JP4558302B2 - 搬送用平ベルト - Google Patents

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Description

この発明は、紙葉類等の搬送に用いられる搬送用平ベルトに関するものである。
従来の搬送用平ベルトは、ピッチラインとなる芯体に直接又はエラストマーを介してスパン糸や撚り数の多いフィラメント糸を使用して成る織布を配して構成されている(例えば特許文献1。)。
しかしながら、上記搬送用平ベルトでは、ベルト走行時の低摺動音化が図れるというメリットがあるものの、ベルト長手方向の伸縮性が乏しく且つ柔軟性が十分でないため、小径(例えば、プーリ径が25mm程度以下)のプーリへのレイアウトに対応できないという問題があった。すなわち、上記搬送用平ベルトでは、小径のプーリに張設した場合には短期間で、織布の層とこれと隣合う層との間において剥離が発生したり、また、織布におけるベルト長手方向の糸が切れるという事態が生じる。
特開平9−169416号公報
そこで、この発明では、小径のプーリに張設した場合において、ベルトを構成する層間での剥離の発生、及び織布におけるベルト長手方向の糸の切断を抑制できる搬送用平ベルトを提供することを課題とする。
(請求項1記載の発明)
請求項1記載の発明の搬送用平ベルトは、芯体を有し、前記芯体以外の部分は、エラストマーとベルト長手方向に伸縮性のある織布のうち、少なくとも前記織布から構成されている。
(請求項2記載の発明)
請求項2記載の発明の搬送用平ベルトは、芯体を有し、前記芯体以外の部分は、エラストマーと伸縮性のある編布のうち、少なくとも前記編布から構成されている。
(請求項3記載の発明)
請求項3記載の発明の搬送用平ベルトは、上記請求項1記載の発明に関し、織布のベルト長手方向の繊維が、嵩高加工糸である。
(請求項4記載の発明)
請求項4記載の発明の搬送用平ベルトは、上記請求項1記載の発明に関し、織布のベルト長手方向の繊維が、弾性糸にカバーリングしたものである。
(請求項5記載の発明)
請求項5記載の発明の搬送用平ベルトは、上記請求項1記載の発明に関し、織布のベルト長手方向の繊維として、ポリトリメチレンテレフタレートが使用されている。
(請求項6記載の発明)
請求項6記載の発明の搬送用平ベルトは、上記請求項3乃至5のいずれかに記載の発明に関し、織布のうちベルト幅方向の繊維は、スパン糸、フィラメント糸である。
(請求項7記載の発明)
請求項7記載の発明の搬送用平ベルトは、上記請求項2記載の発明に関し、編布は、組織としてニット状に編んだものである。
この発明の搬送用平ベルトでは、小径のプーリに張設した場合において、ベルトを構成する層間での剥離の発生、及び織布におけるベルト長手方向の糸の切断を抑制できる。
以下にこの発明の搬送用平ベルトを実施するための最良の形態としての実施例について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施例1の搬送用平ベルトBの斜視図、図2は前記搬送用平ベルトBの断面斜視図、図3は前記搬送用平ベルトBと比較される比較例の搬送用平ベルトbの断面斜視図を示している。
この搬送用平ベルトBは、図1や図2に示すように芯体1の外面側にエラストマー2a、帆布3aが、芯体1の内面側にエラストマー2b、帆布3bが、それぞれ積層一体化されており、前記帆布3aがベルト外周面を、帆布3bがベルト内周面を形成しているものである。
芯体1は、ポリエチレンテレフタレートで構成された帆布であり、その厚みを0.4mmとして十分に芯体として機能するものとしてある。
エラストマー2a,2bは、硬度が85°のウレタン樹脂製のものであり、その厚みを0.2mmとしてある。
帆布3a,3bは、0.35mm厚の織布であり、ベルト長手方向の糸(繊維)である経糸30をウーリーナイロン糸(嵩高加工糸)とし、ベルト幅方向の糸(繊維)である緯糸31をフィラメント糸としている。
なお、この搬送用平ベルトBは、エラストマー2a,2b内に経糸30及び緯糸31が侵入した状態となっており、ベルト総厚は1.0mmになっている。
「比較例」
比較される搬送用平ベルトb(以下、比較ベルトbという)は、図3に示すように、実施例1とほぼ同じ積層構成となっているが、帆布3a’,3b’を構成する経糸30’及び緯糸31’を共にフィラメント糸としている点のみが実施例1と相違している。
「試験内容」
図7に示す如くレイアウトされた原動プーリP1及びプーリP2に、この搬送用平ベルトB、比較ベルトbを張設し、原動プーリP1を回転させて各ベルトの状態を検査する。「試験条件」
(1) 搬送用平ベルトB及び比較ベルトbは、共に幅20mm、長さ1000mmとする。(2) 取付伸長率は共に1%、2%とする。
(3) 試験温度は常温とする。
(4) ベルト速度は12.6m/sとする。
(5) プーリP2の径はφ25mmとする。
「試験結果」
比較ベルトbはプーリP2に対する耐屈曲回数が1.5E+07回で表面帆布層の剥離が発生したのに対して、搬送用平ベルトBはプーリP2に対する耐屈曲回数が3.0E+08回を超えても異常がなかった。
なお、搬送用平ベルトBについて、図8に示すレイアウト(プーリP2:φ15mm)においても搬送用平ベルトBはプーリP2に対する耐屈曲回数が3.0E+08回を超えても異常がなかった。
したがって、この実施例1の搬送用平ベルトBは特定のレイアウトにかかわらず、プーリP2がφ15mmやφ25mmという小径であっても織布の層とこれと隣合う層との間で剥離等の損傷が長期間発生しないことが判る。また、ベルト長手方向の糸である経糸30は伸縮性に優れたウーリーナイロン糸を使用しているので、短期間で切れるようなこともない。
なお、図2における下側面をベルト外周面側とし、上側面をベルト内周面側として使用しても、同様の機能を奏する。
図4はこの発明の実施例2の搬送用平ベルトBの断面図を示している。
この搬送用平ベルトBは、図4に示すように芯体1の外面側にエラストマー2a、帆布3a、エラストマー4が、芯体1の内面側にエラストマー2b、帆布3bが、それぞれ積層一体化されており、前記エラストマー4がベルト外周面を、帆布3bがベルト内周面を形成しているものである。つまり、この実施例2の搬送用平ベルトBは、実施例1のものの外周面にエラストマー4を積層一体化し、ベルト総厚を1.1mmとしたものである。
上記エラストマー4は、硬度が80°のウレタン樹脂製のものであり、その厚みを0.15mmとしてある。
なお、上記した如くこの搬送用平ベルトBでは外周面にエラストマー4を積層一体化しているのは、被搬送物へのグリップ力を高めるためである。
上記した如くこの実施例2の搬送用平ベルトBは、基本的には実施例1の構成とほぼ同じ構成(特に帆布3a,3bがベルト長手方向に伸縮する構成が同じ)であるから、特定のレイアウトにかかわらず、プーリP2がφ15mmやφ25mmという小径であっても織布の層とこれと隣合う層との間で剥離等の損傷が長期間発生しない、という効果を奏することは明らかである。また、ベルト長手方向の糸である経糸30は伸縮性に優れたウーリーナイロン糸を使用しているので、短期間で切れるようなこともない。
なお、図4における下側面をベルト外周面側とし、上側面をベルト内周面側として使用しても、同様の機能を奏する。
図5はこの発明の実施例3の搬送用平ベルトBの断面図を示している。
この搬送用平ベルトBは、図5に示すように芯体1の外面側にエラストマー2a、帆布3aが、芯体1の内面側にエラストマー2bが、それぞれ積層一体化されており、前記帆布3aがベルト外周面を、エラストマー2bがベルト内周面を形成しているものである。つまり、この実施例3の搬送用平ベルトBは、実施例1のものから帆布3bを削除して成るものであり、ベルト総厚を0.8mmとしている。
なお、上記した如くこの搬送用平ベルトBではベルト内周面をエラストマー2bとしているのは、駆動プーリ上でのグリップをあげ、ベルト厚みを薄くするためである。
上記した如くこの実施例3の搬送用平ベルトBは、基本的には実施例1の構成とほぼ同じ構成(特に帆布3a,3bがベルト長手方向に伸縮する構成が同じ)であるから、特定のレイアウトにかかわらず、プーリP2がφ15mmやφ25mmという小径であっても織布の層とこれと隣合う層との間で剥離等の損傷が長期間発生しない、という効果を奏することは明らかである。また、ベルト長手方向の糸である経糸30は伸縮性に優れたウーリーナイロン糸を使用しているので、短期間で切れるようなこともない。
なお、図5における下側面をベルト外周面側とし、上側面をベルト内周面側として使用しても、同様の機能を奏する。
図6はこの発明の実施例4の搬送用平ベルトBの断面図を示している。
この搬送用平ベルトBは、図6に示すように芯体1の外面側に帆布3aが、芯体1の内面側に帆布3bが、積層一体化されており、前記帆布3aがベルト外周面を、帆布3bがベルト内周面を形成しているものである。
ここで、芯体1は樹脂シートにより構成されており、帆布3a,3bは実施例1と同じものが用いられており、ベルト総厚を1.0mmとしている。なお、芯体1を構成する樹脂シートの材料としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、延伸ナイロンシートが使用できる。
この実施例4の搬送用平ベルトBにおいても、帆布3a,3bがベルト長手方向に伸縮する構成であるから、特定のレイアウトにかかわらず、プーリP2がφ15mmやφ25mmという小径であっても帆布3a,3bと芯体1との間で剥離等の損傷が長期間発生しない、という効果を奏することは明らかである。また、ベルト長手方向の糸である経糸30は伸縮性に優れたウーリーナイロン糸を使用しているので、短期間で切れるようなこともない。
上記した実施例1〜4において、帆布3a,3bを編布(例えばニット状に編んだもの)にかえることができる。この場合においても、編布はベルト長手方向を含む全ての方向に伸縮するので、上記実施例1〜実施例4と同等の効果を奏する。
(他の実施の形態)
次に、上記した実施例1〜5の搬送用平ベルトBにおける構成部材についての他の形態を示す。
(1) エラストマー2a,2b,4について
エラストマー2a,2bの材料としては、熱可塑性エラストマー等を採用することができる。エラストマー4の材料としては、ゴム、熱可塑性エラストマー等を採用することができる。これらの一種又は複数種が使用できる。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
エラストマー2a,2bの厚みは0.15〜0.3mmとすることが好ましく、エラストマー4の厚みは0.15〜0.3mmとすることが好ましい。
エラストマー2a,2bの硬度は70〜90とすることが好ましく、エラストマー4の硬度は30〜95とすることが好ましい。
(2) 帆布3a,3bについて
帆布3a,3bを構成するベルト長手方向の糸である経糸30として、嵩高加工糸、弾性糸にカバーリングしたもの、ポリトリメチレンテレフタレート糸で構成されたものを使用できる。
(3) その他
ベルトへの要求性能に応じて外周面層、内周面層を、摩擦係数の異なる材質、帆布、熱可塑性樹脂、加硫ゴムに変更することができる。
この発明の実施例1の搬送用平ベルトの斜視図。 前記搬送用平ベルトの断面斜視図。 前記搬送用平ベルトと比較される比較例の搬送用平ベルトの断面斜視図。 この発明の実施例2の搬送用平ベルトの断面図。 この発明の実施例3の搬送用平ベルトの断面図。 この発明の実施例4の搬送用平ベルトの断面図。 試験における原動プーリ、プーリ及び搬送用平ベルト、比較ベルトの第1レイアウトを示す概念図。 試験における原動プーリ、プーリ及び搬送用平ベルトBの第2レイアウトを示す概念図。
符号の説明
B 搬送用平ベルト
b 比較ベルト
P1 原動プーリ
P2 プーリ
1 芯体
2a エラストマー
2b エラストマー
3a 帆布(織布、編布)
3b 帆布(織布、編布)
30 経糸(ベルト長手方向の糸)
31 緯糸(ベルト幅方向の糸)
4 エラストマー

Claims (2)

  1. 芯体を有し、前記芯体の両面それぞれに、第1のエラストマーおよび伸縮性帆布がこの順に積層され一体化されたものであり、
    前記伸縮性帆布は、ベルト長手方向の糸およびベルト幅方向の糸で織られた織布であり、前記ベルト長手方向の糸を、ウーリーナイロン糸である嵩高加工糸とし、かつ前記ベルト幅方向の糸を、フィラメント糸とすることによって、ベルト長手方向に伸縮性があるようにし、
    前記芯体は、ポリエチレンテレフタレートであるベルト長手方向の糸と、ポリエチレンテレフタレートであるベルト幅方向の糸とで構成される芯体帆布であり、
    さらに前記第1のエラストマーは、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする搬送用平ベルト。
  2. 前記芯体の一方の面に、前記第1のエラストマー、前記伸縮性帆布、および第2のエラストマーがこの順で積層され一体化されたものであることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。
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