JP4598244B2 - 高圧ポンプ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関、特に自動車のエンジンに燃料を供給するための高圧ポンプの改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
前記タイプの高圧ポンプは通常、内部をピストンがスライドする少なくとも１つのシリンダを収容している本体と、本体の対応表面とかみ合ってシリンダを固定する表面を有するヘッドとを備えている。また、このヘッドは吸気管を有し、吸気管の吸気口はヘッド表面にシリンダシートに隣接して配置されている。
【０００３】
ある周知のラジアルシリンダポンプでは、各シリンダは対応するヘッドによって固定され、各ヘッドの表面と本体表面との間には片シールのエラストマー材料が挿入される。同シールはシリンダの周囲にはまる所定の直径の弧状部分と、吸気管の吸気口の周囲に嵌合するさらに小さい直径の弧状部分とを含み、同シールの断面は通常、ヘッド表面に対して平行の方向に伸張されている。
【０００４】
上述の周知ポンプの主な欠点は、高温にさらされるとシールが伸びることにある。特にポンプ温度が１４０℃である場合、同シールは２つの弧状部分の接合領域で締まる傾向があり、このために吸気管の吸気口がチョークする、或いは閉鎖される可能性がある。さらに、このチョーク効果はシリンダ毎に異なるため、ポンプの作動及び燃料の吐出が共に平衡を失うことによりポンプが損傷し、エンジンへの燃料供給が不規則になるという結果に至る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高圧ポンプのシールに直接的かつ高信頼性の改良を加えて、周知のポンプに典型的に付随する上述の欠点を除去することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、内燃機関に燃料を供給するための高圧ポンプが提供され、本高圧ポンプは、内部をピストンがスライドする少なくとも１つのシリンダを収容している本体と、前記シリンダを固定するために前記本体の対応する合わせ面に直面する合わせ面を有するヘッドとを備え、前記ヘッドは吸気管と供給管とを有し、前記吸気管は前記ヘッドの合わせ面に位置する吸気口を有し、前記本体は、前記本体の合わせ面と前記吸気口とに配置された排気口を有する送り管を有し、前記両合わせ面の間には、前記シリンダの周囲に第１のシールが配置され、前記吸気口の周囲に第２のシールが配置され、前記両シールは分離されるとともにエラストマー材料で製造されていることを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しつつ本発明の好適な一実施形態について例示的に説明する。
【０００８】
図１における参照符号５は、例えば自動車の内燃機関に燃料を供給するための高圧ポンプ全体を示す。ポンプ５は、中空の本体８の内側に半径方向に配置された３つのシリンダ７内をスライドする３つのラジアルピストン６を、各シリンダ７は、実質的に楕円であるプレート９によって頂部を閉鎖されている。
【０００９】
プレート９は、２つの平坦な平行表面１０を有し、シリンダ７と同軸である吸気バルブ１１と、シリンダ７に対して偏心している送出しバルブ１２とを支持している。各シリンダ７は、プレート９の一方の平行表面１０と嵌合する平面１４によって限定される円筒形の外側面１３を有し、各シリンダ７及び各々のプレート９は、本体８に取り外し式にはめられている対応するロックヘッド１６によって本体８に固定されている。
【００１０】
ピストン６は、内燃機関のドライブシャフトによって起動されるシャフト１８と一体式であるシングルカム１７により順次起動される。カム１７は、各ピストン６について、ピストン６に固定されたシュー２２と協働する対面部分２１を有するリング１９を介してピストン６に作用し、各シュー２２は、対応する圧縮ばね２３によってカム１７に向けて押される。
【００１１】
各ヘッド１６は、本体８の対応する平らな合わせ面２６に面する、好ましくは平らな合わせ面２４と、外側面１３によって限定されるシリンダ７の一部を収容するための円筒形シート２７（図２を参照）とを備えている。本体８は、外側面１３によって画定されるシリンダ７の残りの部分を収容するための円筒形シート２８をさらに備え、シート２７は、対応するプレート９を収容するための楕円形シートを形成する凹部３１が内部に形成された平面２９を備え、凹部３１の平面３２は、プレート９のもう一方の平面１０と嵌合している。
【００１２】
各ヘッド１６は吸気管３３と供給管３４とを有し、吸気管３３は表面３２内の溝３５によって画定される部分を含み、溝３５は底部をプレート９によって閉鎖され、かつシリンダ７の軸に垂直である導管３３の部分３６に整合され、導管３４もシリンダ７の軸に対して垂直である部分３０を含んでいる。
【００１３】
吸気管３３はまた、シリンダ７の軸に平行でありかつヘッド１６の表面２４に位置する吸気口３８を有する部分３７を含み、本体８は、表面２６に位置する排気口４１を有しかつ使用に際しては吸気口３８に配置される送り管３９を含んでいる。
【００１４】
本発明によれば、ヘッド１６の表面２４と本体８の表面２６との間で、シリンダ７の周囲には第１のシール４２が取り付けられ、導管３３の吸気口３８及び導管３９の排気口４１の周囲には第２のシール４３が取り付けられている。シール４２及び４３は分離されており、エラストマー材料で製造されている。
【００１５】
シール４２（図３参照）は環状であって、ヘッド１６の表面２４にシート２７に隣接して形成された円形の凹部４４内に収容されているため、シール４２は、本体８の平面２６及びシリンダ７の円筒形表面１３に共に嵌合している。
【００１６】
シール４２（図４）は、シール４２の軸に垂直である２つの主側面４５とシール４２の軸に平行である２つの小側面４６とを有する実質的に矩形状である断面を有している。断面が２つの主側面４５を形成しているシール４２の両表面は各々、断面の小側面４６の１／３〜１／４の範囲の厚さの凸型リブ４７を有する。同断面の外側面４６を形成する円筒形表面は、シール４２の凹部４４内部での回転を防止するための多数の小突起４８を有している（図３）。
【００１７】
シール４３（図１及び５を参照）もまた環状であるが、直径はシール４２よりも小さく、ヘッド１６の表面２４に吸気口３８と同軸に形成された円形の溝４９内に収容されている。溝４９は、シール４２と４３が互いに接触しないように凹部４４から完全に分離されている。
【００１８】
シール４３は、長軸がシール４３の軸に平行で（図６）ヘッド１６の表面２４に垂直である長円形断面を有している。長円形断面は実質的に六角形であって、互いに平行でありかつ同断面の長軸に平行な２つの主側面５１を備え、側面５１の各々が対応する円筒形の壁の部分を画定している。長円形断面はまた、互いに角度を成してフィレット５３で接続された２対の側面５２を備え、各側面５１に対応する円筒形表面は、中央に環状の補強リブ５４を有している。
【００１９】
ポンプを組み立てるには、まずシリンダ７をピストン６及びばね２３と共に本体８内のシート２８の内部に挿入し（図１）、次にプレート９をバルブ１１及び１２と共にヘッド１６内の楕円形凹部３１の内部に挿入し、シール４２及び４３をそれぞれ凹部４４（図２も参照）及び溝４９の内部に挿入し、最後にヘッド１６をヘッド１６上の対応するシート５５内に挿入されているねじによって本体８に取り付ける。
【００２０】
ねじが締められると、プレート９の表面１０はシリンダ７の平面１４と嵌合し、シール４２及び４３は本体８の平面２６へと圧縮される。シール４２は半径方向に変形しやすく、シリンダ７の表面１３に押しつけられる。一方のシール４３（図７）は、弧状に変形されて断面の２つの主側面（５１）がＣ字形になり、変形した凹型断面がシール４３の軸と向き合って密封性能を大幅に向上させる。
【００２１】
試験によって、送り管３９に所定の圧力がかかっている場合には、本ポンプの吸込み効率は、シリンダ及び吸気管に通常のシールを使用している周知のポンプに比べて格段に向上することが示されている。
【００２２】
従来のポンプに比較すると、本発明に係る高圧ポンプの利点はこれまでの説明から明白であろう。特に、シール４２及び４３の変形は吸気管３３を詰まらせないように防止されており、シール４２はシリンダ７の円筒形表面１３全体を密封し、シール４３の断面の稼働中の形状は、本体８の導管３９及びヘッド１６の導管３３間の接続の効果的な密封を保証している。
【００２３】
特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、本発明に係るポンプに変更を加えることが可能である。例えば、ポンプは単一のシリンダ７或いは多数の直列気筒を備えることも可能である。プレート９の代わりにバルブ１１及び１２をヘッド１６上に直接配置することも可能である。シール４２及び４３のシート４４及び４９のうちの少なくとも１つは、その全体または一部を本体８の平面２６に形成されることが可能である。シール４３は図６が示すもの以外の長円形断面を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係る高圧ポンプの一実施形態の部分断面図である。
【図２】 図１の線II-IIに沿ったポンプのヘッドの拡大図である。
【図３】 図１が示すポンプの第１のシールの平面図である。
【図４】 図３の線IV−IV沿った拡大部分断面図である。
【図５】 図１が示すポンプの第２のシールの平面図である。
【図６】 図５の線VI−VI沿った拡大部分断面図である。
【図７】 使用中の図６の断面を示している。
【符号の説明】
５ ポンプ
６ ピストン
７ シリンダ
８ 本体
１６ ヘッド
３３ 吸気管
３８ 吸気口
３９ 送り管
４１ 排気口
４２，４３ シール

Claims (10)

1. 内燃機関に燃料を供給するための高圧ポンプであって、内部をピストン（６）がスライドする少なくとも１つのシリンダ（７）を収容している本体（８）と、前記シリンダ（７）を固定するために前記本体（８）の対応する合わせ面（２６）に直面する合わせ面（２４）を有するヘッド（１６）とを備え、前記ヘッド（１６）はシリンダ（７）へ及びシリンダ（７）からそれぞれ燃料を導くために形成された吸気管（３３）と、供給管（３４）とを有し、前記吸気管（３３）は前記ヘッド（１６）の合わせ面（２４）に位置する吸気口（３８）を有し、前記本体（８）は、前記本体（８）の合わせ面（２６）に配置されると共に前記吸気口（３８）に配置される排気口（４１）を有する送り管（３９）を有し、前記両合わせ面（２４，２６）の間には、前記シリンダ（７）の周囲に第１のシール（４２）が配置され、前記吸気口（３８）の周囲に第２のシール（４３）が配置され、前記両シール（４２，４３）は互いに分離されるとともにエラストマー材料で製造されていることを特徴とする高圧ポンプ。
2. 前記シリンダ（７）は円筒形の外側面（１３）を備え、前記ヘッド（１６）は前記外側面（１３）によって画定された前記シリンダ（７）の一部を収容するシート（２７）を備え、前記本体（８）は前記外側面（１３）によって画定された前記シリンダ（７）の他の部分を収容するシート（２８）を備え、前記第１のシール（４２）は、前記合わせ面（２４，２６）の１つまたは両方に形成された円形の凹部（４４）内に収納されるとともに前記第１のシール（４２）と前記外側面（１３）との嵌合を可能にすることを特徴とする請求項１記載の高圧ポンプ。
3. 前記第２のシール（４３）は、前記合わせ面（２４、２６）の１つまたは両方に形成され、かつ前記吸気口（３８）及び前記排気口（４１）と同軸である円形の溝（４９）内に収容され、前記溝（４９）は前記凹部（４４）と分離していることを特徴とする請求項２記載の高圧ポンプ。
4. 前記第１のシール（４２）は、前記合わせ面（２４、２６）に沿う２つの主側面（４５）と、前記合わせ面（２４、２６）に垂直な２つの小側面（４６）とを備える実質的に矩形状である断面を有し、前記主側面（４５）は各々、前記断面の小側面（４６）の約１／３〜約１／４の範囲の厚さのリブ（４７）を有することを特徴とする請求項２または３記載の高圧ポンプ。
5. 前記第１のシール（４２）は、前記第１のシール（４２）の前記凹部（４４）内での回転を防止するための多数の突起（４８）が設けられた円筒形外面を有することを特徴とする請求項４記載の高圧ポンプ。
6. 前記第２のシール（４３）は、前記合わせ面（２４、２６）に垂直な長軸を有する横長断面を有することを特徴とする請求項３〜５のいずれか１つに記載された高圧ポンプ。
7. 前記横長断面は実質的に六角形であり、２つの平行する主側面（５１）を備えることを特徴とする請求項６記載の高圧ポンプ。
8. 前記横長断面は、前記横長断面の前記２つの主側面（５１）を弧状にするように変形可能であることを特徴とする請求項７記載の高圧ポンプ。
9. 前記ヘッド（１６）と前記シリンダ（７）との間には、前記吸気管（３３）から前記シリンダ（７）への燃料流入の制御および前記シリンダ（７）から前記供給管（３４）への燃料流出の制御のそれぞれのための吸気チェックバルブ（１１）及び排気チェックバルブ（１２）を支持するプレート（９）が挿入され、
   前記吸気管（３３）は、少なくとも１つの部分（３６）を備え、前記供給管（３４）は、少なくとも１つの部分（３０）を備え、前記部分（３６，３０）は、前記シリンダ（７）の軸に垂直であり、
   前記吸気管（３３）は、さらに前記シリンダ（７）の軸に平行でありかつ前記吸気口（３８）を有する部分（３７）を備えることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１つに記載された高圧ポンプ。
10. 前記本体（８）の内部に半径方向に配置された多数のシリンダ（７）と、前記シリンダ（７）に付随して半径方向にスライドする多数のピストン（６）とを備え、前記シリンダ（７）の各々は対応するヘッド（１６）によって前記本体（８）に固定され、前記本体（８）は、各々の前記シリンダ（７）にそれぞれ動作可能なように接続された複数の送り管（３９）を備えることを特徴とする請求項９記載の高圧ポンプ。

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