JP4570259B2 - 感光性フラックス、これを用いた半導体チップ搭載用基板、半導体パッケージ、及び、プリント配線板 - Google Patents

感光性フラックス、これを用いた半導体チップ搭載用基板、半導体パッケージ、及び、プリント配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップを半導体チップ搭載用基板に、フリップチップ半田接合により搭載する際の半田接合に関し、さらには、半導体パッケージをプリント配線板に搭載する際の感光性フラックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできており、これらの電子機器に使用される半導体パッケージは、従来にも増して益々小型化かつ多ピン化が進んできている。
【0003】
半導体パッケージはその小型化に伴って、従来のようなリードフレームを使用した形態のパッケージでは、小型化に限界がきているため、最近では回路基板上にチップを実装したものとして、BGA(Ball Grid Array)や、CSP(Chip Scale Package)といった、エリア実装型の新しいパッケージ方式が提案されている。これらの半導体パッケージにおいて、半導体チップの電極と、従来型半導体パッケージのリードフレームの機能とを有する、半導体搭載用基板と呼ばれるプラスチックやセラミックス等各種絶縁材料と、導体配線で構成される基板の端子との電気的接続方法として、ワイヤーボンディング方式やTAB(Tape Automated Bonding)方式、さらにはFC(Flip Chip)方式などが知られているが、最近では、半導体パッケージの小型化に有利な、FC接続方式を用いたBGAやCSPの構造が盛んに提案されている。
【0004】
BGAやCSPのプリント配線板への実装には、半田ボールで形成されたバンプによる、半田接合が採用されている。この半田接合には、フラックスが用いられ、ソルダーペーストが併用されることもある。特に半田ボールが使用される理由は、半田供給量を制御し易く、多量の半田を供給できるので、バンプが高くできるためである。また、BGAやCSPの作製工程における、半導体チップの電極と半導体搭載用基板の端子との電気的接続方法にも、半田接合が使われる場合が多い。
【0005】
一般に、半田接合のためには、半田表面と対する電極の、金属表面の酸化物などの汚れを除去すると共に、半田接合時の金属表面の再酸化を防止して、半田の表面張力を低下させ、金属表面に溶融半田が濡れ易くする、半田付け用フラックスが使用される。このフラックスとしては、ロジンなどの熱可塑性樹脂系フラックスに、酸化膜を除去する活性剤等を加えたフラックスが用いられている。
【0006】
しかしながら、このフラックスが残存していると、高温、多湿時に熱可塑性樹脂が溶融し、活性剤中の活性イオンも遊離するなど、電気絶縁性の低下やプリント配線の腐食などの問題が生じる。そのため現在は、半田接合後の残存フラックスを洗浄除去し、上記問題を解決しているが、洗浄剤の環境問題や、洗浄工程によるコストアップなどの欠点がある。
【0007】
フラックスの機能は、前記の通り、半田と金属表面の酸化物除去、再酸化防止、そして半田濡れ性向上(表面張力を低下させる)などであり、フラックスが存在し、金属表面が露出していれば、半田は制限なく濡れてしまう。そこで、一般的に半導体パッケージやプリント配線板の回路表面には、半田接合部のみへの半田の導入と、導体配線パターンの保護とのため、ソルダーレジストが使用されている。しかし、このソルダーレジストが半田接合部に残存すると、接続信頼性が低下したり、半田接合できなかったり、という問題が生じるため、ソルダーレジスト形成には、細心の注意が必要である。
【0008】
また、半導体パッケージの小型化かつ多ピン化は、バンプの微細化を促し、接合強度、信頼性の低下が懸念されている。そこで、バンプ接続部分の信頼性を得るため、チップと基板との間隙に、アンダーフィルと呼ばれる絶縁樹脂を充填して、バンプ接続部分を封止、補強する検討も盛んである。しかし、これには技術的難易度の高いアンダーフィルを充填し、硬化させる工程が必要となるため、製造工程が複雑で製造コストが高くなる問題がある。
【0009】
本発明は、半導体パッケージの実装時における、半田接合の現状のこのような問題点に鑑みなされたものであって、半田接合後の残存フラックスの洗浄除去、そして、アンダーフィルの充填などが必要なく、高温、多湿雰囲気でも電気絶縁性を保持し、接合強度、信頼性の高い半田接合を可能とする、半導体パッケージの製造方法、これを用いた半導体チップ搭載用基板、半導体パッケージ、及び、プリント配線板を提供することにある。
【0010】
即ち本発明は、半田バンプを有する半導体チップと半導体チップ搭載用基板を半田接合する半導体パッケージの製造方法であって、半導体チップ搭載用基板の半田接合用ランドを有する回路パターン上または半田バンプを有する半導体チップの半田バンプ上に感光性フラックスの塗布層を形成する工程と、前記塗布層を露光、現像することにより、前記半田バンプと半田接合用ランドとを接合する位置に半田バンプに対応する大きさの半田接合用のビアホールを形成する工程と、前記半導体チップ搭載用基板上に、半田バンプを有する半導体チップを位置あわせして搭載する工程と、加熱処理することにより、前記塗布層を軟化させ接着性を発現させると共に、ビアホール内部に前記塗布層を充填させる工程と、半田接合温度以上に加熱処理することにより、半導体チップと半導体チップ搭載用基板の半田接合と接着封止を行う工程とを、有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージであり、
【0011】
また、半田バンプを有する実装部品とプリント配線板を半田接合する半導体パッケージの製造方法であって、プリント配線板の半田接合用ランドを有する回路パターン上または半田バンプを有する実装部品の半田バンプ上に前記感光性フラックスの塗布層を形成する工程と、前記塗布層を露光、現像することにより、前記半田バンプと半田接合用ランドとを接合する位置に半田バンプに対応する大きさの半田接合用のビアホールを形成する工程と、前記プリント配線板上に、半田バンプを有する実装部品を位置あわせして搭載する工程と、加熱処理することにより、前記塗布層を軟化させ接着性を発現させると共に、ビアホール内部に前記塗布層を充填させる工程と、半田接合温度以上に加熱処理することにより、実装部品とプリント配線板の半田接合と接着封止を行う工程とを、有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージである。
【0012】
また、前記感光性フラックスが、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)、それらの硬化剤として作用する樹脂(C)、及び光重合開始剤(D)を含むものである、請求項1または2に記載の半導体パッケージの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性フラックスは、露光、現像により、所定の位置に半田接合用のビアホール形成し、その後の加熱により軟化して、接着性が発現すると共に該半田接合用のビアホール内部に充填することを可能とする。さらには、機械的、電気的に接続するための半田バンプを有する半導体チップが搭載される半導体チップ搭載用基板において、該半導体チップと半導体チップ搭載用基板とを、半田接合する際に半田フラックスとして作用し、更には、半導体チップの接着封止をするものである。
【0017】
本発明の感光性フラックスの具体例としては、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)、それらの硬化剤として作用する樹脂(C)、及び光重合開始剤(D)を必須成分とする組成物が挙げられる。
【0018】
本発明の感光性フラックスは、高い解像性を有し、アルカリ水溶液による現像が可能である。特に、前記組成物中におけるアルカリ水溶液に対する溶解性については、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)と、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)とが有するフェノール性水酸基により得られる。
【0019】
また、通常、光硬化物中にフェノール性水酸基が残存する場合は、耐薬品性、耐熱性、電気特性などが劣る硬化物になるが、本発明の感光性フラックスの前記組成物中においては、露光、現像後に加熱処理することにより、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)と、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)の硬化剤として作用する樹脂(C)が、前記成分中のフェノール性水酸基と熱硬化反応し、要求諸特性に優れた感光性フラックス硬化物となる。
【0020】
さらに、前述のように加熱処理による熱硬化反応により、露光、現像によりビアホールを形成した後の加熱で軟化し、接着性を発現することが可能である。また、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)と、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)とが有するフェノール性水酸基は、その還元作用により、半田及び金属表面の酸化物などの汚れを除去し、半田接合のフラックスとして作用する。
特に、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)は、光硬化に関与しないため、形成されたビアホール形状を維持したまま、ビアホールを充填するように滲み出し、効果的に半田接合のフラックスとして作用できる。
従って、機械的、電気的に接続するための半田バンプを有する半導体チップを、位置ずれなく搭載でき、該半導体チップと半導体チップ搭載用基板とを半田接合し、同時に接着封止もできるため、従来の半田接合後の洗浄除去工程や、アンダーフィル工程を必要としない、低コストで高精度な半導体チップ実装と、高温、多湿雰囲気での電気絶縁や接合の高い信頼性を有する半導体パッケージが実現可能となる。
【0021】
本発明に用いる少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)は、フェノールノボラック樹脂とグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートとを反応させて得られるが、フェノールノボラック樹脂としては、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノールを用いるのが好ましい。
露光による十分な光感度を得るためには、フェノールノボラックのフェノール性水酸基の30%以上、80%以下をグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートと反応させた変性フェノールノボラックが適当である。より好ましくは、40%以上、70%以下である。30%より小さいと露光部の光硬化が不十分になり、現像時に露光部が溶解し始め、ビアホールの形成ができないことがある。このことは特に、高密度半導体チップ(狭ピッチの半田バンプが形成されている場合)の実装時の実装不良につながる可能性がある。また、80%より多いと還元作用を示すフェノール性水酸基が不足し、現像できなかったり、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去できなかったり、露光、現像後の加熱で軟化し難く、半導体チップを接着、封止できなかったりする場合がある。
【0022】
前記フェノールノボラック樹脂(A)に用いる分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物としては、フェノール、アルキルフェノール、ナフトール、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型などが挙げられる。また、アルキルフェノールノボラックからのノボラックも使用することができる。
前記アルキルフェノールのアルキル基としては、炭素数が1〜4程度が好ましく、例えばメチル基、エチル基,n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、さらにはアリル基等であり、炭素数がそれ以上の場合は、体積当たりのフェノール性水酸基量が低下し、現像性や半田接合性を低下させる恐れがある。
これらの重量平均分子量としては、10000以下のものが良い。分子量が大きすぎると、加熱時の軟化や半田接合を阻害することがあるため好ましくないことがある。但し、その他の配合剤の使用により、半田接合時における溶融粘度を、50Pa・s以下に制御できれば何ら問題はない。この目的のために、液状の硬化剤を配合しても良い。
【0023】
前記フェノールノボラック樹脂(A)に用いるグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートとしては、反応性、入手の容易さ等の理由で、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートがより好ましい。
【0024】
少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック(A)の配合量としては、感光性フラックス全体の20重量%以上、70重量%以下が好ましい。より好ましくは、25重量%以上、60重量%以下である。20重量%未満であると、露光部の光硬化が不十分になり、現像時に露光部が溶解し始め、ビアホールの形成ができないことがある。また、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)の配合との兼ね合いもあるが、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合できない場合もある。70重量%より多いと、現像できなかったり、十分な硬化物が得られず、接合強度や信頼性が低下する恐れがある。
【0025】
本発明に用いる少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)は、フェノール、アルキルフェノール、ビフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキシベンゾイックアシッド、ジヒドロキシベンゾイックアシッド、フェノールフタリン、及び、これらのノボラック、さらには、レゾール、ポリビニルフェノールからなる群より選ばれる、少なくとも1種からなることが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量10000以下のものが良い。分子量が大きすぎると、半田接合時における感光性フラックスの流動性が低下し、半田接合を阻害することがある。但し、その他の配合剤の使用により、半田接合時における滲み出した感光性フラックスの溶融粘度を、100mPa・s以下に制御できれば何ら問題はない。前述のように、この目的のためにも、液状の硬化剤を配合しても良い。
【0026】
少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)の配合量は、感光性フラックス全体の0.5重量%以上、30重量%以下が好ましい。より好ましくは、1重量%以上、20重量%以下である。
0.5重量%未満であると、露光、現像後の加熱時に、感光性フラックスの軟化、または、フラックスとして作用する成分の滲み出しが不足し、接着性が発現しなかったり、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合できなかったりする場合もある。
また、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)の配合との兼ね合いもあるが、30重量%より多いと、十分な硬化物が得られず、接合強度や信頼性が低下することがある。
【0027】
少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)と少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)の硬化剤として作用する樹脂(C)としては、エポキシ樹脂やイソシアネート樹脂などが用いられる。具体的にはいずれも、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系やレソルシノール系などのフェノールベースのものや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族などの骨格をベースとして変性されたエポキシ化合物やイソシアネート化合物が挙げられる。
また、本発明の感光性フラックスの硬化を促進するため、公知の硬化触媒を用いても良い。
【0028】
本発明の硬化性フラックスにおいて、硬化剤として作用する化合物(B)の配合量は、エポキシ基当量またはイソシアネート基当量が、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)と少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)のOH基当量の0.5倍以上、1.5倍以下が好ましい。0.5倍未満であると、十分な硬化物が得られず、補強効果が小さくなり接合強度と信頼性が低下する恐れがある。また、1.5倍より多いと、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合できなくなってしまう恐れがある。
【0029】
本発明に用いる光重合開始剤(D)としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインジメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソンなどのチオキサンソン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノンなどのアルキルアントラキノン類などを挙げることができる。
これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いられる。この光重合開始剤の添加量は、通常、本発明の感光性フラックス中、0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
【0030】
その他、本発明の樹脂組成物には必要に応じて、露光感度を上げるために感光性モノマー、保存安定性のために紫外線防止剤や熱重合防止剤、作業性向上のために可塑剤や硬化促進剤などが添加できる。
【0031】
本発明の感光性フラックスの製造方法としては、前記成分をアルコール類、エーテル類、ケトン類などの有機溶媒で溶解し、感光性フラックスのワニスとして得ることができる。
【0032】
この感光性フラックスワニスを、機械的、電気的に接続するための半田バンプを有する半導体チップが搭載される、半導体チップ搭載用基板の半田接合用ランドを有する回路パターン上に、スクリーン印刷やスピンコートなどの方法により塗布し、乾燥しフラックス塗布層を形成した後、高圧水銀灯等により露光し、アルカリ水溶液により現像し、洗浄することにより、所定の位置に半田接合用のビアホール形成して、半導体チップ封止接着剤層と半田接合用ビアホールが形成された半導体チップ搭載用基板とすることができる。
また、フラックス層の形成においては、半田バンプ上に所定量の感光性フラックスを塗布又は、転写しても良い。
【0033】
前記の半導体チップ搭載用基板上に、機械的、電気的に接続するための半田バンプを有する半導体チップを位置合わせして、搭載後、100〜150℃の加熱処理によって感光性フラックスを、軟化させ、接着性を発現させると共に、ビアホール内部にフラックスとして作用する硬化性成分を滲み出させる。
その後、半導体チップあるいは半導体チップ搭載用基板の温度を半田接合温度まで上昇させ、半導体チップと半導体チップ搭載用基板を半田接合、接着封止させる。
加熱処理については、真空中、0〜5N/cm2加圧下で実施するとより好ましい。場合により、さらに加熱して半導体パッケージとする。
【0034】
また、本発明のプリント配線板は、感光性フラックスが、機械的、電気的に接続するための半田バンプを有する実装部品が搭載されるプリント配線板で、半田接合用ランドを有する回路パターン上に塗布され、前記塗布層の所定の位置に半田接合用のビアホールが形成されてなるものであり、半導体パッケージが搭載される。このプリント配線板において、感光性フラックスの用い方としては、前記半導体チップ搭載用基板と同じ方法が、適用できる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0036】
まず、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)、それらの硬化剤として作用する樹脂(C)、及び光重合開始剤(D)を配合して、感光性フラックスワニスを調整し、その特性評価のため、前記半導体パッケージの温度サイクル試験、および絶縁抵抗試験を行った。実施例および比較例の評価結果は、まとめて表1に示した。
【0037】
合成例1.
フェノールノボラック(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトTD−2090−60M)の不揮発分70%メチルエチルケトン(MEK)溶液600g(OH基約4当量)を、2lのフラスコ中に投入し、これにトリブチルアミン1g、およびハイドロキノン0.2gを添加し、110℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート284g(2モル)を30分間で滴下した後、110℃で5時間攪拌反応させることにより、不揮発分約80%メタクリロイル基含有フェノールノボラックa(メタクリロイル基変性率50%)を得た。
【0038】
合成例2.
ビスフェノ−ルA型ノボラック(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLF−4871)の不揮発分約70%MEK溶液685g(OH基約4当量)を、2lのフラスコ中に投入し、これにハイドロキノン0.2gとグリシジルメタクリレート284g(2モル)加え、110℃に加温した。その中へ、トリブチルアミン1gを添加した後、110℃で5時間攪拌反応させることにより、不揮発分約80%メタクリロイル基含有フェノールノボラックb(メタクリロイル基変性率50%)を得た。
【0039】
実施例1.
合成例1で得たメタクリロイル基含有フェノールノボラックa(メタクリロイル基変性率50%、OH基当量350)を100g、カテコールノボラック(日本化薬(株)製、A−1468、OH当量58)20g、ビスフェノールF型エポキシ(日本化薬(株)製、RE−404S、エポキシ当量165)105gと、光重合開始剤としてベンゾインジメチルエーテル(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)5gを、シクロヘキサノン60gに溶解し、光硬化助剤としてトリエチレングリコールジメタクイレート(三洋化成製、PM201)20gと、硬化触媒として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.2gを添加し、感光性フラックスワニスを作製した。
【0040】
上記で得られた感光性フラックスワニスを、フリップチップテストボード((株)テンリュウテクニクス製、FB500−PCB)全面に、塗布し、80℃で30分乾燥して、厚さ150μmの感光性フラックス層を形成した。この上に所定のパターンを載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量300mJ/cm2で露光した。次いで、1.5%の水酸化ナトリウム水溶液により、2Kg/m2のスプレー圧で、現像、水洗、乾燥し、所定の位置に半田接合用ビアホールが形成した。このフリップチップテストボードに、バンプ径190μm、バンプ高さ140μmのフリップチップテストダイ(FBT500、フリップチップテクノロジー社製)を搭載して、真空乾燥機中で、5N/cm2の荷重をかけて、10℃/分で昇温し、120℃まで加熱処理した。ピーク温度240℃に設定されたリフロー炉を通し半田接合を行った後、160℃で60分熱処理して感光性フラックスを硬化させ、評価用フリップチップ実装テストボードをそれぞれ10個ずつ作製した。
【0041】
得られた評価用フリップチップ実装テストボードの導通を確認後、−50℃で10分、125℃で10分を1サイクルとする温度サイクル(TC)試験を実施した。TC試験1000サイクル後の断線不良数の結果をまとめて表1に示した。
【0042】
半田メッキが施された導体間隔150μmのくし形パターンを有する、試験用プリント配線板に上記で得られた感光性フラックスワニスを、塗布し、80℃で10分乾燥して厚さ20μmの半田接合接着剤層を形成した。ピーク温度240℃に設定されたリフロー炉を通した後、160℃で60分熱処理して感光性フラックスを硬化させ、絶縁信頼性試験用プリント配線板とした。
【0043】
このプリント配線板の絶縁抵抗を測定した後、85℃/85%の雰囲気中で、直流電圧50Vを印加し、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。測定時の印加電圧は100Vで1分とし、絶縁抵抗をまとめて表1にした。
【0044】
実施例2.
実施例1で用いた合成例1のメタクリロイル基含有フェノールノボラックa100gに代えて、合成例2で得たメタクリロイル基含有フェノールノボラックb(メタクリロイル基変性率50%,OH基当量380)100gを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性フラックスワニスを作製した。
【0045】
上記で得られた感光性フラックスワニスを用い、実施例1と同様にして、評価用フリップチップ実装テストボードをそれぞれ10個ずつ作製し、TC試験を行い、1000サイクル後の断線不良数の結果をまとめて表1に示した。
また、実施例1と同様にして試験用プリント配線板作製し、絶縁抵抗試験を行い、まとめて表1にした。
【0046】
実施例3.
実施例1で用いたカテコールノボラック20gに代えて、フェノールフタリン(ALDRICH製)20gを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性フラックスワニスを作製した。
【0047】
上記で得られた感光性フラックスワニスを用い、実施例1と同様にして、評価用フリップチップ実装テストボードをそれぞれ10個ずつ作製し、TC試験を行い、1000サイクル後の断線不良数の結果をまとめて表1に示した。
また、実施例1と同様にして試験用プリント配線板作製し、絶縁抵抗試験を行い、まとめて表1にした。
【0048】
比較例1
市販のフラックス(九州松下電器株式会社製、MSP511)を用いて、半田接合後イソプロピルアルコールで洗浄した以外は、実施例1と同様にして、評価用フリップチップ実装テストボードをそれぞれ10個ずつ作製し、TC試験評価を行った。
【0049】
比較例2
市販のフラックス(九州松下電器株式会社製、MSP511)を用いて、更に半田接合によりフリップチップテストダイを評価用フリップチップ実装テストボードに実装した後、アンダーフィルを充填し、半田接合後イソプロピルアルコールで洗浄した以外は、実施例1と同様にして、評価用フリップチップ実装テストボードをそれぞれ10個ずつ作製し、TC試験評価を行った。
実施例1において、市販のフラックスを用いて、更にアンダーフィルを塗布した以外は、実施例1と同様にして、絶縁信頼性試験用プリント配線板を作製し、絶縁抵抗を測定した。
【0050】
比較例3
市販のフラックスを用いて、実施例1と同じ絶縁信頼性試験用プリント配線板を作製したが、リフロー炉を通した後の熱処理は行わずに、絶縁抵抗試験を行った。
【0051】
【表1】
Figure 0004570259
【0052】
表1に示した評価結果から分かるように、本発明の感光性フラックスを用いた場合、TC試験では、断線不良の発生がなく、従来のアンダーフィル工法同等以上の実装信頼性を有し、また、絶縁抵抗試験でもほとんど絶縁性の低下が認められず、本発明の感光性フラックスの効果は明白である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の感光性フラックスは、半田接合用ビアホールが形成でき、従来の半田接合後の洗浄除去工程や、アンダーフィル工程を必要としないため、低コストで高精度な半導体チップ実装と、高温、多湿雰囲気での電気絶縁や接合の高い信頼性を有する半導体パッケージの実現のために極めて有用である。

Claims (6)

  1. 半田バンプを有する半導体チップと半導体チップ搭載用基板を半田接合する半導体パッケージの製造方法であって、
    半導体チップ搭載用基板の半田接合用ランドを有する回路パターン上または半田バンプを有する半導体チップの半田バンプ上に感光性フラックスの塗布層を形成する工程と、
    前記塗布層を露光、現像することにより、前記半田バンプと半田接合用ランドとを接合する位置に半田バンプに対応する大きさの半田接合用のビアホールを形成する工程と、
    前記半導体チップ搭載用基板上に、半田バンプを有する半導体チップを位置あわせして搭載する工程と、
    加熱処理することにより、前記塗布層を軟化させ接着性を発現させると共に、ビアホール内部に前記塗布層を充填させる工程と、
    半田接合温度以上に加熱処理することにより、半導体チップと半導体チップ搭載用基板の半田接合と接着封止を行う工程とを、
    有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
  2. 半田バンプを有する実装部品とプリント配線板を半田接合する半導体パッケージの製造方法であって、
    プリント配線板の半田接合用ランドを有する回路パターン上または半田バンプを有する実装部品の半田バンプ上に前記感光性フラックスの塗布層を形成する工程と、
    前記塗布層を露光、現像することにより、前記半田バンプと半田接合用ランドとを接合する位置に半田バンプに対応する大きさの半田接合用のビアホールを形成する工程と、
    前記プリント配線板上に、半田バンプを有する実装部品を位置あわせして搭載する工程と、
    加熱処理することにより、前記塗布層を軟化させ接着性を発現させると共に、ビアホール内部に前記塗布層を充填させる工程と、
    半田接合温度以上に加熱処理することにより、実装部品とプリント配線板の半田接合と接着封止を行う工程とを、
    有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
  3. 前記感光性フラックスが、少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)、それらの硬化剤として作用する樹脂(C)、及び光重合開始剤(D)を含むものである、請求項1または2に記載の半導体パッケージの製造方法。
  4. 前記少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック樹脂(A)が、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノールである、請求項3に記載の半導体パッケージの製造方法。
  5. 前記少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物(B)が、フェノール、アルキルフェノール、ビフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキシベンゾイックアシッド、フェノールフタリン、及び、これらのノボラック、さらには、レゾール、ポリビニルフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の半導体パッケージの製造方法。
  6. 請求項1ないし5に記載の半導体パッケージの製造方法で作製されたことを特徴とする半導体パッケージ。
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