JP4600968B2 - 椅子の肘掛け装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子の肘掛け装置、特に、座体の前後位置を調節したり、背凭れ等を傾動または付勢力を調節したりする調節機構に連係されたケーブルと操作レバーを備える肘掛け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、 座体や背凭れの位置等を調節するために、肘当てに設けられた操作レバーと、座体や背凭れの位置調節機構とに連係されたケーブルを、肘当てを支持する肘掛け支柱内に挿通し、外部に大きく露出させないようにした肘掛け装置を案出し、先に特許出願している(特願2002−213459号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の肘掛け装置において、肘掛け支柱の下端部を座体の下方に向かって内向きにほぼL字状に折曲するとともに、位置調節機構を座体の下部中央付近に設けた際には、ケーブルの下方の端末部と位置調節機構との接続を容易に、かつ最短で行うために、肘掛け支柱内に挿通したケーブルの下端部を、肘掛け支柱の下端部において内向きに引き出し、折曲部の上端に沿うように配線して、その端末部を位置調節機構に接続することが考えられている。
【0004】
しかし、このようなケーブルの配線構造とすると、肘掛け支柱の折曲部において、引出されたケーブルやその引出し孔が露呈し、見栄えが悪くなる。
【0005】
また、肘当ての高さを調節可能とした際には、ケーブルの長さに余裕を持たせて肘掛け支柱内に収容する必要があるが、このようにすると、ケーブルの引出し部にたるみが生じて、前後方向に位置ずれし、垂れ下がることもある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、肘掛け支柱の下端部より引出したケーブル及びその引出し孔を体裁よく隠蔽するとともに、ケーブルの引出し部を保持して位置ずれするのを防止しうるようにした、椅子の肘掛け装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)座体の側部より起立する肘掛け支柱の上端に肘当てを取付け、この肘当てまたは肘掛け支柱の上端部に設けた操作レバーと、座体または背凭れの置調節機構とを、可撓性のケーブルにより連係してなる椅子の肘掛け装置において、
前記肘掛け支柱を中空状として下端部を座体側に向かってほぼ内向きL字状に折曲し、この肘掛け支柱内に前記ケーブルの中間部を収容するとともに、ケーブルの下端部を、前記肘掛け支柱の折曲部における上方を向く内側面に穿設した引出し孔より、前記肘掛け支柱の折曲部の内方を向く上面に沿って内向きに引き出して、端末部を、前記座体下部に設けた、座体または背凭れの位置調節機構に接続し、かつ少なくとも前記引出し孔とそれよりのケーブルの引出し部を、肘掛け支柱の折曲部に設けた、その内向き折曲部に沿う形状のカバーにより覆うものとし、前記肘掛け支柱の折曲部における内方を向く上面に、ケーブルの引出し部の下端が嵌合可能な保持溝を、引出し孔の下端と連通するように設け、この保持溝及び該保持溝に嵌合したケーブルの上方を、前記カバーにより覆うようにする。
【0008】
)上記(1)項において、カバーを、その上端部の外面に形成した係止片を引出し孔の上端の開口部の裏面に係止させるとともに、内方の側端に内向き突設した取付片を折曲部の上面にねじ止めすることにより、肘掛け支柱の折曲部に固定する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した椅子の側面図で、脚体(1)の中央に立設された脚柱(2)の上端部には、支基(3)が固着され、この支基(3)の前後方向(以下、図1の左方を前として説明する)の中間部には、背フレーム(4)における下端の若干前下方に傾斜する左右1対のベース杆(5)の前端が、左右方向を向く枢軸(6)により後下方に傾動可能に枢着されている。
【0010】
(7)は、背フレーム(4)の前部に取付けられた背凭れ、(8)は、同じく背フレーム(4)の上端に取付けられたヘッドレストである。
【0011】
支基(3)の左右両側部の前端に取付けられた1対の上向き支持片(9)の上端と、左右のベース杆(5)の前端部に立設された1対の上向き支持片(10)の上端には、座体(11)が、背フレーム(4)と連動して後下方に傾動しうるように枢支されている。
【0012】
背フレーム(4)及び座体(11)の後傾位置は、座体(11)の下部に設けた位置調節機構(図示略)により調節しうるようになっている。
【0013】
左右のベース杆(5)のやや前方寄りには、1対の肘掛け(12)が左右対向状に設けられている。
【0014】
図2に拡大して示すように、左右の肘掛け(12)は、ベース杆(5)の中間部より若干前傾して起立する中空状の肘掛け支柱(13)と、この中に高さ調節可能に収容された肘掛け支柱の一部をなす肘当て支持杆(14)と、この上端に前後方向を向いて取付けられた肘当て(15)とを備えている。
【0015】
(16)は、肘掛け支柱(13)の外周面を、下端部を一部残して覆う左右2分割構造の支柱カバーである。
【0016】
図3〜図5に示すように、肘掛け支柱(13)の下端部は、ほぼ左右方向内向きL字状に折曲され、その内端は、ベース杆(5)のやや前方寄りに外側方に向かって一体的に突設された肘掛け取付杆(17)の側端に、次のようにして固着されている。
【0017】
肘掛け取付杆(17)の側端面には、図3に示すように、その前部側に、上下方向に連続する平面視山形状の凸部(18)が、また、その後部側には、左右方向を向く円形の係合孔(19)が、それぞれ設けられている。凸部(18)の稜線の中央には、めねじ孔(20)が穿設されている。
【0018】
一方、肘掛け支柱(13)の内方の側端面における前部側には、上記凸部(18)と補形をなす、上下方向に連続するV字形の凹溝(21)が、また後部側には、上記係合孔(19)に嵌合可能なピン状の突部(22)が、それぞれ設けられている。
【0019】
また、凹溝(21)の谷の線の中央には、外向きのボルト挿通孔(23)が穿設され、このボルト挿通孔(23)の外端は、肘掛け支柱(13)の上向き折曲部の外周面に形成された細長の開口部(24)と連通している。
【0020】
肘掛け支柱(13)を肘掛け取付杆(17)に取付けるには、肘掛け支柱(13)の突部(22)を肘掛け取付杆(17)の係合孔(19)に挿入しつつ、肘掛け支柱(13)の凹溝(21)を肘掛け支持杆(17)の凸部(18)に嵌合させたのち、開口部(24)より挿入した連結ボルト(25)を、肘掛け取付杆(17)のめねじ孔(19)に螺合する。
【0021】
これにより、肘掛け支柱(13)は、肘掛け取付杆(17)に対し、前後方向に回り止めされて強固に取付けられる(図5参照)。
【0022】
上記肘当て(15)は、平面視概ね長方形をなす肘当て基板(26)の上面に、それよりも若干大きな肘当てパッド(27)を固定して形成され、肘当て基板(26)の後端部に穿設された上下方向を向く取付孔(28)を、肘当て支持杆(14)における上端の肘当て支持板(29)の後端に固着された垂直の段付支持軸(30)の小径軸(30a)に嵌合することにより、肘当て(15)の後端部が左右方向に水平回動可能として枢着されている。
【0023】
肘当て(15)、すなわち肘当て基板(26)の前端部は、肘当て支持板(29)の前端部に水平回動可能に枢着された、斜め前上方を向く支持アーム(31)の上端により、回動かつ前後方向に摺動可能に支持されている。
【0024】
(32)は、上端が支持アーム(31)の上端に上向きに回動可能に枢支された操作レバーで、その後端の半円状断面をなすワイヤ掛け部(32a)に、肘掛け支柱(13)内に収容して配線されたケーブル(33)内のワイヤ(33a)の上方の端末部近傍を掛け回し、かつ端末を支持アーム(31)の上端部後面に係止することにより、ワイヤ(33a)は、操作レバー(32)の上向きの回動操作により、引かれるようになっている。
【0025】
なお、上記操作レバー(32)及びそれに連係されたケーブル(33)は、左右いずれか一方の肘掛け(12)(実施形態では左方の肘掛け)にのみ設けられている。
【0026】
図4〜図6に示すように、肘掛け支柱(13)内に収容されたケーブル(33)は、肘掛け支柱(13)の内向き折曲部における上方を向く内側面に穿設された縦長の引出し孔(34)より座体(11)側に内向きに引出され、下方の端末部は、背フレーム(4)及び座体(11)の位置調節機構に接続されている。
【0027】
肘掛け支柱(13)の内向き折曲部の上面中央には、左右方向を向く凹状の保持溝(35)が、引出し孔(34)の下端と連通するようにして形成され、この保持溝(35)内には、ケーブル(33)の下端の内向き折曲部が収容されている。
【0028】
肘掛け支柱(13)の内向き折曲部の内方の面、すなわちケーブル(33)の引出し部には、上記引出し孔(34)と保持溝(35)を覆いうる大きさの合成樹脂製のカバー(36)が取付けられている。
【0029】
カバー(36)は、肘掛け支柱(13)の内向き折曲部の形状に沿うように、上面が円弧状に湾曲された正面視ほぼ逆L字状に形成され、かつ上端部を除く全体は、肘掛け支柱(13)側の対向面と内方の端面とが開口されたU字形の断面形状とされている。
【0030】
カバー(36)の上端部の外面には、図5に示すように、上向き鈎状の係止片(36a)が突設され、この係止片(36a)は、肘掛け支柱(13)の引出し孔(34)に挿入されて、その上端開口部の裏面に下方より係止されるようになっている。
【0031】
カバー(36)の内方の端面の下端には、皿状のねじ挿通孔(37)を有する取付片(36b)が内向きに突設されている。
【0032】
カバー(36)を肘掛け支柱(13)に取付けるには、ケーブル(33)の端末部をカバー(36)の内側端の開口部より引出した状態で、係止片(36a)を引出し孔(34)の上端開口部に係止させたのち、取付片(36b)を、そのねじ挿通孔(37)より挿入した皿ねじ(38)を肘掛け支柱(13)の内向き折曲部の上面に形成しためねじ孔(39)に螺合して固定すればよい。
【0033】
このように、肘掛け支柱(13)における内向き折曲部の内面、すなわち、ケーブル(33)の引出し部にカバー(36)を設けると、肘掛け支柱(13)に穿設したケーブル(33)の引出し孔(34)や、引出されたケーブル(33)の内向き折曲部が、カバー(36)により体裁よく覆われる。
【0034】
また、ケーブル(33)の下端の内向き折曲部は、カバー(36)内においてその下方の肘掛け支柱(13)の上面に形成された保持溝(35)内に嵌合されているため、肘当て(15)の高さ調節時において、肘掛け支柱(13)内にたるませておいたケーブル(33)が、前後方向に位置ずれする恐れはなく、カバー(36)内に安定して保持される。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものでない。
上記実施形態のカバー(36)は、ケーブル(33)の引出し孔(34)よりの引出し部のみを覆いうる大きさとしているが、下端側の内向き寸法を大として、内向きに引出したケーブル(33)を広範囲に覆うようにしてもよい。
【0036】
また、カバー(36)の肘掛け支柱(13)への取付けは、その上端部もねじを用いて行うこともできる。
【0037】
本発明は、肘当て(15)が肘掛け支柱(13)に固定的に、かつ上下位置を調節不能として取付けられた肘掛け装置にも適用しうることは勿論である。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ほぼ内向きL字状に折曲した肘掛け支柱の下端部における上方を向く内側面に穿設した引出し孔と、それより引出したケーブルの下端部とが、カバーにより体裁よく覆われているので、それらが外部に露出して見栄えが損なわれる恐れはない。
また、肘当ての高さを調節するべく、ケーブルをたるませても、その引出し孔よりの突出部は、肘掛け支柱の折曲部に沿う形状のカバー内に位置しているので、前後方向に位置ずれしたり、垂れ下がったりすることはない。
さらに、ケーブルの下端部を、前記肘掛け支柱の折曲部における上方を向く内側面に穿設した引出し孔より、前記肘掛け支柱の折曲部の内方を向く上面に沿って内向きに引き出して、端末部を前記座体下部に設けた、座体または背凭れの位置調節機構に接続しているので、ケーブルの下端部を最短の長さで、座体または背凭れ等の位置調節機構に連係しうるとともに、引出し孔とそれよりのケーブルの引出し部を、肘掛け支柱の折曲部に沿う形状の1個のカバーにより体裁よく覆うことができる。
【0039】
さらにまた、ケーブルの引出し部の下端が保持溝内に嵌合されているので、前後方向に位置ずれするのが確実に防止されるとともに、保持溝及び保持溝に嵌合したケーブルの上方がカバーにより覆われているので、体裁もよい。
【0040】
請求項記載の発明によれば、カバーの着脱が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した椅子の側面図である。
【図2】 同じく、肘掛けの一部切欠拡大側面図である。
【図3】 同じく、肘掛け取付杆と肘掛け支柱との連結部を斜め下方より見た分解斜視図である。
【図4】 同じく、図3のIV−IV線の拡大縦断側面図である。
【図5】 同じく、図4のV−V線の縦断正面図である。
【図6】 同じく、図5のVI−VI線の拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
(1)脚体
(2)脚柱
(3)支基
(4背フレーム
(5)ベース杆
(6)枢軸
(7)背凭れ
(8)ヘッドレスト
(9)(10)上向き支持片
(11)座体
(12)肘掛け
(13)肘掛け支柱
(14)肘当て支持杆
(15)肘当て
(16)支柱カバー
(17)肘掛け取付杆
(18)凸部
(19)係合孔
(20)めねじ孔
(21)凹溝
(22)突部
(23)ボルト挿通孔
(24)開口部
(25)連結ボルト
(26)肘当て基板
(27)肘当てパッド
(28)取付孔
(29)肘当て支持板
(30)段付支持軸
(30a)小径軸
(31)支持アーム
(32)操作レバー
(33)ケーブル
(33a)ワイヤ
(34)引出し孔
(35)保持溝
(36)カバー
(36a)係止片
(36b)取付片
(37)ねじ挿通孔
(38)皿ねじ
(39)めねじ孔

Claims (2)

  1. 座体の側部より起立する肘掛け支柱の上端に肘当てを取付け、この肘当てまたは肘掛け支柱の上端部に設けた操作レバーと、座体または背凭れの置調節機構とを、可撓性のケーブルにより連係してなる椅子の肘掛け装置において、
    前記肘掛け支柱を中空状として下端部を座体側に向かってほぼ内向きL字状に折曲し、この肘掛け支柱内に前記ケーブルの中間部を収容するとともに、ケーブルの下端部を、前記肘掛け支柱の折曲部における上方を向く内側面に穿設した引出し孔より、前記肘掛け支柱の折曲部の内方を向く上面に沿って内向きに引き出して、端末部を、前記座体下部に設けた、座体または背凭れの位置調節機構に接続し、かつ少なくとも前記引出し孔とそれよりのケーブルの引出し部を、肘掛け支柱の折曲部に設けた、その内向き折曲部に沿う形状のカバーにより覆うものとし、前記肘掛け支柱の折曲部における内方を向く上面に、ケーブルの引出し部の下端が嵌合可能な保持溝を、引出し孔の下端と連通するように設け、この保持溝及び該保持溝に嵌合したケーブルの上方を、前記カバーにより覆うようにしたことを特徴とする椅子の肘掛け装置。
  2. カバーを、その上端部の外面に形成した係止片を引出し孔の上端の開口部の裏面に係止させるとともに、内方の側端に内向き突設した取付片を折曲部の上面にねじ止めすることにより、肘掛け支柱の折曲部に固定してなる請求項記載の椅子の肘掛け装置。
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