JP4561855B2 - 表示装置及びその駆動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表示画素に発光素子を用いた表示装置に関し、特に、発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を用いた表示装置に関する。
発光素子である有機EL素子は、基板上にアノード、EL層、カソードの順に積層した積層構造となっており、アノードとカソードとの間に電圧が印加されるとEL層に正孔及び電子が注入され、EL層で電界発光する。EL層の発光が有機EL素子の設けられている基板を光透過して出射するように設計したEL素子をボトムエミッション型といい、一方、有機EL素子が設けられている基板と反対側から外部に出射するように設計したEL素子をトップエミッション型という。
一方、有機EL素子を用いた有機ELディスプレイは、大きく分けて、パッシブ駆動方式のものと、アクティブマトリクス駆動方式のものに分類することができる。アクティブマトリクス駆動方式の有機ELディスプレイは、非常に高いコントラストや広視野角特性さらには優れた動画特性など、極めて優れた表示特性を有している。
また、消費電力に関しても、有機ELディスプレイは自発光デバイスであり、表示点灯率(Average Picture Level)を制御することで低消費電力化を図ることが可能である。さらに、ディマー機能(自動調光機能)を持たせることにより、例えば使用時と待機状態時によって最大輝度を変化させるような処理(ABC: Automatic Brightness Control)をすると、有機EL素子の発光に消費される電力を抑えることができる。
アクティブマトリクス駆動方式の有機ELディスプレイでは、一画素につき一又は複数の薄膜トランジスタが設けられており、薄膜トランジスタによって有機EL素子を発光させる。例えば、特許文献1に記載されたディスプレイパネルにおいては、表示データに応じた信号電圧がゲート電極に印加されて有機EL素子に電流を流す駆動トランジスタと、この駆動トランジスタのゲート電極に表示データに応じた信号電圧を供給するためのスイッチングを行う選択トランジスタとの、2つの薄膜トランジスタが画素ごとに設けられている。
特開2002−156923号公報
ところで、有機EL素子を発光させる電流に関しては、有機ELディスプレイ全面最大発光時に必要な電流値とディマー時に必要な電流値との間に例えば2桁以上の差異がある。従って、高輝度表示を可能にするように駆動回路を設計すると、ディマー時の駆動回路の消費電力が最適化されないという問題が生じる。ディマー時の低輝度側使用の方が常態であるようなアプリケーションにおいては、この問題は重大である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、高輝度表示と低消費電力を両立できる表示装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明による表示装置は、
発光素子を有する表示画素を有し、該表示画素を表示データに応じて駆動する表示装置であって、
前記表示データが最高階調であるときに前記表示画素の前記発光素子に設定される最高輝度が第1の輝度に設定される第1の表示モードと、前記最高輝度が、前記第1の輝度より低い第2の輝度に設定される第2の表示モードと、を有し、
前記発光素子を前記表示データに応じた輝度で発光させる駆動信号を前記表示画素に供給し、発光駆動電圧を前記表示画素に印加する駆動回路と、
前記発光素子を前記第1の輝度に設定するための第1の電圧値を有する第1発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成する第1の電源回路と、
前記発光素子を前記第2の輝度に設定するための第2の電圧値を有する第2発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成する第2の電源回路と、
前記表示モードの切り替えに対応して、前記駆動回路に前記発光駆動電圧を供給する電源回路を、前記第1の電源回路又は前記第2の電源回路の何れかに切り替える切替回路と、
を備え、
前記第1の電源回路は、前記発光素子の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて前記第1発光駆動電圧を生成し、
前記第2の電源回路は、前記駆動回路のロジック回路の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて前記第2発光駆動電圧を生成することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明による表示装置において、
前記表示装置は、行方向に配設された複数の選択ラインと、列方向に配設された複数のデータラインと、前記複数の表示画素に共通に接続された電源ラインと、を有し、前記各データラインと前記各選択ラインとの各交点近傍に前記複数の表示画素が2次元配列された表示エリアを有し、
前記駆動回路は、前記複数の電源回路の何れかから前記発光駆動電圧が供給され、前記電源ラインに該発光駆動電圧を印加する電源駆動回路を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明による表示装置において、
前記各表示画素は、少なくとも、前記発光素子と、電流路の一端に前記発光素子が接続され、前記電流路の他端又は前記発光素子の他端の一方が前記電源ラインに接続されて、前記電流路の他端と前記発光素子の他端との間に前記発光駆動電圧が印加され、前記電流路を介して前記発光素子に前記表示データに応じた駆動電流を供給する駆動トランジスタと、を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明による表示装置において、
前記切替回路は、前記表示データに応じて前記各表示画素の前記各発光素子に設定される発光輝度の最高値に応じて、前記駆動回路に前記発光駆動電圧を供給する電源回路を、前記第1の電源回路又は前記第2の電源回路の何れかに切り替えることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明による表示装置において、
前記第1の電源回路及び前記第2の電源回路は、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を有する前記発光駆動電圧の他、前記表示画素の駆動用の複数の電圧値を有する複数の駆動用電圧を生成することを特徴とする。
また、前記の目的を達成するために、本発明の請求項6記載の発明による表示装置の駆動方法は、
発光素子を有する表示画素を表示データに応じて駆動する表示装置の駆動方法であって、
前記表示装置は、前記表示データが最高階調であるときに前記表示画素の前記発光素子に設定される最高輝度が第1の輝度に設定される第1の表示モード、及び、前記最高輝度が、前記第1の輝度より低い第2の輝度に設定される第2の表示モードと、前記表示画素に印加する発光駆動電圧を生成する電源回路として第1の電源回路と第2の電源回路とを有し、
前記表示モードの切り替えに応じて、前記表示モードが前記第1の表示モードであるとき、前記電源回路として前記第1の電源回路を選択するように切り替え、該第1の電源回路において、前記発光素子の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて、前記発光素子を前記第1の輝度に設定するための第1の電圧値を有する第1発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成して、前記表示画素に印加し、
前記表示モードが前記第2の表示モードであるとき、前記電源回路として前記第2の電源回路を選択するように切り替え、該第2の電源回路において、前記駆動回路のロジック回路の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて、前記発光素子を前記第2の輝度に設定するための第2の電圧値を有する第2発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成して、前記表示画素に印加することを特徴とする。
本発明によれば、複数の電源回路を切り替えて使用することにより、高輝度表示と低消費電力を両立できる表示装置を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる一実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス駆動方式のディスプレイモジュール10の概略構成を示す図である。
該ディスプレイモジュール(表示装置)10は、複数の画素をマトリクス状に配列した表示エリア12と、該表示エリア12近傍に配置されたドライバ回路(駆動回路部)14とを備える。
表示エリア12は、互いに平行となるように配列されたn本(複数本)のデータライン16と、該データライン16に対して直交し且つ互いに平行となるように配列されたm本(複数本)のゲートライン18と、該ゲートライン18のそれぞれの間においてゲートライン18と平行となるように配列されたm本(複数本)のアノードライン20と、前記データライン16及びゲートライン18に沿ってマトリクス状となるよう配列された複数(m×n)の表示画素Pxと、所定の電位(例えば、アナロググランドVSSA)が印加される共通配線22と、を備える。なお、前記m,nは2以上の自然数である。
前記データライン16には、ドライバ回路14のデータドライバ(データ駆動回路)24から、表示データに応じた信号電圧である駆動電圧(駆動信号)が印加される。また、前記ゲートライン18には、ドライバ回路14のゲートドライバ(ゲート駆動回路)26から、ハイレベルがゲート選択電圧VGHで、ローレベルがゲート非選択電圧VGLの電位を持つ走査電圧であるゲート出力が印加される。そして、前記アノードライン20には、ドライバ回路14のアノードドライバ(電源駆動回路)28から、ハイレベルが発光駆動電圧Vsc_L又はVsc_Hで、ローレベルが例えばアナロググラウンドVSSAの電位を持つアノード出力が印加される。なお、この発光駆動電圧Vsc_L,Vsc_Hについては後述する。
前記表示画素Pxは何れも同一に構成されているので、図1では代表して1つのみを示している。
表示画素Pxは、発光素子としての有機EL素子30と、有機EL素子30の近傍に配置された、例えば2つのNチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(以下単にトランジスタと記述する。)M1,M2と、キャパシタC_sと、を備えて構成された画素駆動回路と、を備える。以下では、トランジスタM1を選択トランジスタM1と、トランジスタM2を駆動トランジスタM2と称する。また、キャパシタC_sを保持容量C_sと称する。
選択トランジスタM1においては、そのソース電極がデータライン16に接続され、ドレイン電極が駆動トランジスタM2のゲート電極及び保持容量C_sの一方の電極に接続され、ゲート電極がゲートライン18に接続されている。
駆動トランジスタM2においては、そのドレイン電極が有機EL素子30のカソード電極に接続され、ゲート電極が保持容量C_sの一方の電極に接続され、ソース電極が共通配線22に接続されている。
有機EL素子30においては、そのカソード電極が駆動トランジスタM2のドレイン電極に接続され、アノード電極がアノードライン20に接続されている。
一方、ドライバ回路14においては、前述したデータドライバ24、ゲートドライバ26及びアノードドライバ28に加え、インターフェイス(以下、I/Fと略記する。)ブロック32、ロジック電源生成回路34、タイミングジェネレータ(以下、TGと略記する。)36、ロジック回路38及び駆動電源生成回路40を備える。
I/Fブロック32は、外部から供給されるインターフェイス発光駆動VDDIOによって動作するもので、デジタルデータとして外部から送られてくる映像信号データ入力や制御コマンド等を受けて、ロジック回路38に供給する。ロジック電源生成回路34は、外部から供給されるロジック電源電圧VDDDを基に前記ロジック回路38を動作させるためのロジック電圧を生成する。TG36は、外部から供給されるドットクロックDCLKに基づいて、ロジック回路38及び駆動電源生成回路40の動作タイミングを制御する。
ロジック回路38は、前記I/Fブロック32からのデジタルデータに従って、前記データドライバ24、ゲートドライバ26及びアノードドライバ28の制御を行う。
即ち、前記ゲートドライバ26は、駆動電源生成回路40で生成されたゲート選択電圧VGH及びゲート非選択電圧VGLを用いて、前記表示エリア12における各ゲートライン18に順次走査信号電圧(ゲート出力)を印加して、各行の各表示画素Pxを順次選択状態に設定する走査駆動手段であり、前記ロジック回路38は、その走査タイミングを制御する。
また、前記データドライバ24は、駆動電源生成回路40で生成されたデータドライバ駆動電源電圧VEEを用いて、前記ゲートドライバ26によって選択状態に設定された表示エリア12の行の各表示画素Pxに対して表示データに応じた信号電圧である駆動電圧を生成して供給する信号駆動手段であり、前記ロジック回路38は、外部からの映像信号データ入力に基づいて表示データを生成する。なお、データドライバ24は、特に図示はしていないが、予め設定された複数の階調電圧に基づいて表示信号の階調値に応じた信号電圧を生成するD/Aコンバータと、駆動電圧の階調毎の値(γ特性と呼ぶ)を適宜設定するγ回路と、を有しており、前記複数の階調電圧が前記駆動電源生成回路40からのデータドライバ駆動電源電圧VEEを基に生成される。
前記アノードドライバ28は、駆動電源生成回路40で生成された発光駆動電圧Vsc_L,Vsc_Hを用いて、アノード出力をアノードライン20に印加するものであり、前記ロジック回路は、その印加タイミングを制御する。
前記駆動電源生成回路40は、外部から供給されるアナログ電源Vsc,VDDAを基に、当該ディスプレイモジュール10の各部に供給する各種電圧を生成する。即ち、前記データドライバ24に供給するデータドライバ駆動電源電圧VEE、前記ゲートドライバ26に供給するゲート選択電圧VGH及びゲート非選択電圧VGL、前記アノードドライバ28に供給する発光駆動電圧Vsc_L,Vsc_H、等を生成する。
以上のような構成を有するディスプレイモジュール10では、表示エリア12の各表示画素Pxにおいて、画素駆動回路の2個のトランジスタM1,M2をオン、オフ制御することにより、以下に示すように、有機EL素子30を発光制御するように構成されている。
即ち、表示画素の選択期間においては、前記ドライバ回路14のゲートドライバ26から特定の行のゲートライン18に対して、ハイレベル(ゲート選択電圧VGH)のゲート出力が印加されると共に、前記ドライバ回路14のアノードドライバ28から当該行のアノードライン20に対して、ハイレベルの発光駆動電圧Vsc_L又はVsc_Hが印加される。また、このタイミングに同期して、データドライバ24により取り込まれた当該行の各表示画素に対応する表示データの輝度階調に応じた電圧値を有する駆動電圧が各データライン16に供給される。
これにより、表示画素Pxの画素駆動回路を構成する選択トランジスタM1がオン動作して、データライン16を介して駆動電圧が駆動トランジスタM2のゲート電極及び保持容量C_sの一方の電極に印加されることにより、保持容量C_sには、駆動電圧と共通配線22の電位(例えば、アナロググランドVSSA)間の電位差に相当する駆動トランジスタM2のゲート・ソース間の電圧Vgsに対応する電荷が蓄積され(書き込まれ)、電圧成分として保持される(充電される)とともに、駆動トランジスタM2のゲート・ソース間の電圧Vgsが上記の保持容量C_sの両端間の電圧となることにより、駆動トランジスタM2がオン動作して、アノードライン20から、有機EL素子30を介して、駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間に、ドレイン・ソース間電圧Vdsと上記ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流(ドレイン・ソース間電流Ids;駆動電流)が流れ、この駆動電流に応じて有機EL素子30が発光する。
次いで、表示画素の非選択期間においては、前記ドライバ回路14のゲートドライバ26から特定の行のゲートライン18に対して、ローレベル(ゲート非選択電圧VGL)のゲート出力が印加されて、画素駆動回路を構成する選択トランジスタM1がオフ動作して、保持容量C_sは、上述した選択期間において保持された電荷を保持する。これにより、駆動トランジスタM2のオン動作は継続され、駆動トランジスタM2のソース・ドレイン間には上記駆動電流が継続して流れ、有機EL素子30の発光動作は継続される。
これにより、書き込まれた表示データの輝度階調に応じた駆動電圧の電圧値に基づいて、駆動トランジスタM2を介して駆動電流が継続的に供給されて、有機EL素子30は表示データに対応する輝度階調で発光する動作を継続する。
そして、上述した一連の動作を、表示エリア12を構成する全ての行の表示画素について順次繰り返し実行することにより、表示エリア12の各表示画素が表示データに応じた輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
そして、本一実施形態においては、前記駆動電源生成回路40は、電源回路A42及び電源回路B44の2種類の電源回路を備えている。ここで、電源回路A42は、表示データが最高階調であるときに表示画素Pxの有機EL素子30に設定される最高輝度が比較的高く、出力電流が大きいときに機能させる電源回路であり、アナログ電源Vscを基に、データドライバ駆動電源電圧VEE、ゲート選択電圧VGH及びゲート非選択電圧VGL、高輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_H、等を生成する。また、電源回路B44は、表示データが最高階調であるときに表示画素Pxの有機EL素子30に設定される最高輝度が比較的低く、出力電流値が小さいときに機能させる電源回路であり、アナログ電源VDDAを基に、データドライバ駆動電源電圧VEE、ゲート選択電圧VGH及びゲート非選択電圧VGL、低輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_L、等を生成する。なお、アナログ電源Vscと高輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_H、低輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_L及びアナログ電源VDDAは、Vsc≧Vsc_H>Vsc_L≧VDDAという関係にある。
これら2種類の電源回路A42,B44は、前記ロジック回路38の選択により切り替えることで、何れか一方が選択的に使用される。即ち、本実施形態では、高輝度表示時(第1の表示モード)と低輝度表示時(第2の表示モード)に使用するアナログ電源の供給元そのものを切り替えるようにしている。
このことにより、高輝度表示が可能なモジュールでありながら、低輝度側使用が常態の場合にアナログ電源Vsc経路からの電源供給をストップすることで、アナログ電源VDDA経路での消費電力を最小に抑えることが可能となる。
さらに、低輝度表示時には、アノードライン20に印加する発光駆動電圧の電圧値を、高輝度発光時のVsc_Hよりも小さいVsc_Lとすることで、さらに消費電力を抑えることが可能になる。
なお、ロジック回路38による2種類の電源回路A42,B44の選択は、例えば、当該ディスプレイモジュール10を備える機器の動作状態に応じて、該ディスプレイモジュール10の外部からデジタルデータとして与えられる制御コマンドに応じて行うものであっても良いし、図示しない照度センサ等によって検出した周囲光の明るさに応じて行うようにしても良い。
次に、前記発光駆動電圧Vsc_L,Vsc_Hの電圧値について説明する。
図2は、表示画素Pxの画素駆動回路中の発光駆動電圧を決定する要因部分を抜き出した回路図である。図2に示すように、共通配線22がアナロググランドVSSAであるとき、アノードライン20と共通配線22間に発光駆動電圧Vsc_L又はVsc_Hが印加される。このとき、駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間の電圧がVdsであり、有機EL素子30のアノード・カソード電極間の電圧がVoledである。
上述の有機EL素子30の発光制御において、表示データが最高輝度階調で、駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間と有機EL素子30に最大駆動電流が流れるときに、駆動トランジスタM2が飽和領域で動作するように設定される。この場合、例えば有機EL素子30の特性変動による抵抗増加によって駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間電圧Vdsがある程度変動した場合でも、駆動電流の電流値が変化しないようにすることができる。このとき、発光駆動電圧Vsc_L及びVsc_Hの電圧値は、この発光制御を行う際に駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間電圧Vdsが、駆動トランジスタM2が飽和領域で動作するのに必要な電圧となる値に設定される。
図3(A)は、表示データが最高輝度階調であって、駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間に流れる最大駆動電流を1μAとした、高輝度表示の駆動での、駆動トランジスタM2のドレイン・ソース間電圧対ドレイン・ソース間電流特性(以下、Vds−Ids特性:太実線)と有機EL素子30の電圧対電流特性(以下、V−I特性:負荷特性;一点鎖線)の実測例を示す図であり、図3(B)は、同じく表示データが最高輝度階調であって、最大駆動電流を図3(A)の場合の1/10の100nAとした、低輝度表示の駆動での、駆動トランジスタM2のVds−Ids特性(実線)と有機EL素子30のV−I特性(負荷特性;一点鎖線)の実測例を示す図である。なお、各図において、Vds−Ids特性線上の点P1、P1’はピンチオフ電圧を示し、ドレイン−ソース間電圧Vdsが0Vからピンチオフ電圧までの領域は線形領域であり、ドレイン−ソース間電圧Vdsがピンチオフ電圧以上の領域は飽和領域である。
各図において、2つのカーブの交差点P2、P2’が駆動トランジスタM2の動作点となる。図3(A)は、Vsc=12Vで飽和領域上に動作点P2があるが、図3(B)では、Vsc=7Vにしても動作点P2’が飽和領域上に位置していることが分かる。このように、発光電流の最大値の変化に伴い、発光駆動電圧の電圧値を、高輝度表示状態又は低輝度表示状態での最大駆動電流を流すのに必要なだけの電圧値に変えることができる。従って、図3(A)に示した高輝度表示時においては、電源回路A42による高輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_Hとしては例えば12Vとし、図3(B)に示した低輝度表示時においては、電源回路B44による低輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_Lとしては例えば7Vとすれば良い。
上記の実測例において発光電流値が一桁異なるということは、アノードドライバ28の出力電流の差は最大−最小でさらに差が開くことになる。つまりは、高輝度側は全面点灯駆動が可能な電源回路を準備する必要があるが、ディマー調整時には全点灯ではなく実質の点灯状態で(5%から10%程度)最大効率になるように電源回路を設計することが可能である。
このように、高輝度表示が可能でありながら、実使用時に最も効率が良くなるように電源回路を適宜切り替えることにより、低消費電力駆動と高輝度表示を兼ね備えたディスプレイモジュールが10実現可能となる。
例えば、全画素数が1.6万画素(128×128)あるとする。1画素の電流が1μAのとき全点灯時に、アノードライン20に流れる電流値は16mAになる。これに対して、100nAの10%点灯だと160μAとなる。この際、電源回路A42は1桁分の電流出力範囲で高い変換効率が得られるように設計すればよい。逆に、電源回路B44側は、小出力電流で高い変換効率が得られるように設計すればよい。
また、電源回路として電源回路A42を使用して、高輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_Hを印加して使用しているときに、表示データに応じて各表示画素Pxの有機EL素子30に設定される発光輝度の最高輝度が、上記低輝度表示時における最高輝度に相当するものとなったときに、自動的に、使用する電源回路を電源回路B44に切り替えて、低輝度表示用の発光駆動電圧Vsc_Lを印加して使用するようにしてもよい。これによってパワーセーブを行うことができる。
図4は、前述したような12Vの発光駆動電圧Vsc_Hを生成する電源回路A42及び7Vの発光駆動電圧Vsc_Lを生成する電源回路B44の具体的な構成例を示す図である。これは、コンデンサベースのチャージポンプコンバータ(チャージポンプ回路)による昇圧型のスイッチング電源を用いた例である。
即ち、電源回路A42は、スイッチ(以下、SWと略記する)46、−1倍チャージポンプ回路48を備える。SW46は、前記ロジック回路38からの制御信号による選択に応じて、外部から供給されたアナログ電源Vscを後段に伝達するか否かを切り替える。なお、その切替タイミングは、前記TG36から与えられるスイッチング同期クロックCLKに同期して更に正確にタイミング調整される。−1倍チャージポンプ回路48は、前記SW46を介して供給されたアナログ電源Vscを−1倍昇圧する。
例えば、前記アナログ電源Vscは、当該ディスプレイモジュール10が組み込まれる機器の図示しない電源回路で生成された12VのEL駆動電源である。そこで、電源回路A42では、その12Vをそのままゲート選択電圧VGH、データドライバ駆動電源電圧VEE及び発光駆動電圧Vsc_Hとして出力する。また、−1倍チャージポンプ回路48により−1倍昇圧して−12V(実際には変換効率分のロスが存在する)のゲート非選択電圧VGLとして出力する。
また、電源回路B44は、SW52と、ロードロップアウトレギュレータ(以下、LDOレギュレータと略記する。)54と、3倍チャージポンプ回路56と、5倍チャージポンプ回路58と、−1倍チャージポンプ回路60,とを備える。SW52は、前記ロジック回路38からの制御信号による選択に応じて、外部から供給されたアナログ電源VDDAを後段に伝達するか否かを切り替える。なお、その切替タイミングは、前記TG36から与えられるスイッチング同期クロックCLKに同期して更に正確にタイミング調整される。LDOレギュレータ54は、入力された所定の電圧範囲内の電圧を一定のアナログ電圧にレギュレートして出力するものであって、前記SW52を介して供給されたアナログ電源電圧VDDAを所定の一定のアナログ電圧にレギュレートして出力する。3倍チャージポンプ回路56は、前記LDOレギュレータ54から出力された所定のアナログ電圧を3倍昇圧する。5倍チャージポンプ回路58は、前記LDOレギュレータ54から出力された所定のアナログ電圧を5倍昇圧する。−1倍チャージポンプ回路60は、前記5倍チャージポンプ回路58で昇圧されたアナログ電圧を−1倍昇圧する。
前記アナログ電源電圧VDDAとしては、例えば、当該ディスプレイモジュール10が組み込まれる機器で使用しているロジック電圧を利用する。このロジック電圧は、組み込まれる機器により電圧値が異なり、例えば2.5V〜3.3V程度の電圧が供給されることとなる。そこで、電源回路B44では、その2.5V〜3.3VをLDOレギュレータ54でレギュレートして、2.5Vの一定のアナログ電圧を得る。そして、その2.5Vのアナログ電圧を3倍チャージポンプ回路56で3倍昇圧して7.5V(実際には変換効率分のロスが存在する)の発光駆動電圧Vsc_Lとして出力する。また、前記2.5Vのアナログ電圧を5倍チャージポンプ回路58で5倍昇圧して12.5V(実際には変換効率分のロスが存在する)のゲート選択電圧VGH及びデータドライバ駆動電源電圧VEEとして出力する。さらに、この5倍チャージポンプ回路58で5倍昇圧して得た12.5V(実際には変換効率分のロスが存在する)のアナログ電圧を、−1倍チャージポンプ回路60により−1倍昇圧して−12.5V(実際には変換効率分のロスが存在する)のゲート非選択電圧VGLとして出力する。
なお、電源回路の構成はこれに限定されるものではなく、例えばインダクタベースのブーストコンバータによる昇圧型のスイッチング電源等、半導体プロセスでディスプレイモジュールに組み込み可能な電源であれば、どのようなものであっても構わない。
以上のような本一実施形態によれば、最大輝度のダイナミックレンジが大きなディマー処理が施されたアクティブマトリックス型ディスプレイモジュールにおいても、駆動トランジスタM2の飽和領域内で発光駆動電圧Vsc_L,Vsc_Hを制御すると共に、電源回路を2つ持つことで効率の最適な電源回路を選択することができるようにしたことによって、高輝度表示と低消費電力を両立できるようになる。
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
例えば、上記一実施形態では、電流制御方式の場合を説明したが、各表示画素に印加する電圧を調整することにより有機EL素子30に流す電流を制御して、所定の輝度階調で発光駆動させる電圧駆動方式を採る場合でも、同様に適用可能である。
また、表示画素Pxの画素駆動回路において、選択トランジスタM1と駆動トランジスタM2の2つのトランジスタを用いた場合を説明したが、3つ以上のトランジスタを用いる構成であっても構わない。
更に、表示モードを高輝度表示と低輝度表示の2段階として、これに対応して電源回路を2種類設け、発光駆動電圧を高輝度表示と低輝度表示とに応じて2段階に切り替えるものとしたが、表示モードを3段階以上として、これに対応して電源回路を3種類以上設け、表示モードに応じて発光駆動電圧を3段階以上に切り替えるものとしてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス駆動方式のディスプレイモジュールの概略構成を示す図である。 図2は、表示画素の画素駆動回路中の発光駆動電圧を決定する要因部分を抜き出した回路図である。 図3(A)は、最大発光電流が1μAの駆動でのトランジスタのVd−Id特性と有機EL素子のV−I特性の実測例を示す図であり、図3(B)は、最大発光電流が図3(A)の場合の1/10(100nA)の駆動でのトランジスタのVd−Id特性と有機EL素子のV−I特性の実測例を示す図である。 図4は、駆動電源生成回路における2つの電源回路の具体的な構成例を示す図である。
符号の説明
10…ディスプレイモジュール
12…表示エリア
14…ドライバ回路
16…データライン
18…ゲートライン
20…アノードライン
22…共通配線
24…データドライバ
26…ゲートドライバ
28…アノードドライバ
30…有機EL素子
32…インターフェイスブロック(I/Fブロック)
34…ロジック電源生成回路
36…タイミングジェネレータ(TG)
38…ロジック回路
40…駆動電源生成回路
42…電源回路A
44…電源回路B
46,52…スイッチ(SW)
48,60…−1倍チャージポンプ回路
54…ロードロップアウトレギュレータ(LDOレギュレータ)
56…3倍チャージポンプ回路
58…5倍チャージポンプ回路
C_s…保持容量
M1…選択トランジスタ
M2…駆動トランジスタ
Px…表示画素

Claims (7)

  1. 発光素子を有する表示画素を有し、該表示画素を表示データに応じて駆動する表示装置であって、
    前記表示データが最高階調であるときに前記表示画素の前記発光素子に設定される最高輝度が第1の輝度に設定される第1の表示モードと、前記最高輝度が、前記第1の輝度より低い第2の輝度に設定される第2の表示モードと、を有し、
    前記発光素子を前記表示データに応じた輝度で発光させる駆動信号を前記表示画素に供給し、発光駆動電圧を前記表示画素に印加する駆動回路と、
    前記発光素子を前記第1の輝度に設定するための第1の電圧値を有する第1発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成する第1の電源回路と、
    前記発光素子を前記第2の輝度に設定するための第2の電圧値を有する第2発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成する第2の電源回路と、
    前記表示モードの切り替えに対応して、前記駆動回路に前記発光駆動電圧を供給する電源回路を、前記第1の電源回路又は前記第2の電源回路の何れかに切り替える切替回路と、
    を備え、
    前記第1の電源回路は、前記発光素子の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて前記第1発光駆動電圧を生成し、
    前記第2の電源回路は、前記駆動回路のロジック回路の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて前記第2発光駆動電圧を生成することを特徴とする表示装置。
  2. 前記表示装置は、行方向に配設された複数の選択ラインと、列方向に配設された複数のデータラインと、前記複数の表示画素に共通に接続された電源ラインと、を有し、前記各データラインと前記各選択ラインとの各交点近傍に前記複数の表示画素が2次元配列された表示エリアを有し、
    前記駆動回路は、前記複数の電源回路の何れかから前記発光駆動電圧が供給され、前記電源ラインに該発光駆動電圧を印加する電源駆動回路を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 前記各表示画素は、少なくとも、前記発光素子と、電流路の一端に前記発光素子が接続され、前記電流路の他端又は前記発光素子の他端の一方が前記電源ラインに接続されて、前記電流路の他端と前記発光素子の他端との間に前記発光駆動電圧が印加され、前記電流路を介して前記発光素子に前記表示データに応じた駆動電流を供給する駆動トランジスタと、を備えることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
  4. 前記切替回路は、前記表示データに応じて前記各表示画素の前記各発光素子に設定される発光輝度の最高値に応じて、前記駆動回路に前記発光駆動電圧を供給する電源回路を、前記第1の電源回路又は前記第2の電源回路の何れかに切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
  5. 前記第1の電源回路及び前記第2の電源回路は、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を有する前記発光駆動電圧の他、前記表示画素の駆動用の複数の電圧値を有する複数の駆動用電圧を生成することを特徴とする請求項に記載の表示装置。
  6. 発光素子を有する表示画素を表示データに応じて駆動する表示装置の駆動方法であって、
    前記表示装置は、前記表示データが最高階調であるときに前記表示画素の前記発光素子に設定される最高輝度が第1の輝度に設定される第1の表示モード、及び、前記最高輝度が、前記第1の輝度より低い第2の輝度に設定される第2の表示モードと、前記表示画素に印加する発光駆動電圧を生成する電源回路として第1の電源回路と第2の電源回路とを有し、
    前記表示モードの切り替えに応じて、前記表示モードが前記第1の表示モードであるとき、前記電源回路として前記第1の電源回路を選択するように切り替え、該第1の電源回路において、前記発光素子の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて、前記発光素子を前記第1の輝度に設定するための第1の電圧値を有する第1発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成して、前記表示画素に印加し、
    前記表示モードが前記第2の表示モードであるとき、前記電源回路として前記第2の電源回路を選択するように切り替え、該第2の電源回路において、前記駆動回路のロジック回路の駆動用に外部より供給される電圧に基づいて、前記発光素子を前記第2の輝度に設定するための第2の電圧値を有する第2発光駆動電圧を前記発光駆動電圧として生成して、前記表示画素に印加することを特徴とする表示装置の駆動方法。
  7. 前記表示モードが前記第1の表示モードであるとき前記第1の電源回路を選択するように切り替え、第2の表示モードであるとき前記第2の電源回路を選択するように切り替える動作は、
    前記表示データに応じて前記各表示画素の前記発光素子に設定される発光輝度の最高値に応じて、前記表示画素に前記発光駆動電圧を供給する電源回路を、前記第1の電源回路又は前記第2の電源回路の何れかに切り替える動作を含むことを特徴とする請求項記載の表示装置の駆動方法。
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