JP4597913B2 - ハトメ - Google Patents

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Description

本発明は、靴や衣服、鞄等(以下、取付対象物品)における取付対象生地に取着し、結束用紐を通すために使用されるハトメに関する。
靴の甲部や衣服の前部、鞄の開口部等に対して、複数のハトメを生地に取付け、該ハトメの中央に形成された中央穴に紐を通し、結束することが、慣用されている。また、このような用途に用いるハトメは、靴や衣服に使用されるという特質上、単に機能性を有するだけではなく、多くの場合、ファッション性を兼備する必要がある。このため靴や衣服に使用されるハトメは、外観体裁について洗練されたものが多い。例えばハトメを合成樹脂や金属を用いて形成し、その外面に創作的な意匠を付加することがなされている。
上記した靴の甲部や衣服の前部等に対して、複数のハトメを生地に取付け、該ハトメの中央に形成された中央穴に紐を通し結束するハトメを示す具体的な例としては、合成樹脂、金属等の硬質材料からなる雌体を、係止穴(ハトメの中央穴)を貫通させた環状体とし、前記係止穴に、その底面から頂面に向かって拡開されるテーパ面を形成するとともに、フランジ部と、布帛等の装着対象物を挟み、前記筒状片を前記雌体の頂面側から挿入される成形型で係止穴のテーパ面に密着するように拡開し、かしめ止めする構成のハトメ(例えば、特許文献1参照。)が公知である。
実開平5−80312号公報
上記特許文献1に開示されるような従来のハトメは、取付対象物品に対して取着し、各ハトメの中央穴に対して結束用紐の一端を連通させ、結束用紐の両端を引張り締め付け、該結束用紐の両端を結束することで、結束用紐を用いて結束することができる。
ところが、従来のハトメを靴の甲部や衣服の前部等に対して取着して結束用紐で結束した状態では、当該靴や衣服の日常での使用により、ハトメに対して結束用紐が貫通する方向に容易にずれることがあり、結束用紐の緩みの一因となっていた。
また結束用紐の締め付けが不十分であったり、上記に示した理由によって結束用紐に緩みがあると、ハトメの穴の縁に沿って周方向にも結束用紐がずれることとなり、更に結束用紐の緩みが大きくなることにつながっていた。
結束用紐のうちハトメを貫通する箇所は、結束する際の折り返し箇所となり、外力の作用が集中しやすく、更にハトメと接触することで磨耗を招来しやすいのであるが、上記したようにハトメと結束用紐とのずれが多発して結束用紐の磨耗が生じ、長期間の使用によって、前記磨耗が進行し、最終的に結束用紐が切断されることもある。
これに加え、ハトメ上に結束用紐が覆い被さり、図27に例示するように、取付対象生地92に取着したハトメ90の外側に大きく結束用紐91が露呈することで、結束用紐91が他物と接触しやすくなる欠点がある。また、外力の作用を受けやすくなることで、更に結束用紐が切断される頻度も高くなる。
一方、ハトメは、単にその機能面について充足すればよいものではなく、上記したように、その外観体裁も重要である。外観体裁を向上させるために、ハトメの外面側には種々の意匠が施されることがある。
しかしながら、結束用紐をハトメの穴に通して結束を行うと、結束用紐がハトメの外面の一部の上に覆い被さることで、該ハトメの外面に施される意匠を隠すこととなる。また、前記結束用紐の幅や厚みが大きいほど、この傾向は大きくなり、ハトメの外面に施した意匠が無意味となる結果を招来する。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、結束用紐の緩みを抑制し、長期間の使用によって生ずる大きな磨耗や紐の切断を防止し、ハトメの外面に形成される意匠が発揮できる形態を保持することが可能となる、優れたハトメの提供を、発明が解決しようとする課題とするものである。
結束用紐を通すための中央穴と相互の係着部を夫々有する装飾体とハトメ基体からなり、前記係着部で取付対象生地を貫通挟持して一体となるハトメにおいて、装飾体は、筒状の周壁の一部に結束用紐の幅寸法に対応した幅寸法の切欠部を形成したことを特徴とするハトメを、課題を解決するための手段とする。尚、本発明の切欠部の幅寸法に関して、「結束用紐の幅寸法に対応した幅寸法の切欠部」とは、必ずしも切欠部の幅が結束用紐の幅寸法以上であることを要するものではなく、切欠部の幅が結束用紐の幅寸法以下であっても結束用紐の通過を許容する幅寸法であればよい趣旨である。
請求項1に係る発明によれば、装飾体は、筒状の周壁の内側縁に前記係着部を備え、該周壁の一部に結束用紐の幅寸法に対応した幅寸法の切欠部を形成したことから、取付対象生地の裏面側から中央穴を通して表面側に露呈する結束用紐が、前記周壁の一部に形成した切欠部に嵌り込み、切欠部における内壁が結束用紐との間に摩擦抵抗を生ずるため、ハトメに対して結束用紐が貫通する方向のずれを低減することができる。
また、同構成によって、切欠部における内壁が結束用紐は、切欠部における内壁が、結束用紐の周方向への移動を直接結束用紐に当接することで結束用紐のずれや緩みを防止する。
従って、上記ずれを防止することで、結束用紐の磨耗から長期間の使用によって最終的に結束用紐が切断されるという事態を防止することができる。
また、ハトメの装飾体の周縁上に結束用紐が覆い被さることがないので、結束用紐が他物と接触しがたくなり、不慮の外力の作用を受けにくく、結束用紐を長期に亘って使用することができる。
更に、ハトメの装飾体の周縁上に結束用紐が覆い被さることがないことから、周壁の上面に形成される意匠が結束用紐で隠されることがなく、意匠の創作による効果を得ることができる。
また、周壁の一部に結束用紐の幅に応じた幅の切欠部を形成したことによって、紐の向きを一定に位置決めすることができることから、ハトメの取り付ける向きを設定することで、取付対象物品に対する結束用紐の外観上のレイアウトを自由に設定することができ、取付対象物品の意匠性を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明における切欠部の構成を、結束用紐の幅寸法と厚み寸法を確保したスリットとしたことによって、結束用紐をスリットに押し込むことによって簡単に装着することができるため、上記請求項1に係る発明の効果に加えて、利便性を向上させることができる。
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る発明における切欠部の構成を、結束用紐の幅寸法と厚み寸法を確保した貫通穴と該貫通穴の上部から周壁の上端まで結束用紐の厚み寸法を確保した幅で連続した開口部とを備える構成としたことによって、結束用紐の側面側を開口部へ進入させて貫通穴へ結束用紐を導入するため、一旦結束用紐を貫通穴内に導入すると、開口部から結束用紐が容易には離脱しないため、不慮の結束用紐の外れを防止することができる。
請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明における切欠部の構成を、切欠部は結束用紐の幅寸法と厚み寸法を確保した貫通穴を形成した構成としたことから、周壁上面に切欠部が形成されないため全体に意匠を形成することができるとともに、ハトメから結束用紐が外れることがない。
また、請求項5に係る発明によれば、一のハトメに複数の形状を有する切欠部を形成することによって、意匠性の変更等に最適な切欠部を選択し、或いは使用状況に応じた機能的な切欠部を選択することができ、使用者の利便性向上に資することができる。
請求項6に係る発明によれば、上記請求項1乃至請求項5に係る発明の構成に加えて、ハトメ基体側にハトメ基体側意匠形成部を設けたことによって、取付対象生地の表面側、裏面側の双方において、意匠による美感を起こさせることができるため、請求項1乃至請求項5に係る発明の機能性を確保した上で、外観体裁をより一層良好とすることができる。
結束用紐を通すための中央穴と相互の係着部を夫々有する装飾体とハトメ基体からなり、前記係着部で取付対象生地を貫通挟持して一体となるハトメにおいて、装飾体は、筒状の周壁の内側縁に前記係着部を備え、該周壁の一部に結束用紐の幅寸法に対応した幅寸法の切欠部を形成し、該切欠部は、結束用紐の幅寸法と厚み寸法を確保した貫通穴を備えるハトメとしたことによって、取付対象生地の裏面側から中央穴を通して表面側に露呈する結束用紐が、前記周壁の一部に形成した切欠部に嵌り込み、切欠部における内壁が結束用紐との間に摩擦抵抗を生ずること、及び、切欠部における内壁が、結束用紐の周方向への移動を直接結束用紐に当接することで結束用紐のずれや緩みを防止すること等によって、結束用紐の磨耗を防止し、結束用紐が表面側に施された意匠を隠すことなく、紐の向きを一定に位置決めすることのできる優れたハトメを実現した。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図、図2は同実施例1に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)A−A断面図、(ハ)正面図(背面図、右側面図、左側面図は同一につき省略する。)、図3は同実施例1に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、及び、(ロ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図、(ハ)結束用紐を通した状態を示す一部断面説明図である。
本発明の実施例1に係るハトメ1は、金属製の装飾体2と金属製のハトメ基体3からなるものであり、前記装飾体2及びハトメ基体3を、相互の係着部で取付対象生地40を貫通挟持して一体とするものである。
本実施例1に係る装飾体2は、結束用紐5を通すための中央穴2(装飾体側中央穴20)を形成する筒状の周壁22を有し、該周壁22の下端側の内側縁から内側へ係着部21を延設している。
前記周壁22のうち、開口部222は平面視において円形輪郭の中心を軸として90度間隔で四箇所にスリット状の切欠部220を形成している。切欠部220は、使用する結束用紐5の幅寸法waと同じ幅寸法wb、及び使用する結束用紐5の厚み寸法taより僅かに大きい高さ寸法hbで形成してある。
また、装飾体2の周壁22の上面(開口部222を形成した部分を除く)は、意匠を形成するための意匠形成部23としている。
ハトメ基体3の構成は、従来のハトメにおいて用いられる公知の構成である。具体的には図17に示すように、平面視円形状の外径輪郭を有する板状体31の中央に、中央穴(基体側中央穴32)と筒状の係合脚30を有するものである。ハトメ基体3を前記装飾体2の下方に位置させ、装飾体2とともに取付対象物4の取付対象生地40を挟持貫通して、装飾体2の係着部21に対してハトメ基体3の係着部である係合脚30の先端側をかしめ止めすることによって、離脱不能な状態で係着するものである。
取付対象生地40の下方に位置するハトメ基体3の係合脚30で前記取付対象生地40を貫いて、装飾体2の係着部21に対して前記ハトメ基体3の係合脚30をかしめ止めすることで、ハトメ基体3と装飾体2は一体となり取付対象生地40に取着される。尚、装飾体とハトメ基体を一体とすることで、取付対象生地40におけるハトメの中央部に対応する位置には生地穴部が形成される。
本実施例1に係るハトメ1によれば、周壁22のうち、開口部222は平面視において円形輪郭の中心を軸として90度間隔で四箇所にスリット状の切欠部220を形成したことから、基体側中央穴32及び装飾体側中央穴20で構成される中央穴を通した結束用紐5を、開口部23上に載せるだけで、容易に結束用紐5を保持させることができ、取付対象物品に装着した際の利便性を著しく向上させることができる。
尚、本実施例1におけるスリット状の切欠部220は、開口部222の幅寸法と切欠部下端の幅寸法を同じ寸法で形成しているが、これらの幅寸法を異なる大きさとすることもできる。開口部の幅寸法を切欠部下端の幅寸法よりも大きくしたときは、結束用紐5を切欠部220へ案内しやすくなる利点が得られる。また、切欠部下端の幅寸法を開口部の幅寸法よりも大きくしたときは、上部に形成される意匠形成部23をより大きくすることができ、開口部222を相対的に小さくすることで、結束用紐5の不慮の離脱を防止しやすくなる。
(実施例2)
次に本発明の実施例2に係るハトメ1を示す。図4は本発明の実施例2に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図、図5は同実施例2に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)、(ハ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)、図6は同実施例2に係るハトメ1の装飾体2における(イ)B−B断面図、(ロ)底面図、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。
本実施例2に係るハトメ1は、金属製の装飾体2と金属製のハトメ基体3からなり、前記装飾体2及びハトメ基体3を、相互の係着部で取付対象生地40を貫通挟持して一体となり、装飾体2は結束用紐5を通すための中央穴2(装飾体側中央穴20)を形成する筒状の周壁22を有し、該周壁22の下端側の内側縁から内側へ係着部21を延設している点で、実施例1に係る装飾体2と共通する。
また、本発明の実施例2に係るハトメ基体3の構成は、実施例1に係るハトメ基体3の構成と同様である。具体的には、平面視円形状の外径輪郭を有する板状体で、中央に基体側中央穴32と筒状の係合脚30を有するものである。ハトメ基体3を前記装飾体2の下方に位置させ、装飾体2とともに取付対象物4の取付対象生地40を挟持貫通して、装飾体2の係着部21に対してハトメ基体3の係合脚30をかしめ止めすることによって、離脱不能な状態で係着するものである。
本実施例2に係るハトメ1における装飾体2の切欠部220は、結束用紐5の幅寸法waと厚み寸法taを確保した右幅寸法wb及び高さ寸法hbの長穴形状輪郭を有する貫通穴221を、周壁22の対向する二箇所に形成し、夫々の貫通穴221の上部中央位置から周壁22の上端まで結束用紐5の厚み寸法waを確保した一定の幅寸法wcで連続する開口部222を形成している。
当該構成としたことによって、結束用紐5の側面側を開口部222へ進入させて貫通穴221へ結束用紐5を導入することができる。貫通穴221の周縁部と結束用紐5が当接することで、結束用紐5のずれを防止することができる。
また、一旦結束用紐5を貫通穴221内に導入すると、結束用紐5の左右両側の側端が貫通穴221内に入り込み、開口部222へ結束用紐5の左右両端が案内されることがないことから、結束用紐5が容易には貫通穴221内から離脱しないため、不慮の結束用紐5の外れを防止することができる。
(実施例3)
図7は本発明の実施例3に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図、図8は同実施例3に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図、(ハ)背面図、(ニ)C−C断面図、図9は同実施例3に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、(ロ)右側面図(左側面図は対称につき省略する。)及び、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。
本発明の実施例3に係るハトメ1は、実施例2における構成と略共通するものであるが、装飾体2の切欠部220の構成が相違するものである。その他の構成は、前記した実施例2と共通する。
本実施例3に係るハトメ1における装飾体2における切欠部220は、結束用紐5の幅寸法waと厚み寸法taを確保した幅寸法wb及び高さ寸法hbの長穴形状輪郭を有する貫通穴221を、周壁22の対向する二箇所に形成し、夫々の貫通穴221の上部一端から周壁22の上端まで結束用紐5の厚み寸法waを確保した一定の幅寸法wcで連続した開口部222を形成している。
本実施例3に係るハトメ1によれば、開口部222が貫通穴221の一端へ連続しているため、結束用紐5の側端の一方から開口部222へ進入させるのみで、貫通穴221へ結束用紐5を導入することができ、実施例2に係るハトメ1よりも更に円滑に結束用紐5を貫通穴221へ導入することができる。また、結束用紐5の左右両端は貫通穴221によってガイドされることから、不用意に貫通穴221内から結束用紐5が離脱することを防止することができる。
(実施例4)
次に、実施例4に係るハトメ1について示す。図10は本発明の実施例4に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図、図11は同実施例4に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)、(ハ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)、図12は同実施例4に係るハトメ1における装飾体2の(イ)D−D断面図、(ロ)底面図、及び、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。
本発明の実施例4に係るハトメ1は、実施例1、実施例2及び実施例3における構成と略共通するものであるが、装飾体2の切欠部220の構成が相違するものである。その他の構成は、前記した実施例2、3と共通する。
本実施例4に係るハトメ1における装飾体2における切欠部220は、結束用紐5の幅寸法waと厚み寸法taを確保した幅寸法wb及び高さ寸法hbの長穴形状輪郭を有する貫通穴221を、周壁22の対向する二箇所に形成した構成である。即ち、実施例2及び実施例3に係る発明に開示された開口部222を形成しない構成である。
このため、本実施例4に係るハトメ1の装飾体2は、側壁上面の全周囲に亘って、意匠を形成することができる構成である。また、開口部222を有しない構成であるため、結束用紐5が不用意に装飾体2から離脱する虞を完全になくすことができるものである。
(実施例5)
次に、実施例5に係るハトメ1について示す。図13は本発明の実施例5に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図、図14は同実施例5に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)、E−E断面図、図15は同実施例5に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、(ロ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)、及び、F−F断面図、図16は同実施例5に係る装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。
本実施例5に係るハトメ1は、実施例1に開示した切欠部220と、実施例2に開示した切欠部220の双方を備えた構成である。即ち、切欠部220は平面視において円形輪郭の中心を軸として90度間隔で四箇所に切欠部220を形成している。そして、相互に対向する二箇所の切欠部220は、結束用紐5の幅寸法waに対応する幅寸法wbで、且つ、結束用紐5の厚み寸法ta以上の高さ寸法hbとなるスリット形状の切欠部220とし、それ以外の相互に対向する二箇所の切欠部220は、結束用紐5の幅寸法waと厚み寸法taを確保した幅寸法wd及び高さ寸法hdの長穴形状輪郭を有する貫通穴221の上部中央位置から周壁22の上端まで結束用紐5の厚み寸法waを確保した一定の幅寸法wcで連続した開口部222を形成した切欠部220としている。
(実施例6)
本実施例6に係るハトメ1は、実施例1の変形例であって、図19に示すように、意匠形成部23と切欠部220を連続した曲面として、装飾体2の上部全体を波型形状としたものである。曲面のうち上方へ突出する部分が意匠形成部23となり、曲面の意匠形成部23以外の部分が切欠部220となる。
他の構成については、実施例1と共通し、結束用紐のずれや緩みを防止すること等によって、結束用紐の磨耗を防止し、結束用紐が表面側に施された意匠を隠すことなく、紐の向きを一定に位置決めすることができる利点を有する。
(実施例7)
本発明の実施例7に係るハトメ1は、基本構成として、上記実施例1乃至実施例6と係合部について相違する。実施例7に係るハトメの装飾体は、図20、図21及び図23に示すように、係着部として係合脚を備えるものである。具体的には、底面のうち装飾体側中央穴の周縁から下方へ円筒状の係合脚を形成した構成である。
そしてハトメ基体は図20、図22及び図23に示すように、前記装飾体の係合脚が変形して当接する係着部を底面(外部に露呈する面)側の基体側中央穴の周縁に薄厚部として形成している。当該構成とすることによって、かしめられた係合脚が装飾体に対して裏面側に位置することから、かしめ脚が外部(装飾体側)に露呈せず、外観体裁をより良好とすることができる。
次に本発明における使用形態について説明する。本発明の実施例4(前記図10乃至図12参照。)に係るハトメ1を取付対象物4となる半ズボンに適用した例を図24(イ)に示す。ハトメ1は半ズボンにおける前部取付対象生地の左右に設けている。結束用紐5は、夫々ハトメの中央穴を連通し両端を外へ出した状態としている。
一方のハトメと結束用紐の一端との関係について、図24(ロ)(ハ)に示す。結束用紐5は裏面側から中央穴(基体側中央穴)を通り、装飾体2の切欠部である貫通穴を通って外部へ導出される。貫通穴221の高さ寸法hbと幅寸法wbは、結束用紐5の厚み寸法ta及び幅寸法waと一致しているため、相互の摩擦抵抗によって貫通穴221によって結束用紐5のずれを防止することができる。
図24(イ)においては、結束用紐5の両端を結んでいないが、結束用紐5の両端を結んで使用することもできる。結束用紐5の両端を結ぶことで、結束用紐5のずれにより不慮に結び目が解かれる虞をなくすことができる。
また、本発明の他の使用形態について、図25の斜視図に示す。図25は本発明の実施例2に係るハトメを取付対象物である靴に適用した例を示すものである。ハトメに形成した切欠部によって、結束用紐である靴紐は所定方向にガイドされ、周方向へのずれを生じず、また切欠部の幅寸法wbと高さ寸法hbが結束用紐の幅寸法wa及び厚み寸法taと一致していることによって靴紐の引張方向へのずれや緩みを招来し難い構成としている。
尚、本使用形態においては、実施例2に係るハトメのような切欠部を二箇所に設けたものに限らず、一箇所のみに設けたものを利用することもできる。
本発明におけるハトメ1は上記実施例に限るものではない。例えば、装飾体2に形成される切欠部220は一箇所以上であれば何箇所とすることもできる。また、平面視において装飾体側中央穴20を軸中心として90°(0.5πラジアン)間隔とするものに限らず、120°等のように複数等分間隔位置に配置したり、或いは平面視において装飾体側中央穴20を軸中心として不等間隔で配置することもできる。
また、切欠部220の幅寸法wbが結束用紐5の幅寸法waよりも小さくても、結束用紐5の可撓性、伸縮性等を利用して結束用紐5を切欠部220に通すことができればよい。開口部222を形成するものであれば、開口部222の大きさは特に限定するものではない。
更に、複数の切欠部220の形状を一つの装飾体2に使用する点については、実施例5に係る切欠部220に限らず、他の実施例に開示した形状の切欠部220を使用することもできる。
また、本発明に於いては、切欠部220を一つのハトメ1当たり二箇所以上に設けることによって、例えば図26(イ)(ロ)に示すように、一つのハトメ1の複数の切欠部220上を連続して結束用紐5を通し、意匠性を向上させる手段として利用することができる。
当該意匠性を向上させる手段として利用することについては、切欠部220の形状は本発明の各実施例に示したものに限らず、それらを組み合わせたもの等を用いることができる。
更に本発明においては、装飾体の意匠形成面のみならず、ハトメ基体の底面33も装飾効果を有するハトメ基体側意匠形成部として利用することができる。当該構成とすることによって、取付対象生地の表面側、裏面側の双方において、意匠による美感を起こさせることができる。
本発明の実施例1に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)A−A断面図、(ハ)正面図(背面図、右側面図、左側面図は同一につき省略する。)である。 本発明の実施例1に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、及び、(ロ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図、(ハ)結束用紐を通した状態を示す一部断面説明図である。 本発明の実施例2に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例2に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)(ハ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)である。 本発明の実施例2に係るハトメ1の装飾体2における(イ)B−B断面図、(ロ)底面図、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。 本発明の実施例3に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例3に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図、(ハ)背面図、(ニ)C−C断面図である。 本発明の実施例3に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、(ロ)右側面図(左側面図は対称につき省略する。)及び、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。 本発明の実施例4に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例4に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)、(ハ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)である。 本発明の実施例4に係るハトメ1における装飾体2の(イ)D−D断面図、(ロ)底面図、及び、(ハ)装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。 本発明の実施例5に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例5に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)正面図(背面図は同一につき省略する。)、E−E断面図である。 本発明の実施例5に係るハトメ1における装飾体2の(イ)底面図、(ロ)右側面図(左側面図は同一につき省略する。)、及び(ハ)F−F断面図である。 本発明の実施例5に係るハトメにおける装飾体2とハトメ基体3とを係着した状態を示す説明断面図である。 本発明の実施例1乃至実施例6に用いたハトメ基体の(イ)正面図(背面図、右側面図、左側面図は同一につき省略。)、平面図、底面図、G−G断面図である。 本発明の実施例6に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例6に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)底面図、(ハ)正面図(背面図、右側面図、左側面図は同一につき省略する。)、(ニ)N−N断面図である。 本発明の実施例7に係るハトメ1における装飾体2とハトメ基体3を示す斜視図である。 本発明の実施例7に係るハトメ1における装飾体2の(イ)平面図、(ロ)底面図、(ハ)L−L断面図、(ニ)正面図(背面図、右側面図、左側面図は同一につき省略する。)である。 本発明の実施例7に係るハトメ基体3の(イ)平面図、(ロ)底面図、(ハ)正面図(背面図、右側面図及び左側面図は同一につき省略。)、(ニ)M−M断面図である。 本発明の実施例7に係るハトメ1の取付対象生地に対する(イ)取付前の構成、(ロ)取付状態を示す縦断面説明図である。 本発明の実施例4に係るハトメを取付対象物となる半ズボンに適用した形態を示す(イ)正面図、(ロ)そのH−H断面図、(ハ)平面図を示すものである。 本発明の実施例4に係る複数のハトメの複数の切欠部220に連続して結束用紐5を通した状態を示す斜視図である。 本発明の実施例4に係る複数のハトメの複数の切欠部220に連続して結束用紐5を通した状態を示す(イ)平面図、(ロ)J−J断面図である。 従来のハトメを取付対象生地に固着し、結束用紐を中央穴に通した状態を示す参考断面図である。
符号の説明
1 ハトメ
2 装飾体
20 装飾体側中央穴
21 係着部
21A 係着部(係合脚)
22 周壁
220 切欠部
221 貫通穴
222 開口部
23 意匠形成部
3 ハトメ基体
30 係着部(係合脚)
30A 係着部
31 板状体
32 基体側中央穴
33 底面
4 取付対象物
40 取付対象生地
5 結束用紐
ta 厚み寸法(結束用紐)
wa 幅寸法(結束用紐)
hb 高さ寸法(切欠部又は貫通穴)
wb 幅寸法(切欠部又は貫通穴)
wc 幅寸法(開口部)

Claims (6)

  1. 結束用紐を通すための中央穴と相互に係合する係着部を夫々有する装飾体及びハトメ基体を備え、前記係着部で取付対象生地を貫通挟持して一体となるハトメにおいて、
    装飾体は、筒状の周壁の一部に結束用紐の幅寸法に対応した幅寸法の切欠部を形成したことを特徴とするハトメ。
  2. 切欠部は、結束用紐の幅寸法と厚み寸法に対応したスリットとしたことを特徴とする請求項1記載のハトメ。
  3. 切欠部は、結束用紐の幅寸法と厚み寸法に対応した貫通穴と該貫通穴の上部から周壁の上端まで結束用紐の厚み寸法を確保した幅寸法で連続した開口部とを備えることを特徴とする請求項1記載のハトメ。
  4. 切欠部は、結束用紐の幅寸法と厚み寸法に対応した貫通穴を形成したことを特徴とする請求項1記載のハトメ。
  5. 切欠部の構成が、請求項2乃至請求項4記載の切欠部の構成のうち、二種以上の切欠部を有することを特徴とする請求項1記載のハトメ。
  6. ハトメ基体の底面にハトメ基体側意匠形成部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のハトメ。
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