JP4553004B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
燃料極及び空気極はともに触媒物質を含む触媒層と、前記触媒層を支持すると共に反応ガスを供給しさらに集電体としての機能を有する電極器材からなる。
燃料極と空気極の更に外側には、反応ガスを外部より電極内に均一に供給するとともに、余剰ガスを外部に排出するためのガス流通溝を設けたセパレータ(コネクタ板)が積層される。このセパレータはガスの透過を防止するとともに発生した電流を外部へ取り出すための集電を行う。
燃料電池本体では、一般的に発生電力にほぼ相当する熱量の熱が発生する。従って、燃料電池本体が過度にヒートアップすることを防止するために、スタックに冷却板を内蔵させる。この冷却板には空気や水などの冷却媒体が流通されてスタックが冷却され、もって燃料電池本体が所望の温度に維持される。
即ち、燃料極(アノード)にて得られる水素イオンがプロトン(H+)の形態で、水分を含んだ電解質膜中を空気極(カソード)側に移動し、また燃料極(アノード)にて得られた電子が外部負荷を通って空気極(カソード)側に移動して酸化ガス(空気を含む)中の酸素と反応して水を生成する、一連の電気化学反応による電気エネルギーを取り出すことができるからである。
よって、良好なイオン伝導を保つために固体電解質膜に水分を供給する必要があり、そのために燃料ガス及び酸化ガスを加湿して、水分を供給している。
また、アノード電極側では、電極反応を適正に継続させるために、より水素ガスの湿潤状態を維持する必要があり、燃料ガスの加湿方法については従来から様々な提案がある。
特開平7−14599号公報に開示の燃料電池装置では、空気導入管に噴射ノズルを設けて加湿に必要な水がプロセス空気中に噴霧される。この噴射ノズルが圧縮機の上流側にある場合、噴霧された水はプロセス空気の圧縮にともなう熱で蒸発され、水蒸気の状態で空気極を加湿する。また、この装置でも、必要に応じて空気の加湿装置が更に付加される。
いずれにせよ従来の技術では空気へ水蒸気を混入させることにより電解質膜へ水分を補給していた。
所定値以下の厚さの電解質膜により、燃料電池を構成した場合に、プロトンが空気極において空気中の酸素と反応して生成された水が、電解質膜中を空気極から水素極へ逆浸透する。この逆浸透された水により、電解質膜を好適な湿潤状態に維持することができるため、水素極(アノード電極)側で水素(燃料ガス)を加湿する必要がない。
しかし、空気極(カソード電極)側において、導入される空気(酸化ガス)流により、電解質膜の空気極側の水分が蒸発するため、電解質膜の空気極側の水分が不足することが解った。
このように構成された燃料電池システムによれば、空気極の表面に供給された水が優先的に空気から潜熱を奪うので、空気極側の電解質膜から水分の蒸発することが防止される。従って、電解質膜はその空気極側で乾燥することなく、常に均一な湿潤状態を維持する。よって、燃料電池システムの性能及び/又は耐久性が向上する。
即ち、燃料電池システムの効率を上げ、更にその小型軽量化を図るには、燃料電池スタックに供給された液体状の水をいかに効率よく燃料電池スタックから排出させ、これを循環させるかが問題となる。
このような水対策は水直噴タイプの燃料電池に限られたものではない。プロセス空気を加湿する従来タイプの燃料電池であっても、特に車輌用に適用しようと大型化した場合には、燃料電池スタックから効率よく水を排出することはその発電効率を確保する上で解決すべき課題となる。
更に他の目的は、新規な構成の燃料電池システムを提供することにある。
更に他の目的は、コンパクトな燃料電池システムを提供することにある。
燃料電池の単位ユニットを複数枚重ね合わせて構成された燃料電池スタックであって、
前記各単位ユニットはその下縁が傾斜している、こと特徴とする燃料電池スタック。
車輌用に適したこの発明の一つの実施の形態では、各単位ユニットは車輌の幅方向に重ね合わされて燃料電池スタックを構成し、各単位ユニットは車輌の進行方向に対して傾斜している。即ち、各単位ユニットの下縁は車輌の進行方向に向いており、かつ水平線と交差している。そして、更に燃料電池スタック自体が車輌の幅方向に対して傾斜している。即ち、燃料電池スタックが三次元的に傾いており、よってその一つの角に水が集中し、そこから排出される
この発明の一つの実施の形態では、単位ユニットの複数枚を車輌幅方向に重ねあわせて燃料電池スタックを構成し、各単位ユニットの下縁を車輌の進行方向に対して傾斜させる。そして、燃料電池スタックの下側に取り付けられる水受けパンを車輌の幅方向に傾斜させた。走行時に車輌がその幅方向に傾斜する頻度は進行方向に傾斜する頻度に比べて少ない。従って、パンの傾斜に沿って水が円滑に流れ、回収されることとなる。他方、燃料電池の単位ユニットにおいては、その空気流路(空気極に供給された水はここを流れる)は狭いので、傾斜が多少変化しても、その下縁部において水の流れに殆ど影響はない。
なお、水回収装置を燃料電池スタックの下に配置すれば、燃料電池スタック内の水は自重で水回収装置まで落下する。従って、燃料電池スタックから水回収装置まで水を強制的に移動させるための補器(ポンプ等)を特に設ける必要がなくなる。よって、システムの軽量小型化を達成できる。
燃料電池スタックと該燃料電池スタックに水を供給し排出空気及び/又は排出燃料ガス中から水を回収する水供給系とを備え、該水供給系の水タンクが前記燃料電池スタックより下側に配置されている、ことを特徴とする燃料電池システム。
なお、水を燃料電池スタックから水タンクまでより円滑に流すため、両者を連絡する配管も燃料電池スタックを上側にした傾斜を常に維持しているものとすることが好ましい。
かかる第2の局面の発明は、水直噴タイプのように大量の水を燃料電池スタックから排出させる必要があるシステムにおいてより有効である。
燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに燃料ガスを供給し該燃料電池スタックから燃料ガスを排出させる燃料供給系とを備え、前記燃料ガスの排気バルブが前記燃料電池スタックより下側に設けられている、ことを特徴とする燃料電池システム。
上記第2の局面の燃料電池システムによれば、燃料ガスの排気バルブが燃料電池スタックより下側に設けられている。したがって、燃料電池スタックの燃料極側の水は自重で排気バルブまで落下し、排気バルブを開放したとき、燃料排気ガスとともにこの水も排出される。
燃料極から排気バルブまでの水の落下を補助するために、両者をつなぐ配管は少なくとも燃料電池スタックから下方に向けて配設されていることが好ましい。即ち、この配管は燃料電池スタック側を上側とした傾斜を常に維持するものとする。
次にこの発明の実施例を説明する。なお、以下の説明では、実施例の燃料電池システム1の全体構成を説明し、続いて各要素を詳細に説明する。
図1にこの発明の実施例の燃料電池システム1の構成を示す。図1に示すように、この燃料電池システム1は燃料電池スタック2、水素吸蔵合金11を含む燃料供給系10、空気供給系40、水供給系50及び負荷系70から大略構成される。
空気供給路41にはファン43が備えられ、大気から空気を空気マニホールド45へ送る。空気はマニホールド45から燃料電池スタック2の空気流路8へ流入して空気極3へ酸素を供給する。燃料電池スタック2から排出された空気は水凝縮器51(水回収装置)で水分が凝縮・回収されて大気へ放出される。
燃料電池スタック2から排出される温度は排気温度センサ47によりモニタされている。
水凝縮器51とタンク53を連結する配管には電磁バルブ60が取り付けられてタンク53内の水が蒸発するのを防止している。
また、空気極3の表面に供給された水は空気極3自体からも熱を奪いこれを冷却するので、これにより燃料電池スタック2の温度を制御できる。即ち、燃料電池スタック2へ冷却水供給系を付加しなくても当該燃料電池スタック2を充分に冷却することができる。
なお、排気温度センサ47で検出された排出空気の温度に対応してポンプ61の出力を制御し、燃料電池スタック2の温度を所望の温度に維持する。
なお、燃料電池スタック2自体の出力は電圧センサ75で常にモニタされている。このモニタ結果に基づき、図示しない制御回路で水素排気電磁弁33の開閉が制御される。
空気マニホールド45、燃料電池スタック2、水凝縮器(水回収装置)51およびファン43を図で上下に組み付けてなる組付け体100の側面図を図4に、平面図を図5に及び底面図を図6にそれぞれ示す。図中の符号101は組付け体100の基枠である。
燃料電池スタック2を通過した後の排出空気の温度は約50℃であり、大気から導入された吸気ポート515内の空気に比べて排気ポート511内の空気はその温度が相当高い。よって、仕切り板513を介して排気ポート511内の空気は吸気ポート515内の空気と熱交換され、もって冷却される。このとき、排出空気の水蒸気が凝縮される。即ち、この水蒸気は仕切り板513において結露する。そして、傾斜している仕切り板513にそって流れて、ドレイン516より水供給系50に戻される。
なお、ノズル55より供給された水分のうち気化しなかったものは自重で排気ポート511の仕切り板513まで落ちてきて、同様にしてドレイン516から水供給系50へ戻される。
ここで、単位ユニットUが傾斜していると、水は傾斜した下縁部112を伝って、その最も低い部分から滴下する。更には、単位ユニットUを傾斜させることにより、空気流路108内の水がバイパス110へ流れ込み易くなる。
このように、単位ユニットUが傾斜していると、空気極3に供給された水が流れやすくなって最下端の角部に集合し、そこで大きな水滴となる。よって、自重により確実に燃料電池ユニットUから排出されることとなる。
このタンク53はその上側部分に配水管520が連結されている。配水管520はドレイン516側を常に上側とした傾斜を維持している。これにより、ドレイン516より排出された水が滞りなくタンク53まで流れる。
図9からわかるように、水素ガスを燃料電池スタック2へ導入する導入口120は燃料電池スタック2の最も高い位置にある。また、燃料電池スタック2から水素ガスを排出する排出口121は燃料電池スタック2において最も低い位置とした。これにより、水素ガスの流れに沿って水素流路6内の水を排出口121へ押し流すことができる。
このように、水素ガスを排出するための水素ガス排出系300がすべて燃料電池スタック2の水素ガス排出口121より下方に配置されている。従って、燃料極4周囲の水はその自重により燃料流路、排出口121、配管30及び電磁弁33を介して外部へ排出されることとなる。
(20) 請求項4〜5のグループ、請求項6〜8のグループ、請求項9〜10のグループ、請求項11〜12のグループ、請求項13〜15のグループにおいて、少なくとも2つのグループからそれぞれ少なくとも1つ取り出された請求項の要件を組み合わせてなる燃料電池システム。
(131) 前記燃料供給系は前記燃料電池スタックから前記燃料ガスを排出することを制御する排気バルブを備え、該排気バルブは前記燃料ガスの排出口より下側に設けられている、ことを特徴とする(130)に記載の燃料電池システム。
(請求項1)
燃料電池の単位ユニットを複数枚重ね合わせて構成された燃料電池スタックであって、
前記各単位ユニットはその下縁が傾斜している、ことを特徴とする燃料電池スタック。
(請求項2)
前記下縁は前記燃料電池を備えた車輌の進行方向に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
(請求項3)
前記燃料電池スタックはそれ自身が前記車輌の進行方向に対する幅方向に傾斜している、ことを特徴とする燃料電池スタック。
(請求項4)
請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池スタックを備える燃料電池システム。
(請求項5)
燃料電池スタックと該燃料電池スタックに取り付けられる水回収装置とを備え、前記燃料電池スタックと前記水回収装置とが実質的に箱型に組付けられて、該箱型の組付け体の1つの角が実質的に最下点となるように配置される、ことを特徴とする燃料電池システム。
(請求項6)
燃料電池スタックと該燃料電池スタックの下側に配置される水回収装置とを備えてなる燃料電池システム。
(請求項7)
前記燃料電池スタックは単位ユニットを車輌の幅方向に重ね合わせてなりかつ前記各単位ユニットの下縁が車輌の進行方向に対して傾斜しており、前記水回収装置の水受け面は前記車輌の進行方向に対する幅方向に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
(請求項8)
前記燃料電池スタックの上側に、該燃料電池スタックの各空気極に水を液体の状態で供給する水供給手段が更に備えられる、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料電池システム。
(請求項9)
燃料電池スタックと該燃料電池スタックに水を供給し排出空気及び/又は排出燃料ガス中から水を回収する水供給系とを備え、該水供給系の水タンクが前記燃料電池スタックより下側に配置されている、ことを特徴とする燃料電池システム。
(請求項10)
前記水供給系は前記燃料電池スタックの空気極に水を液体の状態で供給し、排出空気から水を回収する、ことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
(請求項11)
燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに燃料ガスを供給し該燃料電池スタックから燃料ガスを排出させる燃料供給系とを備え、前記燃料ガスの排気バルブが前記燃料電池スタックより下側に設けられている、ことを特徴とする燃料電池システム。
(請求項12)
前記燃料電池スタックの燃料ガス排出口と前記燃料ガス排気バルブとを連結する配管は前記燃料電池スタックの燃料ガス排出口より実質的に下方に向けて配設されている、ことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
(請求項13)
燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに燃料ガスを供給し該燃料電池スタックから燃料ガスを排出させる燃料供給系とを備え、前記燃料電池スタックの燃料ガス導入口は前記燃料ガスの排出口より高い位置にある、ことを特徴とする燃料電池システム。
(請求項14)
前記燃料ガスの導入口は前記燃料電池スタックの燃料極より高い位置にあり、前記燃料ガスの排出口は前記燃料電池スタックの燃料極より低い位置にある、ことを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システム。
(請求項15)
前記燃料ガスの導入口は前記燃料電池スタックの最も高い位置にあり、前記燃料ガスの排出口は前記燃料電池スタックの最も低い位置にある、ことを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システム。
2 燃料電池スタック
3 空気極
4 燃料極
8 空気流路
10 燃料供給系
33 電磁弁
40 空気供給系
45 空気マニホールド
50 水供給系
51 水凝縮器
53 タンク
55 ノズル
70 負荷系
120 水素ガス導入口
121 水素ガス排出口
Claims (3)
- 高分子固体電解質膜を燃料極と空気極とで挟持してなる燃料電池本体とセパレータとを備えてなる矩形の単位ユニットの多数個を直列に積層してなる燃料電池スタックと該燃料電池スタックの下側に配置される水回収装置とを備え、車輌用に適用される燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックの各単位ユニットはその下縁が前記車輌の進行方向に対して傾斜し、前記燃料電池スタックは前記車輌の幅方向に対して傾斜して前記燃料電池スタックとして三次元的に傾いており、
前記水回収装置の水受け面は前記車輌の幅方向に傾斜している、ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記水受け面の最下点にドレインが取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記単位ユニットには前記空気極と前記セパレータとの間に上下方向の空気流路が形成され、前記燃料電池スタックの上側に空気マニホールドとその側壁に配設されたノズルとを備え、前記単位ユニットの空気流路は前記空気マニホールドに開口して前記ノズルから放出された水が液体の状態で前記空気極に供給される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
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