以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の1画素対応の構成を示す断面図である。
図2は、前記第1実施形態に係る表示装置の表示動作を説明するための断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この表示装置は、1画素につき1辺wの正方形の第1電極板(1)11a、第2電極板(2)11bを備え、この第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bとは、この表示画素の周囲を正方形に囲む高さ2d+dmの垂直隔壁(誘電体)12に対応した空間を介して当該画素の表面側と裏面側とに平行にして対向配置される。
この第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bとによる対向空間の中央部分には、当該各電極板(1)11a,(2)11bと同一の大きさの1辺wの正方形の第3電極板(3)11cが平行配置されると共に、この第3電極板(3)11cを間に挟み込んだ1辺w×高さdmの正方形の水平隔壁(誘電体)13が平行配置され、それぞれ高さdの上層空間14aと下層空間14bが形成される。
第3電極板(3)11cおよび水平隔壁13の中心位置には、一辺hw(<<w)の正方形の移動ホール15が設けられ、上層空間14aと下層空間14bとが一部連通される。
そして、前記第3電極板(3)11cおよび水平隔壁13に設けられた移動ホール15の位置に対応する第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bそれぞれの表面上の中心位置には、その突起部として、移動ホール15の方向に突出した平板状の突起電極18a,18bが設けられる。この平板状の突起電極18a,18bは、例えば各電極板11a,11bと同じ導電材料からなり、d/3〜d/2の厚みに設定することで各電極頂部(先端部)を移動ホール15に近付ける。
前記第1電極板(1)11aは透明電極であり、第1電極板(1)11aは画素表面を構成するガラス板16により被覆される。また水平隔壁13の壁面および垂直隔壁12の壁面は、何れも白色に着色される。
そして、上層空間14aおよび下層空間14bからなる一連の空間14a,14bの内部には、当該一連空間14a,14bの容積の略半分の量で黒色に着色した液体(誘電体)17が封入される。
この表示装置では、後述にて説明するように、第1〜第3電極板(1)11a〜(3)11cに対して選択的に電圧を印加することで、着色液体(誘電体)17を上層空間14aの側または下層空間14bの側へ移動させ、図2(A)に示すように、下層空間14bの側へ移動させた場合には、画素表面からみて白色表示の状態となり、図2(B)に示すように、上層空間14aの側へ移動させた場合には、画素表面からみて黒色表示の状態となる。
なお、突起電極18aが透明電極の場合、着色液体(誘電体)17を、図2(A)に示すように、下層空間14bの側へ移動させた場合には、移動ホール15の位置に着色液体17の見える状態となるが、当該移動ホール15の面積hw2は白色着色された水平隔壁13の全体面積w2に比較して非常に小さいため、当該水平隔壁13の白色に埋もれて認識されない。
また、突起電極18aが透明電極でない場合も、突起電極18aの面積hw2は全体面積w2に比較して非常に小さいため、当該水平隔壁13の白色あるいは着色液体17の色に埋もれて認識されない。
次に、前記構成の第1実施形態の表示装置における表示動作について、より詳細に説明する。
誘電体である着色液体17に電場が掛かると、この液体17は分極する。分極した着色液体17にかかっている電場が一様ではない(空間的に変化している)ところでは、着色液体17はその分極の向きと電場成分の偏微分との関係に応じて電場から力を受ける。
着色液体17の各部分が受ける力の大きさと向きは、着色液体17の各部分の分極を双極子モーメントで近似し、各双極子モーメントの成分とそれぞれの双極子の位置での電場成分の偏微分とから考察できる。
双極子モーメントをP、電場をE、双極子が受ける力をFとしたとき、
F=(P・∇)E
である(P、E、Fはベクトル、∇はナブラ)。
このため、上層空間14a、下層空間14b、移動ホール15の中に適切な電場(電位の変化)を作り出すことで、着色液体17を上層空間14aから下層空間14bへ、あるいは下層空間14bから上層空間14aへと移動させる原動力が得られる。
例えば第2電極板(2)11bと第3電極板(3)11cを0Vとし第1電極板(1)11aに10Vの正電圧を印加した場合の画素内空間の電位分布は次のようになる。
上層空間14aでは、第1電極板(1)11aの10Vから第3電極板(3)11cの0V近くへと急激に電位が変化するが、移動ホール15の位置に対応した中央付近の上層部分ではそれより緩やかに電位が変化し、下層部分で更になだらかに変化して第2電極板(2)11bで0Vとなる。そして、移動ホール15の下方あたりを除く下層空間14bの電位はどこも略0Vである。
一方で、移動ホール15の位置に対応した第1電極板(1)11aの中心には平板状の突起電極18aが設けられているため、上層空間14aにおける移動ホール15の直上空間部分の電位はそれ以外の空間部分の電位より高くなる。
なお、同画素内空間の各電位分布に対応する各電場分布については、電位の傾きから求めることができるが、第1電極板(1)11a側の上層空間14aの電場は非常に強く、第2電極板(2)11b側の下層空間14bの電場は非常に弱い。その上で、前記平板状の突起電極18aが設けられた上層空間14aにおける移動ホール15の直上空間部分の電場はそれ以外の空間部分の電場より非常に強くなる。
したがって、上層空間14aに対応する電場同士を比べると、突起電極18aにより空間が狭められていることで移動ホール15の上あたりの電場はそれ以外の電場より強い。移動ホール15の上下方向に対応した電場については、上層空間14a、移動ホール15内、下層空間14bと下に行くほど電場は弱くなる。下層空間14bでは移動ホール15の下から外側にいくほど電場は弱くなり、移動ホール15から離れた水平隔壁の下では電場は殆どない。
なお、この表示装置の画素空間内における電圧印加時の電位分布および電場分布のイメージについては、同一出願人による先行出願(特願2004−128253号)の図3・図4などに記載例があるが、本願第1実施形態の表示装置では、移動ホール15の位置に対応して突起電極18a,18bを設けているので、当該移動ホール15の上方周辺から内部そして下方に至る範囲の電界(電場)はより強く現れる。
すなわち、図2(A)に示すように、最初、着色液体17がすべて下層空間14bにあるときに、第2電極板(2)11bと第3電極板(3)11cを0Vにして第1電極板(1)に10Vの正電圧を印加すると、上述した電場分布のイメージからも分かるように、移動ホール15から離れたところの液体17はほとんど分極しないが、移動ホール15の直上から中と移動ホール15の下とその周辺の液体17が分極する。
この際、移動ホール15の直上および該ホール15内の液体17と移動ホール15の下方の液体17には略上向き、また下層の液体17で移動ホール15の下方より外側の液体17には概ね移動ホール15の下方へと向かう力が加わる。これにより移動ホール15にある液体17は特に突起電極18aの方向へ導かれて上層空間14aへと上がり、また移動ホール15の下方にある液体17は当該移動ホール15へと上がり、さらに移動ホール15下方の外側にある液体17は移動ホール15の下方へと入って行く。
そして、移動ホール15から上層空間14aに上がってきた着色液体17は、同じ原理による力を受けて、その一部は更に上へ、一部は移動ホール15の上から離れて第1電極板(1)11aと水平隔壁13で挟まれた同空間14aの奥へと入って行く。
この際、移動ホール15を後から次々と上がって上層空間14aである水平隔壁13の上に入って来る着色液体17に押される形で上層空間14aに既に上がった着色液体17は端の方へと移動して行く。
一方、水平隔壁13の下にある下層空間14bでの大部分の着色液体17については、当該下層空間14bの電場は略零なので殆ど力を受けない。しかし、液体17には表面張力によりひとつになろうとする力が働くので、これら下層部分の液体17も、前記移動ホール15を通り上層空間14aへと移動する液体17に引っ張られて当該移動ホール15の方向へと動いていく。
このように、第2電極板(2)11bと第3電極板(3)11cを0Vにして第1電極板(1)およびその突起電極18aに10Vの正電圧を印加することにより得られる電場空間と着色液体17の表面張力、および後ろから押される力などの総合作用の結果、全体としての着色液体17は、電場の弱い下層空間14bの領域から電場の強い上層空間14aの領域へと移動して行く。
一方で、着色液体17がすべて上層空間14aにあるときに、これを全て下層空間14bへと移動させる時には、第1電極板(1)11aと第3電極板(3)11cに0V、第2電極板(2)11bおよびその突起電極18bに10Vを印加すればよく、前記同様の原理によって着色液体17は下層空間14bへと移動する。
この場合も、下層空間14bにおける移動ホール15の直下部分の電場は、他の空間部分の電場に比べ、突起電極18bによってその空間部分が狭められていることで強力になるので、移動ホール15にある液体17は特に突起電極18bの方向へ導かれて下層空間14bへと下がり、また移動ホール15の上方にある液体17は当該移動ホール15へと入り、さらに移動ホール15上方の外側にある液体17は移動ホール15の上方へと移って行く。
そして、この表示装置では、水平隔壁13の非常に小さな(μm単位)移動ホール15を介して上下分離した上層空間14aと下層空間14bとの間での着色液体17の移動によって表示の白/黒切り換えを行い、しかも移動ホール15の直上部分と直下部分には突起電極18a,18bによって強い力が加わるようにしたので、着色液体17を上層空間14aまたは下層空間14bに移動させる場合の印加電圧を小さく設定することができる。
そして、この表示装置では、着色液体17を一旦上層空間14aまたは下層空間14bに移動させてしまうと、その状態を維持するのに各電極板(1)11a〜(3)11c間に特に電圧を掛ける必要がない。
すなわち、上層空間14aまたは下層空間14bに移動しきった着色液体17は次のような力が寄与してその場所に止まる。
通常、液体(17)には表面張力により一つになり丸まろうとする性質があるが、この表示画素空間内の着色17の体積はとても小さいのでその影響は大きい。上層空間14aまたは下層空間14bへと移動し終えて一つに纏まった液体17が、移動ホール15を通って再び他方の層の空間へと入り込むには、この表面張力によって一つになり丸まろうとする性質の力に逆らわなければならない。
この表示装置における着色液体17の表面張力は、当該液体17が現在の層の空間内に止まろうとする力として寄与する。また、移動ホール15は非常に小さいので、ここを通過する着色液体17は通過摩擦などによる抵抗力を受ける場合があり、この通過摩擦などによる抵抗力も当該液体17が現在の層の空間内に止まろうとする力として寄与する。さらに、着色液体17は、それが接している上下や横の面から引力(付着力)を受ける場合もあり、この面接触による引力(付着力)も当該液体17が現在の層の空間内に止まろうとする力として寄与する。
熱運動や振動などによる外力が加わって、表示が乱されるかもしれないことに備えて電圧をかけておく場合にも、各電極板(1)11a〜(3)11cに対する印加電圧が低くても、移動ホール15の直上部分と直下部分には、各突起電極18a,18bによって強い力を加えることができるので、着色液体17を現在の層内に強く維持することができる。
図3は、前記第1実施形態に係る表示装置における液体移動量Lmと電場エネルギEpとの関係を突起電極18a,18bがある場合Aとない場合Bとで比較して示す図である。
液体が移動した場合のエネルギの変化を仮想仕事の原理で考察する。
仮想仕事ΔW+電場のエネルギの変化量=電源からのエネルギ補給
電場のエネルギUEは、
UE=∫(1/2)E・DdV=∫(ε/2)E2dV=∫(1/2ε)D2dV
で計算できる(E:電界(電場)強度、D:電束密度、ε:誘電率)。
電極の電位Vが一定の場合、仮想仕事による電場のエネルギの増加の2倍だけ、電源からエネルギの補給がある。よって、
仮想仕事ΔW=電場のエネルギの変化量
の関係が成り立つ。
電場のエネルギが増大するように液体は移動しようとするため、エネルギの変化分を液体の移動量で割ったものが力の大きさに対応する。
従って、電場のエネルギEpの変化分が大きいほど液体に加わる力が大きくなるもので、図3に示すように、着色液体17が下層空間14bから上層空間14aへと移動する過程における電場のエネルギEpの変化は、突起電極18a,18bがある場合Aの方がない場合Bに比べて明らかに大きく、着色液体17に加わる力が大きいことが分かる。
このように、水平隔壁13の移動ホール15を介して上下分離した上層空間14aと下層空間14bのそれぞれにおける着色液体17の表面張力による静止力だけでなく、低印加電圧で強い力を与えるための電極構造など、前述した各種の力の寄与により、高速で反応のよい液体移動(表示切替)を実現することができる。
また、白色表示/黒色表示に応じて着色液体17を移動させる空間を、水平隔壁13の移動ホール15を介して上下分離した上層空間14aと下層空間14bとしたので、その空間が横に設けられている場合に比べて、表示として利用できる面積(開口率)を大きくとることができる。
突起電極18a,18bは移動ホール15部に配置されるので、開口率は突起電極18a,18bがない場合と同等で悪影響はない。
したがって、前記構成の第1実施形態の表示装置によれば、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
また、前記構成の第1実施形態の表示装置によれば、表示変化に伴い着色液体(誘電体)17の移動を開始する前の状態において、移動ホール15の中にまで黒色液体17が入る構成としたので、移動ホール15の上方および下方に突起電極18a,18bを設けたことにも相まって、当該移動ホール15内の電場から発生する強い力を移動開始最初から利用でき、着色液体17全体の移動を速くすることができる。
また、各電極板11a,11b,11cを上層と下層を分離構成する広い領域に面して設けたので、当該各電極板11a,11b,11cの面積を広く、各電極板11a,11b,11c間の距離を狭くでき、強い電場を広い領域に作り出すことができる。
また、着色液体(誘電体)17の移動先の層の電極板から出た電気力線の一部が、移動ホール15を通って移動元の層へと抜けて、当該移動元の層の電極板に広がりながら到達するように構成したので、移動元の層では液体17を移動ホール15へと導く力を、移動先の層では液体17を移動ホール15から離れる方向へと導く力を、それぞれ簡単に生み出すことができる。
なお、前記第1実施形態の表示装置において、移動ホール15を設ける位置は水平隔壁13および第3電極板(3)11cの中央でなくてもよい。移動ホール15の大きさや形状は異なっていてもよい。移動ホール15は複数あってもよい。この場合、移動ホール15の位置や形状に対応させて突起電極18a,18bの位置や形状も変えるようにする。
また、前述したように、強い衝撃などが加わっても表示が乱れないようにするために、表示内容が変更されない時でも電圧を掛けるようにしてもよい。その場合でも低消費電力化を図るため、表示を変更する時よりも弱い電圧を掛ける構成とする。あるいは、表示内容が変更されない時には、間欠的に電圧をかけて、乱されたかもしれない表示を一定時間ごとに復元する構成としてもよい。これらの場合にも突起電極18a,18bがあるために強い保持力があるので、突起電極18a,18bがない場合より弱い電圧で可能となる。
また、第1電極板(1)11aの下面や第2電極板(2)11bの上面に、着色液体17との間に入る誘電体の層を設けてもよい。
また、前記第1実施形態の表示装置では、第3電極板(3)11cは水平隔壁13の中に挟み込むようにして設けたが、水平隔壁13の上面や下面に設けてもよい。
また、前記第1実施形態の表示装置において、各電極板(1)11a〜(3)11cには直流電圧を掛ける構成としたが、交流電圧を掛けてもよい。例えば着色液体17を上層空間14aへ移動させる場合、第1電極板(1)11aには第3電極板(3)11cと逆相で、第2電極板(2)11bには第3電極板(3)11cと同相で、3つの電極板に対し10Vと0Vを一定周期で切り替えて掛ける構成とする。
また、前記第1実施形態の表示装置において、表示画素の平面形状は正方形として構成したが、長方形など他の形状であってもよい。
また、電極板の数は3つに限定されるものではなく、着色液体(誘電体)17を上層空間14aと下層空間14bとの間で電場の強さの違いにより移動させるものであれば、それ以上の極板数あるいはそれ以下の極板数であってもよい。
また、前記第1実施形態の表示装置では、各電極板(1)11a〜(3)11cは何れも表示領域にぴったり当て嵌まる面積として構成したが、表示領域より狭い面積でもよい。あるいは、表示領域より広い面積として垂直隔壁12に食い込むように構成してもよく、特に、第3電極板(3)11cを大きくして着色液体17の移動先の層から移動元の層に外側から電場が入り込むのを防ぐ構成としてもよい。
なお着色液体(誘電体)は青、赤等の黒以外の色の着色であって良いし、水平、垂直の隔壁も白以外の色で着色されても構わない。
図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第1実施形態の変形例に係る表示装置において、前記図1、図2において示した第1実施形態の表示装置と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
この第1実施形態の変形例に係る表示装置では、第3電極板(3)11cおよび水平隔壁13に設けられた移動ホール15の位置に対応する第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bそれぞれの表面上の中心位置に、前記突起部として、移動ホール15の方向に鋭角に突出した角錐状の突起電極19a,19bを設ける。この角錐状の突起電極19a,19bは、例えば各電極板11a,11bと同じ電極材料からなり、d/3〜d/2の高さに設定することで各電極頂部(先端部)を移動ホール15に近付ける。
これによれば、前記図1、図2において示した第1実施形態の表示装置における平板状の突起電極18a,18bに替えて、角錐状の突起電極19a,19bを設けて構成したので、局所的に電場の強度がより大きくなり、移動ホール15の直上部分や直下部分に対して加える電位による力をより局所的に作用させることができ、低消費電力であってもより高速な液体移動(表示切替)性能およびその移動後のより強い液体保持性能が得られる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第2実施形態の表示装置において、前記図1、図2で示した第1実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態の表示装置では、前記図1、図2で示した第1実施形態の表示装置における平板状の突起電極18a,18bに替えて、前記突起部として、当該突起電極18a,18bと同じ平板状でも垂直隔壁12と同じあるいは同じ誘電体材料を含む類似の誘電体材料により構成された誘電体突起部18a′,18b′を設けて構成する。
すなわち、この誘電体突起部18a′,18b′の材料である誘電体の比誘電率を大きいものとすることで、前記第1実施形態の導電材料からなる突起電極18a,18bを設けた表示装置の場合とほぼ同様の電場作用を得ることができ、大きな電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。(垂直隔壁12が例えば樹脂の場合、その比誘電率は真空や空気の数倍の値であり、十分な効果がある。)
なお、この第2実施形態における表示装置では、誘電体突起部18a′,18b′を垂直隔壁12と同じ材料により構成することで、当該垂直隔壁12の形成工程と同じ工程にて形成することができ、製造が容易になる利点がある。
さらに、前記誘電体突起部は前記水平隔壁と同じあるいは同じ誘電体材料を含む類似の誘電体材料により構成されたものでもよい。
また、誘電体突起部18a′,18b′の形状を第1実施形態の変形例のように鋭角に突出した角錐状にしてもよい。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第3実施形態の表示装置において、前記図1、図2で示した第1実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第3実施形態の表示装置では、前記図1、図2で示した第1実施形態の表示装置における平板状の突起電極18a,18bに替えて、その高さを上下層空間14,14bそれぞれの高さdに合わせ、その幅を移動ホール15の孔径hwより小さい例えばhw/2とした、常に誘電体の着色液体17と接触する長突起電極20a,20bを設けて構成する。
すなわち、この表示装置では、誘電体の着色液体17は、下層空間14bまたは上層空間14aの何れの空間に保持される場合でも移動ホール15を満たす液体量で封入されるので、長突起電極20a,20bそれぞれの高さを上下層空間14,14bそれぞれの高さdに合わせることで、液体移動先の空間14a(14b)側にある長突起電極20a(20b)の先端面を常に液体移動元の空間14b(14a)に保持されている着色液体17に移動ホール15の部分で接触させておくことができる。
よって、各電極板(1)11a,(2)11b,(3)11cに選択的に電圧印加した液体移動の際には、その移動初期の時点から移動ホール15に満たされている着色液体17を先端として直接的に強い電場で強い力を与えることができ、より高速で応答の良い液体移動(表示切替)、ならびに移動後液体(表示)の安定した保持が可能になる。
図7は、前記第3実施形態に係る表示装置における液体移動量Lmと電場エネルギEpとの関係を長突起電極20a,20bがある場合Aとない場合Bとで比較して示す図である。
前記第1実施形態における表示装置においてその図3を用いて説明した通り、電場のエネルギEpの変化分が大きいほど液体に加わる力が大きくなるもので、この第3実施形態の表示装置では、図7に示すように、着色液体17が下層空間14bから上層空間14aへと移動する過程における電場のエネルギEpの変化は、長突起電極20a,20bがある場合Aの方がない場合Bに比べて液体移動の初期時点から明らかに大きく、着色液体17の移動開始から該液体17に加わる力が非常に大きいことが分かる。
したがって、前記構成の第3実施形態の表示装置によれば、前記第1実施形態の表示装置と比較して、表示内容を変えるときはより小さな電力で大きな力を着色液体17にその移動初期から作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
なお、前記第1〜第3実施形態の表示装置では、その何れの場合でも画素内空間が真空あるいは略真空状態であることを前提に、着色液体17の空間内移動による表示動作について述べたが、当該画素空間内が真空状態でない場合には、次の第4実施形態以降の表示装置において説明するように、上層空間14aまたは下層空間14bへの移動ホール15を介した着色液体17の移動流入時に当該空間内の空気を他方の空間へ逃がす通気孔21(21a,21b)を設け、表示変更応答性の良い表示装置としてもよい。
また、長突起電極20a,20bを第2実施形態のように垂直隔壁12と同じあるいは同じ誘電体材料を含む類似の誘電体材料により構成された誘電体長突起部としてもよい。
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第4実施形態の表示装置において、前記図1、図2で示した第1実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第4実施形態の表示装置では、突起電極18a,18bは設けない。
一方で、一辺wの正方形の第3電極板(3)11cおよび水平隔壁13の外周縁の垂直隔壁12と接する部分において、移動ホール15を中心にして相対する2箇所に通気孔21a,21bを設けると共に、当該通気孔21a,21bの孔径と対応する範囲で上層側の第1電極板(1)11aおよび下層側の第2電極板(2)11bを無くした電極未設部11ah,11bhを設けて構成する。
すなわち、この第4実施形態の表示装置において、図8(A)に示すように、例えば第1電極板(1)11aに10V、第2および第3電極板(2)11b,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を下層空間14bから移動ホール15を介して上層空間14aへ移動させる際には、各電極板(1)11a〜(3)11cの中心に位置する移動ホール15内の着色液体17には強く引き上げる力Mが加わる一方で、電極未設部11ah,11bhに位置する通気孔21a,21b内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の移動ホール15からの引き上げおよび上層空間14aへの進入に伴い、当該上層空間14aにある気体は通気孔21a,21bを介して下層空間14bへとスムーズに循環して入り込むようになる。
また、図8(B)に示すように、例えば第2電極板(2)11bに10V、第1および第3電極板(1)11a,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を上層空間14aから移動ホール15を介して下層空間14bへ移動させる際にも、各電極板(1)11a〜(3)11cの中心に位置する移動ホール15内の着色液体17には強く引き下げる力Mが加わる一方で、電極未設部11ah,11bhに位置する通気孔21a,21b内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の移動ホール15からの引き下げおよび下層空間14bへの進入に伴い、当該下層空間14bにある気体は通気孔21a,21bを介して上層空間14aへとスムーズに循環して入り込むようになる。
したがって、前記構成の第4実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13に対して通気孔21a,21bを設けると共に当該通気孔21a,21bに対応する範囲で電極未設部11ah,11bhを設け、移動ホール15の着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で通気孔21a,21bからの気体の抜けがよりスムーズに行われるようにしたので、前記第1実施形態の表示装置と同様にして、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第5実施形態の表示装置において、前記図8で示した第4実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第5実施形態の表示装置では、前記第4実施形態の表示装置において水平隔壁13の中心に設けられた移動ホール15を通気孔21とし、また同水平隔壁13の一端と他端に設けられた通気孔21a,21bを移動ホール15a,15bとすると共に、当該中心位置の通気孔21の孔径と対応する範囲で上層側の第1電極板(1)11aおよび下層側の第2電極板(2)11bを無くした電極未設部11ah,11bhを設けて構成する。
すなわち、この第5実施形態の表示装置において、図9(A)に示すように、例えば第1電極板(1)11aに10V、第2および第3電極板(2)11b,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を下層空間14bから各移動ホール15a,15bを介して上層空間14aへ移動させる際には、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する各移動ホール15a,15b内の着色液体17には何れも強く引き上げる力Mが加わる一方で、中央の電極未設部11ah,11bhに対応位置する通気孔21内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の各移動ホール15a,15bからの引き上げおよび上層空間14aへの進入に伴い、当該上層空間14aにある気体はその中央にある通気孔21を介して下層空間14bへとスムーズに循環して入り込むようになる。
また、図9(B)に示すように、例えば第2電極板(2)11bに10V、第1および第3電極板(1)11a,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を上層空間14aから各移動ホール15a,15bを介して下層空間14bへ移動させる際にも、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する各移動ホール15a,15b内の着色液体17には何れも強く引き下げる力Mが加わる一方で、中央の電極未設部11ah,11bhに対応位置する通気孔21内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の各移動ホール15a,15bからの引き下げおよび下層空間14bへの進入に伴い、当該下層空間14bにある気体はその中央にある通気孔21を介して上層空間14aへとスムーズに循環して入り込むようになる。
したがって、前記構成の第5実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13の両端に移動ホール15a,15bを、中央に通気孔21を設けると共に、当該通気孔21に対応する範囲の第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bの中央部に電極未設部11ah,11bhを設け、各移動ホール15a,15bの着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で中央の通気孔21からよりスムーズに気体の抜けが行われるようにしたので、前記第1実施形態の表示装置と同様にして、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第6実施形態の表示装置において、前記図8で示した第4実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第6実施形態の表示装置では、前記第4実施形態の表示装置において水平隔壁13の中心に設けられた移動ホール15を水平隔壁13の一端側の垂直隔壁12と接する位置に1つ設けた移動ホール15′とし、また前記第4実施形態の表示装置において同水平隔壁13の一端と他端に設けられた通気孔21a,21bを水平隔壁13の他端側の垂直隔壁12と接する位置に1つ設けた通気孔21′とすると共に、当該隔壁他端位置の通気孔21′の孔径と対応する範囲で上層側の第1電極板(1)11aおよび下層側の第2電極板(2)11bを無くした電極未設部11ah,11bhを設けて構成する。
すなわち、この第6実施形態の表示装置において、図10(A)に示すように、例えば第1電極板(1)11aに10V、第2および第3電極板(2)11b,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を下層空間14bから隔壁一端の移動ホール15′を介して上層空間14aへ移動させる際には、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する移動ホール15′内の着色液体17には強く引き上げる力Mが加わる一方で、電極未設部11ah,11bhに対応位置する通気孔21′内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、隔壁一端の移動ホール15′からの着色液体17の引き上げおよび上層空間14aへの進入に伴い、当該上層空間14aにある気体はその反対側にある通気孔21′を介して下層空間14bへとスムーズに循環して入り込むようになる。
また、図9(B)に示すように、例えば第2電極板(2)11bに10V、第1および第3電極板(1)11a,(3)11cに0Vを印加することで、着色液体17を上層空間14aから隔壁一端の移動ホール15′を介して下層空間14bへ移動させる際にも、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する移動ホール15′内の着色液体17には強く引き下げる力Mが加わる一方で、電極未設部11ah,11bhに対応位置する通気孔21′内の着色液体17には非常に小さな力mしか加わらない。
これにより、隔壁一端の移動ホール15′からの着色液体17の引き下げおよび下層空間14bへの進入に伴い、当該下層空間14bにある気体はその反対側にある通気孔21′を介して上層空間14aへとスムーズに循環して入り込むようになる。
したがって、前記構成の第6実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13の一端に移動ホール15′を、他端に通気孔21′を設けると共に、当該通気孔21′に対応する範囲の第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bの他端位置に電極未設部11ah,11bhを設け、一端側にある移動ホール15′の着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で反対端にある通気孔21′からよりスムーズに気体の抜けが行われるようにしたので、前記第1実施形態の表示装置と同様にして、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第7実施形態)
図11は、本発明の第7実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第7実施形態の表示装置において、前記図8で示した第4実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第7実施形態の表示装置では、前記第4実施形態の表示装置において水平隔壁13の両端位置の通気孔21a,21bにそれぞれ対応する範囲で第1電極板(1)11aの同一平面および第2電極板(2)11bの同一平面にそれぞれ設けた電極未設部11ah,11bhに替えて、打ち消し電極22a,22bを設ける。
この打ち消し電極22a,22bには、それぞれその同一平面にある第1電極板(1)11aまたは第2電極板(2)11bに対する電圧印加により上層空間14aまたは下層空間14bに生じる電場による力を、通気孔21a,21bの範囲で打ち消すために例えばともに0Vの電圧を印加する。
すなわち、この第7実施形態の表示装置において、図11(A)に示すように、例えば第1電極板(1)11aに10V、第2および第3電極板(2)11b,(3)11cに0V、打ち消し電極22a,22bに0Vを印加することで、着色液体17を下層空間14bから移動ホール15を介して上層空間14aへ移動させる際には、各電極板(1)11a〜(3)11cの中心に位置する移動ホール15内の着色液体17には強く引き上げる力Mが加わる一方で、打ち消し電極22a,22bが対応位置する通気孔21a,21b内の着色液体17にはその電場の打ち消し作用によって極めて小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の移動ホール15からのよりスムーズな引き上げおよび上層空間14aへの進入に伴い、当該上層空間14aにある気体は通気孔21a,21bを介して下層空間14bへとよりスムーズに循環して入り込むようになる。
また、図11(B)に示すように、例えば第2電極板(2)11bに10V、第1および第3電極板(1)11a,(3)11cに0V、打ち消し電極22a,22bに0Vを印加することで、着色液体17を上層空間14aから移動ホール15を介して下層空間14bへ移動させる際にも、各電極板(1)11a〜(3)11cの中心に位置する移動ホール15内の着色液体17には強く引き下げる力Mが加わる一方で、打ち消し電極22a,22bが対応位置する通気孔21a,21b内の着色液体17にはその電場の打ち消し作用によって極めて小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の移動ホール15からのよりスムーズな引き下げおよび下層空間14bへの進入に伴い、当該下層空間14bにある気体は通気孔21a,21bを介して上層空間14aへとよりスムーズに循環して入り込むようになる。
したがって、前記構成の第7実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13に対して通気孔21a,21bを設けると共に当該通気孔21a,21bに対応する範囲で電場による力の打ち消し電極22a,22bを設け、移動ホール15の着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で通気孔21a,21b付近の電場による力を打ち消して気体の抜けがよりスムーズに行われるようにしたので、前記第1実施形態の表示装置と同様にして、表示内容を変えるときは小さな電力でより大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第8実施形態)
図12は、本発明の第8実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第8実施形態の表示装置において、前記図11で示した第7実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第8実施形態の表示装置では、前記第7実施形態の表示装置において水平隔壁13の中心に設けられた移動ホール15を通気孔21とし、また同水平隔壁13の一端と他端に設けられた通気孔21a,21bを移動ホール15a,15bとすると共に、当該中心位置の通気孔21の孔径と対応する範囲で上層側の第1電極板(1)11aの中心位置および下層側の第2電極板(2)11bの中心位置に打ち消し電極22a,22bを設ける。
この打ち消し電極22a,22bには、それぞれその同一平面にある第1電極板(1)11aまたは第2電極板(2)11bに対する電圧印加により上層空間14aまたは下層空間14bに生じる電場による力を、通気孔21の範囲で打ち消すために例えばともに0Vの電圧を印加する。
すなわち、この第8実施形態の表示装置において、図12(A)に示すように、例えば第1電極板(1)11aに10V、第2および第3電極板(2)11b,(3)11cに0V、打ち消し電極22a,22bに0Vを印加することで、着色液体17を下層空間14bから各移動ホール15a,15bを介して上層空間14aへ移動させる際には、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する各移動ホール15a,15b内の着色液体17には何れも強く引き上げる力Mが加わる一方で、中央の打ち消し電極22a,22bが対応位置する通気孔21内の着色液体17にはその電場の打ち消し作用によって極めて小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の各移動ホール15a,15bからのよりスムーズな引き上げおよび上層空間14aへの進入に伴い、当該上層空間14aにある気体はその中央にある通気孔21を介して下層空間14bへとよりスムーズに循環して入り込むようになる。
また、図12(B)に示すように、例えば第2電極板(2)11bに10V、第1および第3電極板(1)11a,(3)11cに0V、打ち消し電極22a,22bに0Vを印加することで、着色液体17を上層空間14aから各移動ホール15a,15bを介して下層空間14bへ移動させる際にも、各電極板(1)11a〜(3)11cによる印加電位が強く作用する各移動ホール15a,15b内の着色液体17には何れも強く引き下げる力Mが加わる一方で、中央の打ち消し電極22a,22bが対応位置する通気孔21内の着色液体17にはその電場の打ち消し作用によって極めて小さな力mしか加わらない。
これにより、着色液体17の各移動ホール15a,15bからのよりスムーズな引き下げおよび下層空間14bへの進入に伴い、当該下層空間14bにある気体はその中央にある通気孔21を介して上層空間14aへとよりスムーズに循環して入り込むようになる。
したがって、前記構成の第8実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13の両端に移動ホール15a,15bを、中央に通気孔21を設けると共に、当該通気孔21に対応する範囲の第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bの中央部に打ち消し電極22a,22bを設け、各移動ホール15a,15bの着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で通気孔21付近の電場による力を打ち消して気体の抜けがよりスムーズに行われるようにしたので、前記第1実施形態の表示装置と同様にして、表示内容を変えるときは小さな電力でより大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第9実施形態)
図13は、本発明の第9実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第9実施形態の表示装置において、前記図8で示した第4実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第9実施形態の表示装置では、前記図8で示した第4実施形態の表示装置における第3電極板(3)11cおよび水平隔壁13に設けられた移動ホール15の位置に対応する第1電極板(1)11aと第2電極板(2)11bそれぞれの表面上の中心位置に、前記図1,図2で示した第1実施形態の表示装置と同様に、前記突起部として、移動ホール15の方向に突出した平板状の突起電極18a,18bを設ける。この平板状の突起電極18a,18bは、例えば各電極板11a,11bと同じ導電材料からなり、d/3〜d/2の厚みに設定することで各電極頂部(先端部)を移動ホール15に近付ける。
すなわち、この第9実施形態の表示装置によれば、前記第4実施形態の表示装置において説明したように、通気孔21a,21bを設けると共に該通気孔21a,21bの範囲に対応した電極未設部11ah,11bhを設けたことにより得られる上下層空間14a,14bの間での着色液体17と気体のよりスムーズな移動循環作用に加えて、前記第1実施形態の表示装置において説明したように、平板状の突起電極18a,18bを設けたことにより得られる移動ホール15の直上部分または直下部分の着色液体17に対する強力な移動力の作用を相乗させることができる。
したがって、前記構成の第9実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13に対して通気孔21a,21bを設けると共に当該通気孔21a,21bに対応する範囲で電極未設部11ah,11bhを設け、さらに移動ホール15に対応する第1電極板(1)11aおよび第2電極板(2)11bの中央位置には平板状の突起電極18a,18bを設けることで、移動ホール15の着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で通気孔21a,21bからの気体の抜けがよりスムーズに行われるようにしたので、前記第1実施形態や第4実施形態の表示装置にも増して、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
(第10実施形態)
図14は、本発明の第10実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第10実施形態の表示装置において、前記図13で示した第9実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第10実施形態の表示装置では、前記図13で示した第9実施形態の表示装置における平板状の突起電極18a,18bに替えて、前記図5で示した第2実施形態の表示装置と同様に、前記突起部として、当該突起電極18a,18bと同じ平板状でも垂直隔壁12と同じあるいは同じ誘電体材料を含む類似の誘電体材料により構成された誘電体突起部18a′,18b′を設けて構成する。
すなわち、この誘電体突起部18a′,18b′の材料である誘電体の比誘電率を大きいものとすることで、前記第9実施形態の導電材料からなる突起電極18a,18bを設けた表示装置の場合と同様の電場作用を得ることができ、大きな電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
なお、この第10実施形態における表示装置では、誘電体突起部18a′,18b′を垂直隔壁12と同じ材料により構成することで、当該垂直隔壁12の形成工程と同じ工程にて形成することができ、製造が容易になる利点がある。
(第11実施形態)
図15は、本発明の第11実施形態に係る表示装置の構成・動作を示す断面図であり、同図(A)は白色表示状態を示す断面図、同図(B)は黒色表示状態を示す断面図である。
この第11実施形態の表示装置において、前記図13で示した第9実施形態の表示装置と同一の構成部分については、それと同一の符号を付してその説明を省略する。
この第11実施形態の表示装置では、第1電極板(1)11aおよび第2電極板(2)11bを蒸着形成する前段の工程において、水平隔壁13の中央に設ける移動ホール15の位置に対応させた上層(14a)の天面中央位置および下層(14b)の底面中央位置に対して予め平板状の誘電体突起部18a′,18b′を形成する。そして、この誘電体突起部18a′,18b′の形成工程の後に、前記第1電極板(1)11aおよび第2電極板(2)11bを蒸着形成する工程を実施することで、前記突起部として、前記移動ホール15の位置に対応させた第1電極板(1)11aの突起電極11a′および第2電極板(2)11bの突起電極11b′が必然的に形成されるよう製造する。
すなわち、この第11実施形態における表示装置では、誘電体突起部18a′,18b′を垂直隔壁12と同じ材料により予め同時に構成することで、工程数を増やさずにその後の電極11a,11bの形成工程において突起電極11a′,11b′を共に形成することができ、製造が容易になる利点がある。
なお、この第11実施形態の表示装置における着色液体17の移動に伴う作用・効果については、前記図13における第9実施形態の表示装置と同様である。
つまり、この第11実施形態の表示装置によれば、水平隔壁13に対して通気孔21a,21bを設けると共に当該通気孔21a,21bに対応する範囲で電極未設部11ah,11bhを設け、さらに移動ホール15に対応する第1電極板(1)11aおよび第2電極板(2)11bの中央位置には突起電極11a′,11b′を形成することで、移動ホール15の着色液体17に対しより強い液体移動力を加える一方で通気孔21a,21bからの気体の抜けがよりスムーズに行われるようにしたので、前記第1実施形態や第4実施形態の表示装置にも増して、表示内容を変えるときは小さな電力で大きな移動力を着色液体17に作用させ、また表示内容を変えないときには特に電力を加える必要がなく、非常に低消費電力で、高応答性、高コントラスト、且つ広い視野角の見やすい表示装置を実現できる。
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。