JP4592888B2 - 回転式培養装置の洗浄装置における給水構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、醸造工業又は酵素工業に使用される回転式固体培養装置又は回転式培養物ストッカなど(以下単に回転式培養装置という)の室内に設けた中心支柱を中心軸として回転する円盤床を有する回転式培養装置の洗浄装置における給水構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
味噌、醤油、清酒などの回転式培養装置は、固体培養が終了したり、ストックしていた培養物を排出した後には、毎回必ず洗浄して内部を清浄にする必要がある。この洗浄は、装置内に配管された給水パイプに接続した洗浄ノズルから洗浄水を噴射して行われる。従来、円盤床の回転に伴って移動させる給水パイプ(実公昭53-40560号、実開平4-44000号)を設けたり、中心支柱に装着する環状の給水ボスに対して洗浄ノズル取付フレームを両側へ張り出して取り付ける(実開平3-22697号)といった構造のものが実施されている。
【０００３】
給水ボスの回転を更に円滑に行わせるための手段を設けたものとして、実用新案登録第2579766号に記載された技術がある。すなわち、給水ボスの回転手段として、円盤床のフレームと給水ボスとの間を伝達棒で自由度をもたせて連結し、さらに給水ボスと給水パイプとの間も耐圧ゴムホースなどの柔軟部材で接続し、大きな円盤床であっても給水ボスに無理がかからないようにしている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造は、これらの改善で一応満足すべき性能を備え、実機に設置されて安定して稼働しているが、特殊な構造であるので、新設の回転式培養装置には好適であるが、既設の回転式培養装置に適用して改造するには、改造が複雑でコスト高を招き好ましくない。簡単な手段として既設の円盤床に洗浄ノズル付の給水パイプを固定し、作業者が洗浄時のみこのパイプにホースを接続して、ほぼ一回転の正逆回転の繰り返しで内部を洗浄することも可能であるが、作業者がつきっきりで行わねばならず、自動洗浄ができない欠点がある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は新設、既設を問わず実施可能な、そして特に既設の回転式培養装置の洗浄装置として適用の容易な構造を提供するものである。すなわち、培養室内に設けた中心支柱を中心軸として回転する円盤床を有する回転式培養装置の室内床面に対して固定された既設又は新設の中心支柱の外周に給水口付の分割ジャケットを捲回し、この分割ジャケットの外周に排水口付の分割給水ボスを設け、その分割給水ボスは回転可能かつ水密状態になるようその上下に摺動パッキンを設け、この分割給水ボスと前記分割ジャケットとをそれぞれに設けた連通孔により摺動パッキン間の間隙を介して給水可能としてなる回転式培養装置の洗浄装置における給水構造である。
【０００６】
分割ジャケットは、中心支柱の外周に捲回できるように、２乃至４分割、中でも縦に等分な２分割とするのがよい。中心支柱の外面仕上げは普通精度で決して精密面ではないが、この上にジャケットを設けるので、中心支柱の表面は給水ボスの回転面とはならず、ジャケットの外周面が回転面となるので、この面の仕上げ精度を高めるだけでよいのである。また、分割給水ボスも、分割ジャケットの外周に設けることができるように、２乃至４分割、中でも縦に等分な２分割とするのがよい。
【０００７】
このような分割構造であると、既設の回転式培養装置にも大きな改造なしに中心支柱の外周に増設の形で容易に設置することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細な構造について回転式固体培養装置の図面によって固体培養の一種である製麹について具体的に説明するが、この実施例に限定されるものではない。
【０００９】
図１は本発明の給水構造を装着した回転式固体培養装置の断面図である。この場合、固体培養室としての製麹室１は床面２と断熱側壁３と断熱天井４とで囲われた内部に円柱からなる中心支柱５を設け、この中心支柱５を中心軸として回転する円盤床６がある。そして、円盤床６によって、上室７と下室８に区画され、上室側の円盤床６上に原料を供給して、製麹をする。製麹の過程で作動させる手入機９や出麹の過程で作動させる排出スクリュー10が上室７に設けられている。
【００１０】
製麹中の手入機９による撹拌操作や製麹後の排出スクリュー10による出麹操作で、原料の飛散や円盤床からの原料落下などが発生し、室内や各装置に汚染源が付着する。したがって、出麹直後に装置を清浄にする必要がある。本装置では、図１の左方に見られるように、下室8の床面２に立設した中空のポールに対し円盤床下面の半径方向に延びる給水パイプ11を接続し、この給水パイプ11に多数のノズル12を上向きに設けて円盤床６下面の洗浄装置13としている。
【００１１】
本発明の給水構造を備えた洗浄装置14は、このような床面固定式の洗浄装置13で行う円盤床６下面の洗浄とは別に、回転する円盤床６と共に回転して室内全域を清浄にするもので、そのために円盤床６下面の洗浄装置13とは別系統の給水経路を設けなければならないことになる。すなわち、本発明の給水構造を備えた室内面洗浄装置14は、底面２に対して固定された中心支柱５の外周に分割ジャケット15を捲回し、この分割ジャケット15の外周壁に給水口16を設けてジャケットへの給水パイプ17と接続している。そして、この分割ジャケット15の外周壁の給水口16の取付位置を避けてジャケットの外周面と水密状態で回転可能な排水口24付の分割給水ボス18を設けて、分割ジャケット15からその外周の分割給水ボス18を経て別系統の給水パイプ19へ給水するようにしたのである。
【００１２】
室内面洗浄装置14は円盤床６下面の洗浄装置13を避けて回転し、かつ円盤床６の下から上方へと、中心支柱５へと、更に断熱側壁３へとに洗浄ノズル噴射口が向くように、給水パイプ19を巡らせた状態で円盤床下に取り付けている。円盤床６の下から上方へ向けた洗浄ノズル噴射口は、洗浄水噴射の際に円盤床の一部を取り外すか、開口させて、水が直接天井まで達するようにしている。
【００１３】
図２は本発明の給水構造の内部を示す断面図であって、分割ジャケット15も分割給水ボス18も、この場合は縦に等分な左右２分割型で縦分割端面25で割れている。分割ジャケット15は中心支柱5の外周壁へ直接溶接で半截のジャケット相互を一体化してもよいし、合わせ端面にパッキンをはめて上下端面間に固定板を当ててねじ止めで一体化するなど種々な取付手段が採用できる。また、分割給水ボスも、半載の給水ボス相互を溶接、ねじ止め等で一体化する。
【００１４】
分割ジャケット15には連通孔20が複数(この場合は２個)周方向に設け、分割給水ボス18の連通孔21と分割給水ボス18が回転中も常時連通するようにしている。分割ジャケット15と分割給水ボス18との接触円周面には上下から摺動パッキン22とパッキン押え23にて水漏れを防いでいる。
【００１５】
【発明の効果】
本発明の洗浄装置における給水構造は、このような構造であるから、既設の回転式培養装置にも大きな改造なしに中心支柱の外周に増設の形で容易に設置することができる。したがって、従来の比較的雑菌に対する防止処置の不十分な装置の洗浄も完全にできるようになり、高品質の培養物の提供を可能とする効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の洗浄装置における給水構造を装着した回転式固体培養装置の断面図である。
【図２】本発明の給水構造の回転部の内部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
14 室内面洗浄装置
15 分割ジャケット
16 給水口
17 給水パイプ
18 分割給水ボス
19 給水パイプ
20 連通孔
21 連通孔
22 摺動パッキン
23 パッキン押え
24 排水口
25 縦分割端面

Claims (1)

1. 培養室内に設けた中心支柱を中心軸として回転する円盤床を有する回転式培養装置であって、床面に対して固定された既設又は新設の中心支柱の外周に給水口付の分割ジャケットを捲回し、該ジャケットの外周に排水口付の分割給水ボスを設け、該分割給水ボスは回転可能かつ水密状態になるよう分割給水ボスの上下に摺動パッキンを設け、該分割給水ボスと前記分割ジャケットとをそれぞれに設けた連通孔により摺動パッキン間の間隙を介して給水可能としてなる回転式培養装置の洗浄装置における給水構造。

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