JP4577975B2 - Tractor drive mode switching mechanism with HMT transmission - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、HMT式トランスミッションを備えるトラクタに備えられる駆動モード切換機構の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジン動力を分岐して一方は遊星歯車機構に伝達し、他方はHSTを介して無段変速した後に遊星歯車機構に伝達し、該遊星歯車機構にて両動力を合成して出力する構成の油圧−機械式無段変速装置(本明細書において「HMT」と称する。)は公知とされている。また、HMTにおいて、クラッチの係脱により遊星歯車機構を切り離してHSTの出力を直接出力することもできる構成も公知とされる。これらの技術は例えば車両駆動技術に用いられ、トラクタ等のトランスミッションにおいてこれを備えたものが広く採用されている。
【0003】
また、適宜の駆動モード切換機構を備え、油圧−機械式駆動(HMT駆動モード)と油圧式駆動(HST駆動モード)とを切り換えることができるHMT式トランスミッションの構成も公知とされている。例えば特開2000−127783号に開示される技術は、中速域から高速域にかけてはHMT駆動モードとし、低速域はHST駆動モードとし、各変速域に応じてクラッチを係合/係合解除させる駆動モード切換機構を備えている。この技術は、低速域においては油圧式駆動とすることで駆動力の微調節を容易とする一方、中速〜高速にかけては油圧−機械式駆動を用いることで駆動力の伝達効率を向上させ得る点で優れている。
【0004】
また、特開2000−130557号では、HST駆動モードにおける出力回転とHMT駆動モードにおける出力回転とが一致している点(同号公報の図4におけるX点)にて駆動モードの切換え(同号公報では「速度段切換」と称している。)を行うようにすれば、該切換に伴うショックの発生を抑えることができる旨を開示している。また同号の技術においては、電磁弁を介してクラッチを係脱させることにより駆動モードの切換を行う構成では、制御装置が前記X点を検知して駆動モード切換を指令しても、実際にクラッチが係脱を行うまでの間に発生する電気的な時間遅れと機械的な時間遅れのために、タイミングがずれてショックが発生することを指摘している。そして、これを解消する手段として、前記時間遅れを加味したシミュレーション計算を行い、現時点での速度比がX点の速度比に至らなくても設定時間後の速度比の予測値がX点の速度比を越えるのであれば直ちに駆動モード切換指令を行う構成を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2000−130557号に開示される駆動モード切換機構は、シュミレーションのために複雑な計算処理を必要とし、制御装置の構成が複雑になって製造コストが増大する不具合があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1においては、HMT式トランスミッションを備えるトラクタに備えられ、
該トランスミッション(30)の変速比が設定値より低速側にあるときは、第一の油圧パッククラッチ(13)が係合されてHST(21)の出力回転を車軸に出力する「HST駆動モード」とし、増速されて前記変速比が前記設定値を上回った場合は、第二の油圧パッククラッチ(14)が係合されてHST(21)の出力回転とエンジン(20)の出力回転とを合成して車軸に出力する「HMT駆動モード」とするよう構成された、駆動モード切換機構において、前記変速比が前記設定値を上回って、駆動モードを前記「HST駆動モード」から前記「HMT駆動モード」へ切り換える際には、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送ると同時に、設定時間(Δt 1 )だけ前の時点でHST斜板角アクチュエータ(86)に指令した指令値(r 1 )を読み出し、該指令値(r 1 )を再びHST斜板角アクチュエータ(86)に指令し、前記設定時間(Δt 1 )は、前記第二の油圧パッククラッチ(14)の応答遅れ時間と同じに設定し、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送信した後の、一定時間の間においては、HST斜板角は一定に制御し、該一定時間を経過後に、HST斜板角アクチュエータ(86)を介して、HST斜板角を徐々に減速側に制御するものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載のHMT式トランスミッションを備えるトラクタの駆動モード切換機構において、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送るタイミングより後であって、前記第一の油圧パッククラッチ(13)の係合を解除させる信号を送るタイミングより前に、HST斜板角をHST斜板角アクチュエータ(86)を介して、減速側に変更制御させるものである。
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1はHMT式トランスミッションのスケルトン図、図2はトランスミッション前半部の側面断面展開図、図3は同じく後半部の側面断面展開図である。図1〜図3を参照して、HMT式トランスミッションの構成について説明する。このトランスミッションは、HST(油圧式無段変速装置)21、及び、遊星歯車機構10を含むミッション30を備えて構成されている。
【0010】
〔走行駆動系〕
まず、走行駆動系を説明する。図2に示すようにHST21は油圧ポンプ22及び油圧モータ23を備えており、両者21・22は平板状のセンタセクション32に付設されて、HSTハウジング31内に収容されている。前記センタセクション32はミッションケース33に固設されている。
【0011】
HST21の油圧ポンプ22の回転軸心を入力軸25が貫通しており、該入力軸25は駆動源であるエンジン20からの動力を該油圧ポンプ22に伝達するとともに、遊星歯車機構10の後述するサンギア1に伝達させ、更には後述するPTO駆動系を介して、図3に示すPTO軸53へも動力を伝達させている。該入力軸25には油圧ポンプ22のシリンダブロック22bが係合されて相対回転不能とされ、入力軸25とともにシリンダブロック22bが駆動される構成になっている。該シリンダブロック22bには複数のプランジャ22cが摺動自在に配設され、該プランジャ22cの頭部には可動斜板22aが当接している。該可動斜板22aは傾動自在に枢支され、その傾斜角を調節することにより油圧ポンプ22の容積を変更することができる。油圧ポンプ22により吐出された作動油は、センタセクション32に設けられた油路を介して油圧モータ23に送油される。そして、同様にシリンダブロック、プランジャ等より構成される固定容積型の油圧モータ23を駆動させることによって、該油圧モータ23のモータ出力軸26の回転速度及び方向を制御する構成になっている。なお、本実施例のHST21では油圧ポンプのみを可変容積型とし、油圧モータは固定容積型としているが、その構成のHSTに限るものでもない。例えば、油圧ポンプと油圧モータの双方を可変容積型とする構成でも、本発明を適用することができる。
【0012】
ミッション30の構成について、図1〜図3を参照して説明する。ミッション30はミッションケース33により被装されており、該ミッションケース33には入力軸25、モータ出力軸26、駆動軸27、副変速軸28、PTO軸53等が水平で前後方向に配設され、それぞれ回動自在に支持されている。また、ミッションケース33内には遊星歯車機構10が設けられている。遊星歯車機構10は前記HST21の油圧ポンプ22後方に配設され、後述するサンギア1、プラネタリギア2、出力ギア3、キャリア5等より構成されている。
【0013】
一方、HST21のモータ出力軸26には二つのギア11・12が遊嵌されており、該ギア11と該モータ出力軸26との間には第一の油圧パッククラッチ13が、ギア12とモータ出力軸26との間には第二の油圧パッククラッチ14が、それぞれ介在させてある。この二つの油圧パッククラッチ13・14は二つの駆動モード(HMT駆動モードとHST駆動モード)を切り換えるために用いられ、駆動モードに応じて二つの油圧クラッチ13・14のうちいずれか一方を係合させ他方を係合解除させることにより、モータ出力軸26からギア11・12のいずれか一方に動力が伝達されることとなる。なお、この二つの油圧パッククラッチ13・14は、滑りながら繋がるというような半クラッチ状態を意図的に作り出すことはできず、完全な係合状態又は完全な係合解除状態のいずれかのみに操作できるクラッチに構成してある。
【0014】
前記入力軸25は前記HST21のセンタセクション32を貫通してミッションケース33内に延出しており、該延出部分上には遊星歯車機構10を備えている。この遊星歯車機構10を説明する。遊星歯車機構の第一の要素たるサンギア1は入力軸25に対して相対回転不能に係合され、プラネタリギア2は二連のギアとし、一方のギア2aは前記サンギア1に噛合し、他方のギア2bは、前記サンギア1に同心して配置された、第三の要素たる出力ギア3に噛合している。ここでプラネタリギア2は、入力軸25上に遊嵌された第二の要素たるキャリア5に回転自在に支持され、自転しながら該キャリア5とともに公転し得るように構成されている。該キャリア5にはギア6が固設されており、該ギア6は、前記モータ出力軸26上に遊嵌される前記ギア11と噛合している。
【0015】
また、遊星歯車機構10の前記出力ギア3は入力軸25上に遊嵌されたパイプ軸7の前端部に形成されており、該パイプ軸7の後端にはギア8が相対回転自在に遊嵌されている。該ギア8と前記パイプ軸7との間には第三のクラッチ19が介設され、該クラッチ19は油圧駆動されるシフタにより係脱されるように構成されている。
【0016】
一方、前記HST21のモータ出力軸26と平行に駆動軸27が配設されており、該駆動軸27上にはギア16が固定されて前記ギア8と噛合されている。この駆動軸27上には更にギア15が固設してあり、該ギア15は、前記モータ出力軸26上に遊嵌される前記ギア12と噛合している。図3で示すように駆動軸27の後端にはカップリングを介して伝達軸34が連結されており、該伝達軸34の後部に二つのギア17・18を固定している。
【0017】
前記伝達軸34と平行に副変速軸28が支持され、該副変速軸28上にはギア60・61が遊嵌されており、該ギア60・61が前記ギア17・18に噛合して互いに異なる回転数で駆動している。そして、副変速軸28に設けられた副変速クラッチ62を操作することにより、ギア60・61のうちいずれか一方の回転駆動力を副変速軸28に伝達できるように構成し、副変速機構を構成している。該副変速軸28の後端にはベベルギア69が形設され、該ベベルギア69を介して後輪デフ70に動力が伝達される。
【0018】
また図3に示すように、副変速軸28の前端部には二つのギア63・64が固設されており、該ギア63・64は前輪出力軸29上に遊嵌されたギア65・66にそれぞれ噛合し、該ギア65・66を異なる回転数で駆動している。また、前輪出力軸29上には二つの油圧クラッチ67・68が設けられており、該油圧クラッチ67・68のうち何れか一方を接続することにより、ギア65・66の何れか一方の回転駆動力を前輪出力軸29に伝達できるようにし、前輪増速切換機構を構成している。
【0019】
〔PTO駆動系〕
次に、図3を参照してPTO駆動系を説明する。
前記入力軸25の後端はPTOクラッチ40を介してPTO入力軸41に伝達される。PTO入力軸41の後端には三つのギア42・43・44が相対回転不能に挿嵌され、それぞれPTO副変速軸45に遊嵌されたギア46・47・48に噛合している。そしてPTO副変速クラッチ49の操作により三段階に変速されたPTO副変速軸45の出力が、ギア50・52・54を介してPTO軸53に伝達され、作業機等に動力を伝達するよう構成している。
【0020】
〔各駆動モードにおける駆動伝達構成〕
次に、以上の構成におけるトランスミッションにおいて、HMT/HSTの各駆動モードにおける走行駆動系の駆動伝達構成を説明する。
【0021】
〔HMT駆動モード〕
最初に、HMT駆動モードとしたときの駆動伝達構成について説明する。HMT駆動モードにおいては前記二つの油圧クラッチ13・14のうち第一の油圧クラッチ13は係合され、第二の油圧クラッチ14は係合を解除される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギア12には伝達されず、ギア11のみを回転駆動する。前記ギア11は前記キャリア5に固設されたギア6に噛合しているので、モータ出力軸26の回転出力が遊星歯車機構10のキャリア5に伝達される。一方、エンジン20に連結された入力軸25の回転出力によりサンギア1は回転駆動されている。従って、前記キャリア5に支持され、更に前記サンギア1に噛合しているプラネタリギア2には、両者5・1の回転が合成されて伝達され、該合成された駆動力が、該プラネタリギア2に噛合する出力ギア3に伝達されて、パイプ軸7が駆動される。
【0022】
そして、HMT駆動モードにおいては前記第三のクラッチ19が係合するよう制御されるので、パイプ軸7の駆動力がその後端のギア8に伝達され、該ギア8に噛合しているギア16を介して、前記パイプ軸7の動力が駆動軸27に伝達される。駆動軸27の動力は副変速軸28を経て後輪や前輪に伝達され、車両が駆動されることとなる。
【0023】
〔HST駆動モード〕
次に、HST駆動モードとしたときの駆動伝達構成について説明する。HST駆動モードにおいては前記二つの油圧クラッチ13・14のうち第二の油圧クラッチ14が係合され、第一の油圧クラッチ13は係合を解除される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギア11には伝達されず、ギア12のみを回転駆動する。ギア12には前述のとおりギア15が噛合されているので、モータ出力軸26の回転出力が駆動軸27に伝達される。この動力は副変速軸28を経て後輪や前輪に伝達され、車両が駆動される。
【0024】
このHST駆動モードにおいては、エンジン20の出力が前後輪にまで伝達されるまでの間に遊星歯車機構10を経由しない動力伝達構成となっている。即ち、エンジン出力が入力軸25を介してサンギア1を駆動するが、遊星歯車機構10はそのサンギア1の回転により空転するのみとされる。結局は、エンジン出力はHST21により変速されてモータ出力軸26→駆動軸27と伝達された後、副変速されて前後輪に伝達されることになる。
【0025】
一方、前述のとおり前記駆動軸27にはギア16が固定されており、該ギア16に噛合しているギア8は、前記駆動軸27の回転が伝達されて駆動されることになる。しかし、HST駆動モードにおいては前記第三のクラッチ19が係合を解除するように制御されるため、前記駆動軸27の動力がパイプ軸7を介して出力ギア3まで伝達されることはなく、出力ギア3の空回りは防止される。この構成により動力伝達ロスが抑えられ、遊星歯車機構10の長寿命化が図られている。
【0026】
〔駆動モード切換機構の構成〕
次に、駆動モード切換機構の構成を説明する。図4はトランスミッションの駆動モード切換機構の構成を示した説明図である。
【0027】
本実施例においては図2・図4に示すように、モータ出力軸26の後端に回転ピックアップのためのダミーギア9を配設し、該ダミーギア9に近接して設けた回転数検出器81で該モータ出力軸26の回転速度や回転方向を検出している。更に、前記駆動軸27に固定した前記ギア15には回転数検出器82を近接して設け、該回転数検出器82にて該駆動軸27の回転速度や回転方向を検出している。また図4に示すように、エンジン20のクランク軸にも回転数検出器83が設けられて、エンジン回転数を検出可能としている。
【0028】
図4に示すように三つの回転数検出器81・82・83は制御装置90に電気的に接続され、該制御装置90は主変速レバー84の操作位置や前記回転数検出器82の検出値をもとに、車速が該主変速レバー84で指示される車速となるよう、HST斜板角アクチュエータ86を通じて前記油圧ポンプ22の可動斜板22aの傾斜角度をフィードバック制御する。これについては後述する。また、前記第一・第二油圧クラッチ13・14や、前記第三のクラッチ19のシフタを駆動する油圧シリンダ94には、それぞれ電磁弁91・92・93が接続されて圧油を給排可能に構成されており、前記制御装置90は該電磁弁91・92・93に対し電気的に接続されている。制御装置90は前記回転数検出器82・83の検出値からトランスミッションの変速比を計算する演算手段を備えており、求められた変速比が高速側の一定領域にあるときは「HMT駆動モード」となって前記電磁弁91・92・93に信号を送り、前記第一の油圧クラッチ13及び第三のクラッチ19を係合させ、第二の油圧クラッチ14を係合解除させる。一方、変速比が低速側の一定領域にあるときは「HST駆動モード」となって電磁弁91・92・93に信号を送り、前記第一の油圧クラッチ13及び第三のクラッチ19を係合解除させ、第二の油圧クラッチ14を係合させる。即ち、中速域〜高速域では「HMT駆動モード」、低速域では「HST駆動モード」というように、変速比に応じて二つの駆動モードを自動切換し、前記電磁弁91・92・93を電気的に制御してクラッチ13・14・19を係脱させるように構成しているのである。
【0029】
上記駆動モード切換機構において「HST駆動モード」から「HMT駆動モード」へ切り換えるための構成を説明する。図5は車両の変速比とHST変速比との関係を示した図、図6は制御装置の速度制御に係るメインフロー図、図7はHST斜板角制御ブロックに係るフロー図、図8はHSTモードからHMTモードへの切換時におけるフロー図である。図9はHSTモードからHMTモードへの切換時におけるHST斜板角の制御を示した図、図10は急加速の場合におけるHST斜板角の制御を示した図である。
【0030】
まず、HSTの変速比と車両の変速比との関係が、図5に示され、前述するように後進域の全域〜前進低速域においては「HST駆動モード」とされ、該モードにおいては前記HST21の回転出力が前記駆動軸27にそのまま出力されることから、HST21が中立位置にあるときは車両は駆動されず、HST出力軸(モータ出力軸)26が正転したときは車両は前進し、逆転したときは車両は後進する。また、車両速度は該HST出力軸26の回転速度に比例する。このことから、「HST駆動モード」において車両を前進側に増速させるためには、HST21の変速比を正転側に変更制御させる必要がある。一方、前進の中速域〜高速域においては「HMT駆動モード」とされ、該モードにおいてはHST21の回転出力と入力軸25の回転出力を前記遊星歯車機構10にて合成し、差動的に取り出された動力が前記駆動軸27に出力される。従って、「HMT駆動モード」において車両を前進側に増速させるには、前記「HST駆動モード」とは逆に、HST21の変速比を逆転側に変更制御させる必要がある。
【0031】
従って、HSTの出力回転とHMTの出力回転とが等しく、前記二つのモードのいずれであっても車両の変速比が等しくなる点が存在し、本実施例においては図5におけるX点がそれである。本発明の駆動モード切換機構は、車両が加速あるいは減速されて、車両の変速比がこのX点に至った場合に両駆動モード間の切換が行われるように構成して、切換時におけるショックの発生を抑えるようにしている。
【0032】
ここで、「HST駆動モード」時に車両が加速して前記X点に至った場合の制御について説明する。即ち、X点に至ったことが検知されてから「HMT駆動モード」に切り換えるべく前記電磁弁91・92・93に信号を送るとしたのでは、制御装置90が信号を送ってから実際に前記クラッチ13・14・19が係合又は係合解除されて実際に「HMT駆動モード」となるまでに、電気的な時間遅れと機械的な時間遅れとに起因するタイムラグが生じてしまい、実際にクラッチ13・14・19が動作する時点ではHSTの出力回転とHMTの出力回転とのズレが生じ、モード切換時のショックの原因となる。そこで本発明では、該タイムラグを吸収すべく、前記電磁弁91・92・93に信号を送ると同時にHST斜板角アクチュエータ86に信号を送って、HST斜板角を減速側に変更させる制御を行うのである。なお、前記X点における駆動モード切換においては、二つの油圧パッククラッチ13・14のうち一方を係合させるとともに他方を係合解除させる制御を行うことになるが、本実施例では切換の際に、両油圧パッククラッチ13・14を双方とも係合させておく状態を短時間(後述のΔt)だけ現出させるようにし、これによって切換を円滑に行うようにしている。
【0033】
以下に、本発明の駆動モード切換機構における制御装置90内部で行われる処理の流れを説明する。図6に示されるのは変速比制御に関するメインフローを説明した流れ図である。変速比制御において制御ループがスタートすると、回転数検出器82・83の検出値からトランスミッションの現在の変速比が算出される(S100)。そして、現在の駆動モードが「HST駆動モード」「HMT駆動モード」のいずれであるかを判定し(S101)、「HST駆動モード」である場合は、先程算出された変速比が設定値(図5におけるX点の変速比)を上回っているかどうかを判定する(S102)。上回っていない場合は、後述のHST斜板角制御ブロックを実行し(S103)、HST斜板22aの傾斜角を主変速レバー84の操作位置に応じて変更する。上回っている場合は、「HMT駆動モード」に切り換えるべく、後述する駆動モード切換ブロックを実行する(S104)。現在の駆動モードが「HMT駆動モード」である場合は、先程算出された変速比が設定値(図5におけるX点の変速比)を下回っているかどうかを判定する(S105)。上回っていない場合はHST斜板角制御ブロックを実行し(S103)、HST斜板22aの傾斜角を主変速レバー84の操作位置に応じて変更する。上回っている場合は、「HST駆動モード」に切り換えるべく、駆動モード切換ブロックを実行する(S106)。
【0034】
図7に示されるHST斜板角制御ブロックにおいては、まず、主変速レバー84の操作位置を検出して、HST斜板制御目標値を該操作位置に対応する値に設定する(S201)。続いて、該HST斜板制御目標値から、1回前の制御ループにおいてHST斜板角アクチュエータ86に指令した値を減算し、算出された値と設定値Eとを比較する(S202)。前記差が設定値E未満であれば、制御目標値をそのままHST斜板角アクチュエータ86に指令する(S203)。該HST斜板制御目標値と前回の指令値との差が設定値E以上あるときは、HST斜板角アクチュエータ86に指令する値は、前回の指令値に前記設定値Eを加算又は減算して、該制御目標値に近づけた値とする(S204)。このようにすることで、1回の制御ループでHST斜板22aが変更される量が常に前記設定値E以下であることが確保され、極端な急加速・急減速を防止でき、激しい変速ショックが回避される。最後に、先程HST斜板角アクチュエータ86に指令した値をメモリに保持して(S205)、斜板角制御ブロックのフローは終了する。このメモリは配列メモリとされ、現在から所定の回数前までの各制御ループにおいてアクチュエータに指令した値を保持できるようになっている。
【0035】
図8に示される「HST駆動モード」→「HMT駆動モード」の駆動モード切換フローにおいては、第二油圧パッククラッチ14を係合させるべく、電磁弁92に係合信号を送信する(S301)。そして直ちに、設定時間Δt1 だけ前の時点においてHST斜板角アクチュエータ86に指令した値を、前記配列メモリr1 から読み出し、該値r1 を再びHST斜板角アクチュエータ86に指令する(S302)。なお、本実施例では、前記設定時間Δt1 は、前記第二の油圧パッククラッチ14の応答遅れ時間と同じとなるように設定している。ここで車両は加速中であるので、設定時間Δt1 だけ前の時点においてHST斜板角アクチュエータ86に指令した値r1 は、電磁弁92に係合信号を送信する1回だけ前の制御ループにおいて、HST斜板角アクチュエータ86に指令した値r2 より、HSTとして減速側となるような値になる。即ち、電磁弁92に係合信号が送信されると同時に、HST斜板角は減速側へ制御されることになる。この構成により、第二の油圧パッククラッチ14の応答の時間遅れを原因とするHST出力の回転数オーバーが前記減速制御により吸収され、モード切換の際(具体的には、前記第二の油圧パッククラッチ14が実際に係合された時)のショックが低減される。従って、「HST駆動モード」→「HMT駆動モード」の切換を伴う加速を滑らかに行うことができる。なお、このHST斜板角の制御は、車両が減速されて前記と逆の「HMT駆動モード」→「HST駆動モード」の切り換えが行われるときも、同様に行われる。
【0036】
また上述のとおり、第二の油圧パッククラッチ14を係合させるべく係合信号を送信したときにHST斜板角アクチュエータ86に指令する値は、係合信号送信時より設定時間Δt1 だけ前の時点においてHST斜板角アクチュエータ86に指令した値r1 とされる。これは、加速の緩急によってr1 の値が異なることを意味する。図10には図9の場合よりも急加速にて前記X点に至った例でのHST斜板角アクチュエータ86に対する指令値の変化が示され、この場合は図9の場合よりもr1 の値が小さく、従って第二の油圧パッククラッチ14を係合させると同時にHSTを減速させる度合いが大きくなることになる。言い換えれば、急加速してX点に至った場合には、係合信号送信と同時に急減速制御がされ、緩い加速によりX点に至った場合には、係合信号送信と同時に緩い減速制御がされる。即ち、X点に至るまでの加速の緩急に応じた度合いでHST斜板角アクチュエータ86の減速制御がされるので、切換時のショックを効果的に防止できるのである。
【0037】
以上に説明したHST斜板角アクチュエータ86の制御の後は、直ちに時間計測が開始され(S303)、計測された時間がΔt−Δt2 に至るまでは何もせずループを繰り返す(S304)。Δt−Δt2 を経過したら、HST変速比が徐々に減速側となるようにHST斜板角アクチュエータ86に信号を送り、計測時間がΔtを経過するまでこれを繰り返す(S305・S306)。Δtが経過したら、第一の油圧パッククラッチ13を係合解除させるべく、電磁弁91に信号を送信する(S307)。そして直ちに、HST変速比をΔrだけ減少(減速)させるべく、HST斜板角アクチュエータ86に信号を送って(S308)、ブロックの制御フローを終了する。
【0038】
ここで上述のとおり、第二の油圧パッククラッチ14を係合させる信号を送信した後の一定時間(Δt−Δt2 )においては、HST斜板角は一定に制御されるが、その時間Δt−Δt2 を経過した後は、HST斜板角アクチュエータ86を介してHST斜板角22aをHSTとして徐々に減速側(HMT全体としては増速側)となるよう、制御する構成としている。即ち、第二の油圧パッククラッチ14を係合させる信号を送信した後、第一の油圧パッククラッチ13を係合解除させる信号を送信する前のタイミングにおいて、HSTが減速されるようにHST斜板角アクチュエータ86を制御しているのである。このことで、第一の油圧パッククラッチ13の応答の時間遅れを原因とするHMT出力の回転数の不足が吸収されて、モード切換の際(具体的には、該第一の油圧パッククラッチ13の実際の係合解除時)のショックが低減されるのである。
【0039】
また、本実施例の制御においては、第一の油圧パッククラッチ13を係合解除すると同時に、HST変速比をΔrだけ減少(減速)させるべくHST斜板角アクチュエータ86に信号を送っている。即ち、該第一の油圧パッククラッチ13が実際に切り離されてHST出力軸と駆動軸との直結が解除されると、HST自体に加わる負荷が変化して、該HSTの作動油の容積効率が変化して一時的に車速が落ちる傾向にあるため、該落ち込みをカバーすべくHSTを減速側(HMTとしては増速側)にΔrだけ制御しているのである。これにより、「HST駆動モード」から「HMT駆動モード」への移行の際の前記車速の落ち込みがなくなり、滑らかな加速が得られることになる。
【0040】
なお、HST22の容積効率は作動油の温度や車軸に入力される負荷によっても異なるので、本実施例において前記減速側に制御する量Δrは、それらの変動を考慮した平均的な値に定めている。ただし、これら作動油の温度や車軸の負荷を検出する手段を設け、HSTのモータ出力軸26の回転数・作動油温度・車軸負荷の三者の組合せと前記減速側に制御する量Δrとの対応関係を表すマップを予め作成し制御装置90に記憶させておき、該マップに基づいて前記減速制御する量Δrを定める構成とすることもできる。これによれば様々な状況に応じたキメ細かい制御が可能とされ、滑らかな加速をより安定的に達成できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0042】
請求項1に示す如く、HMT式トランスミッションを備えるトラクタに備えられ、該トランスミッションの変速比が設定値より低速側にあるときは、第一の油圧パッククラッチが係合されてHSTの出力回転を車軸に出力する「HST駆動モード」とし、増速されて前記変速比が前記設定値を上回った場合は、第二の油圧パッククラッチが係合されてHSTの出力回転とエンジンの出力回転とを合成して車軸に出力する「HMT駆動モード」とするよう構成された、駆動モード切換機構において、前記変速比が前記設定値を上回って、駆動モードを前記「HST駆動モード」から前記「HMT駆動モード」へ切り換える際には、前記第二の油圧パッククラッチを係合させる信号を送ると同時にHST斜板角をHSTとして減速側に変更制御するので、前記第二の油圧パッククラッチの応答遅れを原因とする、該第二の油圧パッククラッチの実際の係合時におけるHST出力とHMT出力との回転数のズレが、HST斜板角の減速制御により吸収できる。従って、駆動モード切換時のショック発生が防止され、二つの駆動モードに跨る加速制御が滑らかに行える。
【0043】
また、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送ると同時に、設定時間(Δt 1 )だけ前の時点でHST斜板角アクチュエータ(86)に指令した指令値(r 1 )を読み出し、該指令値(r 1 )を再びHST斜板角アクチュエータ(86)に指令し、前記設定時間(Δt 1 )は、前記第二の油圧パッククラッチ(14)の応答遅れ時間と同じに設定し、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送信した後の、一定時間の間においては、HST斜板角は一定に制御し、該一定時間を経過後に、HST斜板角アクチュエータ(86)を介して、HST斜板角を徐々に減速側に制御するので、急加速の場合でも、緩やかな加速の場合でも、それに応じた度合いのHST斜板角の減速制御が行われるので、様々な状況においても変速ショックを効果的に防止できる。また、複雑なシュミレーション計算を行う必要もないので、プログラムが複雑にならず、切換機構の簡素化、低コスト化を達成できる。
【0044】
請求項2に示す如く、請求項1記載のHMT式トランスミッションを備えるトラクタの駆動モード切換機構において、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送るタイミングより後であって、前記第一の油圧パッククラッチ(13)の係合を解除させる信号を送るタイミングより前に、HST斜板角をHST斜板角アクチュエータ(86)を介して、減速側に変更制御させるので、前記第一の油圧パッククラッチの応答遅れを原因とする、該第一の油圧パッククラッチの実際の係合解除時におけるHST出力とHMT出力との回転数のズレが、HST斜板角の減速制御により吸収できる。従って、第一の油圧パッククラッチの係合解除時の出力回転数の変動、即ち、駆動モード切換時のショック発生が防止され、二つの駆動モードに跨る加速制御が滑らかに行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 HMT式トランスミッションのスケルトン図。
【図2】 トランスミッション前半部の側面断面展開図。
【図3】 同じく後半部の側面断面展開図。
【図4】 トランスミッションの駆動モード切換機構の構成を示した説明図。
【図5】 車両の変速比とHST変速比との関係を示した図。
【図6】 制御装置の速度制御に係るメインフロー図。
【図7】 HST斜板角制御ブロックに係るフロー図。
【図8】 HSTモードからHMTモードへの切換時におけるフロー図。
【図9】 HSTモードからHMTモードへの切換時におけるHST斜板角の制御を示した図。
【図10】 急加速の場合におけるHST斜板角の制御を示した図。
【符号の説明】
13 第一の油圧パッククラッチ
14 第二の油圧パッククラッチ
20 エンジン
21 HST
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a configuration of a drive mode switching mechanism provided in a tractor including an HMT transmission.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, the engine power is branched and one is transmitted to the planetary gear mechanism, and the other is continuously transmitted through the HST and then transmitted to the planetary gear mechanism. The planetary gear mechanism synthesizes and outputs both powers. A hydraulic-mechanical continuously variable transmission (referred to herein as “HMT”) having a configuration is known. In addition, in the HMT, it is also known that the planetary gear mechanism can be disconnected and the output of the HST can be directly output by engaging / disengaging the clutch. These techniques are used, for example, in vehicle driving techniques, and transmissions such as tractors equipped with such techniques are widely used.
[0003]
Further, a configuration of an HMT transmission that includes an appropriate drive mode switching mechanism and can switch between a hydraulic-mechanical drive (HMT drive mode) and a hydraulic drive (HST drive mode) is also known. For example, in the technique disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 2000-127783, the HMT drive mode is set from the medium speed range to the high speed range, the HST drive mode is set at the low speed range, and the clutch is engaged / disengaged according to each shift range. A drive mode switching mechanism is provided. This technology facilitates fine adjustment of the driving force by using a hydraulic drive in the low speed range, and can improve the transmission efficiency of the driving force by using a hydraulic-mechanical drive from a medium speed to a high speed. Excellent in terms.
[0004]
In Japanese Patent Laid-Open No. 2000-130557, the drive mode is switched at the point where the output rotation in the HST drive mode matches the output rotation in the HMT drive mode (point X in FIG. 4 of the same publication). The gazette discloses that “speed stage switching” is performed), so that the occurrence of shock associated with the switching can be suppressed. In the technology of the same number, in the configuration in which the drive mode is switched by engaging / disengaging the clutch via the electromagnetic valve, even if the control device detects the point X and commands the drive mode switching, It is pointed out that a shock occurs due to a shift in timing due to an electrical time delay and a mechanical time delay that occur before the clutch engages and disengages. As a means for solving this problem, simulation calculation is performed in consideration of the time delay, and the predicted value of the speed ratio after the set time is the speed of the X point even if the current speed ratio does not reach the speed ratio of the X point. If the ratio is exceeded, a configuration is proposed in which a drive mode switching command is immediately issued.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, the drive mode switching mechanism disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 2000-130557 requires a complicated calculation process for simulation, and has a problem that the configuration of the control device becomes complicated and the manufacturing cost increases.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The problem to be solved by the present invention is as described above. Next, means for solving the problem will be described.
[0007]
In claim 1, provided in a tractor including an HMT transmission,
“HST drive mode” in which the first hydraulic pack clutch (13) is engaged and the output rotation of the HST (21) is output to the axle when the transmission gear ratio of the transmission (30) is lower than the set value. And when the speed ratio exceeds the set value, the second hydraulic pack clutch (14) is engaged and the output rotation of the HST (21) and the output rotation of the engine (20) are increased. In a drive mode switching mechanism configured to combine and output to the axle, the gear ratio exceeds the set value, and the drive mode is changed from the “HST drive mode” to the “HMT drive mode”. When switching to the mode ", the second hydraulic pack clutch (14) and at the same time a signaling engage, set time (Delta] t 1) only the previous time HST swash plate angle actuator ( Command value commanded to 6) reads (r 1), and instructs the finger command value (r 1) again HST swash plate angle actuator (86), the set time (Delta] t 1), the second hydraulic pack Set to be the same as the response delay time of the clutch (14), and the HST swash plate angle is controlled to be constant for a certain period of time after transmitting a signal for engaging the second hydraulic pack clutch (14). Then, after the predetermined time has elapsed, the HST swash plate angle is gradually controlled to the deceleration side via the HST swash plate angle actuator (86) .
[0008]
According to a second aspect of the present invention, in the drive mode switching mechanism for a tractor including the HMT type transmission according to the first aspect, after a timing of sending a signal for engaging the second hydraulic pack clutch (14), the first The HST swash plate angle is controlled to be changed to the deceleration side via the HST swash plate angle actuator (86) before the timing of sending a signal for releasing the engagement of one hydraulic pack clutch (13) .
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described.
[0009]
1 is a skeleton diagram of an HMT transmission, FIG. 2 is a side cross-sectional development view of the front half of the transmission, and FIG. 3 is a side cross-sectional development view of the latter half. The configuration of the HMT transmission will be described with reference to FIGS. The transmission includes an HST (hydraulic continuously variable transmission) 21 and a mission 30 including a planetary gear mechanism 10.
[0010]
[Travel drive system]
First, the traveling drive system will be described. As shown in FIG. 2, the HST 21 includes a hydraulic pump 22 and a hydraulic motor 23, and both 21 and 22 are attached to a flat center section 32 and are accommodated in an HST housing 31. The center section 32 is fixed to the mission case 33.
[0011]
An input shaft 25 passes through the rotational axis of the hydraulic pump 22 of the HST 21, and the input shaft 25 transmits power from the engine 20 as a drive source to the hydraulic pump 22, and the planetary gear mechanism 10 will be described later. Power is transmitted to the PTO shaft 53 shown in FIG. 3 via the PTO drive system described later. The cylinder block 22b of the hydraulic pump 22 is engaged with the input shaft 25 so that relative rotation is impossible, and the cylinder block 22b is driven together with the input shaft 25. A plurality of plungers 22c are slidably disposed on the cylinder block 22b, and a movable swash plate 22a is in contact with the head of the plunger 22c. The movable swash plate 22a is pivotably supported, and the volume of the hydraulic pump 22 can be changed by adjusting the tilt angle. The hydraulic oil discharged by the hydraulic pump 22 is sent to the hydraulic motor 23 through an oil passage provided in the center section 32. Similarly, by driving a fixed displacement hydraulic motor 23 composed of a cylinder block, a plunger and the like, the rotational speed and direction of the motor output shaft 26 of the hydraulic motor 23 are controlled. In the HST 21 of this embodiment, only the hydraulic pump is a variable displacement type and the hydraulic motor is a fixed displacement type. However, the configuration is not limited to the HST having the configuration. For example, the present invention can be applied to a configuration in which both the hydraulic pump and the hydraulic motor are variable displacement types.
[0012]
The configuration of the mission 30 will be described with reference to FIGS. The mission 30 is covered by a mission case 33, and the transmission case 33 is provided with an input shaft 25, a motor output shaft 26, a drive shaft 27, a sub-transmission shaft 28, a PTO shaft 53, etc. arranged horizontally and in the front-rear direction. These are supported so as to be rotatable. A planetary gear mechanism 10 is provided in the mission case 33. The planetary gear mechanism 10 is disposed behind the hydraulic pump 22 of the HST 21 and includes a sun gear 1, a planetary gear 2, an output gear 3, a carrier 5, and the like which will be described later.
[0013]
On the other hand, two gears 11 and 12 are loosely fitted on the motor output shaft 26 of the HST 21, and the first hydraulic pack clutch 13 is connected between the gear 11 and the motor output shaft 26. The second hydraulic pack clutch 14 is interposed between the output shaft 26 and each. The two hydraulic pack clutches 13 and 14 are used to switch between two drive modes (HMT drive mode and HST drive mode), and either one of the two hydraulic clutches 13 or 14 is engaged according to the drive mode. When the other is disengaged, the power is transmitted from the motor output shaft 26 to one of the gears 11 and 12. Note that the two hydraulic pack clutches 13 and 14 cannot intentionally create a half-clutch state in which the two hydraulic pack clutches 13 and 14 are connected while sliding, and can only be operated in either a completely engaged state or a completely disengaged state. The clutch can be made.
[0014]
The input shaft 25 extends through the center section 32 of the HST 21 into the mission case 33, and the planetary gear mechanism 10 is provided on the extended portion. The planetary gear mechanism 10 will be described. The sun gear 1 as the first element of the planetary gear mechanism is engaged with the input shaft 25 so as not to rotate relative to the input shaft 25, the planetary gear 2 is a double gear, one gear 2a meshes with the sun gear 1, and the other The gear 2 b meshes with the output gear 3 that is a third element disposed concentrically with the sun gear 1. Here, the planetary gear 2 is rotatably supported by a carrier 5 as a second element loosely fitted on the input shaft 25, and is configured to revolve with the carrier 5 while rotating. A gear 6 is fixed to the carrier 5, and the gear 6 meshes with the gear 11 that is loosely fitted on the motor output shaft 26.
[0015]
The output gear 3 of the planetary gear mechanism 10 is formed at the front end portion of the pipe shaft 7 that is loosely fitted on the input shaft 25, and the gear 8 is free to rotate relative to the rear end of the pipe shaft 7. It is fitted. A third clutch 19 is interposed between the gear 8 and the pipe shaft 7, and the clutch 19 is configured to be engaged and disengaged by a hydraulically driven shifter.
[0016]
On the other hand, a drive shaft 27 is disposed in parallel with the motor output shaft 26 of the HST 21, and a gear 16 is fixed on the drive shaft 27 and meshed with the gear 8. A gear 15 is further fixed on the drive shaft 27, and the gear 15 meshes with the gear 12 that is loosely fitted on the motor output shaft 26. As shown in FIG. 3, a transmission shaft 34 is coupled to the rear end of the drive shaft 27 via a coupling, and two gears 17 and 18 are fixed to the rear portion of the transmission shaft 34.
[0017]
A sub-transmission shaft 28 is supported in parallel with the transmission shaft 34, and gears 60 and 61 are loosely fitted on the sub-transmission shaft 28. The gears 60 and 61 mesh with the gears 17 and 18 to each other. Driving at different speeds. Then, by operating the sub-transmission clutch 62 provided on the sub-transmission shaft 28, the rotational drive force of either one of the gears 60 and 61 can be transmitted to the sub-transmission shaft 28, and the sub-transmission mechanism is configured. It is composed. A bevel gear 69 is formed at the rear end of the auxiliary transmission shaft 28, and power is transmitted to the rear wheel differential 70 via the bevel gear 69.
[0018]
As shown in FIG. 3, two gears 63 and 64 are fixed to the front end portion of the auxiliary transmission shaft 28, and the gears 63 and 64 are gears 65 and 66 loosely fitted on the front wheel output shaft 29. And the gears 65 and 66 are driven at different rotational speeds. Further, two hydraulic clutches 67 and 68 are provided on the front wheel output shaft 29, and any one of the hydraulic clutches 67 and 68 is connected to rotate one of the gears 65 and 66. A force can be transmitted to the front wheel output shaft 29 to constitute a front wheel acceleration switching mechanism.
[0019]
[PTO drive system]
Next, the PTO drive system will be described with reference to FIG.
The rear end of the input shaft 25 is transmitted to the PTO input shaft 41 via the PTO clutch 40. Three gears 42, 43, and 44 are inserted into the rear end of the PTO input shaft 41 so as not to be relatively rotatable, and mesh with gears 46, 47, and 48 that are loosely fitted to the PTO auxiliary transmission shaft 45, respectively. The output of the PTO sub-transmission shaft 45 that has been shifted in three stages by the operation of the PTO sub-transmission clutch 49 is transmitted to the PTO shaft 53 via the gears 50, 52, and 54 to transmit the power to the working machine and the like. is doing.
[0020]
[Drive transmission configuration in each drive mode]
Next, the drive transmission configuration of the travel drive system in each of the HMT / HST drive modes in the transmission having the above configuration will be described.
[0021]
[HMT drive mode]
First, the drive transmission configuration when in the HMT drive mode will be described. In the HMT drive mode, the first hydraulic clutch 13 of the two hydraulic clutches 13 and 14 is engaged, and the second hydraulic clutch 14 is disengaged. As a result, the rotational output of the motor output shaft 26 is not transmitted to the gear 12, but only the gear 11 is rotationally driven. Since the gear 11 meshes with the gear 6 fixed to the carrier 5, the rotational output of the motor output shaft 26 is transmitted to the carrier 5 of the planetary gear mechanism 10. On the other hand, the sun gear 1 is rotationally driven by the rotational output of the input shaft 25 connected to the engine 20. Accordingly, the planetary gear 2 supported by the carrier 5 and further meshed with the sun gear 1 is combined and transmitted to the planetary gear 2, and the combined driving force is transmitted to the planetary gear 2. The pipe shaft 7 is driven by being transmitted to the meshing output gear 3.
[0022]
Since the third clutch 19 is controlled to be engaged in the HMT drive mode, the driving force of the pipe shaft 7 is transmitted to the rear end gear 8 and the gear 16 meshed with the gear 8 is changed. Thus, the power of the pipe shaft 7 is transmitted to the drive shaft 27. The power of the drive shaft 27 is transmitted to the rear wheels and front wheels via the auxiliary transmission shaft 28, and the vehicle is driven.
[0023]
[HST drive mode]
Next, the drive transmission configuration when in the HST drive mode will be described. In the HST drive mode, the second hydraulic clutch 14 of the two hydraulic clutches 13 and 14 is engaged, and the first hydraulic clutch 13 is disengaged. As a result, the rotational output of the motor output shaft 26 is not transmitted to the gear 11 and only the gear 12 is rotationally driven. Since the gear 12 is engaged with the gear 12 as described above, the rotation output of the motor output shaft 26 is transmitted to the drive shaft 27. This power is transmitted to the rear wheels and the front wheels via the auxiliary transmission shaft 28, and the vehicle is driven.
[0024]
In this HST drive mode, the power transmission configuration is such that the output of the engine 20 is not transmitted through the planetary gear mechanism 10 until the output of the engine 20 is transmitted to the front and rear wheels. That is, the engine output drives the sun gear 1 via the input shaft 25, but the planetary gear mechanism 10 is only idled by the rotation of the sun gear 1. Eventually, the engine output is shifted by the HST 21 and transmitted from the motor output shaft 26 to the drive shaft 27, and then sub-shifted and transmitted to the front and rear wheels.
[0025]
On the other hand, the gear 16 is fixed to the drive shaft 27 as described above, and the gear 8 meshing with the gear 16 is driven by the rotation of the drive shaft 27 being transmitted. However, since the third clutch 19 is controlled to be disengaged in the HST drive mode, the power of the drive shaft 27 is not transmitted to the output gear 3 via the pipe shaft 7, The idling of the output gear 3 is prevented. With this configuration, power transmission loss is suppressed, and the life of the planetary gear mechanism 10 is extended.
[0026]
[Configuration of drive mode switching mechanism]
Next, the configuration of the drive mode switching mechanism will be described. FIG. 4 is an explanatory view showing the configuration of the drive mode switching mechanism of the transmission.
[0027]
In this embodiment, as shown in FIGS. 2 and 4, a dummy gear 9 for a rotary pickup is disposed at the rear end of the motor output shaft 26, and a rotation speed detector 81 provided close to the dummy gear 9 is used. The rotational speed and direction of the motor output shaft 26 are detected. Further, a rotational speed detector 82 is provided close to the gear 15 fixed to the drive shaft 27, and the rotational speed detector 82 detects the rotational speed and rotational direction of the drive shaft 27. Further, as shown in FIG. 4, a rotation speed detector 83 is also provided on the crankshaft of the engine 20 so that the engine rotation speed can be detected.
[0028]
As shown in FIG. 4, the three rotation speed detectors 81, 82, and 83 are electrically connected to the control device 90, and the control device 90 detects the operation position of the main transmission lever 84 and the detected value of the rotation speed detector 82. Based on the above, the inclination angle of the movable swash plate 22a of the hydraulic pump 22 is feedback-controlled through the HST swash plate angle actuator 86 so that the vehicle speed becomes the vehicle speed indicated by the main transmission lever 84. This will be described later. In addition, solenoid valves 91, 92, and 93 are connected to the hydraulic cylinders 94 that drive the shifters of the first and second hydraulic clutches 13 and 14 and the third clutch 19, respectively, so that pressure oil can be supplied and discharged. The control device 90 is electrically connected to the electromagnetic valves 91, 92, and 93. The control device 90 is provided with calculation means for calculating the transmission gear ratio from the detection values of the rotation speed detectors 82 and 83. When the obtained gear ratio is in a constant region on the high speed side, the “HMT drive mode” is provided. Thus, a signal is sent to the electromagnetic valves 91, 92 and 93, the first hydraulic clutch 13 and the third clutch 19 are engaged, and the second hydraulic clutch 14 is released. On the other hand, when the gear ratio is in a constant region on the low speed side, the “HST drive mode” is set and a signal is sent to the solenoid valves 91, 92, 93 to engage the first hydraulic clutch 13 and the third clutch 19. The second hydraulic clutch 14 is engaged by releasing. That is, two drive modes are automatically switched according to the gear ratio, such as “HMT drive mode” in the medium to high speed range and “HST drive mode” in the low speed range, and the solenoid valves 91, 92, 93 are The clutches 13, 14, and 19 are configured to be engaged and disengaged electrically.
[0029]
A configuration for switching from the “HST drive mode” to the “HMT drive mode” in the drive mode switching mechanism will be described. FIG. 5 is a diagram showing the relationship between the transmission ratio of the vehicle and the HST transmission ratio, FIG. 6 is a main flow chart relating to speed control of the control device, FIG. 7 is a flowchart relating to the HST swash plate angle control block, and FIG. It is a flowchart at the time of switching from HST mode to HMT mode. FIG. 9 is a diagram showing control of the HST swash plate angle at the time of switching from the HST mode to the HMT mode, and FIG. 10 is a diagram showing control of the HST swash plate angle in the case of rapid acceleration.
[0030]
First, the relationship between the gear ratio of the HST and the gear ratio of the vehicle is shown in FIG. 5, and as described above, the “HST drive mode” is set in the entire reverse speed range to the forward low speed range, and in this mode, the HST 21 Therefore, when the HST 21 is in the neutral position, the vehicle is not driven, and when the HST output shaft (motor output shaft) 26 rotates forward, the vehicle moves forward. The vehicle moves backward when it reverses. The vehicle speed is proportional to the rotational speed of the HST output shaft 26. Therefore, in order to increase the speed of the vehicle to the forward side in the “HST drive mode”, it is necessary to change and control the speed ratio of the HST 21 to the forward rotation side. On the other hand, in the middle speed range to the high speed range, the “HMT drive mode” is set. In this mode, the rotational output of the HST 21 and the rotational output of the input shaft 25 are combined by the planetary gear mechanism 10 and differentially generated. The extracted power is output to the drive shaft 27. Therefore, in order to increase the speed of the vehicle to the forward side in the “HMT drive mode”, it is necessary to change and control the speed ratio of the HST 21 to the reverse side, contrary to the “HST drive mode”.
[0031]
Therefore, there is a point where the output rotation of the HST is equal to the output rotation of the HMT, and the gear ratio of the vehicle is equal in any of the two modes, and in this embodiment, the point X in FIG. . The drive mode switching mechanism of the present invention is configured such that switching between the two drive modes is performed when the vehicle is accelerated or decelerated and the speed ratio of the vehicle reaches this point X. I try to suppress the occurrence.
[0032]
Here, the control when the vehicle has accelerated to the point X in the “HST drive mode” will be described. That is, when it is determined that the point X has been reached and a signal is sent to the solenoid valves 91, 92, and 93 to switch to the “HMT drive mode”, the control device 90 actually sends the signal and sends the signal. There is a time lag due to an electrical time delay and a mechanical time delay until the clutch 13, 14, 19 is engaged or disengaged and actually enters the “HMT drive mode”. When the clutches 13, 14, and 19 are operated, a deviation between the HST output rotation and the HMT output rotation occurs, which causes a shock at the time of mode switching. Therefore, in the present invention, in order to absorb the time lag, a signal is sent to the solenoid valves 91, 92, and 93 and simultaneously a signal is sent to the HST swash plate angle actuator 86 to change the HST swash plate angle to the deceleration side. Do it. In the drive mode switching at the point X, control is performed so that one of the two hydraulic pack clutches 13 and 14 is engaged and the other is disengaged. The state in which both the hydraulic pack clutches 13 and 14 are engaged is made to appear only for a short time (Δt described later), thereby smoothly switching.
[0033]
Hereinafter, a flow of processing performed in the control device 90 in the drive mode switching mechanism of the present invention will be described. FIG. 6 is a flowchart illustrating a main flow relating to speed ratio control. When the control loop is started in the gear ratio control, the current gear ratio of the transmission is calculated from the detection values of the rotational speed detectors 82 and 83 (S100). Then, it is determined whether the current drive mode is the “HST drive mode” or the “HMT drive mode” (S101). If the current drive mode is the “HST drive mode”, the speed ratio calculated above is the set value (FIG. 5 (S102). If not, an HST swash plate angle control block, which will be described later, is executed (S103), and the inclination angle of the HST swash plate 22a is changed according to the operation position of the main transmission lever 84. If so, a drive mode switching block (to be described later) is executed to switch to the “HMT drive mode” (S104). If the current drive mode is the “HMT drive mode”, it is determined whether or not the previously calculated gear ratio is below a set value (the gear ratio at point X in FIG. 5) (S105). If not, the HST swash plate angle control block is executed (S103), and the inclination angle of the HST swash plate 22a is changed according to the operating position of the main speed change lever 84. If so, the drive mode switching block is executed to switch to the “HST drive mode” (S106).
[0034]
In the HST swash plate angle control block shown in FIG. 7, first, the operation position of the main transmission lever 84 is detected, and the HST swash plate control target value is set to a value corresponding to the operation position (S201). Subsequently, the value commanded to the HST swash plate angle actuator 86 in the previous control loop is subtracted from the HST swash plate control target value, and the calculated value is compared with the set value E (S202). If the difference is less than the set value E, the control target value is directly commanded to the HST swash plate angle actuator 86 (S203). When the difference between the HST swash plate control target value and the previous command value is equal to or greater than the set value E, the value commanded to the HST swash plate angle actuator 86 is obtained by adding or subtracting the set value E to the previous command value. Thus, a value close to the control target value is set (S204). By doing so, it is ensured that the amount of change of the HST swash plate 22a in one control loop is always equal to or less than the set value E, and it is possible to prevent extreme sudden acceleration / deceleration, and severe shift shock Is avoided. Finally, the value previously commanded to the HST swash plate angle actuator 86 is held in the memory (S205), and the flow of the swash plate angle control block ends. This memory is an array memory, and can hold a value commanded to the actuator in each control loop from the present to a predetermined number of times.
[0035]
In the drive mode switching flow of “HST drive mode” → “HMT drive mode” shown in FIG. 8, an engagement signal is transmitted to the electromagnetic valve 92 to engage the second hydraulic pack clutch 14 (S301). Immediately thereafter, the value commanded to the HST swash plate angle actuator 86 at a time point before the set time Δt 1 is read from the array memory r1, and the value r 1 is commanded again to the HST swash plate angle actuator 86 (S302). In this embodiment, the set time Δt 1 is set to be the same as the response delay time of the second hydraulic pack clutch 14. Here, since the vehicle is being accelerated, the value r 1 which commands the HST swash plate angle actuator 86 at the time earlier by the set time Delta] t 1 only once to transmit an engagement signal to the electromagnetic valve 92 before the control loop In FIG. 4, the value H 2 is a value on the deceleration side from the value r 2 commanded to the HST swash plate angle actuator 86. That is, simultaneously with the transmission of the engagement signal to the electromagnetic valve 92, the HST swash plate angle is controlled to the deceleration side. With this configuration, the HST output overspeed caused by the time delay of the response of the second hydraulic pack clutch 14 is absorbed by the deceleration control, and when the mode is switched (specifically, the second hydraulic pack) Shock) when the clutch 14 is actually engaged is reduced. Therefore, acceleration accompanied by switching from “HST drive mode” to “HMT drive mode” can be performed smoothly. The control of the HST swash plate angle is similarly performed when the vehicle is decelerated and the switching from “HMT drive mode” to “HST drive mode” is performed, which is the reverse of the above.
[0036]
Further, as described above, when an engagement signal is transmitted to engage the second hydraulic pack clutch 14, the value commanded to the HST swash plate angle actuator 86 is a set time Δt 1 before the engagement signal is transmitted. The value r 1 commanded to the HST swash plate angle actuator 86 at the time is set. This means that the value of r 1 varies depending on the acceleration. FIG. 10 shows a change in the command value for the HST swash plate angle actuator 86 in the example where the point X is reached at a faster acceleration than in the case of FIG. 9, and in this case, r 1 is larger than that in FIG. Since the value is small, the degree to which the HST is decelerated at the same time when the second hydraulic pack clutch 14 is engaged is increased. In other words, when the vehicle accelerates rapidly and reaches point X, sudden deceleration control is performed simultaneously with the transmission of the engagement signal. Is done. That is, since the deceleration control of the HST swash plate angle actuator 86 is controlled at a degree corresponding to the speed of acceleration up to the point X, a shock at the time of switching can be effectively prevented.
[0037]
After the control of the HST swash plate angle actuator 86 described above, time measurement is started immediately (S303), and the loop is repeated without doing anything until the measured time reaches Δt−Δt 2 (S304). When Δt−Δt 2 elapses, a signal is sent to the HST swash plate angle actuator 86 so that the HST gear ratio gradually becomes on the deceleration side, and this is repeated until Δt elapses (S305 and S306). When Δt has elapsed, a signal is transmitted to the electromagnetic valve 91 to disengage the first hydraulic pack clutch 13 (S307). Immediately thereafter, a signal is sent to the HST swash plate angle actuator 86 to reduce (decelerate) the HST gear ratio by Δr (S308), and the control flow of the block is terminated.
[0038]
Here, as described above, the HST swash plate angle is controlled to be constant for a certain time (Δt−Δt 2 ) after transmitting the signal for engaging the second hydraulic pack clutch 14, but the time Δt− After the lapse of Δt 2 , the HST swash plate angle 22a is controlled through the HST swash plate angle actuator 86 so that the HST swash plate angle 22a gradually becomes the deceleration side (the acceleration side as a whole HMT). That is, after transmitting a signal for engaging the second hydraulic pack clutch 14 and before transmitting a signal for releasing the engagement of the first hydraulic pack clutch 13, the HST swash plate is decelerated so that the HST is decelerated. The angle actuator 86 is controlled. As a result, the shortage of the rotation speed of the HMT output caused by the time delay of the response of the first hydraulic pack clutch 13 is absorbed, and at the time of mode switching (specifically, the first hydraulic pack clutch 13 The shock at the time of actual disengagement is reduced.
[0039]
In the control of this embodiment, the first hydraulic pack clutch 13 is disengaged, and at the same time, a signal is sent to the HST swash plate angle actuator 86 to decrease (decelerate) the HST speed ratio by Δr. That is, when the first hydraulic pack clutch 13 is actually disconnected and the direct connection between the HST output shaft and the drive shaft is released, the load applied to the HST itself changes, and the volumetric efficiency of the hydraulic fluid of the HST is increased. Since the vehicle speed tends to drop temporarily due to the change, the HST is controlled to Δr on the deceleration side (acceleration side as HMT) to cover the drop. As a result, the vehicle speed does not drop during the transition from the “HST drive mode” to the “HMT drive mode”, and smooth acceleration can be obtained.
[0040]
Since the volumetric efficiency of the HST 22 varies depending on the temperature of the hydraulic oil and the load input to the axle, the amount Δr to be controlled to the deceleration side in this embodiment is set to an average value considering such fluctuations. Yes. However, a means for detecting the temperature of the hydraulic fluid and the load on the axle is provided, and the combination of the three speeds of the motor output shaft 26 of the HST, the hydraulic fluid temperature, and the axle load, and the amount Δr to be controlled on the deceleration side. A map representing the correspondence relationship may be created in advance and stored in the control device 90, and the amount Δr for the deceleration control may be determined based on the map. According to this, fine control according to various situations is possible, and smooth acceleration can be achieved more stably.
[0041]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
[0042]
According to the first aspect of the present invention, a tractor including an HMT transmission is provided, and when the transmission gear ratio is on a lower speed side than a set value, the first hydraulic pack clutch is engaged and the output rotation of the HST is controlled. When the speed is increased and the gear ratio exceeds the set value, the second hydraulic pack clutch is engaged and the HST output rotation and the engine output rotation are combined. In the drive mode switching mechanism configured to be the “HMT drive mode” that is output to the axle, the gear ratio exceeds the set value, and the drive mode is changed from the “HST drive mode” to the “HMT drive mode”. When switching to ”, a signal for engaging the second hydraulic pack clutch is sent, and at the same time, the HST swash plate angle is changed to the deceleration side with HST as the HST. Therefore, the difference in the rotational speed between the HST output and the HMT output when the second hydraulic pack clutch is actually engaged due to the response delay of the second hydraulic pack clutch is the deceleration of the HST swash plate angle. Can be absorbed by control. Therefore, the occurrence of shock at the time of switching the drive mode is prevented, and acceleration control over the two drive modes can be performed smoothly.
[0043]
Further, the second hydraulic pack clutch (14) and at the same time sends a signal to engage the set time (Delta] t 1) only command value commanded in HST swash plate angle actuator (86) in front of the point (r 1) The command value (r 1 ) is again commanded to the HST swash plate angle actuator (86), and the set time (Δt 1 ) is the same as the response delay time of the second hydraulic pack clutch (14). The HST swash plate angle is controlled to be constant for a certain period of time after the setting and transmission of the signal for engaging the second hydraulic pack clutch (14). Since the HST swash plate angle is gradually controlled to the deceleration side via the plate angle actuator (86), the deceleration control of the HST swash plate angle according to the degree can be performed in the case of sudden acceleration or moderate acceleration. So that various Shift shocks can be effectively prevented even in situations. Further, since it is not necessary to perform complicated simulation calculation, the program is not complicated, and the switching mechanism can be simplified and the cost can be reduced.
[0044]
According to a second aspect of the present invention, in the drive mode switching mechanism of the tractor including the HMT type transmission according to the first aspect, after a timing of sending a signal for engaging the second hydraulic pack clutch (14), Since the HST swash plate angle is controlled to change to the deceleration side via the HST swash plate angle actuator (86) before the timing of sending the signal for releasing the engagement of the first hydraulic pack clutch (13) , the first A shift in the rotational speed between the HST output and the HMT output at the time of actual disengagement of the first hydraulic pack clutch due to a response delay of one hydraulic pack clutch is absorbed by the deceleration control of the HST swash plate angle. it can. Therefore, fluctuations in the output rotational speed when the first hydraulic pack clutch is disengaged, that is, the occurrence of a shock when the drive mode is switched, are prevented, and acceleration control over the two drive modes can be performed smoothly.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a skeleton diagram of an HMT transmission.
FIG. 2 is a developed side sectional view of the front half of the transmission.
FIG. 3 is a side cross-sectional development view of the latter half portion.
FIG. 4 is an explanatory view showing a configuration of a transmission drive mode switching mechanism.
FIG. 5 is a diagram showing a relationship between a gear ratio of a vehicle and an HST gear ratio.
FIG. 6 is a main flow diagram relating to speed control of the control device.
FIG. 7 is a flowchart according to an HST swash plate angle control block.
FIG. 8 is a flowchart when switching from the HST mode to the HMT mode.
FIG. 9 is a diagram showing control of the HST swash plate angle at the time of switching from the HST mode to the HMT mode.
FIG. 10 is a diagram showing control of the HST swash plate angle in the case of rapid acceleration.
[Explanation of symbols]
13 First hydraulic pack clutch 14 Second hydraulic pack clutch 20 Engine 21 HST

Claims (2)

HMT式トランスミッションを備えるトラクタに備えられ、該トランスミッション(30)の変速比が設定値より低速側にあるときは、第一の油圧パッククラッチ(13)が係合されてHST(21)の出力回転を車軸に出力する「HST駆動モード」とし、増速されて前記変速比が前記設定値を上回った場合は、第二の油圧パッククラッチ(14)が係合されてHST(21)の出力回転とエンジン(20)の出力回転とを合成して車軸に出力する「HMT駆動モード」とするよう構成された、駆動モード切換機構において、前記変速比が前記設定値を上回って、駆動モードを前記「HST駆動モード」から前記「HMT駆動モード」へ切り換える際には、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送ると同時に、設定時間(Δt 1 )だけ前の時点でHST斜板角アクチュエータ(86)に指令した指令値(r 1 )を読み出し、該指令値(r 1 )を再びHST斜板角アクチュエータ(86)に指令し、前記設定時間(Δt 1 )は、前記第二の油圧パッククラッチ(14)の応答遅れ時間と同じに設定し、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送信した後の、一定時間の間においては、HST斜板角は一定に制御し、該一定時間を経過後に、HST斜板角アクチュエータ(86)を介して、HST斜板角を徐々に減速側に制御することを特徴とするHMT式トランスミッションを備えるトラクタの駆動モード切換機構。When the gear ratio of the transmission (30) is lower than the set value, the first hydraulic pack clutch (13) is engaged and the output rotation of the HST (21) is provided in a tractor including an HMT transmission. Is set to “HST drive mode” to output to the axle, and when the speed ratio is increased and the gear ratio exceeds the set value, the second hydraulic pack clutch (14) is engaged and the output rotation of the HST (21) And an output rotation of the engine (20), and a drive mode switching mechanism configured to output to the axle, the gear ratio exceeds the set value, and the drive mode is changed to the drive mode switching mechanism. when switching from the "HST drive mode" to the "HMT drive mode", at the same time it sends a signal to engage the second hydraulic pack clutch (14), when setting (Delta] t 1) only command value commanded before the time point at HST swash plate angle actuator (86) reads (r 1), and instructs the finger command value (r 1) again HST swash plate angle actuator (86), The set time (Δt 1 ) is set to be the same as the response delay time of the second hydraulic pack clutch (14), and after transmitting a signal for engaging the second hydraulic pack clutch (14), During a certain time, the HST swash plate angle is controlled to be constant, and after the certain time has elapsed, the HST swash plate angle is gradually controlled to the deceleration side via the HST swash plate angle actuator (86). A drive mode switching mechanism for a tractor including the HMT type transmission. 請求項1記載のHMT式トランスミッションを備えるトラクタの駆動モード切換機構において、前記第二の油圧パッククラッチ(14)を係合させる信号を送るタイミングより後であって、前記第一の油圧パッククラッチ(13)の係合を解除させる信号を送るタイミングより前に、HST斜板角をHST斜板角アクチュエータ(86)を介して、減速側に変更制御させることを特徴とするHMT式トランスミッションを備えるトラクタの駆動モード切換機構。 In the drive mode switching mechanism of a tractor provided with the HMT type transmission according to claim 1, it is after timing which sends a signal which engages said 2nd hydraulic pack clutch (14), and said 1st hydraulic pack clutch ( 13) A tractor provided with an HMT transmission , wherein the HST swash plate angle is controlled to be changed to the deceleration side via the HST swash plate angle actuator (86) before the timing of sending the signal for releasing the engagement in 13). Drive mode switching mechanism.
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