実施の形態1.
図1は、実施の形態1における画素信号生成装置101を備える撮像装置の構成を示すブロック図である。図1において、レンズ1は、被写体によって反射された光(以下、入射光という。)を二次元撮像素子2の受光面(図示せず)に集光させる。
二次元撮像素子2はフォトダイオード(図示せず)によって構成され、当該フォトダイオードは、当該二次元撮像素子2の画素に対応付けて配置される。そして、二次元撮像素子2の画素上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に対応する分光感度特性を有する色フィルタ(図示せず)が配設される。なお、当該色フィルタは、例えば、図2に示すようなベイヤ(Bayer)型に配置される。
二次元撮像素子2は、入射光に応じて光電変換を行い、入射光の光量に応じた信号レベルを有するアナログ画素信号を画素毎に出力する。そして、当該アナログ画素信号は、A/D変換器3に入力される。A/D変換器3は、入力されたアナログ画素信号をデジタル画素信号に変換し、当該デジタル画素信号をフレームメモリ4に出力する。フレームメモリ4は、A/D変換器3から出力されたデジタル画素信号を前記二次元撮像素子2における各画素に対応付けて記憶する。
図3は、前記ベイヤ型配列におけるR、G、B各色の色フィルタの位置を説明するための説明図である。具体的に説明すると、図3(a)はRの色フィルタの位置、図3(b)はGの色フィルタの位置、図3(c)はBの色フィルタの位置を示す。
図3のように、各色に対応する色フィルタは、例えば、Rの色フィルタは4つの画素毎に1つ設けられる。したがって、前記4つの画素のうち、Rの色フィルタ以外の色フィルタが設けられる3つの画素においてはR色が不足色となる。また、Gの色フィルタは2つの画素毎に1つ設けられる。したがって、前記2つの画素のうち、Gの色フィルタ以外の色フィルタが設けられる他の画素においてはG色が不足色となる。さらに、Bの色フィルタは4つの画素毎に1つ設けられる。したがって、前記4つの画素のうち、Bの色フィルタ以外の色フィルタが設けられる他の画素においてはB色が不足色となる。
上述のように、二次元撮像素子2の画素上には、各画素に対応してR、G、Bの色フィルタが配置されている。したがって、各画素からはR、G、Bのうち、1つの色に対応する画素信号のみが得られ、他の2つの色に対応する画素信号は得られない。例えば、Gの色フィルタが配置された画素においては、G色に対応する画素信号のみが得られ、R色に対応する画素信号およびB色に対応する画素信号を得ることができない。すなわち、この場合には、G色が既知色となり、R色およびB色が不足色となる。そこで、実施の形態1においては画素信号生成装置101によって不足色に対応する画素信号の補間を行なう。なお、以下、画素信号の補間を画素信号の生成ともいう。
また、当該画素信号生成装置101における画素信号の補間は、以下の6つの処理を含み、当該6つの処理は画面上(1フレーム内)の全ての画素に対して行なう。
(ST1) R色が既知色である画素に対し、G色の画素信号を補間する処理。
(ST2) B色が既知色である画素に対し、G色の画素信号を補間する処理。
(ST3) G色が既知色である画素に対し、R色の画素信号を補間する処理。
(ST4) G色が既知色である画素に対し、B色の画素信号を補間する処理。
(ST5) R色が既知色である画素に対し、B色の画素信号を補間する処理。
(ST6) B色が既知色である画素に対し、R色の画素信号を補間する処理。
なお、前記6つの処理を行なう順序は任意に設定可能である。また、前記6つの処理を一般化していうと、「K色(KはR、G、またはBであって注目画素における既知色と同一の色)の画素信号が存在する画素位置におけるL色(LはR、G、またはBであって注目画素における未知色と同一の色)の画素信号を求めるための処理」となる。
以下、当該画素信号生成装置101について具体的に説明する。画素信号生成装置101において、ローパスフィルタ手段5は、フレームメモリ4から必要に応じて読み出した画素信号に対し、ローパスフィルタリング処理を行なって、第1の相関分析手段6または第2の相関分析手段7に出力する。
第1の相関分析手段6は、複数の画素から構成され、任意に設定する第1の範囲において、注目画素における既知色である色(K色)と同一の色を既知色とする画素が有する画素信号と、注目画素における不足色である色(L色)と同一の色を既知色とする画素が有する画素信号との相関関係を分析し、当該第1の範囲におけるK色とL色との相関関係(以下、第1の相関関係ともいう。)を算出する。
具体的には、例えば、第1の範囲に含まれる画素において、K色を既知色とする画素の画素信号に対応する値を説明変数、L色を既知色とする画素の画素信号に対応する値を目的変数として回帰分析を行ない、当該第1の範囲におけるK色とL色との相関関係を表わす回帰式を算出する。
なお、当該第1の相関分析手段6における相関関係の分析に使用する画素信号は、フレームメモリ4に格納された画素信号、またはローパスフィルタ手段5から出力された画素信号である。また、前記第1の範囲は、注目画素を含み、当該注目画素から所定の距離内に配置された画素を含む範囲である。また、前記所定の距離は、実施の形態1の画素信号を適用する装置等に応じて任意に設定する。
第2の相関分析手段7は、複数の画素から構成され、任意に設定する第2の範囲において、前記第1の相関分析手段6と同様に、注目画素における既知色である色(K色)と同一の色を既知色とする画素が有する画素信号と、注目画素における未知色である色(L色)と同一の色を既知色とする画素が有する画素信号との相関関係を分析し、当該第2の範囲におけるK色とL色との相関関係(以下、第2の相関関係ともいう。)を算出する。
具体的には、例えば、第2の範囲に含まれる画素において、K色を既知色とする画素の画素信号に対応する値を説明変数、L色を既知色とする画素の画素信号に対応する値を目的変数として回帰分析を行い、当該第2の範囲におけるK色とL色との相関関係を表わす回帰式を算出する。
なお、当該第2の相関分析手段7における相関関係の分析に使用する画素信号は、フレームメモリ4に格納された画素信号、またはローパスフィルタ手段5から出力された画素信号である。また、前記第2の範囲は、当該注目画素から所定の距離内に配置された画素を含む範囲であり、注目画素を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、前記所定の距離は、実施の形態1の画素信号を適用する装置等に応じて任意に設定する。例えば、第2の範囲としては、前記第1の範囲よりも広い範囲に配置された画素を含むように設定する。なお、第2の範囲と第1の範囲とは、一部重複してもよい。
ここで、第1の相関分析手段6および第2の相関分析手段7において算出される回帰式は、注目画素周辺の局所的な領域に配置された画素の画素信号に対応する値を色空間上にプロットしたとき、各画素信号に対応する値が分布している方向を近似的に示すものである。すなわち、当該局所的な領域内において、各画素に対応する色(R、G、Bによって構成される色)が色Aから色B(色Aとは異なる色。)に変化している場合、当該局所的な領域に対応する回帰式は、色空間上の色Aと色Bとを結ぶ直線となる。そして、局所的な領域における各画素の画素信号に対応する値の色空間上での位置は、当該直線上の値に近い値となる。
第1の補間手段8は、まず、第1の相関分析手段6において算出した第1の相関関係と、フレームメモリ4に格納され、注目画素における既知色(K色)に対応する画素信号とに基づいて、注目画素における不足色(L色)に対応する画素信号の生成に使用する第1範囲補間値を算出する。次に、第2の相関分析手段7において算出した第2の相関関係と、フレームメモリ4に格納され、注目画素における既知色に対応する画素信号とに基づいて、注目画素における不足色(L色)に対応する画素信号の生成に使用する第2範囲補間値を算出する。そして、第1範囲補間値および第2範囲補間値に基づいて、注目画素における不足色(L色)に対応する画素信号を補間する第1の補間値を算出して、選択手段11に出力する。なお、当該第1の補間値の算出は、例えば、第1範囲補間値と第2範囲補間値との平均値を算出することにより行なう。
第2の補間手段9は、第1の補間手段8とは異なる方法で第2の補間値を算出して選択手段11に算出する。例えば、当該第2の補間値の算出は、注目画素近傍に配置され、当該注目画素において不足色である色を既知色とする画素の画素信号に対応する値の平均値を算出することにより行なう。
比較手段10は、第1の相関関係と第2の相関関係とを比較して、これらの相関関係の信頼性を評価し、評価結果に対応する信号を選択手段11に出力する。具体的には、第1の相関関係と第2の相関関係とが略同じような傾向にある場合には、両相関関係の信頼性が高いと評価する。通常、注目画素近傍における複数の色の間に一定の相関関係が成立している場合(具体的には、例えば、注目画素近傍に似たような色が分布している場合)には、第1の相関関係と第2の相関関係とが略同じような傾向となる。
一方、当該比較手段10は、第1の相関関係と第2の相関関係とが異なる傾向にある場合には、両相関関係の信頼性が低いと評価する。通常、注目画素近傍において、多数の色が入り混じっている場合、または色が細かく変化している場合には、第1の相関関係と第2の相関関係とが異なる傾向となる。
上述のように当該比較手段10において信頼性の評価を行なうことで、第1の相関関係または第2の相関関係が誤っていることにより、これらの相関関係を用いて求めた第1範囲補間値または第2範囲補間値に基づいて得られる第1の補間値が誤った値となることを防止することができる。
選択手段11は、比較手段10における評価結果に応じて、第1の補間値と第2の補間値のいずれか一方を選択し、選択した補間値に対応する信号を、注目画素における不足色(L色)に対応する画素信号(以下、生成信号ともいう。)として、フレームメモリ4に出力する。
通常、比較手段10において、相関関係の信頼性が高いと評価された場合、当該相関関係に基づいて得られた第1の補間値の信頼性も高い。そこで、当該選択手段11は、比較手段10において相関関係の信頼性が高いと評価された場合には、第1の補間値の信頼性も高いと評価し、不足色を補間する補間値として当該第1の補間値を選択する。一方、比較手段10において信頼性が低いと評価された場合には、第1の補間値の信頼性も低いと評価し、相関関係を使用せずに算出された第2の補間値を、不足色を補間する補間値として選択する。そして、選択された第1の補間値または第2の補間値に対応する画素信号がフレームメモリ4に出力され、当該フレームメモリ4は、入力された補間値を注目画素に対応付けて格納する。
上述の処理を繰り返し、全ての画素に対する前記6つの処理が終了すると、一画面上の全ての画素における不足色に対応する画素信号が得られる。すなわち、全ての画素についてR信号、G信号およびB信号が得られる。そして、全ての不足色に対応する画素信号が得られると、図示しない制御手段が、フレームメモリ4に格納されているR信号、G信号およびB信号を当該撮像素子に接続された機器等に出力する。なお、フレームメモリ4に格納されているR信号、G信号およびB信号をまとめてRGB信号として出力してもよいし、R信号、G信号またはB信号を別個に出力するようにしてもよい。
以下、画素信号生成装置101における、不足色に対応する画素信号の生成について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図4に示すように、前記6つの処理を前記(ST1)から順に(ST6)まで行なう場合について説明する。すなわち、まず、
R色の画素信号を有する画素に対してG色の画素信号を生成し(ST1)、次に、B色の画素信号を有する画素に対してG色の画素信号を生成し(ST2)、次に、G色の画素信号を有する画素に対してR色の画素信号を生成し(ST3)、次に、G色の画素信号を有する画素に対してB色の画素信号を生成し(ST4)、次に、R色の画素信号を有する画素に対してB色の画素信号を生成し(ST5)、最後に、B色の画素信号を有する画素に対してR色の画素信号生成する(ST6)場合について説明する。
図5は、二次元撮像装置2の出力をA/D変換することにより得られる画素信号を当該二次元撮像装置2の画素位置に対応付けて模式的に示した模式図である。図5において、各マスは各画素を表す。また、当該マス内に記載したR、G、Bは各画素において既知色である色を示し、カッコ内の数字はベイヤ型配列における各画素の座標値(l=行、m=列)を示す。なお、以下の説明においては、行方向(l方向)を右、当該行方向と反対の方向を左ともいい、列方向(m方向)を下、当該列方向と反対の方向を上ともいう。
以下、まず、前記図5におけるR(4,4)を注目画素とし、当該R(4,4)に対して不足色の1つであるG色に対応する画素信号を生成する場合(すなわち、ST1)について説明する。なお、図6は、当該ST1における、R色を既知色とする画素に対してG色の画素信号を生成する手順を説明するためのフローチャートであり、以下、当該図6に従って説明する。
注目画素としてR(4,4)が選択される(ST8)と、第1の相関分析手段6は、図7に示すような注目画素近傍の範囲を第1の範囲21とする(ST9)。具体的に説明すると、実施の形態1においては、注目画素から上下方向に2画素離れた位置にありR色を既知色とする画素および注目画素を含む範囲を第1の範囲21とする。
第1の相関分析手段6は、第1の範囲21におけるR色とG色との相関関係(第1の相関関係)を算出する。しかしながら、R色に対応する画素信号についてはR(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)から得ることができるものの、これらの画素(R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4))においてはG色が不足色であるため、これらの画素に対応するG色の画素信号を得ることはできない。したがって、当該第1の範囲21における相関関係の算出に際しては、G色に対応する画素信号を何らかの方法で得る必要がある。
そこで、実施の形態1においては、これらの画素(R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4))の各々に隣接し、G色を既知色とする画素に対応する画素信号に基づいて、G色に対応する新たな画素信号を生成する。具体的には、ローパスフィルタ手段5によってG色に対応する新たな画素信号を生成する(詳細は後述する。)。
なお、実施の形態1においては、図4に示した手順により不足色に対応する画素信号を生成するため、ST1の段階においてR色の画素に対してG色の画素信号が存在しないが、手順を入れ替えることによりR色を既知色とする画素に対してG色に対応する画素信号が既に生成されている場合には、既に生成されたG色に対応する画素信号を使用して相関関係を算出してもよい。
第1の相関分析手段6は、第1の相関関係を算出するに際し、まず、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の各々に対応する画素信号をフレームメモリ4から読み出し、下記式(1)〜(3)に示すように、当該画素信号に対応する値を第1の説明変数X1(i)(i=1〜3)とする(ST10)。
X1(1)=R(2,4) (1)
X1(2)=R(4,4) (2)
X1(3)=R(6,4) (3)
なお、実施の形態1においては、注目画素と、注目画素から上下に2画素離れた位置にあり、R色を既知色とする画素を含む範囲を第1の範囲21としたため、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)に対応する画素信号を使用するが、当該第1の範囲21の設定によっては、注目画素の左右方向に2画素離れた位置にあり、R色を既知色とする画素(R(4,2)、R(4,6))の画素信号を使用してもよいし、上下左右方向に2画素離れた位置にあり、R色を既知色とする画素(R(2,4)、R(6,4)、R(4,2)、R(4,6))の画素信号を使用してもよい。
また、実施の形態1においては、第1の範囲21に含まれるR色を既知色とする画素に対応する画素信号を全て使用したが、必ずしも当該第1の範囲21における全ての画素信号を使用しなくてもよい。したがって、例えば、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)のうち、1つまたは2つ画素信号を説明変数とするようにしてもよい。これにより、演算量を軽減することができる。ただし、第1の範囲に含まれる画素に対応する画素信号を全て使用する方が、相関関係の算出をより正確に行なうことができる場合が多い。
次に、第1の相関分析手段6は、R(2,4)、R(4,4)、R(6,4)に対応するG色の画素信号をフレームメモリ4から読み出して目的変数を作成する。しかしながら、ST1の段階においては、第1の範囲21におけるR(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の画素に、G色に対応する画素信号が存在しない。そこで、ローパスフィルタ手段5の出力(以下、ローパスフィルタ値ともいう。)を使用して目的変数とする。
ローパスフィルタ手段5では、例えば、ローパスフィルタ値を算出する画素(ST1においては、R(2,4)、R(4,4)およびR(6,4))の近傍にある画素であって、G色を既知色とする画素に対応する画素信号をフレームメモリ4から読み出す。そして、当該画素信号に対応する値の平均値を算出し、当該画素に対応するG色のローパスフィルタ値として出力する。
具体的に説明すると、実施の形態1においては、下記式(4)〜(6)に示すように、第1の範囲21におけるR(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の各画素の左右に位置し、G色を既知色とする画素の画素信号に対応する値の平均値をローパスフィルタ手段5において算出する。そして、算出した値を、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)に対応するG色の画素信号とする。さらに、当該G色の画素信号に対応する値を目的変数Y1(i)(i=1〜3)とする(ST11)。
Y1(1)=G(2,4)=(G(2,3)+G(2,5))/2 (4)
Y1(2)=G(4,4)=(G(4,3)+G(4,5))/2 (5)
Y1(3)=G(6,4)=(G(6,3)+G(6,5))/2 (6)
なお、実施の形態1においては、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の左右方向において隣接する画素のG色に対応する画素信号を使用するが、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の上下左右において隣接する画素のG色に対応する画素信号を使用してもよい。
また、R(2,4)、R(4,4)またはR(6,4)の上下方向または左右方向のいずれの方向において、これらの画素に隣接し、G色を既知色とする画素に対応する画素信号の相関が強いかを判定し、相関が強い方向におけるG色の画素信号に対応する値の平均値を算出してもよい。なお、相関を判定して平均値を算出した場合、当該ローパスフィルタ手段5において演算する平均値に含まれる誤差を小さくすることができる。
第1の相関分析手段6は、式(1)〜式(6)に示した第1の説明変数X1(i)および第1の目的変数Y1(i)が得られると、当該第1の説明変数X1(i)および第1の目的変数Y1(i)に基づいて回帰分析を行ない、下記式(7)に示す第1の回帰直線を算出する(ST12)。なお、式(7)において、a0は当該第1の回帰直線における傾きである定数、b0は、当該第1の回帰直線における切片である定数である。
Y1=a0×X1+b0 (7)
図8は、第1の回帰直線を模式的に説明するための説明図である。当該第1の回帰直線は、第1の説明変数X1(i)および第1の目的変数Y1(i)に基づいて最小二乗法により得ることができる。
図9は、第1の回帰直線における定数a0(傾き)およびb0(切片)の算出を説明するためのフローチャートである。第1の相関分析手段6は、当該フローチャートの手順に従って定数a0(傾き)およびb0(切片)を算出する。なお、図9において、X(i)は説明変数、Y(i)は目的変数、Nはデータ総数(実施の形態1においてはN=3)、i=1〜Nはデータ番号である。
図9に示すように、当該第1の相関分析手段6は、データ数設定ステップ(ST26)において、演算に使用するデータの総数を設定する。次に、積和演算ステップ(ST27)において、説明変数と目的変数を用いた積和演算を行いk1、k2、k3を算出する。そして、傾き算出ステップ(ST28)において、ST27で得られたk1、k2を用いて回帰直線の傾きa0を算出する。さらに、切片算出ステップ(ST29)において、ST27で得られたk2、k3を用いて回帰直線の切片b0の値を算出する。また、第1の相関分析手段6は、傾きa0および切片b0が得られると、当該傾きa0に対応する信号および切片b0に対応する信号を第1の補間手段8および比較手段10に出力する。
なお、上述のようにして得られた第1の回帰直線は注目画素近傍におけるR色とG色との相関関係を表わす。そのため、注目画素における、R色の画素信号に対応する値およびG色の画素信号に対応する値は、当該第1の回帰直線上の値と近い値である可能性が高い。
第1の補間手段8は、第1の相関分析手段6において算出された第1の回帰直線における傾きa0、切片b0、およびフレームメモリ4に格納されている注目画素R(4,4)に対応する画素信号を使用して、前記式(7)に基づく下記式(8)の演算を行なうことにより、注目画素に対するG色の画素信号の生成に使用する第1範囲補間値gZ1(4,4)を生成する(ST13)。
gZ1(4,4)=a0×R(4,4)+b0 (8)
一方、第2の相関分析手段7は、注目画素としてR(4,4)が選択される(ST8)と、複数の画素から構成され、前記第1の範囲21とは異なる範囲を第2の範囲22とする。具体的に説明すると、実施の形態1においては、図10に示すような、注目画素から上下方向に4画素、左右方向に2画素離れた位置にあり、R色を既知色とする画素を含む範囲を第2の範囲22とする(ST14)。
第2の相関分析手段7は、第2の範囲22におけるR色とG色との相関関係(第2の相関関係)を算出する。しかしながら、当該第2の範囲22においても、第1の範囲21と同様に、G色に対応する画素信号を何らかの方法で得る必要がある。そこで、第2の相関関係の算出に際してもローパスフィルタ手段5の出力を使用する。
第2の相関分析手段7は、第2の相関関係を算出するに際し、まず、R(0,4)、R(2,2)、R(2,6)、R(4,2)、R(4,6)、R(6,2)、R(6,6)、またはR(8,4)の各々に対応する画素信号をフレームメモリ4から読み出して、下記式(9)〜(16)に示すように、当該画素信号に対応する値を第2の説明変数X2(i)(i=1〜8)とする(ST15)。
X2(1)=R(0,4) (9)
X2(2)=R(2,2) (10)
X2(3)=R(2,6) (11)
X2(4)=R(4,2) (12)
X2(5)=R(4,6) (13)
X2(6)=R(6,2) (14)
X2(7)=R(6,6) (15)
X2(8)=R(8,4) (16)
なお、実施の形態1においては、第1の範囲21に含まれる画素が、第2の範囲22に含まれないように当該第2の範囲22を設定する場合について示したが、第1の範囲21に含まれる画素が第2の範囲22に含まれるように第2の範囲22を設定してもよい。
また、実施の形態1においては、第2の範囲22に含まれるR色を既知色とする画素に対応する画素信号を全て使用したが、必ずしも当該第2の範囲22における全ての画素信号を使用しなくてもよい。したがって、例えば、R(0,4)、R(2,2)、R(2,6)、R(4,2)、R(4,6)、R(6,2)、R(6,6)またはR(8,4)のうち、1個〜8個いずれかの画素信号を任意に選択して説明変数とするようにしてもよい。これにより、演算量を軽減することができる。ただし、第2の範囲22に含まれる画素に対応する画素信号を全て使用する方が、相関関係の算出をより正確に行なうことができる場合が多い。
次に、第2の相関分析手段7は、第1の相関分析手段6と同様に、ローパスフィルタ手段5の出力を使用して目的変数を作成する。具体的に説明すると、ローパスフィルタ手段5においては、下記式(17)〜(24)に示した演算を行ない、当該第2の相関分析手段7は、当該演算の結果得られたG色の画素信号に対応する値を第2の目的変数Y2(i)(i=1〜8)とする(ST16)。
Y2(1)=G(0,4)=(G(0,3)+G(0,5))/2 (17)
Y2(2)=G(2,2)=(G(2,1)+G(2,3))/2 (18)
Y2(3)=G(2,6)=(G(2,5)+G(2,7))/2 (19)
Y2(4)=G(4,2)=(G(4,1)+G(4,3))/2 (20)
Y2(5)=G(4,6)=(G(4,5)+G(4,7))/2 (21)
Y2(6)=G(6,2)=(G(6,1)+G(6,3))/2 (22)
Y2(7)=G(6,6)=(G(6,5)+G(6,7))/2 (23)
Y2(8)=G(8,4)=(G(8,3)+G(8,5))/2 (24)
なお、実施の形態1においては、R(0,4)、R(2,2)、R(2,6)、R(4,2)、R(4,6)、R(6,2)、R(6,6)またはR(8,4)の左右方向において隣接する画素のG色に対応する画素信号を使用するが、R(0,4)、R(2,2)、R(2,6)、R(4,2)、R(4,6)、R(6,2)、R(6,6)またはR(8,4)の上下左右方向において隣接する画素のG色に対応する画素信号を使用してもよい。
また、R(0,4)、R(2,2)、R(2,6)、R(4,2)、R(4,6)、R(6,2)、R(6,6)またはR(8,4)の上下方向または左右方向のいずれの方向において、これらの画素に隣接し、G色を既知色とする画素に対応する画素信号の相関が強いかを判定し、相関が強い方向におけるG色の画素信号に対応する値の平均値を算出してもよい。なお、相関を判定して平均値を算出した場合、当該ローパスフィルタ手段5において演算する平均値に含まれる誤差を小さくすることができる。
第1の相関分析手段6は、式(9)〜式(24)に示した第2の説明変数X2および第2の目的変数Y2が得られると、当該第2の説明変数X2および第2の目的変数Y2に基づいて回帰分析を行ない、下記式(25)に示す第2の回帰直線を算出する(ST17)。
Y2=a1×X2+b1 (25)
なお、式(25)において、a1は当該第2の回帰直線における傾きである定数、b1は、当該第2の回帰直線における切片である定数である。また、当該傾きa1および切片b1は、前記図9において説明した算出方法により算出する。また、当該第2の相関分析手段7は、傾きa1および切片b1が得られると、当該傾きa1に対応する信号および切片b1に対応する信号を第1の補間手段8および比較手段10に出力する。
第1の補間手段8は、第2の相関分析手段7において算出された第2の回帰直線における傾きa1、切片b1、およびフレームメモリ4に格納されている注目画素R(4,4)に対応する画素信号を使用して、前記式(25)に基づく下記式(26)の演算を行なうことにより、注目画素に対するG色の画素信号の生成に使用する第2範囲補間値gZ2(4,4)を生成する(ST18)。
gZ2(4,4)=a1×R(4,4)+b1 (26)
さらに、第1の補間手段8は、第1範囲補間値gZ1(4,4)、および第2範囲補間値gZ2(4,4)に基づいて、第1の補間値g1(4,4)を算出する。具体的には、例えば、下記式(27)に示すように、第1範囲補間値gZ1(4,4)と第2範囲補間値gZ2(4,4)との平均値を第1の補間値g1(4,4)として算出する(ST19)。
g1(4,4)=(gZ1(4,4)+gZ2(4,4))/2 (27)
一方、第2の補間手段9は、第1の補間手段8と異なる補間方法で第2の補間値g2(4,4)を算出する。具体的には、例えば、下記式(28)に示すように、注目画素に隣接し、G色を既知色とする画素の画素信号に対応する値を平均した値を第2の補間値g2(4,4)として算出する(ST20)。
g2(4,4)
=(G(3,4)+G(4,3)+G(4,5)+G(5,4))/4 (28)
ここで、上述のように、第1の補間手段8においては、第1の相関分析手段6によって算出された第1の相関関係(第1の回帰直線)、または第2の相関分析手段7によって算出された第2の相関関係(第2の回帰直線)に基づいて第1範囲補間値gZ1または第2範囲補間値gZ2を算出するが、前記第1の相関関係または前記第2の相関関係が誤っていたために、第1範囲補間値gZ1または第2範囲補間値gZ2が誤っている可能性がある。
そこで、比較手段10は、第1の相関関係および第2の相関関係を比較し、これらの相関関係の信頼性を評価する(ST21)。そして、評価結果に対応する信号を選択手段11に出力する。具体的には、以下のようにして相関関係の信頼性を評価する。
すなわち、前記式(7)に示した第1の回帰直線、または前記式(25)に示した第2の回帰直線のそれぞれに任意の値を代入して得られる値を比較して、当該値の差が所定のしきい値よりも小さい場合には相関関係の信頼性が高いと評価する。例えば、前記任意の値として、注目画素R(4,4)の画素信号に対応する値(以下、第1の値ともいう。)、および当該第1の値に任意の値(実施の形態1においては50。)を加えた第2の値を前記第1の回帰直線または第2の回帰直線に代入する。
具体的には、下記式(29)〜式(32)の演算を行なう。なお、下記式(29)〜式(32)において、Y0(1)は第1の値を第1の回帰直線に代入して得られた値、Y0(2)は第2の値を第1の回帰直線に代入して得られた値、Y1(1)は第1の値を第2の回帰直線に代入して得られた値、Y1(2)は第2の値を第2の回帰直線に代入して得られた値である。
Y0(1)=a0×R(4,4)+b0 (29)
Y0(2)=a0×(R(4,4)+50)+b0 (30)
Y1(1)=a1×R(4,4)+b1 (31)
Y1(2)=a1×(R(4,4)+50)+b1 (32)
次に、下記式(33)および式(34)で示すように、Y0(1)とY1(1)との差の絶対値dg(1)、およびY0(2)とY1(2)との差の絶対値dg(2)を算出する。
dg(1)=|Y0(1)−Y1(1)| (33)
dg(2)=|Y0(2)−Y1(2)| (34)
そして、上述のようにして得られた2つの絶対値dg(1)およびdg(2)が所定のしきい値よりも小さい場合には、第1の相関関係および第2の相関関係の信頼性が高いと判断する。一方、2つの絶対値dg(1)およびdg(2)が所定のしきい値よりも大きい場合には、第1の相関関係および第2の相関関係の信頼性が低いと判断する。なお、前記しきい値は、当該画素信号生成装置101を適用する装置等に応じて任意に設定する。
なお、上述した、相関関係の信頼性の評価においては、第1の回帰直線、または第2の回帰直線に対して代入する任意の値(上述の説明においては第1の値および第2の値)を2つ以上にすることが望ましい。以下、図11に基づいて理由を説明する。
図11は、相関関係の評価に際して代入する値を説明するための説明図である。図11に示すように、当該図11における回帰直線1と回帰直線2とは全く異なる傾向にある。このような場合に各回帰直線に代入する任意の値が、回帰直線1と回帰直線2とが交差する点付近に対応する値であると、前記絶対値dgの値は小さくなる。そうすると、比較手段10は、2つの回帰直線の傾向が全く異なるにも関わらず、絶対値dgの値が小さいために、2つの回帰直線の信頼性が高いと判断してしまう。
したがって、当該比較手段10において信頼性の評価を正確に行なうため、第1の回帰直線、または第2の回帰直線に代入する任意の値を2つ以上とすることが望ましい。また、2つ以上の任意の値は、ある程度、差を持たせることが望ましい。少なくとも1つの任意の値を第1の回帰直線と第2の回帰直線2が交差する点付近から離れた値とするためである。例えば、当該任意の値を2つとし、当該撮像装置において256階調で色を表現する場合であれば、約1/4である50を一方の任意の値に加えた値を他方の任意の値とすればよい。
なお、第1の回帰直線または第2の回帰直線における傾きが大きい場合であって、2つの回帰直線の傾向が異なる場合には、代入する2つ以上の任意の値の差が小さい場合でも、絶対値dgの値が大きくなる。すなわち、代入する2つ以上の任意の値の差が小さくても信頼性の評価を正確に行なうことができる。よって、比較手段10において傾きを検出し、当該傾きに応じて前記任意の値を適応的に調整するようにしてもよい。また、回帰分析により得られた回帰直線は、説明変数の範囲を大きく超えた部分において誤差が大きくなる。よって、説明変数の範囲に応じて任意の値を適応的に調整するようにしてもよい。
選択手段11は、比較手段10の評価結果に基づいて、第1の補間値g1または第2の補間値g2のうち、いずれか一方の補間値を選択し、当該補間値に対応する信号を、注目画素におけるG色に対応する画素信号g(4,4)として出力する。具体的には、比較手段10において相関関係の信頼性が高いと判断された場合には、第1の補間値g1を選択し、当該第1の補間値g1に対応する信号を注目画素におけるG色に対応する画素信号g(4,4)としてフレームメモリ4に出力する。一方、比較手段10において相関関係の信頼性が低いと判断された場合には、第2の補間値g2を選択し、当該第1の補間値g2に対応する信号を注目画素におけるG色に対応する画素信号g(4,4)としてフレームメモリ4に出力する(ST22〜ST26)。
そして、当該画素信号生成装置101は、以上に説明した処理が、R色を既知色とする全ての画素に対して終了するまで当該処理を繰り返して行ない(ST25:N)、R色を既知色とする全ての画素に対する当該処理が終了するとST1を終了する(ST25:Y)。
なお、B色の画素信号を有する画素に対してG色の画素信号を生成する処理(ST2)は、上述したST1においてR色とB色とを入れ替え、当該ST1と同様の処理を行なえばよい。よって、説明を省略する。
次に、G色を既知色とする画素を注目画素とし、当該注目画素に対して、不足色の1つであるR色の画素信号を生成する処理(ST3)について説明する。なお、当該ST3は、前記図6の手順と同様に行なうが、注目画素近傍におけるR、G、Bに対応する画素の配列が異なるため、第1の相関分析手段6における第1の範囲、および第2の相関分析手段7における第2の範囲が異なる。
以下、図12におけるG(4,3)を注目画素として、不足色であるR色に対応する画素信号を生成する場合について説明する。
第1の相関分析手段6は、注目画素としてG(4,3)が選択されると、図12に示すような注目画素近傍の範囲を第1の範囲31とする。具体的に説明すると、注目画素から上下方向に2画素、左右方向に1画素の位置にある画素および注目画素を含む範囲を第1の範囲31とする。
第1の相関分析手段6は、第1の範囲31におけるR色とG色との相関関係(第1の相関関係)を算出する。この場合、当該第1の範囲31において、R色に対応する画素信号は、R(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)から得ることができる。また、前記ST1において、これらの画素についてG色に対応する画素信号が生成されていることから、R(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)からG色に対応する画素信号も得ることができる。
よって、まず、第1の相関分析手段6は、フレームメモリ4からR(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)に対応するG色の画素信号を読み出して、下記式(35)〜式(40)のように、当該G色の画素信号に対応する値を第1の説明変数X1(i)(i=1〜6)とする。なお、下記式(35)〜式(40)においては、当該R(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)に対応するG色の画素信号が生成信号であることから、既知色に対応する信号と区別するため、当該生成信号を「g」とした。
X1(1)=g(2,2) (35)
X1(2)=g(2,4) (36)
X1(3)=g(4,2) (37)
X1(4)=g(4,4) (38)
X1(5)=g(6,2) (39)
X1(6)=g(6,4) (40)
なお、上述の説明においては、第1の範囲31に含まれるR色を既知色とする画素に対応する画素信号を全て使用したが、必ずしも当該第1の範囲31における全ての画素信号を使用しなくてもよい。したがって、例えば、R(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)に対応するG色の画素信号のうち、1個〜6個いずれかの画素信号を任意に選択して目的変数とするようにしてもよい。これにより、演算量を低減することができる。ただし、第1の範囲31に含まれる画素に対応する画素信号を全て使用する方が、相関関係の算出をより正確に行なうことができる場合が多い。
次に、第1の相関分析手段6は、R(2,2)、R(2,4)、R(4,2)、R(4,4)、R(6,2)、またはR(6,4)に対応するR色の画素信号をフレームメモリ4から読み出して、下記式(41)〜式(46)のように、当該R色の画素信号に対応する値を第1の目的変数Y1(i)(i=1〜6)とする。
Y1(1)=R(2,2) (41)
Y1(2)=R(2,4) (42)
Y1(3)=R(4,2) (43)
Y1(4)=R(4,4) (44)
Y1(5)=R(6,2) (45)
Y1(6)=R(6,4) (46)
そして、第1の相関分析手段6は、ST1と同様にして、第1の説明変数X1(i)および第1の目的変数Y1(i)に基づいて回帰分析を行ない、第1の回帰直線を算出する。また、当該第1の回帰直線と注目画素G(4,3)の画素信号に対応する値とに基づいて第1範囲補間値rZ1を算出する。
一方、第2の相関分析手段7は、注目画素としてG(4,3)が選択されると、図13に示すように、第2の範囲32を設定する。具体的に説明すると、注目画素から上下方向に4画素、左右方向に3画素の位置にある画素および注目画素を含む範囲を第2の範囲32とする。
第2の相関分析手段7は、まず、フレームメモリ4からR(0,2)、R(0,4)、R(2,0)、R(2,6)、R(4,0)、R(4,6)、R(6,0)、R(6,6)、R(8,2)またはR(8,4)に対応するG色の画素信号を読み出して、下記式(47)〜式(56)のように、当該G色の画素信号に対応する値を第2の説明変数X2(i)(i=1〜10)とする。
X2(1)=g(0,2) (47)
X2(2)=g(0,4) (48)
X2(3)=g(2,0) (49)
X2(4)=g(2,6) (50)
X2(5)=g(4,0) (51)
X2(6)=g(4,6) (52)
X2(7)=g(6,0) (53)
X2(8)=g(6,6) (54)
X2(9)=g(8,2) (55)
X2(10)=g(8,4) (56)
なお、上述の説明においては、第2の範囲32に含まれる、R(0,2)、R(0,4)、R(2,0)、R(2,6)、R(4,0)、R(4,6)、R(6,0)、R(6,6)、R(8,2)またはR(8,4)に対応するG色の画素に対応する画素信号を全て使用したが、必ずしも当該画素信号の全てを使用しなくてもよい。したがって、例えば、R(0,2)、R(0,4)、R(2,0)、R(2,6)、R(4,0)、R(4,6)、R(6,0)、R(6,6)、R(8,2)またはR(8,4)に対応するG色の画素信号のうち、1個〜10個いずれかの画素信号を任意に選択して目的変数とするようにしてもよい。ただし、第2の範囲32に含まれる画素に対応する画素信号を全て使用する方が、相関関係の算出をより正確に行なうことができる場合が多い。
次に、第2の相関分析手段7は、R(0,2)、R(0,4)、R(2,0)、R(2,6)、R(4,0)、R(4,6)、R(6,0)、R(6,6)、R(8,2)またはR(8,4)に対応するR色の画素信号をフレームメモリ4から読み出して、下記式(57)〜式(66)のように、当該R色の画素信号に対応する値を第2の目的変数Y2(i)(i=1〜10)とする。
Y2(1)=R(0,2) (57)
Y2(2)=R(0,4) (58)
Y2(3)=R(2,0) (59)
Y2(4)=R(2,6) (60)
Y2(5)=R(4,0) (61)
Y2(6)=R(4,6) (62)
Y2(7)=R(6,0) (63)
Y2(8)=R(6,6) (64)
Y2(9)=R(8,2) (65)
Y2(10)=R(8,4) (66)
そして、第2の相関分析手段7は、ST1と同様にして、第2の説明変数X2(i)および第2の目的変数Y2(i)に基づいて回帰分析を行ない、第2の回帰直線を算出する。また、当該第2の回帰直線と注目画素G(4,3)の画素信号に対応する値とに基づいて第2範囲補間値rZ2を算出する。
上述のようにして、第1の回帰直線および第2の回帰直線が得られると、当該画素信号生成装置101は、ST1と同様にして、G画素を既知色とする各画素に対して不足色であるR色に対応する画素信号を生成し、生成した画素信号をフレームメモリ4に出力する。
そして、当該画素信号生成装置101は、以上に説明した処理が、G色を既知色とする全ての画素に対して終了するまで当該処理を繰り返し行ない、当該G色を既知色とする全ての画素に対する当該処理が終了するとST3の処理を終了する。
なお、ST4においては、上述したST3の処理においてR色とB色とを入れ替え、当該ST3と同様の処理を行なえばよい。また、ST5およびST6においても、ST1,2,3または4と同様にして不足色に対応する画素信号を生成すればよい。
前記6つの処理(ST1〜ST6)が全て終了すると、一画面上の全ての画素における不足色に対応する画素信号が得られる。すなわち、全ての画素についてR信号、G信号およびB信号が得られる。そして、全ての不足色に対応する画素信号が得られると、図示しない制御手段が、フレームメモリ4に格納されているR信号、G信号およびB信号を当該撮像素子に接続された機器等に対して出力させる。
ここで、各相関分析手段において得られる相関関係と、当該撮像装置によって得られる画像との関係について具体的に説明する。図14は、補間対象画像(撮像装置によって得られる画像)を模式的に示した模式図である。また、図15は、図14に示した補間対象画像において得られる回帰直線を模式的に示した模式図である。なお、以下、図14(a)に示した背景色Aと色Bの2つの色で変化している部分、および図14(b)に示した3色以上の色が複雑に入り混じっている部分を用いて説明する。
図14(a)において、第1の範囲を小さい四角で囲まれた範囲とし、第2の範囲を小さい四角と大きい四角との間の範囲とすると、第1の範囲において算出される第1の回帰直線と、第2の範囲において算出される第2の回帰直線とは、図15(a)に示すように、似たような傾向となる。
これは、注目画素の周辺において画像が2色で変化している場合、注目画素近傍の領域における色の相関関係を示す回帰直線は、常に、RGB色空間上の背景色Aと色Bとを結ぶ直線となるためである。上述のように、画像が2つの色で変化している部分においては、相関の算出に使用する画素信号を変えても、似たような傾向の回帰直線を安定して得ることができる。
一方、図14(b)で示すように、3色以上の色が混在する部分、または色が細かく変化している部分においては、図15(b)に示すように、相関関係の算出に使用する画素信号によって回帰直線の傾向が大きく変わる。したがって、このような場合には、注目画素近傍における色の相関関係を示す回帰直線を正確に算出することができない。
以上の説明のように、相関関係を算出するために選択する画素信号を変えても、似たような傾向の回帰直線が得られるということは、注目画素近傍における複数の色の間に一定の相関関係がある範囲が広がっていることを示す。したがって、このような範囲においては、算出される回帰直線の信頼性が高い。
以下、当該画素信号生成装置101において行なう補間処理を具体的な数値を用いて説明する。図16は、画素信号に対応する値を模式的に示した模式図である。なお、図16においてR、G、Bは、各画素における既知色を示し、数値は各画素の画素信号に対応する値(信号レベル)を示す。
また、以下、図16における破線部分に色の境界が存在するような場合を例にして、従来の画素信号生成装置による補間の結果と、実施の形態1の画素信号生成装置101による補間の結果とを比較して説明する。また、以下、図16に示した場合において、中央に位置する注目画素(R=32の画素)に対し、G色の画素信号を生成する場合について説明する。また、以下の説明においては、第1の範囲および第2の範囲を、上述したST1と同様に設定した。すなわち、図16における41を第1の範囲とし、当該第1の範囲41を囲むように形成され、当該第1の範囲における画素を含まない42に示した範囲を第2の範囲とした。
上述したST1の手順に従って、第1の回帰直線および第2の回帰直線を算出すると図17のような傾向となる。図17は、図16に示した場合における第1の回帰直線および第2の回帰直線を説明するための説明図である。なお、図17において、破線は第1の回帰直線、実線は第2の回帰直線である。また、図17において、黒丸は第1の範囲における画素の画素信号に対応する値を示し、黒三角は第2の範囲における画素の画素信号に対応する値を示す。図17に示すように、図16に示した例の場合には、第1の回帰直線と第2の回帰直線とは似たような傾向となる。
なお、図16の場合において、前記ST1において説明した手順によって第1の回帰直線を算出すると、当該第1の回帰直線の傾きは0.4551、切片は98.302となる。一方、第2の回帰直線の傾きは0.5528、切片は88.835となる。
次に、算出された傾き、切片および注目画素の画素信号に対応する値(R=32)に基づいて、第1範囲補間値gZ1を下記式(67)、第2範囲補間値gZ2を下記式(68)によって算出し、両補間値に基づいて第1の補間値g1を下記式(69)によって算出する。
gZ1=0.4551×32+98.302≒113 (67)
gZ2=0.5528×32+88.835≒106 (68)
g1=(113+106)/2≒110 (69)
図16に示した例の場合、上述のように、第1の回帰直線と第2の回帰直線とは似たような傾向にあるため、比較手段10においては当該回帰直線の信頼性が高いと評価される。よって、注目画素における不足色であるG色の画素信号は第1の補間値g1に対応する信号となる。
図18は、従来の画素信号生成装置による補間の結果と、実施の形態1の画素信号生成装置101による補間の結果とを説明するための説明図である。なお、図18において、横軸は図16の5行目の各画素の位置を示しており、画素位置1は図16におけるR=42の画素、画素位置2は図16におけるG=115の画素、画素位置3は図16におけるR=32の画素(注目画素)、画素位置4は図16におけるG=117の画素、画素位置5は図16におけるR=119の画素を示す。
また、図18において黒い四角はG色の画素信号の信号レベル、黒いひし形はR色の画素信号の信号レベル、白い四角は従来の画素信号生成装置による補間の結果得られるG色の画素信号の信号レベル、黒い星は実施の形態1の画素信号生成装置101による補間の結果得られるG色の画素信号の信号レベルをそれぞれ示す。また、G色の画素信号の信号レベルを結ぶ曲線およびR色の画素信号の信号レベルを結ぶ曲線は、各色の画素信号の信号レベルの変化を示す信号変化曲線である。
図18に示すように、従来の画素信号生成装置によって得られるG色の画素信号に対応する信号レベルは、G色に対応する信号変化曲線から外れ、信号レベルが小さい。したがって、従来の画素信号生成装置によって画素信号の生成を行なった場合、当該注目画素において黒ずみが発生する。
一方、実施の形態1における画素信号生成装置101による補間の結果得られるG色の画素信号の信号レベルは、G色に対応する信号変化曲線に非所に近い信号レベルとなる。したがって、実施の形態1の画素信号生成装置101によって画素信号の生成を行なった場合には、当該注目画素において黒ずみは発生せず、良好な画質を得ることができる。
以上の説明のように、実施の形態1における画素信号生成装置101によれば、注目画素近傍における色の相関関係を表わす回帰直線に基づいて不足色に対応する画素信号の生成を行なうことができる。したがって、色の境界付近での黒ずみや白抜けなどの画像劣化を防止することができる。
また、2つの回帰直線を比較して相関関係の信頼性を評価することで、誤って算出された相関関係に基づく不足色に対応する画素信号の生成を防止することができる。
また、注目画素近傍の領域内の色の相関関係を示す回帰直線に基づいて不足色に対応する画素信号を生成するため、注目画素が色の境界付近にある場合においても当該境界部分にある、値が大きくなる画素に対応する画素信号の影響を少なくすることができる。また、相関関係を数式で表わすため、種々の画像における相関関係を定量的かつ容易に算出することができる。
なお、実施の形態1における画素信号生成装置101は、特に、色の境界部分において、従来の画素信号生成装置よりも良好に不足色に対応する画素信号の生成を行なうことができる。
実施の形態2.
実施の形態2における画素信号生成装置は、比較手段10で行なう比較方法以外については実施の形態1における画素信号生成装置101と同様であるので当該比較方法以外については説明を省略する。
実施の形態2における画素信号生成装置における比較手段10は、以下のようにして第1の回帰直線と第2の回帰直線との比較を行なう。すなわち、各回帰直線における傾き、および切片を比較して、傾きの差、および切片の差を算出し、当該差に基づいて回帰直線の信頼性を評価する。
具体的には、下記式(70)および式(71)の演算を行なって第1の回帰直線の傾きa0と第2の回帰直線の傾きa1との差の絶対値da、および第1の回帰直線における切片b0と第2の回帰直線における切片b1との差の絶対値dbを算出する。
da=|a0−a1| (70)
db=|b0−b1| (71)
そして、絶対値daおよび絶対値dbが所定のしきい値より小さい場合には第1の回帰直線および第2の回帰直線の信頼性が高いと判断する。一方、絶対値daおよび絶対値dbが所定のしきい値より大きい場合には第1の回帰直線および第2の回帰直線の信頼性が低いと判断する。
以上の説明のように、実施の形態2における画素信号生成装置によれば、第1の回帰直線および第2の回帰直線の傾きまたは切片を比較することによって、簡易に相関関係の信頼性を評価することができる。
なお、実施の形態1および2においては、色フィルタがR、G、Bの3色の場合について説明したが、当該色フィルタは3色でなくてもよく、3色以下でもよいし3色以上でもよい。また、当該色フィルタは、R、G、B以外の色でもよい。
例えばC(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)からなる補色フィルタを使用してもよい。なお、補色フィルタを使用した場合には、フレームメモリ4において各画素における不足色に対応する画素信号が全て得られた後に、当該フレームメモリ4に記憶された画素信号に基づいて所定の演算を行なうことによりR信号、G信号およびB信号を得る必要がある。
また、実施の形態1または2において説明した画素信号生成装置は、映像もしくは静止画を撮像するビデオカメラ、カメラ一体型VTR、デジタルスチルカメラ、PCカメラ、携帯電話もしくは携帯端末機(例えば、PDA:Personal Digital Assistants)に内臓されるデジタルスチルカメラ等に適用することができる。
1 レンズ、2 ニ次元撮像素子、3 A/D変換器、4 フレームメモリ、5 ローパスフィルタ手段、6 第1の相関分析手段、7 第2の相関分析手段、8 第1の補間手段、9 第2の補間手段、10 比較手段、11 選択手段。