JP4555707B2 - 拡散コード配置パターン特定方法、受信ユニット及び移動局 - Google Patents

拡散コード配置パターン特定方法、受信ユニット及び移動局 Download PDF

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Description

本発明は、拡散コード配置パターン特定方法、受信ユニット及び移動局に関し、特に、W−CDMA移動通信方式の移動局である携帯端末におけるセルサーチ処理に用いて好適な拡散コード配置パターン特定方法、受信ユニット及び移動局に関する。
W−CDMA移動通信方式のような拡散コードを用いてチャネル分離を行う通信方式においては、移動局が基地局と通信を行う際に、パスロスの最も小さいセル(最も強い電波を受信できるセル)を探し出す、所謂セルサーチという処理が行われる。例えば、W−CDMA移動通信方式では、セルを識別するために、各セルに512種類の中の1つのスクランブルコードがそれぞれ割り当てられている。
従って、パスロスの最も小さなセルを探し出すことは、パスロスの最も小さなセルのスクランブルコードを探し出すことであり、512種類のスクランブルコードをサーチする必要がある。しかし、512種類のスクランブルコードを逐次サーチすると、非常に長い時間が掛かってしまう。そこで、このセルサーチを高速に行うために、セルサーチは3段階に分けて行われる。
その第1段階では、基地局から送出される10msごとに区切られたフレーム内のスロットの先頭位置を探し出す。1フレーム内には15個のスロットが等間隔に配置されている。第1段階では、各スロットの先頭に配置されたプライマリ同期チャネル(P−SCH:Synchronization Channel)を、すべてのセルに共通のプライマリ同期コード(PSC:Primary Synchronization Code)との相関演算を行うことにより検出し、これによりスロット先頭位置を検出し、スロット同期を確立する。なお、複数の基地局から電波が受信される場合やマルチパス環境下の場合は、複数のスロット先頭位置が検出される。
次に、セルサーチの第2段階では、フレームの先頭位置を探し出し、かつ、スクランブルコードグループを検出する。各スロットの先頭には、プライマリ同期コード(PSC)と一緒にセカンダリ同期コード(SSC:Secondary Synchronization Code)が多重化されており、各スロットの先頭位置でセカンダリ同期コード(SSC)との相関演算を行うことにより、フレームの先頭位置を検出し、かつ、これと同時にスクランブルコードグループを検出する。
セカンダリ同期コード(SSC)は16種類有り、1フレーム内の15個のスロットに、64個の異なった配置パターンで各セカンダリ同期コード(SSC)が配列される。この64個の配置パターンは、スクランブルコードグループに1対1で対応している。従って、各スロットに配置されているセカンダリ同期コード(SSC)の配置パターンが判別されれば、フレームの先頭とスクランブルコードグループとが検出されることとなる。
セルサーチの第3段階では、フレームの先頭から、当該スクランブルコードグループに属する8種類のスクランブルコードとの相関演算を行い、その相関結果から、スクランブルコードを特定してセルサーチ処理を完了する。なお、64個のスクランブルコードグループのそれぞれは、8種類のスクランブルコードを含み、全部で512種類(=64×8)のスクランブルコードとなる。
前述の第2段階のセルサーチでは、セカンダリ同期コード(SSC)との相関値を計算するSSC相関検出処理と、計算された相関値を基にスクランブルコードグループを決定する拡散コード配置パターン特定演算処理とが行われる。
セルサーチ第2段階のSSC相関検出処理の終了後には、(15スロット×16コード×スロット先頭候補数)個の相関結果がメモリに格納されている。拡散コード配置パターン特定演算では、各スクランブルコードグループの各位相ごとにSSC相関結果を積分し、どのスクランブルコードグループのどの位相で積分結果が最大になるのかを判定する。
従来の拡散コード配置パターン特定演算では、一つのスロット先頭候補に対して以下の処理を行っている。この処理フローについて図6を参照して説明する。
・ステップS1:一つのスクランブルコードグループ(例.0番のグループ)に対し、そのスクランブルコードグループのセカンダリ同期コード(SSC)の配置パターンの一つの位相(例.0番の位相)について、15スロット分の相関結果の積分を行う。
・ステップS2:上記の積分結果を、スクランブルコードグループ番号とセカンダリ同期コード(SSC)配置パターンの位相の情報と共に、テンポラルメモリに保持する。以下、スクランブルコードグループ番号とカンダリ同期コード(SSC)配置パターンの位相のペアを「拡散コード配置パターン候補」という。
・ステップS3:スクランブルコードグループのセカンダリ同期コード(SSC)配置パターンの位相を一つずらし(例.1番の位相)、それの相関結果を15スロット分に亘って積分する。
・ステップS4:上記の積分結果(例.1番の位相についての積分結果)を、テンポラルメモリに保持している前回の積分結果(例.0番の位相についての積分結果)と大小比較する。
・ステップS5:上記の比較の結果、値の大きい方をテンポラルメモリに保持する。
・ステップS6:上記のステップS1〜S5の処理を、セカンダリ同期コード(SSC)配置パターンの位相を一つずつずらして15回繰り返し、一つのスクランブルコードグループの処理を終えると、次のスクランブルコードグループの処理へ進み、64個の全てのスクランブルコードグループに亘って上記の処理を行う。
・ステップS7:64個の全てのスクランブルコードグループに亘る上記の処理が終了した時点で、テンポラルメモリに保持されているスクランブルコードグループが、このスロット先頭候補のスクランブルコードグループになり、これにより、このスロット先頭候補の拡散コード配置パターンが特定される。
・ステップS8:上記のステップS1〜S7の処理を、第1段階のセルサーチで検出された各スロット先頭候補に対してそれぞれ同様に繰り返し行う。
1回の積分演算を1クロックで処理するものとすると、従来の拡散コード配置パターン特定演算では、一つのスロット先頭候補に対して、64グループ×15位相×15スロット=14400クロックを要することになる。
本発明に関連する先行技術文献として、自局で発生された拡散符号と入力信号との相関値を検出し、所定単位のスロット内にて相関ピーク値を検出するセルサーチ方法であって、検出された相関値と比較するための閾値を設けることにより、セルサーチを行う際に使用するRAMの容量を小さくし、セルサーチ動作を高速化したセルサーチ方法が下記の特許文献1に記載されている。また、前述の3段階のモードに分けたセルサーチ法については下記の非特許文献1に記載されている。
特開2000−312165公報 立川敬二、「W−CDMA 移動通信方式」丸善株式会社平成13−6−25、p.99−112
前述したように、従来の第2段階のセルサーチにおいて、一つのスロット先頭候補のスクランブルコードグループを確定するのに、15スロット分の相関結果の積分を、64グループ×15位相の全てに亘って行っているため、演算処理に膨大な時間が掛かっていた。つまり、相関結果がどんな値であろうと、また、積分の途中結果がどんな値であろうと、常に全部の拡散コード配置パターン候補に対して、全てのスロットに亘って積分処理を行っていた。
基地局が一つだけで、マルチパスが全く無いような理想的な通信状態であれば、拡散コード配置パターン特定演算の結果は、図7に示すように、或る一つの拡散コード配置パターン候補点で相関積分結果が非常に大きい値になり、それ以外の拡散コード配置パターン候補点では、相関積分結果は小さい値にしかならない。
このような場合でも、従来の拡散コード配置パターン特定演算では、拡散コード配置パターン候補点の一つ一つ対して、15スロット分の積分演算を行い、その積分結果の大きさを互いに比較してその最も大きなものを判別して、拡散コード配置パターンを特定していたため、960個(=64パターン数×15位相分)の拡散コード配置パターン候補点全てに対して15スロット分の積分を終えるのに、膨大な処理時間が費やされていた。本発明は、拡散コード配置パターン特定演算の高速化を図ることを目的とする。
本発明の拡散コード配置パターン特定方法は、(1)受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する、拡散コード配置パターン特定方法において、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行うステップと、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うステップと、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御し、拡散コード配置パターンの特定を行うステップと、を含むことを特徴とする。
また、(2)前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うための絞込み閾値を設定し、該絞込み閾値を、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分結果の大きさを基にした相対的な値とし、かつ、要求される処理時間又は精度に応じて該絞込み閾値を変化させるステップを含むことを特徴とする。
また、(3)前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞込みを実施するスロットのタイミングを、要求される処理時間又は精度に応じて変化させるステップを含むことを特徴とする。
また、本発明の受信ユニットは、(4)受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する受信ユニットにおいて、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の移動局は、(5)受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する移動局において、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする
本発明によれば、拡散コード配置パターン特定演算が高速化される。また、候補点の絞り込みを行うための絞込み閾値を設定し、該絞込み閾値を、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分結果の大きさを基にした相対的な値とし、かつ、要求される処理時間又は精度に応じて該絞込み閾値を変化させることにより、通信状態に応じ、かつ、拡散コード配置パターン特定の精度との兼ね合いを図りながら、拡散コード配置パターン特定の処理時間の短縮を図ることができる。
また、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞込みを実施するスロットのタイミングを、要求される処理時間又は精度に応じて変化させることにより、拡散コード配置パターン特定の精度との兼ね合いを図りながら、拡散コード配置パターン特定の処理時間の短縮を図ることができる。
また、拡散コード配置パターン特定演算の前段階で行われるSSC相関検出結果を基に、通信状態を判断し、ハードウェアの自律動作で通信状態に応じて最適な最適の絞込み閾値又は絞込みタイミングを制御することにより、拡散コード配置パターン特定の精度との兼ね合いを図りながら、拡散コード配置パターン特定演算の短縮を図ることができる。
図1に発明の拡散コード配置パターン特定演算処理部の構成を示す。尚、ここでは、WCDMAを前提とした構成を例として示すが、複数のスロットに渡って、複数の配置パターンで拡散コードが配置されており、受信信号が、どの配置パターンに対応するかを特定する場合に、広く適用可能である。尚、この場合は、相関を求める対象をSSCから他の拡散コードにすればよい。
同図において、SSC相関結果格納メモリ2には、拡散コード配置パターン特定演算の前段階で行われる15スロット×16コード×スロット先頭候補数のSSC相関検出結果が格納される。積分処理部3では、960個の拡散コード配置パターン候補点に対して、数スロット分(例えば、5スロット等のように15スロットに満たないスロット数分)の積分(相関加算)処理を行い、好ましくは、その積分結果をテンポラルメモリ4に格納する。
絞込み処理部5では、テンポラルメモリ4に格納された数スロット分の積分結果から、最大値を取り得る候補点と取り得ない候補点とを判別し、その情報を制御部1へ通知する。制御部1では、絞込み処理部5による絞り込み結果を基に、以降の積分処理を継続すべき拡散コード配置パターン候補点及びそのSSC相関結果について、SSC相関結果格納メモリ2と積分処理部3とにそれぞれ通知する。
積分処理部3では、制御部1から通知された拡散コード配置パターン候補点に対してのみ、以降のスロットについて積分処理を継続し、最終的に積分結果が最大値となる拡散コード配置パターン候補点の情報のみを結果格納メモリ6に格納する。
本発明の拡散コード配置パターン特定演算をより詳しく説明すると、積分処理部3において、全ての拡散コード配置パターン候補点の積分を、数スロット分について行い、その積分結果を全てテンポラルメモリ4に格納すると同時に、その時点での積分結果の最大値をテンポラルメモリ4に格納し、各拡散コード配置パターン候補点の積分結果を出力する度に、過去の最大値と大小比較を行い、最大値を更新する。
拡散コード配置パターン候補点の積分結果を全てテンポラルメモリ4に格納するには、全ての候補点数分の960アドレス必要になる。しかし、ここで、積分結果の大きい値のものから上位x個(xは適切な絞込み数)の拡散コード配置パターン候補点をテンポラルメモリ4に格納する構成とすることにより、テンポラルメモリ4の容量の削減及び絞り込み時間の短縮を図ることが可能となる。
例えば、積分結果の大きい値のものから上位50個の拡散コード配置パターン候補点を選択するとすれば、テンポラルメモリ4は50アドレスで済み、更に、拡散コード配置パターン候補点も50点となり、大幅にメモリ容量の削減及び処理時間の短縮を図ることができる。
絞込み処理部5は、数スロット分(例えば15スロットの約半分の8スロット分など)の積分の後に、テンポラルメモリ4に格納されている全ての拡散コード配置パターン候補点の積分結果の大小を比較する。なお、どの程度のスロット分の積分の後に前述の処理を行うかといった絞り込みの実施タイミングは、ファームウェア7からの指示又は制御部1からの指示によって適宜変更する構成とすることができる。
数スロット分の積分を行えば、積分結果が最大値となる拡散コード配置パターン候補点がどれになるかは特定されないまでも、最大値を取り得る拡散コード配置パターン候補点と、最大値を取り得ない拡散コード配置パターン候補点とが、例えば図2に示すように判別可能となる。
或る拡散コード配置パターン候補点が最大値をとり得るかとり得ないかの判別は、テンポラルメモリ4に格納されている積分結果の最大値を基準に、該最大値との相対的な値を閾値として決定し、例えば、積分結果の最大値の2分の1或いは3分の1の値などを閾値として設定し、該閾値を超えたものが最大値を取り得るものとして、候補点を絞り込む構成とすることができる。
なお、前述の閾値は、ファームウェア7から指示される相対値又は制御部1から指示される相対値を基に決定する構成とすることができる。或いは、ファームウェア7又は制御部1から指示される絶対値を閾値とする構成とすることもできる。この絞込みを行った以降の処理は、最大値を取り得ると判断された拡散コード配置パターン候補点についてのみ積分処理を行う。
絞込み処理部5では、1スロット又は数スロット分の積分結果を基に、絞り込み処理を行う。拡散コード配置パターン候補点の中の何れか1点が他の候補点に比べて十分大きな積分結果となっていることを検出した場合は、その候補点を、積分結果が最大となる拡散コード配置パターンと決定し、以降、その候補点についてのみ15スロット分まで積分を行う。もし、他の候補点に比べて積分結果にそれほどの差異が無い場合には、更に数スロット分の積分を行って絞込みを行う処理を繰り返す。
何スロット分の積分を行った後に絞込みを行うかの絞込みタイミングは、ファームウェア7からの指示又は制御部1からの指示によって調整可能とし、セルサーチの処理時間をより短縮する必要がある場合は、最初の絞込みを行うタイミングを早めに設定すればよい。但し、その分、拡散コード配置パターン特定の精度は落ちる。
最初の絞込みタイミングを遅めに設定すると、セルサーチ処理の短縮される時間は少なくなるが、拡散コード配置パターン特定の精度を高めることができる。最終的に積分結果が最大となった候補点の拡散コード配置パターンの情報のみを結果格納メモリ6へ格納する。
制御部1は、絞込み処理部5から通知される絞り込みの情報を基に、積分すべき拡散コード配置パターン候補点及びそのSSC相関結果について、SSC相関結果格納メモリ2及び積分処理部3に通知し、また、制御部1は、通信状態に応じて自律的に最適の絞込み閾値及び絞込みタイミングを絞込み処理部5に指示する。
理想的な通信状態の場合は、拡散コード配置パターン特定演算の前段階で行われるSSC相関検出処理において、各スロットのSSC相関結果は或る一つのセカンダリ同期コード(SSC)で大きくなり、他のセカンダリ同期コード(SSC)では小さい値しか取らない。SSC相関結果がこのような分布になった場合は、最初の絞込みタイミングを早くし、更に絞り込み閾値を高くすることで、処理時間をより短縮するように制御する。
通信状態が悪い場合は、SSC相関検出処理において、各スロットのSSC相関結果は各セカンダリ同期コード(SSC)間でそれほど大きな差がなくなる。このような場合は、最初の絞込みタイミングを遅くし、更に絞り込み閾値を低くすることで、拡散コード配置パターン特定精度を上げるように制御する。
次に、本発明の動作の具体例について説明する。以下に説明する動作例は、理想的な通信状態の動作例であり、基地局数は一つ、マルチパスが無い状態での拡散コード配置パターン特定演算の動作例である。このような場合の、1スロット分の積分時の拡散コード配置パターン特定の演算結果を図3に示す。この時点では、まだどの拡散コード配置パターン候補点が最大値を取り得るかは判断することができない。
次に、8スロット分の積分を行ったときの拡散コード配置パターン特定の演算結果を図4に示す。この動作例では、全960候補点をテンポラルメモリ4に格納する構成の場合の動作例となっている。8スロット分の積分を行うと、積分結果の大きな候補点と小さな候補点とが区別されるようになる。そこで、この時点での積分結果の最大値を基準にして絞込みを行う。
ここで、上記の時点での積分結果の最大値の2分の1を閾値とし、この閾値以下の候補点は最大値を取り得ないと判断し、以降の積分処理から除外する。この閾値以上となり、最大値を取り得ると判断された候補点は、最大値の候補点も含め、図5に示すように13点に絞られる。以降はこの13点の候補点についてのみ積分処理を行っていく。
その後、例えば3スロット分の積分(合計で11スロット分の積分)を行った後に、13点の候補点から更に絞込みを行う。この時点で積分結果の最大値の2分の1以下のものを除外すると5点に絞られる。更に、この後、1スロット分の積分毎に積分結果の最大値の2分の1以下のものを除外していくと、以下のように絞られていく。
12スロット分の積分で3点、
13スロット分の積分で2点、
14スロット分の積分で2点、
15スロット分(最終)の積分で2点。
残った2点の候補点の中から、積分結果の値の大きい方を選択する。
1回の積分演算が1クロックで処理されるとすると、この場合の処理時間は以下のとおりとなる。
64グループ×15位相×8スロット
+(1グループ×1位相)×13×3スロット
+(1グループ×1位相)×5×1スロット
+(1グループ×1位相)×3×1スロット
+(1グループ×1位相)×2×1スロット
+(1グループ×1位相)×2×1スロット
+(1グループ×1位相)×2×1スロット
+絞込み処理時間
=7733(クロック)+絞込み処理時間
絞込み処理時間=絞り込み対象候補数とすると、
絞込み処理時間=960+13+5+3+2+2+2=987クロック
となり、拡散コード配置パターン特定演算全体にかかる処理時間は、
7733+987=8720クロック
となる。
ここで、上位50候補点をテンポラルメモリ4に格納する構成とした場合、
絞込み処理時間=50+13+5+3+2+2+2=77クロック
となり、拡散コード配置パターン特定演算全体にかかる処理時間は、
7733+77=7810クロック
となる。
従来の拡散コード配置パターン特定演算では、一つのスロット先頭候補に対して常に14400クロックの処理時間を要していた。本発明の拡散コード配置パターン特定演算方法を用いることにより、先述の例では、拡散コード配置パターン特定演算全体の処理時間は、8720クロックとなり、従来の拡散コード配置パターン特定演算(14400クロック)の約6割の処理時間に短縮することができる。
また、先述の例では、絞込みを行う際の閾値を積分結果の最大値の2分の1としたが、この絞込み閾値を変えることで、更に処理時間を短縮することが可能である。また、何スロット分の積分を行った時点で、絞込みを実施するかのタイミングを変えることによっても処理時間の短縮が可能である。
以上のように,上記実施例によれば、960個の拡散コード配置パターン候補点に対して、従来のように各々を15スロット分の積分を行ってその積分結果の一つ一つを大小比較して最大となる拡散コード配置パターンを特定するのではなく、960候補点を並列に数スロット分について積分した時点で、最大となり得る候補点の絞込みを行うことによって、無駄な積分演算が削減され、拡散コード配置パターン特定演算が高速化される。
以下に本発明の特徴点を列記する。
(付記1) 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する、拡散コード配置パターン特定方法において、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行うステップと、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うステップと、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御し、拡散コード配置パターンの特定を行うステップと、を含むことを特徴とする拡散コード配置パターン特定方法。
(付記2) 前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うための絞込み閾値を設定し、該絞込み閾値を、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分結果の大きさを基にした相対的な値とし、かつ、要求される処理時間又は精度に応じて該絞込み閾値を変化させるステップを含むことを特徴とする付記1に記載の拡散コード配置パターン特定方法。
(付記3) 前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞込みを実施するスロットのタイミングを、要求される処理時間又は精度に応じて変化させるステップを含むことを特徴とする付記1又は2に記載の拡散コード配置パターン特定方法。
(付記4) 受信した信号の拡散コードとの相関結果を基に,通信状態を判断するステップと、通信状態が良いと判断されたときは、前記絞込みを実施するスロットのタイミングを早めに設定し、又は積分結果の大きさに基づいた絞り込みを行うための絞込み閾値を高く設定するステップと、通信状態が悪いと判断されたときは、前記絞込みを実施するスロットのタイミングを遅めに設定し、又は前記絞込み閾値を低く設定するステップと、を含むことを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の拡散コード配置パターン特定方法。
(付記5)
前記積分結果の大きさに基づいて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞込みを行う際、該積分結果の大きいものから順に所定数の拡散コード配置パターンを対象候補として選出することを特徴とする付記1に記載の拡散コード配置パターン特定方法。
(付記6) 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する受信ユニットにおいて、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする受信ユニット。
(付記7) 前記付記2乃至5の何れかに記載の拡散コード配置パターン特定方法を実施する機能部を備えたことを特徴とする受信ユニット。
(付記8) 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する移動局において、前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする移動局。
(付記9) 前記付記2乃至5の何れかに記載の拡散コード配置パターン特定方法を実施する機能部を備えたことを特徴とする移動局。
発明の拡散コード配置パターン特定演算処理部の構成を示す図である。 理想的な通信状態での数スロット分の積分による拡散コード配置パターン特定演算結果を示す図である。 理想的な通信状態での1スロット分の積分による拡散コード配置パターン特定演算結果を示す図である。 理想的な通信状態での8スロット分の積分による拡散コード配置パターン特定演算結果を示す図である。 8スロット分の積分により絞込みを行った拡散コード配置パターン特定演算結果を示す図である。 従来の拡散コード配置パターン特定演算の処理フローを示す図である。 理想的な通信状態での拡散コード配置パターン特定演算結果を示す図である。
符号の説明
1 制御部
2 SSC相関結果格納メモリ
3 積分処理部
4 テンポラルメモリ
5 絞込み処理部
6 結果格納メモリ
7 ファームウェア

Claims (5)

  1. 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する、拡散コード配置パターン特定方法において、
    前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行うステップと、
    前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うステップと、
    絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御し、拡散コード配置パターンの特定を行うステップと、
    を含むことを特徴とする拡散コード配置パターン特定方法。
  2. 前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行うための絞込み閾値を設定し、該絞込み閾値を、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分結果の大きさを基にした相対的な値とし、かつ、要求される処理時間又は精度に応じて該絞込み閾値を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の拡散コード配置パターン特定方法。
  3. 前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞込みを実施するスロットのタイミングを、要求される処理時間又は精度に応じて変化させるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の拡散コード配置パターン特定方法。
  4. 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する受信ユニットにおいて、
    前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、
    前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、
    絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする受信ユニット。
  5. 受信した信号の拡散コードが、所定数のスロットの各スロットに、複数の配置パターンのうちの何れの配置パターンに従って配置されているのかを特定する移動局において、
    前記複数の配置パターンに対して、前記所定数のスロットに満たないスロットについて、受信した信号の拡散コードとの相関結果の積分を行う積分処理部と、
    前記積分結果の値の大きさに応じて、前記拡散コード配置パターン特定の対象候補の一部を除外して対象候補の絞り込みを行う絞込み処理部と、
    絞り込んだ配置パターンの候補に対してのみ、以降のスロットについての相関結果の積分を行うように制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする移動局。
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