JP4563162B2 - ミクロ相分離構造体及びミクロ相分離体の製造方法 - Google Patents

ミクロ相分離構造体及びミクロ相分離体の製造方法 Download PDF

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本発明は、配向が制御されたブロックコポリマーのミクロ相分離体の製造方法及びそれからなる構造体に関するものである。さらに詳しくは半導体や光学フィルムなどの微細構造体の形成に有用な構造体に関する。
ブロックコポリマーとは、複数の繰り返しモノマー単位(ブロック)が途中で枝分かれすることなく、共有結合で直線的に結合した高分子化合物である。ブロックコポリマーを構成するブロックが互いに非相溶である場合、各ブロックの量比に応じて球、シリンダー、ラメラなどの秩序的なミクロドメイン構造を形成する。これをミクロ相分離と呼ぶ。
一般に基板上でブロックコポリマーのミクロ相分離構造を形成する場合、基板と親和性の良いブロックが基板に接しようとするため、ミクロ相分離は基板と平行な配向を持った構造になり易く、基板に垂直な方向に配向したラメラ構造を形成するのは困難である。
従来、基板に垂直に配向したラメラ構造を形成する方法としては、一方のブロックと親和性の良い選択的配向性界面と加熱部−冷却部を有する形成装置を用いる方法(特許文献1参照)や、所定の特性表面粗さ以上の基板上にブロックコポリマーを載置し、加熱する方法(特許文献2参照)があった。
また2枚の電極にブロックコポリマー薄膜を挟み電圧を印加させながら相分離を行わせる方法(非特許文献1参照)や、基板表面にブロックコポリマーを構成する各ブロックと等しい親和性を持つように処理する方法(非特許文献2参照)により基板に垂直に配向したラメラ構造を形成することも報告されている。
特開平10−330494号公報 特開2004−99667号公報 Karl Amundson, Effect of an Electric Field on Block Copolymer Microstructure, Macromolecules, アメリカ, American Chemical Society, 1991, Vol.24, No.24, p.6546-6548 E.Huang, Neutrality Conditions for BlockCopolymer Systems on Random Copolymer Brush Surface, Macromolecules, アメリカ, American Chemical Society, Vol.32, No.16, p.5299-5303
しかし、上記選択的配向性界面と加熱部−冷却部を有する形成装置を用いる方法では、相分離構造形成の速度は200nm/sec程度と非常に遅く、垂直配向ラメラ構造を生産性よく形成することは困難であり、特に大面積の垂直配向ラメラ構造を得ることは不可能に近い。また上記所定の特性表面粗さ以上の基板を用いる方法では、所定の特性表面粗さ以上の凹凸を基板上に設ける工程が増える上、所定の凹凸を制御よく均一に形成することは困難である。またブロックコポリマーフィルムを2枚の電極で挟み電圧を印加する方法は、電極を形成したり、電圧を印加したりする工程が増加する。また基板の各ブロックに対する親和性をコントロールする方法では、その用途に適したポリマーや表面処理方法を見出すのが困難であるという問題がある。更に、電圧を印加する方法及び基板の親和性をコントロールする方法では、基板面内の1方向に配向したラメラ構造を形成することは不可能である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡便な方法で基板に対して90°±20°の角度(基板法線方向)及び面内の1方向に配向したラメラ構造を有するミクロ相分離体を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
本発明の構造体は、熱可塑性樹脂基板と、前記熱可塑性樹脂基板上に形成された互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーで構成された膜からなるミクロ相分離体とを含み、前記熱可塑性樹脂基板及び前記ブロックコポリマーで構成された膜を共に延伸し、その後熱処理を施すことにより形成された構造体であって、前記ミクロ相分離体が互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーのラメラ構造であり、前記ラメラ構造が前記熱可塑性樹脂基板の主面に対して90°±20°の角度の範囲に配向し、かつ前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向にも配向していることを特徴とする。
本発明の構造体においては、前記熱可塑性樹脂基板は、表面に凹凸によるパターンが形成されていないことが好ましい。
本発明の構造体においては、前記ブロックコポリマーのポリマー鎖が、ポリスチレン及びポリブタジエンにより構成されていることが好ましい。
本発明の構造体においては、前記ブロックコポリマーが、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロックコポリマーであることが好ましい
本発明の構造体においては、前記ブロックコポリマーのポリマー鎖が、ポリスチレンとポリブタジエンとで構成され、前記ポリブタジエンの少なくとも一部が水添されていることが好ましい。
本発明のミクロ相分離体は、上記構造体に含まれることを特徴とする
本発明のミクロ相分離体の製造方法は、延伸可能な熱可塑性樹脂基板上に、互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーで構成された膜を形成する工程と、前記熱可塑性樹脂基板と共に前記ブロックコポリマーで構成された膜を延伸した後に、前記延伸後の形状を保持させた状態で熱処理を施すことにより、前記熱可塑性樹脂基板の主面に対して90°±20°の角度の範囲に配向し、かつ前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向にも配向しているラメラ構造で構成されたミクロ相分離体を前記熱可塑性樹脂基板上に形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のミクロ分離体の製造方法においては、前記熱可塑性樹脂基板は、表面に凹凸によるパターンが形成されていないことが好ましい。
本発明のミクロ分離体の製造方法においては、前記延伸によって、少なくとも前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向に配向したミクロ相分離構造を形成させることが好ましい。
本発明のミクロ分離体の製造方法においては、前記熱処理の温度が、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、最も高いガラス転移温度(Tg)を有するブロックのTg以上で、前記ブロックコポリマーの分解温度より低い温度であることが好ましい。
本発明のミクロ分離体の製造方法においては、前記熱可塑性樹脂基板が、非晶質ポリエチレンテレフタレートで構成されることが好ましい。
本発明によると、互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーからなる膜を基板と共に延伸した後、熱処理を施すことにより、基板の凹凸や均一性によらず、極めて簡便に、基板に対してほぼ垂直にラメラ構造が配向し、かつ基板面内方向の1方向にもラメラ構造が配向しているブロックコポリマーのミクロ相分離体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、基板13上にポリマーA11及びポリマーB12からなるブロックコポリマー10のミクロ相分離構造が形成されている図である。
ブロックポリマーA11及びブロックポリマーB12は互いに非相溶であり、ブロックコポリマー10は、それぞれの分子量などにより決定される厚みで交互に配置されたラメラ構造が形成された層となっている。z軸は基板13の法線方向に一致し、y軸はブロックコポリマー膜面内方向の配向方向に一致する。但し膜面内方向の配向は多少ばらつきがあるため平均的な方向をy軸とする。x軸はy軸とz軸の両軸に対して垂直な方向を示す。
まず「ラメラ構造が基板の主面に対して90°±20°の角度の範囲に配向(基板法線方向の配向)している」ことの意味を説明する。ブロックコポリマー膜をx−z平面で切断し、その断面を電子線透過型顕微鏡(TEM)などで観察する。基板に対して90°±20°の範囲にラメラ構造が配向している状態とは、ブロックポリマーA11とブロックポリマーB12との界面と、基板13に対する法線とが成す角度が±20°の範囲に存在することを意味する。
次に「ラメラ構造が基板面内方向の1方向にも配向している」ことの意味を説明する。図2は、ブロックコポリマー膜表面を走査型プローブ顕微鏡(SPM)で観察したときの模式図である。基板面内方向の1方向に配向した状態とは、SPMなどの方法で基板上に形成されたブロックコポリマー膜の表面(x−y平面)を観察したとき、形成されているミクロ相分離構造が全体的に見て1方向(y軸方向)に配向している状態を表している。さらに具体的に言えば、形成されたラメラ構造の周期の50倍から100倍程度の長さを1辺とする矩形の領域をSPMで観察し、観察した像の上に適当な直線A−Bを書き、その直線と、矩形領域中でランダムに抽出したいくつかのラメラ層の配向方向と、の成す角度を測定する。測定した角度の平均値を配向角と定義する。そして、抽出したラメラ層の配向方向と直線A−Bとの間のそれぞれの成す角がこの配向角を中心に±30°の範囲に入るかどうかを調べ、抽出したラメラ層全層のうち70%以上の層がその範囲に含まれるとき、その状態を基板面内方向の1方向に配向した状態という。例えば、図2においては、直線A−Bと、ランダムに抽出したラメラ層の配向方向と、の成す角がθ+β°、θ°、θ−α°であるので、平均値である配向角は、{3θ+(β−α)}/3°である。したがって、抽出したラメラ層について、それら層の配向方向と直線A−Bとの成す角が{3θ+(β−α)}/3±30°の範囲にあるかどうかを調べ、抽出したラメラ層の70%以上がこの範囲に属するかどうかを判断する。なお、20nmの周期を有するラメラ構造の場合、1辺が1μmから2μmの領域をSPMで観察して行う。
本発明に用いられる基板は、延伸可能な熱可塑性樹脂で構成されている。熱可塑性樹脂からなる基板として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、環状ポリオレフィンなどのフィルムが挙げられ、非晶質のPETフィルムが好ましい。
基板の形態は限定されるものではなく、任意の形態の基板を用いることができる。中でも、基板の表面が、平坦で均一なものが好ましい。平坦とは、凹凸によるパターンが形成されていないことを意味する。例えば、基板上に形成されるブロックコポリマーのラメラ間距離と同等の周期を有する凹凸が存在するような基板は平坦な基板に該当しない。均一とは、化学的な特性の分布がほとんどないことを意味する。例えば、X線照射などによって基板表面に界面エネルギーの異なる領域からなるパターンを形成したような基板は均一に該当しない。
本発明のミクロ相分離体に用いられるブロックコポリマーは、互いに非相溶である2種以上のポリマーから形成されており、延伸、又は延伸及び延伸後の熱処理によりミクロ相分離を起こし、ラメラ構造を形成し得るものである。
このようなブロックコポリマーとして、例えば、スチレンとブタジエン、スチレンとメタクリル酸メチル、スチレンと酢酸ビニル、スチレンと塩化ビニルなどの、ブロックコポリマーを形成するモノマーの組み合わせによって形成されたポリマーが使用できる。また2個のブロックからなるジブロックコポリマーだけではなく、スチレン−ブタジエン−スチレンなどの3個以上のブロックからなるブロックコポリマーも使用できる。またブタジエンのようなオレフィン性の二重結合を有するブロックを含むブロックコポリマーを水添したブロックコポリマーの使用も可能である。またラメラ構造を形成するためには、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの体積分率は0.2〜0.8が好ましく、より好ましくは0.25〜0.75である。
ブロックコポリマーの膜を基板上に形成する方法としては、ブロックコポリマーを溶剤に溶かした溶液を用い、基板へスピンコート、バーコート、ディップコートなどの各種塗布方法で形成可能である。また基板と共にブロックコポリマーを共押出しすることによって、基板上にブロックコポリマーの膜を形成することも可能である。
基板上に形成されたブロックコポリマー膜を延伸した後、延伸後の形状を保つよう固定しながら熱処理を行うことにより、基板と垂直な方向及び基板面内方向の1方向に配向したラメラ構造を形成することが可能である。このとき使用される基板は平坦で均一なものである必要はない。
延伸は、基板が延伸可能な温度に、基板と基板上に設けられたブロックコポリマー膜を加熱し、基板とブロックコポリマーを同時に延伸する。この延伸のために行う加熱の時間は、基板全体が延伸可能な温度に到達しさえすれば良く、基板の厚みや材質にもよるが、ホットプレートや加熱ローラーに接触させるなどの基板温度が昇温しやすい場合は1秒以上、ドライヤーによる加熱などの基板温度が昇温しにくい場合は5秒以上が好ましい。また基板面内方向の配向を揃えるためには、延伸のために行う加熱は短い方がよく、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下にすべきである。
延伸は、基板面内方向のラメラ構造を配向させたい方向に行う。延伸は、少なくとも基板面内方向の1方向に配向したミクロ相分離構造を形成できるように、温度、加熱条件、延伸速度を適宜設定して行う。このとき得られるミクロ相分離構造は、完全なラメラ構造である必要はなく、部分的に途切れたラメラ構造であってもよく、シリンダー構造などの別な相分離構造であっても良い。
基板面内方向の、ラメラ構造を配向させたい方向と、ラメラ構造を配向させたい方向に対して垂直な方向へも同時、または逐次の延伸を行うことも可能である。但しその場合、基板面内方向のラメラ構造を配向させたい方向への延伸倍率は、ラメラ構造を配向させたい方向に対して垂直な方向の延伸倍率に対して2倍以上でなければならない。ラメラ構造を配向させたい方向への延伸倍率は1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。
延伸後の熱処理は、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの中で最も高いガラス転移温度(Tg)以上、ブロックコポリマーの熱分解温度より低い温度で行うことが好ましい。熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、数分から数十時間の間で行われる。熱処理は、延伸によって引き伸ばされた形態を保持するため、枠に固定したり、ローラーとローラーの間で張力をかけたりしながら行う。
以上述べたように、基板上に、互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーからなる膜を形成し、延伸により少なくても一部にミクロ相分離構造を形成させ、これを熱処理することにより、基板に垂直かつ面内の一方向に配向したラメラ構造を得ることができる。
本発明のミクロ相分離体を用いると、ナノサイズの微細周期構造体形成、例えばブロックコポリマーを構成する互いに非相溶なポリマーの一方を選択的に除去して周期的な凸凹を形成したり、その凸凹を利用して基板などをエッチングするなどの加工が可能になる。具体的には回折格子などの光学部材や、光ディスクなどの記録媒体に使用することができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1041(スチレンとブタジエンとのブロックコポリマーの二重結合を水添したトリブロックコポリマー。スチレンとブタジエンの重量比はスチレン30に対してブタジエン70)をブロックコポリマーとして、帝人化成製A−PET(0.5mm厚)を基板として用いた。タフテックH1041のTgは、温度に対する動的粘弾性の変化の変曲点を求める方法で測定した。動的粘弾性の測定は、粘弾性測定装置DVE−V4(レオロジ株式会社製、商品名)を用い、振動周波数35Hz、昇温速度1℃/分、測定温度−100℃〜150℃の範囲で、熱プレス圧縮成型で得た厚さ0.5mmのシートをサンプルとして測定した。熱プレス圧縮成型は、温度200℃、圧力150kg/cm2、圧縮時間5分で行った。実際に測定したタフテックH1041の動的粘弾性の変曲点は−57℃及び82℃の2箇所に存在し、それぞれブタジエン、スチレンのTgに相当する。タフテックH1041をシクロヘキサンに溶かし、固形分濃度2.5wt.%の塗布溶液を作製した。この塗布溶液を幅2cm、長さ5cmに切り出した基板上にスポイトで適量滴下し、およそ均一な膜厚になるよう広げ、室温にて放置し溶媒を揮発させた。
上記サンプルを150℃のホットプレート上に乗せて10秒程度加熱し、基板が延伸可能な程度に柔らかくなった所でサンプルの両端をピンセットで挟み(挟みしろが各端1cmあるため延伸可能な部分の長さは3cm)、ピンセット間が6cmになるまで延伸した(延伸倍率2倍)。延伸を行ったサンプルを金枠で挟んで固定し、130℃の熱プレス機で4時間熱処理を行った。スチレンとブタジエンのTgは、それぞれおよそ82℃と−57℃であり、今回行った熱処理の温度130℃は、何れのブロックのTgよりも高い温度である。またサンプルを固定した金枠はサンプルの端だけを固定できるようサンプル長さより少し短い幅の穴があけられている。
図3は、金枠にサンプルをセットしたときの模式図である。サンプル31を2枚の穴のあいた金枠32に挟み、クランプなどでサンプル31がずれないようにしっかりと固定する。
図4は、熱処理を終了したサンプルの表面を観察したSPM像(位相像)である。図4において、y軸方向が延伸方向である。y軸に沿って濃淡の線が交互になって直線的に延びていることがよく分かる。濃い線はブタジエンから成る層、薄い線はスチレンから成る層である。延伸方向に非常によく配向した相分離構造が形成されている。
図5は延伸方向に対して垂直な断面(x−z面)を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)像であり、基板52上にブロックコポリマー層51が形成されている。このTEM観察を行ったサンプルは四酸化ルテニウムにより染色を行っており、黒く染色された部分がスチレンから成る層である。スチレンから成る層及びブタジエンから成る層が交互に、基板に対して垂直に配向している。図4及び図5の結果より上記サンプルは基板に垂直かつy軸方向に配向したラメラ構造であることが分かる。
(比較例1)
旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1041(スチレンとブタジエンとのブロックコポリマーの二重結合を水添したトリブロックコポリマー。スチレンとブタジエンの重量比はスチレン30に対してブタジエン70)をブロックコポリマーとして、帝人化成製A−PET(0.5mm厚)を基板として用いた。タフテックH1041をシクロヘキサンに溶かし、固形分濃度2.5wt.%の塗布溶液を作製した。この塗布溶液を幅2cm、長さ8cmに切り出した基板上にスポイトで適量滴下し、およそ均一な膜厚になるよう広げ、室温にて放置し溶媒を揮発させた。上記サンプルに対して延伸を行わずに、金枠で挟んで固定し、130℃の熱プレス機で4時間熱処理を行った。
図6は、熱処理を終了したサンプルの表面を観察したSPM像である。相分離構造は形成されているが、延伸を行っていないため全く配向していない。図7は、基板法線と平行な断面を観察したTEM像である。基板72上にブロックコポリマー層71が形成されている。図5と同様、四酸化ルテニウムによる染色を行っておりスチレン相が黒く染色されている。スチレン相が線状や球状に見える領域が混在しており、このことから形成されているミクロ相分離構造はシリンダー構造であると考えられる。
(比較例2)
旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1041(スチレンとブタジエンとのブロックコポリマーの二重結合を水添したトリブロックコポリマー。スチレンとブタジエンの重量比はスチレン30に対してブタジエン70)をブロックコポリマーとして、帝人化成製A−PET(0.5mm厚)を基板として用いた。タフテックH1041をシクロヘキサンに溶かし、固形分濃度2.5wt.%の塗布溶液を作製した。この塗布溶液を幅2cm、長さ8cmに切り出した基板上にスポイトで適量滴下し、およそ均一な膜厚になるよう広げ、室温にて放置し溶媒を揮発させた。
上記サンプルを150℃のホットプレート上に乗せて10秒程度加熱し、基板が延伸可能な程度に柔らかくなった所でサンプルの両端をピンセットで挟み(挟みしろが各端1cmあるため延伸可能な部分の長さは3cm)、ピンセット間が6cmになるまで延伸した(延伸倍率2倍)。
図8は、延伸処理を終了したサンプルの表面を観察したSPM像である。図8において、y軸方向が延伸方向である。SPM像を見ると、延伸のみ行ったサンプルはほぼy方向に配向しているが、スチレン相の長さは非常に短い。
(比較例3)
旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1041(スチレンとブタジエンとのブロックコポリマーの二重結合を水添したトリブロックコポリマー。スチレンとブタジエンの重量比はスチレン30に対してブタジエン70)をブロックコポリマーとして、帝人化成製A−PET(0.5mm厚)を基板として用いた。タフテックH1041をシクロヘキサンに溶かし、固形分濃度2.5wt.%の塗布溶液を作製した。この塗布溶液を幅2cm、長さ8cmに切り出した基板上にスポイトで適量滴下し、およそ均一な膜厚になるよう広げ、室温にて放置し溶媒を揮発させた。上記サンプルに対して延伸を行わずに、金枠で挟んで固定し、130℃の熱プレス機で4時間熱処理を行った。
熱処理を行った後、サンプルを150℃のホットプレート上に乗せて10秒程度加熱し、基板が延伸可能な程度に柔らかくなった所でサンプルの両端をピンセットで挟み(挟みしろが各端1cmあるため延伸可能な部分の長さは3cm)、ピンセット間が6cmになるまで延伸した(延伸倍率2倍)。
図9は、延伸後のサンプルの表面を観察したSPM像である。延伸はy軸方向に行った。相分離構造は形成されているが、延伸を行っているにも関わらずほとんど配向していないことがわかる。
本発明のミクロ相分離体は、ナノサイズの微細周期構造体形成を可能とし、回折格子などの光学部材や、光ディスクなどの記録媒体に使用することができる。
本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の構成を示す斜視図である。 基板に垂直及び面内方向の一方向に配向したミクロ相分離構造体の模式図である。 金枠にサンプルをセットしたときの模式図である。 実施例1の表面のSPM像である。 実施例1の延伸方向と垂直な断面のTEM像である。 比較例1の表面のSPM像である。 比較例1の基板法線と平行な断面のTEM像である。 比較例2の表面のSPM像である。 比較例3の表面のSPM像である。
符号の説明
10 互いに非相溶であるブロックコポリマーAとブロックポリマーBのミクロ相分離によって形成された層
11 ブロックポリマーA
12 ブロックポリマーB
13 基板
31 延伸されたサンプル
32 穴のあいた金枠
51 ブロックコポリマー膜
52 基板
71 ブロックコポリマー膜
72 基板

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂基板と、前記熱可塑性樹脂基板上に形成された互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーで構成された膜からなるミクロ相分離体とを含み、前記熱可塑性樹脂基板及び前記ブロックコポリマーで構成された膜を共に延伸し、その後熱処理を施すことにより形成された構造体であって、前記ミクロ相分離体が互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーのラメラ構造であり、前記ラメラ構造が前記熱可塑性樹脂基板の主面に対して90°±20°の角度の範囲に配向し、かつ前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向にも配向していることを特徴とする構造体。
  2. 前記熱可塑性樹脂基板は、表面に凹凸によるパターンが形成されていないことを特徴とする請求項1記載の構造体。
  3. 前記ブロックコポリマーのポリマー鎖が、ポリスチレン及びポリブタジエンにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造体。
  4. 前記ブロックコポリマーが、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロックコポリマーであることを特徴とする請求項記載の構造体。
  5. 前記ブロックコポリマーのポリマー鎖が、ポリスチレンとポリブタジエンとで構成され、前記ポリブタジエンの少なくとも一部が水添されていることを特徴とする請求項又は請求項記載の構造体。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載の構造体に含まれることを特徴とするミクロ相分離体。
  7. 延伸可能な熱可塑性樹脂基板上に、互いに非相溶であるポリマー鎖を持つブロックコポリマーで構成された膜を形成する工程と、前記熱可塑性樹脂基板と共に前記ブロックコポリマーで構成された膜を延伸した後に、前記延伸後の形状を保持させた状態で熱処理を施すことにより、前記熱可塑性樹脂基板の主面に対して90°±20°の角度の範囲に配向し、かつ前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向にも配向しているラメラ構造で構成されたミクロ相分離体を前記熱可塑性樹脂基板上に形成する工程と、を具備することを特徴とするミクロ相分離体の製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂基板は、表面に凹凸によるパターンが形成されていないことを特徴とする請求項7記載のミクロ相分離体の製造方法。
  9. 前記延伸によって、少なくとも前記熱可塑性樹脂基板の面内方向の1方向に配向したミクロ相分離構造を形成させることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のミクロ相分離体の製造方法。
  10. 前記熱処理の温度が、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、最も高いガラス転移温度(Tg)を有するブロックのTg以上で、前記ブロックコポリマーの分解温度より低い温度であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載のミクロ相分離体の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂基板が、非晶質ポリエチレンテレフタレートで構成されることを特徴とする請求項から請求項10のいずれかに記載のミクロ相分離体の製造方法。
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