JP4592585B2 - 音響センサ - Google Patents

音響センサ Download PDF

Info

Publication number
JP4592585B2
JP4592585B2 JP2005376057A JP2005376057A JP4592585B2 JP 4592585 B2 JP4592585 B2 JP 4592585B2 JP 2005376057 A JP2005376057 A JP 2005376057A JP 2005376057 A JP2005376057 A JP 2005376057A JP 4592585 B2 JP4592585 B2 JP 4592585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
acoustic
hole
acoustic sensor
fixed electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005376057A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007180821A (ja
Inventor
直輝 松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2005376057A priority Critical patent/JP4592585B2/ja
Publication of JP2007180821A publication Critical patent/JP2007180821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4592585B2 publication Critical patent/JP4592585B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Description

本発明は、音響センサに関し、特に半導体基板上に形成された音響センサに関する。
従来、音響振動を検出する半導体センサとして、コンデンサ型シリコンマイクロフォンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このマイクロフォンは、振動電極(ダイアフラム電極)と、振動電極に対向し、所定の間隔を隔てて配置された固定電極(バックプレート電極)とを備え、振動電極と固定電極とにより、キャパシタが形成される。固定電極には複数の音響ホールが設けられ、この音響ホールを外部から振動電極に至る音圧の伝達経路としている。
そして、マイクロフォンに音圧がかかると、振動電極が振動し、この振動による振動電極と固定電極との間隔の変化に起因して、静電容量が変化する。さらに、静電容量の変化に伴う2電極間の電圧の変化を電気的に読み取ることで、音響信号を得る。
ここで、シリコンマイクロフォンの感度は、以下の式(1)で示される。なお、Sは感度、Cは振動電極と固定電極との間の静電容量、Cparは配線などの寄生容量、Ctrは静電容量変化を電圧変化に変換するトランジスタの容量である。
S∽C/(C+Cpar+Ctr) ・・・(1)
この式(1)から明らかなように、静電容量Cを大きくすることで感度Sが大きくなり、シリコンマイクロフォンの高感度化を実現できる。
さらに、固定電極(固定電極が振動電極と対向する部分)の表面積をS、振動電極と固定電極との間の誘電率をεとすると、振動電極と固定電極との間の距離が異なる距離dからなるキャパシタの静電容量Cは、以下の式(2)で表すことができる。
=εS/d ・・・(2)
この式(2)から明らかなように、静電容量Cを大きくするためには、固定電極の表面積Sを大きく、距離dを小さくすることが有効である。
特表昭60−500841号公報
しかしながら、振動電極と固定電極との間の距離dを小さくする場合には、音圧による振動によって振動電極が湾曲して固定電極と接触する可能性が生ずるので、電極間距離dを小さくすることには限界があった。
また、固定電極の表面積Sを大きくする場合には、マイクロフォン自体の大きさが大きくなってしまう問題があった。これに対し、マイクロフォンの大きさを変更せずに表面積Sを大きくするには、音響ホールの大きさを小さくする必要があった。しかしながら、音響ホールの大きさを小さくした場合には、高周波音のカットオフ現象により低周波音のみ検出されるようになり、高周波音の感度が著しく低下してしまう問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、感度を向上させることが可能な音響センサの構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のある態様の音響センサは、半導体基板の上に設けられた第1電極と、第1電極とキャパシタを構成するように第1電極に対向し、所定の間隔を隔てて配置された第2電極と、第2電極の上に設けられ、第2電極を半導体基板に固定する絶縁膜と、第2電極および絶縁膜を貫通し、外部から第1電極に至る音圧の伝達経路となる孔部と、を備え、孔部の寸法は、電極間の所定の間隔よりも小さいことを特徴とする。
この態様によれば、第2電極に孔部を設けることによる静電容量の低下なしにマイクロフォンを構成することができるので、従来構造に比べて感度性能に優れた音響センサを提供することができる。
また別の態様によると、孔部の寸法は、第1電極側に向かって徐々に小さくなっていることを特徴とする。
この態様によれば、従来構造では孔部の上部側(第1電極とは反対側)で反射されていた、斜めから入射される直進性の強い高周波音が、孔部を通過して第1電極に到達するようになるので、高周波音に対する実質的な感度が向上し、マイクロフォンの周波数特性を一定に保持することが可能となる。
上記構成において、孔部は、第1電極側の開口部端と第1電極とは反対側の開口部端を結んだ傾斜に対して凸型の曲率を有していてもよい。さらに、この曲率は、傾斜と同じ角度となる変曲点を有し、この変曲点が第1電極側の開口部端と第1電極とは反対側の開口部端の中間点よりも反対側の開口部端側にずれていてもよい。このようにすることで、斜めから入射される高周波音が、孔部内の凸型の曲率を有する曲面に反射して孔部を通過するようになるので、音響センサの高周波音に対する感度および音響センサの周波数特性がさらに向上する。
本発明によると、感度を向上させることが可能な音響センサの構造を提供することができる。
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響センサ100の構成を示す上面図であり、図2は、図1の音響センサ100のA−A’断面図であり、図3は、図1の音響センサ100のB−B’断面図である。
本発明の第1実施形態に係る音響センサ100は、図1〜図3に示すように、シリコン基板1上に形成された振動電極4と、振動電極4に対向し、所定の間隔dを隔てて配置された固定電極6とを備え、振動電極4と固定電極6によりキャパシタを構成する。固定電極6には複数の音響ホール7aが設けられ、この音響ホール7aを外部から振動電極4に至る音圧の伝達経路としている。
音響センサ100は、エアギャップ層11、絶縁層8、犠牲層5、固定電極6、振動電極4、基板開口部10a、音響ホール7a、振動電極用パッド電極9a、固定電極用パッド電極9b、エッチストッパ2a、シリコン基板1等を含む。なお、図2および図3から明らかなように、図1において、エアギャップ層11等は上面から直接見ることができない。しかしながら、ここでは構造の理解を容易にするために、直接見えない部分も適宜見えるように示してある。
シリコン基板1は、音響センサ100の基板となる。シリコン基板1には、図2および図3に示すように、シリコン基板1の上側から下側に音孔10が穿設されている。また、図1に示すように、シリコン基板1の上側の表面における音孔10の基板開口部10aは、四角形の形状を有している。また、シリコン基板1の上側の表面は、エッチストッパ2aを備える。
振動電極4は、図2および図3に示すように、シリコン基板1の断面における音孔10を覆うように形成されている。具体的には、振動電極4は、音孔10を覆う領域は浮動状態に形成し、音孔10の外周領域においてシリコン基板1(エッチストッパ2a)上に固定されている。
固定電極6は、図2および図3に示すように、振動電極4の上方に設けられて、振動電極4と共にキャパシタを形成する。当該キャパシタは、音圧によって振動電極4が振動すれば、静電容量の値が変化する特性を有する。また、固定電極6は、基板開口部10a、即ち音孔10の少なくとも一部分を占めるような大きさで設計されている。
絶縁層8は、図2および図3に示すように、固定電極6を覆うように形成され、固定電極6の外周部において固定電極6をシリコン基板1に固定している。ここで、絶縁層8は、たとえばシリコン窒化膜(SiN膜)を用いる。
犠牲層5は、図2および図3に示すように、振動電極4と固定電極6とを絶縁するように形成されている。ここで、絶縁層8および固定電極6が、振動電極4との間に作ったスペースをエアギャップ層11と呼ぶ。また、絶縁層8および固定電極14には、それらを貫通する複数の音響ホール7aが形成されている。
この音響ホール7aは、外部側(上部側)から振動電極4に至る音圧の伝達経路となる。また、音響ホール7aの寸法は、外部側から振動電極4に向かって徐々に小さくなる順テーパな形状に形成されている。
振動電極用パッド電極9aと、固定電極用パッド電極9bは、振動電極4と固定電極6にそれぞれ接続して、所定の電圧を印加する。また、振動電極4と固定電極6によるキャパシタの静電容量が変化すれば、振動電極用パッド電極9aと固定電極用パッド電極9bとの間の電位差も変化するので、当該変化した電位差を音声信号として出力する。即ち、振動電極用パッド電極9aと固定電極用パッド電極9bは、キャパシタの静電容量の変化を間接的に検出する。出力した音声信号は、例えば、スピーカによって出力されたり、デジタル信号に変換して記憶されたりする。
なお、シリコン基板1は本発明の「半導体基板」、振動電極4は本発明の「第1電極」、固定電極6は本発明の「第2電極」、絶縁層8は本発明の「絶縁膜」及び音響ホール7aは本発明の「孔部」の一例である。
第1実施形態では、固定電極6に音響ホール7aを設けることによる静電容量の低下なしにマイクロフォンを構成することができるので、従来構造に比べて感度性能に優れた音響センサ100を提供することができる。
また、音響ホール7aの寸法が、外部側から振動電極4側に向かって徐々に小さくなっているため、斜めから入射される直進性の強い高周波音が、音響ホール7aを通過して振動電極4に到達しやすくなるので、高周波音に対する実質的な感度が向上し、音響センサ100の周波数特性を一定に保持することが可能となる。
図4は、音響ホール寸法と電極間静電容量の関係を示すシミュレーション結果(固定電極幅依存性)である。なお、図中には、音響ホール7aの寸法に対してそれぞれ等倍、2倍、4倍の場合の結果を示した。また、図4(A)〜(D)は、固定電極と振動電極との間の距離dを(A)1μm、(B)3μm、(C)10μm、及び(D)30μmとした場合である。
図4から明らかなように、音響ホール7aが小さい領域では、固定電極の寸法幅によらず静電容量がほぼ一定であり、それ以上の寸法である領域Bでは静電容量が大きく低下することが分かる。それぞれ電極間距離dが異なる場合を比較すると、領域Aと領域Bの境界はそれぞれ電極間距離dと同じ値であることが分かる。このように、マイクロフォンの音響ホールの寸法を少なくとも電極間距離dよりも小さくすることで、固定電極6に音響ホール7aを設けることによる静電容量の低下なしにマイクロフォンを構成することができる。
以下に、図4における静電容量の結果について説明する。
図5は、固定電極と振動電極の間の電気力線を示した音響センサの構造図である。図中には、(A)孤立固定電極の場合、(B)音響ホールの寸法が領域Aにある場合、(C)音響ホールの寸法が領域Bにある場合を示す。さらに、それぞれに対して、固定電極の直下の領域X、固定電極の近隣周辺領域Y、固定電極から離れた領域Zとした。ただし、説明の便宜上、三つの領域に分割しただけであり、実際は連続的で境界を有しているわけではない。
(A)の場合を用いて、それぞれの領域の電気力線と静電容量の寄与について説明する。まず、固定電極の真下の領域Xは電気力線の密度が高く電界が大きいため、静電容量としての寄与は大きい。一方、固定電極の外部の領域Yは電気力線の密度が低くなり電界が小さいため、静電容量としての寄与は小さくなる。さらに、領域Zの電界は極めて小さいため、静電容量としてほとんど寄与しない。
(B)の領域Aの場合、音響ホールの寸法が狭いため、それぞれの隣接する固定電極から発生する電界はそれぞれ相互作用を受けることになる。つまり、音響ホールの寸法が多少変化したとしても、領域Y’の大きさが変化するだけであり、振動電極側から見ると、ほぼ一様の電界分布となる。したがって、図4における領域Aの静電容量がほぼ一定の値となったと考えられる。
(C)の領域Bの場合、音響ホールの寸法が十分に広いため、隣り合う固定電極の相互作用は小さく、それぞれの固定電極としては、(A)とほぼ同じ電界分布となる。この場合、その静電容量の値は固定電極の面積で決定されることになる。したがって、図4における領域Bのように、音響ホールの寸法を大きくすると静電容量が小さくなったと考えられる。
図6は、外部から入射する高周波音の伝達経路を示した音響センサの構造図である。図中には、(A)音響ホールが垂直な場合、及び(B)音響ホールがテーパ形状の場合を示す。なお、図中では、電極間距離d、固定電極幅W、及び音響ホール底部での寸法aはすべて同じとした。
一般的な音の特性として、低周波数の音波は陰になる部分に音が回り込む回折現象が起こるが、高周波数の音波は波長が短く直進性が強いために回折現象が起こりにくい。このため、音響ホールに対してある程度の角度を有して音が入射する場合には、低周波音のみが感度よく検出され、高周波音の感度は著しく低下してしまう現象(高周波音のカットオフ現象)が生じる。
図6から明らかなように、従来構造の音響ホール(A)の場合には、直進性の高い高周波音がある角度で入射されると、ある部分では高周波音はその表面で反射され、振動電極に到達しない。これに対し、本発明の音響ホール(B)では、音響ホールの底部の寸法を変えずに、音響ホールの側壁に傾斜をかけることで、従来構造で反射していた高周波音がそのまま入射し、振動電極に到達するようになる。両構造において固定電極の下部面積は等しいので、静電容量はほぼ同じであるが、振動電極に到達する音波の量が増えるので、高周波音に対する実質的な感度が向上し、結果として音響センサの周波数特性を一定に保持することが可能となる。
図7は、従来構造と傾斜構造における高周波音に対するカットオフの度合いのシミュレーション結果(入射角度依存)を示す。なお、これらの構造では、音響ホール寸法3μm(下部)、固定電極高さ(絶縁膜含む)2μm、固定電極幅3μmとし、傾斜構造での傾斜角度を75度とした。
図7から明らかなように、入射角度が90度(音響ホールに対して真正面)に近い領域では傾斜構造の効果が大きいことが分かる。一般的にマイクロフォンや超音波センサを使用する場合、90度に近い領域を主に使用するため、傾斜構造の効果は顕著である。しかしながら、低入射角度(約50度以下)では、高周波音のカットオフが増加している。これは、従来構造での音響ホールの側面に到達した高周波音は、多重反射を繰り返して音響ホールを通過し、振動電極に達するが、傾斜構造では傾斜角度と入射角度との関係によっては、多重反射によって音響ホール外に高周波音が反射してしまい振動電極に達しないためである。
次に、本発明の第1実施形態に係る音響センサ100の製造方法について、図8〜図11を用いて説明する。なお、図8〜図11は、図2と同様に、図1の音響センサ100でのA−A’断面に対応する。
まず、図8(A)に示す工程1において、両面研磨シリコン基板1上に、減圧CVD法を用いて、エッチストッパ2a,2bを約200nm成膜する。エッチストッパ2bは、シリコン基板1を裏面からエッチングする際のマスクとなり、エッチストッパ2aは、後にシリコン基板1を裏面からエッチングする際のストッパとなる。エッチストッパ2a,2bには、シリコン窒化膜を用いることが一般的である。シリコン窒化膜を形成する際に用いるガスは、モノシランとアンモニア、ジクロロシランとアンモニアなどであり、成膜温度は、300〜600℃である。
図8(B)に示す工程2において、エッチストッパ2aの全面上に、プラズマCVD法または常圧CVD法を用いて、約500nmの厚みを有する犠牲層3を形成する。犠牲層3には、リン(P)を含むシリコン酸化膜を用いることが一般的であるが、フッ酸(HF)に可溶であればどの膜を用いてもよい。この犠牲層3は、後にHFによるエッチングで除去するため、最終的な構造体には残らない膜である。その後、犠牲層3に対して、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する。
図8(C)に示す工程3において、エッチストッパ2aおよび犠牲層3の全面上に、振動電極4を約1μm成膜する。振動電極4には、ポリシリコンを用いることが一般的であるが、その他の導電性のある材料を用いてもよい。そして、振動電極4に対して、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する。
図9(D)に示す工程4において、振動電極4の上に3μm程度の犠牲層5を成膜する。犠牲層5には、犠牲層3と同様、リン(P)を含むシリコン酸化膜を用いることが一般的であるが、フッ酸(HF)に可溶であればどの膜を用いてもよい。後工程でエアギャップ層11(図2参照)となる部分の犠牲層5は、後にHFによるエッチングで除去するため、最終的な構造体には残らない。なお、最終的な構造体には残る部分の犠牲層5については、振動電極4と固定電極6とを絶縁する絶縁層として機能する。そして、犠牲層5に対して、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて周辺部を除去し、開口部を有する犠牲層5を形成する。ここで、犠牲層5の膜厚は、最終的な電極間のエアギャップ距離となることから、容量(C=e*S/d、e:誘電率、S:電極面積、d:エアギャップ距離)、つまり感度に反映されるとともに、音響センサ100の構造の強固性にも大きな影響を及ぼす。例えば、エアギャップ層11が狭すぎると振動電極4と固定電極6が接触してしまい、センシング出来なくなる。
図9(E)に示す工程5において、犠牲層5の上に、固定電極6を形成する導電膜を成膜する。機械強度の観点から、本導電膜は、ポリシリコンが望ましい。そして、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する。このパターニングの際、エアギャップ層内の空気が振動電極4の変位に応じて移動するための音響ホール7を同時にパターニングしておく。
図9(F)に示す工程6において、固定電極6および犠牲層5の上に、モノシランおよびアンモニアからなる混合ガスによるプラズマCVD法(PE−CVD法)を用いて、約1μmの厚みを有するシリコン窒化膜(SiN膜)からなる絶縁層8を形成する。
図10(G)に示す工程7において、絶縁膜8に対して、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する。ここでの不要な部分とは、周辺部だけでなく、パッド部分20と音響ホール7aを含む。この絶縁膜8のパターニングの際、先に加工した音響ホール7に位置を整合し、ホール底部において導電膜により形成したものより径が小さい音響ホール7aを同時に形成する。この音響ホール7aの寸法は、絶縁膜8の上部から下部(振動電極4の方向)に向かって徐々に小さくなる順テーパな形状に仕上げておく。なお、この音響ホール7aは、後述する工程を経て、外部側(上部側)から振動電極4に至る音圧の伝達経路となる。
図10(H)に示す工程8において、パッド部分20に、振動電極用パッド電極9aや固定電極用パッド電極9b(図示せず)のパッド電極を形成する。パッド電極には、アルミニウム、銅、金などの低抵抗金属膜が特に適している。形成方法としては、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いる方法もあるが、いわゆるメッキレジスト法やレジストエッチオフ方などの技術を適用してもよい。
図11(I)に示す工程9において、シリコン基板1の裏面側のエッチストップ2bに対して、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する。
図11(J)に示す工程10において、パターニングされたエッチストップ2aをマスクとして用いて、水酸化カリウム水溶液(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)などのアルカリエッチング液で等方性エッチングを行う。この等方性エッチングは、工程1において成膜したエッチストッパ2aで自動的にエッチングストップされる。これにより、シリコン基板1に基板開口部10が形成される。
図11(K)に示す工程11において、シリコン基板1の裏面側からこの開口した部分のエッチストッパ2aをエッチング液(例えば、リン酸)やドライエッチにより除去する。その後に、シリコン基板1の裏面側から、HFを用いて犠牲膜3を除去するとともに、音響ホール7a側から犠牲膜5を選択的にエッチング除去して、エアギャップ層11を最終的に形成する。
以上の工程により、図2および図3に示す音響センサ100が製造される。
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態に係る音響センサ100aを示した断面図である。第1実施形態と異なる箇所は、固定電極6を半導体基板1に固定する絶縁膜が、固定電極6上のシリコン窒化膜(SiN膜)8aと、固定電極6およびシリコン窒化膜8aの側壁をスペーサ状に覆うシリコン窒化膜(SiN膜)8bから構成されていることである。それ以外については第1実施形態と同様である。なお、音響ホール7bは、シリコン窒化膜8bの上部側の開口部端と下部側の開口部端を結んだ直線状の傾斜に対して凸型の曲率を有しており、この曲率面の各点における接線は上部側から連続的に急峻に変化することになる。スペーサ形状では、この曲率面における接線に傾斜と同じ角度となる変曲点が存在し、この変曲点が音響ホール7bの中間点よりも外部側(上側)に位置するように形成される。
第2実施形態では、斜めから入射される高周波音によっては、音響ホール7b内の凸型の曲率を有する曲面に反射して音響ホール7bを通過するようになるので、音響センサ100aの高周波音に対する感度および音響センサの周波数特性が向上する。
図13は、第2実施形態における外部から入射する高周波音の伝達経路を示した音響センサの構造図である。図中には、(A)音響ホールが傾斜構造の場合、及び(B)音響ホールの側壁が従来の傾斜構造に対し凸状の曲率を有する場合を示す。なお、図中では、音響ホールの寸法は上部および底部で同じとした。
図13から明らかなように、傾斜構造の音響ホール(A)の場合には、高周波音がある角度で入射されると、ある部分(音波D)では反射によって音響ホールを通過して振動電極に到達するが、ある部分(音波A〜C)では多重反射によって高周波音が音響ホール外に反射され、振動電極に到達しない。これに対し、側壁が曲率を有する音響ホール(B)では、入射された音波は曲率部の接線に対して反射するため、音波が広がることになる。このため、音響ホール(B)では、音響ホールの下部に達した音波はより下方向(振動電極の方向)に、上部に達した音波はより上方向(外部の方向)に反射する。この結果、単純な傾斜構造(A)の場合とは異なり、入射された音波が音響ホールをより通過しやすくなり、振動電極に到達する音波の量がさらに増えるので、高周波音に対する実質的な感度が向上し、マイクロフォンの周波数特性を一定に保持することが可能となる。
なお、音響ホールの側壁が従来の傾斜構造に対し凸状の曲率をもたせた場合には、この曲率面の各点における接線に、傾斜構造の傾斜と同じ角度となる変曲点が存在する。この変曲点は音波の反射に関する境界となり、この変曲点よりも上部の領域では音波はより上方向に反射しやすく、その下部の領域ではより下方向に反射しやすい。本発明に係る音響センサでは、音波をできるだけ下方向に反射させて音響ホールを通過させた方が、感度向上効果が大きくなることから、この変曲点をできるだけ上部に配置した方がより有効である。第2実施形態では、この変曲点が音響ホール7bの中間点よりも外部側(上側)に位置するように形成されているので、感度向上効果を顕著に得ることができる。
図14は、傾斜構造と曲率構造における高周波音に対するカットオフの度合いのシミュレーション結果(入射角度依存)を示す。なお、傾斜構造(A)では、音響ホール寸法3μm(下部)、固定電極高さ(絶縁膜含む)2μm、固定電極幅3μmとし、傾斜構造での傾斜角度を75度とし、曲率構造(B)では、傾斜構造に曲率4μmの円を追加した。
図14から明らかなように、約60度以下の入射角度において、曲率構造(B)における高周波音のカットオフが増加している。これは、音響ホールの側壁に凸状の曲率を持たせることで、高周波音の音波がより集音されていることを示す。この結果、音響ホールの側壁に凸状の曲率を持たせた場合には、感度および周波数特性が向上した音響センサを得ることができる。
図15は、本発明の第2実施形態に係る音響センサ100aの製造方法の一部を示す断面図である。
先の第1実施形態では工程7において、ホール底部において導電膜6により形成したホール7より径が小さい音響ホール7aを形成したが、第2実施形態では、図15(A)に示す工程7Aにおいて、通常のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて不要な部分を除去する際、それと同じ寸法の音響ホール7を形成する。この際の音響ホール形状は、実質的に垂直に形成する。
次に、図15(B)に示す工程7Bにおいて、絶縁膜8aの上に、モノシランおよびアンモニアからなる混合ガスによるPE−CVD法を用いて、約0.4μmの厚みを有するシリコン窒化膜(SiN膜)からなる絶縁層8’をコンフォーマルに形成する。
次に、図15(C)に示す工程7Cにおいて、シリコン窒化膜8’に対してドライエッチングを用いて全面エッチバックすることにより、固定電極6およびシリコン窒化膜8aの周囲に、サイドウォールと呼ばれるシリコン窒化膜8bを形成する。
この後の工程に関しては、第1実施形態での工程8に続き、図12に示す音響センサ100aが製造される。
なお、第2実施形態に記載した製造方法を用いることにより、第1実施形態に記載した製造方法に比べて、音響センサとしての感度の向上だけでなく、歩留りを向上させることが可能となる。これは、第1実施形態の固定電極6の側壁に存在する絶縁膜8の厚さが、フォトリソグラフィの合わせマージンで決定されるためウエハ面内のばらつきが大きくなるのに対して、第2実施形態の固定電極6の側壁に存在する絶縁膜8bの厚さは、成膜時の膜厚ばらつきで決定されるためウエハ面内のばらつきを比較的小さくすることができるからである。また、側壁の絶縁膜の厚さが歩留りに影響する原因としては、工程10に記載のウエットエッチングの際に、側壁の絶縁膜の厚さが不十分な場所があると薬液が固定電極6まで浸入し、固定電極6を溶解してしまうからである。
以上、実施の形態により本発明を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の音響センサに適用することができる。
上述の実施形態では、変曲点が1箇所である単純な凸状の曲率面を有する音響ホールについて説明しているが、これに限られない。入射された音波を下方向に反射させて音響ホールを通過させることができれば、音響ホールの側壁面が、変曲点を2箇所有する略S字状であってもよい。また、音響ホールの側壁面に変曲点を3箇所以上有していてもよい。
また、上述の実施形態では、1種類の音響ホールを用いた場合について説明しているが、音響センサの感度を向上させるために、複数の側壁形状を有する音響ホールを組み合わせて音響センサを構成してもよい。
本発明の第1実施形態に係る音響センサの構成を示す上面図である。 図1の音響センサのA―A’断面図である。 図1の音響センサのB―B’断面図である。 音響ホール寸法と電極間静電容量の関係を示すシミュレーション結果(固定電極幅依存性)である。 固定電極と振動電極との間の電気力線を示した音響センサの構造図である。 外部から入射する高周波音の伝達経路を示した音響センサの構造図である。 従来構造と傾斜構造における高周波音に対するカットオフの度合いのシミュレーション結果(入射角度依存)である。 本発明の第1実施形態に係る音響センサの製造プロセスを説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態に係る音響センサの製造プロセスを説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態に係る音響センサの製造プロセスを説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態に係る音響センサの製造プロセスを説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態に係る音響センサを示した断面図である。 第2実施形態における外部から入射する高周波音の伝達経路を示した音響センサの構造図である。 傾斜構造と曲率構造における高周波音に対するカットオフの度合いのシミュレーション結果(入射角度依存)である。 本発明の第2実施形態に係る音響センサの製造方法の一部を示す断面図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2a,2b エッチストッパ
3 犠牲層
4 振動電極
5 犠牲層
6 固定電極
7a 音響ホール
8 絶縁膜
9a 振動電極用パッド電極
10a 基板開口部
11 エアギャップ層
100 音響センサ

Claims (4)

  1. 半導体基板の上に設けられた第1電極と、
    前記第1電極とキャパシタを構成するように前記第1電極に対向し、所定の間隔を隔てて配置された第2電極と、
    前記第2電極の上に設けられ、前記第2電極を前記半導体基板に固定する絶縁膜と、
    前記第2電極および絶縁膜を貫通し、外部から前記第1電極に至る音圧の伝達経路となる孔部と、
    を備え、
    前記孔部の寸法は、電極間の前記所定の間隔よりも小さいことを特徴とした音響センサ。
  2. 前記孔部の寸法は、前記第1電極側に向かって徐々に小さくなっていることを特徴とした請求項1に記載の音響センサ。
  3. 前記孔部は、前記第1電極側の開口部端と前記第1電極とは反対側の開口部端とを結んだ傾斜に対して凸型の曲率を有していることを特徴とした請求請2に記載の音響センサ。
  4. 前記曲率は、前記傾斜と同じ角度となる変曲点を有し、この変曲点が前記第1電極側の開口部端と前記第1電極とは反対側の開口部端の中間点よりも前記反対側の開口部端側にずれていることを特徴とした請求項3に記載の音響センサ。
JP2005376057A 2005-12-27 2005-12-27 音響センサ Expired - Fee Related JP4592585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005376057A JP4592585B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 音響センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005376057A JP4592585B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 音響センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007180821A JP2007180821A (ja) 2007-07-12
JP4592585B2 true JP4592585B2 (ja) 2010-12-01

Family

ID=38305542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005376057A Expired - Fee Related JP4592585B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 音響センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4592585B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010074523A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 Rohm Co Ltd 犠牲層のエッチング方法、memsデバイスの製造方法およびmemsデバイス
US8461655B2 (en) * 2011-03-31 2013-06-11 Infineon Technologies Ag Micromechanical sound transducer having a membrane support with tapered surface
TW201501543A (zh) * 2013-06-21 2015-01-01 Hon Hai Prec Ind Co Ltd 揚聲器
JP7067891B2 (ja) * 2017-10-18 2022-05-16 Mmiセミコンダクター株式会社 トランスデューサ
US11716578B2 (en) 2021-02-11 2023-08-01 Knowles Electronics, Llc MEMS die with a diaphragm having a stepped or tapered passage for ingress protection

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004128957A (ja) * 2002-10-03 2004-04-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 音響検出機構
JP2005020411A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> シリコンマイクの作製方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004128957A (ja) * 2002-10-03 2004-04-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 音響検出機構
JP2005020411A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> シリコンマイクの作製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007180821A (ja) 2007-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9809444B2 (en) System and method for a differential comb drive MEMS
US10259701B2 (en) Comb MEMS device and method of making a comb MEMS device
CN108584863B (zh) Mems器件及其制造方法
JP5692878B2 (ja) Memsマイクロフォンと製造方法
KR101357312B1 (ko) 테이퍼 형상 표면을 갖는 멤브레인 지지대를 구비한 마이크로기계 음향 변환기 및 제조 방법
CN108600928B (zh) Mems器件及其制造方法
JP5267627B2 (ja) 音響センサ及びその製造方法
US9326081B2 (en) Microphone, acoustic sensor, and method of manufacturing acoustic sensor
US8722446B2 (en) Acoustic sensor and method of manufacturing the same
EP1881737A2 (en) Silicon microphone and manufacturing method therefor
EP2579617B1 (en) Acoustic transducer, and microphone using the acoustic transducer
JP4592585B2 (ja) 音響センサ
JP2007067893A (ja) 音響センサ
US11156519B2 (en) Capacitive pressure sensor
CN108996466A (zh) Mems器件及其形成方法
US20180352339A1 (en) Mems devices and processes
US20230011561A1 (en) Piezoelectric microphone with enhanced anchor
JP4737535B2 (ja) コンデンサマイクロホン
US20190110126A1 (en) Mems devices and processes
JP2006121465A (ja) 音響センサ及び音響センサの製造方法
US20230092374A1 (en) Piezoelectric mems microphone with cantilevered separation
US12069455B2 (en) Process of fabricating lateral mode capacitive microphone including a capacitor plate with sandwich structure
CN212435926U (zh) 级联微型麦克风
JP2007274293A (ja) コンデンサマイクロホン
US20230319484A1 (en) Mems sensor with two compliances

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100914

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees