JP4576053B2 - 抄紙機に用いるための連結軸受付きドクター組立体 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、ロール、フェルト又はワイヤ等の移動又は回転する表面(以下、単に「移動表面」とも称する)を浄化するための抄紙機用ドクター組立体に関する。抄紙機に用いられるドクター組立体は、
移動表面に当接して掻き落とし操作をするドクターブレードと、
該ドクターブレードを支持するためのブレードキャリアと、
フレームと、
前記ドクターブレードに平行に配置され、前記ブレードキャリアを支持するとともに、前記フレームによって支持される連結軸受組立体と、
前記ブレードキャリアと前記フレームの間に配置されており、前記ドクターブレードを該フレームに対して回動させて該ドクターブレードを所定の圧力で前記移動表面に押圧するための荷重付与デバイスとから成り、
前記ブレードキャリアと前記フレームの間に配置された前記連結軸受組立体は、これらの構成部品(ブレードキャリアとフレーム)のうちの一方に固定された連結継手スリーブと、他方の(相手方)構成部品に固定された連結継手ピンとから成り、該連結継手ピンは該連結継手スリーブ内に回動自在に受容されている。
【0002】
発明の背景
ここで、抄紙機とは、広く、抄紙機に類似したあらゆるタイプの機械を意味し、特に板紙抄紙機のことをいう。これらの機械では、ドクター組立体は、ロールを清浄に保つために用いられる。ドクター組立体のドクターブレードは、ロールの表面から繊維残留物や水を掻き落とし、ウエブ(紙匹)が破断した場合は、紙匹を所望の方向に案内する。ドクター組立体は、又、ロールの他に、フェルトやワイヤ等の他の移動表面にも用いられる。
【0003】
ドクター組立体は、通常、回動自在に、かつ、軸方向に僅かに移動しうるように軸受内に支承されたドクタービームに設置され、周知の揺動デバイスによって前後に揺動するようになされている。回動自在のドクタービームには、2つ以上のドクターを取り付けることができ、各ドクターは独自の調節自在のブレードホルダーを有している。ドクタービームが回動自在である場合、そのドクタービームを利用してドクターブレードを平常作動位置と、メンテナンス位置に選択的に設定することができる。各ドクターブレードは、ドクター組立体の一部を構成する調節デバイスを用いて所定の圧力で移動表面に当接するように設定される。ドクター組立体は、連結継手の両側に配置される、ホルダーフレームと、連結軸受組立体と、荷重付与デバイスを含む。
【0004】
ドクターブレード、ブレードホルダー及びホルダーフレームは、抄紙機の全幅に亘って連続して(切れ目なしに)延長している。同様に、フレームと、荷重付与デバイスとして用いられる荷重付与ホースも、抄紙機の全幅に亘って連続して延長している。一方、連結軸受組立体(軸又はピンとそれを受容するスリーブによって関節のように連結された軸受組立体)は、ホルダーフレームの端部にだけ設けられることのが普通であり、その場合、ホルダーフレームの撓みが問題になる。米国特許第4,906,335号には、ブレードホルダーを間隔を置いて設けられた数個の連結継手部材によって支持するようになされたドクター組立体が開示されている。しかしながら、そのようなドクター組立体は、実用には供されていない。なぜなら、そのドクター組立体の構造からして、ドクターブレードを交換するには、ドクター組立体を特別なメンテナンス位置へ回動させなければならないからである。ドクター組立体の回動は、回動自在のドクタービームによって行われる。又、このドクタービームには揺動デバイスも連結されている。
【0005】
発明が解決しようとする課題
従来周知のドクター組立体は、ホルダーフレームが撓んでいても、ビームの中央部でブレードホルダーを十分に回動させることができるようにドクタービームを頑丈につくらなければならないので、非常に重い。同様に、ドクターブレードを担持しているホルダーフレームも、複数の連結軸受組立体の間の間隔が大きいので、構造的に頑丈につくらなければならない。
本発明の目的は、従来技術の上述した欠点を克服することである。
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、従来のドクター組立体より相当に軽量であり、かつ、操作が容易な新規なドクター組立体を提供することである。本発明によるドクター組立体の特徴は、請求項1に記載されている通りである。本発明のドクター組立体は実質的にその全幅に亘って支持されるので、撓みを考慮して寸法決めする必要がない。又、本発明のドクター組立体は直接ドクターフレームに取り付けられるので、ドクタービームを必要としない。ドクター組立体に対する連続的(切れ目のない)支持は、ブレードの交換又はメンテナンスを行う場合ブレードホルダーを連結継手に沿って単に引っ張ればよいように、連続した連結継手によって行うことが好ましい。
【0007】
本発明の好ましい一実施形態によれば、連結継手スリーブを断面U字形の構造部の底部に設ける。この構成により、連結継手も、荷重付与部材も汚染から防護される。別の実施形態によれば、ブレードをブレードホルダーと共に長手の連結軸受組立体に沿って引き抜くことができるので、回動デバイスを備えた重いドクタービームを全く必要としない。
【0008】
本発明のその他の実施形態及び利点は、添付図を参照して説明する以下の説明から明らかになろう。
【0009】
好ましい実施形態の説明
図1は、ロールTに連携して設置された本発明によるドクター組立体を示す。ドクター組立体のドクターブレード10は、ロールTの表面Pを掻き落とし操作する。ドクターブレード10は、ブレードホルダー11に取り付けられており、ブレードホルダー11は、U字形構造部15を含むホルダーフレーム13に取り付けられている。U字形構造部15の底部には連結継手スリーブ(以下、単に「連結継手」とも称する)16が形成されている。ドクターブレード10を支持する連結軸受組立体14の、この連結継手16側の部品を総体的にブレード支持体12と称することとする。連結軸受組立体14の他方の部品である連結継手ピン17(以下、単に「連結継手」とも称する)は、フレーム23の薄肉フランジ部分22の端部に一体の軸部18として形成されている。この実施例では、薄肉フランジ部分22は、ドクター組立体を抄紙機のフレーム構造体に取り付けるための受台30をも構成するフレーム23の一部である。
【0010】
この例では、ドクターブレード10及びブレードホルダー11は、慣用の態様でロールTと実質的に同じ幅とされているが、本発明の特徴の1つは、連結軸受組立体14をもロールTの全幅に亘って延長させることである。通常、連結軸受組立体14は、ロールTの全幅の実質的な部分に亘って連続的に又は不連続な状態で延在させる。薄肉フランジ部分22は、間隙Rを通って連結継手ピン17にまで延長している。連結継手ピン17によって構成される軸部18は、間隙RとU字形構造部15の爪19,19’によって許容される限度内で所定の限度にまで回動することができる。
【0011】
この例では、荷重付与デバイス20,20’が、薄肉フランジ部分22の両側で爪19,19’と薄肉フランジ部分22との間の汚染防止された区域に配置されている。この例では、荷重付与デバイスとして、ドクターや塗布機に通常用いられる荷重付与ホースが使用される。これらの荷重付与デバイス20,20’は、U字形構造部15の爪19,19’に形成された溝21,21’に装着される。
【0012】
連結軸受組立体14に揺動運動を行わせるためにホルダーフレーム13に慣用の揺動デバイスを取り付けることが好ましい。揺動デバイスは、周知の構造の揺動塊体であってよい。
【0013】
連結軸受組立体14の軸受表面はロールTの全幅に亘って分散されるので、荷重圧力は非常に低い値に保たれる。この例では押出成形又は引出し成形によって成形された部品である連結軸受組立体14の構成部品を第1部品Iと第2部品IIとして考えることができる。組立に当たっては、ブレード10を装着したブレードホルダー11をホルダーフレーム13に取り付け、荷重付与ホース20,20’をそれぞれの溝21,21’に装着する。次いで、この組立体全体をフレーム23に軸方向に押し込んで、連結継手スリーブ16を連結継手ピン17に被せ、荷重付与ホース20,20’をフレーム23のフランジ部分22の両側面に沿って摺動させる。次に、揺動デバイスを連結し、荷重付与ホース20,20’に中庸圧力付与コネクタを接続する。
【0014】
このようにして得られたドクター組立体は、非常に簡単な構造で、かつ、軽量である。連結軸受組立体14は、特にそれがその全長に亘って連続したものである場合は、荷重付与デバイス20,20’によって完全に防護された空間内にあり、荷重付与デバイス20,20’自体も、十分に防護された空間内にある。連結軸受組立体14にかかる荷重圧力は、上述したようにかなり低い値に保持されるので、通常は、軸受表面を別途に研磨する必要はない。
【0015】
図1に示された本発明の構造は、原理的に構成部品IとIIを逆にしてもよい。即ち、図2に示されるように、連結継手スリーブ16を含む構成部品Iをフレーム部材23に形成し、他方、それに対応してブレード支持体12’のホルダーフレーム13’に連結継手17を形成し、構成部品IIとする。この場合、荷重付与デバイス及び連結継手は、別個の防護部材25によって簡単に防護することができる。防護部材25は、防護性織物又はゴムシートから形成することができる。
【0016】
図2の実施形態のブレードホルダー11の下側ジョーは、回転するフレーム13’と一体に形成されており、下側ジョーと協同してドクターブレード10を所定位置に掛止するための簡単な上側保持ストリップを含む。
【0017】
必要ならば、連結軸受組立体の摩擦を少なくするために、例えば噴射流水のような液体潤滑機構(液体による潤滑機構)を連結軸受組立体に設けることができる。
【0018】
図1及び2のドクター組立体は、利用可能なスペースの広さに応じて、図3に実線と点線で示されるように、ブレードホルダーを単にホルダーフレームの反対側へ移すことによって2つの方法のうちのいずれかの方法で組み立てることができる。フレーム部材23は、フレーム部材23は、抄紙機の構造体のドクター設置部位に比較的制約されない態様で取り付けることができる。ドクター組立体は非常に軽量であるから、フレームにかかる荷重は、従来技術のものに比べてはるかに小さい。
【0019】
図4は、本発明の変型実施形態を示す。この実施形態では、外表面が所要の連結継手ピン17を構成する別個のチューブ26を継手軸部として用いることによって連結軸受組立体14を組み立てることができる。このチューブ26は、例えばねじ28によって薄肉フランジ部分22に固定する。これらのねじは、チューブ26に形成した穴27を通してチューブ26に取り付けることができる。これらの穴は、チューブ26の全表面のうちのごく僅かな部分を占めるに過ぎないので、問題にはならず、側方荷重をほとんど受けない。所望ならば、これらの穴を通して潤滑水をこの連結継手部に供給することができる。
【0020】
図1及び2から分かるように、構成部品I及びIIは、いろいろな種類の補強繊維入りプラスチック等の適当な複合材で製造することができる。連結軸受組立体の両方の部分をこれらの構成部品I及びIIに直接一体的に組み込むことができる。
【0021】
本発明のドクター組立体は、又、吸込ロールに使用するのにも適している。その場合、ブレードは、フォイルブレードとすることができる。吸込ロールに適用した場合、ロールの洗浄は、主として水を除去することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施形態によるドクター組立体の断面図である。
【図2】 図2は、本発明の他の実施形態によるドクター組立体の断面図である。
【図3】 図3は、本発明によるドクター組立体を抄紙機に設置する2つの方法を示す概略図である。
【図4】 図4は、本発明によるドクター組立体の連結継手軸の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ドクターブレード、ブレード
11 ブレードホルダー
12 ブレード支持体
13 フレーム、ホルダーフレーム
14 連結軸受組立体
15 U字形構造部
16 連結継手、連結継手スリーブ
17 連結継手、連結継手ピン
18 軸部
19,19’ 爪
20,20’ 荷重付与デバイス、荷重付与ホース
21,21’ 溝
22 フランジ部分、薄肉フランジ部分
23 フレーム、フレーム部材
25 防護部材
26 チューブ
27 穴
30 受台
I 構成部品
II 構成部品
P 表面
R 間隙
T ロール
Claims (9)
- ロール(T)、フェルト又はワイヤ等の移動表面(P)を浄化するための抄紙機用ドクター組立体であって、
前記移動表面(P)に当接して設置されるドクターブレード(10)と、
前記ドクターブレード(10)を支持するためのブレード支持体(12)と、
フレーム(23)と、
前記ブレード支持体(12)と前記フレーム(23)の間に配置されており、前記ドクターブレード(10)を前記フレーム(23)に対して回動させて前記ドクターブレード(10)を所定の圧力で前記移動表面(P)に押圧するための荷重付与デバイス(20,20’)と、
前記ドクターブレード(10)を支持し、前記フレーム(23)によって支持され、これらの構成部品のうちの一方(I)に固定された連結継手スリーブ(16)と他方の構成部品(II)に固定された連結継手ピン(17)とを有する前記ドクターブレード(10)に平行に配置される連結軸受組立体(14)とを有し、
前記連結継手ピン(17)は連結継手スリーブ(16)内に回動自在に受容されており、前記連結継手スリーブ(16)は前記連結継手スリーブ(16)の継手軸線に平行な間隙(R)を有し、前記連結継手ピン(17)は前記間隙(R)内を通して前記連結継手スリーブ(16)に回動可能に受容された前記連結継手ピン(17)にまで延長した薄肉フランジ部分(22)を含み、それによって回動が制限され、前記連結継手スリーブ(16)は前記一方の構成部品(I)の爪(19,19’)を有する断面U字形構造部(15)の底部に設けられているドクター組立体において、
前記荷重付与デバイス(20,20’)は前記薄肉フランジ部分(22)の両側に前記フランジ部分22と前記爪(19,19’)との間に配置され、前記連結継手ピン(17)が前記連結継手スリーブ(16)内で一定限度まで回動することができ、前記間隙(R)が前記薄肉フランジ部分(22)及び連結継手ピン(17)の回動範囲を制限するように構成されていることを特徴とするドクター組立体。 - 前記ブレード支持体(12)は、ブレードホルダー(11)と、前記連結軸受組立体(14)に連結されたホルダーフレーム(13,13’)から成る請求項1記載のドクター組立体。
- 前記前記ブレード支持体(12)に直接連結された周知の揺動デバイスを含む請求項1又は2記載のドクター組立体。
- 前記フレーム(23)は、該ドクター組立体を抄紙機の支持構造体に取り付けるための受台(30)を構成する請求項1〜3のいずれかに記載のドクター組立体。
- 前記連結軸受組立体(14)の前記連結継手スリーブ(16)は、前記一方の構成部品(I)の断面U字形構造部(15)の底部表面が軸受表面を形成するように、該一方の構成部品(I)と一体に形成されている請求項1記載のドクター組立体。
- 前記連結軸受組立体(14)の前記連結継手ピン(17)は、前記薄肉フランジ部分(22)の端部に断面でみて軸(18)の形に形成されるように前記他方の構成部品(II)と一体に形成されている請求項1記載のドクター組立体。
- 前記2つの構成部品(I、II)の少くとも一方は、押出成形された補強繊維入り部品である請求項1〜4のいずれかに記載のドクター組立体。
- 前記連結軸受組立体(14)の前記連結継手ピン(17)は、前記他方の構成部品(II)の端部に取り付けられたチューブ(26)から成る請求項1又は2記載のドクター組立体。
- 前記連結軸受組立体(14)は、液体潤滑デバイスを含む請求項1〜8のいずれかに記載のドクター組立体。
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