JP4553568B2 - 機能性物質含有薄膜で被覆された固定化素子、及びその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性物質含有薄膜で被覆された固定化素子、及びその製造方法に関する。詳細に述べると、本発明は、ナノメートル単位の網状構造内に機能性物質を包含した薄膜に被覆された固定化素子、ナノメートル単位の細孔を有する多孔質固定化素子、及び該薄膜を固定化素子上に形成する方法に関するものである。
従来から、酵素、抗体、又は生理活性物質などの機能性物質を利用して、医薬候補化合物のスクリーニング、診断用データを得るための臨床検査、及び環境因子変動の検出などが行われ、またこれら機能性物質をバイオリアクターとして用い、有用化合物が製造されている。
これらの機能性物質は、効率的、かつ経済的に繰り返し使用するため、又は反応効率及び検出感度・効率を向上させるため、様々な担体に固定して利用されてきた。例えば、機能性物質として幅広く利用されているタンパク質の固定化法を挙げると、不溶性の担体にタンパク質を結合させる担体結合法、酵素を2個以上の官能基を有する試薬と反応させる架橋法、ゲルの微細な格子の中に包み込むか、半透膜性のポリマーの皮膜により被覆する包括法などがある。
該担体結合法には、Glassmeyer, C. K.らのアミノエチルセルロースを担体として、グルタルアルデヒドを用いてトリプシンを固定化する方法があり(非特許文献1)、例えば、生理活性物質を担体上に固定した固定化酵素製剤(特許文献1)や不溶性マトリックス上に固定化されたリパーゼ複合体(特許文献2)などが開発されている。該担体結合法は、共有結合による固定化法なので、酵素が簡単に脱離することは無いが、反応操作が複雑で、比較的激しい処理をするため生物活性作用物質であるタンパク質の高次構造の変化、活性の低下などが起こりやすいという欠点がある。
該架橋法には、Quiocho, F.A.らのグルタルアルデヒドを用いて酵素間にシッフ塩基を形成させて架橋し、カルボキシペプチダーゼAを固定化する方法があり(非特許文献2)、例えば、カルボン酸エステル結合を有するカップリング剤を無機担体に結合させることにより製造した固定化リパーゼ(特許文献3)、及び生物活性作用物質を有機膜上に固定した基板からなる生体分子スクリーニング用デバイス(特許文献4)などが開発されている。しかし、該架橋法も担体結合法と比較すると簡便ではあるものの、生物活性物質を共有結合を介して行うため、活性の低下が起こりやすいという欠点がある。
さらに、該包括法には、Bernfeld, P.らの、目的の酵素液に、アクリルアミドモノマー、架橋剤、重合促進剤、重合開始剤などを加えて重合させ、トリプシン、アミラーゼなどをゲル内に取り込む方法がある(非特許文献3)。この方法は、担体結合法や架橋法と異なり、生理活性物質と担体とを化学結合させる必要はないので、活性低下が起こり難いという利点があるが、一方、個々の生理活性物質が担体と結合反応していないので強度が低くなりやすいという欠点があった。
また、Ellerbyらにより開発された、アルコキシシランを用いたゾル−ゲル法により、緩衝液に溶解したタンパク質をシリカマトリックス内に包含する方法がある(非特許文献4)。この方法により高次構造と生理活性を保持したまま、生理活性物質を固定してバイオリアクターとして応用することができるが、ゾル−ゲル化反応後、各種用途に応じてゲルの乾燥、粉砕などの処理を行うと、固定化タンパク質などの活性が低下し、また、処理プロセスが煩雑であるといった欠点があった。
これらの固定化法は、これまで記載したように生理活性物質が固定化に適した官能基を有することが必要なため限られたものしか固定できない、固定化操作に多くの反応、精製操作が必要なため、煩雑でコストが高い、又は安定した生理活性物質しか固定できないなどの欠点があった。
このような状況にあって、近年、技術の進歩に伴い、医薬候補化合物のスクリーニング、臨床検査、環境因子変動の検出、及び機能性物質のバイオリアクターとして機能性物質が盛んに利用されるようになっている。また、コンビナトリアルケミストリーなどの進歩に伴い、伝統的な手法によって調製される化合物、及び天然の産物の抽出物などと比べ、医薬候補となり得る化合物の数は著しく増加しており、有用な医薬となる化合物を発見するためにより高効率のスクリーニングが必要となっている。
これらの要望に応えるため、製造が簡単で値段が安く、利用できる生理活性物質が多様で、かつ高機能の機能性物質固定化素子が必要とされている。
特開平2000−83663号公報 特表2002−539782号公報 特開平9−313179号公報 特表2002−520621号公報 Glassmeyer, C. K.et. al, Biochemistry, 1971, 10, 786. Quiocho, F.A. et. al, Proc. Nat. Acad. Sci. 1964, 52, 833 Bernfeld, P.et. al, Science,142, 678,1963 Ellerby et.al, Science, 1992, 255, 1113-1115
本発明は、医薬候補化合物のスクリーニング、臨床検査、又は環境因子変動の検出に利用でき、さらに機能性物質のバイオリアクターとして利用ができ、製造が簡単で値段が安く、利用できる生理活性物質が多様で、かつ高機能の機能性物質固定化素子を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため研究を行った結果、本発明者らは、加水分解性の官能基を有する有機金属化合物と機能活性物質とを含むゾル反応溶液を、固定化素子上でゲル化することにより、固定化素子上に、生理活性物質を保持した数ナノメートル(以下、nmと略す。)の空隙を有する網状構造を持つ薄膜を形成できるという知見を得た。
さらに、不安定で細胞外では容易に活性を失う代謝酵素などの生理活性物質をミクロソームに包含させ、該ミクロソームと加水分解性の官能基を有する有機金属化合物とを含むゾル反応溶液を、固定化素子上でゲル化することにより、固定化素子上に、安定的な形態で生理活性物質を含有したミクロソームを保持した数nmの空隙を有する網状構造を持つ薄膜を形成できるという知見を得た。
さらに、本発明者らは、加水分解性の官能基を有する有機金属化合物を特定の条件下で処理することにより、溶媒を透過する数μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径数nmの細孔を有する多孔質固定化素子を製造できるという知見を得た。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
したがって、本発明は、機能性物質を包含した網目状構造の薄膜で被覆された固定化素子、特に多孔質固定化素子を提供する。
また、本発明は、該固定化素子が、溶媒を透過する0.3〜6μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径1〜100nmの細孔を有する多孔質固定化素子であることを特徴とする、機能性物質を包含した網目状構造の薄膜で被覆された固定化素子を提供する。
また、本発明は、該機能性物質が、タンパク質、核酸、脂質、糖、薬物等の生理活性物質、金属触媒、特異的な形状の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記被覆された固定化素子を提供する。
また、本発明は、機能性物質を含むミクロソームを包含した網目状構造の薄膜で被覆された固定化素子、特に多孔質固定化素子を提供する。
また、本発明は、該固定化素子が、溶媒を透過する数μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径数nmの細孔を有する、多孔質固定化素子であることを特徴とする、機能性物質を含むミクロソームを包含した網目状構造の薄膜で被覆された固定化素子を提供する。
また、本発明は、該機能性物質が、P450、又はグルクロニルトランスフェラーゼなどの代謝酵素である、機能性物質を含むミクロソームを包含した網目状構造の薄膜で被覆された固定化素子を提供する。
また、本発明は、機能性物質を包含した網目状構造の薄膜、又が機能性物質を含むミクロソームを包含した網目状構造の薄膜で被覆された多孔質固定化素子が内部に形成されているカラム、又はマイクロチップを提供する。
また、本発明は、固定化素子上に機能性物質を含む網目状構造の薄膜を被覆する方法であって:
加水分解性の官能基を有する有機金属化合物、又は少なくとも1個の金属・炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物を加水分解すること;該加水分解溶液と、機能性物質を含有する溶液とを混合してゾル溶液を得ること;及び該ゾル溶液に、固定化素子を浸漬し、乾燥させることにより、該固定化素子の表面上に薄膜を形成することを含む、前記薄膜の被覆方法を提供する。
また、本発明は、溶媒を透過する0.3〜6μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径1〜100nmの細孔を有する多孔質固定化素子を提供する。
また、本発明は、前記多孔質固定化素子の製造方法であって:
加水分解性の官能基を有する有機金属化合物、又は少なくとも1個の金属・炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物を加水分解すること;該加水分解溶液にゲル化の過程で相分離を引き起こす溶媒を混合すること;及び該混合液を熱重合、又は光重合により重合させることを含む、前記製造方法を提供する。
本明細書で用いる用語「固定化素子」とは、機能性物質を含む網目状構造の薄膜を被覆する構造体(支持体)を意味する。特に断らない限り、該用語「固定化素子」を単独で用いる場合、被覆されていない構造体を意味し、機能性物質を含む網目状構造の薄膜で被覆されている場合、「被覆された固定化素子」と記載する。
本発明により、医薬候補化合物のスクリーニング、臨床検査、又は環境因子変動の検出に利用でき、さらに機能性物質のバイオリアクターとして利用ができ、製造が簡単で値段が安く、利用できる生理活性物質が多様で、かつ高機能の機能性物質固定化素子が提供される。
(固定化素子)
本発明で用いる機能性物質の固定化素子は、機能性物質を包含した網目状構造の薄膜で被覆できるものであれば、特に限定されない。また、その形状は、使用目的に合わせ特に制限なく選択することができる。例えば、使用目的に応じた大きさを有するタブレット状粒子、又はビーズ状粒子などの定型又は非定型粒子、平坦な又は多孔質部を設けた基板上の規定領域、基板に形成された円筒形などの凹部の、平坦な又は多孔質部を設けた内壁面などを、該薄膜を被覆する固定化素子として用いることができる。また微細加工技術を利用して作製される微小空間内での利用も可能である。
また、固定化素子の材質は、表面に前記網目状構造の薄膜を形成できるものであれば、特に限定されない。例えば、該固定化素子が定型又は非定型粒子である場合、シリコン、シリカ、石英、ガラス、多孔質ガラス、炭素、活性炭、アルミナ、チタニア、酸化タンタル、ゲルマニウム、窒化シリコン、ゼオライト、及び有機ポリマー化合物などを使用することができる。
また、固定化素子が基板の規定領域、又は基板に形成された凹部の内壁である場合、ガラス、セラミックス、ポリマー、又は各種多孔質材料と組み合わせて用いることができる。該ポリマーの例を挙げると、ポリスチレン、ポリ(テトラ)フルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオリド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルエチレン、ポリエチレンイミン、ポリビニルフェノール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリルアミド、ポリイミド、及びこれらのブロックコポリマーがある。本発明の固定化素子は、その使用目的に応じて、前記材料から常法で製造することができる。
本発明の多孔質固定化素子は、溶媒が容易に通過する空隙、及び該空隙を構成する粒子、又は壁に表面積を広げる微細な凹凸を有することが好ましい。特に好ましいのは、溶媒を透過する数μm、例えば0.1〜10μm、好ましくは0.3〜6μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径数nm、例えば直径1〜150nm、好ましくは直径1〜100nmの細孔を有する多孔質固定化素子である。また、使用する機能性物質と被覆する薄膜の性質により異なってくるが、該多孔質固定化素子の空隙率は40〜95%、特に50〜90%であるのが好ましく、該多孔質構造による表面積は1g当たり50〜1,000m、特に100〜800mであるのが好ましい。
該多孔質固定化素子は、図1の写真に示すように溶媒を透過する数μmの空隙を有する多孔性構造を有し、さらに拡大すると図2に示すように、多孔性構造の表面に極めて多くの直径数nmの窪み(nm細孔)を有する。したがって、該多孔質固定化素子の表面積は極めて大きく、該表面上を機能性物質を含む薄膜で被覆することにより、機能性物質による反応を効率的に行うことができる。
該多孔質固定化素子は、加水分解性の官能基を有する有機金属化合物、及び/又は、少なくとも1個の金属・炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物を加水分解し、かつ重合して得られた重合体を含むものである。
該有機金属化合物には、ケイ素、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムからなる群から選ばれる金属を含む有機金属化合物があり、特にケイ素を含む有機金属化合物が好ましい。本発明では、これらを単独で、又は組み合わせて用いることができる。
該加水分解性の官能基を有する有機金属化合物の例を挙げると、下記一般式(1)で表される金属アルコキシドがある。また、少なくとも1個の金属−炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物の例を挙げると、一般式(2)〜(4)で表される金属アルコキシドがある。これらの金属アルコキシドを単独で、又は組み合わせて使用することができる。
これらの式中、R〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、アルキルメタクリル基、アリルメタクリル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、アリルアミノ基、又はアルキルアミノ基などを表す。
本発明の多孔質固定化素子は、特にテトラメトキシシランの重合体、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの共重合体、又はテトラエトキシシラン、メタクリル酸3−トリメキシシリルプロピルの重合体で構成するのが好ましい。前記多孔質固定化素子は、次のように作製することができる。
先に記載した、加水分解性の官能基を有する有機金属化合物、又は少なくとも1個の金属・炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物(以下、有機金属化合物という。)を加水分解する。
該加水分解には、塩酸、硫酸、トシル酸、陽イオン交換樹脂等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、陰イオン交換樹脂等の塩基性触媒等を用いて、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒;又はこれらの混合溶媒中で重合を行う。反応温度は0〜120℃、好ましくは0〜80℃とし、反応時間は1分〜200時間、好ましくは10分間〜24時間とする。
次に、該加水分解溶液の一部にゲル化の過程で相分離を引き起こす溶媒を混合する。相分離を起こす溶媒であれば特に制限なく使用できるが、例を挙げると、トルエン、クロロホルム、ポリエチレングリコール溶液などがある。該混合液を熱重合、光重合により重合させる。光重合の際には、ラジカル発生剤、例えばイルガキュア1800(Irgacure1800(日本チバ・ガイギー社))などを共存させる。
該重合の後、得られた反応物を水もしくはメタノールなどの有機溶媒で洗浄し、乾燥させて多孔質固定化素子を得る。キャピラリー、又はカラム管内に該固定化素子を形成する場合は、キャピラリー又はカラム管内で重合反応をおこなう。また、この場合の重合度は、多孔質固定化素子の大きさにより適宜変化させることが出来る。
最後に、溶媒を気化させることにより乾燥ゲルの多孔質固定化素子とする。該乾燥は、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して行い、その後、200〜800℃程度で加熱し、共存有機物を取り除くのが好ましい。
なお、本発明の多孔質固定化素子を、キャピラリー、又はカラム菅の全体、又は一部に、或いはマイクロチップのアレイに形成して、機能性物質を被覆して使用することができる。すなわち、前記キャピラリー等の内部で、前記加水分解性の官能基を有する有機金属化合物等を適当な条件で重合させ、溶媒を透過する数μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、かつ該構造表面に直径数nmの細孔を有する多孔質固定化素子を形成し、続いて、該固定化素子に機能性物質を被覆するのである。これにより、該機能性物質に基づく生化学、又は化学反応を行い、かつ生成物の分離を容易に行うことができ、続く分析、又は回収行程を連続的に行うことができる。
本発明では、市販されている電気泳動用、又はガスクロマトグラフィー用のキャピラリーを特に制限なく使用できる。該キャピラリーの寸法は、内径が1〜200μm、特に50〜100μmとするのが好ましく、長さは、1cm〜10m、特に10cm〜1mとするのが好ましい。長さが、1cm未満の場合、十分な分離が行われず、また10mを超える場合、分離に長時間が必要となるため好ましくない。また、カラム菅は、ガラス、ステンレス、プラスチック、又はフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))のものを特に制限なく使用できる。
また、基板に形成された円筒形などの凹部の、平坦な又は多孔質部を設けた内壁面、すなわちアッセイプレートのウェル内壁を前記薄膜の固定化素子として使用することができる。該アッセイプレートには、1枚のプレートに各6、12、24,48、96、386、又は1536個等のウェル形成したものが存在し、これらのウェルの内壁を固定化素子として利用することができる。なお、必要に応じこれらの内壁表面上で、前記加水分解性の官能基を有する有機金属化合物等を適当な条件で重合させ、又は別に作成した多孔質固定化素子の粒子を固定して多孔質固定化素子として用いることもできる。
(機能性物質)
本明細書における用語「機能性物質」とは、化学的、生物化学的、又は生物学的な反応を起こす、又は触媒する物質をいい、酵素、ホルモン、抗体などの生理活性物質のみならず、広範囲の活性物質を含む。本発明の網状構造の薄膜に固定して利用できるものであれば、特に制限なく該機能性物質として用いることができる。
該機能性物質の例を挙げると、P450、グルクロニルトランスフェラーゼなどの代謝酵素、トリプシン、ペプシンなどのタンパク質加水分解酵素等のタンパク質、核酸、脂質、糖、薬物等の生理活性性質、金属触媒などの合成機能性物質、フラーレン、カーボンナノチューブ、ポリロタキサン、カテナンなどの特異的な形状の化合物などがある。なお、該薬物の例を挙げるとアスピリン、モルフィネ、テトロドトキシンなどがある。本発明では、特に不安定で、不活性化し易い各種代謝酵素などは、ミクロソームに包含した形態で薄膜に固定して用いることができる。
(網状構造を有する薄膜の形成)
まず、機能性物質を含有する有機金属化合物のゾル溶液を調製する。加水分解性の官能基を有する有機金属化合物、又は少なくとも1個の金属・炭素結合を介して結合した非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基とを含む有機金属化合物を加水分解する。
該加水分解には、塩酸、硫酸、トシル酸、陽イオン交換樹脂等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、陰イオン交換樹脂等の塩基性触媒等を用いて、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒;又はこれらの混合溶媒中で行う。前記有機金属化合物と溶媒のモル比は、使用する有機金属化合物、溶媒などで変化するが、3:1〜1:10、特に1:1〜1:4とするのが好ましい。また反応温度は0〜120℃、好ましくは、0〜80℃とし、反応時間は1分〜200時間、好ましくは10分間〜24時間とする。
次に、該加水分解溶液と、機能性物質を含有する溶液とを混合する。該混合液をゾル溶液と称する。該機能性物質が酵素など生体物質の場合は、緩衝液に溶解することが好ましい。該機能性物質の濃度、溶液のpH、緩衝液の場合は塩濃度などを適宜最適化することにより、ゲル化速度、ゲルの微細構造などを変化させることが出来る。
また、図8に示すように、ゲルはpHが酸性側であると空隙の大きな鎖状構造に、pHが塩基性側であると分岐が多い網状構造になる。
例えば、機能性物質がタンパク質からなる生理活性物質の場合、溶液中の濃度を10−5〜1Mol/l(モル/リットル)、好ましくは10−4〜10−1Mol/lとし、該溶液のpHは2〜10、特に4〜8とするのが好ましく、かつ塩濃度を0.001〜1Mol/l、特に0.01〜0.2Mol/lとするのが好ましい。
続いて、該ゾル溶液がゲル化する前に、前記多孔質固定化素子を該ゾル溶液に浸漬し、該多孔質固定化素子から余分なゾル溶液を取り除き、乾燥させることにより、該多孔質固定化素子の表面上に機能性物質を含有する薄膜を塗布することができる。乾燥を行う際の温度は、高いほど乾燥が早く進むが、機能性物質が生理活性物質である場合、変性又は活性低下を防止するため0℃から30℃、好ましくは0℃〜20℃、さらに好ましくは0℃〜10℃とする。
機能性物質を含む網状構造の薄膜を被覆した多孔質固定化素子は、測定ごとにアッセイプレートから取り出し再利用することも可能であるが、直接、アッセイプレートに結合させ、活性測定と再生を繰り返し行うこともできる。
なお、該薄膜作成時のゾル−ゲル反応をアルコキシシランの重合反応に基づき説明すると、図4に示すように、所定のアルコキシシランを加水分解し、生成したモノマーを重縮合することにより所望のゲルを形成するものであり、図5に示すように、該モノマーが重合し、網状構造が形成される過程で機能性物質が、薄膜の網状構造に固定される。
これを拡大して描くと図3に示すように、多孔質固定化素子の窪み(nm細孔)の表面を、厚さ1〜10,000nmの薄膜が覆っており、さらに部分的に拡大すると図3のAに示すように、該薄膜は0.1〜50nmの空隙を有する網状構造の中に機能性物質を捉えて固定している。
また、本発明で用いるミクロソームは、常法によりラット肝臓などから精製できる。また、P450やグルクロニルトランスフェラーゼを導入したミクロソームが市販されている(第一化学薬品)。
(本発明の固定化素子の使用の態様)
ウェルを有するアッセイプレートを使用する場合
アッセイプレートのウェル内に機能性物質を薄膜で被覆した多孔質固定化素子を入れ、又は固定し、該機能性物質による生化学あるいは化学反応を行う。また、該ウェルの内壁を固定化素子として、機能性物質を薄膜で被覆することもできる。
該アッセイプレートとしては、1枚のプレートに各6、12、24、48、96、386、又は1536個等のウェルを有するものが市販されており、作製時に多孔質固定化素子の大きさを適宜変えて、これらのウェルに適した大きさとする。所定の反応を行った後、活性測定は、プレートリーダーなどを用いて行うことができる。
ペプシン固定化カラムの製造と性能試験
一方の端部に、長さ5cmの、ペプシン(和光純薬)を含む薄膜を被覆した多孔質固定化素子を有するフューズドシリカキャピラリー(内径75μm、長さ1m、Polymicro Technologies INC.製)を用いた。
本実施例で用いたペプシン固定化カラムを次の手順で製造した。メタクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル(MTMSP)(東京化成)750μlに、水225μl及び1MのHClを22.5μl加え、室温で30分間撹拌を行った。該溶液30μlにトルエン170μlを加え再び30分間撹拌した後、イルガキュア1800(Irgacure1800(日本チバ・ガイギー社))8.9mgを加え、更に2.5時間以上撹拌した。固定化素子を作製する部位(キャピラリーの一端約5cm)以外をポリイミドコーティングで遮光した内径75μm、長さ40cmのキャピラリー内に該溶液を充填し、約20分間UV照射を行い、光重合反応により固定化素子をキャピラリー内に作製した。該UV照射には、RPR−100光化学反応器(photochemical reactor, Ultraviolet Company, Branford, CT, USA)を用いた。メタノールで未反応溶液を除去後、110℃のオーブン中に一晩静置し、乾燥させた。
テトラメトキシシラン(TMOS)(東京化成)761μlに水169μl、0.04MのHClを11μl加え、室温で20分間攪拌を行った。該溶液20μlに25%(w/v)ペプシンを含む150mMリン酸緩衝液(pH5.5)60μlを加え混合した後、該ゾル溶液を固定化素子のみが浸漬するようにシリンジでキャピラリー内に導入した。4℃で5分間放置後、キャピラリーから該混合液を追い出し、4℃で2日以上静置することにより、固定化素子上にペプシンを包含した薄膜を作製した。
電気泳動装置にはAgilent社製の3DCE systemを、質量分析装置にはMSD mass spectrometerを用いた。また泳動液には、500mMのギ酸溶液(和光純薬)を用い、分析時には15kVの電位差をキャピラリーの両端に与え、さらに多孔質固定化素子のある端部から50mbarの圧力で送液を行った。試料には、インシュリンβ鎖(Sigma-Aldrich)やリゾチーム(Sigma-Aldrich)を用い、キャピラリーの両端に20秒間20kVの電位差を生じさせることで注入した。
ペプシンを含む薄膜を被覆した多孔質固定化素子により、注入された試料は消化され、生成したペプチドフラグメントを電気泳動により分離し、直接質量分析装置に導入して、検出した。検出されたペプチドフラグメントは、試料をペプシンで酵素消化した時に生じると考えられる酵素特異的な切断が行われていた。また生成したペプチド断片を用いタンパク質の同定ソフトであるProtein Prospector 4.0.5 (the University of California San Francisco, http://prospector.ucsf.edu)を用いることで、試料のタンパク質を同定した。該検出工程を30回連続して行い分析しても、ペプシンの活性は保持されていた。
トリプシンを含む薄膜を被覆した多孔質固定化素子の製造と使用
96穴アッセイプレート(Millipore製)のウェルの大きさに合うトリプシン(Sigma-Aldrich社)固定化素子を調製し、実験に用いた。
本実施例で用いたトリプシン薄膜固定化素子を次の手順で製造した。テトラメトキシシラン(TMOS)(東京化成)1mlにポリエチレングリコール0.27gを溶解した0.01M酢酸2.5mlを加え、0℃で45分間撹拌した。該溶液を40℃で1晩放置し重合反応させ、水で洗浄後、目的の形状に成型し、0.01Mアンモニア水で120℃、3時間処理後、再び水で洗浄し、40℃で3日間乾燥させた。該重合体を600℃で2.5時間加熱し、多孔質固定化素子を作製した。
テトラメトキシシラン(TMOS)(東京化成)761μlに水169μl、0.04MのHClを11μl加え、室温で20分間攪拌を行った。該溶液20μlに5%(w/v)トリプシンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0)120μlを加え混合した後、該ゾル溶液に多孔質固定化素子を5分間浸漬し、多孔質固定化素子を取り出し、4℃で2〜3日間静置することにより、多孔質固定化素子表面にトリプシン包含薄膜を形成した。
固定化素子に固定されたトリプシンの活性測定には、マルチラベルカウンタ1420ARVOsx (Wallac製)を用い、試料にはNα-ベンゾイルアルギニンp-ニトロアニリド(Nα-benzoyl-arginine p-nitroanilide (BAPNA) (Sigma社))とアゾカゼイン(azocasein, Sigma社)とを用いた。1mg/μlのBAPNA30μlと62.5mMのTris/HCl緩衝液(pH7.5)120μlとの混合溶液の入ったウェルにトリプシンを固定化した多孔質固定化素子を加え、37℃で15分間攪拌することで酵素反応を行った。該多孔質固定化素子を取り除いた後、吸収強度(405nm)の変化を測定することで、酵素活性を測定した。アゾカゼインを用いた実験についても同様な手法を用い、355nmの吸収強度の変化により活性を測定した。
図6に示すように、該活性を20回以上測定しても、トリプシンの活性は低下せず、50回連続して分析を行っても必要な活性を維持していた。また、4℃で保存すると3ヶ月以上、トリプシンの活性は変化しなかった。
P450を含有するミクロソームを包含した薄膜を被覆した多孔質固定化素子の製造とその使用例
まず、実施例2と同じ手順で固定化素子を製造した。次いで、テトラメトキシシラン(TMOS)(東京化成)761μlに水169μl、及び0.04MのHClを11μl加え、室温で20分間攪拌を行った。該溶液20μlにP450を含むミクロソーム(第一化学薬品)溶液(タンパク質濃度2.75mg/ml)100μlを加え攪拌した混合液に、多孔質固定化素子を浸し、直ちに取り出し、4℃で2日以上乾燥させることで多孔質固定化素子表面にP450含有薄膜を作製した。
多孔質固定化素子は、溶媒が透過できる0.3〜6μmの貫通孔を有し、さらに表面積を大きくする1〜100nmの細孔を有することから、P450の反応効率を高めることが期待された。
一方、ミクロソームのコーティングには、アルコキシシランの加水分解及び重合に伴い、その架橋構造内に緩和な条件でミクロソームを包含し、固定化する手段を用いた。
ハイスループットスクリーニングシステムに適応させるため、反応は96穴マイクロプレートを用い、ウェルに入る大きさになるよう多孔質固定化素子を作製した。96穴マイクロプレートのウェルにP450を含む薄膜を被覆した多孔質固定化素子と蛍光性基質エトキシレゾルフィン溶液を入れ、37℃で反応させた。該反応は下記化学式(5)に示すように起きる。
P450の代謝活性は、多孔質固定化素子を取り除き、プレートリーダーを用いて生成したレゾルフィンの生成量を蛍光測定することにより測定した(Ex.550nm, Em.590nm)。測定後、該多孔質固定化素子を20mMリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄し、乾燥することで、繰り返し4回、4日間測定することが可能であった。
これまでP450は容易に不活性化するので固定化して利用できず、また、P450が代謝活性の測定を妨げるため、代謝物をP450から分離しなければならなかった。これに対し、本発明でP450を含む薄膜で被覆した多孔質固定化素子を作成、使用することにより、P450を繰り返し利用できるようになり、測定すべき代謝物をP450から分離する必要がなくなり、少量の試料、及び試薬で解析が可能になった。すなわち、本発明によりP450を用いた解析が経済的かつ短時間で行えるようになった。
P450を含有するミクロソームを包含した薄膜を、直接96穴マイクロプレートのウェル底部上に形成し、酸化反応を行った使用例
まずテトラメトキシシラン(TMOS)(東京化成)761μlに0.04MのHClを11μlと水169μlを加え、室温で20分間攪拌した。該溶液20μlにP450を含むミクロソーム溶液(タンパク質濃度2.75mg/ml)100μlを加えて混合した後、予めポリ酢酸ビニルで表面を親水性処理した96穴マイクロプレートの各ウェルに10μlずつ分注し、4℃で2日間以上放置することでゲル化を進行させ、P450を含む薄膜をウェル内壁に固定した。
当該固定化P450を用いて、実施例3と同様な方法で薬物の代謝反応を測定した。図7に経過時間とレゾルフィンの生成量との関係を表すグラフを示す。本方法で作製したP450固定化素子においても、繰り返し13回、6日間測定が可能であった。
図1は、本発明の多孔質固定化素子の構造を示す電子顕微鏡写真である。該写真に示されている空間は、溶媒を透過する数μmの空隙を有する多孔性構造を示す。 図2はさらに、前記多孔性構造の表面にある極めて多くの直径数nmの窪み(nm細孔)を示す拡大図である。 図3は、本発明の多孔質固定化素子上に形成された薄膜の網状構造を示す拡大図であり、多孔質固定化素子の窪み(nm細孔)の表面を、厚さ数nmの薄膜が覆っている状態を示す。右上拡大部分Aは、該薄膜がその数nmの空隙を有する網状構造の中に機能性物質を捉えて固定している状態を示す。 図4は、本発明の薄膜作成時のゾル−ゲル反応をアルコキシシランの重合反応に基づき説明した図である。 図5は、本発明の薄膜作成時のゾル−ゲル反応において、アルコキシシランの加水分解により生成したモノマーが、重合する過程で、機能性物質を、薄膜の網状構造に固定する状況を示す図である。 図6は、実施例2における、固定されたトリプシンの活性を示すグラフである。 図7は、実施例4において、P450の作用による代謝生成物の産生量を示すグラフである。 図8は、pHの条件とゲルの網状構造との関係を示す概念図である。

Claims (28)

  1. 溶媒を透過する0.1〜10μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、該多孔質構造表面に直径1〜100nmの細孔、及び機能性物質を包含した網目状構造を有する、多孔質固定化素子であって、
    下記式(1)、又は(2)の金属アルコキシドの重合体、又は共重合体から構成されている前記多孔質固定化素子:
    式(1)
    式(2)
    (式中、Mはケイ素であり、かつR〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、アルキルメタクリル基、アリルメタクリル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、アリルアミノ基、又はアルキルアミノ基を表す。)。
  2. 前記金属アルコキシドの重合体又は共重合体が、テトラメトキシシランの重合体、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの共重合体、テトラエトキシシラン、又はメタクリル酸3−トリメキシシリルプロピルの重合体である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  3. 前記金属アルコキシドの重合体又は共重合体が、テトラメトキシシランの重合体、又はテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの共重合体である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  4. 前記貫通孔が、溶媒を透過する0.3〜6μmの貫通孔である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  5. 前記機能性物質が、タンパク質、核酸、脂質、糖、及び金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  6. 前記機能性物質が、P450、グルクロニルトランスフェラーゼ、トリプシン、ペプシン、DNA、RNA、ペプチド核酸、脂質、糖、及び金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  7. 該機能性物質が、P450、又はグルクロニルトランスフェラーゼである、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  8. 前記機能性物質が、フラーレン、カーボンナノチューブ、ポリロタキサン、及びカテナンからなる群から選ばれる特異的な形状の化合物である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  9. 前記機能性物質が代謝酵素である、請求項1記載の多孔質固定化素子。
  10. 溶媒を透過する0.1〜10μmの貫通孔を有する多孔質構造を有し、該多孔質構造表面に直径1〜100nmの細孔、及び機能性物質を含むミクロソームを包含した網目状構造を有する、多孔質固定化素子であって、
    下記式(1)、又は(2)の金属アルコキシドの重合体、又は共重合体から構成されている前記多孔質固定化素子:
    式(1)
    式(2)
    (式中、Mはケイ素であり、かつR〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、アルキルメタクリル基、アリルメタクリル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、アリルアミノ基、又はアルキルアミノ基を表す。)。
  11. 前記金属アルコキシドの重合体又は共重合体が、テトラメトキシシランの重合体、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの共重合体、テトラエトキシシラン、又はメタクリル酸3−トリメキシシリルプロピルの重合体である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  12. 前記金属アルコキシドの重合体又は共重合体が、テトラメトキシシランの重合体、又はテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの共重合体である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  13. 前記貫通孔が、溶媒を透過する0.3〜6μmの貫通孔である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  14. 前記機能性物質が、タンパク質、核酸、脂質、糖、及び金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  15. 前記機能性物質が、P450、グルクロニルトランスフェラーゼ、トリプシン、ペプシン、DNA、RNA、ペプチド核酸、脂質、糖、及び金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  16. 前記機能性物質が、P450、又はグルクロニルトランスフェラーゼである、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  17. 前記機能性物質が、フラーレン、カーボンナノチューブ、ポリロタキサン、及びカテナンからなる群から選ばれる特異的な形状の化合物である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  18. 前記機能性物質が代謝酵素である、請求項10記載の多孔質固定化素子。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項記載の多孔質固定化素子が内部に形成されているキャピラリー、カラム管、又はマイクロチップ。
  20. 溶媒を透過する0.1〜10μmの貫通孔を有する多孔質構造を有する固定化素子の該多孔質構造表面に、直径1〜100nmの細孔、及び、機能性物質を含む網目状構造を有する薄膜を被覆する方法であって:
    下記式(1)、又は(2)の金属アルコキシド、又はこれらの混合物を加水分解すること:
    式(1)
    式(2)
    (式中、Mはケイ素であり、かつR〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、アルキルメタクリル基、アリルメタクリル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、アリルアミノ基、又はアルキルアミノ基を表す。)。;
    該加水分解溶液と、機能性物質を含有する溶液とを混合してゾル溶液を得ること;及び該ゾル溶液に、該固定化素子を浸漬し、乾燥させることにより、該固定化素子の多孔質構造表面上に薄膜を形成することを含む、前記薄膜の被覆方法。
  21. 前記金属アルコキシドが、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物、テトラエトキシシラン、又はメタクリル酸3−トリメキシシリルプロピルである、請求項20記載の薄膜の被覆方法。
  22. 前記金属アルコキシドが、テトラメトキシシラン、又はテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物である、請求項20記載の薄膜の被覆方法。
  23. 前記乾燥温度が0℃〜120℃である、請求項20記載の薄膜の被覆方法。
  24. 前記固定化素子の溶媒を透過する0.1〜10μmの貫通孔を有する多孔質構造を、
    下記式(1)、又は(2)の金属アルコキシド、又はこれらの混合物を加水分解すること:
    式(1)
    式(2)
    (式中、Mはケイ素であり、かつR〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、アルキルメタクリル基、アリルメタクリル基、アルキルスルホニル基、アリルスルホニル基、アリルアミノ基、又はアルキルアミノ基を表す。);
    該加水分解溶液にゲル化の過程で相分離を引き起こす溶媒を混合すること;及び該混合液を熱重合、又は光重合により重合させることを含む工程で形成する、請求項20記載の薄膜の被覆方法。
  25. 前記多孔質構造を形成する工程の金属アルコキシドが、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物、テトラエトキシシラン、又はメタクリル酸3−トリメキシシリルプロピルである請求項24記載の薄膜の被覆方法。
  26. 前記多孔質構造を形成する工程の金属アルコキシドが、テトラメトキシシラン、又はテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物である、請求項24記載の薄膜の被覆方法。
  27. 前記多孔質構造を形成する工程の加水分解の反応温度が0〜80℃であり、かつ反応時間が10分間〜24時間である、請求項24記載の薄膜の被覆方法。
  28. 前記多孔質構造を形成する工程の加水分解溶液に加える相分離を引き起こす溶媒が、トルエン、クロロホルム、又はポリエチレングリコール溶液からなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒である、請求項24記載の薄膜の被覆方法。
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