JP4583576B2 - 繊維強化樹脂複合材の損傷位置検出装置および損傷検出センサーの製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合材の損傷位置検出装置および損傷検出センサーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合材の損傷位置検出する損傷位置検出装置、および損傷検出センサーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機や宇宙機器、超高層建築、公共インフラストラクチャ及び高速車両に適用される複合材は、衝撃荷重に対して材料内部が損傷を受け易いという性質を有するため、設計許容値を低く設定し、複合材本来の持つ強度を生かし切れないでいる。
また、設計許容値を引き上げるために、複合材の内部に損傷抑制効果のある材料を埋め込み、複合材に衝撃荷重が負荷された時にもその際の荷重及び損傷を検知することにより安全性を高めるようにした複合材は知られている。
【0003】
チタン−ニッケル合金の形状記憶効果を用いて、構造用複合材の亀裂の進展を抑制するアクチュエータ、または剛性変化を起こさせて振動を抑制する制振材として用いることは、たとえば、特開平8−15208号公報、特開平7−48637号公報および特開平7−48637号公報に開示されている。
【0004】
特開平8−15208号公報には、積層構造を有する複合材料にチタン−ニッケル形状記憶合金の細線を埋め込んだ後、細線に電流を流し、マトリックス材料に亀裂や損傷が生じた際の細線の電流抵抗変化を検出する複合材料損傷検知システムが記載されている。
【0005】
特開平6−212018号公報には、逆変態終了温度以下の少なくとも1種類以上の形状記憶合金材料を母材表面または母材内に配列した構造の高分子基複合機能性材料が記載されている。
【0006】
特開平7−48637号公報には、熱弾性変態を起こす少なくとも1種類以上の形状記憶合金材料素子を母材内に混入もしくは配列させた構造の金属基複合材料が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−15208号公報には、形状記憶合金の電気抵抗特性の変化を利用して損傷部の特定を行い、損傷部近傍の形状記憶合金を加熱して収縮させて損傷の進展を防止する技術手段が開示されているが、この技術手段では、形状記憶合金の長さが長くなると特性の変化量が小さくなって変化が捉らえにくくなるとともに、該当する形状記憶合金の特性変化を起こした損傷部を特定できない虞がある。
【0008】
特開平6−212018号公報および特開平7−148637号公報には、チタン−ニッケル合金を構造用複合材の亀裂の進展を抑制するアクチュエータとして用いられることは記載されているが、センサーとしては歪ゲージや圧電素子を用いることができると記載されているだけで、それらをどのように用いるかについては何も記載されていない。
【0009】
本発明は、上記した点を考慮してなされたもので、複合材の損傷部位を特定できる損傷位置検出装置および損傷検出センサーの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維強化樹脂複合材の損傷位置を検出する装置であって、
チタン−ニッケル合金箔、前記チタン−ニッケル合金箔の一面に接着された複数の電気回路、および前記複数の電気回路にそれぞれ配置された複数の歪ゲージを有し、前記繊維強化樹脂複合材の繊維強化樹脂層の間に配置される損傷検出センサーと、
前記歪みゲージが検出する歪み量に基づいて損傷位置を特定する解析装置と、
を備えることを特徴とする。
このとき、前記解析装置は、予め複数の歪ゲージの歪み量を相対化して損傷部位ごとに歪パターンとして記憶し、前記歪ゲージが検出する歪み量を相対化して前記歪パターンと比較することにより損傷位置を検出することができる。
また、前記損傷検出センサーは、常温で歪みが与えられた状態で前記繊維強化樹脂複合材の繊維強化樹脂層の間に配置することができる。
【0011】
本発明における損傷検出センサーの製造方法は、チタン−ニッケル合金箔に所定の歪み量を与え、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔をフッ酸と硝酸の混合水溶液により酸化被膜を除去し、酸化被膜を除去したチタン−ニッケル合金箔を水酸化ナトリウム溶液で陽極酸化処理し、陽極酸化処理したチタン−ニッケル合金箔の上に、歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムを貼着することで構成される。
【0012】
本発明における損傷検出センサーの製造方法は、チタン−ニッケル合金箔に所定の歪み量を与え、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔をフッ酸と硝酸の混合水溶液により酸化被膜を除去し、酸化被膜を除去したチタン−ニッケル合金箔の表面にチタンコーティング処理を行い、さらに、化成被膜処理し、化成被膜処理したチタンコーティングの上に歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムを貼着することで構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明における損傷検出センサーの分解斜視図を示し、この損傷検出センサー1は、接着性を高めるように表面処理したチタン−ニッケル合金箔2と、このチタン−ニッケル合金箔2の一面に接着された電気回路3と、この電気回路3に配置された歪ゲージ4とから構成されている。
【0014】
上記チタン−ニッケル合金箔2は、フッ酸と硝酸の混合水溶液の常温浴に浸漬することで熱処理時に表面に生成された酸化被膜を除去し、水酸化ナトリウム溶液で陽極酸化処理することにより表面に陽極酸化被膜を生成するように表面処理される。
【0015】
チタン−ニッケル合金箔2から酸化被膜を除去する表面処理は、たとえば、3%濃度のフッ酸と10%ないし15%濃度の硝酸の混合水溶液に室温で3分ないし5分浸漬することで行われる。
チタン−ニッケル合金箔2に陽極酸化被膜を生成する表面処理は、たとえば、温度10〜20℃とした10〜15%NaOHの電解溶液に電圧10〜20Vで30〜60秒間処理することで行われる。
【0016】
または、チタン−ニッケル合金箔2は、酸化被膜を除去した表面にチタンコーティング処理を行い、さらに、化成被膜処理して化成被膜を生成するように表面処理される。チタンコーティングはイオンプレーティング法によることが望ましい。
【0017】
上記電気回路3は、図3に示すように、樹脂シート5に銅箔6が一体に接着された市販のフィルムを用い、その銅箔6の表面に樹脂インク7を用いて歪ゲージから信号を取り出すための回路図を描き、フィルムを塩化第二鉄溶液でエッチングし、樹脂インク7で線引きされた部分を除いて銅箔6を樹脂シート5から除去することで形成される。歪ゲージ取り付け部を符号7aで示し、樹脂インク7で線引きされた部分がリード線7bである。
【0018】
上記電気回路3は、図1に示すように、歪ゲージ取付け部7aの間隔を歪ゲージ取付け部7aに配置された歪ゲージ4が所要の大きさの損傷を検出できるように実験あるいはシミュレーション計算により予め決められる間隔に対応するように決める。実験によれば、歪ゲージ4の間隔は50〜100センチメートルの範囲が適当である。図1に示す電気回路3においては、各歪ゲージ4は、所定間隔を置いて同一方向に配置されている。
【0019】
上記チタン−ニッケル合金箔2は、一面に塗布される接着剤層8を介して電気回路3を一体的に結合する。これにより、チタン−ニッケル合金箔2の表面に所要の歪検出回路が形成される。この場合、チタン−ニッケル合金箔2に塗布される接着剤層8、樹脂シート5、さらには歪ゲージ4を覆う図示しない樹脂シートは、繊維強化樹脂複合材の母材に用いられる樹脂と同種のものまたは母材と馴染のよいものが選ばれる。また、回路として残される銅箔部は十分に細いものとして、プリプレグとチタン−ニッケル合金箔2との接着強度に影響を及ぼさないようにすることが望ましい。
【0020】
図4は本発明における損傷検出センサーの参考例を示し、この損傷検出センサー1aは、接着性を高めるように表面処理したチタン−ニッケル合金箔2と、このチタン−ニッケル合金箔2の一面に接着された電気回路3aと、この電気回路3aに配置された歪ゲージ4とから構成されている。
【0021】
上記電気回路3aは、図4に示すように、力の方向に45度の傾きを持たせたホイーストンブリッジ9を形成し、ホイーストンブリッジ9に4個の歪ゲージ4a,4b,4c,4dが配置されている。この場合、隣り合う歪ゲージ4aと4b、4bと4c、4cと4d、4dと4aは、互いに直交する向きに配置されている。
【0022】
上記ホイーストンブリッジ9において、出力電圧は、各歪ゲージ4a,4b,4c,4dの歪E1,E2,E3,E4から計算される、E1−E2+E3−E4に比例する電圧が出力されるので、出力値の符号により場所が推定できる。たとえば、正の電圧が出力された場合、歪ゲージ4a若しくは4cに近い部分に亀裂が発生し、負の電圧が出力された場合、歪ゲージ4b若しくは4dに近い部分に亀裂が発生していることが分かる。
【0023】
つぎに、本発明における損傷検出センサーの製造方法を説明する。
まず、チタン−ニッケル合金箔2と、樹脂シート5に銅箔6を一体に接着したフィルムを用意する。
【0024】
つぎに、チタン−ニッケル合金箔2の両端を把持して引っ張ることで、チタン−ニッケル合金箔2に所定の歪み量を付与する。歪み量が付与されたチタン−ニッケル合金箔2をフッ酸と硝酸の混合水溶液に浸漬し、チタン−ニッケル合金箔2の表面に生成された酸化被膜を除去し、これに続いて、チタン−ニッケル合金箔2を水酸化ナトリウム溶液で陽極酸化処理する。これにより、チタン−ニッケル合金箔2の表面に陽極酸化被膜が生成される。この陽極酸化被膜は、チタン−ニッケル合金箔2の接着性能を向上させる機能を有することが実験的に分かっている。
【0025】
酸化被膜を除去した表面にチタンコーティング処理を行い、さらに、化成被膜処理して化成被膜を生成するように表面処理することもできる。チタンコーティングはイオンプレーティング法によることが望ましい。
そして、チタン−ニッケル合金箔2の陽極酸化被膜または化成被膜の上に樹脂材料を塗布する。
【0026】
一方、樹脂シート5と銅箔6を有するフィルムは、銅箔6の表面に樹脂インク7を用いて歪ゲージから信号を取り出すための回路図を描き、塩化第二鉄溶液でエッチングし、樹脂インク7で線引きされた部分を除いて銅箔6を樹脂シート5から除去することでリード線7bが形成される。この電気回路の各歪ゲージ取付け部7aに歪みゲージ4が互いに同一方向を向くように配置される。
【0027】
つぎに、チタン−ニッケル合金箔2の一面に塗布した接着剤層8の上に、歪ゲージ4を結合した電気回路3を有するフィルムを貼着し、チタン−ニッケル合金箔2とフィルムを一体的に結合する。これにより、損傷検出センサー1が作られる。
【0028】
つぎに、損傷検出センサー1を組み込んだ複合材パネルを図5および図6を参照して説明する。
図5において、符号10は複合材パネルを示し、この複合材パネル10は、複数の損傷検出センサー1,1,…を繊維強化樹脂層11,11の間に配置して構成される。
【0029】
上記各損傷検出センサー1は、常温で歪みが与えられた状態、すなわち変態点以下の温度で歪みが保持された状態で繊維強化樹脂層11,11の間に配置される。各繊維強化樹脂層11は、繊維強化樹脂のプリプレグを複数枚積層して形成され、チタン−ニッケル合金箔2が収縮しないように拘束した状態で加熱して硬化される。また、この加熱を利用して、電気回路3が接着された樹脂シート5とチタン−ニッケル合金箔2とを接着する接着剤を硬化させることもできる。
【0030】
上記損傷検出センサー1は、図1に示すように、チタン−ニッケル合金箔2と、このチタン−ニッケル合金箔2の一面に接着された電気回路3と、この電気回路3に配置された歪ゲージ4とから構成される。
【0031】
上記損傷検出センサー1を構成するチタン−ニッケル合金箔2は、一般に、外的な熱によって可逆的に元の結晶構造状態に戻るという特性を有するものであり、低温マルテンサイト相が高温での安定オーステナイト相よりも1/2〜1/3程度柔らかく変形が容易であり、低温から高温になるにつれて剛性率が2〜3倍程度上昇し、予ひずみを付与してその変形を拘束した場合には、逆に2〜3倍程度の大きい回復力が得られるという特性を備えている。
【0032】
合材パネル10は、損傷検出センサー1を変態点以下の温度で変形を拘束した状態で繊維強化樹脂層11,11の間に配置し、損傷検出センサー1のチタン−ニッケル合金箔2を変態点以上の温度に加熱して形状変化させることで、複合材料の各層にせん断応力を発生させ、これにより、デラミネーション(層間剥離)を抑制させる応力を発生させる。
【0033】
上記複合材パネル10は、具体的には図6に示すように、6枚の繊維強化樹脂層11b,11c,11d,11e,11f,11gと5枚の損傷検出センサー1b,1c,1d,1e,1fとから形成され、6枚の繊維強化樹脂層のうちの端側に位置する繊維強化樹脂層11b,11gを2枚の炭素繊維強化樹脂を積層したもので形成し、中間に位置する繊維強化樹脂層11c,11d,11e,11fを3枚の炭素繊維強化樹脂を積層したもので形成し、損傷検出センサー1b,1c,1d,1e,1f1を繊維強化樹脂層11b,11c,11d,11e,11f,11g11の間にそれぞれ配置して構成される。
【0034】
つぎに、複合材パネル10の損傷制御方法について説明する。
各損傷検出センサー1b,1c,1d,1e,1fは、チタン−ニッケル合金箔2と図1に示す電気回路3を有する構成であり、チタン−ニッケル合金箔2に微弱な一定電流を流しておくことで、複合材料内部で亀裂が発生した場合、チタン−ニッケル合金箔2に局部的な歪みが発生し、この歪みによってチタン−ニッケル合金箔2の電気抵抗が変化する。
【0035】
すなわち、複合材パネル10に図6に示すようなデラミネーションが発生すると、繊維強化樹脂層11eに負荷された応力または繊維強化樹脂層11が損傷を受けた場合に受ける応力集中による応力バランスが変化し、応力バランスの変化が損傷検出センサー1dおよび1eのチタン−ニッケル合金箔2自身の歪みとして感受され、この歪みの変化がチタン−ニッケル合金箔2の形状変化による電気抵抗の変化となる。したがって、複合材パネル10に配置された複数の損傷検出センサー1b,1c,1d,1e,1fのうちのどのチタン−ニッケル合金箔2の電気抵抗が変化したかを検知することで、複合材パネル10のうちのどの繊維強化樹脂層11b,11c,11d,11e,11f,11gが損傷されたかを検出することができる。
【0036】
図6に示す複合材パネル10において、繊維強化樹脂層11eにデラミネーションが発生したとすると、この繊維強化樹脂層11eを挟んだ損傷検出センサー1d,1eのチタン−ニッケル合金箔2,2の電気抵抗値に最も大きな変化が生じるとともにその他の損傷検出センサーのチタン−ニッケル合金箔2の電気抵抗値も変化する。損傷の程度によるが、損傷検出センサー1d,1eのチタン−ニッケル合金箔2,2との間の電気抵抗変化が急激になる。このとき、損傷検出センサー1d,1eのチタン−ニッケル合金箔2,2に通電することで、繊維強化樹脂層11eを構成する層のデラミネーションを防止することができる。
【0037】
つぎに、図1に示した損傷検出センサーを用いた複合材の損傷位置検出方法について説明する。
チタン−ニッケル合金箔2とこのチタン−ニッケル合金箔2の一面に接着された電気回路3とこの電気回路3に所定間隔を置いて同一方向に配置された複数の歪ゲージ4を有する損傷検出センサー1を設け、この損傷検出センサー1を常温で歪みが与えられた状態で繊維強化樹脂層11,11の間に配置する。
【0038】
また、歪ゲージが検出する歪み量を計測して解析する解析装置を設け、この解析装置に損傷部位によって変化する複数の歪ゲージの歪み量を相対化して歪パターンとして予め記憶させて置く。
【0039】
つぎに、損傷検出センサー1の歪ゲージ4が検出する歪み量を相対化して歪パターンを算出し、算出された歪パターンを解析装置に予め記憶された歪パターンと比較して、複合材に発生する損傷部位を特定する。
【0040】
たとえば、複合材の繊維強化樹脂層11の強化繊維がトランスバースクラック応力方向と直角方向に切断され亀裂が生じた場合、その亀裂を囲む歪ゲージ4が検出する歪み量は大きく増加する。そして歪みの大きさで損傷の大きさが判別できる。
【0041】
また、デラミネーションが発生した場合、その損傷部位を境にして、一方では、損傷部分を囲む歪ゲージの値が増加し、もう片方では減少するという非連続性が起こるので、上記の応力と直角方向の損傷とは区別できる。そして、損傷部分を囲む歪ゲージに損傷位置の影響による歪み値が出るので、直角方向の損傷と同様にして損傷の位置と大きさを特定することができる。
【0042】
そして、歪パターンの例としては等歪み線図を利用することができる。この場合、所定時間毎に各点の歪み量が計測され、さらに比較されて最大点と最大値が求められる。その後、各点の歪み値が最大値で除され、最大値に対する相対値が各点の値として記憶される。この状態で相対値を用いて等歪み線を求め、この等歪み線を予めシュミレーションにより求めて解析装置に記憶させて置いた等歪み線図と比較することで正確な損傷位置を求めることができる。あるいは、単に計測値より求めた等歪み線図の中心を損傷点とすることもできる。
【0043】
もう一つの損傷位置の推定方法としては、デラミネーションの平面上の位置を推定する場合、たとえば、最大歪値を示す歪ゲージを含んで一方向に並ぶ3個の歪ゲージとその歪値から2次曲線を導出し、その最大歪点を求める。そして、この最大点を通り3個の歪ゲージが並ぶ方向に直交する直線Yを求めておく。上記と同様にして上記一方向と直交する方向で2次曲線を導出しその最大歪点を求め、この最大歪点を通り上記一方向に平行な直線Xを求める。そして、直線XとYの交点を平面上の損傷位置と推定する。
トランスバースクラックが入る場合には、亀裂の両側にある歪ゲージの値が急激に上昇するので容易に位置が断定きる。
【0044】
通常の場合、場所も大きさも正確に特定せずともよい場合が多いので、最大歪を示す歪ゲージから損傷部を推定し、損傷部の周囲の歪み値の和から損傷の大きさを推定することもできる。
【0045】
しかして、複合材の損傷部位に対応して個々の歪ゲージが検出する歪み量を実験もしくは有限要素解析により損傷部位によって変化する複数の歪ゲージの歪み量を相対化して歪パターンとして解析装置に記憶させて置き、複合材に発生する歪ゲージの歪み量を相対化して歪パターンを算出し、算出された歪パターンを解析装置に予め記憶させた歪パターンと比較して、複合材に発生する損傷部位を特定することができる。あるいは、計測された歪パターンからも損傷部位を推定す
ることができる。
【0046】
また、出力する電圧を常にモニタリングしておけば、その変化によって材料内部の損傷が検知できる。予備試験及び検討によって、損傷が起こった場合の電圧の変化を把握しておき、電圧の変化をコンピュータに記憶させておけば損傷に等しい出力があった場合、損傷の検知が可能である。
たとえば、損傷がない通常のパターンが変化した場合、他の部分より大きく変化した出力を示す歪ゲージの出現により損傷が検知でき、そして、その歪ゲージの近傍あるいは複数の歪ゲージに囲まれた部分を損傷部位とすれば、損傷部位の推定もできる。
【0047】
すなわち、複合材10に発生するトランスバースクラック、デラミネーション等異なる種類、位置及び大きさの損傷と電気抵抗の関係とその電気抵抗の分布を把握することにより、複合材10に発生する損傷の種類、位置及び大きさが推定可能である。
【0048】
図7は形状記憶合金を積層した複合材の効果を示す図であり、同図において、横軸が歪み(%)、縦軸がトランスバースクラック密度(/cm)であり、白点が2%の永久歪みを与えた形状記憶合金を積層した複合材、黒点が形状記憶合金のない複合材を示す。
図7によれば、形状記憶合金を積層した複合材は、0.4%の歪みを与えた状態でトランスバースクラックの発生が抑制されていることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の損傷位置検出装置は、チタン−ニッケル合金箔の一面に接着された電気回路に歪ゲージを配置したことで、複合材に適用した場合に、複合材に発生する損傷部位を検出することができる。
【0050】
本発明の損傷検出センサーの製造方法は、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔から酸化被膜を除去した後、陽極酸化処理して陽極酸化被膜を形成することで、ニッケル合金箔と歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムとの接着性能を高めることができる。
【0051】
本発明の損傷検出センサーの製造方法は、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔から酸化被膜を除去した後、化成被膜処理して化成被膜を形成することで、チタン−ニッケル合金箔と歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムとの接着性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における損傷検出センサーの分解斜視図。
【図2】 図1のI−I線に沿った断面図。
【図3】 樹脂シートと銅箔を有するフィルムから作られる電気回路を示す図。
【図4】 本発明における損傷検出センサーの参考例を示す分解斜視図。
【図5】 本発明における複合材の斜視図。
【図6】 本発明における複合材の層間剥離を示す図。
【図7】 形状記憶合金を積層した複合材の効果を示す図。
【符号の説明】
1 損傷検出センサー
2 チタン−ニッケル合金箔
3 電気回路
4 歪ゲージ
10 複合材パネル
11 繊維強化樹脂層

Claims (5)

  1. 繊維強化樹脂複合材の損傷位置を検出する装置であって、
    チタン−ニッケル合金箔、前記チタン−ニッケル合金箔の一面に接着された複数の電気回路、および前記複数の電気回路にそれぞれ配置された複数の歪ゲージを有し、前記繊維強化樹脂複合材の繊維強化樹脂層の間に配置される損傷検出センサーと、
    前記歪みゲージが検出する歪み量に基づいて損傷位置を特定する解析装置と、
    を備えることを特徴とする損傷位置検出装置
  2. 前記解析装置は、予め複数の歪ゲージの歪み量を相対化して損傷部位ごとに歪パターンとして記憶し、
    前記歪ゲージが検出する歪み量を相対化して前記歪パターンと比較することにより損傷位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の損傷位置検出装置。
  3. 前記損傷検出センサーは、常温で歪みが与えられた状態で前記繊維強化樹脂複合材の繊維強化樹脂層の間に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の損傷位置検出装置。
  4. 請求項1に記載されている損傷検出センサーを製造する方法であって、
    チタン−ニッケル合金箔に所定の歪み量を与え、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔をフッ酸と硝酸の混合水溶液により酸化被膜を除去し、酸化被膜を除去したチタン−ニッケル合金箔を水酸化ナトリウム溶液で陽極酸化処理し、陽極酸化処理したチタン−ニッケル合金箔の上に、歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムを貼着することを特徴とする損傷検出センサーの製造方法。
  5. 請求項1に記載されている損傷検出センサーを製造する方法であって、
    チタン−ニッケル合金箔に所定の歪み量を与え、歪み量を与えたチタン−ニッケル合金箔をフッ酸と硝酸の混合水溶液により酸化被膜を除去し、酸化被膜を除去したチタン−ニッケル合金箔の表面にチタンコーティング処理を行い、さらに、化成被膜処理し、化成被膜処理したチタンコーティングの上に歪ゲージを結合した電気回路を有するフィルムを貼着することを特徴とする損傷検出センサーの製造方法。
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