JP4602884B2 - 導光体 - Google Patents

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Description

本発明は、光源からの光を受け入れて導光しながら反射光又は散乱光を外部に向けて出射する導光体に関するものである。
従来、パーソナルコンピュータ及び携帯端末等の表示装置として透過型の液晶表示装置が多用されている。そうした液晶表示装置では、通常、液晶素子の背面に面状の照明装置であるバックライトが配設されている。このバックライトは線状光源又は点光源を面状の光に変換するものである。バックライトとしては、例えば導光板の端面に対向配置された光源からの光を当該導光板の底面に設けられた微細な凹凸等の構造によって光を散乱又は反射させ、その散乱光又は反射光を底面と反対側の面である発光面から出射させるいわゆるサイドライト方式が代表的である。このようなサイドライト方式のバックライトは、軽量及び薄型という液晶表示装置の一般的特徴をより有効に引き出すために適していることから多用されている。
ところが、前述の線状光源は例えば複数個の発光ダイオード等の点光源を導光体の側面に沿って列状に配置することにより構成されていたので、導光体の製品コスト及び消費電力の点で不利であった。そこで、例えば特許文献1又は特許文献2に示されるように、単一の発光ダイオード等の点光源を均一な面光源(線状光源)に変換して出射する構成を備えた導光体が従来提案されている。
特許文献1の導光体は点光源側の側面に突設された山形の光源部を備えている。この光源部内には点光源に対して傾斜した反射屈折面を有する貫通穴又は貫通しない穴からなる反射屈折部が点光源と対向するように形成されている。また、光源部の点光源側の2つの側面(山の斜面)には複数個の溝よりなる乱反射部が形成されている。そして、点光源の中心近傍(出光点)から出射された輝度の強い光の一部は反射屈曲面により光源部の両側へ反射され、その反射された光は乱反射部により導光体側へ反射される。その結果、単一の点光源を使用した場合であれ当該点光源からの光を効率よく且つ均一に出射可能とした線状光源(厳密には、面光源)が得られる。
特許文献2の導光体は板状をなし、その導光体の一方面の略中央部には第1の凹部が形成されている。前記一方面と反対側の他方面には多数の凹溝からなる光反射面とされていると共に当該他方面には第2の凹部が前記第1の凹部と対応するように形成されている。第1の凹部には点光源が収容されており、その点光源からの光は第2の凹部により導光体の外周方向に反射される。その反射された光は導光体の他方面によりその反対側の面である前記一方面の方向にさらに反射される。このように、単一の点光源を使用した場合であれ当該点光源からの光を効率よく且つ均一に出射可能とした面光源が得られる。
特開2001−43716号公報 特開2002−245830号公報
前述のような導光体の適用分野は前述のバックライト以外にも多岐にわたり、その一分野として軽量化及び省スペース化が高いレベルで要求される自動車分野がある。近年では、例えば車載スイッチ周りの照明としての使用も検討されつつある。しかしそうした場合には、導光体に車載スイッチの配置スペースとして孔等を形成する必要があり、その配置スペースにより導光体内における光源からの光の伝播は妨げられる。このため、導光体における配置スペースの光源と反対側の部位に伝播する光の量が減少し、導光板の底面の微細な凹凸等の構造により当該底面と反対側の発光面に反射する光の量も減少する。その結果、導光体における配置スペースの光源と反対側の部位における発光面の輝度がその周囲よりも低くなったり、当該発光面において発光しない部位が発生したりするおそれがあった。従って、導光体を前述のように例えば車載スイッチ周りの照明として使用する場合、導光体の発光面にいわゆる輝度むらが発生し、前記配置スペースの周囲等、発光を所望する部位において十分な輝度の確保が困難であった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、いわゆる輝度むらを抑制して均一な面発光を得ることができる導光体を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、端面から導入した光を、当該端面に交差し互いに対向する2つの面のうちの一方面に反射させて当該一方面とは反対側の面である他方面から出射させるようにした導光体において、前記導光体には所定の照明対象部材を配置可能とした孔を形成し、前記導光体の端面のうち、互いに交差且つ互いに隣り合う2つの端面には、それぞれの端面に沿うように延びる2つの補助導光体を付属させ、前記2つの補助導光体の隣り合う端部には光源を配置するとともに、前記光源からの光が前記2つの補助導光体の隣り合う端部からそれぞれ入射可能となるように前記2つの補助導光体をそれぞれ配置形成し、前記2つの補助導光体の隣り合う端部から、前記光源からの光を入射可能とする構成は、前記2つの補助導光体の隣り合う端部に、前記光源からの直進光に対して直交するようにそれぞれ形成された入射面と、前記光源からの直進光に対して傾斜し且つ前記入射面とのなす角度が鋭角になるようにそれぞれ形成された反射面とを備え、前記2つの補助導光体の入射面が連続した単一の平面を形成するように前記2つの補助導光体の端部を互いに近接して配置するようにしたものであり、前記導光体の前記一方面には、多数の凹部が設けられ、前記多数の凹部は、前記光源からの距離が大きくなるにつれて単位面積当たりの個数が増大するように設けられ、前記2つの補助導光体における前記導光体と反対側の側面には、前記2つの補助導光体の光源側の端部に入射した前記光源からの光を、前記2つの補助導光体における前記導光体側の側面の方向へ反射させるための所定形状の反射パターンを形成するようにしたことをその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導光体において、前記導光体の2つの端面とそれらに対応する補助導光体の導光体側の側面との間には補助導光体の形成材料よりも屈折率を低くした低屈折率部を介在させるようにしたことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の導光体において、前記低屈折率部は前記2つの補助導光体をそれらに対応する導光体の端面に対して離間して配置することにより形成される空気層であることをその要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、前記2つの補助導光体は前記光源から遠ざかるにつれてその幅が小さくなるように形成したことをその要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の導光体において、前記所定の反射パターンは、複数の三角形状の切欠凹部又は複数の三角形状の突部が補助導光体の延びる方向において連続するように形成されてなることをその要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の導光体において、前記各切欠凹部又は各突部は、補助導光体の延びる方向において互いに隣り合う2つの面が直角をなすように形成するようにしたことをその要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、前記導光体と前記2つの補助導光体とを一体形成するようにしたことをその要旨とする。
<作用>
請求項1に記載の発明によれば、複数個の補助導光体の端部に入射した光源からの光は所定の反射パターンにより両補助導光体の導光体側の面から出射する。その出射した光は両補助導光体にそれぞれ対向する端部に入射する。即ち、光源からの光は両補助導光体により複数方向の面光源に変換される。そして導光体にはその変換された複数方向からの面光源光が入射する。導光体に複数方向から光を導入することにより導光体の発光面におけるいわゆる輝度むらの発生が抑制され、均一な面発光が得られる。
また、両補助導光体の入射面を互いに近接して配置することにより、光源からの光は両補助導光体の入射面にそれぞれ入射可能となる。そして、両入射面から入射した光は両反射面により両補助導光体の光源と反対側の端部の方向へ反射される。例えば反射板等の別部材を設ける必要がないので、構成が複雑化することはない。
さらに、導光体に所定の照明対象部材を配置可能とした孔を形成するようにした場合であれ、導光体に複数方向から光を導入することにより、その孔の影になる部位を極力少なくすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、補助導光体内に導入された光の一部は、補助導光体の形成材料と低屈折率部との屈折率の違いにより、補助導光体と低屈折率部との境界面において所定の反射パターン側に全反射する。そしてその全反射した光は所定の反射パターンにより導光体側にさらに全反射される。これを繰り返しながら光は補助導光体の内部を好適に進行する。ちなみに、補助導光体内に導入された光のうち臨界入射角を越えた光は全反射し、臨界入射角未満の光は補助導光体の形成材料に応じた屈折率で屈折しながら外部へ透過する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加えて、補助導光体内に導入された光の一部は、補助導光体の形成材料と空気層との屈折率の違いにより、補助導光体と空気層との境界面において反射パターン側に全反射する。そしてその全反射した光は所定の反射パターンにより導光体側にさらに全反射される。これを繰り返しながら光は補助導光体の内部を進行する。空気層を設けるだけのため、構成が複雑化することはない。
請求項に記載の発明によれば、補助導光体の幅を光源から遠ざかるにつれて小さくなるようにしたので、補助導光体の端部から導入された光は効率よく反射パターンに入射し、導光体側へ反射される。
請求項に記載の発明によれば、両補助導光体の一端部に入射した光源からの光は、補助導光体の延びる方向へ連続するように形成された複数の三角形状の切欠凹部又は複数の三角形状の突部と空気との境界面により、両補助導光体の導光体側の側面の方向へ反射される。このため、導光体の端面における入射光量が確保される。
請求項に記載するように、各切欠凹部又は各突部において、補助導光体の延びる方向において互いに隣り合う2つの面が直角をなすように形成することにより、両補助導光体の一端部に入射した光源からの光は補助導光体の導光体側の側面の方向へ好適に反射される。このため、導光体の端面における入射光量が好適に確保される。
請求項に記載の発明によれば、導光体と両補助導光体とを一体形成することにより、部品点数が低減する
本発明によれば、いわゆる輝度むらを抑制して均一な面発光を得ることができる。
以下、本発明を、例えば車両のインストルメントパネルに設けられるスイッチ装置に組み込まれる導光体に具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
<スイッチ装置>
図1に示すように、スイッチ装置11は意匠部材12、導光体13及びプリント基板14を備えている。
意匠部材12は例えばポリエステル樹脂材料により四角形(正方形)のシート状に形成されており、光透過性及び可撓性を有している。意匠部材12の所定位置(本実施形態では中央)には円形のスイッチ部12aが例えばエンボス加工により浮き出すように形成されている。スイッチ部12aは押圧されることにより内方へ撓み、押圧が解除されると原位置に弾性復帰するようになっている。
導光体13は例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明材料により意匠部材12と合致する四角形の平板状に形成されている。導光体13において、意匠部材12を合致させたときにスイッチ部12aに対応する位置(本実施形態では中央)には、プリント基板14の表面に実装された後述するタクトスイッチ16を収容可能とした円形の孔15が形成されている。即ち、導光体13の孔15はタクトスイッチ16の配置スペースとして機能する。この導光体13については後に詳述する。
前記プリント基板14は四角形(長方形)の板状に形成されている。プリント基板14の長手方向長さ及び短手方向長さはそれぞれ導光体13の一辺の長さよりも若干大きくされている。プリント基板14の表面において、導光体13の一つの隅角部と、その隅角部に対応するプリント基板14の角隅部とを一致させたときに導光体13の孔15に対応する位置には、照明対象部材として例えばタクトスイッチ16が配置されている。また、プリント基板14の表面において、互いに隣り合う2つの側縁部にはそれぞれ棒状(四角柱状)の面光源17,18が配設されている。
2つの面光源17,18の長さは導光体13の互いに隣り合う2つの端面の長さに対応するように設定されている。また、2つの面光源17,18の内側面は所定の光が出射する発光面とされている。そして、プリント基板14に導光体13を重ね合わせたとき、2つの面光源17,18の発光面(導光体13側の側面)が導光体13の互いに隣り合う前記2つの端面に所定間隔をおいて対向するように当該2つの面光源17,18はそれぞれプリント基板14の表面に配置されている。これら2つの面光源17,18については後に詳述する。
そして、前述のように構成された意匠部材12、導光体13及びプリント基板14はそれぞれ次のように組み付けられている。即ち、図2に示すように、意匠部材12は導光体13の表面に重ね合わせられて例えば図示しない接着剤又は粘着シートにより接着されている。プリント基板14は導光体13の裏面側から重ね合わせられて図示しないボルト等により固定されている。ここで、2つの面光源17,18はそれらの発光面が導光体13の互いに隣り合う2つの端面にそれぞれ対向するように配置されている。
そして前述のように意匠部材12、導光体13及びプリント基板14が一体とされた状態でスイッチ装置11は車両のインストルメントパネルPの裏面に図示しないボルトにより固定されている。インストルメントパネルPにおいて、スイッチ部12aに対応する部位には円形の透孔Paが形成されており、意匠部材12のスイッチ部12a及びその周辺部位が透孔Paを介して外部に露出するように、スイッチ装置11はインストルメントパネルPに配置されている。透孔Paから露出した意匠部材12のスイッチ部12aを介してタクトスイッチ16がオン又はオフされる。
<導光体>
次に、導光体13について詳細に説明する。図2に示すように、導光体13において、上下方向において互いに反対側にある2つの面のうちの一方面(図1では上面)は光の出射面13aとされており、当該出射面13aと反対側の面である他方面(図1では下面)は光の反射面13bとされている。
導光体13の反射面13bには多数の点状の凹部(μm単位の微細な凹ドット)21が設けられている。この凹部21は反射面13bから出射面13aに向かうにつれて収束するテーパ面21aを備えた円錐台状に形成されている。導光体13において、面光源17,18(正確には、後述する点光源である発光ダイオード33)からの距離が大きくなるにつれて単位面積当たりの凹部21の個数が増大するように、凹部21は設けられている。即ち、面光源17,18の発光面からの距離が大きくなるにつれて光は弱くなるので、その光の強さに応じて導光体13(正確には、反射面13b)における単位面積当たりの凹部21の個数が設定されている。
具体的には、図3に示されるように、出射面13aを1番から9番までの領域に碁盤の目状に区画して領域毎に対応する反射面13bの凹部21の分布密度(単位面積当たりの凹部21の個数)を異ならせる。本実施形態では、凹部21の分布密度レベルはAレベル〜Fレベルまで設定されており、それらの大小関係は「Aレベル<Bレベル<Cレベル<Dレベル<Eレベル<Fレベル」とされている。
そして、出射面13aにおける1番の領域に対応する反射面13bの凹部21の分布密度はAレベル、同じく2番及び4番の領域に対応する反射面13bの凹部21の分布密度はそれぞれBレベル、同じく3番及び7番の領域に対応する反射面13bの凹部21の分布密度はそれぞれDレベルとなるように、凹部21は配置形成されている。また、出射面13aにおける6番及び8番に対応する反射面13bの凹部21の分布密度の領域はそれぞれEレベル、同じく9番の領域に対応する反射面13bの凹部21の分布密度はFレベルとなるように、凹部21は配置形成されている。
反射面13bの凹部21の個数が増えるほど、出射面13a側へ反射される光の量も多くなる。このため、面光源17,18からの距離(正確には、後述する点光源である発光ダイオード33)に応じて凹部21の分布密度を設定するようにしたことにより、導光体13内を伝播する面光源17,18からの光の強さに左右されることなく均等に効率よく出射面13a側へ反射される。
<面光源>
次に、2つの面光源について詳細に説明する。前述したように、導光体13の互いに隣り合う2つの端面にそれぞれ対向するように2つの面光源17,18が配設されている。換言すると、導光体13において互いに隣り合い且つ互いに交差する2つの端面には、それらに沿うように延びる2つの面光源17,18が付属されている。図3に示すように、面光源17,18はそれぞれ補助導光体31,32及び2つの面光源17,18において共用される発光ダイオード33を備えている。
両補助導光体31,32はそれぞれポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明材料により角柱状に形成されており、それらの軸線が導光体13の端面に並行をなすように対向配置されている。両補助導光体31,32の長さはそれらに対向する導光体13の2つの端面の長さに対応して設定されている。両補助導光体31,32が導光体13の2つの端面に対して所定距離だけ離間して配置されることにより、当該両補助導光体31,32と導光体13の2つの端面との間にはそれぞれ空気層34が形成されている。
図4及び図5に示すように、2つの補助導光体31,32の発光ダイオード33側の端部(正確には、当該端部における発光ダイオード33側の隅角部)には、当該発光ダイオード33からの光(直進光)に対して直交する入射面31a,32aがそれぞれ形成されている。また、2つの補助導光体31,32の発光ダイオード33側の端部(正確には、当該端部における導光体13側の隅角部)には、当該発光ダイオード33からの光(直進光)に対して傾斜し且つ前記入射面31a,32aとのなす角度θ1が鋭角(90度より小さい角度)になるように反射面31b,32bがそれぞれ形成されている。
そして、前記2つの入射面31a,32aが連続した単一の平面を形成するように2つの補助導光体31,32の一端部は互いに近接して配置されている。両補助導光体31,32の入射面31a,32a、同じく反射面31b,32b及び導光体13の端面に囲まれることにより三角柱状の空間部35が形成されている。ここで、空気の屈折率は、両補助導光体31,32の形成材料であるポリメチルメタクリレートの屈折率よりも低い。このため、両入射面31a,32aから入射した発光ダイオード33からの光はそれぞれ空間部35内の空気とポリメチルメタクリレートとの境界面である反射面31b,32bにおいて所定方向へ全反射する。
両入射面31a,32aと両反射面31b,32bとがそれぞれなす角度θ1、ひいては図5に示されるように両反射面31b,32bのなす角度θ2は、発光ダイオード33の指向性に応じて適宜設定される。また、両反射面31b,32bにより反射された光が、両補助導光体31,32内にそれぞれ分岐して導入されるように、前記角度θ1又は角度θ2が設定されている。
図4に示すように、2つの補助導光体31,32において、導光体13に対向する側面と反対側の側面には多数の三角形状(V字状)の切欠凹部41a,42aが両補助導光体31,32の延びる方向において連続するように形成されている。換言すれば、多数の三角形状の切欠凹部41a,42aが形成されることにより、多数の三角柱状の突部41b,42bが両補助導光体31,32の延びる方向において連続するように形成されている。このように、導光体13に対向する側面と反対側の側面はジグザグ形状を呈している。
図6に示すように、各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bは、両補助導光体31,32の延びる方向において互いに隣り合う2つの面が直角をなすように形成されている。また、図7に示されるように、両補助導光体31,32は発光ダイオード33から遠ざかるにつれてその幅が小さくなるように形成されている。具体的には、各切欠凹部41a,42aの内頂部を結ぶ包絡線S1と両補助導光体31,32の導光体13側の側面を含む仮想平面S2とのなす角度φ1が所定の鋭角をなすように、両補助導光体31,32はそれぞれ形成されている。また、各突部41b,42bの頂部を結ぶ包絡線S3と両補助導光体31,32の導光体13側の側面を含む仮想平面S2とのなす角度φ2が所定の鋭角をなすように、両補助導光体31,32はそれぞれ形成されている。2つの包絡線S1,S3は互いに平行をなしている。
さらに詳述すると、図8に示すように、両補助導光体31,32はそれらの延びる方向において、第1〜第5の区画51a〜51eが設定されており、その区画毎に前述した2つの角度φ1及び角度φ2が異なるように、両補助導光体31,32はそれぞれ形成されている。角度φ1,φ2は、第1の区画51aではそれぞれ0度、第2の区画51bでは角度φ1b,φ2b、第3の区画51cでは角度φ1c,φ2c、第4の区画51dでは角度φ1d,φ2d、第5の区画51eでは角度φ1e,φ2eとされている。角度φ1b,φ2b、角度φ1c,φ2c、角度φ1d,φ2d、角度φ1e,φ2eの大小関係は「角度φ1b<角度φ1c<角度φ1d<角度φ1e」及び「角度φ2b<角度φ2c<角度φ2d<角度φ2e」とされている。
図6に示すように、両補助導光体31,32の内部を伝播する光の一部は、各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bと外部の空気との境界面において導光体13の端面側へ全反射する。即ち、各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bは、2つの補助導光体31,32の発光ダイオード33側の端部に入射した当該発光ダイオード33からの光を導光体13側へ反射させる反射パターンとして機能する。
<実施形態の作用>
次に、前述のように構成した導光体13における光の伝播状態について説明する。
入射面31a,32aから入射した発光ダイオード33からの光はそれぞれ空間部35内の空気とポリメチルメタクリレートとの境界面である反射面31b,32bにおいて反射することにより両補助導光体31,32内にそれぞれ分岐して導入される。その導入された光は両補助導光体31,32と空気との屈折率の差により全反射しながら当該両補助導光体31,32の延びる方向へ導かれる。そしてその両補助導光体31,32の内部を伝播する光の一部は、各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bと外部の空気との境界面において導光体13の端面側へ全反射する。
その全反射した光は両補助導光体31,32の導光体13側の側面から一様に出射して導光体13の互いに隣り合う2つの端面から入射し、その入射した光は導光体13と空気との屈折率の差により全反射しながら導光体13内を伝播する。その伝播の際において、光の一部は導光体13の反射面13bに設けられた多数の凹部21(正確には、それらのテーパ面21a)により出射面13a側へ全反射し、当該導光体13の出射面13aから外部へ出射する。テーパ面21aに入射した光は好適に出射面13a側へ反射され、導光体13の出射面13aから外部へ出射する光の量の確保に寄与する。このように、導光体13の出射面13aは発光面として作用する。
導光体13には互いに隣り合う2つの端面から、即ち異なる複数方向から光が入射する。導光体13の2つの端面から導入された光の当該導光体13内における伝播は孔15により妨げられる。その結果、図9に多数のドットで示すように、導光体13には、光が伝播しにくい面光源17,18に対して孔15の影になる部位、即ち孔15と当該孔15の接線をなす面光源17,18からの直進光L1,L2とによって囲まれた断面三角形状の陰影部位Sが形成される。この陰影部位Sには光が積極的には導かれることがないので、当該陰影部位Sにおいては、導光体13の凹部21により出射面13a側に反射する光の量が周囲に比べて減少し、当該出射面13aの輝度の確保が困難となる。
しかし、例えば導光体13に対して光を一方向からのみ入射させるようにした場合又は単に点光源を使用するようにした場合に比べて、陰影部位Sの面積は最小となる。即ち、2つの面光源17,18のうちいずれか一方のみ設けるようにした場合には、図9にハッチングで示すように、孔15の面光源17と反対側の陰影部位Sa又は孔15の面光源18と反対側の陰影部位Sbが形成される。それら陰影部位Sa及び陰影部位Sbはいずれも本実施形態において形成される陰影部位Sよりも面積となる。従って、導光体13の発光面である出射面13aのいわゆる輝度むらが極力抑制され、当該出射面13aにおける発光を所望する部位においても十分な輝度が確保される。
また、単一の発光ダイオード33を使用するようにした場合であっても、当該発光ダイオード33からの光(即ち点光源)は2つの補助導光体31,32により2方向の面光源に変換されて導光体13の互いに隣り合う2つの端面にそれぞれ供給される。このため、複数個の発光ダイオード等の点光源を使用するようにした場合と異なり、製品コスト及び消費電力の点において有利である。
近年では、車両に対するコストダウンへの要求は依然として高く、そうした車両に搭載される各種の装置及び部品等についてもさらなるコストダウンが求められている。また、車両にあっては依然として電子化の傾向にあり、それに伴って消費電力の低減に対する要求はよりシビアなものとなっている。そうした現状にあって、単一の点光源を使用するようにした場合であっても導光体13の発光面(出射面13a)のいわゆる輝度むらを極力抑制し、当該発光面における発光を所望する部位において十分な輝度を確保することができる本実施形態の導光体13、ひいてはスイッチ装置11の技術的意義は大きい。このように、本実施形態の導光体13によれば、特に近年の車両あってコストダウン及び消費電力の低減に対するシビアな要求にも十分に対応可能となる。
導光体13の出射面13aから出射した光により意匠部材12は裏面側から均等に照明され、夜間等におけるタクトスイッチ16(正確には、意匠部材12のスイッチ部12a)の視認性が確保される。
<実施形態の効果>
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)導光体13の互いに交差し且つ互いに隣り合う2つの端面にそれぞれ沿うように延びる2つの補助導光体31,32を当該2つの端面に付属させるようにした。そして両補助導光体31,32の一端部からそれぞれ発光ダイオード33からの光が入射可能となるように両補助導光体31,32をそれぞれ配置形成した。また、両補助導光体31,32における導光体13と反対側の端部には両補助導光体31,32の発光ダイオード33側の端部に入射した当該発光ダイオード33からの光を導光体13側の側面の方向へ反射させるための所定形状の反射パターンを形成するようにした。このため、単一の発光ダイオード33からの光は両補助導光体31,32により複数方向の面光源に変換される。そして導光体13にはその変換された複数方向からの面光源光が入射する。その結果、導光体13の出射面13aにおけるいわゆる輝度むらの発生が抑制され、均一な面発光が得られる。
(2)導光体13の2つの端面とそれらに対応する補助導光体31,32の導光体13側の側面との間には空気層34を設けた。補助導光体31,32内に導入された光の一部は、補助導光体31,32の形成材料と空気との屈折率の違いにより、それらの境界面において所定の反射パターン側に全反射する。そしてその全反射した光は所定の反射パターンにより導光体側にさらに全反射される。これを繰り返しながら光は補助導光体31,32の内部を好適に進行する。ちなみに、補助導光体31,32内に導入された光のうち臨界入射角を越えた光は全反射し、臨界入射角未満の光は補助導光体31,32の形成材料に応じた屈折率で屈折しながら外部へ透過する。空気層を設けるだけのため、部品点数が増えたり、構成が複雑化したりすることはない。
(3)補助導光体31,32をそれぞれ次のように構成することにより両補助導光体31,32の一端部からそれぞれ発光ダイオード33からの光を入射可能とした。即ち、両補助導光体31,32の発光ダイオード33側の端部には、当該発光ダイオード33からの直進光に対して直交するようにそれぞれ形成された入射面31a,32aを形成した。また同じく発光ダイオード33からの直進光に対して傾斜し且つ入射面31a,32aとのなす角度θ1が鋭角になるようにそれぞれ形成された反射面31b,32bを形成した。そして、両補助導光体31,32の入射面31a,32aが連続した単一の平面を形成するように両補助導光体31,32の発光ダイオード33側の一端部を互いに近接して配置するようにした。このため、例えば反射板等の別部材を設ける必要はなく、構成の簡素化に寄与する。
(4)両補助導光体31,32は発光ダイオード33から遠ざかるにつれてその幅が小さくなるように形成した。このため、補助導光体31,32の端部から導入された光は効率よく所定の反射パターンにより導光体13側へ反射される。
(5)所定の反射パターンは、複数の三角形状の切欠凹部41a,42a又は複数の三角形状の突部41b,42bが両補助導光体31,32の延びる方向において連続するように形成することによりジグザグ形状をなすようにした。両補助導光体31,32内に導入された光は、各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bと外部の空気との境界面により、両補助導光体31,32の導光体13側へ反射され、出射する。このため、導光体13の端面における入射光量が確保され、出射面13aの輝度の確保に貢献する。
(6)各切欠凹部41a,42a又は各突部41b,42bは、補助導光体31,32の延びる方向において互いに隣り合う2つの面が直角をなすように形成するようにした。このため、補助導光体31,32の発光ダイオード33側の一端部に入射した当該発光ダイオード33からの光は補助導光体31,32の導光体13側の側面の方向へ好適に反射される。従って、導光体13の端面における入射光量が好適に確保される。
(7)導光体13に照明対象部材であるタクトスイッチ16を配置可能とした孔15を形成するようにした場合であれ、補助導光体31,32を使用して導光体13に複数方向から光を導入するようにしたことにより、一方向からの光だけでは影になる部位に他方向からの光が導かれる。このため、孔15の影になる部位を極力少なくすることができる。従って、単一の発光ダイオード33を使用した場合であれ導光体13の出射面13aにおいて均一な面発光を得ることができる。
(8)発光ダイオード33は導光体13側に指向性を持たせるようにした。反射面31b,32bを透過した光も導光体13に入射するので光を無駄になることがない。
<別の実施形態>
なお、本実施形態は、次のように変更して実施してもよい。
・導光体13と補助導光体31,32とを射出成形等により一体形成するようにしてもよい。この場合、導光体13と補助導光体31,32とは、例えば空気層34の底部において相互に連結される構成となる。このようにすれば、部品点数が低減する。また、加工コストも低減する。
・補助導光体31,32の反射面31b,32bに微細な凹凸等からなる所定の反射パターンを形成するようにしてもよい。この場合、発光ダイオード33からの光が補助導光体31,32の内部に好適に導かれるように、当該反射パターンを設ける。
・補助導光体31,32の幅を一定としてもよい。このようにしても、切欠凹部41a,42a又は突部41b,42bにより発光ダイオード33からの光は導光体側へ反射される。
・2つの補助導光体31,32及び発光ダイオード33との組み合わせにより、例えば2方向の光を照射する照明等として使用するようにしてもよい。
・空気層34及び空間部35の少なくとも一方に、導光体13及び補助導光体31,32の形成材料であるポリメチルメタクリレートよりも屈折率が小さい透光性を有する合成樹脂材料を介在させるようにしてもよい。このようにすれば、空気層34及び空間部35の少なくとも一方に粉塵等の異物が入り込むことを防止することができる。
・図10に参考例として示すように、三角柱状の空間部35を省略するようにしてもよい。また、同図に示されるように、2つの補助導光体31,32をそれらの発光ダイオード33側の端部において一体形成するようにしてもよい。入射面31a,32aは連続した単一の平面をなす。そうようにすれば、部品点数の低減化が図られる。
・本実施形態では光源として単一の発光ダイオード33を使用するようにしたが、複数個の発光ダイオードを使用するようにしてもよい。例えば複数個の発光ダイオードを入射面31a,32aに対して上下又は左右に並べて線光源(面光源)として使用する。また、発光ダイオードに換えてハロゲンガスを管球に封入したハロゲンランプ及びキセノンガス等を管球に封入したキセノンランプ等を光源として使用するようにしてもよい。
本実施形態におけるスイッチ装置の概略分解斜視図。 図1の1−1線断面図。 同じく導光体の反射パターンを構成する凹部の分布密度を示す概略平面図。 同じく補助導光体の発光ダイオード側の端部の構成を示す要部斜視図。 同じく補助導光体の発光ダイオード側の端部の構成を示す要部平面図。 同じく補助導光体の反射パターンを構成する切欠凹部又は突部の形状を示す要部平面図。 同じく補助導光体の反射パターンを構成する切欠凹部又は突部の形状を示す要部平面図。 同じく補助導光体の概略形状を示す要部平面図。 同じく導光体において孔の影になる陰影部位を示す平面図。 参考例を示す要部平面図。
符号の説明
11…スイッチ装置、13…導光体、13a…出射面(一方面)、
13b…反射面(他方面)、15…孔、16…タクトスイッチ(照明対象部材)、
21…凹部(導光体の反射パターン)、31,32…補助導光体、
31a,32a…入射面、31b,32b…反射面、33…発光ダイオード(光源)、34…空気層(低屈折率部)、41a,42a…切欠凹部(補助導光体の反射パターン)、
41b,42b…突部(補助導光体の反射パターン)、
θ1…入射面と反射面とのなす角度、L1,L2…直進光。

Claims (7)

  1. 端面から導入した光を、当該端面に交差し互いに対向する2つの面のうちの一方面に反射させて当該一方面とは反対側の面である他方面から出射させるようにした導光体において、
    前記導光体には所定の照明対象部材を配置可能とした孔を形成し、
    前記導光体の端面のうち、互いに交差且つ互いに隣り合う2つの端面には、それぞれの端面に沿うように延びる2つの補助導光体を付属させ、
    前記2つの補助導光体の隣り合う端部には光源を配置するとともに、前記光源からの光が前記2つの補助導光体の隣り合う端部からそれぞれ入射可能となるように前記2つの補助導光体をそれぞれ配置形成し、
    前記2つの補助導光体の隣り合う端部から、前記光源からの光を入射可能とする構成は、
    前記2つの補助導光体の隣り合う端部に、前記光源からの直進光に対して直交するようにそれぞれ形成された入射面と、前記光源からの直進光に対して傾斜し且つ前記入射面とのなす角度が鋭角になるようにそれぞれ形成された反射面とを備え、
    前記2つの補助導光体の入射面が連続した単一の平面を形成するように前記2つの補助導光体の端部を互いに近接して配置するようにしたものであり、
    前記導光体の前記一方面には、多数の凹部が設けられ、
    前記多数の凹部は、前記光源からの距離が大きくなるにつれて単位面積当たりの個数が増大するように設けられ、
    前記2つの補助導光体における前記導光体と反対側の側面には、前記2つの補助導光体の光源側の端部に入射した前記光源からの光を、前記2つの補助導光体における前記導光体側の側面の方向へ反射させるための所定形状の反射パターンを形成するようにした導光体。
  2. 請求項1に記載の導光体において、
    前記導光体の2つの端面とそれらに対応する補助導光体の導光体側の側面との間には補助導光体の形成材料よりも屈折率を低くした低屈折率部を介在させるようにした導光体。
  3. 請求項2に記載の導光体において、
    前記低屈折率部は前記2つの補助導光体をそれらに対応する導光体の端面に対して離間して配置することにより形成される空気層である導光体。
  4. 請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、
    前記2つの補助導光体は前記光源から遠ざかるにつれてその幅が小さくなるように形成した導光体。
  5. 請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、
    前記所定の反射パターンは、複数の三角形状の切欠凹部又は複数の三角形状の突部が補助導光体の延びる方向において連続するように形成されてなる導光体。
  6. 請求項に記載の導光体において、
    前記各切欠凹部又は各突部は、補助導光体の延びる方向において互いに隣り合う2つの面が直角をなすように形成するようにした導光体。
  7. 請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の導光体において、
    前記導光体と前記2つの補助導光体とを一体形成するようにした導光体
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