JP4552693B2 - 合成樹脂製成形品の熱処理用コア部材 - Google Patents

合成樹脂製成形品の熱処理用コア部材 Download PDF

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本発明は、合成樹脂製成形品の熱処理工程において、成形品の内部に挿入して熱処理工程に係る変形等を制御するための熱処理用コア部材に関する。
最近、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す。)樹脂製の2軸延伸ブロー成形壜体、所謂PETボトル等の合成樹脂製容器が飲料用等の用途に大量に使用されている。そして殺菌のため高温で内容物を充填するたとえばジュース、お茶等の用途では、2軸延伸ブロー成形工程で延伸結晶化のない口筒部の耐熱性を向上させるため、本願出願人による特許文献1に開示されたような方法により口筒部の熱結晶化処理を実施する。
また、キャップの螺合性、シール性の点で口筒部の寸法精度は重要であり、特許文献2には、熱結晶化処理後における口筒部の寸法精度を高くするため、上記した口筒部の加熱処理による密度の増加、収縮に伴う寸法変化や変形等を制御する目的で、プリフォームの口筒部に内径規制用のコアを挿入し、口筒部の内周面をコアで支持した状態で加熱処理する方法についての記載がある。
図5は特許文献2に記載される方法を概略的に示したものであり、PETボトル用のプリフォーム101を図示省略した搬送装置に組付く保持治具105にセットし、口筒部102に熱結晶化処理時における内径の変化を規制するためのコア部材106を挿入し、口筒部102の高さ位置に赤外線ヒータ107を配設した状態を示している。赤外線ヒータ107で加熱する際には、周方向に亘って温度を均一にするために保持治具105を回転させながら一般的にはPETの熱結晶化に適した180〜190℃程度の温度に口筒部を加熱する。
特公昭61−35056号公報 特公昭61−24170号公報
特許文献2に記載の方法のように内径規制用のコア部材を使用する場合には口筒部の寸法精度を比較的高くすることができるが、口筒部102の口径の収縮に伴なって、コア部材106への締め付け力が大きくなり、挿入したコア部材106を抜き出すのが困難となり、このコア部材106の抜き出し、あるいはプリフォーム101のコア部材106からの取り外し工程で、抜き出せない、取り外せない、あるいは抜き出す際に口筒部102が変形してしまう等のトラブルが発生するという問題がある。
この問題に関してはいくつかの改良方法が実施されているが、たとえば冷却が進行して熱収縮が大きくなる前に、すなわち高温の未硬化状態でコア部材106を抜き出す方法では、樹脂がまだ粘弾性体であるため極めて大きな変形を発生し易いという問題を有し、また口筒部102の口径を予め相当大きくしておき、熱結晶化に伴なう収縮による締め付け力を小さくする方法では、寸法精度が十分でなくなる等の問題が依然残っている。
また一方、口筒部102の熱結晶化処理工程では図5に示したように口筒部102を外部から赤外線ヒータ107等の熱源により加熱するが、熱結晶化処理時間を短くするために赤外線ヒータ107の出力を大きくして急激に外側だけから加熱すると外面と内面の温度差が大きくなり、熱結晶化が内外で不均一になりたとえば内面に皺が発生したり、内径規制しても後変形により楕円状になったりする問題もある。
そこで本発明は、合成樹脂製成形品の熱処理工程における収縮変形を規制するコア部材の抜き出し性の向上、またコア部材により内部からも安定して加熱できるようにすることを課題に、もって特には生産性の高い口筒部熱結晶化処理工程、そして寸法精度に優れた耐熱性の口筒部を有する容器を提供することを目的とする。
上記技術的課題を解決する方法のうち、第1の発明の手段は、
合成樹脂製成形品の熱処理工程において、前記成形品内に抜き出し可能に挿入して使用するコア部材において、外表面をプラズマCVD法による薄膜によりコーティングした構成とすること、にある。
本願発明者らは、特に熱結晶化処理後の口筒部からのコア部材の抜き出し性の改良検討を進める中で、コア部材の外表面にプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法による薄膜を形成してコーティングすることにより、抜き出し操作に係る滑り性が大きく改良されることを見出し、本発明を創出するに至った。
プラズマCVD法による薄膜は、たとえば炭素薄膜、ケイ素酸化物薄膜、炭化チタン薄膜、アルミナ薄膜、炭化ケイ素薄膜等があり、またこれらの中間的な元素組成を有する膜、これらの薄膜を積層した膜等を使用することができるが、滑り性が大幅に改良されると共に、コア部材に欠かせない耐熱性、耐久性等の性能を併せて十分備えている。
上記のように滑り性が大幅に改良されたことにより、熱処理によって成形品が収縮して、この収縮力によりコア部材を大きな締め付け力で締め付けるような状態になってもコア部材を容易に引き抜くことができる。
そしてこのため、成形品の熱処理部位の内径とコア部材の外径の差を極く小さく設定できると共に、熱処理後、樹脂のガラス転移以下の温度になってからの抜き出しが可能となって、熱処理工程をトラブル無くスムーズに実施できると共に、抜き出しに伴なう変形もなく、高い寸法精度で、耐熱性を有し、あるいは時間経過による後変形のない成形品を提供することができる。
なお、合成樹脂製成形品では結晶化を進行させて耐熱性を向上するための熱結晶化処理や、成形後の残留歪み等による変形を抑制するためのアニーリング等の各種の熱処理が実施されており、そして熱処理によって一般的に成形品は収縮するので、上記第1の発明の作用効果は、PETボトルの口筒部の熱結晶化処理に限らず、合成樹脂製成形品の、特に高温、長時間の厳しい熱処理で一般的に発揮される。
第2の発明の手段は、第1の発明において、合成樹脂製容器を成形するためのプリフォームの口筒部、あるいは合成樹脂製容器の口筒部の熱処理工程に使用し、この口筒部に挿入して熱処理工程による熱収縮変形を規制する構成としたこと、にある。
合成樹脂製容器の口筒部は、口筒部に密閉状にキャップをして使用する場合、特に口筒部の天面の僅かな凹凸、真円から楕円状への僅かな変形、内周面上端部近傍における凹凸の形成により、シール性が損なわれてしまうが、第2の発明の上記構成により、コア部材としては円柱状、あるいは円筒状のものを使用して、口筒部の内径とコア部材の外径の差を極く小さく設定できるので、内径規制コアとしての機能が十分発揮され、熱処理に伴なう熱収縮を高い精度で制御することができ、シール性を高いレベルで維持することができる。
なお、試験管状のプリフォームを2軸延伸ブロー成形する合成樹脂製容器の場合には、プリフォームの段階で口筒部を熱処理をするのが好ましい。
第3の発明の手段は、第1または2の発明において、
合成樹脂製容器を成形するためのプリフォームの口筒部、あるいは合成樹脂製容器の口筒部の熱処理工程に使用し、熱吸収機能が発揮されるように、着色した薄膜によりコーティングし、口筒部内部からの加熱も可能な構成とすること、にある。
プラズマCVD法による薄膜はその元素組成の選択により、黒色系統等に着色した薄膜とすることができ、熱吸収機能を発揮せしめることができる。そして第3の発明の上記構成により、口筒部を外部から加熱する赤外線ヒータ等の放射熱を高い効率で吸収させることができ、また上述したように口筒部とコア部材の隙間を極く小さく設定できるので熱処理工程の極く初期段階で口筒部の内周面
がコア部材に密着状に接触するので熱伝導によってもコア部材が加熱されるので、コア部材自体の温度を適宜上昇させて、口筒部の内表面側からも口筒部を加熱することができ、口筒部の壁の全肉厚に亘る温度分布を均一にすることが可能となる。
そして、上記のように温度分布を均一に加熱でき、熱処理を内外で均一に進行させることができ、間隙を極く小さくできることと相俟って、より高温の厳しい条件で急激にもしくは短時間で熱処理しても、内面に皺が発生したり、内径規制しても後変形により楕円状になったりすることを防ぐことができる。
また、赤外線ヒータ等の出力を大きくして急激に外側から加熱しても、外面と内面の温度差をむやみに大きくすることがないので、熱処理時間を短くして生産速度を向上させることもできる。
第4の発明の手段は、第3の発明において、コア本体をステンレス製としたこと、にある。
従来よりコア本体として、アルミニウム、ステンレス等の金属製のもの、セラミック製、あるいは耐熱樹脂製等のものが使用されているが、コア部材を利用して口筒部を内部からも加熱する場合には、コア部材に係る材料を選択したり、コア部材の形状を図5に示した円柱状、あるいは円筒状等から選択したり、断熱層を設けたり、必要に応じて間接的にコア部材を加熱あるいは冷却する機能を有する部位を連結したり、さらには赤外線ヒータの出力をコントロールする等の方法により、内部からの加熱を安定して実施する。
第4の発明の構成は、コア部材の熱容量を大きくて内部からの加熱を安定しようとするものであり、コア部材をステンレス製とすることによりアルミニウム製等のものに比較して熱容量を大きくして、内部からの加熱を安定して実施することができる。
たとえば連続熱結晶化処理工程では加熱終了後、プリフォームを取り外して次のプリフォームを装着する際におけるコア部材の温度の下降を小さくすることができ、予めコア部材を予熱調整するための時間を短く、あるいは無くすこともでき、高い生産速度を維持しながら内部からの口筒部への加熱を安定して実施することができる。
第5の発明の手段は、第1、2、3または4発明において、薄膜を炭素薄膜としたこと、にある。
プラズマCVD法による薄膜のなかでも、炭素薄膜の形成は反応ガスとしてn−ヘキサン、アセチレン等の炭化水素化合物を真空にしたチャンバーに導入し、プラズマCVD法によりコア部材の外表面を所謂DLC(Diamond Like Carbon)状に超硬質にコーティングすることができ、耐熱性、滑り性に優れることは勿論のこと、アルミニウム、ステンレス等の金属製のコア部材の表面への密着力が強く、より優れた耐久性が発揮される。
また、炭素薄膜は黒色系統の薄膜であり熱吸収機能を十分発揮でき、口筒部を外部から加熱する赤外線ヒータの放射熱を高い効率で吸収させることができる。
第6の発明の手段は、第1、2、3、4または5の発明において、2軸延伸ブロー成形用PET系樹脂製のプリフォームの口筒部、あるいは容器の口筒部に挿入して熱結晶化処理に使用すること、にある。
PET系樹脂製プリフォームの口筒部、あるいは容器の口筒部のコア部材(内径規制コア)を使用した熱結晶化処理では数%の収縮が発生するが、第6の発明の上記構成によれば、プラズマCVD法による薄膜でコア部材をコーティングすることにより、このような熱収縮によってたとえ大きな締め付け力が発生したとしても、薄膜により滑り性が大幅に改良されているので、容易にコア部材を引き抜くことができ、引き抜きに係る変形あるいは生産工程でのトラブルの問題を解決することができるようになった。
また、滑り性が大幅に改良されたことにより、口筒部の内径と規制コアの外径の差、すなわち挿入時の隙間を極く小さく設定することもできると共に、熱結晶化処理後、冷却して口筒部がガラス転移以下の温度になってからの抜き出しが可能になったため、高い寸法精度で熱結晶化処理により耐熱性を有する口筒部を提供することができるようになった。
また一方で、第6の発明の構成によれば、PETボトル用のプリフォームの口筒部は一般的に図5に示したように口筒部102を外部から赤外線ヒータ107等の熱源により加熱するが、通常内部からの加熱はないため、熱結晶化処理時間を短くするために赤外線ヒータ107等の出力を大きくして急激に外側から加熱すると外面と内面の温度差が大きくなり、熱結晶化が内外で不均一になり、コア部材で内径規制しても後変形により楕円状になったりすると云う問題についても解消することが可能となる。
すなわち、コア本体の材質を適宜選択し、熱吸収機能を発現する薄膜を適宜選択することにより、PET系樹脂のプリフォームは一般的に透明であるので外部から加熱する赤外線ヒータの放射熱を薄膜の熱吸収機能により高い効率で吸収させることができ、また口筒部とコア部材の隙間を極く小さく設定できるので熱処理工程の極く初期段階で口筒部の内周面がコア部材に密着状に接触するので熱伝導によってもコア部材が加熱され、コア部材の温度をPETボトルの熱結晶化温度に適した高い温度に安定して保持することができる。
そして、上記のように外部と共に、内部からも口筒部を安定的に加熱できれば、口筒部の壁の全肉厚に亘る温度分布を均一にすることができ、熱結晶化を内外に亘って均一に進行させることができるので、たとえばレトルト処理用途向けのように、口筒部を220℃程度の、より高温の厳しい条件で熱処理しても、内面に皺が発生したり、内径規制しても後変形により楕円状になったりすることを防ぐことができる。
また、赤外線ヒータ等の出力を大きくして急激に外側から加熱しても、外面と内面の温度差をむやみに大きくすることがないので、熱結晶化処理時間を短くして生産速度を向上させることが可能となる。
特にPETボトルは大量かつ高速で生産されており、上記熱結晶化処理時間の短縮により、大幅なコスト削減が可能である。
なお、第6の発明に使用するPET系樹脂としては、主としてPET樹脂が使用されるが、PET樹脂の本質が損なわれない限り、エチレンテレフタレート単位を主体として、他のポリエステル単位を含む共重合ポリエステルも使用できると共に、たとえば耐熱性を向上させるためにナイロン系樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の樹脂をブレンドして使用することもできる。共重合ポリエステル形成用の成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。
さらには、本発明のPET系樹脂製壜体は、PET樹脂製壜体としての本質が損なわれない限り、たとえば耐熱性、ガスバリア性の向上のためにPET樹脂/ナイロン樹脂/PET樹脂のようにナイロン樹脂等の中間層を有したものであっても良い。
本発明は上記した方法であり、以下に示す効果を奏する。
第1の発明にあっては、コア部材の表面にプラズマCVD法による薄膜を形成してコーティングすることにより、滑り性が大幅に改良されると共に、耐熱性、耐久性等の性能を併せて十分備えたコア部材を提供することができる。
そして、滑り性が大幅に改良されたことにより、挿入時の隙間を極く小さく設定でき、熱処理後に口筒部がガラス転移温度以下になってからでも容易に抜き出すことができ、熱処理工程をトラブル無くスムーズに実施できると共に、高い寸法精度で耐熱性を有し、後変形のない成形品を提供することができるようになった。
第2の発明にあっては、口筒部の内径とコア部材の外径の差を極く小さく設定できるので、内径規制コアとしての機能が十分発揮され、熱処理に伴なう熱収縮を高い精度で制御することができ、口筒部のシール性を高いレベルで維持することができる。
第3の発明あっては、口筒部の内表面側からも口筒部を加熱するとができ、口筒部の壁の全肉厚に亘る温度分布を均一した状態で熱処理することができる。
第4の発明にあっては、コア部材のコア本体をステンレス製とすることにより熱容量を大きくして、コア部材の温度を上下変動の少ない状態で維持して内部からの口筒部への加熱を安定して実施することができる。
第5の発明にあっては、表面に炭素薄膜を形成することにより耐熱性、滑り性に優れることは勿論のこと、アルミニウム、ステンレス等の金属製のコア部材の表面への密着力が強く、より優れた耐久性が発揮されると共に、黒色の皮膜であり熱吸収機能を発揮せしめることができ、内表面側からも成形品部位を効率的に加熱することができ、成形品部位の壁の全肉厚に亘る温度分布を均一に加熱することが可能となる。
第6の発明にあっては、薄膜によりコア部材の滑り性が大幅に改良されたことにより、口筒部の内径と規制コアの外径の差を極く小さく設定できると共に、熱結晶化処理後、冷却して口筒部がガラス転移温度以下になってからの抜き出しが可能になったため、高い寸法精度で耐熱性を有する口筒部を有するPET系樹脂製のプリフォーム、あるいは容器を提供することができるようになった。
また、コア本体、薄膜に係る材質を適宜選択することにより、内部から口筒部を安定的に加熱できるので、熱結晶化を内外に亘って均一に進行させることができ、たとえばレトルト処理用途向けのように、口筒部を220℃程度の、より高温の厳しい条件で急激にもしくは短時間で熱処理しても、内面に皺が発生したり、後変形により楕円状になったりすることを防ぐことができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明のコア部材の一実施例を配設したプリフォームの保持治具11にプリフォーム1をセットした状態を示している。図2はコア部材21の縦断面図であり、円筒状のコア本体22はステンレス製であり、図2中で見て略下半分は外径D2を一定にした円筒状で、プリフォーム1の口筒部2への挿入がスムーズにできるように、略中央高さ位置から先端に向けて緩やかに縮径した形状としている。
また、図2中の拡大図に示されるように、コア本体22の外周面にはプラズマCVD法による炭素薄膜23が所謂DLC(Diamond Like Carbon)状に形成されている。この膜厚は2〜3ミクロンであり、黒色系統の色を呈したものである。
図3はPET樹脂製のプリフォーム1の一例を示す。コア部材21の挿入性等を考慮して口筒部2の内径D1は、ビードリング6位置から上端面まで緩やかに拡径している。そして、口筒部2内径D1とコア部材外径D2の口径差は、コア部材21がスムーズに挿入できる範囲で、極く小さな値になるようにしている。
次に図1に示す保持治具11は、本発明のコア部材21を装着して使用する保持治具の一例であり、上記説明したコア部材21の炭素薄膜23が黒色であり、熱吸収性機能を発揮せしめることができることを利用して、口筒部2を外部から加熱する赤外線ヒータの放射熱を高い効率で吸収させて、コア部材21自体の温度を適宜上昇させて、口筒部2の内表面側からも口筒部2を加熱できるように設計したものである。
この保持治具11は、図示省略した搬送装置に組付き、外周面に冷却効率を向上するための冷却フィン12aを付設した有頂円筒状の治具基体12を有し、この治具基体12に螺合組付きし伝熱機能を発揮する支持体13を中心軸に沿って起立配設している。そしてこの支持体13は、基部を螺合により治具基体12に結合し、先端部にプリフォーム1のネックリング5下方(図1中では上方)のテーパーに沿った形状のテーパー部14aを形成した支持基体14と、この支持基体14に螺合により結合し、プリフォーム1の円筒状の胴部3に内接する内接部15と、プリフォーム1の底部4に内接状に当接する先端半球部17を有し、さらに内接部15と先端半球部17は連結棒16により高さの調節が可能なように連結されている。
コア部材21は円筒状の断熱筒体24を介して、支持基体14に外嵌状にセットされ、さらに断熱カラー25を配設することによりこのコア部材21に蓄積された熱が急激に逃げないようにしている。
そして、図1から判るように、上方からプリフォーム1を保持治具11に装着した状態では、先端半球部17がプリフォーム1の底部4の内面に内接状に当接すると共に、内接体16が胴部3に内接して、口筒部2の天面と断熱カラー25の天面との間に間隙Gが形成された状態で、プリフォーム1の倒立姿勢を安定して維持することができる。
このような状態で、保持治具11を回転させながら、口筒部2の高さレベルに配設した赤外線ヒータ(図示省略)により熱結晶化処理を実施するが、口筒部2の天面が断熱カラー25の天面と接触することなくフリーな状態での熱結晶化による収縮が可能であり、さらにコア部材21の機能が発揮され設計基準どおりの口径の口筒部2を得ることができる。
さらに詳述すると、後述するコア部材21の引き抜き性に係る炭素薄膜23の作用効果が発揮され、熱結晶化処理後に口筒部2からコア部材21を容易に引き抜くことができるので、PET樹脂のガラス転移温度以下である70℃程度の温度まで十分冷却することができ、取り外しに係る変形もなく、所定の設計基準どおりの口径の口筒部2を容易に得ることができる。また、口筒部2内径D1とコア部材21外径D2の口径差を極く小さな値にすることができ、すなわち口筒部2とコア部材21間の間隙は極く小さくすることができ、口筒部2内径D1の収縮量は極く小さく抑えることができ、口筒部2の内周面での熱収縮による皺あるいは凹部の発生を防ぐことができるようになった。
また、炭素薄膜23の熱吸収機能、コア本体22をステンレス製として熱容量を大きくした効果、断熱筒24および断熱カラー25等の断熱部材による断熱効果により、赤外線ヒータの出力を適宜調整することにより、コア部材21の温度をPET樹脂の結晶化に適した180〜190℃程度の温度、あるいは220℃程度の高温にも安定して保持することができ、口筒部2の温度を急激に上昇させても、口筒部2の全肉厚に亘って温度を均一することできるので、熱結晶化処理工程中の加熱時間をたとえば70秒から40秒程度にまで短縮する等、熱結晶化処理の生産速度を大きく向上させることができるようになった。
なお、上記のようにコア部材21に蓄熱するようにすると、どうしてもプリフォーム1のネックリング5を含んだ口筒部2だけでなく、その下の部位、すなわち胴部3の上端部までも熱結晶化が進行して白化してしまうことが問題となるが、図1に示した保持治具11中では、プリフォーム1のネックリング5下方のテーパーに支持14のテーパー部14aの形状を沿わせて、この部分の熱を支持基体14を伝導させて冷却フィン12aを付設した治具基体12から放散してこの問題をクリアできるようにしている。
なお、本実施例のコア部材21と、比較例としての、形状は図2に示す実施例と同様でアルミニウム製のコア本体を用い、タフラム加工により表面を黒化処理したコア部材を、図1の保持治具11にセットして、同様な条件で熱結晶化処理後、70℃まで冷却した時点でのプリフォーム1を引き抜くために要する力を測定したところ、本実施例のコア部材では25Kgf、比較例のコア部材では36Kgfの力を要し、炭素薄膜23の優れた滑り性が数字で実証された。
以上、実施例により本願発明のコア部材、およびその作用効果を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されるものではない。プラズマCVD法による薄膜は炭素薄膜に限定されるものではなく、元来プラズマCVD法による薄膜は高硬度で、耐熱性、耐久性、そして滑り特性に優れるものであり、熱吸収機能を含めたそれぞれの特性を考慮しながら使用することができる。
また、図1に示したコア部材21と保持治具11は、本願発明のコア部材の一例と、このコア部材21を装着して使用する保持治具11の一例を示すものであり、たとえば図4に示したような円柱状のコア部材21と比較的シンプルな形状の保持治具11組み合わせて使用することもでき、図5に示したようなコア部材を使用することもできる。
そして、従来より使用されている様々な態様の保持治具に本願発明のコア部材を装着して様々な態様で使用することができる。
以上説明したように、本発明のコア部材は、口筒部からの抜き出し性に優れると共に、薄膜の種類によって熱吸収機能を発揮するものであり、特にPET系樹脂製の容器において高い生産性で口筒部の熱結晶化処理工程を実現し、寸法精度に優れ、高い耐熱性を有した口筒部を有する容器を提供することができ、特にPETボトルは大量かつ高速で生産されており、本発明のコア部材の使用により口筒部の熱結晶化処理時間を大幅に短くすることができ、大幅なコスト削減が期待される。
本発明のコア部材の一実施例を、プリフォーム保持治具の一例に配設した状態を示す縦断正面図である 図1中の本発明のコア部材の一実施例を示す縦断面図である。 プリフォームの一例を一部破断して示す正面図である。 本発明のコア部材の他の実施例を、プリフォーム保持治具の他の例に配設した状態を示す縦断正面図である。 熱結晶化処理のための装置の配設状態を概略的に示す説明図である。
1 ;プリフォーム
2 ;口筒部
3 ;胴部
4 ;底部
5 ;ネックリング
6 ;ビードリング
11;保持治具
12;治具基体
12a;冷却フィン
13;支持体
14;支持基体
14a;テーパー部
15;内接部
16;連結棒
17;先端半球部
21;コア部材
22;コア本体
23;(炭素)薄膜
24;断熱筒
25;断熱カラー
101;プリフォーム
102;口筒部
103;ネックリング
105;ホルダー
106;コア部材
107;赤外線ヒータ
D1;(口筒部)内径
D2;(コア部材)外径
G ;間隙

Claims (3)

  1. 合成樹脂製容器を成形するためのプリフォームの口筒部、あるいは合成樹脂製容器の口筒部の熱処理工程において前記口筒部に抜き出し可能に挿入して前記熱処理工程による熱収縮変形を規制するコア部材であって、外表面をプラズマCVD法により黒色系統に着色した炭素薄膜でコーティングしたことを特徴とする熱処理用コア部材。
  2. コア本体をステンレス製とした請求項記載の熱処理用コア部材。
  3. 2軸延伸ブロー成形用ポリエチレンテレフタレート系樹脂製の、プリフォームの口筒部あるいは容器の口筒部に挿入して熱結晶化処理に使用する請求項1または2記載の熱処理用コア部材。
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