JP4563192B2

JP4563192B2 - ゴルフクラブ群

Info

Publication number: JP4563192B2
Application number: JP2005010050A
Authority: JP
Inventors: 睦原田; 達也平川; 良平田嶋
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 2005-01-18
Filing date: 2005-01-18
Publication date: 2010-10-13
Anticipated expiration: 2025-01-18
Also published as: JP2006197979A

Description

本発明はゴルフクラブ群に係り、更に詳しくは、中空のウッド形状を備えたゴルフクラブ群を対象とし、番手毎に所定の重心距離設定を行うことで、同じスイングでショットの安定化を図ることのできるゴルフクラブ群に関する。

ウッド形状を備えたゴルフクラブは内部が空洞となる中空ヘッドとして形成されており、当該ウッド形状を備えたゴルフクラブは、番手が大きくなるに従って、ヘッド体積が小さくなるように設計されている。そのため、ヘッド重心をヘッドのフェース面に対して垂直に投影した点を重心位置としたときに、当該重心位置とシャフトの軸線とを直線で結ぶ最短距離、すなわち重心距離は番手が大きくなるに従って必然的に短くなる設計となっている。

ゴルフクラブのスイングにおいて、ヘッドのフェース面が目標に向かって略直角に交わる状態をスクウェアとし、当該スクウェアの状態でインパクトを迎えたときに飛球線の直線性が保たれるようになっている。従って、ヘッドのトウがヒールよりもスクウェアの状態に対して遅れた位置にある状態、すなわちヘッドが開いた状態ではスライスボールとなる。この一方、ヘッドのトウがヒールよりもスクウェアに対して進んだ状態、すなわち閉じた状態ではフックボールとなる。そのため、ヘッド体積の大きいウッド形状のゴルフクラブは、スイングのトップ位置からダウンスイングを開始してインパクトを迎える瞬間に、トップ位置で開いたヘッドがスクウェアに戻り難くなり、開いた状態すなわちヘッドの返りが悪い状態となってスライスボールとなり易い。この一方、ヘッド体積の小さいウッド形状のゴルフクラブは重心距離が短いため、スクウェアに戻り易くなり、ヘッドが閉じた状態すなわち返りが良すぎた状態となってフックボールとなる傾向が強い。このような状態は、一般的に、番手の小さいゴルフクラブがボールを掴まえ難く、番手の大きいゴルフクラブがボールを掴まえ易いと称されている。

従って、番手が異なるゴルフクラブ毎に発現する前述の傾向に鑑み、インパクトを迎える瞬間において、フェースをスクウェアの状態に戻すための重心距離設定はクラブ性能を決定付ける重要なファクターとなる。

ところで、番手が大きくなるに従って重心距離を長く設定したゴルフクラブセットが提案されている（例えば、特許文献１参照）

特開２００１−２９９９６７号公報

しかしながら、特許文献１に記載されたゴルフクラブセットは、伝統的なウッド形状のゴルフクラブとアイアンゴルフクラブとの中間的な中空のヘッド形状を備えた、いわゆるユーティリティゴルフクラブを異種のゴルフクラブとし、これをアイアンゴルフクラブに組み合わせたときに、アイアンゴルフクラブの番手毎に規則性を持たせて変化した重心距離に対して極端に重心距離が変化することがないように設計されたものであり、ウッド形状のゴルフクラブのように、番手が大きくなるに従ってヘッド体積が小さくなる特性を備えたゴルフクラブ群について適用されたものではない。

［発明の目的］
本発明の目的は、番手が大きくなるに従ってヘッド体積が小さくなるヘッド形状を備えたゴルフクラブ群における重心距離を、番手が大きくなるに従って長く設定することにより、スクウェアの状態でインパクトを迎えるコントロールを行い易いゴルフクラブ群を提供を提供することにある。

前記目的を達成するため、本発明に係るゴルフクラブ群は、中空のウッド形状を備えたゴルフクラブ群であって、番手が大きくなるに従って重心距離が長く設定され、
クラブの長さをＬ(mm)、重心距離をＸ(mm)としたときに、３２０００<Ｌ・Ｘ<３６０００の式が成り立ち、
ヘッドのフェース側からバック側を幅とし、ヘッドのトウ側からヒール側を長さとしたときに、番手が大きくなるに従って長さの縮小率が幅の縮小率よりも小さく設定され、
前記重心距離の調整が肉厚の調整により行われることを特徴とするものである。
Ｌ・Ｘが３２０００以下であると掴まりがよ過ぎて引っ掛かり易くなる一方、３６０００以上であると掴まりが悪くなるためである。

前記肉厚調整を行う部位は、フェース、ソール、バック、クラウン或いはリーディングエッジであり、これらの各肉厚を相対的に変化させることによって調整することができる。例えば、番手が大きくなるに従って、ソールのトウ側の肉厚を他の部位に比べて厚くしたり、或いはヒール側の肉厚を相対的に薄くすることが例示できる。要するに、本発明は、ヘッドに対して重量を別途に付与することなく、ヘッドの構成部位自体の厚みによって重心距離の調整が行われる。

更に、本発明は、ロフトが１３°〜３０°とされたゴルフクラブ群に特に適用することができる。これらのロフトが、一般的にフェアウェイウッドと称されているウッド形状を備えたゴルフクラブに適用されているためである。

また、前記ゴルフクラブ群は、番手が大きくなるに従って、クラブ長さを０．７５インチ（１９ｍｍ）刻みで短く設定することが好ましい。
なお、本発明において、「番手が大きくなるに従って」とは、「３，４，５，７，９」の順番を主として含むが、例えば、「１，２，３，４，５」、「５，６，７，８．９」等の順番であってもよい。

本発明によれば、番手が大きくなるに従って重心距離が長く設定されているため、小さい番手のゴルフクラブは重心距離が短いものとなり、インパクトの際にヘッドを開いた状態にし難くする一方、大きい番手のゴルフクラブは、ヘッドを閉じた状態にし難くすることができる。すなわち、インパクトの瞬間において、スクウェアに戻すコントロールを容易なものとし、飛球線の正確性を向上させることが期待できる。また、番手の大きいゴルフクラブであっても、小さい番手のゴルフクラブの場合と同様のスイングでボールを打てるため、番手毎にショットの仕方を変更する必要がなく、一般ゴルファーにとって全体として打ち易いゴルフクラブ群として提供することが可能となる。

また、ヘッドは、番手が大きくなるに従って長さの縮小率が幅の縮小率よりも小さく設定される構成とした場合には、番手が大きいゴルフクラブでも重心距離を長くする際の設計上の困難性を克服することができる。

なお、従来タイプは、一般的に、番手が大きくなるに従って０．５インチ刻みでクラブ長さが短く設定されているが、本発明のように、クラブ長さを０．７５インチ刻みで短く設定する構成とすれば、番手が大きくなるに従って方向の正確性が一層強く要求される場合に対応したクラブ長とすることができ、前述した重心距離の設定と相俟ってショットの安定性を一層高めることが期待できる。

以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。

図１には、本発明に係るウッド形状を備えたゴルフクラブ群に適用されるヘッドの概略正面図が示され、図２には、フェース面側から見たヘッドの側面図が示されている。これらの図において、ヘッド１０は、フェース１１、ソール１２、バック１３及びクラウン１４を備え、内部に重心Ｇを有する中空構造に設けられている。重心Ｇとフェース１１との最短距離、すなわち重心Ｇをフェース１１に垂直に投影した点を重心位置Ｐとしたときに、当該重心位置Ｐと重心Ｇとの距離となる重心深度Ｄは各番手毎に設定されている。また、重心位置Ｐとクラブシャフト１５の軸線ＳＬとを直線で結ぶ最短距離が重心距離Ｘとされ、当該重心距離Ｘは、番手が大きくなるに従って長くなるように設定されている。

図３には、ヘッド１０の各番手をソール１２側から見た底面図が示されている。ここで、図３（Ａ）〜（Ｅ）は、いわゆるフェアウェイウッドと称される３番、４番、５番、７番及び９番のヘッドに対応したものである。同図に示されるように、ヘッド１０は、番手が大きくなるに従って、体積が小さくなるように形成されている。具体的には、フェース１１からバック１３までを幅Ｗとし、ヘッド１０のトウ１６からヒール１７までを長さＬ１としたときに、番手が大きくなるに従って長さＬ１の縮小率が幅Ｗの縮小率よりも小さく設定されている。つまり、ヘッド１０は、番手が大きくなるに従って相似形状を保ちながら小さくなるのではなく、縮小率において、長さＬ１に対して幅Ｗが相対的に小さくなる状態、いわゆる面長形状を保って体積が小さく設けられたものとなる。

図４には前記３番ないし９番のヘッドを有するフェアウェイウッドクラブの詳細が示され、図５には、図４に対応して重心距離の変化を示したグラフ図が、従来タイプ１，２（図６，７参照）のフェアウェイウッドとの比較において示されている、図４に示されるように、本実施形態に係るフェアウェイウッドは、３番手の重心距離Ｘを３０．５ｍｍとしたときに、４番、５番、７番、９番の順番で０．５ｍｍずつ重心距離Ｘが長く設定されているとともに、シャフトの中心線とソールとが交わる点からグリップの後端までの長さ、すなわちクラブ長さＬが、３番手を４３インチ（１０９２ｍｍ）としたときに、０．７５インチ（１９ｍｍ）ずつ短くなるように設定されている。

以上のゴルフクラブ群と、図６及び図７に示される従来タイプ１，２のフェアウェイウッドからなるゴルフクラブ群を用い、ゴルファー（ハンディ１０程度）１０人の試打による感応試験を行った。その結果、１０人とも、本実施形態における３番、４番の番手の小さいゴルフクラブは、ボールの掴まりが従来タイプ１，２に比べて良くなり、番手の大きい７番及び９番のゴルフクラブは、従来タイプに比べて掴まり過ぎが無くなり、全体としてコントロールし易いゴルフクラブ群であると答えた。

本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、形状のバランス、大きさ、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。

例えば、前記実施形態では、伝統的なウッド形状を備えた中空タイプのゴルフクラブ群について図示、説明したが、本発明は、アイアンゴルフクラブとの中間的な中空のヘッド形状を備えた、いわゆるユーティリティゴルフクラブ群にも適用することができる。

また、図示説明した最小番手は、３番に限らず、いわゆるドライバーと称される１番であってもよい。

ウッド形状を備えた中空ヘッドをトウ側から見た正面図。前記ヘッドをフェース側から見た側面図。（Ａ）〜（Ｅ）は、フェアウェイウッドを各番手毎のソール側底面図。本実施形態に係るゴルフクラブ群の各番手のスペックを示す図表。図４に示した各番手毎の重心距離を示した線図。比較例における従来タイプ１のゴルフクラブ群のスペックを示す図表。比較例における従来タイプ２のゴルフクラブ群のスペックを示す図表。

符号の説明

１０…ヘッド、１１…フェース、１２…ソール、１５シャフト、Ｇ…重心、Ｐ…重心位置、Ｘ…重心距離

Claims

中空のウッド形状を備えたゴルフクラブ群であって、番手が大きくなるに従って重心距離が長く設定され、
クラブの長さをＬ(mm)、重心距離をＸ(mm)としたときに、３２０００<Ｌ・Ｘ<３６０００の式が成り立ち、
ヘッドのフェース側からバック側を幅とし、ヘッドのトウ側からヒール側を長さとしたときに、番手が大きくなるに従って長さの縮小率が幅の縮小率よりも小さく設定され、
前記重心距離の調整が肉厚の調整により行われることを特徴とするゴルフクラブ群。
ロフトが１３°〜３０°であることを特徴とする請求項１記載のゴルフクラブ群。
番手が大きくなるに従って、クラブ長さを０．７５インチ刻みで短く設定したことを特徴とする請求項１又は２記載のゴルフクラブ群。