JP4592897B2 - 圧力測定装置および複合型圧力測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力測定方法及び装置に係り、水晶振動子の共振インピーダンスが圧力により変化することを利用して気体の圧力を測定する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpは、水晶振動子自体による固有共振インピーダンス成分Z0と圧力測定空間に存在する気体から受ける摩擦抗力による共振インピーダンス成分との和で表される。圧力が変化しても固有共振インピーダンスZ0は変化しないが、摩擦抗力による共振インピーダンスは、圧力測定空間中の気体の密度、すなわち圧力に応じて変化する。この現象を利用して、摩擦抗力による共振インピーダンスΔZ(=Zp−Z0)から、該空間の圧力を求めることができる。なお、水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0は、気体の圧力により受ける摩擦抗力成分が実質的に無視できる低圧時に測定され、通常高真空で測定された値が用いられる。
【0003】
一方、水晶振動子の共振インピーダンスZは、温度Tとともに変化するため、圧力測定時の水晶振動子温度が、固有共振インピーダンス測定時の温度と異なると、測定精度が低下することになる。特に、摩擦抗力による共振インピーダンスΔZが小さくなる低い圧力側ほど測定誤差が大きくなり、そのため、1Pa以下の圧力では正確な圧力測定が困難であった。
この問題を解決する方法として、例えば、特公平7−97060号公報に開示されているように、水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tを求め、その温度Tにおける補正値Ztを、基準温度の固有共振インピーダンスZ0に加算して用いる温度補正方法がある。この温度補正された固有共振インピーダンス(Z0+Zt)と温度Tとの関係は、水晶式圧力測定装置の生産時に求められ、演算回路に記憶されている。したがって、圧力測定時の共振周波数から得られる水晶振動子の温度Tから対応する固有共振インピーダンス(Z0+Zt)を用いて、圧力測定空間の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(Zp−(Z0+Zt))を求めることにより、温度変動に起因する誤差をなくして正確に圧力を測定することができる。これにより、10−2Pa台の圧力測定が可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の圧力測定方法やその装置では、圧力測定時の温度と固有共振インピーダンス測定時の温度との違いに起因する測定誤差は解消できたものの、長期間にわたり使用を続けると圧力の測定誤差が徐々に大きくなって、正確な圧力測定ができなくなるという別の問題があることが明かとなった。すなわち、上述のような水晶式圧力測定装置の生産時に求められた水晶振動子の温度Tに依存する共振周波数fとそれに相当する(Z0+Zt)の相関関係を演算回路に記憶させる方法では、圧力測定空間に存在するガス種もしくは該圧力測定装置の累積使用時間などによって測定誤差が大きくなるため、正確な圧力測定を行うには、定期的に水晶振動子を交換する必要があった。
この測定誤差の増加は、薄膜堆積用ガスやエッチング用ガスを用いた場合に顕著になり、圧力測定装置の累積使用時間とともに、使用ガス種などによる水晶振動子のエッチングやゴミ、油またはその他の堆積物などの付着等が起こる結果、水晶振動子の共振周波数や固有共振インピーダンス等の特性が変化してしまうことが原因であると考えられる。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑み、水晶振動子がガスによりエッチングされたり、堆積物などが付着した場合であっても、水晶振動子もしくは測定ヘッドの交換や洗浄などを不要とし、正確な圧力測定を行うことのできる水晶振動子を用いた圧力測定方法および装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の圧力測定装置は、水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tに応じた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する圧力測定装置において、前記水晶振動子を加熱するための加熱手段と、前記水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを測定する周波数カウンタと、前記水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路と、前記水晶振動子の温度変化にともなう共振周波数fと共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し記憶する記憶演算回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを前記温度校正データと照合して水晶振動子の温度Tに対応する固有共振インピーダンスZ0を求める温度補償回路と、該温度補償回路によって得られた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と圧力測定空間における共振インピーダンスZpとの差ΔZを圧力に変換する圧力変換回路と、前記加熱手段により前記水晶振動子を加熱するとともに、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記記憶演算回路に接続し、前記温度校正データを取得する温度校正データ取得モードと、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記温度補償回路に接続し、気体の圧力を測定する圧力測定モードとを切り替えるための切替スイッチと、を具備した構成を有する。また、本発明の複合型圧力測定装置は、水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tに応じた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する水晶型圧力測定部であって、前記水晶振動子を加熱するとともに熱電子を放出するためのフィラメントと、前記水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを測定する周波数カウンタと、前記水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路と、前記水晶振動子の温度変化にともなう共振周波数fと共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し記憶する記憶演算回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを前記温度校正データと照合して水晶振動子の温度Tに対応する固有共振インピーダンスZ0を求める温度補償回路と、該温度補償回路によって得られた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と圧力測定空間における共振インピーダンスZpとの差ΔZを圧力に変換する圧力変換回路と、前記加熱手段により前記水晶振動子を加熱するとともに、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記記憶演算回路に接続し、前記温度校正データを取得する温度校正データ取得モードと、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記温度補償回路に接続し、気体の圧力を測定する圧力測定モードとを切り替えるための切替スイッチと、を具備した水晶式圧力測定部、並びに、前記フィラメントの該熱電子を加速するグリット電極と、該熱電子との衝突により発生する気体のイオンを集めるコレクタとを具備した電離真空計部を有する。
圧力測定方法は、水晶振動子の共振周波数fから求めた水晶振動子の温度Tに対応する水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する方法において、圧力の測定前に、実測する圧力よりも低い減圧雰囲気内で水晶振動子に温度変化を生じさせながら該水晶振動子の共振周波数fと共振インピーダンスZの相関関係を温度校正データとして取得し、圧力を測定する際に、測定される共振周波数fを前記温度校正データと照合して該共振周波数fに対応する共振インピーダンスZを固有共振インピーダンスZ0とすることを特徴とする。
【0007】
すなわち、圧力の測定前であって、特に堆積物などが付着した場合に、水晶振動子が気体圧力よりうける摩擦抗力が実質的に無視できる減圧雰囲気で、水晶振動子に温度変化を生じさせ、この水晶振動子の共振周波数fと共振インピーダンスZの相関関係を温度校正データとして取得する。その後、圧力測定の際に、水晶振動子を共振電流により振動させながら、共振インピーダンスZpと共振周波数fを測定し、この共振周波数fに相当する共振インピーダンスZを温度校正データより求め、この求めた共振インピーダンスZを固有共振インピーダンスZ0とする。そして、測定された共振インピーダンスZpとこの求められた固有共振インピーダンスZ0との差ΔZから圧力を算出する方法である。
このような構成とすることにより、水晶振動子がエッチングされ、又は膜やゴミ等が堆積してその特性が変化した場合であっても、水晶振動子を交換することなく圧力測定を正確に行うことが可能となり、どのようなガスを用いる処理装置であっても、信頼性のある圧力測定装置として使用することができる。
【0008】
また、温度校正データを取得するために、水晶振動子を温度変化させる必要があるが、この温度変化に、輻射熱を用いるのが好ましい。このように、フィラメントやランプの輻射熱を用いて水晶振動子を加熱することにより、加熱時間が短縮でき、短時間で温度校正データを取得することができる。また、高真空域の圧力測定に用いる熱陰極電離真空計の熱フィラメントを兼用することにより、別途加熱手段を設ける必要はなく、測定系を簡略化することができる。
なお、温度校正データの取得は、水晶振動子を加熱している温度上昇時か、一旦加熱した後、周囲の空間からの伝達熱および水晶振動子自体の熱放出による温度下降時に行われるが、温度上昇時の方が作業効率の向上を図る上で好ましい。
【0009】
温度校正データの取得は、水晶振動子が気体圧力より受ける摩擦抗力の低い減圧雰囲気内であって、水晶式の圧力測定装置の測定下限圧力以下で行うことにより、高真空側の圧力測定を一層正確に行うことができる。この減圧雰囲気は、より低圧側の測定可能領域が10−2Pa台程度であれば、この圧力より更に1桁低い10−3Pa以下であることが好ましい。
【0010】
上述の方法を行う圧力測定装置は、水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tに応じた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する装置において、前記水晶振動子の加熱手段と、前記水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを測定する周波数カウンタと、前記水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路と、前記水晶振動子の温度変化にともなう共振周波数fと共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し記憶する記憶演算回路と、前記水晶振動子の共振周波数fを前記温度校正データと照合して水晶振動子の温度Tに対応する固有共振インピーダンスZ0を求める温度補償回路と、該温度補償回路によって得られた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と圧力測定空間における共振インピーダンスZpとの差ΔZを圧力に変換する圧力変換回路と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、前記水晶振動子の加熱手段は熱電子を放出するフィラメントであり、該熱電子を加速するグリット電極と、該熱電子との衝突により発生する気体のイオンを集めるコレクタとを配設し、前記コレクタに流れる電流を計測して高真空域の圧力を測定する構成としたことを特徴とする、
このように一つの加熱手段を温度校正データ取得のための水晶振動子の加熱に用いるとともに、熱陰極電離真空計の熱電子発生源としても用いることにより、低真空域から高真空域までの広い圧力範囲において、正確な圧力測定が可能となる。さらに、圧力測定装置全体として電源、制御系、処理系の数及び構成を簡略化することができ、省スペース化、コスト低減を図ることができる。
【0012】
前記共振周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、切替スイッチを介して、前記温度補償回路と前記記憶演算回路とに接続し、温度校正データの取得するモードと圧力測定モードとを前記切替スイッチによって切り替える構成としたことを特徴とする。
このような構成とすることにより、温度校正データの取得モードと、圧力の測定モードとの切替操作が簡易かつ確実に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図を参照して本発明の実施の形態について説明するが、構造および構成については本発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎず、また数値および各構成部の組成(材質)などについては例示に過ぎない。したがって、本発明は以下の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて様々な形態に変更可能である。
【0014】
本発明の第1の実施形態を図1を参照して説明する。
図1は、真空容器1に取り付けられた水晶振動子を用いた圧力測定装置の構成を示す概略図である。
この圧力測定装置は主に測定部、回路部などから構成されている。
測定部は、円筒状の金属製容器2からなり、その一端には接続フランジが設けられ、また、他端は金属製端子7a〜7dが埋め込まれた絶縁物6で閉塞されている。接続フランジをOリングまたは金属製ガスケットなどのシール材3を介在して真空容器1に接続することにより、測定部内部は真空気密が保てるようになっている。
【0015】
この測定部内部には音叉型の水晶振動子9とタングステン(W)線からなる熱フィラメント11が配置され、水晶振動子9はリード線8を介して金属端子7a、7bに接続され、さらに熱フィラメント11は金属端子7c、7dに夫々電気的に接続されている。
水晶振動子9には、例えば、特公平7−97060号公報に記載されたもので、温度Tと共振周波数fとが比例関係にある音叉型水晶振動子が好適に用いられる。また、真空容器1内で例えばプラズマ処理などが行われる場合に、プラズマのエネルギーが水晶振動子9に入射するのを防止する等のため、水晶振動子9近傍に接地電位とした支持板4と振動子ケース10を設けることが好ましい。
【0016】
回路部は、水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路20、共振周波数fを測定する周波数カウンタ22、水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路21、温度校正データ取得モードと圧力測定モードとの切替えを行うモード切替スイッチ23、水晶振動子の温度変化に伴う共振周波数と共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し、記憶する記憶演算回路25、圧力測定時に測定される共振周波数を温度校正データと照合し圧力測定時の温度における水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0求める温度補償回路24、圧力測定時の共振インピーダンスZpと固有共振インピーダンスZ0とから圧力を算出する圧力変換回路26、算出された圧力値を表示する圧力表示器28、及び回路部全体の動作を制御する制御器27、から構成される。
なお、制御器27には、主電源30をONすると各回路および圧力表示器28を作動させるプログラムと、モード切替電源29のON/OFFによりモード切替スイッチ23を作動させるプログラムと、圧力変換回路からの測定信号を表示器28に伝送するプログラムが予め記憶されている。
【0017】
温度校正データの取得は、真空容器1内での処理を終了した状態であって、真空容器1内の領域と連通する測定部内部の領域が例えば10−3Pa以下の減圧雰囲気となった状態で行う。
圧力測定装置の主電源30をONした状態でモード切替電源29をONにすると、制御器27からモード切替スイッチ23に信号が送られ、周波数カウンタ22と共振インピーダンス測定回路21とが記憶演算回路25に電気的に接続され、さらに熱フィラメント11が点灯する。水晶振動子9は発振回路20からの発振電流により振動されながら、内部抵抗発熱で発熱した熱フィラメント11からの輻射熱により加熱され、徐々に温度は上昇する。水晶振動子の温度が上昇する過程において、共振周波数fと共振インピーダンスZは、夫々周波数カウンタ22と共振インピーダンス測定回路21によって測定され、水晶振動子9の共振周波数fと共振インピーダンスZの相関関係は温度校正データとして取得され、そのデータは記憶演算回路25に記憶される。
【0018】
圧力を測定する際には、圧力測定装置の主電源30をONにした状態で、モード切替電源29をOFFにする。これにより、制御器27よりモード切替スイッチ23に信号が送られ、モード切替スイッチ23は周波数カウンタ22と共振インピーダンス測定回路21を温度補償回路24に電気的に接続するとともに、熱フィラメント11を消灯させる。水晶振動子9の共振周波数fと共振インピーダンスZpを夫々周波数カウンタ22と共振インピーダンス測定回路21によって測定し、その測定信号を温度補償回路24に伝送する。この測定信号のうち、共振周波数fを記憶演算回路25の温度校正データと照合させ、共振周波数fに対応する共振インピーダンスZを求め、この求めた共振インピーダンスZを固有共振インピーダンスZ0とする。測定した共振インピーダンスZpとこの固有共振インピーダンスZ0の差ΔZを算出し、この差ΔZを圧力変換回路26に伝送して、圧力値に換算する。その後、換算された信号は制御器27を介して表示器28に伝送され、測定部内の圧力値として文字表示される。
【0019】
このように、本実施形態の圧力測定装置は、圧力測定前に、温度校正データを更新できる構成としたため、どのような使用状況であっても、常に安定して10−2Pa台の圧力を正確に測定することが可能となる。
【0020】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
本実施形態の圧力測定装置は、水晶振動子を用いた圧力測定装置と電離真空計を複合化し、低真空域から高真空域までの広範囲の圧力を測定可能としたものであり、図2にその構成概略図を示す。なお、図1で説明した実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0021】
この圧力測定装置は、測定部に、図1の構成に加え、螺旋状のグリッド電極13とグリッド電極13の中心軸上に配置されたイオンコレクタ12を備えている。また、回路部には、温度校正データを取得するモード以外(即ち、圧力測定モード)でも熱フィラメント11を点灯させることのできるフィラメント点灯スイッチ32と、イオンコレクタ12で測定されたイオン電流を圧力値に変換する第二の圧力変換回路31が備えられている。
【0022】
さらに、制御器27には、図1で説明した圧力測定装置の制御器に記憶されているプログラムに加え、圧力変換回路26の出力信号が水晶振動子の特性を利用して測定できる圧力以下の圧力値に相当する場合に、水晶式圧力測定装置部を停止させ、電離真空計部を作動させるプログラムが予め記憶されている。
【0023】
従って、測定部内の圧力が上記水晶振動子の特性を利用して測定できる圧力値以下である場合は、電離真空計部による圧力測定が行われる。
制御器27から伝送される信号によりフィラメント点灯スイッチ32を動作させて熱フィラメント11をONし、さらに、グリッド電極13を熱フィラメント11より高い電位にし、且つイオンコレクタ12を熱フィラメント11より低い電位となるように電離真空計部を作動させる。熱フィラメント11より放出した熱電子がグリッド電極13に集束される過程で測定部内の気体分子をイオン化し、このイオンをイオンコレクタ12に集束させる。このイオンは電流値として測定され、第二の圧力変換回路31で圧力値に変換し、制御器27を介して圧力表示器28に文字表示される。
このように、本実施形態の圧力測定装置は、水晶振動子により正確な圧力測定を実現するとともに、水晶振動子で測定できない高真空域の圧力測定も可能としている。
【0024】
また、制御器27に、圧力が所定値以上の場合に、電離真空計部を停止させ、水晶式圧力測定装置部を作動させるプログラムを組み込むことにより、低真空域から高真空域まで広い圧力範囲で、圧力に応じて電離真空計部と水晶式圧力測定部との切替を自動的に行うことができ、この広い圧力範囲で圧力の連続測定及びその表示を行うことが可能となる。
【0025】
【発明の効果】
上述の説明で明らかなように、堆積物などの付着や腐食により水晶振動子の共振周波数と固有共振インピーダンスとの関係が変化してしまった場合でも、振動子の交換・洗浄する必要はなく、適宜にこれらの相関関係を温度校正データとして取得し、記憶することで、水晶振動子の温度変化及び堆積物等に起因する測定誤差を低減することができ、常に、正確な圧力測定を行うことができる。
また、水晶振動子の加熱手段である熱フィラメントを熱陰極電離真空計と共用することにより、低真空域から高真空域まで広い圧力範囲を高精度でしかも連続的に測定、表示可能な圧力測定装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧力測定装置を示す概略図である。
【図2】本発明を用いた複合型の圧力測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 真空容器、
2 金属性容器、
3 シール材、
4 支持板、
6 絶縁物、
7a〜7g 金属製端子、
8 リード線、
9 水晶振動子、
10 振動子ケース、
11 熱フィラメント、
12 イオンコレクタ、
13 グリッド電極、
20 発振回路、
21 共振インピーダンス測定回路、
22 周波数カウンタ、
23 モード切替スイッチ、
24 温度補償回路、
25 記憶演算回路、
26 圧力変換回路、
27 制御器、
28 圧力表示器、
29 モード切替電源、
30 主電源、
31 第二の圧力変換回路、
32 フィラメント点灯スイッチ。
Claims (7)
- 水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tに応じた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する圧力測定装置において、
前記水晶振動子を加熱するための加熱手段と、
前記水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路と、
前記水晶振動子の共振周波数fを測定する周波数カウンタと、
前記水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路と、
前記水晶振動子の温度変化にともなう共振周波数fと共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し記憶する記憶演算回路と、
前記水晶振動子の共振周波数fを前記温度校正データと照合して水晶振動子の温度Tに対応する固有共振インピーダンスZ0を求める温度補償回路と、
該温度補償回路によって得られた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と圧力測定空間における共振インピーダンスZpとの差ΔZを圧力に変換する圧力変換回路と、
前記加熱手段により前記水晶振動子を加熱するとともに、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記記憶演算回路に接続し、前記温度校正データを取得する温度校正データ取得モードと、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記温度補償回路に接続し、気体の圧力を測定する圧力測定モードと、を切り替えるための切替スイッチと、
を具備したことを特徴とする圧力測定装置。 - 前記切替スイッチを作動させる制御器とを備える請求項1に記載の圧力測定装置。
- 前記水晶振動子近傍に設けられ、接地電位とした支持体と、
前記支持体に設けられるとともに、プラズマ処理が行なわれる真空容器とは反対側に配置された振動子ケースと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力測定装置。 - 水晶振動子の共振周波数fから水晶振動子の温度Tに応じた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と、圧力測定空間に配置された水晶振動子の共振インピーダンスZpとの差ΔZ(=Zp−Z0)から気体の圧力を測定する水晶式圧力測定部であって、
前記水晶振動子を加熱するとともに熱電子を放出するためのフィラメントと、
前記水晶振動子を発振電流で振動させる発振回路と、
前記水晶振動子の共振周波数fを測定する周波数カウンタと、
前記水晶振動子の共振インピーダンスZを測定する共振インピーダンス測定回路と、
前記水晶振動子の温度変化にともなう共振周波数fと共振インピーダンスZとの相関関係を温度校正データとして取得し記憶する記憶演算回路と、
前記水晶振動子の共振周波数fを前記温度校正データと照合して水晶振動子の温度Tに対応する固有共振インピーダンスZ0を求める温度補償回路と、
該温度補償回路によって得られた水晶振動子の固有共振インピーダンスZ0と圧力測定空間における共振インピーダンスZpとの差ΔZを圧力に変換する圧力変換回路と、
前記加熱手段により前記水晶振動子を加熱するとともに、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記記憶演算回路に接続し、前記温度校正データを取得する温度校正データ取得モードと、前記周波数カウンタ及び前記共振インピーダンス測定回路の出力を、前記温度補償回路に接続し、気体の圧力を測定する圧力測定モードと、を切り替えるための切替スイッチと、を具備した水晶式圧力測定部、並びに、
前記フィラメントの該熱電子を加速するグリット電極と、該熱電子との衝突により発生する気体のイオンを集めるコレクタとを具備した電離真空計部を有する複合型圧力測定装置。 - 前記切替スイッチを作動させる制御器と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の複合型圧力測定装置。
- 前記コレクタで測定されたイオン電流を圧力値に変換する第二の圧力変換回路を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の複合型圧力測定装置。
- 前記圧力測定モードにおいても、前記フィラメントを測定可能なフィラメント点灯スイッチとを備えることを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか1項に記載の複合型圧力測定装置。
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