JP4601314B2 - 大型構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック体を用いた大型構造体の製造方法に関し、特にスラリーを充填した型を回転させながら加熱してスラリーを固化させる大型構造体の製造方法に関する。
近年の構造体の製造における粉体、溶媒、バインダーを含むスラリーの固化方法としては、型に充填したスラリーを粉体の沈殿等をなくしてより均質に固化させるために、型ごと所定方向に回転させながら固化させる方法が用いられている。
例えば、成形型に接合された回転軸からなる成型装置が特許文献1に開示されている。
この成形装置によれば、成形型は、セラミックス成形体を成形するための2つの吸水性材料からなる成形凹部同士を型締めしたものであり、セラミックス粒子を水に分散したセラミックススラリーを成形型内部に注入可能な注入孔を回転軸に設けたものであり、回転軸を中心に回転させながら、セラミックススラリーを注入孔から成形凹部に注入してセラミックス成形体を成形した後、一対の成形型を型開きしてセラミックス成形体を製造する例が開示されている。
特開2003−291120号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、成形型を2枚の成形凹部で型締めして取り付けられた回転軸により回転させているために、型の固定が不安定であり、長さが1m以上あるような長尺のしかも大型品の型を用いて成形すると、非常に型全体の重量が重く、型の固定が困難なばかりか、仮に固定がうまくいったとしても回転させているうちに型の固定が緩みスラリーが流出してしまうという問題点があった。
また、成形型の中心から回転軸が少しでもずれていると、スムーズに回転することができず、ひどい場合には、回転がストップし、成形型とその回転機構を有した装置毎転倒してしまうおそれがある。
また、特許文献1では、吸水性の成形型を回転させながら回転軸のスラリー注入口からスラリーを注入しているため、回転軸から一番遠距離の部分から着肉していくので、回転軸から一番遠距離の部分の密度は充分向上するものの、回転軸付近では密度が向上せず、成形体に密度差を生じ、これを焼成して得られる焼結体も密度差を生じたものとなってしまう。
以上のように成形型を回転させることにより、より均質な成形体を得るという原理的にはメリットがあるものの、実行は困難でありさらに大型形状の製品製造に適用することはできないものであった。
本発明は、1m以上の長尺品や1辺が1m以上の大型構造体の製造方法であって、セラミックス粉体と、5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤のいずれか少なくとも1種からなるバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する工程と、該スラリーを回転手段の内部に固定された非吸水性の材料からなる型に充填する工程と、前記型が0.1〜5rpmの回転数で回転するように回転手段を回転させながら5〜100℃で加熱して前記スラリーを固化させて固化体を得る工程と、該固化体を前記型から取り外して乾燥した後に焼成する工程とを含むことを特徴とする。
前記回転手段は、内部に前記型を固定可能にした円筒体と、該円筒体の外周に当接する回転ローラとからなることを特徴とする。
前記回転手段は、内部に前記型を固定可能にした円筒体と、該円筒体の隣に配置した回転可能なローラと、前記円筒体の外周及びローラの外周を張架するベルトとからなり、前記ローラの回転により前記円筒体を回転させることを特徴とする。
本発明の大型構造体の製造方法によれば、1m以上の長尺品や1辺が1m以上の大型構造体の製造方法であって、セラミックス粉体と、5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤のいずれか少なくとも1種からなるバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する工程と、該スラリーを回転手段の内部に固定された非吸水性の材料からなる型に充填する工程と、前記型が0.1〜5rpmの回転数で回転するように回転手段を回転させながら5〜100℃で加熱して前記スラリーを固化させて固化体を得る工程と、該固化体を前記型から取り外して乾燥した後に焼成する工程とを含むことにより、スラリーを型に保持した状態で回転させることができるので、1m以上の長尺品や、1辺が1m以上の大型品であってもスラリー等の沈殿等がなく、均質な成形体を得ることが可能である。従って、本発明の製造工程を経て得られた成形体は成形体全体に渡って密度差がなく、これを焼成した際に反りなどの変形が極めて少ないセラミック焼結体を得ることが可能である。
また、スラリーを充填した後に回転手段で回転させるため、回転中にスラリーを注入する場合と比較して、スラリー漏れを起こすことがない。
また、非吸水性の型を用いているため、吸水性の型を用いた場合と比較して回転軸心付近の密度と軸心から離れた部分の密度が同等な固化体とすることが可能であり、型から取り外したこれを乾燥して得られる成形体においても全体に渡って密度差のないものとできる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について説明する。
本発明は1m以上の長尺品や1辺が1m以上の大型構造体の製造方法であって、セラミックス粉体と、5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤のいずれか少なくとも1種からなるバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する工程と、該スラリーを回転手段の内部に固定された非吸水性の材料からなる型に充填する工程と、前記型が0.1〜5rpmの回転数で回転するように回転手段を回転させながら5〜100℃で加熱して前記スラリーを固化させて固化体を得る工程と、該固化体を前記型から取り外して乾燥した後に焼成する工程とを含むものである。
図1に回転手段の一例を示す。(a)が型を含む回転手段の側面概略図を、(b)がX−X断面の概略図を示す。
転手段1の一例としては、内部に型3を固定可能にした円筒体2と、これを回転させる回転ローラ4からなり、円筒体2を回転ローラ4上に載せ回転させる方法ある。回転ローラ4は、電磁モーター等を備えた動力源7の回転を回転軸5に伝達し、これを回転軸5に固定された回転ローラ4に伝達することによって回転させる。
ここで円筒体2は予め円筒体2に設置しようとする型3に合わせて、その内径寸法を設計する必要があり、円筒体2の肉厚としては、回転させようとするスラリーを充填した型3の量にもよるが、5mm以上とするのが良い。また、円筒体2は半円筒をボルト等で固定して円筒体2を成すような構造とすれば、型3へ円筒体2を取り付けるときや、使用しないとき収納しやすい等のメリットがあるが、より良好に型3の回転を実施するためには一体の円筒体2とした方がよい。円筒体2と型3の固定は型3を円筒体2の内部に通して、円筒体2の表面に設けた座繰りネジ穴に、予め型3を固定可能なように長さを調整したボルトを通して行う。これを円筒体の数カ所に設置すれば、円筒体2の内部に型3を設置できる。
なお、大型製品の製造では型3の量が重くなるが、この場合は予め円筒体2を回転ローラ4上に設置し、クレーン等を使って型3を円筒体2の内部に設置した後、固定する。
また、回転ローラ4は、回転軸5に2つ以上設置されるのが良く、回転ローラの幅は円筒体2の大きさにもよるが、適度な摩擦力を生み出し、大型製品回転の際の荷重への耐久性を考慮すると5cm以上の幅とするのが良い。また、回転ローラ4と円筒体2の接触面はすべりを防止するために粗い方がよく、さらには回転ローラと円筒体2とが歯車
のごとく噛み合うように、回転ローラ4および円筒体2の表面に凹凸部を設けてもよい。
さらに、回転ローラを構成する材質としては、金属、セラミックスまたはそれらを複合したものが使用可能であり、好ましくは円筒体との摺動性が良好な金属、セラミックスとするのが良い。
また、回転軸5は円筒体2の回転軸と平行に、2本以上設置する。回転軸5の固定は、軸端に設けられた回転軸固定台6により行う。この回転軸固定台6は、軸受けとそれを支える金属からなる骨格とで構成されており、回転軸5の軸端2カ所を前記軸受けに接続することにより回転可能となる。
また、回転軸を2本設置する場合は4カ所に回転軸固定台6を設置するが、このうちの1つに回転動力源7を接続し、回転軸5を回転させる。大型製品となればかなりの量となり、より大きな動力源が必要となるが、この場合には回転軸5の1本1本につき1つの動力源7を設置することも可能である。
次に他の回転手段の例について、図2で説明する。(a)は側面概略図、(b)はY−Y断面概略図である。
図2では、型3を内部に固定可能にした円筒体2を、回転軸5に取り付けた回転ローラ4上に載せ、これを別途型3を内部に固定可能にした円筒体11の外周に張架する回転ベルト9回転させることによって型3を回転させている。回転ベルト9の回転は、図2に示すように電磁モーター等からなる動力源8接続されたベルト回転軸12転をベルト回転ローラ13を介して回転ベルト9に伝達するこにより行う。そして、この回転ベルト9の回転が円筒体11に伝達されることにより、回転ローラ4上に載せられた円筒体2の内部に固定されている型3は回転する。
このように回転ベルトを用いれば、回転ローラ4と円筒体2の当接部分における滑りの発生がないため、より良好な型3の回転を維持することが可能となる。
次に本発明の製造方法について詳細に説明する。
まず、セラミック粉体、加熱により固化するバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する。
本発明に用いられるスラリーは5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤の少なくともいずれか1種からなるバインダーと、これらと水系または有機系の溶媒とセラミックス粉体とを混合させたものである
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、ユリア・メラミン樹脂、エポキシ樹脂もしくはこれらの変性樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上のもの等が良く、また合成樹脂エマルジョンとしては、スチレン、ブタジエン、イソブレン、アクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等より得られる種々の共重合体や不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸等との多元共重合体が使用できる。
合成樹脂エマルジョンの具体例としてはアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元共重合体、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステル共重合体、多元共重合体、アクリロニトリルと
アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの多元共重合体、アクリロニトリルとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元重合体、スチレンとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの多元共重合体、スチレンとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元共重合体、塩化ビニリデンとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの多元共重合体、塩化ビニリデンとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元共重合体、塩化ビニルとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの多元共重合体、塩化ビニルとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元共重合体、エチレンと酢酸ビニルとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの多元共重合体、エチレンと酢酸ビニル共重合体、エチレンと酢酸ビニルとアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元共重合体、エチレンと酢酸ビニルと不飽和カルボン酸及び/またはジカルボン酸の多元重合体、ポリ酢酸ビニル等があげられる。
また、感熱性ゲル化剤としては、ポリシロキサン系のアルキレンオキサイド付加物及び/またはアルキルフェノール−ホルマリン縮合物のアルキレンオキシド付加物を合成樹脂エマルョンと併用するのが良い。
また、熱硬化性樹脂の添加量としては、1〜30体積%が好ましい。1体積%より低い添加量ではスラリーが硬化しにくく、30体積%より多いとスラリー粘度が高すぎ、型へのスラリー注入が困難であるからである。さらに、合成樹脂エマルジョンの添加量としては、粉体100量部に対し、固形分として0.1〜6.0量部とするのが良い。0.1量部未満では、スラリーを固化した際の固化体強度が極端に低く、6.0量部より多いとスラリー粘度が上昇しすぎるために好ましくない。また、感熱性ゲル化剤は、合成樹脂エマルョンと併用するのが良く、添加量としては、合成樹脂エマルジョンの固形分100量部に対し1.0〜50.0量部の範囲で添加して使用するものである。該添加量が1.0量部未満ではゲル化が不充分であり、硬化に時間を要する。また、50.0量部を超えると硬化性は良好であるが、混練物の安定性に欠け、また、経済性の面でも好ましくない。また、合成樹脂エマルジョンと感熱性ゲル化剤を併用した場合には必要に応じてシリコン樹脂等の消泡剤の使用が有効である。
ここで、スラリーの粘性は流動性を有していればよいが、低すぎる場合、原料粉体の沈降が顕著になってしまう。よって、0.05〜50Pa・sの範囲で調整することが好適で、スラリーの脱泡性を考慮するなら0.1〜5Pa・sの範囲とするのがより好適である。
また、本発明に用いることができるセラミックとしては、例えばアルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタニア、シリカ、チタン酸バリウム、イットリア、イットリウム・アルミニウム・ガーネット等の酸化物の他、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物粉体等が挙げられる。ここで窒化ケイ素のように溶として水を用いたときに反応してアンモニアを生じてしまうような粉体を用いるときには、予め粉体の表面をシリカ等、用いる溶と反応しない物質で被覆して用いることも可能である。
次に、本発明に用いるセラミックスの粒子径は、焼結性、スラリーの粘性などを考慮すると、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである
また、本発明のスラリー中の原料粉体の占める体積割合を表す粉体充填率は30%以上
が良く、焼結時の変形を小さく抑えてより緻密な磁器を作る場合には40%以上とするのが好適である。さらには、理想的なスラリーを作成しても粉体充填率が60%を超えることはないため、粉体充填率の範囲は30〜60%、特に緻密な磁器を作成する場合は40〜60%とするのがより好適である。
本発明に用いる溶媒としては、水系と有機系のいずれを用いることも可能である。有機系の溶媒を用いる場合には、パラフィン、イソパラフィン、トルエン、キシレン、石油、エーテル等を用いることが可能である。しかしながら、スラリーの取り扱い、乾燥などにおける安全性を考慮した場合、水を溶媒として用いることがより好適である。
また、本発明では、固化体のハンドリン性を考慮した場合、その強度を増すために、必要に応じて架橋剤を添加する。架橋剤としては架橋反応型の樹脂が好ましく、エポキシ、フェノール、メラミン、尿素、オキサゾリン基を有する樹脂などの水溶性、もしくはエマルジョン型の樹脂を用いても良く、スラリーの安定性おび加熱温度での反応硬化が可能な樹脂としてはオキサゾリン基を有した樹脂を用いることがより好適である。
のように架橋剤を添加すると、固化体の強度が高められハンドリング性が良好となる。さらには、成形体としても強度を高めることができ、切削加工等による後加工を施すことも可能となる。
また、架橋剤の固形成分の量はバインダー100量部に対し、0.5〜35量部、さらに好ましくは2.5〜25量部である。架橋剤の量が少ない場合は、加熱して得られる固化体の強度が不十分となり、架橋剤の量が多い場合は、コスト的に不利になる他、固化体中のバインダー量が相対的に減ることから、型3から外した後の固化体の強度が低下し、最終的に得られる成形体の寸法精度が悪化するという問題があるため、量範囲とするのがより好適である。
次に前述のスラリーを型に充填する。
ここでとしては非吸水性の材質とすることが重要である。非吸水性であれば、従来のような吸水性を使用する際に起こっていた目詰まり等の問題が起こらず、耐摩耗性も良好で型3の寿命を延ばすことが可能となる。
また非吸水性の型3の材質としては、金属、樹脂、木材等、非吸水性の特性を有していればどのような材質のものでも使用可能である。特に本発明では、寸法精度や固化させた後の固化の型3からの取り外し易さ、および加熱時の熱伝導性の点から金属製の型を用いることがより好適であり、具体的にはアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金またはマグネシウム合金等が軽量で十分な耐熱性を有しており好適である。
また、型3の内面に様々な表面処理を施し、型3からの離型性、型3の耐摩耗性を向上させてもよい。
そして、型3を図1に示す回転手段1を用いて回転させながら加熱する。回転数としては、0.1〜5rpmの範囲とする。0.1rpmより遅い回転数では、スラリー中のセラミックス粉体の沈殿により、固化後の固化体に密度差が生じる場合があり、5rpmより速い回転数では、遠心力が働きスラリー中のセラミックス粉体が型3の側壁付近に偏って、固化後の固化体の特に中央部と表面付近とで密度差を生じるからである。
また、加熱する手段の一例としては、熱風を用いて加熱する方法がある。具体的には、市販の熱風送風機を回転手段の回転軸上両側に設置し、さらに型3の周辺の均熱を保
つために耐熱ボード等を用いて回転手段1の全体を覆えばよい。
さらに、他の加熱手段としては3内を循環させることのできる流路を設置し、そこにポンプを用いて高温に加熱した流体を循環させる方法である。ここで、高に加熱した流体としては、水を40〜90℃に加熱して用いればよい。また、型3内の流路は流体の注入口から枝分かれした流路を形成し、排出口付近で合流する形とする。伝熱面積を増すために、型全面にわたってヒダ状に形成しても良い。
また、スラリーに加える熱の温度は、5〜100℃である。5℃より低い温度でスラリーが固化する場合は、スラリー作成中に固化が起こる可能性があるので好ましくない。また、100℃を超える温度では、溶媒に水を用いると沸騰して気化する際に発生する泡が欠陥の原因となり好ましくない。沸騰を抑えるために加圧下で100℃を超える温度に加熱してもよいが生産性の面で好ましくない。
また、スラリーを固化させるまでの時間としては、長くても24時間以内が好ましい。固化までの時間が長いと、原料である粉体が沈降し、得られた成形体に密度バラツキを生じるためであり、1〜12時間以内であれば生産性の面からもより一層好適である。
さらに、スラリーは必要に応じて脱泡して型に充填することが好適である。脱泡方法としては、減圧容器内でスラリーを攪拌させる等の一般的な方法を用いればよい。そして、スラリーを型に注入する場合には、型3設置する容器内を真空雰囲気に保った状態とすることが好ましい。真空雰囲気中で型にスラリーを充填するのは、注入時にスラリー中への空気の巻き込みを防ぐためである。真空雰囲気の真空度としては、市販の真空度計による測定で0.005〜0.02MPaの範囲とするのが良い。0.005Paより低い真空度ではスラリーが沸騰し、型へスラリーを充填する際に型からスラリーが溢れ出してしまうからであり、0.02MPaより高い真空度では十分な脱泡作用が得られないからである。
次に加熱により固化させた固化体を型3から取り外す。固化体を型3から取り外す際は固化体に傷を付けないように注意することが必要であり、長尺大型品の型では、型を細かいパーツ毎に分けて作製し、これをパーツ毎に型3から取り外す。各パーツは大型であり、重量物である場合が多く、安全性を考慮した上で必要に応じて治具を用いて型3からの固化体の取り外しを行うのが好適である。
次に3から取り外した固化体の乾燥を行う。乾燥は熱風乾燥機やヒーター加熱方式の乾燥機を用いて実施しても良い。また、電磁波を用いて固化体を内部から加熱して乾燥させることも可能である。乾燥温度としては、50℃〜300℃で実施するのが良い。50℃より低い温度では、乾燥に時間がかかり、300℃より高い温度では急激な乾燥収縮による割れの発生が懸念されるため好ましくない。
また、この加熱に際しては、急激な乾燥による割れの発生を防止するために、一例として70%以上の高温湿度下で除々に乾燥させ、その後に通常の室温湿度下で乾燥させる方法をとることもできる。
なお、この燥を経て得られた成形体は必要に応じて切削加工を行っても良い。
以上のような工程を経て成形体を得た後、必要に応じて脱脂を行ない、その後、600〜1800℃の温度域にて焼成を実施する、本発明の製造方法によりの形状を反映させた焼結体を得ることができる。
前記焼結体は、セラミックス粉体と、5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤の少なくともいずれか1種からなるバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する工程と、スラリーを回転手段1の内部に固定された非吸水性の材料からなる型3に充填する工程と、型が0.1〜5rpmの回転数で回転するように回転手段を回転させながら5〜100℃で加熱してスラリーを固化させて固化体を得る工程と、固化体を型3から取り外して乾燥した後に焼成する工程とを含む本発明の大型構造体の製造方法により得た焼結体であるので、焼結体全体にわたって密度差がなく、従来の長尺等の大型製品の製造で起こっていた反りや変形が極めて少なく良好である。
上述のように本発明の大型構造体の製造方法によって得られた大型構造体は、大型の半導体製造装置用部材や液晶製造装置用部材として使用可能で、特に半導体製造装置材としては、大物形状の半導体露光装置のステージ部材やガイド部材等、液晶製造装置材として、長尺形状のガイド部材等に好適に用いることができる。
以下本発明の実施例を示す。
本発明の大型構造体の製造方法を用いて、厚さ100mm、幅200mm、長さ2000mmの平板の製造を行なった。
以下に製造方法の詳細を示す。
まず、スラリーの作製を行なった。セラミックス粉体としては、平均粒径が1μmのアルミナを用い、これに水をセラミックス粉体100質量部に対し15質量部、バインダーとして熱硬化性樹脂を15質量部、それに分散剤を1.0質量部、消泡剤を0.1質量部加え、市販の混合攪拌機内で真空脱泡しながら2時間攪拌してスラリーを得た。
次に、平板形状を製作可能なアルミニウム合金製の型内にこのスラリーを注入し、これを図1に示す回転手段1にセットして、回転させると同時に、型内に設けた流路に高温流体を循環させ、スラリーの固化を行って固化体を得た。
次にこの固化体を型から取り外し、この固化体を電磁波乾燥装置に投入し、電磁波加熱により乾燥させて成形体を得た。
このとき、電磁波乾燥装置の運転条件は、周波数を高周波領域の13.5MHzとした。また乾燥時間については250時間とした。
そして、乾燥後の成形体を焼成棚板上に載せ焼成炉に投入し、大気雰囲気中1600℃の焼成温度により焼成することで本発明の大型構造体の製造方法を用いた平板形状の焼結体を得た。
また、比較例として、前記形状と同形状であり、セラミックス粉体として同様アルミナを用いて、スラリーの固化工程に回転手段を用いずに加熱固化、乾燥、焼成工程を経て作製した平板を作製した。
そして、得られた平板形状の焼結体を市販の定盤上に置き、その反り量を隙間ゲージにより測定したところ、本発明の大型構造体の製造方法により得られた焼結体の反り量が0.5mm以下であったのに対し、比較例は5mmの反り量であり、本発明の大型構造体の製造方法の有効性を確認できる結果となった。
次に、実施例1と同様の仕様を用いて、図に示すような、端面一辺200mmの正方形状で長さ3000mmの角柱であり、その端面の中央から長さ方向にφ100mmの肉抜き部を有した形状の大型構造体19の製造を行った。
その結果、焼成後の大型構造体19の長さ方向の反り量は0.5mm以下であり、乾燥、焼成収縮による割れ等のないものであることが確認できた。
本発明の大型構造体の製造方法における回転手段の一例を示す概略図であり、(a)が側面概略図、(b)が断面概略図を示す。 本発明の大型構造体の製造方法における回転手段の他の例を示す概略図であり、(a)が側面概略図、(b)が断面概略図を示す。 本発明の大型構造体の製造方法により得られた大型構造体を示す模式図である。
1:回転手段
2、11:円筒体
3:型
4:回転ローラ
5、12:回転軸
6:回転軸固定台
7、8:動力源
9:回転ベルト
10:ベルト回転軸固定台
13:ベルト回転ローラ
14:溶媒
15:非イオン化系分散剤
16:粉体粒子
17:バインダー
18:樹脂
19:大型構造体

Claims (3)

  1. 1m以上の長尺品や1辺が1m以上の大型構造体の製造方法であって、セラミックス粉体と、5〜100℃で加熱することにより固化する、熱硬化性樹脂、合成樹脂エマルジョン、感熱性ゲル化剤の少なくともいずれか1種からなるバインダーと、溶媒とを含むスラリーを作製する工程と、該スラリーを回転手段の内部に固定された非吸水性の材料からなる型に充填する工程と、前記型が0.1〜5rpmの回転数で回転するように回転手段を回転させながら5〜100℃で加熱して前記スラリーを固化させて固化体を得る工程と、該固化体を前記型から取り外して乾燥した後に焼成する工程とを含むことを特徴とする大型構造体の製造方法。
  2. 前記回転手段は、内部に前記型を固定可能にした円筒体と、該円筒体の外周に当接する回転ローラとからなることを特徴とする請求項1に記載の大型構造体の製造方法。
  3. 前記回転手段は、内部に前記型を固定可能にした円筒体と、該円筒体の隣に配置した回転可能なローラと、前記円筒体の外周及びローラの外周を張架するベルトとからなり、前記ローラの回転により前記円筒体を回転させることを特徴とする請求項1に記載の大型構造体の製造方法。
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