JP4574771B2 - 画像情報記述方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像情報、特に映像フレーム群を時間的に任意の間隔でかつ空間的に任意の大きさでサンプリングした標本画像フレーム群に関する標本画像情報を記述する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体技術およびディジタル信号処理技術の進歩により、動画像(映像)情報をアナログデータからディジタルデータに変換して圧縮する処理をリアルタイムに行うことが可能となっている。実際、ディジタル衛星放送では、動画像圧縮の国際標準規格であるMPEG−2により圧縮符号化されたディジタル映像データが配信され、各家庭で圧縮映像データをリアルタイムで伸長復号化してテレビ受像機で映画等を観賞できるようになっている。
【0003】
また、光ディスクの高密度化により、MPEG−2等で圧縮されたディジタル映像データを記録する技術も実用段階に達しつつある。このような光ディスク媒体の代表的なものとして、DVD−RAMやCD−RWがある。DVD−RAMより記録時間は短いが、HDDにおいてもディジタル映像データの記録が可能である。今後、DVD−RAM等に記録されたディジタル映像データについても、ディジタル化された文字や静止画データと同様に、容易に検索できるようにすることが要求されると考えられる。
【0004】
映像検索の古典的手法は、映画等の映像ファイル毎にタイトル名、およびキーワードを定めておき、タイトル名およびキーワードのいずれか一方または両方によって検索するというものである。この方法は、検索そのものは容易であるが、映像の内容に応じた細かな検索ができず、実際に映像を再生表示しないと所望の映像かどうかが分からないのが欠点である。
【0005】
圧縮されたディジタル映像データを記録する際、映像を静止画像フレームの連続として扱うことができるため、画像処理技術によって元の映像から代表フレームと呼ばれる特徴的な画像フレームを選択し、一覧表示する方法が考えられている。代表フレームとしては、シーンチェンジと呼ばれる画面が切り替わる部分を用いる場合が多い。しかし、シーンチェンジは数秒に一回、場合によっては数十秒に一回といった頻度でしか起こらないため、代表フレームで映像の内容を表現するには限界がある。シーンチェンジとシーンチェンジの間のフレームの映像を確認しようとすると、元の映像データを復号して表示するしかない。
【0006】
MPEG−1,MPEG−2といった国際標準規格で圧縮されたディジタル映像データには、ある程度ランダムアクセスするための仕組みが入っており、ランダム再生、早送り再生等の可変速再生(トリックプレイ)ができるようになっている。しかし、これらの可変速再生はディジタル映像データそのものを操作することにより行われるために処理が重く、計算機パワーの小さい家庭用の受信機器では処理の負担が大きい。また、ビデオ・オン・デマンドやインターネットでのブラウズのように、遠隔地に設置されたサーバからネットワークを通してディジタル映像データを配信し、家庭のコンピュータやテレビ受像機で受信するような環境で上記の可変速再生を行うことは、ネットワークのトラフィックを増大させてしまうという困難がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の一般的な映像検索は映像ファイルに付与されたタイトル名やキーワードで検索する程度であり、映像の内容を確認して検索するという環境は十分に提供されていないのが実情である。
【0008】
また、元の映像からシーンチェンジの部分を代表フレームとして選択して一覧表示する方法では、シーンチェンジとシーンチェンジの間のフレームの映像を確認することができないという問題点がある。
【0009】
さらに、MPEG−1,MPEG−2のような動画像圧縮の国際標準規格に組み込まれた可変速再生の仕組みでは、ディジタル映像データそのものを操作することで可変速再生を行うことから、計算機パワーの小さい機器では処理の負担が大きく、またネットワークを通して配信されるディジタル映像データを受信するような環境で可変速再生を行おうとすると、ネットワークのトラフィックを増大させてしまうという問題点があった。
【0010】
本発明は、映像の内容を確認しての検索や表示を行うことができる画像情報記述方法を提供することを主たる目的とする。
【0011】
また、所望のフレームがシーンチェンジとシーンチェンジの間に存在するような場合でも良好な映像検索ができるようにすることを目的としている。
【0012】
さらに、映像の可変速再生等を行う場合の処理量を軽減し、計算機パワーの小さな機器やネットワーク上でも容易に実現できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施態様の画像情報記述方法によれば、複数の映像フレームからなる元映像情報を時間的に任意の間隔でかつ空間的に任意の大きさにサンプリングして得た複数の標本画像フレームからなる標本映像に関する標本映像情報として、前記標本映像の前記元映像情報の時間軸上の場所を示すポインタと、前記標本映像に含まれる複数の標本画像フレームのそれぞれと該標本画像フレームに対応する映像フレームとの対応関係を示す属性情報と、前記映像情報のシーンチェンジ位置情報を含む付帯情報と、を記述し、前記付帯情報は、前記元映像情報の画面変化量の情報も含むものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムアーキテクチャを示している。このシステムは大きく分けてデータベース100、映像表示エンジン104、検索エンジン/標本画像表示エンジン105、コントローラ106および表示部107からなる。データベース100の内容は、後に詳しく説明する元映像データ101と時・空間標本映像メタデータ102、および両者を対応付ける対応テーブル103(対応関数テーブルでもよい)の3つのコンポーネントからなっている。
【0031】
データベース100は一箇所に集中配置されていてもよいし、複数箇所に分散配置されていてもよく、要は映像表示エンジン104や検索エンジン/標本画像表示エンジン105でアクセスすることができればよい。元映像データ101と時・空間標本映像メタデータ102は、別々の媒体に格納されていてもよいし、同一の媒体に格納されていてもよい。媒体としては、例えばDVD等が用いられる。また、元映像データ101は一箇所に記憶されるのではなく、ネットワークを介して伝送されるデータであってもよい。
【0032】
映像表示エンジン104は、コントローラ106による制御の下で元映像データ101を表示部107で表示させるための処理を行う。さらに、映像表示エンジン104は、検索エンジン/標本画像表示エンジン105により時・空間標本映像メタデータ102に基づいて元映像データ101が検索された場合には、元映像データ101の検索された部分を表示部107で表示させるための処理も行う。
【0033】
検索エンジン/標本画像表示エンジン105は、コントローラ106による制御の下で、後に詳しく説明する時・空間標本映像メタデータ102から、元映像データ101の所望フレーム近傍の適切な標本画像フレームを検索し、それらを代表フレームとして表示部107で表示させたり、時・空間標本映像メタデータ102を用いてコントローラ106を介して元映像データ101の検索を行う。
【0034】
ここで、検索エンジン/標本画像表示エンジン105と、映像表示エンジン104との違いについて説明すると、前者は容量の少ない時・空間標本映像メタデータ102の中の標本画像フレーム群を処理するので、受信機器に内蔵の能力の低いPC上のソフトウェアとして実装しても十分な処理速度を得ることができる。
【0035】
後者はMPEG−2映像データやアナログ映像データである元映像データ101を処理するものであるため、特別のハードウェアを実装する必要がある場合が多い。具体的には、元映像データ101がMPEG−2による圧縮映像データの場合は、映像表示エンジン104には特別なデコードボード(MPEG−2デコーダ)が用いられ、また元映像データ101がアナログ映像信号の場合は、映像表示エンジン104としては早送り、巻き戻しをコントロールできるVTRのような映像再生装置が用いられる。
【0036】
なお、元映像データ101がMPEG−1やMPEG−4による圧縮映像データの場合は、PC上のソフトウェアでも映像表示エンジン104の実装は可能であり、システムのアーキテクチャとして分離する必要はない。
【0037】
対応テーブル103における上下の線のコネクションは概念的なもので、対応テーブル103は元映像データ101および時・空間標本映像メタデータ102と物理的につながっている必要はない。従って、元映像データ101が格納された媒体は、映像表示エンジン104と同一筐体内に納められる場合があり、また時・空間標本映像メタデータ102が格納された媒体は、検索エンジン/標本画像表示エンジン105と同じ筐体内に納められる場合もある。
【0038】
時・空間標本映像メタデータ102が格納された媒体と検索エンジン/標本画像表示エンジン105が離れた位置に存在していたとしても、両者を接続する回線としては、伝送容量の比較的小さい、例えば10Mbpsのネットワークでも十分である。一方、元映像データ101が格納された媒体と映像表示エンジン104を接続する回線は、メデイアの種類によっては100Mbps以上の回線を用意する必要がある。
【0039】
図1に示したようなシステムアーキテクチャの有利な点は、検索を元映像データ101を対象にして行うのではなく、それよりデータサイズが小さい時・空間標本映像メタデータ102を対象に行うため、インタラクティブな操作を快適に行うことができ、また全体的にトラフィックを低く抑えることができるという点である。
【0040】
図2は、元映像データ101と時・空間標本映像メタデータ102の概念図である。元映像データ101は、MPEG−1,MPEG−2,MPEG−4等により圧縮されたディジタル映像データまたはアナログデータであり、動画像を構成する映像フレームの集合(映像フレーム群)からなっている。また、元映像データ101には、各映像フレームの時間軸上の位置を示す位置情報、例えばメディア時間(以下、単に時間と称する)またはフレーム番号という位置情報が関連付けられている。元映像データ101と時・空間映像メタデータ102の関連付けは、対応テーブル103により時間またはフレーム番号で行われる。
【0041】
時・空間標本映像メタデータ102は、標本画像情報2011〜201nを主体として構成され、さらに本実施形態の例では付帯情報としてシーンチェンジ位置情報202および画面変化量情報203も含まれる。
【0042】
標本画像情報2011〜201nは、元映像データ101を構成する映像フレーム群を時間的に任意の間隔でかつ空間的に任意の大きさにサンプリングして得られた標本画像フレーム群と、各標本画像フレームにそれぞれ対応する元映像フレームの時間軸上の位置を示す位置情報(時間またはフレーム番号)と、各標本画像フレームの大きさを示す大きさ情報等の該標本画像フレームを特定するための属性情報とからなる。これらの属性情報のうち、前者の各標本画像フレームにそれぞれ対応する元映像フレームの時間軸上の位置を示す位置情報(時間またはフレーム番号)は、対応テーブル103を参照して記述される。
【0043】
元映像データ101が圧縮されたディジタル映像データのように既にディジタル化されている場合には、時・空間標本映像メタデータ102の標本画像情報2011〜201nの中の標本画像フレーム群は、元映像データ101の所望のフレームを復号または部分復号することで作成される。元映像データ101がアナログデータの場合は、これをディジタル化してから標本画像フレーム群を作成すればよい。
【0044】
次に、元映像データ101がMPEG−2圧縮映像データである場合について、属性情報のうちの前者、すなわち各標本画像フレームにそれぞれ対応する元映像フレームの時間軸上の位置を示す位置情報(時間またはフレーム番号)を説明する。この場合は、MPEG−2圧縮映像データである元映像データ101を復号して例えば30フレームに1枚、かつ大きさを縦横1/8ずつ縮小して標本画像フレーム群2011〜201nを作成する。また、このように固定の時間サンプリングと固定の空間サンブリングで標本画像フレーム群を作成するのでなく、これらを適宜変化させて標本画像フレーム群を作成することもできる。画面変化量が少ないところでは、時間方向に粗くサンプリングし、画面変化量の多いところでは時間方向に細かくサンプリングすることも有効である。
【0045】
MPEG−2圧縮映像データには、Iピクチャ(フレーム内符号化フレーム)と呼ばれるフレーム内の相関のみを用いて圧縮したフレームが間欠的に存在する。IピクチャはPピクチャ(前方予測フレーム間符号化フレーム)やBピクチャ(双方向予測フレーム間符号化フレーム)のようにフレーム間の相関を用いて圧縮していないために、復号が容易である。そこで、標本画像フレーム群を作成するに当たり元映像データ101のIピクチャのみについて、しかもIピクチャのDCT(離散コサイン変換)係数のうちのDC成分のみを復号すれば、より容易に時間的かつ空間的にサンプリングした標本画像フレーム群を得ることができる。
【0046】
Iピクチャは、必ずしもー定のフレーム間隔で存在することが保証されていないが、MPEG−2により圧縮された映像データからビデオレート以上のスビードで、時間的かつ空間的にサンプリングした標本画像フレーム群を作成するにはIピクチャを用いる方法が有効である。
【0047】
このようにIピクチャから標本画像フレーム群を作成する方法は、処理量が少ないために、特別なハードウェアを用いなくとも、PC上のソフトウェアだけで処理が可能である利点がある。また、ネットワークを介して元映像データ101から標本画像フレーム群を作成する際にも、Iピクチャを用いると、トラフィック増大の問題を容易に回避することができる。
【0048】
一方、標本画像フレーム群を作成する際の元映像データ101の空間方向のサンプリングも固定である必要はなく、適宜可変とすることができ、場合によっては縮小のみでなく、特に重要な画面のフレームについては拡大しても構わない。上述したように、標本画像情報201は標本画像フレーム群と標本画像フレームの属性情報が含まれており、属性情報に標本画像フレーム群の大きさ情報が含まれているので、検索または表示時に標本画像フレームを適宜所望の大きさに変換してから用いることができる。
【0049】
図3に、標本画像情報201の具体的な記述例を示す。標本画像情報は標本画像フレーム群の各フレーム毎に記述される情報であり、この例では(1)当該標本画像フレームに対応する元映像データのフレーム番号または時間、(2)当該標本画像フレームの大きさ(高さ×幅)、(3)次の標本画像フレームまでのフレーム数または時間、(4)JPEG,RGB,YUVといった標本画像フレームの画像形式、(5)標本画像フレームの画像データ(または元映像データ101へのポインタ)からなっている。ここで、(3)、(4)、(5)は必須でなく、いずれかが省略されていてもよい。また、(1)〜(5)以外の付加的情報がさらに含まれていてもよい。
【0050】
標本画像フレーム群を時間的に連続したフレーム群からなる映像データ(後述する標本映像)として扱ってもよい。その映像データを例えばAVIファイルやMPEG−4ファイルに圧縮することにより、さらにコンパクトにすることも可能である。その場合、その映像データは、元映像データ101の映像フレームへのファイルポインタとフレーム番号となる。従って、その映像データから任意のフレームの画像を取得するためのインタフェースが必要となる。
【0051】
図4は、メタデータ102の管理構造を示している。この例では、標本画像情報2011,2012、…を管理するためにリスト構造を利用している。Root401からフレーム番号の小さい順に標本画像情報2011,2012、…へのポインタとなるリスト402、403、404、405をつなげてゆき、End406が最終のフラグとなる。リスト402,403,404,405の番号ID1,ID2,ID3,ID4は概念的なもので、この順番に各リスト402,403,404,405が並んでいることを意味する。この例ではリスト402,403、404,405から実際の標本画像情報2011,2012、2023、2024のある場所を指し示しポインタが張られている。
【0052】
このようなリスト構造にすると、標本画像情報の追加・削除が容易である。新しい標本画像フレームを追加するときは、フレーム番号を順に調べてゆき、フレーム番号の大小が逆転しないように標本画像情報の追加を行う。標本画像フレームを削除するときは、対応する標本画像情報をリストから取り外せばよい。
【0053】
このように標本画像情報201の管理をリスト構造として追加・削除を容易にする理由は、標本画像フレームとして最初に決められたものだけでなく、後から追加したい場合が多々あることを考慮している。例えば、MPEG−2圧縮映像データのIピクチャを標本画像フレームとして登録した後に、MPEG−2圧縮映像のシーンチェンジ位置を検出し、そのシーンチェンジ位置のフレームを標本画像フレームとして登録したい場合が生じる。この場合、先に述べたIピクチャからの標本画像フレームについてはDC成分のみからなる縮小画像として登録し、シーンチェンジ位置の標本画像フレームについては重要なフレームなので、フルサイズの画像フレームとして登録することも可能である。
【0054】
なお、標本画像情報の他の記述例については、後述する。
【0055】
次に、図5を用いて標本画像情報201の記述方法の具体的な手順を元映像データ101がMPEG−2圧縮映像データである場合を例にとり説明する。図5は、標本画像情報201の記述を含む時・空間標本映像メタデータ102の記録手順を示すフローチャートである。
【0056】
先ず、元映像データ101の映像フレーム群を読み込み(ステップS11)、元映像フレームを時間的にサンプリングする(ステップS12)。元映像データのシーンチェンジ位置を検出する(ステップS13)。シーンチェンジ位置は、例えば読み込んだ元映像データ101の隣接するフレーム間の画面変化量を計算し、一定値以上の変化があったところをシーンチェンジ位置として検出する。
【0057】
ステップS12での元映像データ101の時間的なサンプリングは、例えば動きの大きい領域は細かく、動きの小さい領域は粗くサンプリングする等の処理を行うこともできる。この例では元映像データ101がMPEG−2圧縮映像データであるため、ステップS12においては標本画像フレームを作成するためにIピクチャを抽出し、また画面変化量を検出するためにPピクチャを抽出する。
【0058】
次に、ステップS12で抽出されたIピクチャを空間的にサンプリングすることにより、一枚の標本画像フレームを作成する(ステップS14)。より具体的には、ステップS14では主としてIピクチャの画素間引きを行って、縮小画像からなる標本画像フレームを作成する。但し、Iピクチャがシーンチェンジ位置のような重要なフレームであれば、縮小せずに元映像データのフレームをそのまま標本画像フレームとするか、場合によっては画素補間により拡大を行って標本画像フレームを作成してもよい。
【0059】
一方、ステップS12で抽出されたPピクチャから画面変化量、つまり隣接する画面間の画像の変化の大きさの情報を取得する(ステップS15)。Pピクチャには、前フレームからの動きベクトルの情報がサイド情報として付加されているので、この動きベクトルの大きさや分布から画面変化量を求めることができる。
【0060】
次に、ステップS14で作成された標本画像フレームを必要に応じて圧縮加工した後(ステップS16)、この圧縮標本画像フレームと、ステップS13で検出されたシーンチェンジ位置、およびステップS15で取得された画面変化量の情報を用いて、図2、図3に示すような時・空間標本映像メタデータ102を記録し(ステップS17)、処理は終了する。
【0061】
すなわち、ステップS17では時・空間標本映像メタデータ102として、図2に示したように標本画像情報201、シーンチェンジ位置情報202、画面変化量情報203の3つの情報を記録する。また、標本画像情報201は、図3に示したように、(1)当該標本画像フレームに対応する元映像データのフレーム番号または時間、(2)当該標本画像フレームの大きさ(高さ×幅)、(3)次の標本画像フレームまでのフレーム数または時間、(4)JPEG,RGB,YUVといった標本画像フレームの画像形式、(5)標本画像フレームの画像データ(または元映像データ101へのポインタ)を含んでいる。(5)の標本画像フレームの画像データとは、この例ではステップS12で抽出され、ステップS14で空間的なサンプリングが施され、さらに必要に応じてステップS16で圧縮加工された、あるいは圧縮加工されないIピクチャの画像データである。
【0062】
次に、このようにして記録された時・空間標本映像メタデータ102の利用形態について説明する。
【0063】
(1)シーンチェンジ位置情報を用いた標本画像フレームの検索
所望の映像フレームを表示したい場合、その所望映像フレームを元映像データ101から直接検索しようとすると、処理に時間がかかってしまうことは前述した通りである。その代わり、元映像データをサンプリングして得られた時・空間標本映像メタデータ102を検索することにより所望フレームを探せば、処理時間が短くて済む。しかし、標本画像フレーム群は時間的にサンプリングされているので、所望フレームの画像が含まれているとは限らない。そこで、最も簡単には所望フレームに時間的に最も近い標本画像フレームを検索して表示すればよいことになる。図2の例では、破線で示す所望フレームに、時間的に最も近い標本画像情報201nの標本画像フレームを表示用の画像フレームとする。
【0064】
この場合、標本画像フレーム群がどの程度の時間サンプリングで作成されているかによって、所望フレームと表示用の画像フレームとのずれが決まる。このずれは標本画像フレーム群が十分に短い間隔で時間サンプリングされていれば小さいので、ほとんど問題はない。しかし、シーンチェンジがある場合は、必ずしも所望フレームに時間的に最も近い標本画像フレームが表示用の画像フレームとして適当とは限らない。すなわち、所望フレームとそれに最も近い標本画像情報201nに含まれる標本画像フレームとの間にシーンチェンジがあると、標本画像情報201nよりも一つ前の標本画像情報201n−1に含まれる標本画像フレームの方が所望フレームに類似する表示用の画像フレームとして適当である。本実施形態によれば、図2に示したように時・空間標本映像メタデータ102にシーンチェンジ位置情報202を付帯情報として付加することによって、この問題を解決することができる。
【0065】
図6に示すフローチャートを参照して、上記のようにしてシーンチェンジ情報202を用いて所望フレームを代表する標本画像フレームを検索する処理手順を説明する。なお、ここではシーンチェンジ情報202は、シーンチェンジ位置のフレーム番号(シーンチェンジフレーム番号という)で表されるものとする。
【0066】
先ず、検索したい所望フレームのフレーム番号が与えられると、当該フレーム番号に一番近いシーンチェンジフレーム番号を検索する(ステップS21)。
【0067】
次に、(元映像データの)開始フレーム番号からステップS21で検索されたシーンチェンジフレーム番号までの間に所望のフレーム番号が存在するかどうかを判定する(ステップS22)。
【0068】
ステップS22の判定の結果、所望のフレーム番号が開始フレーム番号〜シーンチェンジフレーム番号の間にあることが分かれば、開始フレーム番号〜シーンチェンジフレーム番号の間において、所望のフレーム番号に時間的に(あるいは空間的に)最も近い標本画像フレームを検索する(ステップS23)。
【0069】
また、ステップS22の判定の結果、所望のフレーム番号が開始フレーム番号〜シーンチェンジフレーム番号の間にないことが分かれば、シーンチェンジフレーム番号〜(元映像データの)最終フレーム番号の間において、所望のフレーム番号に時間的に(あるいは空間的に)最も近い標本画像フレームを検索する(ステップS24)。
【0070】
そして、検索された標本画像フレームを所望フレームに最も類似する画像として表示し(ステップS25)、処理は終了する。
【0071】
(2)標本画像フレームの検索
次に、図7に示すフローチャートを参照して、時・空間標本映像メタデータ102を対象としてある画像に類似する画像を検索する手順について説明する。
【0072】
先ず、検索対象画像R、つまり検索してほしい画像を提示する(ステップS31)。
【0073】
次に、時・空間標本映像メタデータ102から標本画像フレームを順次1枚ずつ取得する(ステップS33)。
【0074】
検索対象画像RをステップS33で取得された標本画像フレームの大きさに正規化する(ステップS34)。これは、標本画像フレームは一枚一枚サイズが異なるからである。
【0075】
ステップS33で取得された標本画像フレームと、ステップS34で正規化された検索対象画像Rとの間の類似度、例えば画素毎の絶対値差分の合計を計算する(ステップS35)。
【0076】
この絶対値差分の合計がある閾値以下かどうかを判定する(ステップS36)。ステップS36の判定の結果、絶対値差分の合計が閾値以下ならば、ステップS33で取得された標本画像フレームが検索対象画像Rとほぼ同じであると判断して、その標本画像フレームのフレーム番号を検索結果として記録する(ステップS37)。
【0077】
以上の一連の処理をステップS32で全ての標本画像フレームが取得されたと判定されるまで繰り返して、処理は終了する。
【0078】
次に、図7のフローチャートに示した手順に従った処理の終了後、以下のようにして検索結果を表示する。
【0079】
ステップS37で検索結果として得られた標本画像フレームのフレーム番号に基づき、検索された標本画像フレームを図1における検索エンジン/標本画像表示エンジン105によって表示部107で表示する。
【0080】
あるいは、ステップS37で検索結果として得られた標本画像フレームのフレーム番号に基づき、元映像データ101をそのフレーム番号の位置から再生したい場合は、図1に示した対応テーブル103(または対応関数テーブル)を用いて、その標本画像フレームのフレーム番号に対応する元映像データ101のフレーム番号を調べる。そして、コントローラ106にそのフレーム番号の情報と表示コマンドを送ることにより、映像表示エンジン104を用いて元映像データ101の該当フレームから再生を行い、表示部107で表示する。
【0081】
(3)時・空間標本映像メタデータを用いた早送り再生
図2に示したように、本実施形態では時・空間標本化ビデオメタデータ102には、標本画像情報201以外の付帯情報として、シーン位置情報202のほか、画面変化量情報203も記述されている。
【0082】
画面変化量情報203は、元映像データ101の飛び飛びに存在する映像フレーム間の画面変化量を示す情報であり、例えばフレーム間の絶対値差分の合計を用いたり、また元映像データ101がMPEG圧縮映像データであれば、フレーム間動き補償のデータから画面全体の動きベクトルの大きさの平均(平均パワー)を計算して求めることができる。このような画面変化量情報203を時・空間標本化ビデオメタデータ102に付帯させることより、高度な可変速再生を行うことができる。
【0083】
特開平10−243351号(特願平09−042637号)「映像再生装置」で述べられているように、映像を画面の変化が大きいところではゆっくりと再生し、画面の変化が小さいところでは速く再生することにより、画面の変化量を一定にして見やすい早送り再生を実現する技術は知られている。この特許では、各フレーム毎に画面変化が存在し、かつ全てのフレームを用いることが前提となっているが、本発明のように時間的に離散した標本画像フレームを対象とし、かつ画面変化量も時間的に離散して得られる場合については言及されていない。そこで、本実施形態では時間的に離散した標本画像フレームおよび画面変化量に対して同様の効果が得られる可変速再生を実現する方法を提供する。
【0084】
最初に、図8に示すフローチャートを参照して、標本画像フレームを用いて可変速再生を行う場合の基本的な処理手順を説明する。
【0085】
先ず、可変速再生(この場合は、早送り再生)を行う範囲の指定を行う(ステップS41)。可変速再生範囲の開始フレーム番号をFs、終了フレーム番号をFeとする。
【0086】
次に、再生速度倍率m、つまり何倍速で早送り再生を行うかを指定する(ステップS42)。
【0087】
次に、再生方向の指定、つまり早送り再生を順方向再生で行うか逆方向再生で行うかの指定を行う(ステップS43)。
【0088】
次に、標本画像フレームの再生フレームレートr[フレーム/秒]を指定する(ステップS44)。再生フレームレートrは、テレビジョン方式によって異なり、例えばNTSCの場合は30[フレーム/秒]、PALの場合は24[フレーム/秒]である。
【0089】
ここで、元映像データ101のフレームレートがR[フレーム/秒]であったとすると、これを基に可変速再生時に標本画像フレーム群について読み飛ばすフレーム数を後述のようにして計算する(ステップS45)。
【0090】
そして、再生フレームレートr[フレーム/秒]で標本画像フレームの再生を行うために、1/r秒のサイクルで標本画像フレームを取得して表示を行う(ステップS46)。
【0091】
順方向再生の場合は、フレームFsに対応する標本画像フレーム番号から再生を開始し、フレーム番号を増加させる方向で読み飛ばす。逆方向再生の場合は、フレームFeに対応する標本画像フレームから再生を開始し、フレ一ム番号を減少させる方向で読み飛ばすことになる。
【0092】
ここで、ステップS46の処理についてさらに詳しく説明すると、順方向の早送り再生の場合は、1サイクル当たりフレーム番号を(m×R/r)フレームずつ増加させながら標本画像フレームを取得する。すなわち、(m×R/r)がステップS45で計算された順方向に読み飛ばすフレーム数であり、ステップS46ではFs+(m×R/r)×tのフレーム番号における最近傍の標本画像フレームを再生して表示することになる。ここで、tはサイクル数である。
【0093】
同様に、逆方向の早送り再生の場合も、1サイクル当たり(m×R/r)フレームずつ減少させながら標本画像フレームを取得する。すなわち、(m×R/r)がステップS45で計算された逆方向に読み飛ばすフレーム数であり、ステップS46ではFe−(m×R/r)×tのフレーム番号における最近傍の標本画像フレームを再生して表示する。
【0094】
このようにして、標本画像フレーム群を用いて任意の再生速度倍率の可変速再生が可能になる。なお、毎サイクルで取り出す標本画像フレームに違いがない場合は、同じフレームを継続して表示するようにしてもよく、それにより処理効率を上げることができる。
【0095】
上述の説明では、ユーザが変更しない限り、再生速度倍率mは一定であるとしたが、次に、前述した画面変化量情報203を利用して、より円滑な可変速再生を行う方法について述べる。この可変速再生の基本は、画面変化量情報203に応じて標本画像フレームを用いた可変速再生での再生速度を時時刻刻変化させる、というものである。説明を簡単にするために、可変速再生の範囲を特に指定せず、元映像データ101全体を対象に早送り再生を行う場合を考える。
【0096】
先ず、以下のパラメータを定義する。
【0097】
元映像データ101の全フレーム数:K[フレーム]
元映像データ101のフレームレート:R[フレーム/秒]
標本画像フレームの再生フレームレート:r[フレーム/秒]
再生速度倍率:m
画面変化量情報:Pi(i=0,…,n)
画面変化量に対応して再生速度に与える重み:Wi
標本画像フレームに対応する元映像データのフレーム番号:Fi(i=0,…,n−1)
元映像データの各フレームに対応して再生速度に与える重み:Wj(j=0,…,K−1)
今、激しい動きに対して与える標本画像フレームの画面変化量の限界値をLとし、限界値Lを超えないような値[Pi]を考える。
【0098】
[Pi]=L, Pi>Lの場合,
[Pi]=Pi, その他の場合 …(1)
また、画面変化量に対応して再生速度に与えられる重みをWi=[Pi]とする。
【0099】
次に、各フレームの再生速度に対する重みを考える。離散的な再生速度に対応する重みWiを線形補間して、次式に示すWjを求める。
【0100】
Wj
= Wi + (W(i+1)−Wi)/(F(i+1)−Fi)×t
ここで、t=0,…,F(i+1)−Fi、
j=Fi,…,F(i+1)−1、
i=0,…,n−1 …(2)
Wjを全体の和が1.0になるように正規化したものをW’jとすると、
W’j
= Wj/ΣWj
ここで、j=0,…,k …(3)
ここで、再生速度倍率m、再生フレームレートr[フレーム/秒]で再生する場合に必要な表示回数Nは次式となる。
【0101】
N
= K/(m×R/r) …(4)
再生速度に対して与える重みを考慮して、標本画像フレーム群から表示用画像フレームを取得する場合、各標本画像フレームに割り付けられた重みW’jを加算してゆき、その加算値がTh=p/N(p=0,…,N−1)なる閾値を超えたときの標本画像フレームを取得する。すなわち、加算値が閾値Thを超えたときのフレーム番号に対応する最近傍の標本画像フレームが表示用画像フレームとなる。
【0102】
上記の計算に従って表示用画像フレームを予め取得しておき、フレームレートr[フレーム/秒]で表示すれば、画面変化量が大きい時には遅めに、また画面変化量が小さい時には早目に可変速再生することになるが、結果としては所望の再生速度倍率mで画像を表示できる。上記の計算を用いれば、ある時間長の映像番組をそれより短い任意の時間内で再生することが可能となる。再生速度に対して与える重みW’jに対してスムージングをかけたり、シーンチェンジや静止画の部分で特殊な重み付けを行うことで、可変速再生にさらに特殊効果を加えることも可能である。
【0103】
ここでは、元映像データ101の全体に対して可変速再生を行う場合について述べたが、部分再生の場合も全く同様の考え方で可変速再生を行うことができる。すなわち、元映像データ101全体のW’jが計算できれば、部分再生の問題は容易に解決できる。また、元映像データ101の全体に対しての可変速再生の場合の説明では、可変速再生の開始フレームと終了フレームに画面変化量情報が存在すると仮定したが、これらがない場合は適当に近傍の画面変化量情報を流用するか、デフォルトの値を与えるかして計算すればよい。
【0104】
以下、図9に示すフローチャートを参照して、上述のように画面変化量情報203を利用して、より円滑な可変速再生を行う場合の具体的な処理手順を説明する。図9において、ステップS51〜S54の処理は図8におけるステップS41〜S44の処理と基本的に同様である。
【0105】
すなわち、先ず画面変化量を一定にして可変速再生(この場合は、早送り再生)を行う範囲の指定を行う(ステップS51)。可変速再生範囲の開始フレームをFs、終了フレームをFeとする。次に、再生速度倍率m、つまり何倍速で早送り再生を行うかを指定する(ステップS52)。次に、再生方向の指定、つまり早送り再生を順方向再生で行うか逆方向再生で行うかの指定を行う(ステップS53)。次に、標本画像フレームの再生フレームレートr[フレーム/秒]を指定する(ステップS54)。
【0106】
この後、式(4)により必要な表示回数Nを計算する(ステップS55)。また、式(3)に示した重みW’jの加算値がTh = p/N(p=0,…,N−1)なる閾値を超えるときの標本画像フレームの位置、つまり加算値が閾値Thを超えたときのフレーム番号に対応する最近傍の標本画像フレームを表示用画像フレーム位置として計算し、これをテーブルに記録する(ステップS56)。
【0107】
そして、再生フレームレートr[フレーム/秒]で標本画像フレームを再生して表示するために、1/r秒のサイクルで上記テーブルを用いて表示用標本画像フレームを取得して表示を行う(ステップS57)。
【0108】
このように標本画像フレーム群を用いて可変速再生を行う場合、画面変化量に応じて再生速度を変化させる、つまり画面変化量が大きいところでは再生速度を遅く、また画面変化量が小さいところで再生速度を速くすることで、先に示した特開平10−243351号(特願平09−042637号)「映像再生装置」と同様の画面変化量を一定に保った見やすい早送り再生を標本画像フレームに対して実現することが可能である。
【0109】
(4)その他の利用形態
図10は、上記で述べた方法で選択したシーンチェンジ位置(カット点)近傍の標本画像フレーム501,502,…を一覧表示した例である。元映像データから画像フレームを取り出すことをしないので、このような一覧画面500を高速に作成することができる。
【0110】
図11は、元映像全体を時間軸方向に延びた一本のバー601で表示し、さらにバー601の指定した一部分を拡大したバー602で表示した例である。拡大したバー602には、この部分の元映像に含まれるカット点のフレームの画像が見出しとして表示されている。さらに拡大したバー602の上にマウスカーソル603を当てると、カット点の位置を考慮して、指定点の画像フレームに最も類似する近傍の標本画像フレーム604を選択し、アイコンとして表示できる。この処理が高速に行えるため、マウスアイコンを左右にスライドさせることにより、アイコンイメージをリアルタイムに動画のように表示することができる。
【0111】
一方、監視システムの応用を考えたとき、たまに起る事象を効率よく発見したいという要求がある。例えば、常時は監視画面に背景画像のみが映っているが、あるとき侵入者が映ったとする。侵入者は、背景画像の差分画像として容易に発見することができる。また、映像を記録すると同時に、画面の変化のないところでは標本画像フレームを時間的に粗くサンプリングし、画面の変化があったところでは時間的に細かくサンブリングすることにより、侵入者を確実に記録することができる。侵入者が映った画面に、付加情報としてカット点の管理等のための情報を貯えておき、後で一覧表示を行うことが可能となる。また、侵入者があったときだけ、標本画像フレームの空間的サンブリングを精細にすることにより、標本画像フレームでも侵入者を確認するようにすることもできる。
【0112】
さらに、侵入者が入った時に元映像よりも高精細な静止画像を取得し、それを標本画像フレームとして管理することも有効である。通常の映像では解像度が不十分な場合、それよりも高解像度の静止画像を用いて侵入者の判別を行うことが可能となる。
【0113】
以上説明したように、本実施形態によれば、元映像データ以外に、元映像フレーム群を時間的に任意の間隔でかつ空間的に任意の大きさにサンプリングして得た標本画像フレーム群の画像データと属性情報からなる標本画像情報を記録しておき、元映像データではなく標本画像情報を検索することにより、計算機パワーやトラフィックに負担をかけることなく、所望フレームの映像検索を容易に行うことが可能となる。また、標本画像情報にシーンチェンジ位置情報を付帯情報として記述することによって、所望のフレームとより類似した標本画像フレームの検索が可能となる。さらに、検索対象画像と各標本画像フレームの画像との差分、例えば絶対値差分の合計を求め、この値が小さい標本画像フレームを検索することによっても、所望フレームの検索ができる。さらに、画面変化量が大きいところでは再生速度を遅く、画面変化量が小さいところで再生速度を速くすることで、画面変化量を一定に保った見やすい可変速再生を標本画像フレームに対して実現することも可能となる。
【0114】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。他の実施形態の説明において第1の実施形態と同一部分は同一参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
【0115】
第1実施形態では時・空間標本映像メタデータ102は複数の標本画像情報2011〜201nを有するとしたが、その詳細な記述例は説明しなかった。この記述例の具体例に関する第2実施形態を以下に説明する。
【0116】
図12は第2実施形態の標本画像情報の記述例を示している。ここでは、標本画像フレーム群を一つの映像(標本映像)として扱い、その集合として標本映像情報701を構成する。標本映像は標本映像情報701とは別に用意し、標本映像情報701にその場所をURL等により記述してもよいし、標本映像を標本映像情報701として直接記述してもよい。
【0117】
標本画像情報702は標本映像情報701で示される標本映像内の標本画像フレームと元映像データフレームとの対応付けを示し、標本映像に含まれる標本画像フレーム数に応じて、複数記述される。標本画像情報702は元映像フレームのメディア時間703と標本映像のメディア時間704より構成される。元映像フレームのメディア時間703は標本画像フレームに対応する元映像のフレームを示す。元映像のフレームを一意に決めることができれば、タイムスタンプ等の時間であってもよいし、フレーム番号等であってもよい。また、元映像フレームが一定間隔でサンプリングされている場合など、演算によって対応する元映像フレームが求められる場合は、演算に必要な情報(例えばサンプリング間隔)を記述して、元映像フレームのメディア時間703を省略してもよい。標本映像のメディア時間704は標本映像情報701で示される標本映像内の特定の標本画像フレームを示す。標本映像のメディア時間704は標本画像フレームを一意に決めることができれば、フレーム番号等であってもよいし、標本映像を通常の映像として扱った場合のタイムスタンプ等の時間であってもよい。また、標本映像と順次対応付けが行われる場合は省略しても構わない。
【0118】
図13は標本画像情報の別の記述例を示している。標本画像情報801は各標本画像フレームと元映像データフレームとの対応付けを示し、標本画像フレーム数に応じて、複数記述される。標本画像情報801は元映像フレームのメディア時間802と標本画像データ803より構成される。メディア時間802は図12で示される記述例におけるメディア時間703と同様に標本画像フレームに対応する元映像データのフレーム位置を示す。なお、本メディア時間802もメディア時間703と同様に省略してもよい。標本画像は標本画像データ801とは別に個々に用意し、標本画像データ801にその場所をURL等により記述してもよいし、標本画像を標本画像データとして標本画像データ801に直接記述してもよい。また、標本画像のかわりにその内容を示すイラスト等の他の画像を標本画像データとしてもよい。
【0119】
図14は標本画像情報の別の記述例を示している。図14で示される記述例は図12及び図13で示される記述例の両方を含んでいる。標本映像情報901は図12で示される記述例における標本映像情報701と同様で、標本映像の場所を示すURLあるいは標本映像自体を示す。標本画像情報902は各標本画像フレームと元映像データフレームとの対応付けを示し、標本画像フレーム数に応じて、複数記述される。標本画像情報902は元映像フレームのメディア時間903と標本映像のメディア時間904Aあるいは標本画像データ904Bのいずれかにより構成される。元映像フレームのメディア時間903は図12で示される記述例におけるメディア時間703と同様に標本画像フレームに対応する元映像データのフレームを示す。なお、本メディア時間903もメディア時間703と同様に省略してもよい。標本映像のメディア時間904Aは図12で示される記述例におけるメディア時間704と同様で、標本映像情報901で示される標本映像内の特定の標本画像フレームを示す。該メディア時間904Aが標本映像と順次対応付けされる場合は省略しても構わない。標本画像データ904Bは図13で示される記述例における標本画像データ803と同様で、個々の標本画像フレームの場所や標本画像フレーム自体を示す。
【0120】
図14の記述例によれば、標本映像の一部を差し替えたり、別の標本画像を追加することができる。
【0121】
次に、図12〜図14で示される記述例を利用して、所望メディア時間の標本画像データを抽出する処理を説明する。図15はその基本フローである。ステップS61で所望の標本画像フレームに対応する元映像フレームのメディア時間を入力する。メディア時間はタイムスタンプやフレーム番号等、メディア内での時間的な位置を一意に示すものである。ステップS62では図12〜図14の記述例で記述される標本画像情報群の中から最初の標本画像情報を取り出す。ステップS63で、所望のメディア時間と標本画像情報に含まれる元映像フレームのメディア時間とを比較し、両者が同一、あるいは、所望のメディア時間の方が後になる場合はステップS64へ進み、標本画像情報で示されている標本画像データを取り出す。標本画像データの抽出方法は記述方法によって異なり、標本フレーム番号が記述されている場合は標本映像の該当標本画像データを抽出し、標本画像データが記述されている場合はそれを用いる。標本画像情報に含まれるメディア時間の方が所望メディア時間より後の場合はステップS65へ進み、標本画像情報群から次の標本画像情報を取り出して、再びステップS63へ進みメディア時間の比較を行う。
【0122】
図16は図12〜図14で示される記述例に標本画像フレームの属性情報を付加する記述例である。標本映像は、大きさの異なる標本画像を用いたり、元映像データの一部の領域のみを切り出して、標本画像として用いることができるので、これらのパラメータを属性情報として記述するための一例が図16に示す記述例である。
【0123】
標本画像フレーム群情報1001は図12〜図14で示される記述例等による情報を示す。標本属性情報1002は個々の標本画像フレームの属性情報で、標本映像に含まれる標本画像フレーム数に応じて、複数記述される。標本属性情報1002は標本番号1003、解像度情報1004、領域情報1005により構成される。
【0124】
標本番号1003は標本画像フレーム群情報1001で示される標本画像フレーム群に含まれる特定の標本画像フレームに対応する番号である。標本フレーム番号1003が標本画像フレーム群内の標本画像フレームと順次対応する場合は省略しても構わない。
【0125】
解像度情報1004は標本番号1003で示される標本画像フレームの元映像データの対応フレームに対する解像度を示す。例えば、画像を何分の1に縮小したか等を記述する。
【0126】
領域情報1005は標本番号1003で示される標本画像フレームの元映像データの対応フレームにおける該当傾城を示す。標本画像フレームが元映像データの対応フレームの一部を切り出している場合はその領域を記述する。標本画像フレームが元映像データの対応フレーム全体に相当する場合は領域情報を省略してもよい。
【0127】
なお、これら属性情報は図示しないが、図12〜図14で示した記録例における各標本画像情報内に記述するようにしてもよい。
【0128】
図17は図16で示される記述方法を用いた実際の記述例である。元映像フレーム1401の中には物体が一部のみに存在しているとする。元映像フレーム1401の標本画像フレームを作成する場合、両画全体のサンプリングするよりも一部のみを取り出してサンプリングした方が、画像の内容をより反映した標本画像フレームが作成できる。そこで、元映像フレーム1401内の矩形領域1402を取り出して、縦横がそれぞれ1/2となるようにサンプリングを行い標本画像フレーム1403を作成する。このときの解像度情報、領域情報の記述例は1404のようになる。
【0129】
図18はユーザの要求に応じて標本画像フレームの一覧表示を行う基本フローである。スナッブS71ではユーザが一覧表示するレベルを入力する。入力方法は表示レベルに応じて連続的に変化するスライダー等のGUIを用いてもよいし、数字で直接入力してもよい。あるいは、計算機等に接読されたホイールやダイヤル等の入力装置を用いてもよい。
【0130】
ステップS72では、ステップS71で入力されたレベル値から一覧表示する標本画像の枚数を計算する。例えば、最大表示レベルをLmax、最大表示標本画像フレーム数をTmaxとし、現在の表示レベルがLであるとすると、表示標本画像フレーム数T=Tmax×L/Lmaxで求められる。
【0131】
ステップS73では、表示標本画像フレーム数に応じて一覧表示する標本画像フレームの選択を行う。例えば、一定時間間隔や一定フレーム間隔で標本画像フレームを選択する。あるいは、カット点情報等の付加情報が与えられている場合は、カット点やシーンの先頭フレーム等のより重要度の高いフレームから優先的に選択してもよい。
【0132】
ステップS74では選択された標本画像の一覧を作成して、表示する。
【0133】
図19は図18で示される基本フローを用いた標本画像フレームの一覧表示のインターフェースを示す。画面1101上には表示レベルを指定するためのスライダー1102と標本画像一覧1103が存在する。スライダー1102を画面1104内のスライダー1105に示すような位置に移動させて表示レベルを大きくすると、一覧表示される標本画像の枚数が一覧表示1106に示されるように増加する。このようなインターフェースを用いることによって、ユーザは映像の内容に応じて必要なだけの標本画像を直感的に表示することが可能である。
【0134】
図20は図16で示される記述例を用いた画面表示の例である。図16で示される記述例を用いることにより、解像度の異なる標本画像フレームや画面の一部の領域のみを切り出した標本画像フレームを扱うことができる。一方、画像中には字幕部分等の高解像度でサンプリングすることが望ましい領域と、背景等の低解像度でサンプリングすれば十分な領域が混在している。そこで、同一フレームから作成した解像度と領域の異なる標本画像フレームを含む標本画像フレーム群1201を用意し、画面表示例1202に示すようにこれらを重ね合わせて表示することにより、字幕を高解像度で背景を低解像度で表示することが可能となる。
【0135】
図21は図16で示される記述例を用いた画面表示の別の例である。画像1301は低解像度でサンプリングされた標本画像フレームである。字幕部分等、ユーザがより詳細な画像を所望する領域1302をマウス等で指し示すと、領域1302のみをより高解像度でサンプリングした標本画像フレーム1303がポップアップ等によって表示される。通常は、画像1301のような低解像度な標本画像フレームが表示されているので、画像の大きさを小さくすることができ、一覧表示等により多くの画像を表示することができる。
【0136】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、種々変形して実施可能である。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像情報記述方法によれば、映像の内容を確認しての検索や表示を行うことができる。
【0138】
また、元映像データをサンプリングして得られた標本画像に基づいて検索を行う場合、所望のフレームがシーンチェンジとシーンチェンジの間に存在するような場合でも良好な映像検索ができる。
【0139】
さらに、標本画像に基づいて可変速再生を行うことができるので処理量が軽減でき、計算機パワーの小さな機器やネットワーク上でも容易に可変速再生を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムアーキテクチャを示す図。
【図2】元映像データおよび時・空間標本映像メタデータの構造を示す概念図。
【図3】時・空間標本映像メタデータに含まれる標本画像情報の説明図。
【図4】標本画像情報の管理構造を示す図。
【図5】標本画像情報の記述手順を説明するための時・空間標本映像メタデータの記録手順を示すフローチャート。
【図6】時・空間標本映像メタデータに含まれるシーンチェンジ情報を用いた標本画像フレームの検索手順を示すフローチャート。
【図7】時・空間標本映像メタデータを対象とした標本画像フレームの検索手順を示すフローチャート。
【図8】標本画像フレームを用いた可変速再生の手順を示すフローチャート。
【図9】標本画像フレームと画面変化量情報を用いて円滑な可変速再生の手順を示すフローチャート。
【図10】時・空間標本映像メタデータに含まれるシーンチェンジ情報を用いた標本画像フレームの一覧表示の例を示す図。
【図11】時・空間標本映像メタデータを用いた元映像データと標本画像フレームの表示例を示す図。
【図12】標本画像情報の他の記述例を示す図。
【図13】標本画像情報の別の記述例を示す図。
【図14】標本画像情報のさらに他の記述例を示す図。
【図15】図12〜図14の記述例に従った標本画像情報を用いた標本画像データの検索を示すフローチャート。
【図16】標本画像情報のさらに別の記述例を示す図。
【図17】図16の記述例に従った標本画像情報の具体例を示す図。
【図18】表示レベルに応じて表示枚数を可変する標本画像一覧表示の動作を示すフローチャート。
【図19】表示レベルが可変された場合の標本画像一覧表示の変化を示す図。
【図20】図16の記述例に従った標本画像情報により解像度と領域の異なる複数の標本画像を重ねて表示する例を示す図。
【図21】図16の記述例に従った標本画像情報により解像度と領域の異なる複数の標本画像を重ねて表示する他の例を示す図。
Claims (1)
- 複数の映像フレームからなる元映像情報を時間的に任意の間隔でかつ空間的に任意の大きさにサンプリングして得た複数の標本画像フレームからなる標本映像に関する標本映像情報として、前記標本映像の前記元映像情報の時間軸上の場所を示すポインタと、前記標本映像に含まれる複数の標本画像フレームのそれぞれと該標本画像フレームに対応する映像フレームとの対応関係を示す属性情報と、前記映像情報のシーンチェンジ位置情報を含む付帯情報と、を記述し、
前記付帯情報は、前記元映像情報の画面変化量の情報も含むことを特徴とする画像情報記述方法。
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