JP4570275B2 - 線状体の巻き付け方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、線状体を成形ドラムに巻き付ける巻き付け方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、空気入りタイヤの内圧充填および高速走行に伴うトレッド部の径成長を効果的に抑制するため、ベルト層の幅方向中央部あるいは幅方向両端部に線状体を所定回数螺旋状に巻き付けることで成形したベルト補強層を配置したり、あるいは、ベルト層を構成するベルトプライの少なくとも1枚を、線状体を所定回数螺旋状に巻き付けることで成形することが行われている。
【0003】
従来、このような線状体の巻き付けは、例えば、線状体が多数回ロール状に巻き取られた回転可能な巻きロールと、該巻きロールと周囲に線状体が所定の巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付けられる成形ドラムとの間に設けられ、駆動回転されることで巻きロールから線状体を巻き出す巻き出しローラとを備えた巻き付け装置を使用し、成形ドラムと巻き出しローラとを、該成形ドラムの周速と巻き出しローラからの線状体の巻き出し速度とが等速となるよう回転させることで行っていた。
【0004】
ここで、このような成形ドラムの周速と巻き出しローラからの線状体の巻き出し速度とを高精度で等速とする制御は極めて困難であるため、通常、巻き出しローラと成形ドラムとの間に、上固定ローラと、該上固定ローラの直下に昇降可能に設置された下可動ローラとからなるフェスツーン手段を設けるとともに、これら上固定、下可動ローラ間に若干長さの線状体を掛け回して一時的にストックし、前述の速度差を吸収するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の線状体の巻き付け方法・装置にあっては、フェスツーン手段にストックされている線状体の長さが短いため、成形ドラムへの線状体の巻き付け時に、成形ドラムの周速と巻き出しローラからの線状体の巻き出し速度とが大きく狂ったりすると、ストックされている線状体が全て送り出されて下可動ローラが上固定ローラに衝突し、フェスツーン手段が破損してしまうことがあるという問題点があった。
【0006】
また、巻きロールが空になるまで線状体が巻き出されたときには、巻き出しローラ、成形ドラムの回転を急停止させるが、このとき、成形ドラムは大重量であるため、慣性によって余分に回転し、この結果、前述と同様にストックされている線状体が全て送り出され、フェスツーン手段が破損してしまうことがあるという問題点もあった。そして、このような問題は、作業高速化の要請から、成形ドラムへの線状体の巻き付け速度が近年高速化(3.0m/sec以上)するに従い、顕著となってきた。
【0007】
この発明は、成形ドラムへの線状体の巻き付け速度を高速化しても、フェスツーン手段の破損を防止することができる線状体の巻き付け方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、第1に、巻きロールから線状体を巻き出して、該巻きロールと成形ドラムとの間に設けられ、複数の太鼓状を呈する固定ローラと昇降可能で太鼓状を呈する複数の可動ローラとに該線状体を交互に掛け回したフェスツーン手段に、成形ドラムの周長と線状体の複数の巻き付け回数との積とほぼ等長の線状体を一時的にストックする工程と、成形ドラムを高速回転させながら前記ストックされた線状体をフェスツーン手段から送り出して該線状体を成形ドラムの周囲に前述した複数の巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付けてベルト補強層またはベルトプライを成形する工程とを備えた線状体の巻き付け方法により、
【0009】
第2に、線状体が巻き取られた巻きロールと、該巻きロールと周囲に線状体が複数の巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付けられる成形ドラムとの間に設けられ、巻きロールから巻き出された線状体を、成形ドラムの周長と線状体の複数の巻き付け回数との積とほぼ等長だけ一時的にストックするフェスツーン手段とを備え、前記フェスツーン手段は線状体が交互に掛け回された複数の太鼓状を呈する固定ローラと昇降可能で太鼓状を呈する複数の可動ローラとを有し、かつ、前記成形ドラムを高速回転させながらストックされた線状体をフェスツーン手段から送り出して成形ドラムの周囲に巻き付けベルト補強層またはベルトプライを成形するようにした線状体の巻き付け装置により達成することができる。
【0010】
成形ドラムへの線状体の巻き付けに先立ち、巻きロールから線状体を巻き出してフェスツーン手段に一時的にストックするが、このときの線状体の長さは、成形ドラムの周長と線状体の巻き付け回数との積とほぼ等長とする。次に、成形ドラムを高速回転させながら前記ストックされた線状体をフェスツーン手段から送り出し、成形ドラムの周囲に前述した巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付ける。
【0011】
このとき、フェスツーン手段には成形ドラムの周長に巻き付け回数を乗じた長さ、すなわち、成形ドラムへの巻き付け長さとほぼ等長の線状体がストックされているため、成形ドラムへの線状体の巻き付け速度が大きく変動しても、フェスツーン手段にストックされている線状体が送り出され過ぎて不足するようなことはなく、これにより、フェスツーン手段の破損を防止することができるとともに、成形ドラムへの線状体の巻き付けの高速化を容易に図ることができる。
【0012】
また、線状体の巻きロールからの巻き出しと成形ドラムへの巻き付けとの同期をとるための複雑な制御、位置検出も不要となり、この結果、装置全体の構造が簡単となり、安価に製作することもできる。
【0013】
さらに、線状体を成形ドラムに巻き付ける一方で巻きロールから線状体を巻き出している場合に、該巻きロールが空となると、その回転を急停止させるが、このとき、成形ドラムを急停止させなくても、フェスツーン手段にストックされている線状体が送り出され過ぎて不足するようなことはなく、これにより、フェスツーン手段の破損を防止することができる。
【0014】
また、請求項2に記載のように構成すれば、フェスツーン手段から線状体が送り出され過ぎて不足することを簡単かつ確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項4に記載のように構成すれば、線状体の始端部を固定、可動ローラに通す作業が容易となる。
さらに、請求項5に記載のように構成すれば、線状体が固定、可動ローラから脱線したり、これらに巻き付いたりする異常時に、これを早期にかつ確実に検出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、2、3において、11は床面12上に設置された略上下方向に延びる支持フレームであり、この支持フレーム11の上下方向中央部には軸受13を介して巻きロール14が回転可能に支持され、この巻きロール14は円筒状のリール15と、該リール15の周囲に多数回ロール状に巻き取られた線状体16から構成されている。
【0017】
17は支持フレーム11の上端部に支持された巻き出しローラであり、この巻き出しローラ17には巻きロール14から巻き出された線状体16が掛け回されている。そして、この巻き出しローラ17は、支持フレーム11に固定されたモータ18から駆動力を付与されることで回転し、線状体16を引き取って巻きロール14から低速(2.0m/sec程度の速度)で次々と巻き出す。
【0018】
ここで、前記線状体16は、例えばコーティングゴムで被覆された非伸張性コードであってもよく、また、直線状に延びる、あるいは波状の屈曲する少数本の互いに平行な非伸張性コードをコーティングゴムで被覆したリボン状体であってもよい。
【0019】
19は支持フレーム11の前方に設置された拡縮径可能な円筒状の成形ドラムであり、この成形ドラム19は図示していない駆動機構により巻きロール14と平行な軸線回りに高速度(3.0m/sec以上)の周速で駆動回転される。そして、この成形ドラム19が回転しているとき、巻きロール14から巻き出された線状体16が軸方向にずらされながら該成形ドラム19に供給されると、該線状体16は成形ドラム19の周囲に螺旋状に巻き付けられる。
【0020】
ここで、前記線状体16を、成形ドラム19に貼付けられているベルト層の軸方向両端部外側に巻き付けた場合、あるいは、ベルト層の軸方向中央部内側に巻き付けた場合には、該線状体16はベルト層を補強するベルト補強層となり、また、タイヤ赤道面に対して傾斜したコードが埋設されたベルトプライ全体に重ね合わせながら巻き付けた場合には、該線状体16はベルト層を構成するベルトプライとなる。
【0021】
21は巻きロール14と成形ドラム19との間に設置されたフェスツーン手段であり、このフェスツーン手段21は床面12上に立設されるとともに、その後端部が支持フレーム11に固定された前後方向に延びる矩形枠状の固定フレーム22を有する。この固定フレーム22の上端部には下方に向かって延びる複数の支持突起23が形成され、これらの支持突起23は前後方向に等距離離れて配置されている。
【0022】
24は各支持突起23の下端部に支持された複数の固定ローラであり、これらの固定ローラ24はいずれも前後方向に延びる水平な直線L上に配置されるとともに、互いに平行な回転軸(巻きロール14に平行な軸線)回りにフリー回転することができる。この結果、これら固定ローラ24も支持突起23と同様に前後方向に等距離離れて配置されることになる。そして、各固定ローラ24は中央部が膨出した太鼓状のローラ部24aと、このローラ部24aの両端にそれぞれ固定されたフランジ部24bとを有する。
【0023】
26は固定フレーム22の前端部および後端部の側面にそれぞれ敷設された上下方向に延びるガイドレールであり、これらのガイドレール26には前後方向に延びる水平な可動フレーム27の前、後端部にそれぞれ固定されたスライドベアリング28が摺動可能に係合している。この結果、可動フレーム27は固定フレーム22に昇降可能に支持されることになる。
【0024】
前記可動フレーム27には太鼓状をした複数(前記固定ローラ24と同数)の可動ローラ30が支持され、これら可動ローラ30は前記直線Lに平行で上下に重なり合った直線M上に配置されるとともに、前記固定ローラ24の回転軸と平行な回転軸回りにフリー回転することができる。また、これら可動ローラ30は前後方向に等距離離れるとともに、固定ローラ24と交互に配置されており、この結果、可動フレーム27が昇降すると、これら可動ローラ30は隣接する固定ローラ24間を上下に通過することができる。
【0025】
32は上、下端部が固定フレーム22の前後方向中央部に固定された上下方向に延びるロッドレスタイプのシリンダであり、このシリンダ32の可動部には前記可動フレーム27が連結されている。そして、このシリンダ32は、通常、可動フレーム27に下方に向かう弱い付勢力を付与しているが、後述するように線状体16を固定ローラ24、可動ローラ30間に通す場合には、可動フレーム27、可動ローラ30を一体的に上昇させる。
【0026】
ここで、前記巻きロール14から巻き出された線状体16は、これら固定ローラ24、可動ローラ30に交互に掛け回され、これにより、固定ローラ24、可動ローラ30間に張り渡された線状体16の合計長がフェスツーン手段21における線状体16のストック長となる。そして、このフェスツーン手段21における線状体16のストック長は、可動フレーム27、可動ローラ30が下降することで増大する。前述した固定フレーム22、固定ローラ24、可動フレーム27、可動ローラ30、シリンダ32は全体として、前記フェスツーン手段21を構成する。
【0027】
35は固定ローラ24より若干下方で固定フレーム22の近傍に設置された上限検出センサであり、この上限検出センサ35は、可動フレーム27が該上限検出センサ35と対向する上昇限まで上昇してきたとき、該可動フレーム27を検出し、成形ドラム19の回転、即ち成形ドラム19への線状体16の供給を停止させる。
【0028】
36は固定フレーム22の下端部近傍に設置された下限検出センサであり、この下限検出センサ36は、可動フレーム27が下降限まで下降してきたとき、該可動フレーム27を検出し、モータ18の作動(巻き出しローラ17の回転)を停止させる。そして、この実施形態では、前記可動フレーム27が上昇限から下降限まで下降する間に増大する線状体16のストック長を、成形ドラム19の周長(成形ドラム19に1回だけ巻き付けられたときの線状体16の長さ)と線状体16の成形ドラム19への巻き付け回数との積F、即ち成形ドラム19への線状体16の巻き付け長さと実質上等長としている。
【0029】
ここで、可動フレーム27が上昇限まで上昇したとき、可動ローラ30は固定ローラ24から若干下方に離れているため、上昇限の可動ローラ30と固定ローラ24との間には若干長さの線状体16がストックされており、この結果、可動フレーム27が下降限まで下降したとき、フェスツーン手段21に一時的にストックされる線状体16の長さは、前記積Fの値(成形ドラム19への巻き付け長さ)とほぼ等長、詳しくは、前記積Fの値より若干長くなる。
【0030】
37は支持突起23の基端部近傍に設置された準備位置検出センサであり、この準備位置検出センサ37は、可動フレーム27がシリンダ32により上昇限を通過して支持突起23の基端部近傍の準備位置まで上昇してきたとき、該可動フレーム27を検出してシリンダ32の作動を停止させる。このように可動フレーム27が支持突起23の基端部近傍まで上昇すると、可動ローラ30は固定ローラ24より若干上方に位置することになり、これらの間に図3に示すような間隙38が形成される。
【0031】
40は前端に位置する(成形ドラム19に最も近接する)支持突起23に取付けられた回転検出センサであり、この回転検出センサ40は、前端に位置する固定ローラ24のフランジ部24bに固定されたドグ41を検出することで、該固定ローラ24が回転しているか否かを検出する。
【0032】
また、後端に位置する(巻きロール14に最も近接する)支持突起23にも前述と同様の図示していない回転検出センサが取付けられ、この回転検出センサは、後端に位置する固定ローラ24のフランジ部24bに固定された前述と同様のドグを検出することにより、該固定ローラ24が回転しているか否かを検出する。
【0033】
そして、線状体16が流れているにも拘わらず、即ち、成形ドラム19あるいは巻きロール14が回転しているにも拘わらず、前端あるいは後端に位置する固定ローラ24が回転していないことを回転検出センサ40あるいは図示していない回転検出センサが検出したときには、フェスツーン手段21の内部において線状体16の脱線、巻き込み等が生じたと判断され、成形ドラム19あるいは巻きロール14の回転が停止される。このようにして線状体16の異常を早期かつ確実に検出することができる。
【0034】
次に、この発明の一実施形態の作用について説明する。
成形ドラム19に対して所定種類の線状体16を巻き付ける場合には、まず、該種類の線状体16が巻き取られている巻きロール14を支持フレーム11まで搬送し、該支持フレーム11の軸受13に支持させる。このとき、シリンダ32を作動して可動フレーム27を上昇させるが、この可動フレーム27の上昇は、図3に示すように可動フレーム27が上昇限より上方の準備位置に到達し、準備位置検出センサ37が該可動フレーム27を検出したとき、停止する。このように可動フレーム27が準備位置まで上昇すると、可動ローラ30は固定ローラ24より若干上方に位置することになり、これらの間に間隙38が形成される。
【0035】
次に、巻きロール14から線状体16の始端部を巻き出した後、前述した可動ローラ30と固定ローラ24との間の間隙38を巻きロール14から成形ドラム19に向かって通過させるとともに、その始端を成形ドラム19上の巻始め位置に貼付ける。その後、巻き出しローラ17を回転させることにより巻きロール14から線状体16を低速で巻き出すとともに、シリンダ32の付勢力によって可動フレーム27、可動ローラ30を下方に向かって押し下げる。この結果、可動ローラ30は隣接する固定ローラ24間を通過して固定ローラ24より下方に下降し、固定ローラ24、可動ローラ30に線状体16が交互に掛け回される。
【0036】
このように可動ローラ30を固定ローラ24より上方まで上昇させた後、これら可動ローラ30と固定ローラ24との間を、巻きロール14から成形ドラム19に向かって線状体16の始端部を通過させ、その後、可動ローラ30を下降させることで、可動ローラ30、固定ローラ24に線状体16を交互に掛け回すようにすれば、線状体16の始端部を可動ローラ30、固定ローラ24に通す作業が容易となる。
【0037】
そして、前述のように可動ローラ30、可動フレーム27がシリンダ32に付勢されて下降する一方で、線状体16が巻き出しローラ17によって巻きロール14から巻き出されると、フェスツーン手段21における線状体16のストック長が増大するとともに、該ストックされた線状体16に所定のテンションが付与される。
【0038】
このとき、固定ローラ24を直線L上に、一方、可動ローラ30を該直線Lに平行な直線M上に設置するとともに、これら固定ローラ24、可動ローラ30を交互に配置したので、フェスツーン手段21における線状体16の流れが安定し、これにより、線状体16が固定ローラ24、可動ローラ30から脱線したり、あるいは、これらに巻き付いたりする事態が抑制される。
【0039】
次に、可動フレーム27が下降限まで下降すると、下限検出センサ36が該可動フレーム27を検出し、線状体16の巻き出しおよび可動フレーム27、可動ローラ30の下降を停止させる。このとき、フェスツーン手段21には、成形ドラム19の周長と線状体16の巻き付け回数との積Fとほぼ等長、ここでは前記積Fの値より若干長い線状体16が、成形ドラム19への巻き付けに先立ち一時的にストックされる。
【0040】
このように巻きロール14からの線状体16の巻き出しを停止させた後、成形ドラム19を高速回転させ、フェスツーン手段21にストックされていた線状体16を該フェスツーン手段21から送り出して成形ドラム19に巻き付けるが、このとき、線状体16を図示していない綾振り機構により成形ドラム19の軸方向にずらし、該線状体16を成形ドラム19の周囲、例えば、成形ドラム19に貼付けられているベルト層の幅方向両端部外側に螺旋状に巻き付ける。
【0041】
このとき、可動フレーム27はシリンダ32の付勢力に対抗して上昇するが、該可動フレーム27にはシリンダ32の付勢力以外の外力は作用しないため、線状体16の巻き付けテンションが一定となり、成形ドラム19への線状体16の巻き付け精度が向上する。
【0042】
そして、成形ドラム19の周囲に線状体16が所定の巻き付け回数だけ巻き付けられると、該線状体16は全体としてベルト補強層となるが、このとき、上限検出センサ35が上昇限まで上昇してきた可動フレーム27を検出し、成形ドラム19の回転を停止させる。なお、この巻き付け終了直前に図示していないカッターにより線状体16を所定位置で切断する。
【0043】
ここで、フェスツーン手段21には前述のように成形ドラム19への巻き付け長さとほぼ等長の線状体16が成形ドラム19への巻き付けに先立ってストックされているため、成形ドラム19への線状体16の巻き付け速度が大きく変動しても、フェスツーン手段21にストックされている線状体16がフェスツーン手段21から送り出され過ぎて不足するようなことはなく、これにより、フェスツーン手段21の破損を防止することができるとともに、成形ドラム19への線状体16の巻付けの高速化を容易に図ることができる。
【0044】
また、フェスツーン手段21において線状体16が不足するような事態は、前述のように積Fの値より若干長い線状体16をフェスツーン手段21にストックするようにすれば、成形ドラム19への線状体16の巻き付け時に巻きロール14から線状体16の巻き出しをさせないような場合であっても、簡単かつ確実に防止することができる。
【0045】
さらに、この実施形態では、線状体16の巻きロール14からの巻き出しと成形ドラム19への巻き付けとの同期をとるための複雑な制御、位置検出も不要となり、この結果、装置全体の構造が簡単となるとともに、安価に製作することもできる。
【0046】
次に、成形ドラム19を回転させながら該成形ドラム19にトレッドゴムを供給し、該トレッドゴムをベルト層、ベルト補強層の外側に貼付けて、ベルト・トレッドバンドを成形する。次に、成形ドラム19を縮径してベルト・トレッドバンドを図示していない搬送装置により成形ドラム19から取り出し、次工程に搬出した後、成形ドラム19を拡径してその周囲にベルト層を貼付ける。
【0047】
一方、前述したトレッドゴムの貼付け作業からベルト層の貼付け作業までの間に、前述と同様に巻き出しローラ17を回転させて線状体16を巻きロール14から巻き出し、フェスツーン手段21にベルト・トレッドバンド1本分の線状体16を外段取りでストックする。
【0048】
なお、前述の実施形態においては、巻きロール14から線状体16を巻き出してフェスツーン手段21にストックしているときには、成形ドラム19への線状体16の巻付けを停止する一方、成形ドラム19に対して線状体16を巻き付けているときには、巻きロール14からの線状体16の巻き出しを停止するようにしたが、この発明においては、成形ドラム19に対して線状体16を巻き付けながら、巻きロール14から線状体16を低速で巻き出すようにしてもよい。
【0049】
この場合には、成形ドラム19に対する線状体16の巻き付け開始時に、フェスツーン手段21にストックされている線状体16の長さは、成形ドラム19への巻き付け中に線状体16がフェスツーン手段21に補充されるため、成形ドラム19の周長と線状体16の巻き付け回数との積Fより若干短くなるときもある。
【0050】
そして、このように成形ドラム19に対して線状体16を巻き付けているとき、巻きロール14から全ての線状体16が巻き出されて空となると、該巻きロール14の回転を図示していない制動機構により急停止させるが、このとき、フェスツーン手段21には充分な長さの線状体16がストックされているため、成形ドラム19を停止させる必要はない。この結果、フェスツーン手段21から線状体16が送り出され過ぎて不足するようなことはなくなり、フェスツーン手段21の破損が防止される。
【0051】
また、前述の実施形態においては、可動ローラ30を下降させることでフェスツーン手段21のおける線状体16のストック長を増大させるようにしたが、この発明においては、可動ローラ30を上昇させることで固定ローラ24から離隔させ、線状体16のストック長を増大させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、前述の実施形態においては、前端および後端に位置する固定ローラ24の回転を回転検出センサ40および図示していない回転検出センサによって検出するようにしたが、この発明においては、固定ローラ24、可動ローラ30の少なくともいずれか1個の回転を検出する回転検出センサを設け、線状体16を成形ドラム19に巻き付けているとき、および、線状体16を巻きロール14から巻き出しているとき、該回転検出センサにより前記ローラの回転を検出するようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、成形ドラムへの線状体の巻き付け速度を高速化しても、フェスツーン手段の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示すその側面図である。
【図2】図1のI−I矢視断面図である。
【図3】作用を説明する固定ローラ近傍の拡大側面図である。
【符号の説明】
14…巻きロール 16…線状体
19…成形ドラム 21…フェスツーン手段
22…固定フレーム 24…固定ローラ
27…可動フレーム 30…可動ローラ
40…回転検出センサ L…直線
M…直線
Claims (5)
- 巻きロールから線状体を巻き出して、該巻きロールと成形ドラムとの間に設けられ、複数の太鼓状を呈する固定ローラと昇降可能で太鼓状を呈する複数の可動ローラとに該線状体を交互に掛け回したフェスツーン手段に、成形ドラムの周長と線状体の複数の巻き付け回数との積とほぼ等長の線状体を一時的にストックする工程と、成形ドラムを高速回転させながら前記ストックされた線状体をフェスツーン手段から送り出して該線状体を成形ドラムの周囲に前述した複数の巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付けてベルト補強層またはベルトプライを成形する工程とを備えたことを特徴とする線状体の巻き付け方法。
- 前記フェスツーン手段にストックする線状体の長さを前記積の値より若干長くするとともに、線状体をフェスツーン手段から送り出すとき、巻きロールからの線状体の巻き出しを停止させるようにした請求項1記載の線状体の巻き付け方法。
- 線状体が巻き取られた巻きロールと、該巻きロールと周囲に線状体が複数の巻き付け回数だけ螺旋状に巻き付けられる成形ドラムとの間に設けられ、巻きロールから巻き出された線状体を、成形ドラムの周長と線状体の複数の巻き付け回数との積とほぼ等長だけ一時的にストックするフェスツーン手段とを備え、前記フェスツーン手段は線状体が交互に掛け回された複数の太鼓状を呈する固定ローラと昇降可能で太鼓状を呈する複数の可動ローラとを有し、かつ、前記成形ドラムを高速回転させながらストックされた線状体をフェスツーン手段から送り出して成形ドラムの周囲に巻き付けベルト補強層またはベルトプライを成形するようにしたことを特徴とする線状体の巻き付け装置。
- 前記可動ローラを固定ローラより上方まで上昇させた後、これら可動ローラと固定ローラとの間を、巻きロールから成形ドラムに向かって線状体の始端部を通過させ、その後、可動ローラを下降させることで、可動、固定ローラに線状体を交互に掛け回すようにした請求項3記載の線状体の巻き付け装置。
- 前記可動、固定ローラの少なくともいずれか1個の回転を検出する回転検出センサを設けるようにした請求項3または4記載の線状体の巻き付け装置。
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JPH1067465A (ja) * | 1996-03-15 | 1998-03-10 | Whitaker Corp:The | ワイヤ処理装置 |
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