JP3914628B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各画素の色が複数種の色信号値により表現されるカラーディジタル画像を出力する画像処理装置に係り、特に、単板撮像系又は二板撮像系により得られたために各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素における欠落色信号値が補われたカラーディジタル画像を出力する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
色フィルタをモザイク状に受光面に配した撮像素子を用いる単板撮像系や、一枚はG(緑)フィルタのみ、もう一枚はR(赤)とB(青)のモザイクフィルタを配した2枚のCCDで撮像を行う二板撮像系は、分光系と3枚の撮像素子を用いる三板撮像系に対し安価に構成できるという利点をもつ。ただし、これらの撮像系では、得られた画像の各画素において色信号値が少なくとも一つ以上欠落するため、その色信号値を推定して補う補間処理が必要となる。
【0003】
この補間処理として、ある画素の欠落する色信号値をその周囲の欠落していない同種の色信号値の平均値で補う単純線形補間処理が従来広く行われてきた。しかし、その処理結果には、色フィルタ配置に応じた偽色、エッジ部の凹凸や色付きなど、画質を劣化させる現象が生じる。そのため、これらの現象の発生を抑えて画質を向上させる新たな欠落色信号値の復元手法が提案されている。なかでも、カラー画像の局所領域における色信号値間の関係、いわゆる色相関を利用して欠落色信号値を補う方法が画質向上効果が高い。
【0004】
例えばその第一の例として、特開平4−502096号公報では、輝度信号が高サンプリング密度で、他の色信号が相対的に低サンプリング密度で得られている画像信号において、低サンプリング密度の色信号に対する補間法を開示している。この方法では、低サンプリング密度の色信号は高サンプリング密度の輝度信号を用いて算出される。このため、低サンプリング密度の信号S2のサンプリング位置には必ず高サンプリング密度の信号S1の標本値が存在すると仮定する。信号S2のサンプリング位置におけるS1の標本値の間の差を所定の閾値と比較し、閾値を下回る場合は信号S2の標本値のみを用いた単純線形補間処理を行う。閾値を上回る場合は信号S2のサンプリング位置間にエッジがあると判断し、S1とS2がS2=a*S1+bなる線形な関係にあると仮定して、係数a及びbをS2のサンプリング位置におけるS1とS2の値から求める。
【0005】
また、第二の例として、特開平5−56446号公報では、画像の局所領域では明るさの変化より色の変化が緩やかであると仮定して、カラービデオカメラにおいて得られたN種類の各色信号を二次元ローパス処理し、ある画素Pにおいて欠落するK色信号値(Kは1〜Nの何れか)を、その画素Pに存在するL色信号値(Lは1〜Nの何れか)から式 K=(Klow /Llow )×L により算出する。Klow ,Llow はK色信号,L色信号をそれぞれローパス処理した信号の、画素Pにおける値である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
色相関を利用する従来技術は、いずれも一般の画像の持つ色相関の性質についてある仮定を立て、各画素の近傍でその仮定が成立するとして処理を行うものである。
【0007】
しかし、これらの従来技術では、画像中には設けた仮定が成立しない近傍を持つ画素もあり、そのような部位の処理結果にはアーティファクト(本来存在しない画像特徴)が生じて、かえって画質が劣化するという点については記載されていない。
【0008】
また、近傍で色相関に関する仮定が成立している画素に関しても、従来技術では各画素につきただ一つの近傍をとり、その近傍における色相関を用いて欠落色信号値の復元を行っていた。そのため、復元結果がノイズに弱いという点については記載されていない。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、色相関に関して設けた仮定がある領域内で成立するかどうかを判断し、仮定が成立すると判断された領域の情報だけを用いて欠落色信号値の復元を行うことにより、画像の全ての部位でアーティファクトが生じにくく且つ高品位の画像を生成できる欠落色信号値の復元が可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、ある画素に対しその画素に関する複数の近傍の色相関を総合して処理を行うことにより、ノイズに強い欠落色信号値の復元が可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による画像処理装置は、単板撮像系または二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置であって、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
上記色相関パラメータ推定手段により推定された個々の色相関パラメータの信頼性をその色相関パラメータ及びその色相関パラメータに対応する画像領域上の色信号値に基づいて評価し、信頼性の高い色相関パラメータだけを選抜するパラメータ選抜手段と、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、その画素に存在する色信号値と上記色相関パラメータ選抜手段により選抜された色相関パラメータのうち対応する画像領域がその画素を包含するものとに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する復元手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明の画像処理装置によれば、領域抽出手段が入力画像の各画素につき複数の画像領域を抽出し、抽出された個々の画像領域に対し、画像領域上の色相関を色相関パラメータ推定手段が推定してパラメータ化する。そして、パラメータ選抜手段が色相関パラメータ推定手段により推定された個々のパラメータの信頼性を評価し、信頼性の高いパラメータだけを復元手段に送る。復元手段では、入力画像の各画素において、送られてきたパラメータのうちその画素に関連するものに基づいてその画素の色信号値を復元する。
【0013】
従って、入力画像の各画素に対し複数の画像領域が採られ、各画像領域上の色相関パラメータのうち信頼性の高いものだけが選抜されるため、信頼性の低いパラメータを用いることにより生じるアーティファクトを抑制することができる。また、各画素の欠落色信号値の復元をその画素に関連する複数の色相関パラメータから行うため、ノイズに強い復元が可能となる。
【0014】
また、本発明による画像処理装置は、単板撮像系または二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置であって、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
各画像領域上の欠落色信号値をその画像領域に対応する色相関パラメータと各画素に存在する色信号値とから復元して復元画像領域を生成する領域復元手段と、
上記領域復元手段により生成された個々の復元画像領域に対し、その復元画像領域上の色信号値に基づいて復元結果の信頼性を評価し、信頼性が高いと評価された復元画像領域を選抜する復元領域選抜手段と、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、上記復元領域選抜手段により選抜された復元画像領域のうちその画素を含むものに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する画素復元手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
即ち、本発明の画像処理装置によれば、領域抽出手段が入力画像の各画素につき複数の画像領域を抽出し、抽出された個々の画像領域に対し、画像領域上の色相関を色相関パラメータ推定手段が推定してパラメータ化する。そして、推定された個々のパラメータにつき領域復元手段が対応する画像領域上の各画素における欠落色信号値を復元し、カラーの復元画像領域を生成する。この処理は各色相関パラメータと対応する画像領域上に既に存在する色信号値とに基づいて行われる。各色相関パラメータにつきこうして復元画像領域が生成されると、復元領域選抜手段は各復元画像領域上の色信号値に基づいて復元結果の信頼性を評価し、信頼性が高いと評価された復元画像領域のみを選抜する。画素復元手段では、入力画像の各画素において、復元領域選抜手段により選抜された復元画像領域のうちその画素を包含するものに基づいてその画素の色信号値を復元する。
【0016】
従って、入力画像の各画素に対して複数の画像領域が採られ、各画像領域上の欠落色信号値がその画像領域上の色相関パラメータに基づいて復元され、信頼性が高いと判断された復元結果だけが選抜されて各画素の欠落色信号値の復元に利用されるため、信頼性の低い復元結果が利用されることにより生じるアーティファクトを抑制することができる。また、各画素の欠落色信号値の復元をその画素に関連する複数の復元結果に基づいて行うため、ノイズに強い復元が可能となる。さらに、各画像領域の復元結果を直接復元の信頼性の判定に用いるため、信頼性の評価がより確実で且つ効率的な処理が可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。
【0019】
この電子カメラシステムは、電子カメラ10と該電子カメラ10にケーブル接続された処理装置本体12とから構成されている。
【0020】
電子カメラ10内には、単板原色CCD14とA/Dコンバータ16が配され、A/Dコンバータ16の出力が、本体12内に構成された入力画像バッファ18に供給されるように接続されている。
【0021】
本体12内には、該入力画像バッファ18の他に、領域抽出部20、領域バッファ22、平均・分散評価部24、フィルタ配置保持ROM26、パラメータ算出部28、パラメータバッファ30、パラメータ評価部32、画素復元部34、出力画像バッファ36が配されている。ここで、入力画像バッファ18の出力は領域抽出部20に入力され、該領域抽出部20の出力は領域バッファ22に入力される。領域バッファ22の出力は平均・分散評価部24及び画素復元部34に入力される。また、フィルタ配置保持ROM26には単板原色CCD14上のモザイク色の配置情報が記憶されており、このフィルタ配置保持ROM26の出力は、上記平均・分散評価部24とパラメータ算出部28に入力されるようになっている。上記平均・分散評価部24の出力は、上記パラメータ算出部28に入力される。該パラメータ算出部28の出力はパラメータバッファ30に入力され、該パラメータバッファ30の出力はパラメータ評価部32に入力される。該パラメータ評価部32の出力は、上記画素復元部34に出力される。そして、この画素復元部34の出力は出力画像バッファ36に入力され、該出力画像バッファ36の出力が当該処理装置本体12の外部へ導出されるようになっている。
【0022】
この処理装置本体12の外部には、例えば、JPEG等の画像圧縮処理を行う圧縮処理部とメモリカード等の記憶媒体とを配し、上記出力画像バッファ36から出力されるカラーディジタル画像を圧縮して保存するのが通常である。
【0023】
なお、この電子カメラシステムは、電子カメラ10と処理装置本体12とを別体構成としているが、図1に破線で示すように、電子カメラ10と処理装置本体12、及び図示しない圧縮処理部と記憶媒体を一つの筐体に一体化して、電子カメラ装置として構成しても良いことは勿論である。
【0024】
次に、図1に示したような構成における動作を説明する。
【0025】
電子カメラ10により撮像が行われると、単板原色CCD14からの信号はA/Dコンバータ16を経てディジタル化され、本体12の入力画像バッファ18にディジタル単板画像として転送される。同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像が各画素にR,G,Bの三種類の色信号値を有するのに対し、このディジタル単板画像は、各画素に単板原色CCD14の色フィルタ配置に応じて一種類の色信号値しか持たず、他の2種類の色信号値は欠落している。そこで、本体12内ではディジタル単板画像の各画素で欠落する色信号値を推定し、同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像を復元する処理を行う。この復元処理は、入力画像バッファ18内のディジタル単板画像の各画素に対して順次以下の処理が行わることで達成される。
【0026】
以下の説明において、現在復元処理の対象となっている画素を注目画素と呼ぶ。また、画像のある領域において各画素におけるS色信号値(SはR,G,Bの何れか)を取り出すことにより形成される画像をその領域内のS色信号と呼ぶことにする。
【0027】
まず、領域抽出部20は、注目画素を含む5×5画素の大きさを持つ矩型領域の全てに対して、その領域内の画像を順次入力画像バッファ18から読み出し、読み出した画像を領域バッファ22に書き込む。全ての矩型領域内の画像の書き込みが終了すると、平均・分散評価部24は、各矩型領域内の画像を領域バッファ22より並列に読み出し、各画像に対して次の処理を並列に行う。
【0028】
即ち、平均・分散評価部24は、読み出した矩型領域の位置とフィルタ配置保持ROM26に記憶されている色フィルタの配置情報とから、矩型領域内でR色信号値が得られる画素位置を特定し、それらの画素位置における色信号値の平均値Ar 及び分散Vr を計算する。G,B色信号についても同様に平均値Ag ,Ab 及び分散Vg ,Vb を計算する。ここで、r,g,bは色信号の種類を表す添字である。そして、分散Vc (cはr,g,bの何れか)からパラメータ算出部28で算出されるパラメータの信頼性を以下に示すような式(1)により予測する。Vc が式(1)を満たす場合にだけ、Ac ,Vc (cはr,g,bの何れか)をパラメータ算出部28に転送する。式(1)とパラメータの信頼性の関係は後述する。
【0029】
【数1】
Figure 0003914628
【0030】
ここで、max(p,q)はpとqの最大値、min(p,q)はpとqの最小値を示す。Th1,Th2は適切な閾値である。
【0031】
パラメータ算出部28では、計算値Ac ,Vc が転送されると、まず、注目画素に存在する色信号値の種類S(SはR,G,Bの何れか)を、フィルタ配置保持ROM26に記憶されている色フィルタの配置情報と矩型領域の位置とから特定する。その後、転送された平均値及び分散から、それらが算出された矩型領域内の原RGB画像において色信号Sと他の色信号T(TはR,G,BのうちSでないもの)の間に成り立っているはずの関係を推定する。この関係を以下色信号SとTの色相関と呼ぶ。推定される色信号SとTの色相関はパラメータαst,βstを含んだ次の式(2)で表わされる。
【0032】
T=αst×S+βst …(2)
(s,tはS,Tに対応した添字でr,g,bの何れか)
ここで、パラメータαst,βstは色相関パラメータと呼ばれ、平均値Ac 及び分散Vc から計算される。
【0033】
ここで、原RGB画像における色相関、及び式(2)の意味について述べる。一般に、支配的な照明光が一つであるような自然な照明環境のもとで拡散反射特性を持つ物体を撮像した場合、原RGB画像におけるその物体表面に対応する画素PにおけるC色信号値Cp (CはR,G,Bの何れか)は、支配的な照明光の分光特性をL(λ)、物体表面の分光反射率をRef(λ)、撮像素子の分光感度特性をFc (λ)(cはCに対応してr,g,bの何れか)とすれば、
【数2】
Figure 0003914628
【0034】
となる。この式(3)中、n(P)は照明光の向きと画素Pに対応する物体表面の法線の向きとで決まる量であり、A(λ)は照明光と複数物体の多重反射の結果生じる周辺光の分光特性である。積分は撮像素子の分光感度が正となる波長の範囲でとる。この式(3)から、画素Pの近傍における色信号CとC’(C,C’はR,G,Bの何れか)の間には、α,βをパラメータとして、
C=α×C’+β …(4)
という線形な関係式が成り立つことがわかる。
【0035】
また、物体が鏡面反射特性と拡散反射特性を合わせ持つ場合は、物体の広い範囲の表面に対応する領域における色信号CとC’は、図2で示される関係を持つことが知られている。図2は、その領域内の原RGB画像の各画素についてC色信号値を横軸に、C’色信号値を縦軸にプロットしたもので、領域内の色信号間の関係が図示されている。以下、このようなグラフを色相関図と呼ぶ。ここで、画素Pのごく小さな近傍における色信号C,C’の関係はこのグラフのごく一部を取り出したものとみなせるが、これは式(4)で十分近似できる。さらに複雑な照明条件と物体の反射特性のもとでも、単一素材の物体表面に対応するごく小さな画像領域においては、色信号C,C’の関係は式(4)の直線で近似できる。これが、色相関に式(2)を用いる理由である。
【0036】
次に、図3を用いて色相関パラメータαst,βstを計算値Ac ,Vc から推定する方法について説明する。
【0037】
図3中の右方に示す色相関図において、薄い網掛け部分は原RGB画像における色信号38のうち色信号SとTを図示したもので、本来の2色信号の色相関を示している。しかし、矩形領域内の単板画像の色信号40は、一画素につき一色信号値であるために、図3の斜線のハッチング部分で表され、上記薄い網掛け部分を各軸に射影したものしか得られない。そこで、本実施の形態では、本来の色相関を近似する推定近似線42を、図3の斜線ハッチング部分から以下のように推定する。
【0038】
まず、推定近似線42の傾きを単板画像の各色信号の変動量の比として推定する。次に、その通過点を単板画像の各色信号の平均値により決定する。変動量として各色信号の標準偏差(分散の平方根)を用いると、推定近似線42のパラメータαst,βstは、次の式(5)により決定される。
【0039】
【数3】
Figure 0003914628
【0040】
なおここで、As ,Vs ,At ,Vt は、矩形領域内の色信号SとTの平均と分散である。パラメータ算出部28は、上記式(5)に基づいて4つの色相関パラメータαst,βst,αst’,βst’(t,t’はsでない二種類の色信号)を計算し、パラメータセットとしてパラメータバッファ30に転送する。
【0041】
パラメータ算出部28が転送された全てのAc ,Vc に対する処理を終了すると、パラメータ評価部32は、パラメータバッファ30に転送されていたパラメータセットを1セットづつ読み出して、その信頼性を評価する。
【0042】
ここで、パラメータの信頼性の重要性とその評価法について説明する。上記式(5)に基づいて算出された色相関パラメータは、矩形領域内での色信号SとTの色相関に式(2)が成り立つと仮定して得られる。しかし、異なる色相を持ち、しかも表面の明るさが面の形状等により変化している2つの物体表面の境界部では、図4中の右方に示す色相関図中の三板画像の色信号38に示されるように、色相関は複数の直線からなり、単一の直線ではうまく近似できない。以下、この部分を色エッジ領域44と呼ぶことにし、これに対して図3に示されるような単一の直線で色相関が近似可能な部分を素材均一領域46と呼ぶことにする。
【0043】
色エッジ領域44では、算出した色相関パラメータに基づいて欠落色信号を推定すると大きな推定誤差が生じるので、その色相関パラメータの使用を避ける必要がある。しかし、単板画像の色信号40からは図4の様なグラフは得られないので近似の良否は直接わからず、その信頼性を推定する必要が生じる。本実施の形態では、平均・分散評価部24で分散Vc に基づいてまず信頼性が低くなる可能性のある状況を検出し、パラメータ評価部32において色相関パラメータ自体の値に基づきその近似精度を判断する二段階の処理を行っている。
【0044】
一般に、色エッジ領域44では、素材均一領域46に比して各色信号の分散が大きくなる傾向が強い。ただし、無彩色の領域では、各色信号の分散が大きくても色信号間の直線関係は成立する。平均・分散評価部24ではこの状況を式(1)により検出、回避し、信頼性の低い色相関パラメータがパラメータ算出部28において算出されるのを防いでいる。また、色相関パラメータの値自体については、色エッジ領域44でパラメータβの値が大きな絶対値を持つ確率が高い。これに対し、素材均一領域46ではパラメータβは「0」に近い値をとる。素材均一領域46においても、式(3)から示唆されるように周辺光と直接光の分光特性が大きく異なる場合やハイライト周辺でパラメータβは大きな値を取りうるが、このような領域は画像中で比較的わずかである。
【0045】
そこで、パラメータ評価部32では、各パラメータセットにおけるβstの絶対値|βst|を所定の閾値Th3と比較し、閾値以下の|βst|を持つパラメータセットのみを信頼性が高いと評価して画素復元部34に転送する。その結果、図5に示すように、注目画素48を含む矩形領域内の色相関を近似するパラメータのうち色エッジ領域44のパラメータセット50は除かれ、素材均一領域46のパラメータセット52が選抜されて画素復元部34に転送される。
【0046】
画素復元部34は、領域バッファ22から注目画素に存在する色信号値Sp を読み出し、転送された各パラメータセットαst,βstに対し注目画素での欠落色信号値Tp (TはR,G,BのうちSでないもの)を、次の式(6)により推定する。
【0047】
p =αst×Sp +βst …(6)
これは、図5において注目画素の色信号54から注目画素の欠落色信号56を求める過程として図示されている。そして、各パラメータセットにより得られたTp の平均値を計算して注目画素の欠落色信号の値とし、注目画素の3色信号値を生成する。パラメータセットが全く送られてこない場合は、画素復元部34は、領域バッファ22から注目画素を中心とする矩形領域を選択して読み出し、その内部における色信号Tの平均値を注目画素の欠落色信号値とする。最後に、注目画素の3色信号値が出力画像バッファ36の対応する位置に書き込まれ、注目画素に対する処理が終了する。
【0048】
ここまでの処理が各画素に対して行われる結果、出力画像バッファ36には、色信号の欠落が補われた原RGB画像が得られる。
【0049】
本実施の形態では、領域抽出部20が各画素に対して複数の矩形領域を選択し、各々の矩形領域に対してパラメータ算出部28が色相関パラメータを算出することで注目画素の近傍における色相関パラメータの推定値を複数個得る。そして、それらの推定値の中から平均・分散評価部24及びパラメータ評価部32によって信頼性の高いものだけが選抜され、選抜された色相関パラメータに基づいて画素復元部34により注目画素の欠落色信号値が補われる。そのため、従来の色相関に基づいた欠落色復元法において色エッジ領域44の近辺で生じるアーティファクトを軽減、除去でき、より画質の高い原RGB画像を出力画像バッファ36に得ることができる上、素材均一領域46においても複数の色相関パラメータの推定値を総合することでノイズに強い高画質化が可能となっている。
【0050】
また、色相関をパラメータを2つ含んだ式(2)で表しているため、多彩な照明条件と物体表面特性を持ったシーンの欠落色復元をより正確に行うことができる。
【0051】
色相関パラメータの推定においても、局所領域の平均値及び分散から色相関パラメータを算出するため、種々の色フィルタ配置を有する単板撮像系に対応できる柔軟性を有している。
【0052】
また、この実施の形態には様々な変形、変更が可能である。領域抽出部20が抽出する領域は、ある程度小さければ5×5画素のサイズの矩形領域に限らず、実装に最適な任意の形状、サイズの領域でよい。特に、後述する第2の実施の形態に示すように、抽出する領域を単板画像から算出した特徴量に基づいて決定する方式は有効である。この場合、領域抽出部20は、各画素に関する抽出を行う前に画像全体に対する輝度等の特徴量を計算しておく。そして、各画素に関する抽出においては各画素について複数の近傍をとり、各近傍を特徴量に基づいて領域分割し、分割された個々の領域を抽出する。
【0053】
単板原色CCD14の色フィルタ配置は任意のものでよく、タイプも原色系に限らない。平均・分散評価部24が平均・分散以外に矩形領域内の各色信号の最大値、最小値を計算してパラメータ算出部28に転送し、パラメータ算出部28は転送された最大値、最小値に基づいて色相関パラメータを算出しても良い。この場合、パラメータαst,βstは、式(5)に替わって転送された各色信号の最大値MAX_c及び最小値MIN_c(cはr,g,bの何れか)から以下の式に基づいて算出される。この方法は処理速度が速く、特に文書画像などに有効である。
【0054】
【数4】
Figure 0003914628
【0055】
また、色相関を表す関係式(2)に別の式を使うことも可能である。例えば、式(2)でβst=0とおいた式を用い、αstのみを式(2)に従って計算しても良い。この場合、パラメータ評価部32は不要となり、αstを矩形領域上の色信号の平均値あるいは中間値の比として推定することで処理速度を向上させることができる。撮像される対象が限定され、色相関をパラメータ化する基本となる式(3)をより詳しく記述できる場合は、さらに高度な色相関モデルを採用してもよい。画素復元部34における最終的な欠落色信号値算出法にも種々の変形が考えられる。各パラメータセットに対する欠落色信号値の推定値Tp をただ単純平均するのではなく、各パラメータの信頼性で重み付けすることも有効である。処理時間に余裕がある場合は、各パラメータセットを4次元ベクトルとみなしてクラスタリングし、最も大きいクラスタの代表値をパラメータに用いて最終的な欠落色信号値を計算することでパラメータの信頼性推定の失敗の影響を緩和する方法も考えられる。
【0056】
平均・分散評価部24における色相関パラメータの信頼性予測法も、式(1)以外に種々のものが考えられる。例えば、2種の色信号の分散の差をとり、差がある閾値を超えている場合は信頼性が低いと予測する方法は、高速に計算できる点では式(1)より望ましい。
【0057】
領域抽出の仕方についても、各画素の処理につき毎回複数の領域を抽出するのではなく、単板画像に含まれる所定サイズの矩形領域に関する色相関パラメータをまず計算してパラメータバッファ30にいれておき、各画素の欠落色復元にはその画素を含む矩形領域の色相関パラメータのうち信頼性の高いものだけを使うという処理にすることで高速化を図れる。
【0058】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。同図において、前述の第1の実施の形態と同様の部分には、図1と同じ参照番号を付してある。
【0059】
この電子カメラシステムは、電子カメラ10と該電子カメラ10にケーブル接続された処理装置本体12とから構成されている。本実施の形態においては、本体12内には、入力画像バッファ18、参照画像計算部58、参照画像バッファ60、ブロック抽出部62、ブロック分割部64、ブロックバッファ66、平均・分散評価部24a、フィルタ配置保持ROM26、パラメータ算出部28a、ブロック復元部68、アーティファクト評価部70、線形補間部72、積算平均部74、出力画像バッファ36aが配されている。
【0060】
ここで、入力画像バッファ18の出力は、参照画像計算部58,ブロック抽出部62,及び線形補間部72に入力される。参照画像計算部58の出力は参照画像バッファ60に入力され、該参照画像バッファ60の出力はブロック分割部64に出力される。また、ブロック抽出部62の出力もこのブロック分割部64に入力される。ブロック分割部64の出力はブロックバッファ66に入力され、該ブロックバッファ66の出力は平均・分散評価部24a及びブロック復元部68に入力される。平均・分散評価部24aにはフィルタ配置保持ROM26の出力も入力され、該平均・分散評価部24aの出力はパラメータ算出部28aに入力される。パラメータ算出部28aの出力はブロック復元部68に入力され、このブロック復元部68には更にフィルタ配置保持ROM26の出力が入力される。
【0061】
該ブロック復元部68の出力はアーティファクト評価部70に入力され、アーティファクト評価部70の出力は積算平均部74に入力される。この積算平均部74には更に線形補間部72及び出力画像バッファ36aの出力が入力され、該積算平均部74の出力はこれら線形補間部72及び出力画像バッファ36aに入力される。出力画像バッファ36aは、入力画像バッファ18内の画像と同じ画素数の三色画像を保持するほか、各画素に付きカウンタを保持する。このカウンタは、バッファの各画素位置に書き込みが行われた回数を保持するために設けられている。本実施の形態では、処理中に入力画像バッファ18の各画素位置に対応した複数の色信号の推定値を計算してそれらを出力画像バッファ36aに積算していき、積算値が最後に積算平均部74で平均化されて最終的な色信号の推定値を得るという処理を行っている。この処理に書き込み回数が必要になる。
【0062】
なお、出力画像バッファ36aの出力は、当該処理装置本体12の外部へ導出され、前述の第1の実施の形態と同様に、当該処理装置本体12の外部に、例えば、JPEG等の画像圧縮処理を行う圧縮処理部とメモリカード等の記憶媒体とを配し、上記出力画像バッファ36aから出力されるカラーディジタル画像を圧縮して保存する。また、前述の第1の実施の形態と同様に、図6に破線で示すように、電子カメラ10と処理装置本体12、及び図示しない圧縮処理部と記憶媒体を一つの筐体に一体化して、電子カメラ装置として構成しても良いことは勿論である。
【0063】
次に、図6に示したような構成における動作を説明する。
【0064】
電子カメラ10により撮像が行われると、単板原色CCD14からの信号は、A/Dコンバータ16を経てディジタル化され本体12の入力画像バッファ18にディジタル単板画像として転送される。同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像が各画素にR,G,Bの三種類の色信号値を有するのに対し、このディジタル単板画像は各画素に単板原色CCD14の色フィルタ配置に応じて一種類の色信号値しか持たず、他の2種類の色信号値は欠落している。そこで、本体12内ではディジタル単板画像の各画素で欠落する色信号値を推定し、同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像を復元する処理を行う。この復元処理は、入力画像バッファ18内のディジタル単板画像に対して以下の処理が行わることで達成される。
【0065】
電子カメラ10から本体12への画像の転送が終了すると、まず参照画像計算部58が入力画像バッファ18内のディジタル単板画像に以下に示す式(8)の係数を持つ3×3画素のローパスフィルタをかけ、結果を参照画像バッファ60に参照画像として書き込む。
【0066】
0.0625 0.125 0.0625
0.125 0.25 0.125 …(8)
0.0625 0.125 0.0625
このように単板画像から直接ローパスフィルタによって計算された画像は、単板画像に対応する原RGB画像の輝度成分0.25R+0.5G+0.25Bの低域成分を反映するものになっている。
【0067】
次に、出力画像バッファ36a内の各画素の画素値及びカウンタが「0」に初期化され、入力画像バッファ18内のディジタル単板画像に含まれるすべての5×5画素サイズの矩形領域に対して、次の処理が行われる。以下、画像のある領域において各画素におけるS色信号値(SはR,G,Bの何れか)を取り出すことにより形成される画像をその領域内のS色信号と呼ぶことにする。
【0068】
ブロック抽出部62によって、入力画像バッファ18内のディジタル単板画像の左上隅からまず右方向、ついで下方向へと1画素づつ矩形領域の位置がずらされ、矩形領域内の画像が順次読み出される。ブロック抽出部62により読み出され、処理の始まった画像を注目ブロックと呼ぶ。以下の処理は注目ブロックが色エッジ領域44に属するか素材均一領域46に属するかによって少し異なっており、図7が色エッジ領域44に対する処理、図8が素材均一領域46に対する処理を示している。
【0069】
以下、処理の説明は主に図7に基づいて行う。注目ブロック76は、まずブロック分割部64に転送される。ブロック分割部64は、参照画像バッファ60中の参照画像から注目ブロックの矩形領域に対応する部分参照画像78を読み出し、部分参照画像78内の最大値RefMAX及び最小値RefMINを計算する。そして、部分参照画像78から(RefMAX+RefMIN)/2を閾値として画素値「1」または「0」を持つ二値化画像80を生成する。次に注目ブロック76を二つに分割し、二値化画像80上で画素値「1」を持つ領域に対応するブロックA 82、及び二値化画像上で画素値「0」を持つ領域に対応するブロックB 84を生成する。そして、ブロックA 82及びブロックB 84をブロックバッファ66に書き込む。
【0070】
前述のように、参照画像の一部である部分参照画像78は原RGB画像の輝度成分に相当する。そのため、部分参照画像78の二値化画像80には原RGB画像のエッジ構造が反映され、ブロックA 82,ブロックB 84がエッジの左右の領域に対応する。第1の実施の形態の説明において使用した図4に示した色エッジ領域44では、エッジの左右は素材均一領域46で、原RGB画像の色信号38に含まれる直線部分に対応する。そのため、注目ブロックが色エッジ領域44に属していてブロック内の色相関パラメータが正しく推定できない場合でも、ブロックA 82,ブロックB 84内では色相関が直線で近似でき、色相関パラメータが正しく求められる確率が高い。
【0071】
ブロックバッファ66に2つの画像が書き込まれると、平均・分散評価部24aはフィルタ配置保持ROM26に記憶されている色フィルタの配置情報を読み出し、ブロックA 82,ブロックB 84各々において色信号R,G,Bがそれぞれ得られる位置を特定する。そして、ブロックA 82,B 84各々についてその内部で得られる色信号Cの個数Nc (A),Nc (B)、平均値Ac (A),Ac (B)、及び分散Vc (A),Vc (B)(CはR,G,Bの何れか。cはr,g,bの何れかで色信号Cの種類を表す添字である)を計算する。さらに、これらの値からブロックA 82,ブロックB 84を合成(Merge )した注目ブロック76全体についての平均値Ac (M)及び分散Vc (M)を次の式(9)により計算する。
【0072】
【数5】
Figure 0003914628
【0073】
そして、これらの平均値及び分散をパラメータ算出部28aに転送する。以下、括弧内の文字がMの場合、その量がブロックA 82とB 84が合成された注目ブロック全体に関する量であることを示し、また文字がAないしBを表わす場合はその量が対応するブロックに関する量であることを示す。
【0074】
パラメータ算出部28aでは、転送された平均値及び分散から注目ブロック76,ブロックA 82及びブロックB 84内の色相関パラメータを算出する。 各ブロックA 82,B 84及び注目ブロック76全体において、第1の実施 の形態における式(2)と同様に、色信号SとTの間に次の式(10)を仮定する。
【0075】
T=αst(X)×S+βst(X) …(10)
そして、式(5)と同様に色相関パラメータを次の式(11)により計算する。なおこの式(10),(11)において、S,TはR,G,Bの何れかで互いに異なる。また、s,tはそれぞれS,Tに対応した添字であり、XはA,B,Mの何れかである。
【0076】
【数6】
Figure 0003914628
【0077】
そして、パラメータ算出部28aはブロックA 82及びブロックB 84の色相関パラメータを比較し、全ての色信号の組み合わせについてそれらの差がある閾値を越えない場合、色相関パラメータαst(M),βst(M)をブロック復元部68に転送する。そうでない場合、ブロックにおける色信号の個数の総和Nr (X)+Ng (X)+Nb (X)が多い方のブロックX(XはA,Bの何れか)に関する色相関パラメータαst(X),βst(X)をブロック復元部68に転送する。
【0078】
ここで、図7及び図8を参照して、パラメータ算出部28aから転送される色相関パラメータについて説明する。注目ブロックが図7の注目ブロック76のように色エッジ領域44に属する場合は、輝度成分である部分参照画像78に基づいてブロック分割を行うことで分割後のブロックの色相関パラメータの信頼性は向上する。しかし、注目ブロックが図8の注目ブロック86ように素材均一領域46に属する場合には、注目ブロック全体に対する色相関パラメータが既に高い信頼性をもって算出可能である。逆に、部分参照画像88でブロックが分割されると、ブロックA 90,ブロックB 92では画素数が少ないため、色相関パラメータの信頼性はかえって低下する。そこで、パラメータ算出部28aは、分割後のブロックの色相関パラメータを比較し、類似している場合は注目ブロック全体に関する色相関パラメータを改めて算出する。
【0079】
ブロック復元部68では、転送された色相関パラメータαststの種類に応 じて以下の処理を行う。転送された色相関パラメータがαst(M),βst(M)の場合、ブロックバッファ66から2つのブロックを共に読み出す。一方、色相関パラメータが何れかのブロックに関するものであれば、ブロックバッファ66から該当するブロックを読み出す。そして、読み出した画像の各画素について、その画素に存在する色信号値の種類S(SはR,G,Bの何れか)をフィルタ配置保持ROM26に格納されている色フィルタ配置情報から特定し、その色信号値Sp と転送された色相関パラメータから欠落している色信号値Tp (TはSと異なる種類)を第1の実施の形態と同様に式(6)から求める。そして、転送された色相関パラメータに関連するブロック内の全ての色信号の欠落を補って各画素に3色信号値が存在するカラーの復元ブロックを生成する。転送された色相関パラメータがαst(M),βst(M)の場合は注目ブロック86全体の色信号の欠落が復元された復元ブロック94が、その他の場合はブロックA 82,ブロックB 84の何れかに対する復元ブロック96が生成されることになる。復元ブロックはアーティファクト評価部70に転送され、復元結果にアーティファクトが含まれているかどうか判断される。
【0080】
色エッジ領域44において発生するアーティファクトは、特定の種類の色フィルタが存在する画素位置においてその色信号値が周囲の色信号値と大きく異なる値を示すというものである。アーティファクト評価部70は、復元ブロックに含まれるこのアーティファクトを以下のように検出、評価する。
【0081】
検出は各色信号S(SはR,G,Bの何れか)について行われる。まず、復元ブロックの各画素Pについて、その3×3画素近傍内の色信号値と画素Pの色信号値Sp を比較し、色信号値Sp が近傍内の最大又は最小となるかどうかを調べる。次に、最大又は最小となっている場合は、3×3画素近傍内の色信号の平均値Ap s 及び標準偏差σp s (sはSに対応する添字)を計算し、画素Pの値が所定の定数kに対して次の式(12)を満足するかどうか調べる。
【0082】
p <Ap s −k×σp s 又はSp >Ap s +k×σp s …(12)
式(12)が満足された画素はアーティファクト発生画素と判断する。すべての色信号をこのように調査した後、検出したアーティファクト発生画素の総数が所定の閾値を下回っている場合は、復元ブロックにアーティファクトが含まれていないと判断し、復元ブロックを積算平均部74に転送する。そうでない場合、復元ブロックにアーティファクトが含まれているとみなし、転送は行わない。
【0083】
積算平均部74は、アーティファクト評価部70から復元ブロックが転送された場合にのみ、以下の処理を行う。
【0084】
まず、ブロック復元部68から復元ブロックを読み出す。そして、復元ブロックの各画素Pにおいて、出力画像バッファ36a内の画素Pに対応する位置の積算値に復元ブロック96の画素Pにおける色信号値を足し込む。そして、出力画像バッファ36a内の画素Pに対応するカウンタを「1」増やす。
【0085】
入力画像バッファ18内のディジタル単板画像に含まれるすべての5×5画素サイズの矩形領域に対し以上の処理が行われた後、積算平均部74は、出力画像バッファ36a内の各画素Pの積算値及びカウンタを読み出して以下の処理を行う。
【0086】
まず、カウンタが「0」の場合、線形補間部72に画素Pの位置を知らせる。線形補間部72は画素Pを中心とする3×3画素領域を入力画像バッファ18よ り読み出し、画素Pに存在する色信号はそのまま用い、欠落している色信号値は近傍内の同種色信号値の平均値により補って、画素の3色信号値を生成する。そして、その3色信号値を積算平均部74に転送する。積算平均部74は、転送された復元値を出力画像バッファ36aに書き込む。カウンタが「0」でない場合、積算平均部74は積算値をカウンタで割って処理中に得られた複数の復元値の平均値を得、この値を出力画像バッファ36aに書き込む。ここまでの処理が終了すると、出力画像バッファ36aに色信号の欠落が補われた原RGB画像が得られる。
【0087】
本実施の形態では、入力画像バッファ18中のディジタル単板画像からブロック抽出部62が矩形領域をずらしつつ読み出し、ブロック分割部64が参照画像計算部58により単板画像から計算された参照画像に基づいてブロックを素材均一領域46に分割する結果、分割したブロックについてパラメータ算出部28aが信頼性の高い色相関パラメータを算出できる。そして、ブロック復元部68が色相関パラメータに基づいてブロックの欠落色信号を全て復元して復元ブロックを生成し、積算平均部74がアーティファクト評価部70の評価に基づいてアーティファクトの含まれない復元ブロックのみを出力画像バッファ36aに積算していくことで、出力画像バッファ36aの各画素においてその画素を包含する複数の素材均一領域46に関する色相関パラメータを用いた欠落復元値が得られ、それらを総合して最終的に計算された欠落復元値が積算、平均化されて出力画像バッファ36aに出力されることで、従来の色相関に基づいた欠落色復元法において色エッジ部の近辺で生じるアーティファクトを軽減、除去でき、より画質の高い原RGB画像を出力画像バッファ36aに得ることができる。また、これら第1の実施の形態におけるものと同じ画質向上効果の他に、領域分割を行うことで色相関パラメータを算出する領域の形状が可変になるため、色相関パラメータがより正しく計算され複雑なシーンに対する画質向上を実現しやすいという効果がある。さらに、復元ブロックのアーティファクトを直接評価することでより確実なアーティファクト除去が行えるという効果も有する。
【0088】
また、この実施の形態には前述の第1の実施の形態同様に様々な変形、変更が可能である。ブロック抽出部62が抽出するブロックの大きさ、単板原色CCD14の色フィルタ配列やパラメータ算出部28aにおける算出法は第1の実施の形態中に記載された変形が全て可能である。また、第1の実施の形態と同様に平均・分散評価部24aにおいて色相関パラメータを算出する以前にその信頼性を予測し、信頼性が低い場合はそれ以降の処理を行わないようにすることもできる。
【0089】
参照画像計算部58により計算される参照画像は、その画素値の違いが原RGB画像における色相関パラメータの違いを反映するものであればよく、例えば参照画像計算部58が単板画像を線形補間した後色差成分を算出して参照画像としても良い。アーティファクト評価部70におけるアーティファクト評価法も、周囲の画素より特別異なった色信号値を持つ画素を検出するものであれば任意である。例えばエッジ検出フィルタを復元ブロックにかけ、その出力結果のパターンから判断しても良い。
【0090】
ブロック分割部における領域分割法も、二値化に限らず種々のラベリング手法が適用できることはもちろんである。分割された領域上で色相関パラメータが高い信頼性をもって推定できるように領域分割に制限を設けると偽色の抑圧に一層効果的である。
【0091】
[第3の実施の形態]
図9は、本発明の第3の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。同図において、前述の第1及び第2の実施の形態と同様の部分には、図1及び図6と同じ参照番号を付してある。
【0092】
この電子カメラシステムは、電子カメラ10と該電子カメラ10にケーブル接続された処理装置本体12とから構成されている。本実施の形態においては、電子カメラ10は二板式撮像系を持ち、その内部では、全画素にGフィルタを配したGCCD 141 及びRフィルタとBフィルタを画素毎に市松状に配したR/B市松CCD 142 の出力がA/Dコンバータ16を介して、ケーブル接続された処理装置本体12内の入力画像バッファ18に入力されるように構成されている。一方、処理装置本体12内には、ブロック抽出部62、ブロックバッファ66、平均・分散評価部24b、パラメータ算出部28b、パラメータ評価部32b、ブロック復元部68b、積算平均部74、線形補間部72、出力画像バッファ36aが配されている。
【0093】
ここで、入力画像バッファ18の出力は、ブロック抽出部62と線形補間部72に入力される。ブロック抽出部62の出力はブロックバッファ66に入力され、該ブロックバッファ66の出力は平均・分散評価部24b、パラメータ評価部32b、及びブロック復元部68bに入力される。平均・分散評価部24bの出力はパラメータ算出部28bに入力され、該パラメータ算出部28bの出力はパラメータ評価部32bに入力される。パラメータ評価部32bの出力はブロック復元部68bに入力され、該ブロック復元部68bの出力は積算平均部74に入力される。
【0094】
この積算平均部74には更に線形補間部72及び出力画像バッファ36aの出力が入力され、該積算平均部74の出力はこれら線形補間部72及び出力画像バッファ36aに入力される。出力画像バッファ36aは、入力画像バッファ18内の画像と同じ画素数の三色画像を保持するほか、各画素にカウンタを保持する。このカウンタは、バッファの各画素位置に書き込みが行われた回数を保持するために設けられている。本実施の形態では、処理中に入力画像バッファ18の各画素に対応した複数の色信号推定値を計算し、それらを出力画像バッファ36aに積算していき、積算値が最後に積算平均部74で平均化されることで最終的な色信号推定値が得られるという処理を行っている。この処理に書き込み回数が必要になる。
【0095】
なお、出力画像バッファ36aの出力は、当該処理装置本体12の外部へ導出され、前述の第1の実施の形態と同様に、当該処理装置本体12の外部に、例えば、JPEG等の画像圧縮処理を行う圧縮処理部とメモリカード等の記憶媒体とを配し、上記出力画像バッファ36aから出力されるカラーディジタル画像を圧縮して保存する。また、前述の第1の実施の形態と同様に、図9に破線で示すように、電子カメラ10と処理装置本体12、及び図示しない圧縮処理部と記憶媒体を一つの筐体に一体化して、電子カメラ装置として構成しても良いことは勿論である。
【0096】
次に、図9に示したような構成における動作を説明する。
【0097】
電子カメラ10により撮像が行われると、GCCD 141 及びR/B市松CCD 142 からの信号がA/Dコンバータ16を経てディジタル化され、本体12の入力画像バッファ18にディジタル二板画像として転送される。同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像が各画素にR,G,Bの三種類の色信号値を有するのに対し、このディジタル二板画像は各画素にR/B市松CCD 142 の色フィルタ配置に応じてGとR、ないしはGとBの2種類の色信号値しか持たず、他の1種類の色信号値は欠落している。そこで、本体12内では入力画像バッファ18内のディジタル画像の各画素で欠落する色信号値を推定し、同じシーンを三板撮像系により撮像した場合に得られる原RGB画像を復元する処理を行う。この復元処理は、入力画像バッファ18内のディジタル二板画像に対して順次以下の処理が行わることで達成される。
【0098】
即ち、電子カメラ10から本体12への画像の転送が終了すると、まず出力画像バッファ36a内の各画素の画素値及びカウンタが「0」に初期化され、入力画像バッファ18内のディジタル二板画像に含まれるすべての5×5画素サイズの矩形領域に対して、以下の処理が行われる。以下、画像のある領域において各画素におけるS色信号値(SはR,G、Bの何れか)を取り出すことにより形成される画像をその領域内のS色信号と呼ぶことにする。
【0099】
ブロック抽出部62によって、入力画像バッファ18内のディジタル画像の左上隅からまず右方向、ついで下方向へと1画素づつ矩形領域の位置がずらされ、矩形領域内の画像が順次読み出される。ブロック抽出部62により読み出され、処理の始まった画像を注目ブロックと呼ぶ。読み出された注目ブロックは、ブロックバッファ66に転送される。
【0100】
すると、平均・分散評価部24bは、ブロックバッファ66から注目ブロックを読み出し、全画素に存在するG色信号の平均値Ag 及び分散Vg を計算する。次に、注目ブロックの各画素において存在する色信号値の種類(R,Bの何れか )をR/B市松CCD 142 の色フィルタ配置の規則性を利用して計算する。そして、注目ブロック内のR色信号の平均値Ar と分散Vr 、及びB色信号の平均値Ab と分散Vb を算出する。(r,g,bは色信号の種類を表す添字である)そして、平均値Ac 及び分散Vc (cはr,g,bの何れか)をパラメータ算出部28bに転送する。
【0101】
パラメータ算出部28bでは、転送された平均値Ac 及び分散Vc に基づいて以下の処理を行う。まず、G色信号の分散Vg を所定の閾値と比較し、閾値以上の場合は色相関パラメータαgr,βgr及びαgb,βgbを前述の第1の実施の形態で説明した上記式(5)により計算する。一方、Vg が閾値以下の場合は、色相関パラメータαbr,βbr及びαrb,βrbを同じく上記式(5)により計算する。そして、計算した色相関パラメータをパラメータ評価部32bに転送する。
【0102】
パラメータ評価部32bでは、転送されたパラメータの信頼性を以下のように評価する。まず、転送されたパラメータがαgr,βgr及びαgb,βgbである場合、ブロックバッファ66から注目ブロックを読み出す。そして、注目ブロックの各画素Pにおいて、R/B市松CCD 142 の色フィルタ配置の規則性を利用して画素Pに存在するG以外の色信号T(TはR,Bの何れか)を特定し、その色信号値Tp とG色信号値Gp 、及び色相関パラメータαgt,βgt(tはTに対応してr,bの何れか)から色相関パラメータによる色信号推定値と実際の色信号値の推定誤差
p =Tp −(αgt×Gp +βgt) …(13)
を計算する。次に、注目ブロック内の全画素における誤差の絶対値の総和を計算し、総和が所定の閾値を超えていない場合は、色相関パラメータαgr,βgr及びαgb,βgbの信頼性は高いと判断して、ブロック復元部68bに色相関パラメータαgr,βgr及びαgb,βgbを転送する。
【0103】
図10は、色エッジ領域44においてR色信号の得られる画素pを例に、誤差ep の意味を図示している。二板撮像系においては各画素に2種類の色信号が得られるため、図10中に二板画像の色信号98として示されているように色相関図を部分的に図示することが可能である。誤差ep は、色相関パラメータαgr,βgrにより表される推定近似線42に基づいてG色信号値100から推定されるR色信号推定値102と、実際のR色信号値104との差を表し、色相関を推定近似線42で近似する信頼性が悪いほど大きくなる。
【0104】
一方、転送された色相関パラメータがαbr,βbr及びαrb,βrbである場合、パラメータβbrの絶対値|βbr|及びβrbの絶対値|βrb|が所定の閾値を越えないかどうか調べ、いずれも越えていない場合は、色相関パラメータαbr,βbr及びαrb,βrbの信頼性は高いと判断して、ブロック復元部68bに色相関パラメータαbr,βbr及びαrb,βrbを転送する。
【0105】
ブロック復元部68bは、パラメータ評価部32bから色相関パラメータが転送された場合は、ブロックバッファ66から注目ブロックを読み出し、注目ブロックの各画素pで欠落する色信号の種類T(TはR,Bの何れか)をR/B市松CCD 142 の色フィルタ配列の規則性に基づいて特定する。そして、転送されたパラメータがαgr,βgr及びαgb,βgbである場合、注目ブロック内の各画素PのG色信号値Gp から、各画素で欠落する色信号値Tp を以下の式により推定する。
【0106】
p =αgt×Gp +βgt …(14)
また、パラメータ評価部32bから色相関パラメータαbr,βbr及びαrb,βrbが転送された場合には、注目ブロック内の各画素PにG色信号以外に存在する色信号値Sp (SはR,BのうちTでないもの)から、各画素で欠落する色信号値Tp を以下の式により推定する。
【0107】
p =αst×Sp +βst …(15)
そして、いずれの場合も各画素に3色信号値を持つ復元ブロックを生成する。こうして生成された復元ブロックは、積算平均部74に転送される。一方、パラメータ評価部32bから色相関パラメータが転送されない場合は、復元ブロックの生成も転送も行わない。
【0108】
積算平均部74は、ブロック復元部68bから復元ブロックが転送された場合にのみ、復元ブロックの各画素Pに対し、出力画像バッファ36a内の画素Pに対応する位置の積算値に復元ブロックの画素Pにおける色信号値を足し込む。そして、出力画像バッファ36a内の画素Pに対応するカウンタを「1」増やす。
【0109】
入力画像バッファ18内のディジタル二板画像に含まれるすべての5×5画素サイズの矩形領域に対し以上の処理が行われた後、積算平均部74は出力画像バッファ36a内の各画素Pの積算値及びカウンタを読み出して以下の処理を行う。
【0110】
まず、カウンタが「0」の場合、線形補間部72に画素Pの位置を知らせる。線形補間部72は、画素Pを中心とする3×3画素領域を入力画像バッファ18より読み出し、画素Pに存在する色信号値はそのまま用い、欠落している色信号値は近傍内の同種の色信号値の平均値により補って、画素の3色信号値を生成する。そして、その3色信号値を積算平均部74に転送する。積算平均部74は転送された復元値を出力画像バッファ36aに書き込む。カウンタが「0」でない場合、積算平均部74は積算値をカウンタで割って処理中に得られた複数の復元値の平均値を得、この値を出力画像バッファ36aに書き込む。
【0111】
ここまでの処理が終了すると、出力画像バッファ36aに色信号の欠落が補われた原RGB画像が得られる。
【0112】
以上のように、本実施の形態では、入力画像バッファ18中のディジタル二板画像からブロック抽出部62が矩形領域をずらしつつ読み出し、パラメータ算出部28bが色相関パラメータを算出する。次に、パラメータ評価部32bが二板画像の各画素に存在する二種類の色信号値から色信号の復元誤差を計算することで色相関パラメータの信頼性を判断し、信頼性の高いパラメータだけをブロック復元部68bに転送する。そして、ブロック復元部68bが色相関パラメータに基づいてブロックの欠落色信号を全て復元して復元ブロックを生成し、積算平均部74が復元ブロックを出力画像バッファ36aに積算していくことで、出力画像バッファ36aの各画素において信頼性の高い色相関パラメータのみに基づいて計算された複数の欠落復元値の積算値が得られる。最終的にそれらの平均値が出力画像バッファ36aに出力されることで、前述の第1の実施の形態と同じく色エッジ部の近辺で生じるアーティファクトが少なく画質の高い原RGB画像を出力画像バッファ36aに得ることができる。本実施の形態では、入力画像が二板画像であることを利用して色相関パラメータの信頼性を確実に評価することで、第1の実施の形態における場合よりさらに効果的にアーティファクトの発生を抑えることが可能になっている。また、G色信号の局所的な分散に応じて各画素で得られる二種類の色信号のどちらを欠落色復元に用いるかを切り替えることにより、G信号が小さくG信号のみからの復元ではノイズの影響を受けやすい場合にも良好な復元結果を維持することができる。
【0113】
なお、この実施の形態には第1の実施の形態同様に様々な変形、変更が可能である。ブロック抽出部62により抽出されるブロックの大きさ、R/B市松CCD 142 の色フィルタ配列やパラメータ算出部28bにおける算出法は第1の実施の形態中に記載された変形が全て可能である。
【0114】
例えば、平均・分散評価部24bにおいて平均、分散の値に基づいて色相関パラメータの信頼性を予測し、信頼性が低い場合はそれ以降の処理を行わないようにすることも、第1の実施の形態同様に可能である。また、二板撮像系の場合は注目ブロック内の色相関図を構成することが可能なため、色相関パラメータの信頼性の計算法にも種々の方法が考えられる。例えば、色相関図に2本の直線を当てはめ、単一の直線を当てはめた場合より当てはめ誤差が少ない場合は色相関パラメータの信頼性が低いと判断することもできる。さらに、第2の実施の形態のように領域分割を行ってパラメータの信頼性を上げることも容易となる。この場合、平均・分散評価部24bが色相関図からHough 変換などの直線抽出手法を用いて直線を抽出し、最も当てはまりの良い直線部に対応する領域を以下の処理対象とすればよい。もっと簡単な領域分割法としては、パラメータ評価部32bで注目ブロック内の各画素Pにおいて算出される推定誤差ep の符号に応じて注目ブロックを2つの部分ブロックに分割してブロックバッファ66に書き戻し、各部分ブロックで改めてパラメータ算出部28bによりパラメータ算出を行って信頼性の高い部分ブロックを以後の処理に用いるものが挙げられる。また、第2の実施の形態と同様に特徴量に基づいて領域分割を行う場合でも、特徴量として全画素に存在するG成分を用いればより正確な欠落色復元が可能になる。
【0115】
積算平均部74やブロック復元部68bにおける処理法にも種々の変形が可能である。もともとG色信号は欠落なく得られているので、G色信号についての積算は行なわなくてもよい。また、パラメータ評価部32bではRとGの色相関パラメータ、BとGの色相関パラメータの信頼性評価を一括して行っているが、それぞれ別々に誤差評価をし、ブロック復元部68bへの色相関パラメータの転送も独立して行えば、RとGの色相関が直線で近似できるがBとGの色相関は近似できない等のケースでもB色信号の欠落復元が可能になる。
【0116】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能である。ここで、本発明の要旨をまとめると以下のようになる。
【0117】
(1) 単板撮像系又は二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置において、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
上記色相関パラメータ推定手段により推定された個々の色相関パラメータの信頼性をその色相関パラメータ及びその色相関パラメータに対応する画像領域上の色信号値に基づいて評価し、信頼性の高い色相関パラメータだけを選抜するパラメータ選抜手段と、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、その画素に存在する色信号値と上記色相関パラメータ選抜手段により選抜された色相関パラメータのうち対応する画像領域がその画素を包含するものとに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する復元手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【0118】
この構成は、図1乃至図5に示される第1の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態の二つが対応する。即ち、領域抽出手段は、第1の実施の形態では領域抽出部20に対応し、第3の実施の形態ではブロック抽出部62に対応する。色相関パラメータ推定手段は、平均・分散評価部24,24b及びパラメータ算出部28,28bに対応する。パラメータ選抜手段は、パラメータ評価部32,32bに対応する。復元手段は、第1の実施の形態では画素復元部34に対応し、第3の実施の形態ではブロック復元部68b及び積算平均部74に対応する。
【0119】
上記のような構成によれば、領域抽出手段が入力画像の各画素につき複数の画像領域を抽出し、抽出された個々の画像領域に対し、画像領域上の色相関を色相関パラメータ推定手段が推定してパラメータ化する。そして、パラメータ選抜手段が色相関パラメータ推定手段により推定された個々のパラメータの信頼性を評価し、信頼性の高いパラメータだけを復元手段に送る。復元手段では、入力画像の各画素において、送られてきたパラメータのうちその画素に関連するものに基づいてその画素の色信号値を復元する。
【0120】
従って、入力画像の各画素に対し複数の画像領域が採られ、各画像領域上の色相関パラメータのうち信頼性の高いものだけが選抜されるため、信頼性の低いパラメータを用いることにより生じるアーティファクトを抑制することができる。また、各画素の欠落色信号値の復元をその画素に関連する複数の色相関パラメータから行うため、ノイズに強い復元が可能となる。
【0121】
(2) 単板撮像系又は二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置において、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
各画像領域上の欠落色信号値をその画像領域に対応する色相関パラメータと各画素に存在する色信号値とから復元して復元画像領域を生成する領域復元手段と、
上記領域復元手段により生成された個々の復元画像領域に対し、その復元画像領域上の色信号値に基づいて復元結果の信頼性を評価し、信頼性が高いと評価された復元画像領域を選抜する復元領域選抜手段と、
上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、上記復元領域選抜手段により選抜された復元画像領域のうちその画素を含むものに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する画素復元手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【0122】
この構成は、図6乃至図8に示される第2の実施の形態が対応する。即ち、領域抽出手段は、参照画像計算部58、参照画像バッファ60、ブロック抽出部62及びブロック分割部64に対応する。色相関パラメータ推定手段は、平均・分散評価部24a及びパラメータ算出部28aに対応する。領域復元手段はブロック復元部68に対応し、復元領域選抜手段はアーティファクト評価部70に対応する。そして、画素復元手段は、積算平均部74に対応する。
【0123】
上記のような構成によれば、領域抽出手段が入力画像の各画素につき複数の画像領域を抽出し、抽出された個々の画像領域に対し、画像領域上の色相関を色相関パラメータ推定手段が推定してパラメータ化する。そして、推定された個々のパラメータにつき領域復元手段が対応する画像領域上の各画素における欠落色信号値を復元し、カラーの復元画像領域を生成する。この処理は各色相関パラメータと対応する画像領域上に既に存在する色信号値とに基づいて行われる。各色相関パラメータにつきこうして復元画像領域が生成されると、復元領域選抜手段は各復元画像領域上の色信号値に基づいて復元結果の信頼性を評価し、信頼性が高いと評価された復元画像領域のみを選抜する。画素復元手段では、入力画像の各画素において、復元領域選抜手段により選抜された復元画像領域のうちその画素を包含するものに基づいてその画素の色信号値を復元する。
【0124】
従って、入力画像の各画素に対して複数の画像領域が採られ、各画像領域上の欠落色信号値がその画像領域上の色相関パラメータに基づいて復元され、信頼性が高いと判断された復元結果だけが選抜されて各画素の欠落色信号値の復元に利用されるため、信頼性の低い復元結果が利用されることにより生じるアーティファクトを抑制することができる。また、各画素の欠落色信号値の復元をその画素に関連する複数の復元結果に基づいて行うため、ノイズに強い復元が可能となる。さらに、各画像領域の復元結果を直接復元の信頼性の判定に用いるため、信頼性の評価がより確実で且つ効率的な処理が可能になる。
【0125】
(3) 上記領域抽出手段は、
上記ディジタル画像の各画素において色相関パラメータに関連する所定の特徴量をその画素の近傍に存在する色信号値に基づいて計算する特徴量算出手段と、上記特徴量算出手段により算出された特徴量に基づいて上記ディジタル画像の各画素の近傍を複数の画像領域に分割する分割手段とを有し、
分割された各画像領域を抽出することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の画像処理装置。
【0126】
この構成は、図1乃至図5に示される第1の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態にも対応するが、主として図6乃至図8に示される第2の実施の形態に対応する。即ち、第2の実施の形態においては、領域抽出手段が参照画像計算部58、参照画像バッファ60、ブロック抽出部62及びブロック分割部64に対応し、そうのち特徴量算出手段が参照画像計算部58に対応し、分割手段がブロック分割部64に対応する。第1の形態においては、領域抽出手段、特徴量算出手段、及び分割手段はいずれも領域抽出部20に対応する。第3の形態においては、領域抽出手段、特徴量算出手段、分割手段はいずれもブロック抽出部62に対応する。
【0127】
上記のような構成によれば、領域抽出手段において、特徴量算出手段が入力画像の各画素でその画素における色相関を表す色相関パラメータに関連する特徴量を計算する。そして、分割手段が各画素の近傍を特徴量に基づいて領域分割し、分割後の各部分領域がその画素に関連する画像領域として抽出される。
【0128】
従って、画像領域の抽出に際し、入力画像から各画素近傍の色相関パラメータに関連の深い特徴量を算出し、その特徴量に基づいて抽出する画像領域を決定するため、抽出された各画像領域上の色相関パラメータが予め信頼性の高いものになり、アーティファクトの発生をより確実に抑えることができる。
【0129】
即ち、上記構成では、輝度などの入力画像から計算できる特徴を利用して、色相関に関して設けた仮定が成立する可能性の高い領域だけを積極的に取り出し、その領域の情報を用いて欠落色信号値の復元を行うことにより、画像の全ての部位でアーティファクトが生じにくく且つ高品位の画像を生成できる欠落色信号値の復元方法を提供することができる。
【0130】
(4) 上記色相関パラメータ推定手段は、色相関パラメータの推定に先立って、その色相関パラメータに対応する画像領域上に存在する色信号値に基づいてその色相関パラメータの信頼性を予測する信頼性予測手段を有し、その信頼性が高いと判断された場合にのみ色相関パラメータの推定を行うことを特徴とする上記(1)乃至(3)の何れかに記載の画像処理装置。
【0131】
この構成は、図6乃至図8に示される第2の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態にも対応するが、主として図1乃至図5に示される第1の実施の形態に対応する。即ち、信頼性予測手段は、平均・分散評価部24が対応する。
【0132】
上記のような構成によれば、色相関パラメータ推定手段におけるパラメータ推定において、信頼性予測手段が対象とする画像領域上の色信号値から色相関パラメータの信頼性を予測し、信頼性が低いと予測された場合は色相関パラメータの算出を行わないようにする。高いと予測された場合は推定を行う。
【0133】
従って、明らかに信頼性の低い色相関パラメータの算出が防げるのでアーティファクトの発生がより確実に抑えられ、処理速度も向上する。
【0134】
(5) 上記特徴量算出手段は、上記ディジタル画像の各画素の近傍における平均的な輝度値ないしは色相を計算して特徴量とすることを特徴とする上記(3)に記載の画像処理装置。
【0135】
この構成は、図6乃至図8に示される第2の実施の形態が対応する。即ち、特徴量算出手段は、参照画像計算部58に対応する。
【0136】
上記のような構成によれば、特徴量算出手段が入力画像の各画素でその画素における色相関を表す色相関パラメータに関連する特徴量として各画素の近傍における平均的な輝度値ないしは色相を計算する。
【0137】
従って、各画素の近傍で安定的に計算でき、かつモアレの影響が少ない量である輝度値を用いることで、分割手段により分割される個々の領域に対する色相関パラメータの信頼性が向上する。また、輝度値が等しく色だけが違っているエッジ部などでは輝度値に変わって色相を特徴量とすることで同じく分割手段により分割される個々の領域に対する色相関パラメータの信頼性が向上する。
【0138】
即ち、上記構成では、輝度などの入力画像から計算できる特徴を利用して、色相関に関して設けた仮定が成立する可能性の高い領域だけを積極的に取り出し、その領域の情報を用いて欠落色信号値の復元を行うことにより、画像の全ての部位でアーティファクトが生じにくく且つ高品位の画像を生成できる欠落色信号値の復元方法を提供することができる。
【0139】
(6) 上記ディジタル画像は二板撮像系により得られたものであり、
上記パラメータ選抜手段は、上記色相関パラメータ推定手段により推定された色相関パラメータを用いて、その色相関パラメータに対応する画像領域上の各画素で既に存在する二種の色信号値の一方から他方を推定した場合の推定値と実際の色信号値との推定誤差を算出し、推定誤差に基づいてその色相関パラメータの信頼性を評価することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0140】
この構成は、図9及び10に示される第3の実施の形態が対応する。
【0141】
上記のような構成によれば、二板撮像系により得られた画像が入力された場合、入力画像の各画素に二種類の色信号値が得られる。パラメータ選抜手段は、色相関パラメータの信頼性の評価にあたり、まずその色相関パラメータを使って対応する画像領域の各画素に存在する色信号値の推定値を計算する。その際、各画素に存在する二種類の色信号値のうち、一方の色信号値から他方の色信号値を推定する。そして、各画素の推定値と既にその画素に存在した同種類の色信号値との誤差を計算する。
【0142】
そして、この誤差に基づいてその色相関パラメータの信頼性を評価し、誤差が大きいほど信頼性が低いと判断する。
【0143】
つまり、単板撮像系により得られた画像と異なり、二板撮像系により得られた画像には各画素で二種類の色信号値が存在する。そのため、パラメータ選抜手段が各画素で既に存在する色信号値をあえて色相関パラメータを用いて推定し、推定結果の誤差を調べることができる。その結果、色相関パラメータの信頼性評価を確実に行える。
【0144】
(7) 上記パラメータ選抜手段は、上記色相関パラメータの値が所定の範囲に含まれているか否かに基づいてその色相関パラメータの信頼性を評価することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0145】
この構成は、図1乃至図5に示される第1の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態の二つが対応する。即ち、パラメータ選抜手段は、パラメータ評価部32,32bに対応する。
【0146】
上記のような構成によれば、パラメータ選抜手段は、色相関パラメータの信頼性の評価をパラメータの値自身から見積もる。パラメータの値の範囲は、予め色相関パラメータの信頼性が低くなる場合の色相関パラメータの値の傾向を調べておき、色相関パラメータが十分信頼できると経験的に判断される範囲に設定されている。パラメータ選抜手段は、この範囲に色相関パラメータの値が入っているかどうか調べ、入っていなければ信頼性が低い、入っていれば信頼性が高いと判断する。
【0147】
従って、色相関パラメータの信頼性の評価に他のデータを必要としないので、信頼性評価が高速、簡便に行える。
【0148】
(8) 上記復元領域選抜手段は、上記復元画像領域から近傍の全ての画素の色信号値と大きく異なる色信号値を持つ画素を検出し、検出結果に基づいてその復元画像領域の信頼性を判断することを特徴とする上記(2)に記載の画像処理装置。
【0149】
この構成は、図6乃至図8に示される第2の実施の形態が対応する。即ち、復元領域選抜手段は、アーティファクト評価部70に対応する。
【0150】
ここで、領域復元手段により復元された復元画像領域には、復元結果の信頼性が乏しい場合に特定のアーティファクトが現れる。このアーティファクトは、特定の画素において、その色信号値が周囲のいずれの画素の色信号値からもかけ離れた値を取るという特徴を持つ。復元領域選抜手段は復元画像領域からそのような画素を検出し、検出結果に応じて色相関パラメータの信頼性を判断する。
【0151】
従って、復元画像から明示的にアーティファクトの特徴を検出することにより、復元結果の信頼性を確実に評価できる。
【0152】
(9) 上記色相関パラメータ推定手段は、上記色相関が、二種の色信号値S,Tに対して式
T=α×S+β
を満足すると仮定し、パラメータαとβをSとTに関する色相関パラメータに設定することを特徴とする上記(1)乃至(8)の何れかに記載の画像処理装置。
【0153】
この構成は、図1乃至図5に示される第1の実施の形態、図6乃至図8に示される第2の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態の三つが対応する。
【0154】
上記のような構成によれば、色相関パラメータ推定手段が、任意の二種の色信号値S,Tに対する色相関は式
T=α×S+β
を満足すると仮定し、パラメータαとβをSとTに関する色相関パラメータとして推定する。
【0155】
従って、領域抽出手段により抽出される画像領域が十分局所的な場合、色相関を表現する式として二つのパラメータを持つ一次式を用いることで、入力される画像が複数光源や鏡面反射特性を持つ物体を含む複雑な場合の色相関も表現できるようになる。その結果、色相関パラメータの信頼性が下がってアーティファクトが発生する領域の範囲を小さくできる。
【0156】
即ち、上記の構成では、画像の局所領域の色相関として汎用性のあるものをパラメータ表現し、画像の局所領域の統計的性質を用いて欠落色信号値の復元を行う計算方法をとることにより、入力される画像が複数光源や種々の表面反射特性を持つ物体を含む複雑なものであってもアーティファクトが少なく、また種々の撮像方式やモザイク色フィルタ配置にも対応できる柔軟性のある欠落色信号値の復元方法を提供することができる。
【0157】
(10) 上記色相関パラメータ推定手段は、上記色相関パラメータを、その色相関パラメータに対応する画像領域上に存在する色信号値の統計量、特に平均値と分散、または最大値と最小値に基づいて推定することを特徴とする上記(9)に記載の画像処理装置。
【0158】
この構成は、図1乃至図5に示される第1の実施の形態、図6乃至図8に示される第2の実施の形態、並びに図9及び図10に示される第3の実施の形態の三つが対応する。
【0159】
上記のような構成によれば、色相関パラメータ推定手段は、パラメータを推定する画像領域上の色信号値を種類別に分け、各種類ごとの平均値と分散、又は最大値と最小値を計算する。次に、各種類ごとに分散の平方根又は最大値と最小値の差を計算し、色信号値の変動の大きさを見積もる。そして、変動の大きさの比から色相関パラメータのうちのαを算出し推定値とする。次に、算出されたαと平均値又は最大値と最小値の中間値から色相関パラメータのうちのβを算出し推定値とする。
【0160】
従って、色相関パラメータを対応する画像領域上の色信号値に関する統計量、特に平均値と分散や最大値と最小値によって推定することで、入力画像を得るのに用いた撮像系の色フィルタ配置が限定される必要がなくなり、また色相関パラメータがノイズの影響を受けにくくなりノイズに強い欠落色信号値の復元が可能となる。
【0161】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、色相関に関して設けた仮定がある領域内で成立するかどうかを判断し、仮定が成立すると判断された領域の情報だけを用いて欠落色信号値の復元を行うことにより、画像の全ての部位でアーティファクトが生じにくく且つ高品位の画像を生成できる欠落色信号値の復元が可能な画像処理装置を提供することができる。
【0162】
また、本発明によれば、ある画素に対しその画素に関する複数の近傍の色相関を総合して処理を行うことにより、ノイズに強い欠落色信号値の復元が可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。
【図2】色相関特性を説明するための図である。
【図3】色相関パラメータとその算出法を説明するための図である。
【図4】色相関パラメータの信頼性を説明するための図である。
【図5】色相関パラメータ選抜の効果を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。
【図7】色エッジ領域における処理を説明するための図である。
【図8】素材均一領域における処理を説明するための図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態にかかる画像処理装置の適用された電子カメラシステムの構成を示す図である。
【図10】色相関パラメータの信頼性評価を説明するための図である。
【符号の説明】
10 電子カメラ
12 処理装置本体
14 単板原色CCD
141 GCCD
142 R/B市松CCD
16 A/Dコンバータ
18 入力画像バッファ
20 領域抽出部
22 領域バッファ
24,24a,24b 平均・分散評価部
26 フィルタ配置保持ROM
28,28a,28b パラメータ算出部
30 パラメータバッファ
32,32b パラメータ評価部
34 画素復元部
36,36a 出力画像バッファ
58 参照画像計算部
60 参照画像バッファ
62 ブロック抽出部
64 ブロック分割部
66 ブロックバッファ
68,68b ブロック復元部
70 アーティファクト評価部
72 線形補間部
74 積算平均部

Claims (3)

  1. 単板撮像系または二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置において、
    上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
    上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
    上記色相関パラメータ推定手段により推定された個々の色相関パラメータの信頼性をその色相関パラメータ及びその色相関パラメータに対応する画像領域上の色信号値に基づいて評価し、信頼性の高い色相関パラメータだけを選抜するパラメータ選抜手段と、
    上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、その画素に存在する色信号値と上記色相関パラメータ選抜手段により選抜された色相関パラメータのうち対応する画像領域がその画素を包含するものとに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する復元手段と、
    を具備することを特徴とする画像処理装置。
  2. 単板撮像系または二板撮像系により得られた、各画素について1種類以上の色信号値が欠落しているディジタル画像を入力し、各画素の欠落色信号値を推定してカラーディジタル画像を出力する画像処理装置において、
    上記色信号値が欠落しているディジタル画像から各画素につき複数の相異なる画像領域を抽出する領域抽出手段と、
    上記領域抽出手段により抽出された個々の画像領域に対し、その画像領域上の色相関を表す色相関パラメータを、その画像領域上に存在する色信号値に基づいて推定する色相関パラメータ推定手段と、
    各画像領域上の欠落色信号値をその画像領域に対応する色相関パラメータと各画素に存在する色信号値とから復元して復元画像領域を生成する領域復元手段と、
    上記領域復元手段により生成された個々の復元画像領域に対し、その復元画像領域上の色信号値に基づいて復元結果の信頼性を評価し、信頼性が高いと評価された復元画像領域を選抜する復元領域選抜手段と、
    上記色信号値が欠落しているディジタル画像の各画素に対し、上記復元領域選抜手段により選抜された復元画像領域のうちその画素を含むものに基づいてその画素の欠落色信号値を復元する画素復元手段と、
    を具備することを特徴とする画像処理装置。
  3. 上記領域抽出手段は、
    上記ディジタル画像の各画素において色相関パラメータに関連する所定の特徴量をその画素の近傍に存在する色信号値に基づいて計算する特徴量算出手段と、
    上記特徴量算出手段により算出された特徴量に基づいて上記ディジタル画像の各画素の近傍を複数の画像領域に分割する分割手段とを有し、
    分割された各画像領域を抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
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