JP4599016B2 - ディーゼル燃料フィルター及び水分離装置 - Google Patents

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は燃料、特にディーゼル燃料（一般にガスオイルとして知られているもの）の濾過に関連するものである。
【０００２】
（背景技術）
このセクターにおいて、燃料中の不純物によりデリケートな噴射装置の損傷や不調を招くことを防止するために、噴射装置の精巧性に最も慎重な濾過が必要となる。
【０００３】
中心軸周囲に紙を巻いて形成し、これを燃料の流れが軸線方向に通り抜けるタイプの濾過手段を使用するフィルターが周知である。これらのフィルターは、従来のひだ付きフィルターよりも相当有利な濾過面を備えている。
【０００４】
この巻紙フィルターによる前記フィルターに付随し、まだ完全に解決されていない技術的問題は、燃料中に水分が存在することによって生じ、水分は通常のフィルターカートリッジ（固体部分を遮断するように設計されたもの）では遮断されないで、下流にある機械部材へと達してしまうため、これらの部材に酸化問題および損傷を生じるというものである。この問題は、特に噴射供給環境に大きな被害を与える。
【０００５】
水の分離手段を備えたフィルターユニットが、米国特許明細書第5,938,921号に開示されており、そこでは分離手段が下方に傾斜した流れ面（２２）から成り、濾過手段の下流に配置され、それに沿って流体が流れ、且つそれによって燃料の流れを変更させて、燃料中に存在する水分を集めて分離している。
【０００６】
米国特許明細書第5,938,921号は、燃料中に存在する水分が集まらず、それゆえ燃料がエンジンの機械部分に達する前に、分離されないという欠点を有している。
【０００７】
燃料中に存在する水の分離手段は、欧州特許明細書EP 858,825にも開示されており、下方に傾斜した流れ面を備えている。その流れ面は、濾過手段の上流に配置され且つ、濾過手段の上流で濾過手段に対向して配置されたメッシュに関連している。
【０００８】
欧州特許明細書EP 858,825号によって開示されている分離手段は、燃料の固形不純物がメッシュを短時間で詰まらせるので、フィルターユニットを清潔にする必要があるという欠点がある。
【０００９】
本発明の目的は、燃料の流れが軸線方向に通り抜ける濾過手段、特に、巻紙を用いた濾過手段を使用し、非常に高度な水分離を実施することが可能なフィルターを提供することである。
【００１０】
（発明の開示）
この目的およびさらなる目的は、特許請求の範囲で特徴付けられた本発明によって達成することができる。
【００１１】
本発明は、濾過手段の下面の下に配置された水分離手段を備え、また、燃料中に含有された水分を収集および分離するべく、下面と対向し、垂直線に対してある角度で下方に傾斜した流れ面を備え、その傾斜に沿って流体が流れ、燃料の流れを変更し、さらに燃料から分離した水分を収集するために水分離手段の下に配置された下部チャンバとを備えるという事実に基づいている。
【００１２】
（実施例）
以下に、これに限定しない一例として、一実施例を示した添付図面を参照して本発明を詳細に記載する。
【００１３】
フィルターは、特に、若干鉢形にくぼんだ部分を備えた、縦軸線Ａを有する実質的に円筒形の外部ケーシング１０である。
【００１４】
容器１０の上蓋１４上には燃料入口および出口が設けられている。
【００１５】
詳細には、入口は、軸線Ａから一定の距離で離間した位置に規則的に配置された様々な開口部１１によって画定され、出口は軸線Ａ上に中心を持つ一つの開口部によって画定されている。
【００１６】
容器１０内には、入口開口部１１と連通した縦軸線の第一チャンバ３１と、出口１２と連通し、第一チャンバ３１と同軸的な出口チャンバ３２とが画定されている。
【００１７】
二つのチャンバ３１、３２は、中央管状ダクト３５によって互いに少なくとも部分的に離間しており、中央管状ダクト３５は、フィルターの外部ケーシング１０に対して直線的であり、上蓋１４に固定されて、該出口チャンバ３２と境を成している。
【００１８】
ケーシング１０内の水分離手段の下には、燃料から分離された水分を収集するための下部チャンバ３３が設けられている。出口チャンバ３２は、濾過手段１５の軸線に沿って位置付けされ、その下端部において下部チャンバ３３と連通している。
【００１９】
特に軸線周囲に円筒形に巻いた紙全体によって形成されたタイプの濾過手段１５が第一チャンバ３１内に位置付けされ、濾過手段１５がチャンバ３１、チャンバ３２と同軸的に配置され、断面に関してチャンバ３２の全部分を占める一方で、軸線方向においては、入口開口部１１と連通したチャンバ３１の頂部３１ａの部分を除いて、チャンバ３１を縦方向に完全に占め、該頂部３１ａの部分は自由なまま残される。濾過手段１５内を燃料が実質的に軸線方向に（すなわち、紙ロールの発生器と平行して）通り抜け、濾過手段１５は、液体が濾過手段を通過した後、実質的に垂直方向に排出される実質的に水平な下面１５'を備えている。
【００２０】
水分離装置手段２０は、濾過手段１５の下面１５'の下には設けられており、流れ変更部材２１を備えている。この流れ変更部材２１は、濾過手段１５の下面１５'の突起部を実質的に完全に占め、上方へ集束した切頭円錐形状の流れ面２２を備えており、下方へ傾斜して垂直線に対してある角度を成すこの流れ上面２２は、燃料中にある水分を集めて分離させるべく、流体を傾斜に沿って流し、燃料の流れを変更するための流れ面を画定する。
【００２１】
部材２１は第一チャンバ３１をチャンバ３３から分離し、平面図において、ケーシング１０の内面の断面図よりも若干小型な円形であるため、部材２１の外縁とケーシング１０の内面の間に、チャンバ３１からチャンバ３３への流体の流れが通過する狭い環状通路１７が画定されている。
【００２２】
流れ変更部材２１は高さの低い中空形状であり、出口チャンバ３３２の下端部に配置され、特に中央管状ダクト３５の下端部に固定された中心通路ポート２４を備えている。
【００２３】
分離装置手段２０は、流れ変更手段２１内のキャビティと、中央通路ポート２４へのアクセスを覆うため、流れ変更部材２１の下端部上に配置された濾過メッシュ２５を備えている。濾過メッシュ２５は、ポリテトラフルオロエチレン（PTFE、通常テフロン（登録商標）として周知）またはシリコーン等のような物質でコーティングされており、燃料中の水分を遮断するための、直径が約200ミクロンを越えない通路孔を備えている。
【００２４】
好ましい実施例において、濾過メッシュ２５は、直径0.02〜0.2mmの範囲の糸で、25〜200ミクロンの横糸空間を持たせて、単一糸繊維で形成されている。濾過メッシュ２５はステンレス鋼、ナイロン、ポリアミドであることが好ましい。
【００２５】
コーティングの厚さは2〜8ミクロンであることが好ましい。
【００２６】
実際には、濾過メッシュ２５の両側または片側のみにPTFEが付加されており、この付加方法は噴霧の後にオーブンで焼付けする。
【００２７】
動作中に、燃料がまず開口部１１を介してチャンバ３１の上部３１ａ内へ入り、ここから、巻紙の共通粘着面に沿って流れ、固体異物小片が保持され水粒子が保持されないで、濾過手段１５に沿って軸線方向に降下する。
【００２８】
濾過手段１５から排出される際に、燃料の流れが流れ変更部材２１と遭遇して流れが変更され、流れ面２２に沿って流れる。水粒子は燃料よりも重いため、濾過手段１５の下面１５'からの排出方向を燃料よりも維持する傾向にあり、そのため、流れ面２２上に溜まりがちである。流れ面２２上に水粒子を溜まらせる別の要素は、流れ面２２に沿って流れる際に、水粒子が燃料粒子よりも遅くされることである。これら全ての結果、水粒子が流れ面２２上に溜まり、ここで堆積および集中して容積が増加し、下部チャンバ３３の底部上へ落下し、ここで、下部出口３６を介して周期的に排出される蓄積量Ｍを形成する。
【００２９】
下部チャンバ３３内に入った燃料の流れは、出口チャンバ３２へ向かって上昇する。
【００３０】
しかし、流れはチャンバ３２へ入る前に、流れ面２２によって分離されなかった水粒子を保持する濾過メッシュ２５と遭遇する。
【００３１】
これにより、上述の技術特性を備えた濾過メッシュ２５が水の通過を完全に、または少なくともかなりの量遮断するが、実際の燃料の通過は一切妨害しないことがわかっている。
【００３２】
この好ましい現象は水粒子の異なる表面張力によって生じ、ここで、テフロン（登録商標）またはシリコーンでコーティングしたメッシュ２５の存在により、燃料分子との結合を破壊され、互いに塊になって、メッシュを通過できず、下部チャンバ３３の底部に落下すると予想される。
【００３３】
濾過メッシュ２５の孔の直径が小さいほど、水粒子の遮断作用は大きくなる。実際には既に、20ミクロン程の直径で水粒子をほぼ全て遮断している。
【００３４】
本発明を使用すると、完全分離に近い非常に高レベルの水分離の達成が実験上可能であることがわかっている。
【００３５】
図２、図３に示す実施例において、流れ変更部材２１はさらに濾過手段１５を支持するべく配置されている。この目的のために、流れ変更部材２１は、濾過手段１５の下面１５'の支持部として機能するための、流れ面２２から上方に突出した複数の放射状要素２６を備えている。図４、図５に示す実施例では、流れ変更部材２１は、流れ面２２の頂部から開始するらせん状通路を画定するために、流れ面２２上に配設された一つ以上の突出リッジ２７を備えている。リッジ２７により流れ面２２に沿った流体の移動する距離が増すため、流れ面２２上への水粒子の堆積が促進される。
【００３６】
濾過手段１５は、穿孔された水平整流装置２８上に部材２１によってしっかりと支持され、流れ面２２よりも上に配置されている。
【００３７】
特許請求の範囲で請求された本発明の概念を逸脱しない限り、実用および応用特性の様々な変更を本発明に加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるフィルターの軸線方向断面図。
【図２】 図１の拡大詳細図。
【図３】 図２の平面III−IIIに沿った断面図。
【図４】 分離装置手段２０の第二実施例を示した、図２のような拡大詳細図。
【図５】 図４の平面V−Vに沿った断面図。

Claims (5)

1. 垂直軸線方向の第一チャンバ（３１）と、
   前記第一チャンバ（３１）内に配置され、燃料が実質的に軸線方向に通り抜け、下面（１５'）を備える濾過手段（１５）とより成り、前記燃料が前記濾過手段（１５）を通過した後、前記下面（１５'）から実質的に垂直方向に出る、ディーゼルエンジン用の燃料フィルターにおいて、
   前記濾過手段（１５）の下流に配置され、下方に傾斜した流体の流れ面（２２）をもつ流れ変更部材（２１）を備えた水分離手段（２０）を有し、
   前記流れ面（２２）に沿って流体が流れ、流れ面が（２２）が燃料の流れを変更させて、燃料中に存在する水分を集めて分離させるように構成され、
   また、前記水分離手段（２０）の下に設けられ、燃料から分離された水分を集める下部チャンバ（３３）を有し、
   さらに、前記水分離手段（２０）の下端部上に設けられ、前記流れ変更部材(２１)内のキャビティを覆う濾過メッシュ（２５）を有し、
   前記濾過メッシュ（２５）が、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）または、シリコーンでコーティングされ、かつ燃料中に存在する水分を遮断するため、２００ミクロンを越えない直径の通路孔を備えていることを特徴とする燃料フィルター。
2. 前記濾過手段（１５）と同軸であり、下端部において前記下部チャンバ（３３）と連通したフィルター出口チャンバ（３２）を有し、
   前記濾過手段（１５）が、燃料の流れを変更するための流れ面を画定するために、前記濾過手段（１５）の前記下面（１５'）の突出部分を実質的に完全に占める、上向きに集束した切頭円錐状の流れ面（２２）をもつ流れ変更部材（２１）を有し、該流れ変更部材（２１）が中空形状であり、かつ前記出口チャンバ（３２）の前記下端部に配置された中央通路ポート（２４）を備えていることを特徴とする請求項１に記載のフィルター。
3. 前記フィルターの外部ケーシング（１０）に対して直線的な、前記出口チャンバ（３２）に境を接する中央管状ダクト（３５）を有し、前記流れ変更部材（２１）が、前記中央管状ダクト（３５）の前記下端部に固定されることを特徴とする請求項２に記載のフィルター。
4. 前記流れ変更部材（２１）が、前記濾過手段（１５）の前記下面（１５'）用の支持部として機能するため、前記流れ面（２２）から上方に突出した複数の放射状支持要素（２６）を備えることを特徴とする請求項３に記載のフィルター。
5. 前記流れ変更部材（２１）が、流体の移動する距離を増加するべく、前記流れ面（２２）の頂部から開始するらせん状通路を画定するために、前記流れ面（２２）上に配置された一つ以上の突出リッジ（２７）を備えることを特徴とする請求項３に記載のフィルター。

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