JP4583691B2 - スケジューリングおよびヘッダ圧縮を利用しパケット遅延を軽減させるための方法と装置 - Google Patents
スケジューリングおよびヘッダ圧縮を利用しパケット遅延を軽減させるための方法と装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケットの情報を転送するための多重化通信システム、より特定すれば、多層化されたネットワークアーキテクチャにおけるパケットのスケジューリングおよびヘッダ圧縮に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
現代の通信ネットワークが伝送する、リアルタイムの音声、動画、および関連データが関係しているパケットトラフィック量は増加している。例えば、インターネットにおいては、リアルタイムの音声および動画を含む多様なデータを送信するために、従来の通話接続と比べてより割安な代替手段を利用する、多くの新規なアプリーケーションが登場している。インターネット上でリアルタイムアプリケーションが流行している一因として、一般家庭で設置されるコンピュータが高性能化してきたこと、および、音声通話、音楽やビデオクリップの視聴などの様々なオンライン活動の中心としてインターネットが普及してきたことが挙げられる。高帯域幅の商業用接続におけるコンピュータ同士のインターネット接続と違い、典型的な家庭における帯域幅は、モデムスピード、ライン品質等によって課せられる接続性の条件によって制限されている。
【0003】
帯域幅の制限という基本的な問題は、プロトコルヘッダが原因のパケットオーバーヘッドの結果、実際に転送される情報量が制限されることにより、更に大きな問題となる。基本的なインターネットプロトコルは、リアルタイム問題がほとんど考慮されていなかった時に、エンドツーエンドでパケットが正確に転送されるのを確実にすることを第一に開発されたものである。
【0004】
X.25等のプロトコルを含む3階層のインターフェースアーキテクチャは、例えば、下位層における転送制御のために開発され、一方、上位層のプロトコルは、より緻密な機能を制御するために開発された(“Open System Interconnect(OSI)−New International Standards Architectures and Protocols for Distributed Information Systems”IEEE会報 特別版、編集H.C.FoltsおよびR.des Jardins,vol.71,no.12,1983年12月を参照)。設計思想によると、下位層の機能は、上位層の機能性に対して「透過的」であるように考慮されるため、下位層で達成され得ることのほとんどは、下位層のハードウェアとソフトウェアが当該透過性を保存する能力によってのみ制限される。最下位層、つまり物理層では、X.21プロトコル等のプロトコルスペシフィケーションが装置間の物理的接続を管理する。次に、データリンク層は、例えば上位層からパケットを受信し、それを、物理層を通り転送するための例えばHDLCフレームに配置するためのプロトコルを特定する。データリンク層は、更に、物理層からフレーム化された情報を受信し、それをアンパックして、ネットワーク層まで転送することができる。ネットワーク層、またはパケット層では、エンドツーエンドでのパケット配送の成功が保証されていない場合や、順序どおりの配送が保証されていない場合、および、あて先アドレス等の情報を含むパケットまたは「データグラム」がひとつずつ配送される場合等のいくつかの想定に基づいて、複数の論理接続を確立し、パケットにアドレスを添付することができる。
【0005】
本明細書では様々な下位層について記載されているが、上位層からのデータグラムは、ネットワーク層のプロセスまたはシステムへのインプットを形成し、それに引き続き、下位層へ、最終的には送信先へインプットが提供されるという点に留意しなければならない。ネットワーク層エンティティに入力される上位層のデータグラムは、例えば、伝送層プロセスまたはシステムから入力され得る。典型的で周知の伝送層プロトコルは、他にも周知で利用されている伝送層プロトコルはあるものの、伝送制御プロトコル(TCP)である。特に、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)は、伝送層プロトコルとしてしばしば使用されている。UDPは、無線データグラムサービスを定義するプロトコルである。UDPを実行する伝送層プロセスまたはシステムは、あて先へのルーティング情報を含む内臓データパケットを形成することができる。
【0006】
インターネット上でのネットワーク層通信のために定着したプロトコルは、インターネットプロトコル(IP)である。IPスペシフィケーションには、IPヘッダに関連したフィールドの算出が含まれており、当該フィールドは、関連パケットについての情報を含んでおり、当該パケットには、当該パケットがどのように配送されるべきかを特定するための情報が含まれている。IPヘッダフィールドについては、以下で詳述する。IPヘッダの内容をより完全に理解するには、“Internet Protocol Specification”E.J.Postel,SRI International,Menlo Park,CA,1981年9月,RFC791を参照。
【0007】
データリンク層通信については、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)が独占的なプロトコルとなっている。PPPは3つの主要な構成、つまり、マルチプロトコルデータグラム(データグラムはネットワーク層(IP等)における伝送単位である)をカプセル化する手段と、データーリンク接続を確立、設定、およびテストするためのリンク制御プロトコル(LCP)と、相違するネットワーク層のプロトコルを確立、設定するためのネットワーク制御プロトコル(NCP)ファミリーとを有する。
【0008】
PPPは、当該プロトコルに従ったリンクの両端である、2つのいわゆるピアの間でパケットを伝送するために設けられる。従って、カプセル化フォーマットのオプションについて合意し、パケットサイズへの多様な制限を処理し、設定誤りを検出し、リンクを終了するために、LCPを使用することができる。他の任意の機能は、リンク上のそのピアのアイデンティティの認証と、リンクがいつ正常に機能し、いつ不能であるかを決定することである。PPPリンクは、全二重同時ビッドレクショナルオペレーションを提供する。PPPの定義については、Networking Group Request for Comments RFC 1661,“The Point to Point Protocol”W.Simpson編,1994年7月,に記載がある。
【0009】
PPPを使用して確立されたリンク間の通信は、プロトコルと関連のあるデータグラムが一または複数のフレームにカプセル化され得るように達成される。上記に記載のフレームは、いくつかのデータ単位とともに、ヘッダおよび/またはトレーラをふくむことができる。しかしながら、パケット全体をフレームにマッピングするのが従来からの慣行である。しかし、フラグメント化・メソッドをフロー制御管理に使用できる、ネットワークが輻輳している状態では、従来のフレーミングは機能しない。そのような輻輳の原因は、何よりも、例えばマルチリンクサービスによって提供される広帯域接続の数の増加による、トラフィックの増加にある。基本レートでもあり一次群レートでもあるISDNは、例えば、システム間の多重同時チャネルによるオンディマンド帯域幅を可能とするので、そのようなサービスに関係する問題に取り組まなくてはならない。待ち時間を生じさせる輻輳は、音声や動画のリアルタイムデータ、VoIP、テルネット等にとって特に問題となる。そのようなリアルタイムデータフォーマットには、パケット待ち時間、ジッタ、パケット再順序化、および関連問題に対する許容度が殆どまたは全くない。マルチリンク環境に関連する問題は、独特のリアルタイムパケットデータ条件を増加させるだけである。
【0010】
マルチリンク環境での輻輳を緩和するために、リンクフラグメント化とインターリービング(LFI)として既知の解決方法が、シスコシステムによる“CiscoIOSTMSoftware Quality of Service Solutions”1999年4月8日,に提案されている。LFIでは、遅延とジッタは、大きなデータグラムの分割と、時間に敏感なパケットと得られたパケットフラグメントとのインターリービングとによって軽減される。LFIでは、連続遅延が主要な遅延要因である比較的低速度のリンクが想定されている。LFIは、単に、インターリービングを可能とするためにPPPの設定を要求する。そうでない場合には、LFIは、PPPに対して透過的である。
【0011】
同様の解決法がCarsten Bormanによる、Internet Engineering Task Force(IETF),INTERNET−DRAFT,“Multi−Class Extension to Multi−Link PPP”,1999年6月,期限満了:1999年12月,に提案されている。本書によって、例えば統合サービス通信リンクの標準アーキテクチャの一部であるフォーマットのリアルタイムカプセル化のための、フラグメント志向の解決方法を知ることができる。
【0012】
従来のLFI、マルチリンクPPP、および関連するデータ転送に関する問題のいくつかは、具体例によって最もよく説明することができる。28.8キロビット/秒のモデムリンク上での1.5キロバイトのパケットの転送によって、当該リンクは占有されるため、当該リンクは、400ミリ秒以上の間、マルチリンク環境における他のリンクに関連するパケットのデータ転送のために利用することができなくなる。そのような遅延は、音声通話等のインタラクティブリアルタイムデータと関連した往復遅延を1秒近く起こす原因となり得る。所定のサイズより大きな様々なプライオリティ(優先度)を有するパケットのフラグメント化により、高プライオリティパケットまたはそのフラグメントをより低いプライオリティパケットのフラグメント間に送信することができる。既存のマルチリンクPPPスペシフィケーションは既にシーケンス番号の提供によってフラグメント化を可能とし、PPPカプセル化フォーマットのビットを開始し終了する。しかし、既存のマルチリンクPPPは、連続したパケット番号付けスキームが原因で、他のパケットを送信するために1パケットのフラグメントの送信転送を停止することができない。上記のBormanが提案した解決手段には、クラス番号を特定するためにマルチリンクPPPプロトコルにある未使用のビットを使用し、多重の停止可能なクラスをネスティングすることが可能な同一リンク上で、多重マルチリンクプロトコルインスタンスを作動させることが含まれている。従って、特定のクラスに属するフラグメントをマルチリンクヘッダなしに送信することが可能となり、ヘッダビット数に応じて4乃至12レベルの停止を達成することが可能となる。
【0013】
考慮されるフラグメントのスケジューリング方法がいかなるものであれ、実行時には問題が生じる。特に、留意すべきは、下位3つのプロトコル層と、例えばUDP、IP、およびPPPを含む関連プロトコルは、物理層と共に、典型的にはルータ等のハードウェアリソース上に存在するため、フラグメント化や他のスケジューリング方法によって得られる利益が致命的な制約を受ける場合があるという点である。特に、ルータは、例えば、一旦優先度などが設定されると、典型的には、出力パケットを一緒に同一の伝送キューへ配列させる場合。典型的な出力パケットキューの設定は、一般的には、ファーストインファーストアウト(FIFO)であるが、これは、キューの深さと関係のある固有の遅延レベルを有する。更に、高いトラフィクレベルを経験し、典型的な出力パケットキューを使用しているルータにおいては、LFI、マルチリンクPPP等を使用している場合でさえ、輻輳が発生したときには、パケットを落とす可能性が高くなる。IPスケジューリングが発生した後にダウンストリームキューからパケットが落とされた場合、シークエンスから受信したパケットに関連した問題が発生し得る。リンク設定に応じて、欠落したパケットを再伝送する要求が、例えば、リアルタイムデータの遅延と劣化を引き起こすことがある。
【0014】
パケットドロップは、例えばヘッダ圧縮等の輻輳を減少させるための他の方法と共に使用された場合、特に問題となり得る。典型的なヘッダに含まれた情報の任意部分を圧縮または破棄することによって、ヘッダ圧縮方法は、データグラムまたはパケットの全体サイズを減少させる。このことは、、ヘッダがパケットオーバーヘッドのほぼ100%を示すことがあるリアルタイムデータ転送アプリケーションのために典型的に使用される小さいパケットの場合、特に重要である。ヘッダ圧縮は様々な段階で実行されるが、パケットドロップの影響を含めて、パケット再伝送または再配列が起こらないであろうという、ヘッダ圧縮の使用の際に当該技術分野において必ず考慮されるべき想定が問題の原因となっている。この問題を処理するためのアプローチによると、ヘッダ圧縮技術を使用して当初軽減されたものとほぼ同等のヘッダオーバーヘッドが付加される。ヘッダ圧縮に関する概説については、Internet Engineering Task Force(IETF),INTERNET−DRAFT,“Providing Intergraded Serves Over Low−bitrate Links”,1999年6月,期限満了:1999年12月,Carsten Borman、および、Networking Group Request for Comments RFC 1144,“Compressing TCP/IPHeaders for Low−Speed Serial Links”,V.Jacobson編,1990年2月を参照。
【0015】
遅いリンクでは、既に記載したように、時間に敏感なパケットは、例えば長いベストエフォート(BE)データパケットの完成を待つ余裕がない。IPフラグメント化を使用すれば、そのようなパケットの待ち時間が改善されるかもしれないが、各セグメントあたり約20バイトのヘッダを付加しなければならない。更なる解決方法は、マルチリンクPPPセグメントを使用することであり、これによると、各セグメントに2または4バイトのヘッダが付加される。そのようなヘッダは、スケジューリング情報をセグメントまたはフラグメントに伝達するように設計されている。ヘッダ圧縮は、しかしながら、IPスケジューリングを困難にする。ヘッダ圧縮が使用された場合、IPヘッダにおける識別フィールドを含む情報が、圧縮後、下位層に利用不可能となる。HCパケットが落ちた場合、受信側で発生した欠落シーケンス番号は、リンク上で問題を発生させるだろう。というのは、上述したように、例えば、受信側は落ちたパケットの再伝送を要求するであろうが、担当階層はどのパケットが落ちたのかを認識できないであろうから、上位層から落ちたパケットを要求することができず、更なる遅延や品質の低下が引き起こされるためである。
【0016】
従って、当然のことながら、当該技術分野においては、スケジューリングを処理し、ヘッダ圧縮が落下パケットに与えるスケジューリングへの悪影響を減少させるための方法と装置が期待されている。そのような方法および装置は、IP層の操作の妨害なしに動作し、ヘッダ圧縮を有する純粋なIPパケットへの一般的なIPスケジューリングを可能とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の目的は、スケジューリングとヘッダ圧縮を使用してパケット遅延を軽減させる方法と装置を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、多層プロトコルの実行内で様々な層にそのような方法と装置を提供することである。
【0019】
従って、本発明の一面によると、上記および他の目的は、複数のパケットの転送で遅延を減少させるための方法と装置において達成される。パケットは、少なくとも1つの上位層、および1つの下位層を有する多層プロトコルに従って複数の分類を有することができる。パケットは、関連する分類に従ってスケジュールすることができる。スケジューリングの間に輻輳が発生した場合、スケジュール化できないパケットは破棄することができる。スケジューリングと破棄の後、幾つかのパケットヘッダは圧縮することができ、それに従って、シーケンス情報が保存することができる。
【0020】
本発明の他の実施態様によると、パケットは、スケジューリング、破棄および圧縮の後、少なくとも2つの複数の分類に従って、第一および第二のキューに配列することができ、当該第一のキューは、当該第二のキューに対して優先度が高い。例えば、上記2つの可能な分類の1つには、キューイングにパケットがベストエフォートとして分類されているか否かを決定させること、および、そのように分類されている場合には、ベストエフォートパケットを例えば第二のキューにキューイングさせることを含むように、ベストエフォート分類が含まれている。
【0021】
パケットと関連しているIPヘッダに見られ得る例えばQoSレベルと関連しているかもしれない多くの分類が含まれてもよいということが理解されなければならない。分類は、複数の遅延要素とも関連があってもよく、好ましくは、複数のキューは、複数の分類に基づいて確立されてもよい。従って、各パケットh、関連した分類に基づく複数のキューの中の1つに並べられる。
【0022】
本発明の更なる実施態様によると、複数の分類は、本書で既に記載したリンクフラグメント化とインターリービング(LFI)に関連していてもよい。あるいは、複数の分類は、本書で上記に記載したマルチリンクPPPと関連していてもよい。
【0023】
更に留意すべきは、本発明によると、スケジューリングは、上位層または下位層で実行することができ、ここで、当該下位層は、上述したようにPPP層を含む。下位層は、更にHDLC層を含み、そこでスケジューリングが実行される場合、ヘッダ圧縮に先立ち、各パケットにタグが作成される。タグはその後に付加され、伝送前に除去されることができる。第一および第二のキューからの各パケットは、1未満のキュー深さを有する出力パケットキューに並べられることができる。
【0024】
本発明の目的と利点は、図面を参照しながら以下の詳細な記載を読むことによって理解されるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】
従って、本発明により、ルータ、ライン・インターフェースカード等のネットワークにおける様々な階層において、IPスケジューリングと共にヘッダ圧縮を使用することを可能にする方法および装置が提供される。
【0026】
興味深いのは、本発明によると、本書で記載のように、本発明の特定の実施態様に従って、様々な段階でIPパケットのヘッダ圧縮を実行することができる点である。例示的な圧縮されたヘッダフォーマットが図1に示されており、これは、例えば、典型的なTCP/IPヘッダにおいても可能なヘッダ圧縮動作である。上記で言及したように、ここでTCPは、伝送層制御プロトコルを例示するために使用されているが、他の伝送層プロトコル、好ましくはUDPを本発明に使用することもできる。図からわかるように、重要な情報は、圧縮されたパケットに伝わり、例えば、変更が期待されているフィールドのうちどれが実際に変更するかを示す変更マスク193などの処理を通じて解釈されてもよい。圧縮されたヘッダは典型的には接続中またはパケットセッションの間に変更が期待されるフィールドからなってもよいので、ビット193a−193gを、これらの変化を示すために使用してもよい。接続番号フィールド194は、例えば変更マスク193の前の値とその現在の値を比較するために示された特定の接続からの最後のパケットの保存コピーを受信側が見つけることを可能とする値を含んでもよい。TCPチェックサムフィールド195は、当該技術分野で既知の方法で計算された圧縮されたヘッダのためのチェックサムを含む。アージェントポインタ193hは、緊急データを指す値を含む。残りのフィールドは、関連フィールドのための値の変化を表示し、例えば、△ウィンドウフィールド193jは、ウィンドウフィールドの変化を示し、フィールドのサイズを2オクテットから1へ減少させた、より小さな値を使用して示されてもよい。同様に、△アクトフィールド193kは識別番号フィールドでの変化を示し、4オックテットではなく1オクテットを使用する。△シーケンスフィールド1931は、シーケンス番号フィールドでの変化を示し、ここでもまた使用するオクテットは4から1に減少している。△IPIDフィールド193mは、関連IPヘッダからのパケットIDフィールドでの変化を示し、2オクテットから1オクテットへサイズが減少した結果であってもよい。最後に、データフィールド196は、示されたように、圧縮されたヘッダフィールドの最後に続く。興味深いのは、例えばパケット間に変化が表れない場合、フィールド193h−193mは省略されてもよく、データフィールド196がは、TCPチェックサムフィールド195のすぐ後に直接続いてもよいことである。また、興味深いのは、上記に記載のフィールドは、そこで実行されるヘッダ圧縮をともなう例示的なIPパケットと関連していてもよい点である。更に、圧縮されたフィールド数を減少すること、または、受信するIPパケットを圧縮し、および本発明の技術に従ってタグを単に含めることが可能である。
【0027】
多層プロトコルの本質的性質を理解することにより、圧縮されたヘッダである可能性のある、多重データタイプ(リアルタイム、ベストエフォート等)を運ぶリンクにおける輻輳制御に関連する問題を理解することができる。これらの問題は、特にパケットがヘッダ圧縮に先立ちスケジュール化され、ヘッダ圧縮実行後、輻輳が原因で破棄された場合であって、ヘッダ圧縮が発生した階層の下の階層において、特に困難な問題である。輻輳の間、転送待ちのパケットは幾つかの既知の方法を使用してスケジュール、またはキューイングされなくてはならない。図2は、下位3層を有する典型的なネットワークサービススタックを使用した例示的なネットワークノード200を図示する。例示的なデータパケット211、212、および213がネットワーク層210へ入る状態が図示されており、ここでプロセス215は、ここでD1が最も時間に敏感でD4が比較的時間に敏感ではないことを示すとした時、例えばパケット212についてはD4というふうに表された時間についての敏感度に基づいて、到来した転送されるべきパケットを、リンクフラグメント化とインターリービング(LFI)層220のキュー221、222、223、224内に配置決定することができる。LFI層220がデータリンク層230の少なくとも一部を占有していることが分かる。キューD1224のパケットが最初に送信され、その後、D2223、D3222、D4221が送信される。パケット213で表示されたような長いパケットは、パケット213a、213b、213cとして表示された小さなパケットへフラグメント化されてもよい。長いパケットの優先度は一般的に低いので、パケット214a、214b、214cとして表示されている、多くの場合音声、またはビデオ等のリアルタイムデータに関連した優先度の高いパケットは、転送前にキュー224に蓄積される。パケットがキュー221−224に入る際、HDLC等の典型的なデータリンクプロセスなどのプロセス231によって物理層に転送され、ここで、これらパケットをFIFO伝送キュー232で処理し、物理リンク233に出力することができる。
【0028】
上記に記載のLFIメソッドを使用していても、一度パケットがフラグメント化されると、それらは、一例が図3に図示されている従来の優先制御スキームに従ってキューイングされるか、または、適当なその導関数によってキューイングされる場合がある。例示的なネットワークノード300が示されており、優先順位が低い方から高い方へ並んだキュー311−314に関する優先制御が、実行されている。パケット315、316および317は、例えば、各パケット315、316、317のそれぞれに典型的に関連したIPヘッダと共に含まれる、例えばQoS情報などの内容によって決定された、異なる優先度を有してネットワーク層210に到達する。例えば、優先度の高いパケット317は、プロセス320によって優先度の高いキュー314に配置される。到来した優先度が中程度のパケット315と低度のパケット316は、ネットワーク層210に到達した時にプロセス320によって、それぞれ優先度が中程度のキュー313と優先度が低度のキュー311へ配置される。優先制御は、データリンク層230に相当する層310、または、データリンク層230と整合するPPP層等の代替プロトコル層で実行される場合がある。出力パケット318a−318dが、図示したように、最も高い優先度を有する出力パケット318aが最初に送信されるように、伝送キュー232でのキューイングのために、優先順位に従ってプロセス231に送信される。その後、出力パケット318a−318dは、HDLC等の典型的なデータリンクプロセスなどのプロセス231により物理層に転送され、ここで、これらパケットは、FIFO伝送キュー232において処理され、物理リンク233へ出力される。
【0029】
図2および図3と関連して説明されたLFIおよび優先制御によって、より効率的にパケットを処理することができる一方、留意しなくてはならないのは、処理が効率的にできるか否かは、例えば多くの場合、優先制御のためのIPヘッダに関連した正確なヘッダ情報に拠っており、フラグメント化されたパケットにとっては、配列情報が重要である。しかし、下位層ではその情報が利用可能でないかもしれないし、圧縮されたIPヘッダでは、そのような情報は、IPパケットが復元されるまで利用不可能である。下位層でのフラグメント化には、ピアごとにフラグメントを追跡するためのヘッダ情報が更に必要である。階層化されたプロトコルでは多重層でフラグメント化を有することが可能である点に留意しなければならない。しかしながら、各層はフラグメント化を追跡しなければならず、あるタイプのデータは、パケットがシーケンスパケット等からフラグメント化される場合に発生する可能性が高い特定の異常を許容しない場合がある。従って、上記の「Multi−Class Extension to Multi−Link PPP」では、優先制御するための多重クラスに対応したヘッダフォーマットが説明されている。図4Aは、基本的なマルチリンクPPPのためのパケットフォーマットを図示する。
【0030】
アドレスフィールドA410は、パケットの宛先のアドレスを示す値を含んでもよい。制御フィールドC410は、既知の様々な制御機能と関連したビットの設定に関連する値を含んでもよい。パケット識別PIDフィールド430は、高および低オクテット431および432を含み、多量のフラグメントに対応することができる。フィールド440は、フラグメント化されたPPPパケットの開始フラグメントを示すために設定された開始インディケータ・ビット440aと、フラグメント化されたPPPパケットの終端フラグメントを示すために設定された終端インディケータ・ビット440bとを含むビットを有する。他の全てのフラグメントでは、開始インディケータ・ビット440aと終端インディケータ・ビット440bがゼロに設定されているはずである。更に、1つだけの「フラグメント」がパケットと関連している場合には、両ビットを1に設定することも可能である。ビット440cおよび440dは、最も基本的な実行では、単一クラスPPPについてはゼロであってもよい、クラスレベルを示すために使用されてもよい。図4A、4Bおよび4Cに図示されたマルチリンクPPPフォーマットの間の主要な相違点は、フラグメントのためのより精密な分類に明らかに進歩的に対応している、各クラスフィールド440、441および442の設定である。従って、フィールド440、441、および442に含まれる分類値を使用して、優先制御と類似の制御をPPPレベルで達成することができる。配列フィールド450は、フラグメント送信の度に増加する24ビットの値(12ビットも可能)である。フラググメントデータのセグメント460は、フラグメントデータの終端を示すFCSセグメント470まで続いていてもよい。
【0031】
従って、本発明の1つの実施態様によると、図5Aに図示されたように、例えば、IP層510に向けられたデータグラムのIPヘッダに特定されていてもよい様々なQoSレベルが、IP層510での「純粋な」 IPスケジューリングを実行することによって処理される。キュー規律が、時間に敏感なパケットを扱うためにキュー512−514を使用して呼び出される場合があることが分かる。最も時間に敏感ではないDN−1512は、最も遅延に対する許容度の高いパケットを配送できる。例えば、典型的なIPヘッダに関連したDSバイトまたはToSを検討することによって、そのような時間敏感性(タイム・センシティビティ)を決定できる。より低いQoS条件を有するパケットは、例えば、より優先度の低いキューへまわすことができる。対照的に、例えば音声データと関連しているリアルタイムパケットのように、より高いレベルのQoSを有するパケットはより高いレベルの時間敏感性に関連しているので、より優先度の高いキューに配置される。非常に大きな時間敏感性を有するパケットは、非常に優先度の高いキューにスケジュールされ、最高の時間敏感性を有したパケットが高い時間敏感性のキューD1514にスケジュールされる。通常は、非リアルタイムデータと関連したパケットである、ベストエフォートに設定されたQoSを有するパケットは、ベストエフォート型キューDN511に配置され、これらは、その名が示すとおり、例えば、送信するべきより高い優先度のパケットがない間に、可能であれば、送信される。時間に敏活な、およびベストエフォート型のキューイング・ストラテジーと一緒にインターリービングとフラグメント化を使用することができる点は興味深い。純粋なIPスケジューリングの実施態様でのプロセシングについては、以下で詳細に説明する。
【0032】
本発明の別の実施態様においては、2段階のスケジューラから1段階のスケジューラへ減少させたことにより、図6に図示したように、PPP層におけるスケジューリングを含むことが更に可能である。PPP層620は、最も高い時間敏感性のキューD1624から、より低い時間敏感性のキューDN−1622までと、ベストエフォート型キューN621とからなる、様々な時間敏感性の程度を示す一連の優先キュー621−624を有することができる。
【0033】
重要なことは、上記に記載された実施態様のいずれにおいても、出力プロセシングが、IP転送;パケット識別(DSバイト・ルックアップ);パケット破棄、レート制御、および優先制御を含むパケットスケジューリング;ヘッダ圧縮;PPP/MP、イーサネット、ATMを含むリンクアダプテーション;およびリンクフレーミングを含んで実施されなくてはならない点である。IP転送と識別は、ヘッダ圧縮の前に実施されなくてはならない。更に重要なことは、上記に記載のように、ヘッダ圧縮シーケンスから落ちたパケットはアウトオブシーケンスに関連した問題の原因となるため、パケット破棄はヘッダ圧縮の前に実施されなくてはならないという点である。本発明に係るバックプレッシャー環境では、出力パケットキューを1未満の深さに設定し、時間に敏感なパケットは、出力パケットキューにおいてプロセスされる前に、せいぜい1ベストエフォートパケットを待つだけでよいことを確実にすることが重要である。パケットスケジューリングがパケット圧縮の後に行われた場合、ヘッダ圧縮機能は、「ローカル」タグをパケットの先頭に付加し、どのキューにパケットが付加されなくてはならないのかをリンク層に知らせなくてはならない。
【0034】
図5Aに図示された「純粋な」IPスケジューリングの実施態様では、純粋なIPパケットがスケジュール化される(例えば、完全なIPヘッダおよびペイロード)。IP層510に関連したキューが満杯である場合、または、当該技術分野において既知で、実施されている通常の他の原則に基づいて、パケット破棄が起こる。
【0035】
物理リンクに転送される前に、リンク層アダプテーションが出力パケットに実施される。IP層510でスケジューリングを実行する実施例に従って、ヘッダ圧縮とPPP/MP/HDLCフレーミングをリンク層アダプテーションを完了させるために実行してもよい。上記の記載等に従って使用されるフラグメント化とインターリービング・スキーム等によって課されるかもしれないクラス数に関係なく、音声パケットのような時間に敏感なパケットについての遅延を短縮するために、例えば、キューSQ_PPP522およびFQ_PPP523の2つのキューを使用してPPP層520で簡単な優先制御規律を使用してもよい。セグメンテーションの程度が、ベストエフォートQoS以上である場合、または、上記に記載したようにマルチクラスのPPPに関連して概要を述べた付加クラスを有する場合、それぞれの付加クラスがセグメント化されるための更なる待ち受け行列がPPP層520に付加されてもよい。従って、いつパケットを転送することが可能かに関する情報は、スケジューリング化プロセス、または本実施態様では、PPP層520に知られていなければならない。
【0036】
例えば、上記に記載のようにDSまたはQoSを分析することによって、または、図4A−4Cの記載を参照しながら概説したパケットに関するクラスを分析することによって分類され、IP層510からのD1514からDN−1512までのキューに関連した遅延レベルに分類されたパケットは、キューFQ_PPP523に配置、例えば大きなベストエフォートパケットに属する残りのセグメントより先に送信される。留意しなければならないのは、ヘッダ圧縮は、パケットがキューFQ_PPP523にスケジュール化される前に実行されるのが好ましい点である。ベストエフォートパケットとセグメント化されたパケットは、キューSQ_PPP522に入力されてもよい。パケットが大きすぎる場合、PPP層520におけるMPプロセシングにより、キューイングの前にセグメンテーションを実行してもよい。
【0037】
PPP層520に付属するデータリンク層であってもよいHDLC層530では、パケットを上記の記載に従って圧縮し、スケジュール化することができる。パケットのヘッダ圧縮後のプロセシングを更に容易にするため、例えばインターフェースカードに見られる出力バッファ531の深さは1パケット未満に設定される。これにより、輻輳によるパケット破棄の全てが、FQ_PPP523とSQ_PPP522上で、つまり、ヘッダ圧縮のアップストリーム上で発生することを余儀なくさせられるという、「バックプレッシャー」が提供される。上記に記載したように、ヘッダ圧縮後に破棄されるパケットはアウトオブシーケンスに関連した問題の原因となる可能性があるので、そのような結果は望ましい。図5Aで図示された実施態様の動作は、キューFQ_PPP523およびSQ_PPP522のための例示的なキュー規律に関連する以下の擬似コードにより最もよく理解される。IP層510とPPP層520の間のインターフェースに存在するスケジューラの例示的アウトプットループは、例えば以下に記載のケースが該当する場合に、パケットをキューFQ_PPP523およびSQ_PPP522にスケジュール化してもよい。
ケース1)キューD1514にパケット、AND FQ_PPP523に空きあり
ケース2)(ケース1はFALSE)AND(キューD2513にパケット)AND(FQ_PPP523は空)
ケースN−1)(ケース1,2,…,N−2はFALSE)AND(キューDN−1512にパケット)AND(FQ_PPP523は空)
ケースN)(1,…N−1はFALSE)AND(キューDN511にパケット)AND(SQ_PPP522は空きあり)
更に留意すべきは、本発明の実施態様によると、キューFQ_PPP523のパケットは、好適には、常にキューSQ_PPP522のパケットの前に転送される。
【0038】
図5Bに図示された例示的フローチャートは、例えば本発明に係るソフトウェアプロセスを通じてパケットがどのように進むかを最もよく示している。多層プロトコルを実行する送信元における上位層から、開始点550、例えばIP層510で受信されたパケットは、ブロック551において、当該パケットに関連のある遅延要素に従ってキュー511−514にスケジュール化される。出力キュー531のための「バックプレッシャー」設計のため、決定ブロック552aが実行されて、PPP層520キューイングとヘッダ圧縮に先立ち、ブロック552aにおいてパケットを破棄する。IP層510のキュー511−514が満杯になると、関連パケットは破棄され、再スケジューリングのための準備が上位層で行われる。そうでない場合は、キュー511−514からのパケットは、キューイングのために上記に概説したプロセスに従ってPPP層520で処理される。パケットの処理において、最も時間に敏感なパケットがPPP層520に最初に送信される。従って、例えば、キューD1514が決定ブロック554において空でないと認定され、FQ_PPPキュー523が決定ブロック557において満杯ではないと認定された場合、D1パケットを、決定ブロック560において空であるかそうでないかどちらに認定されたとしても、FQ_PPPキュー523に付加することができる。いずれにせよ、ヘッダ圧縮は、パケットがキューFQ_PPP523に付加される前にブロック562および564によって実行される。D2パケットについては、キューD2513にパケットが残り、FQ_PPP523が決定ブロック557および560によって空であると認定される一方で、決定ブロック555は、D2パケットがブロック562でヘッダ圧縮することができ、キューFQ_PPP563に付加することができることを示す。同様に、決定ブロック556、557および560の条件が満たされれば、DN−1パケットは、ブロック562においてヘッダを圧縮された後にキューFQ_PPP523に付加されてもよい。留意しなければならないのは、時間に敏感なパケットが処理された後、例えばDNパケットによって表示されるベストエフォートパケットは、決定ブロック558および559を通過し、ブロック565でヘッダを圧縮された後、ブロック566においてSQ_PPP522に付加されてもよい点である。
【0039】
更に留意すべきは、Yes条件に従って決定ブロック554、555、556および558を通過することによって、ループが形成される点である。そのようなループは、例えばソフトウェア実施態様において、以下のキューよりも優先度を有するキューD1514によって各キューをクリアするために継続的なルーピングが実行され得ることを意味している。更に、より低い優先度を有するキューがクリアされる前に、より高い優先度を有するパケットが処理できる状態である場合、ルーピングは中断できる。
【0040】
上記の詳細な説明に従ってスケジューリングを実行するのに加えて、本発明の実施態様は、更に、キューFQ_PPP523およびSQ_PPP522におけるキューイングの前に更なるステップを実行できる。例えば、パケットスケジュール化のためにあるキューが選択された後、例えば図1について記載した説明または同様の態様に従って、ヘッダ圧縮が実行できる。上述のカプセル化に関するコンセプトおよび層化構造に従って、例えば受信ノード上のPPP層520に対応するPPPピア層への適切な配送、およびそれによる破棄を確実にするためにPPPヘッダが付加されてもよい。上記したように、完全であるが長いベストエフォートデータパケットまたは、上位層でフラグメント化されたがPPP層520での効率的転送のためには依然として長すぎるパケットの何れかに更なるセグメンテーションを実行してもよい。そのようなフラグメント化は、例えばMPを使用して実行できる。
【0041】
PPP層520は、バッファ深さがパケット1個未満である場合などにインターフェースカードに具体化されるような、HDLC層530にパケットを転送することができる。理想的には、最も時間に敏感なパケット、例えばキューD1514からのパケットについての最適な遅延特性は、出力バッファへの制限がゼロに設定された時点に到達される。しかし、そのような態様で深さを制限すると、連続的にパケットが送信されない結果となる。一方、出力バッファ531の深さ制限が1であると、ほぼ2つのベストエフォートパケットまたはパケットフラグメントの転送時間にほぼ相当する間、キューD1514からのパケットを待つという最悪のケースの結果となる。
【0042】
更に望ましくは、例示的な実施態様に従って、バッファ531が空あるいは新規のパケットを入れる準備ができている場合に、HDLC層530から妨害を発生することが望ましい。そのような妨害のためのタイミングは、好適には、最悪の場合のパケット待ち時間を約1パケット転送間隔にまで減少させる出力バッファ531へキューFQ_PPP523およびSQ_PPP522がパケットを送信するタイミングを正確に制御するために最適化される。そのようなタイミングは、例えばソフトウェアルーティンにおいて設定してもよいが、当該技術分野の既知の慣行に従ったハードウェア実行が好ましい。
【0043】
上記に記載のように、HCパケットの破棄は、受信側でシーケンス番号を見失う結果となり、その結果ヘッダ全体の再送が必要となる。音声等のリアルタイムデータストリームの遅延や中断の可能性を防止するため、破棄は、好適には、ヘッダ圧縮より先になされるべきである。図6に図示された本発明に係る他の実施態様では、スケジューリングがPPP層620で実行される。IP層610に到来するパケットは、優先または分類レベルに関して分析される。PPP層620においてはスケジューリングに先行して特に優先度または分類に関連したキューの深さがチェックされる。パケットの優先度または分類に関連したキューが満杯の場合、パケットは、PPP層620でスケジューリングプロセスにより破棄されるかもしれない。優先度または分類に関連するキューが満杯でない場合、ヘッダ圧縮が実行され、PPPヘッダが付加されて、必要であれば、上記のように、更にパケットキューイングの前に、MPを使用してセグメンテーションが実行される。
【0044】
本発明の更なる実施態様では、より優先度の高いパケットの最大待ち時間を減少させるため、図7Aに図示したように、例えば、HDLC層720でHDLCスケジューリングを実行してもよい。先の実施態様のPPP層620およびIP層510におけるのと同様に、HDLC層720は、最も時間敏感性の高いキューD1724からより時間敏感性の低いキューDN−1722までと、ベストエフォートキューDN721まで、様々な程度の時間敏感性を表す一連の優先キュー721−724を有している。
【0045】
先の実施態様におけるように、出力バッファ730は1パケットの深さにセットされる。キューイングおよびデキューイングについては、図6を参照して先に説明したようなPPP層620に関する場合と同様の方法を使用できる。本実施態様は、「純粋な」IPスケジューラとは考えられず、2ステップのスケジューリングプロセスを1ステップに変更することにより複雑性を減少させることができる。MP後のスケジューリングによって、MP拡張が容易に付加される。
【0046】
HDLC層720でのスケジューリングについては、完全なリンク使用を維持しながら出力バッファ730から妨害を発生させて、例えば音声パケット等の時間に敏感なパケットについてのパケット待ち時間を改善することは、スケジューリングが例えばインターフェースカード上で実行されるので、最適な解決方法ではない。HDLC層720での1バッファの代わりに、図6を参照しながら先に説明したPPP層620でのスケジューリングのために使用したものと同様のスケジューリングアルゴリズムを使用するバッファ721から724がある。従って、IP層610およびPPP層710においてバックプレッシャーおよびスケジューリングは必要でない。好適には、破棄を操作するために、HDLC層720におけるスケジューリング処理と破棄処理の間にシグナリングを実行してもよい。再度留意しなければならないのは、ヘッダ圧縮がIPパケットで実行された場合、例えばDSバイトに含まれる分類情報が圧縮後には利用不可能となることにより、問題が発生する点である。
【0047】
従って、図7Bに図示された本実施態様では、ローカルバイトまたは「タグ」752は、パケット751の先頭に、好適には、HDLC層720におけるスケジューリングプロセスによって圧縮されたばかりのヘッダに付加されてもよい。タグ752は、ヘッダに含まれる情報にとって余分で、圧縮より先に作成された情報を含んでもよい。タグ752は、パケット751が転送のためにキューに送られる前に除去されてもよい。パケット破棄は、ヘッダ圧縮の前の時点でレート制御とは別に実行できる。レート制御は、HDLC層720でのスケジューリングプロセス内で実行できる。パケットを破棄するべきか否かの決定は、好適には、例えばPPP層710におけるバッファ611からIPパケットを受信した後に実行されるチェックに基づいて行うことができる。パケットが送られるキュー721−724のうちの対応する1つが満杯の場合、パケットは落とされるか、あるいは、ヘッダ圧縮へ進められる。
【0048】
このように、本実施態様におけるそれぞれの層の機能を要約すると、IP層610は、ヘッダ圧縮の前にパケット破棄を実行できる。いずれのパケットもヘッダ圧縮に先行して作成された短い「タグ」を有することができ、当該タグは、ヘッダに先に含まれていた情報を含んでもよく、ヘッダが圧縮されたパケットに付加されてもよい。PPP層710は、例えばMPを使用して、長いデータパケットにセグメンテーションを実行してもよい。HDLC層720は、例えばソフトウェアデバイスドライバに含まれたスケジューリングを実行してもよく、あるいは、HDLC層720は、タグ752を付加することができるハードウェアに具現化されてもよい。タグ752は、パケット751が転送される前に除去できる。
【0049】
当業者は、本発明がその本質的な特長または精神から逸脱することなく他の特定の態様で実施可能であることを理解しているであろう。本明細書に開示された実施態様は、従って、全ての面で例示的なものであり、制限的なものではない。本発明の範囲は、上記の説明よりもむしろ、附属の特許請求の範囲によって示されており、それと同等の範囲および意味の範疇に入る一切の変更は本発明に含まれる点を指摘しておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、TCP/IPを使用した例示的な圧縮データグラムとフォーマットとを図示する。
【図2】 図2は、例示的なリンクフラグメント化とインターリービングを図示する。
【図3】 図3は、例示的な優先制御を図示する。
【図4】 図4Aは、マルチリンクPPPのための例示的なフラグメント化フォーマットを図示する。図4Bは、マルチリンクPPPのためのショートシーケンス番号と多重クラスに対応する例示的なフラグメント化フォーマットを図示する。図4Cは、マルチリンクPPPのためのロングシーケンス番号と多重クラスに対応する例示的なフラグメント化フォーマットを図示する。
【図5】 図5Aは、本発明に係る例示的な純粋IPスケジューリングを図示する。図5Bは、本発明に係る例示的な純粋IPスケジューリングを示すフローチャートである。
【図6】 図6は、本発明に係る、PPP層での例示的なPPPスケジューリングを図示する。
【図7】 図7Aは、本発明に係るHDLC層での例示的なIPスケジューリングを図示する。図7Bは、本発明に係るHDLC層での圧縮されたヘッダへに添付される例示的タグを図示する。
Claims (28)
- 少なくとも1の上位層と少なくとも1の下位層を有する多層プロトコルに従った、通信リンクでの複数の分類を有する複数のパケットの転送における遅延を軽減させるための方法であって、当該方法は、
複数のパケットのそれぞれを、それらに関連する複数の分類の1つに従ってスケジューリングし、
スケジューリングできない複数のパケットのそれぞれを破棄し、
スケジューリングと破棄の後、複数のパケットのうち少なくとも複数のヘッダのそれぞれを圧縮することを含む方法。 - スケジューリング、破棄および圧縮の後、複数の分類の少なくとも2つに従って、複数のパケットを第一および第二のキューに送るステップを更に含み、ここで第一のキューが第二のキューよりも優先度が高い請求項1に記載の方法。
- スケジューリングのステップは、
複数の分類に基づいて複数のキューを確立するステップと、
複数のパケットのそれぞれを、それらに関連する複数の分類の1つに従って複数のキューの1つに送るステップを更に含む請求項1に記載の方法。 - 複数の分類がQoSレベルと関連している請求項3に記載の方法。
- 複数の分類が複数の遅延要素と関連しており、ここで、複数の遅延要素のそれぞれが複数のキューごとに異なる、請求項3に記載の方法。
- 複数の分類が複数のドロップセンシティビティと関連しており、ここで、複数のドロップセンシティビティ要素のそれぞれが複数のキューごとに異なる、請求項3に記載の方法。
- 複数の分類がLFIと関連している請求項3に記載の方法。
- 複数の分類がマルチリンクPPPと関連している請求項3に記載の方法。
- 少なくとも2の分類の1つがベストエフォートの分類を含み、キューイングのステップが更に、
複数のパケットのそれぞれがベストエフォートパケットとして分類されるか否かを決定するステップと、
決定されたベストエフォートパケットを第二のキューに送るステップを含む請求項2に記載の方法。 - スケジューリングのステップが上位層でスケジューリングを実行するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
- スケジューリングのステップが下位層でスケジューリングを実行するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
- 下位層がPPP層を含む請求項11に記載の方法。
- 下位層がHDLC層を含み、下位層においてスケジューリングを実行するステップは、
圧縮のステップを実行する前に、複数のパケットのそれぞれに、少なくとも複数のヘッダからの情報を含むタグを作成するステップと、
複数のパケットのそれぞれにタグを付加するステップと、
複数のパケットのそれぞれを転送する前に、前記タグを除去するステップと、を更に含む請求項11に記載の方法。 - 第一および第二のキューに送られた複数のパケットのそれぞれを、キューの深さが1未満の出力キューに出力するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
- 複数の分類を有する複数のパケットの、通信リンクにおける遅延を軽減するための装置であって、当該複数のパケットは少なくとも1の上位層と少なくとも1の下位層を有する多層プロトコルに従って転送される装置であって、当該装置は、
シリアルリンクと、
当該シリアルリンクと連結されたインターフェース装置を含み、当該インターフェース装置は、多層プロトコルの実行のための装置であって、当該インターフェース装置は、プロセッサを有し、当該プロセッサは、
複数のパケットのそれぞれをそれらに関連した複数の分類の1つに従ってスケジュール化し、
スケジュール化できない複数のパケットのそれぞれを破棄し、および
スケジューリングと破棄の後、複数のパケットのうち少なくとも複数のヘッダのそれぞれを圧縮するように設定されている装置。 - 第一と第二のキューを更に含み、プロセッサは、スケジューリング、破棄および圧縮の後、複数の分類の少なくとも2つに従って、複数のパケットを第一および第二のキューに送るように設定されており、ここで第一のキューが第二のキューよりも優先度が高い、請求項15に記載の装置。
- スケジューリングの間、プロセッサは更に、
複数の分類に基づいて複数のキューが確立され、
複数のパケットのそれぞれが、それらに関連した複数の分類の1つに従って複数のキューの1つに送られるように設定されている請求項15に記載の装置。 - 複数の分類は異なるQoS値と関連している請求項17に記載の装置。
- 複数の分類が複数の遅延要素と関連しており、ここで、複数の遅延要素のそれぞれが複数のキューごとに異なる請求項17に記載の装置。
- 複数の分類が複数のドロップセンシティビティと関連しており、ここで、複数のドロップセンシティビティ要素のそれぞれが複数のキューごとに異なる請求項17に記載の装置。
- 複数の分類はLFIに関連している請求項17に記載の装置。
- 複数の分類はマルチリンクPPPと関連している請求項17に記載の装置。
- 少なくとも2つの分類の1つは、ベストエフォート分類を含み、プロセッサは、キューイングの間、更に、
複数のパケットのそれぞれがベストエフォートパケットか否かを決定し、
決定されたベストエフォートパケットを第二のキューに送るように設定されている請求項16に記載の装置。 - プロセッサは、更に、上位層で複数のパケットのそれぞれをスケジュール化するように設定されている請求項15に記載の装置。
- プロセッサは、更に、下位層で複数のパケットのそれぞれをスケジュール化するように設定されている請求項15に記載の装置。
- 下位層はPPP層を含む請求項25に記載の装置。
- 階層はHDLC層を含み、プロセッサは、更に、
圧縮のステップを実行する前に、複数のパケットのそれぞれに、少なくとも複数のヘッダからの情報を含むタグを作成し、
、
複数のパケットのそれぞれにタグを付加し、
複数のパケットのそれぞれを転送する前に、前記タグを除去するように設定されている請求項25に記載の装置。 - キューの深さが1未満の出力キューを更に含み、ここでプロセッサは更に、第一および第二のキューに送られた複数のパケットのそれぞれを出力キューに出力するように設定されている、請求項15に記載の装置。
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