し、その後は下水や汚泥となって排出される。
【0009】
前記処理工程では、図8に示すように、40%弗化アンモニウム水溶液1kgに対し、20%水酸化カルシウム2.0kg、8%硫酸アルミニウム0.3kg、高分子凝集剤1.6kgを必要とし、固形分70%汚泥2.6kg、下水排水2.3kgが生じる。
【0010】
近年、地球環境問題は世界的な関心事となってきており、半導体やLCD等の基板製造時の環境負荷が問題視されるようになってきた昨今、洗浄液に関しても単にコストダウンの目的だけではなく、省資源や廃棄物の低減、環境浄化等の環境保全面での対応が社会的に強く求められるようになってきている。
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、均一安定な基板洗浄が可能であり、省資源化、廃棄物低減化等を可能とする基板洗浄方法、基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の基板洗浄方法は、弗化アンモニウム水溶液又は弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として基板の洗浄を行う基板洗浄装置を用いた基板洗浄方法において、上記基板洗浄装置は、上記洗浄液を収容し、上記基板の洗浄処理を行う基板処理部と、上記基板を収容する基板キャリア部と、上記基板キャリア部を上下動させて上記基板処理部に搬送する搬送部とを備え、上記搬送部は、上記洗浄液の使用時間の経過に応じて上記基板の洗浄時間を変化させる制御機構を有しており、上記基板の洗浄を行う際に、該制御機構により該洗浄時間が指示され、上記基板キャリア部の上下動を制御することによって、洗浄液の使用時間の経過に伴って基板の洗浄時間を短くすることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の基板洗浄装置は、弗化アンモニウム水溶液又は弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として基板の洗浄を行う基板洗浄装置において、上記洗浄液を収容し、上記基板の洗浄処理を行う基板処理部と、上記基板を収容する基板キャリア部と、上記基板キャリア部を上下動させて上記基板処理部に搬送する搬送部とを備え、上記搬送部は、上記洗浄液の使用時間の経過に応じて上記基板の洗浄時間を変化させる制御機構を有しており、上記基板の洗浄を行う際に、該制御機構が該洗浄時間を指示し、上記基板キャリア部の上下動を制御して、洗浄液の使用時間の経過に伴って基板の洗浄時間を短くすることを特徴とするものである。
【0014】
弗化アンモニウム水溶液や、弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として基板の洗浄やエッチングを行う際に、洗浄液の使用時間の経過、もしくは、洗浄液中の各種薬品成分濃度に応じて基板の洗浄時間を変化させることにより、基板の洗浄処理が均一安定化(エッチング量の均一化)される。
【0015】
それとともに、洗浄液の液交換頻度の低減が図られ洗浄液の使用量が削減され、さらには洗浄液を排水処理するために必要とされる薬品の使用量の低減、排水処理により排出される排水と汚泥の発生量の低減が可能となる。
【0016】
すなわち、本発明によれば、基板の洗浄処理の均一安定化が達成され、洗浄液の使用量の低減や排出量の低減が実現される。
【0017】
【発明実施の形態】
以下、本発明を適用した基板洗浄方法や基板洗浄装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本発明は、弗化アンモニウム水溶液、あるいは弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液とする基板洗浄(あるいはエッチング)において、洗浄液の累積使用時間、洗浄液中の各種成分濃度に応じて、基板洗浄時間を変化させるものである。
【0019】
図1は、弗化アンモニウムと弗化水素酸の混合液に関して、時間経過と熱酸化膜に対するエッチングレートとの関係を示したものである。洗浄液の組成は、NH4F(40%)/HF(50%)=400/1であり、洗浄液の温度は2℃、熱酸化膜はSiO2である。
【0020】
この図1より、時間経過とともに熱酸化膜に対するエッチングレートが大幅に増加していることがわかる。
【0021】
このように、上記洗浄液を用いた基板洗浄においては、刻一刻とエッチングレートが変化していることになるが、このエッチングレートと経過時間との間には非常に高い相関関係(比例関係)がある。これは、洗浄液中の水分や薬品(NH4F、HF)成分が時間経過とともに変化(蒸発)していること、具体的には洗浄液中の水分やアンモニア成分が一定の比率で蒸発しており、洗浄液中のHF成分濃度が一定比率で増加していることを意味している。
【0022】
図2は、洗浄液中のHF濃度の時間経過による変化を示したものであるが、時間経過とともにHFの濃度は一定の比率で増加していることがわかる。
【0023】
これらの事実より、弗化アンモニウム又は弗化水素酸混合液による基板の洗浄処理は、洗浄液を作成してからの経過時間や、洗浄液中の各薬品成分濃度がわかればその時点でのエッチングレートが推測でき、これにより基板の洗浄時間をコントロールすることで経過時間や薬品濃度に影響されることなく均一・一定のエッチング処理(エッチング量均一化)を行うことが可能となる。
【0024】
その結果、半導体や液晶等の基板の歩留りの向上と、液交換頻度の低減が可能となり、洗浄液や排水処理剤の省薬品化と、汚泥や排水の発生量の低減が可能となる。
【0025】
図3は、本発明を適用した基板洗浄装置の一構成例を示すものである。
【0026】
この基板洗浄装置は、弗化アンモニウムと弗化水素酸の混合液等の洗浄液を収容し、基板の洗浄処理を行う基板処理槽1と、オーバーフローした洗浄液を上記基板処理槽1へ再度循環する循環用ポンプ2と、被処理物である基板3を収容する基板キャリア4と、この基板キャリア4を上下動させ基板処理槽1内へ搬送する搬送機5を備えてなるものである。
【0027】
ここで特徴的なのは、上記搬送機5に制御部6が設けられ、洗浄時間を指示し、上記基板キャリア4の上下動による洗浄時間を制御していることである。
【0028】
上述のように、時間経過とともに洗浄液中のHF成分濃度が一定比率で増加し、熱酸化膜に対するエッチングレートが大幅に増加している。
【0029】
そこで、この基板洗浄装置では、上記制御部6により時間経過とともに基板キャリア4を基板処理槽1中に投入する時間を短くし、エッチングレートがほぼ一定になるように制御している。
【0030】
図4は、上記装置における洗浄液作成後の経過時間と基板洗浄時間(エッチング時間)の設定例を示すものである。
【0031】
この図4にも示すように、上記基板洗浄装置においては、洗浄液の液交換直後(図中、A,B,C)を0秒とし、時間経過とともに洗浄(エッチング)処理時間を短くする。例えば、液交換直後に基板洗浄を行う場合には、洗浄処理時間を60秒、50時間経過時点では洗浄処理時間を40秒、100時間経過時点では洗浄処理時間を20秒とする。なお、この例では、100時間経過後には洗浄液の交換を実施し、経過時間についてはリセット(再カウント)している。
【0032】
ここで、洗浄液による基板の洗浄時間は、図1に示すエッチングレート:経過時間、図5に示すエッチングレート:各種成分(HF)濃度に関するデータ取りから各時点でのエッチングレートの算出を行い、必要とされるエッチング量/処理時点でのエッチングレート=洗浄時間なる式より求めることができる。
【0033】
なお、本技術は、弗化アンモニウム、弗化水素酸、アンモニア、水、界面活性剤等の各種成分を洗浄液に補充する動作と並行して行っても良い。
【0034】
また、上記基板洗浄装置においては、測定データに基づいて洗浄時間を算出し制御するようにしているが、図6に示すように、濃度測定機7を設け、循環される洗浄液の濃度測定を行い、この濃度情報に基づいてリアルタイムに洗浄時間を制御することも可能である。
【0035】
ここで、洗浄液中の構成成分の濃度を測定する方法としては、所定の波長の吸光度や赤外・紫外吸収スペクトル、屈折率、比重、透過率、電導率等の測定を用いても良いし、カールフィシャーの水分濃度測定計や液体(イオン)クロマトグラフィー等の測定機を用いても良い。
【0036】
以上のように、基板の洗浄時間を各処理時点でのエッチングレートや各種成分濃度から判断して変化させることで、洗浄液によるエッチング処理を均一/安定化(すなわち、酸化膜に対するエッチング量を一定に維持する。)が図れるため、従来のように洗浄液の液交換を頻繁に行う必要がなくなる。これにより、洗浄液の長寿命化が図れることになり、液交換頻度の低減により洗浄液の消費量の低減(省資源)と、洗浄液の排水処理に必要とされる排水処理剤の低減(省資源)にも貢献できる。さらには、これら薬品の使用量の低減から、排水処理時に発生する汚泥や排水の排出量を低減(廃棄物発生量の低減)することにも貢献できることになる。
【0037】
以上のことより、本発明は単に基板処理の均一/安定化を図るばかりではなく、省資源、廃棄物発生量の低減等の面で地球環境保全にも貢献するものである。
【0038】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の方法、装置を用いることにより、弗化アンモニウム水溶液や同水溶液と弗化水素酸との混合液により基板の洗浄を行う際に、処理の均一安定化が図れるとともに、洗浄液の液交換頻度の低減が可能となるため、薬品(洗浄液、排水処理剤)の省資源化やこれに伴い発生する汚泥や排水の排出量の大幅な低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄液における経過時間とエッチングレートの関係を示す特性図である。
【図2】経過時間と洗浄液中のHF濃度の関係を示す特性図である。
【図3】本発明を適用した基板洗浄装置の一例を示す模式図である。
【図4】基板洗浄時間の制御の一例を示す図である。
【図5】洗浄液中のHF濃度とエッチングレートの関係を示す特性図である。
【図6】本発明を適用した基板洗浄装置の他の例を示す模式図である。
【図7】洗浄液の廃液処理工程を説明するための図である。
【図8】洗浄液の廃液処理に必要な資源を示す図である。
【符号の説明】
1 基板処理槽、2 循環用ポンプ、3 基板、4 基板キャリア、5 搬送機、6 制御部、7 濃度測定機

Claims (4)

  1. 弗化アンモニウム水溶液又は弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として基板の洗浄を行う基板洗浄装置を用いた基板洗浄方法において、
    上記基板洗浄装置は、
    上記洗浄液を収容し、上記基板の洗浄処理を行う基板処理部と、
    上記基板を収容する基板キャリア部と、
    上記基板キャリア部を上下動させて上記基板処理部に搬送する搬送部とを備え、
    上記搬送部は、上記洗浄液の使用時間の経過に応じて上記基板の洗浄時間を変化させる制御機構を有しており、上記基板の洗浄を行う際に、該制御機構により該洗浄時間が指示され、上記基板キャリア部の上下動を制御することによって、洗浄液の使用時間の経過に伴って基板の洗浄時間を短くすることを特徴とする基板洗浄方法。
  2. 上記基板洗浄装置は、洗浄液中の成分濃度を検出する濃度検出部をさらに備え、
    上記制御機構は、上記濃度検出部にて得られた結果に応じて基板の洗浄時間を短くすることを特徴とする請求項1記載の基板洗浄方法。
  3. 弗化アンモニウム水溶液又は弗化アンモニウム水溶液と弗化水素酸との混合液を洗浄液として基板の洗浄を行う基板洗浄装置において、
    上記洗浄液を収容し、上記基板の洗浄処理を行う基板処理部と、
    上記基板を収容する基板キャリア部と、
    上記基板キャリア部を上下動させて上記基板処理部に搬送する搬送部とを備え、
    上記搬送部は、上記洗浄液の使用時間の経過に応じて上記基板の洗浄時間を変化させる制御機構を有しており、上記基板の洗浄を行う際に、該制御機構が該洗浄時間を指示し、上記基板キャリア部の上下動を制御して、上記洗浄液の使用時間の経過に伴って基板の洗浄時間を短くすることを特徴とする基板洗浄装置。
  4. 上記洗浄液中の成分濃度を検出する濃度検出部をさらに備え、この濃度検出部において得られた結果に応じて上記制御機構により基板の洗浄時間を短くすることを特徴とする請求項3記載の基板洗浄装置。
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