JP4596985B2 - 多孔性物質およびその製造方法 - Google Patents

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本発明はガス吸蔵材料、触媒担体などとして有用な多孔性物質およびその製造方法に関する。
ゼオライト、シリカ、アルミナを始めとする金属酸化物や活性炭などの多孔性物質は触媒、触媒担体、吸着剤など、様々な工業的価値を有する。特に、高度に細孔の発達した材料は、反応や吸着における選択性が高いこと、触媒担体として用いた場合、触媒活性種の分散性が高いことなどが知られており、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、窒化ホウ素ナノチューブなどが注目されている。しかしながら、これらの物質は大きなスケールでの製造が困難であり、工業的に安価に提供することには限界がある。
一方、多孔性物質の将来的に重要な用途として水素やメタンの貯蔵、輸送への応用がある。この中でも特に水素の貯蔵、輸送は技術的に困難であるが非常に重要である。
水素は石油精製、化学産業などをはじめとしてあらゆる産業分野において広く用いられているが、特に近年、将来のエネルギーとして注目されてきており、燃料電池を中心に研究が進められている。しかし、水素ガスは熱量あたりの体積が大きく、また液化に必要なエネルギーも大きいため、そのまま貯蔵、輸送することは難しいという問題がある(例えば、非特許文献1参照。)。従って、燃料電池自動車のような移動体および分散電源として燃料電池を用いる場合など、水素を効率的に輸送し貯蔵する技術が求められていた。
この方法として、水素を液体水素として貯蔵・運搬し使用する方法が提案されているが、液化温度が−253℃という極低温であるため取り扱いにくい、液化に必要なエネルギーが膨大でありトータルとしてのエネルギー効率が低いという問題がある(例えば、非特許文献2参照。)。
これに対し、水素を高圧ガスとして運搬し使用する方法が実用化されている。しかし、この方法は危険な高圧ガスを取り扱うこと、35MPaなどのきわめて高圧にしても体積が過大になり小型化が困難なことなどの問題がある(例えば、非特許文献3参照。)。
水素吸蔵合金への吸蔵も有力な方法である。しかし、水素吸蔵量は通常3%程度であり、移動体などに用いるためには不十分であるばかりか重量が重くなりすぎる。さらに、水素放出時に多くの熱が必要であるためエネルギー効率が低くなる、システムが複雑になるなどの欠点を有している(例えば、非特許文献4参照。)。
一方、水素ガスをコンパクトに運搬する技術として水素吸蔵材料の利用が考えられている。この技術は、水素放出が常温で可能であるのでシステムがシンプルである上、一般に水素放出に熱を必要とせずエネルギー効率が高いなどの特徴があるため、材料の開発が盛んになされている。その中で、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどの材料が高い吸蔵量を示すとの報告があるが(例えば、非特許文献5参照。)、再現性が疑問視されており、十分な再現性を持ちながら高い吸蔵性能を持つ水素吸蔵材料の開発は未だ実現したとは言えない状況である。
したがって、高い吸蔵性能を持つ材料の開発が求められており、高い吸蔵能を持つ材料として、水素と同レベルのサイズの細孔を持つ材料が検討されている。その例が前述のカーボンナノチューブやカーボンナノファイバーであるが、その他に炭素系を中心として様々な材料が試みられている。また、カーボン以外の材料として、窒化ホウ素ナノチューブ(非特許文献6)や多孔性錯体(非特許文献7)などが報告されている。しかし、一部に高い吸蔵量を示す材料の報告があるものの信頼に足り得るデータとは言えないのが現状である。
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本発明は、軽量で、高度に細孔構造が発達した、特にガス吸蔵能に優れた多孔性物質の製造方法を提供するものであり、また大きなスケールでの製造が可能な多孔性物質の製造方法を提供するものである。
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、高表面積物質の存在下に、アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物を脱水素反応により重合させて多孔性物質を製造することにより前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、高表面積物質の存在下に、アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物を脱水素反応させることを特徴とする多孔性物質の製造方法に関する。
また、本発明は、高表面積物質が多孔質炭素材料であることを特徴とする前記記載の多孔性物質の製造方法に関する。
また、本発明は、前記アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物が、有機化合物の骨格にアミン・ボランアダクト構造を3個以上持つ化合物を含有することを特徴とする前記記載の多孔性物質の製造方法に関する。
また、本発明は、アミン・ボランアダクト構造が下記一般式(1)または一般式(2)で示される構造であることを特徴とする前記記載の多孔性物質の製造方法に関する。
−NHR・BHR (1)
−NHR・BH=R (2)
(式中、R、RおよびRは、それぞれ個別に、水素原子あるいは炭素数1〜10の炭化水素基を表わし、Rは炭素数4〜15の炭化水素基であって、その両端がホウ素原子に結合している基を表わす。)
また、本発明は、高表面積物質に対して、アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物の割合が0.1〜200質量%であることを特徴とする前記記載の多孔性物質の製造方法に関する。
また、本発明は、前記記載の方法により製造される多孔性物質に関する。
また、本発明は、ガス吸蔵用として使用することを特徴とする前記記載の多孔性物質に関する。
また、本発明は、前記記載の多孔性物質を使用することを特徴とするガスの吸蔵方法に関する。
以下、本発明を詳述する。
本発明において、多孔性物質の原料の1つとして用いられるアミン・ボランアダクト構造を持つ化合物とは、1分子中に少なくとも1個のアミン・ボランアダクト構造を有する化合物である(以下、アミン・ボランアダクト化合物もしくは単にアダクト化合物ともいう。)。特に、1分子中にアミン・ボランアダクト構造を3個以上持つ化合物が好ましく、さらに好ましくは有機化合物から成る骨格にアミン・ボランアダクト構造が1分子に3個以上結合した化合物であり、またさらに好ましくは芳香族からなる骨格にアミン・ボランアダクト構造が1分子に3個以上結合した化合物である
アミン・ボランアダクト化合物で最も簡単な化合物は下記で示されるアンモニアとボランからなる化合物である。
NH・BH
この化合物は、アンモニアの窒素原子上の不対電子がホウ素の空軌道と相互作用してなる一種の錯化合物であり、式中の・はそういった錯結合を意味するが、一般に常温で安定に存在できる。
本発明でいうアミン・ボランアダクト構造とは、下記式(4)あるいは下記式(4)における水素のいずれかが炭化水素基で置換された構造のものであり、好ましくは窒素上の水素が置換されたものである。
−NH・BH(4)
式(4)における水素のいずれかが炭化水素基で置換された構造のものとしては、例えば下記一般式(1)または一般式(2)で示される構造が挙げられる。
−NHR・BHR (1)
−NHR・BH=R (2)
(式中、R、RおよびRは、それぞれ個別に、水素原子あるいは炭素数1〜10の炭化水素基を表わし、Rは炭素数4〜15の炭化水素基であって、その両端がホウ素原子に結合している基を表わす。)
アミン・ボランアダクト構造の具体例としては、−NH・BH、−NH(CH)・BH、−NH(C)・BH、−NH(C)・BH、−NH(C)・BH、−NH・BH(CH)、−NH・BH(C)、−NH・BH(C)、−NH・BH(C)、−NH・BH(CH、−NH・BH(C、−NH・BH(C、−NH・BH(C、−NH・BH(−C−)、−NH・BH(−C10−)などを例示することができるが、−NH・BHが最も好ましく使用される。
アミン・ボランアダクト化合物としては、例えば、CHNH・BH、CNH・BHなどのような1分子中にアミン・ボランアダクト構造を1個有する化合物、CH(NH・BH、C(NH・BHなどのような1分子中にアミン・ボランアダクト構造を2個有する化合物を挙げることができるが、化合物分子の骨格に、アミン・ボランアダクト構造が3個以上結合した化合物が特に好ましい。
アミン・ボランアダクト構造を1分子に3個以上持つ化合物は、下記一般式(3)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 0004596985
一般式(3)においては1個の骨格にアミン・ボランアダクト構造が3個結合しているが、4個以上結合しているものを用いてもなんら差し支えない。
一般式(3)における骨格とは、アミン・ボランアダクト構造を3個以上結合可能な化合物の骨格を指し、一般に水素原子を3個以上含む化合物の骨格であり、アミン・ボランアダクト構造は該水素原子に置き換わる形で該骨格に結合する。具体的には、有機化合物骨格あるいは無機化合物骨格、金属錯体骨格のような有機化合物と無機化合物の複合体骨格が採用できるが、有機化合物骨格が好ましく、芳香族化合物骨格がより好ましい。
以下に、有機化合物骨格の例を具体的に示すが、アミン・ボランアダクト構造は骨格の基となる有機化合物中の何れの水素と置き換わっても良い。また、骨格として、例示したものの水素の一部がメチル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
好ましい有機化合物の骨格としては、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの直鎖炭化水素の骨格、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタンなどの分岐炭化水素の骨格、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環族の骨格、オキセタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの飽和ヘテロ環の骨格、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、フェナントレン、テトラリン、アントラセン、ピレン、トリフェニレンなどの芳香族の骨格、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾフラン、インドール、キノリン、イソキノリンなどのヘテロ芳香族の骨格などが例示される。この中でも、芳香族およびヘテロ芳香族の骨格が最も好ましく使用される。
本発明で用いられるアミン・ボランアダクト構造を1分子に2個もしくは3個以上持つアミン・ボランアダクト化合物は、化合物中のアミン・ボランアダクト構造の全部あるいは一部が同じ構造のものでも良いし、その全てが異なるものであっても良い。
アミン・ボランアダクト構造を1分子に3個持つアミン・ボランアダクト化合物としては、具体的には下記のものを挙げることができる。
Figure 0004596985
本発明において、アミン・ボランアダクト化合物は単品を用いることもできるが、これらの混合物を用いることもできる。例えば、アミン・ボランアダクト構造を1分子に1個〜2個持つ化合物とアミン・ボランアダクト構造を1分子に3個以上持つ化合物を混合させて用いることができる。この場合、反応に用いるアミン・ボランアダクト化合物中におけるアミン・ボランアダクト構造を1分子に1個〜2個持つ化合物の含有割合は、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下であることが望ましい。
本発明で用いられるアミン・ボランアダクト化合物の製造法については特に制限はないが、一般にアミノ基を持つ化合物(以後、アミン化合物という。)に、ジボラン、ボランテトラヒドロフラン錯体、ボランジメチルスルフィド錯体、ボラントリエチルアミン錯体、メチルボランなどのボラン化合物を反応させることにより得ることができる。ここで、アミン化合物として、アミン塩酸塩、アミン硫酸塩などのような塩を使用し、ボラン化合物として、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどを用いて製造することもできる。
該アミン・ボランアダクト化合物は、前記アミン化合物あるいはその塩に対してアミノ基と等量の前記ボラン化合物を反応させて得ることができる。
一般にボラン化合物に含まれるホウ素原子数総量とアミン化合物に含まれるアミノ基数総量はほぼ等しくなるように原料比は決定され、これを基準量とするが、ホウ素原子数総量あるいはアミノ基数総量のどちらかが他方より多くなることもできる。この場合、ホウ素原子数総量が多い場合はアミノ基数総量の基準量の2倍以下、好ましくは1.5倍以下、アミノ基数総量が多い場合は基準量の1.5倍以下、好ましくは1.2倍以下の範囲で調整される。
本発明に用いることができるアミン化合物としては、例えば、アニリン、アミノピリジン、アミノピリダジン、アミノピリミジン、アミノピラジンなどのアミノ基を1分子に1個持つ化合物、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノピリジン、ジアミノピリダジン、ジアミノピリミジン、ジアミノピラジンなどのアミノ基を1分子に2個持つ化合物などを用いることができるが、好ましくは、トリアミノベンゼン、トリアミノピリジン、トリアミノピリミジン、メラミン、テトラアミノベンゼン、トリアミノナフタレン、テトラアミノナフタレンなどのアミノ基を1分子に3個持つ化合物を挙げることができる。これらの中でも、1,3,5−トリアミノベンゼン、2,4,6−トリアミノピリミジン、メラミンなどアミノ基を1分子に3個以上持つ化合物が特に好ましく使用できる。
本発明に用いられるもう1つの原料は高表面積物質である。高表面積物質の例としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、ジルコニアなどの無機多孔性物質、文献(Kitagawaら,Angew.Chem.Int.Ed.43,2334−2357(2004))に述べられているような多孔性錯体、窒化ホウ素ナノチューブ、あるいはカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、活性炭素繊維、カーボンエアロゲル、単層カーボンナノチューブ、複層カーボンナノチューブ、黒鉛層間化合物などの多孔質炭素材料を挙げることができる。本発明によれば、これらの高表面積物質の特性、特に水素などのガス吸着特性を簡便な処理で大きく向上することができる。その中でも、安価で大量に入手できる多孔質炭素材料の吸着特性を向上できることは工業的に非常に重要である。
これらの高表面積物質の比表面積は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上であり、特に多孔質炭素材料を用いる場合にはその比表面積は、通常400〜3500m/g、好ましくは800〜3500m/g、より好ましくは900〜3500m/gの範囲にあることが望ましい。上記の範囲に満たないときは、吸着サイトが減少するため好ましくない。また比表面積は大きいほど良いが、通常は上記の範囲を超える多孔質炭素材料吸着材はほとんど入手できず、工業的に不利となる。本発明において、多孔質炭素材料吸着材の平均細孔直径および比表面積の測定は、ガス吸着法、特に窒素ガスによるBETガス吸着法により行う。
本発明における高表面積物質とアダクト化合物の混合割合は、通常、高表面積物質に対して、アダクト化合物を0.1〜200質量%、好ましくは0.5〜100質量%、さらに好ましくは1〜50質量%の割合である。アダクト化合物の量が上記範囲より少ない場合には、高表面積物質の吸着特性の向上効果は不十分である。一方、アダクト化合物の量が上記範囲より多い場合には、アダクト化合物を必要以上に使用することとなり経済的ではない。
本発明では、高表面積物質の存在下に上記アミン・ボランアダクト化合物を脱水素反応することにより、高表面積物質の表面上にアダクト化合物重合体の構造を形成させて多孔性物質を製造する。
具体的には、アミン・ボランアダクト化合物と高表面積物質を混合した後、該アミン・ボランアダクト化合物を脱水素反応させても良いし、あるいはアミン化合物の溶液に高表面積物質を添加した系に、ボラン化合物を滴下してアミン・ボランアダクト化合物を生成させて、次いで脱水素反応を行っても良い。
アミン・ボランアダクト化合物の脱水素反応は公知の方法を採用することができる。例えば、該アミン・ボランアダクト化合物を加熱することで脱水素反応を進行させることができる。この時、反応温度は、通常、室温〜400℃、好ましくは50〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃で行うことができる。該脱水素反応はアダクト化合物の架橋重合を伴い、生成物も架橋重合体となる。
本発明の脱水素反応では、触媒の非存在下に行っても良いが、触媒の存在下に行うこともできる。この時用いられる触媒としては、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用できる。均一系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの周期律表第VIII族金属あるいはその錯体を挙げることができる。不均一系触媒としては、ゼオライト、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、カルシアなどの金属酸化物あるいはこれらの金属酸化物に前記金属あるいは錯体を担持したものが使用可能である。
脱水素反応は溶媒無しでも実施できるが、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、1−メチル−2−ピロリドンなど)の存在下に実施しても良い。また、溶媒中にアダクト化合物と高表面積物質を添加し、次いで溶媒を留去してアダクト化合物の薄膜を高表面積物質の表面に作成した後、脱水素反応を行うことも好ましく採用される。
また脱水素反応は、常圧、減圧、加圧の何れの圧力条件下でも実施することができ、また、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下あるいは水素雰囲気下において実施することができる。
脱水素反応後、生成した多孔性物質から溶媒など揮発性成分を除去した後、さらに高温で焼成処理することも可能である。この時の焼成の温度は特に限定されないが、通常200℃〜1000℃、好ましくは300℃〜800℃で実施される。この時も、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、あるいは水素雰囲気下で実施されることが好ましい。
高表面積物質と、工業的に入手容易なボラン化合物とアミン化合物から合成できるアミン・ボランアダクト化合物を混合した後、該アダクト化合物を脱水素反応させるという簡便な方法により、軽量で、高度に細孔構造が発達した、特にガス吸蔵能に優れた多孔性物質を製造することができる。
以下、実施例を挙げ本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
1,3,5−トリアミノベンゼン2.46gおよびテトラヒドロフラン(脱水)500mLを混合し、窒素気流下で80℃に加熱して溶解した後、活性炭(マックスソーブ、関西熱化学(株)製、比表面積2920m/g)50gを添加した。次に溶液を室温まで冷却した後、溶液を撹拌しながら、1.0M ボランテトラヒドロフラン錯体60mLを徐々に滴下した。室温で1時間攪拌を続けた後、反応溶液を80℃まで昇温した。同温度で2時間攪拌した後、反応液を吸引ろ過して沈殿物を採取し、100℃で5時間、真空加熱乾燥した。
次に、前記生成物を、窒素気流下で600℃、2時間焼成して多孔性物質を得た。
この多孔性物質の水素吸蔵能を容量法で評価した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.68質量%の水素を吸蔵した。
<比較例1>
実施例1で用いた活性炭の水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.38質量%の水素しか吸蔵しなかった。
<実施例2>
1,3,5−トリアミノベンゼン2.46gとテトラヒドロフラン(脱水)500mLを混合し、窒素気流下で80℃に加熱して溶解した後、活性炭(マックスソーブ、関西熱化学(株)製、比表面積2920m/g)50gを添加した。次に溶液を室温まで冷却した後、溶液を撹拌しながら、1.0M ボランテトラヒドロフラン錯体60mLを徐々に滴下した。室温で1時間攪拌を続けた後、溶液を室温に保ちながら真空下において溶媒を留去した。こうして得られた残渣を100℃で5時間真空下加熱した。
次に、前記生成物を、窒素気流下で600℃、2時間焼成して多孔性物質を得た。
この多孔性物質の水素吸蔵能を容量法で評価した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.81質量%の水素を吸蔵した。
<実施例3>
2,4,6−トリアミノピリミジン0.6g、1−メチル−2−ピロリドン(脱水)200mLを混合し、窒素気流下で80℃に加熱して溶解した後、活性炭(マックスソーブ、関西熱化学(株)製、比表面積2920m/g)20gを添加した。次に溶液を室温まで冷却した後、溶液を撹拌しながら、1.0M ボランテトラヒドロフラン錯体30mLを徐々に滴下した。室温で2時間攪拌を続けた後、反応溶液を80℃まで昇温して2時間攪拌し反応させた。反応液を吸引ろ過して沈殿物を採取し、100℃で8時間、真空加熱乾燥した。
次に、前記生成物を、窒素気流下で600℃、2時間焼成して多孔性物質を得た。
この多孔性物質の水素吸蔵能を容量法で評価した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.56質量%の水素を吸蔵した。

Claims (8)

  1. 比表面積が50m /g以上の高表面積物質の存在下に、有機化合物からなる骨格を有するアミン・ボランアダクト構造を持つ化合物を脱水素反応させることを特徴とする多孔性物質の製造方法。
  2. 高表面積物質が多孔質炭素材料であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性物質の製造方法。
  3. アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物が、有機化合物の骨格にアミン・ボランアダクト構造を3個以上持つ化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔性物質の製造方法。
  4. アミン・ボランアダクト構造が一般式(1)または一般式(2)で示される構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性物質の製造方法。
    −NHR・BHR (1)
    −NHR・BH=R (2)
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ個別に、水素原子あるいは炭素数1〜10の炭化水素基を表わし、Rは炭素数4〜15の炭化水素基であって、その両端がホウ素原子に結合している基を表わす。)
  5. 高表面積物質に対して、アミン・ボランアダクト構造を持つ化合物の割合が0.1〜200質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性物質の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造される多孔性物質。
  7. ガス吸蔵用として使用することを特徴とする請求項6記載の多孔性物質。
  8. 請求項6記載の多孔性物質を使用することを特徴とするガスの吸蔵方法。



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