JP4552012B2 - 気体の状態方程式の視覚化教材装置 - Google Patents

気体の状態方程式の視覚化教材装置 Download PDF

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Description

この発明は、気体の状態方程式の視覚化教材装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、現実には目に見えない気体分子の運動と同様の振る舞いを実体のある気体分子モデルにさせ、それを目で見えるようにした気体の状態方程式の視覚化教材装置に関するものである。
気体の状態方程式は、圧力をP、体積をV、温度T、nを分子のモル数とすると、次の式、すなわち、PV=nRTで表され、主として高等学校の物理や化学において学習するものであるが、理系大学生の専門基礎として学習することもあり、気体の性質を理解する上で、中心的位置を占めている。
生徒や学生にとって、状態方程式をあてはめた計算問題は比較的できるが、簡単な概念問題に状態方程式を応用することは困難である(例えば、非特許文献1参照)。
これは、目に見えない気体について、圧力や温度の意味を理解しイメージすることが困難なことによると考えられる。
従来より、ピンポン玉や鋼球を気体分子のモデルになぞらえた気体分子運動モデル実験器が、気体分子の運動のイメージを捉えることのできる教材として知られている(例えば、非特許文献2及び3参照)。
ピンポン玉を用いた気体分子運動モデル実験器51を図13に示す。これは、回転歯車52によってピンポン玉53を弾き上げ、ガラス容器内で飛び跳ねるピンポン玉53を見ることができるようにしたもので、モーター54の回転数を変えることで、ピンポン玉53の動きが変わる。
鋼球を用いた気体分子運動モデル実験器61を図14に示す。これは、ピストン62を往復運動させて、ピストン62とフローティングピストン63との間で動き回る鋼球64を透明な筒65を透して見ることができるようにしたもので、電圧を制御してピストン62の振動数を変えることで、鋼球64によって押し上げられるフローティングピストン63の高さが変わる。また、フローティングピストン63上にはおもりが載せられるようになっている。このモデル実験器は、ピストン62とフローティングピストン63の間の距離を気体の体積、フローティングピストン63とその上に載せるおもりの重さを気体の圧力、ピストンの振動数を気体の温度と、それぞれ、なぞらえることにより、気体の物理量の間の関係を示そうと試みたものである。しかし、この実験器では、一応の傾向はつかめるものの、ボイルの法則やシャルルの法則などの正確な関係をとらえることには成功していない(非特許文献3の解説参照)。この原因としては、ピストンの振動数を気体の温度と見なすことの理論的な誤りやこのモデル実験器では重力の影響が避けられないこと、すなわち、鋼球の分布がピストン側に多く上下で均一な分布をしないことやピストンによって打ち出された剛球はその速さが減速してフローティングピストン63に到達すること、などの技術的欠点が考えられる。ボイルの法則やシャルルの法則ほかの気体の状態方程式中に現れる物理量の間の種々の関係を正確にとらえるためには、これらの誤りや欠点を改善することが必要である。
J.Chem.Edu,vol.77,No.2,p235−238(2000) 古川 千代男著「プロジェクトサイエンスシリーズ5 物質の原子論−生徒と創造する化学の授業−」(株)コロナ社、1989年5月10日、p.17−19 近角聰信・豊田博慈監修「新訂図解実験観察大辞典 物理」東京図書、1992年10月30日、p.105
前記したピンポン玉や鋼球を気体分子のモデルとして使用した気体分子運動モデル実験器は、気体分子運動のイメージを目から捉えることはできるが、気体の定性的な関係や傾向しか見ることができず、気体分子のモデルを用いて定量的に気体状態方程式を導き出せるものとはいえない。
この発明は、上記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたものであり、目に見える気体分子モデルを用い、これが壁と衝突して圧力が生ずることや運動速度が増すと圧力が高まること等の定性的挙動に留まらず、定量的にも、気体分子モデルによって気体の状態方程式が成立することを導き出せるようにした、気体の状態方程式の視覚化教材装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置は、以下の(1)〜(4)の通りである。
(1)底面と一側面が開放された透明カバー体と、駆動源によって駆動される往復運動機構を介して開放された前記透明カバー体の一側面と直交する方向に往復動可能な稼働底板と、前記透明カバー体内で該稼働底板と同方向に移動可能な圧力測定側壁部材で構成される容器に、高反発弾性の球状気体分子モデルが収納可能とされ、
前記稼働底板には、その往復動によって収納された気体分子モデルを前記容器内に打ち出すための三角突条の突起が、その長手方向が稼働底板の往復動方向と直交して所定間隔に設けられており、
前記稼働底板より打ち出された気体分子モデルが前記圧力測定側壁部材に衝突することによって発生する圧力の測定手段を具備することを特徴とする気体の状態方程式の視覚化教材装置。
(2)上記(1)において、前記圧力測定側壁部材が、コロその他の低摩擦機構に支持されて移動可能とされているものであることが望ましい。
(3)上記(1)または(2)において、前記圧力の測定手段は、前記稼働底板より打ち出された気体分子モデルが前記圧力測定側壁部材に衝突することによって発生する圧力を、圧力測定側壁部材に取り付けられたバネで測定するようにしたものであることが好ましい。(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記稼働底板の駆動源がモーターであり、往復運動機構としてクランク機構を用いているものであることが好ましい。
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、この発明の装置によれば、稼働底板より打ち出された気体分子モデルが容器内で熱運動に似たランダムな運動をすることが実演でき、これを透明カバー体を透してみることができるとともに、気体分子モデルが圧力測定側壁部材に衝突することによって生ずる圧力を測定することができる。そして、稼働底板の往復振動数を高くすることで、突起によって打ち出される気体分子モデルの運動速度が増加し、その結果、圧力が高まることが確認できる。また、圧力測定側壁部材の初期位置を種々変更することで容器の体積を変えたり、容器に収納する気体分子モデルの数を変えたり、そのサイズを変えたりすることができ、圧力測定側壁部材の受ける圧力、容器の体積、気体分子モデルの数、サイズ等との相互関係を知ることができる。
このような種々の条件の基での容器内でランダムな運動をする気体分子モデルを目で見ることができ、気体分子運動のイメージを容易に理解できることになる。そして、この発明の装置は、気体分子が容器壁に衝突することによって圧力を生ずること、その圧力は気体分子の運動速度が増すと圧力が高まること等の定性的挙動に留まらず、以下のように物理量を評価することで、定量的にも、気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示すことができる。
n: 気体分子モデルの数
V: 容器の体積
P: 圧力測定側壁部材にかかる圧力
T: 温度(気体分子モデルの速度の2乗平均に比例する。)なお、この関係は、気体分子の運動エネルギー(式の左辺)が以下の数式1で表されることによる。
Figure 0004552012
(但し、mは質量、vは気体分子の平均運動速度、Tは絶対温度、kはボルツマン定数でk=1.3807×10−23ジュール/°Kである。)
この式から、温度と気体分子の運動エネルギーとが一定の関係、すなわち平均運動速度が2倍になれば、温度が4倍になったことに相当する。
この発明にあっては、稼動底板の往復動速度を気体分子モデルの平均運動速度と同一(又は比例関係にある)と見なすものとする。
従って、この発明の装置によれば、気体の状態方程式から導かれる種々の関係と同様、以下に示すような定量的関係を検証することができることになる。
すなわち、(a)温度及び分子数が一定の条件下での、圧力と体積の逆比例関係(ボイルの法則)、(b)圧力及び分子数が一定の条件下での、温度と体積の比例関係(シャルルの法則)、(c)体積及び分子数が一定の条件下での、温度と圧力の比例関係、(d)体積及び温度が一定の条件下での、分子数と圧力の比例関係等。
このように、発明の装置は、いわば、容器壁に囲まれた気体分子系の本質的要素を気体分子モデル系に抽出してその性質を示すものとなっており、気体分子モデルがあたかも熱攪乱によって動き始めると圧力測定側壁部材が動き、圧力が増す様子を直接目の当たりすることができることになり、印象的であり、圧力や温度のイメージを定性的にも定量的にも容易に理解することができることになる。
そして、この発明の装置は、構造が単純であり、また、透明カバー体を透して容器内の気体分子モデルの運動や稼働底板の動き等が見やすく、製造コストも低く経済的でもある。
以下、発明を実施するための最良の形態を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は以下の実施の形態によって限定されるものではない。
図1は、この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置の一実施の形態を示す概略図である。図1に示される気体の状態方程式の視覚化教材装置1は、概略、底面と一側面が開放された透明カバー体2と、モーター3によって駆動されるクランク往復運動機構を介して側面と直交する方向(左右水平方向であって、図1の矢印Aで示す。)に往復動可能な稼働底板5と、透明カバー体2内で稼働底板5と同方向(左右水平方向であって、図1の矢印Bで示す。)に移動可能な圧力測定側壁部材6で構成される容器7に、高反発弾性の球状気体分子モデル8が収納可能とされ、稼働底板5には、その往復動によって収納された気体分子モデル8を容器7内に打ち出すための三角突条10が設けられており、稼働底板5より打ち出された気体分子モデル8が圧力測定側壁部材6に衝突することによって発生する圧力の測定手段を具備する構成のものである。
透明カバー体2は、透明で矩形板状の前面壁部材(図示せず)、上面壁部材2a、後面壁部材2b、右側面壁部材2cが互いに直交するように組み合わされて一体化され、底面と左側面が開放されたもので、直方体状のものとなっている。右側面壁部材2cの下端縁は、前・後面壁部材の下端縁より短くなっており、稼働底板5の左右への往復動に支障がないスペースが確保されている。透明カバー体2は、フレーム(図示せず)にネジ等で固定されている。
透明カバー体2を構成する前面壁部材、上面壁部材2a、後面壁部材2b、右側面壁部材2cとしては、アクリル板が、透明性が高く、気体分子モデル8が衝突しても割れたり破損したりせず、しかも、反発性が良好であることから好ましい。アクリル板を使用する場合は、前面壁部材、上面壁部材2a、後面壁部材2b、右側面壁部材2cを接着して透明カバー体2が製造される。透明カバー体の素材としてガラス等が使用できないものではない。
稼働底板5の左右長さは、透明カバー体2の左右長さとほぼ同じとされている。稼働底板5の前後幅は、透明カバー体2の前面壁部材と後面壁部材の間隔とほぼ同じであって、透明カバー体2の前面壁部材と後面壁部材の間に挟まれて、前後方向にぶれることなく規制され、左右に安定して往復動できるようになっている。そして、稼働底板5は、図示していないフレームに取り付けられた案内ローラによって支持されているが、これに限られるものではない。
稼働底板に設けられた三角突条10は、その長手方向が稼働底板5の往復動方向と直交する前後方向に所定間隔をもって設けられ、その長さは、稼働底板5の前後方向の幅とほぼ同じである。三角突条10の左斜面は、稼働底板5が往動(左方に移動)する際に、気体分子モデル8を圧力測定側壁部材6に向けて打ち出す機能を果たし、右斜面は、稼働底板5が復動(右方に移動)する際に、気体分子モデル8を右側面壁部材2cに向けて打ち出す機能を果たすことになる。図2は、稼働底板5の三角突条10と気体分子モデル8の関係を示す説明図である。突条の断面形状としては、2等辺三角形が好ましく、頂角としては、80〜90゜である。このうち、頂角90゜の二等辺三角形がより好ましい。三角突条10の間隔Wは(三角突条の右斜面の基端とその右側にある三角突条の左斜面の基端との距離を示す。)、使用する気体分子モデル8の反発性にもよるが、気体分子モデル8の直径Dと同等かやや広め、一般に0.8〜1.5倍程度とすることが好ましい。三角突条の底辺の長さSは、気体分子モデル8の直径Dの0.8〜1.0倍程度、高さHは0.40〜0.50倍程度が好ましい。分子モデルの直径に応じ、三角突条の大きさ及び稼働底板上での配置間隔は、透明枠体及び稼働底板をフレームから外して、調節可能である。三角突条の大きさ及び配置間隔の異なる稼働底板を複数備え、交換できるようにしておくのも好ましい。
稼働底板5、三角突条10の材質は、アクリル樹脂、木材等が採用できる。
クランク往復運動機構は、クランク板11と従動リンク12からなり、従動リンク12の一端は枢軸13で稼働底板5に連結され、他端はクランク板11の回転中心から偏心した位置に植設されたピン14で連結されている。モーター3の回転は、ベルト15によってモータープーリー16からクランク軸17に固定されたプーリー18に伝達され、クランク板11が回転することで、稼働底板5が往復動することになる。図示していないが、モーター3はフレームに取り付けられており、クランク軸17は、フレームに回転可能に軸支されている。
クランク往復運動機構の振幅は、気体分子モデルの直径の1.5〜2.5倍程度が好ましい。クランク往復運動機構の振動数は、モーターの電圧を制御することで適宜決定される。
なお、スライダーに植設したピンを、ネジでクランク板の半径方向に摺動するようにして、稼働底板の振幅を自由に変更することができるようにしてもよい。
圧力測定側壁部材6は、板状であって、その下端縁で移動台20の右端縁に固定されており、該移動台20の左端は起立板23の下端と接合されており、圧力測定側壁6、移動台20及び起立板23は一体化されている(これを受圧部ともいう)。
かかる構造において、圧力測定側壁材6は、透明カバー2内で運動する分子モデル(スーパーボール)が圧力測定壁に衝突したとき、可及的にその荷重を正しく測定機構に伝達するため、受圧部は分子モデル衝突による移動時の摩擦抵抗を可及的に減ずるために低摩擦機構によって支持される必要がある。低摩擦機構としては、例えば十分に磨き上げられた大理石板やエアレーションによって浮遊させた状態とするとか、極めて回転しやすいベアリング付車等によって支える必要がある。中でも最も簡単な手段は円筒、所謂コロなどによって支えるのが好ましい。そこで図1にあっては、移動台20とともに支持板21に設置された筒状のコロ22、22、22、22に支持され、左右に移動可能となっている。移動台20の左端縁には起立板23が固定されている。支持板21は、フレームに固定されている。
圧力測定側壁部材6の前後幅は、透明カバー体2の前面壁部材と後面壁部材の間隔とほぼ同じで、縦幅は、稼働底板5の左右の往復動に支障がない幅とされている。
圧力測定側壁部材6、移動台20、起立板23によって圧力測定用枠24が形成される。
圧力測定側壁部材6を、透明なアクリル板とすると、容器7内で運動する気体分子モデル8の動きを圧力測定側壁部材6側からも観察することができる。
起立板23にはコイルバネ25の一端が係止されており、コイルバネ25の他端は、外部固定板26に係止されている。外部固定板26は、透明カバー体2に取着したガイドバー(図示せず)に沿って左右方向に移動可能とされるとともに、ネジでガイドバーの任意の位置に固定できるようになっている。フレームにガイドバーを設け、外部固定板を左右方向に移動可能としても良い。
稼働底板5によって打ち出された気体分子モデル8が圧力測定側壁部材6に衝突することによって発生する圧力は、コイルバネのバネ定数、伸び、圧力測定側壁部材の面積に基づき算出すればよい。
外部固定板26の位置を左右に変更することで、透明カバー体2、稼働底板5、圧力測定側壁部材6によって構成される容器7の体積を変更することができる。
また、起立板23とコイルバネ25との係止を解除し、圧力測定用枠24を左方に移動させて、圧力測定側壁部材6を透明カバー体2から抜き出し、気体分子モデル8の数を変更したり、直径の異なる気体分子モデル8と交換することができる。気体分子モデル8の交換等が終了したら、圧力測定用枠24を右方に移動させて、圧力測定側壁部材6を透明カバー体2内に挿入して元の位置に戻し、コイルバネ25を起立板23に係止すればよい。
気体分子モデルは、高反発弾性の球状のボールが使用される。ボールの反発性は、1mの高さから自由落下させた時、コンクリートで反発し65cm以上の高さにまで上昇するものであればよく、スーパーボールの商品名で市販されているものが使用できる。
図3は、モーター3を起動していない初期状態であって、圧力測定用のコイルバネ25は未伸長状態にある。気体分子モデルであるスーパーボール8が容器7内に収納されている。
図3の状態で、モーター3を起動させ、クランク運動機構を介して稼働底板5を往復動させると、容器7内に収納されたスーパーボール8が稼働底板5とともに動き始める。分子モデルのスーパーボールの動きが定常になったとき、その運動速度は稼動底板の往復動速度と等しいか又は少なくとも比較関係にあると見なし得る。往復動する稼働底板5の三角突条10によって左右斜め方向に打ち出される。スーパーボール8は高反発弾性であることから、容器2の透明カバー体2、圧力測定側壁部材6との衝突と稼働底板5の三角突条10による打ち出しが繰り返えされることで、あたかも、スーパーボール8が容器内で熱運動に似たランダムな運動をすることが実演でき、これを透明カバー体2を透してみることができる。スーパーボール8が圧力測定側壁部材6に衝突することによって、圧力測定側壁部材6がコイルバネ25に抗して左方に移動することになる。コイルバネ25の伸びを測定して、圧力測定側壁部材6に作用する力Fを求め、力Fを圧力測定側壁部材6の面積で割ることにより圧力が算出できる。
モーター3の電圧を制御することで、稼働底板5の往復振動数を高くすることができ、突起によって打ち出されるスーパーボール8の運動速度が増加し、その結果、圧力が高まることが確認できる。
図4は、圧力測定側壁部材6の初期位置を図3におけるよりもやや左に移動させたものである。圧力測定側壁部材6の初期位置の変更は、外部固定板26を左にずらして、コイルバネに張力がかからない状態にセットすることで行えばよい。圧力測定側壁部材6の位置は、透明カバー体2の右側面壁部材2cからの距離を測定すれば良い。これに基づき容器の体積を算出できる。このように圧力測定側壁部材の初期位置を種々変更することで容器の体積を変えたり、稼働底板の振動数を変えたり、容器に収納するスーパーボールの数を変えたり、そのサイズを変えたりすることで、圧力測定側壁部材の受ける圧力、容器の体積、スーパーボールの数、サイズ等との相互関係が確認でき、また、以下のように物理量を評価することで、定量的にも、気体の状態方程式と同様な関係が成立することが分かる。
n: スーパーボールの数
V: 容器の体積
P: 圧力測定側壁部材にかかる圧力
T: 温度(スーパーボールの速度の2乗平均に比例する。)
従って、この発明の装置によれば、気体の状態方程式から導かれる種々の関係と同様、以下に示すような定量的関係を検証することができることになる。
すなわち、(a)温度及び分子数が一定の条件下での、圧力と体積の逆比例関係(ボイルの法則)、(b)圧力及び分子数が一定の条件下での、温度と体積の比例関係(シャルルの法則)、(c)体積及び分子数が一定の条件下での、温度と圧力の比例関係、(d)体積及び温度が一定の条件下での、分子数と圧力の比例関係等。
なお、コイルバネの選定は、スーパーボールの質量m、左右方向の速度v、数n、容器内の左右方向の長さL(圧力測定側壁部材の内面から右側面壁部材の内側面の距離)とすると、圧力測定側壁部材に作用する力Fが、下記の数式2で表されることをベースに行えばよい。
Figure 0004552012
図5は、この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置の他の実施の形態を示す概念図である。
この気体の状態方程式の視覚化教材装置31は、稼働底板5の往復動を偏心輪32によって行うようにしたものである。偏心輪32は、稼働底板5の下面に設けた突出部材33、33の間に挟まれており、偏心輪32の回転により、稼働底板5が往復動することになる。
その他は、図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置1と同様なことから同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
図6は、この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置のさらに他の実施の形態を示す概念図である。
この気体の状態方程式の視覚化教材装置41は、圧力測定手段としてロードセル42を使用したもので、ロードセル42は外部固定板43に設けられているものである。
その他は、図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置1と同様なことから同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて、圧力測定側壁部材にかかる圧力P、容器の体積V、温度(スーパーボールの速度の2乗平均に比例する。)T、スーパーボールの数nの関係を算出した。結果は、図7〜図12に示すとおりであり、気体の状態方程式と同様な関係を示すことが確認された。
気体の状態方程式の視覚化教材装置の透明カバー体、圧力測定側壁部材には厚さ1cmのアクリル板を使用した。透明カバー体の前・後面壁部材のサイズは、左右長さ38cm、縦幅15cmであり、上面壁部材のサイズは、左右長さ38cm、前後幅26cmである。圧力測定側壁部材の面積は、320cmである。
稼働底板と三角突条は、木製とし、稼働底板の厚さは1cm、三角突条の底辺は2cm、高さ1cm、三角突条の間隔は2.7cmとした。
稼働底板の振幅は、3cm、振動数は8〜15回/秒とした。
コイルバネのバネ定数は、0.049N/cmである。
スーパーボールは、1mの高さから自由落下させた時、コンクリートで反発し約70cmの高さにまで上昇する反発弾性のものであって、小径(直径2.1cm、4.6g)、大径(2.6cm、8.0g)の2種類を使用した。
図7は、圧力Pと体積Vとが逆比例関係、すなわち、下記の数式3のボイルの法則が成立することを示す。小径のスーパーボールを使用して測定した(n=19個)。温度Tは、稼働底板の最大速度とスーパーボールの質量を用いてスーパーボールの運動エネルギーとして算出した(以下、同様)。図7には3つの温度についての結果を示している。●はスーパーボールの運動エネルギーが2.05×10−3J、■はスーパーボールの運動エネルギーが3.05×10−3J、▲はスーパーボールの運動エネルギーが3.86×10−3Jの場合である。体積Vは、圧力測定側壁部材の位置を変更することで調節した。
Figure 0004552012
図8は、図7に示された3つの温度におけるデータについて、数式3を変形した下記の数式4が成立すること、すなわち、圧力が変化しても粒子数及び温度が一定であればPVの値は一定に保たれることを示す。
Figure 0004552012
図9は、数式4をさらに変形した下記の数式5が成立すること、すなわち、上記の3つの温度のデータに関して、粒子数が一定であれば、PV/Tは、圧力、温度、体積によらず一定に保たれることを示す。
Figure 0004552012
図10は、体積Vと温度Tが比例関係、すなわち、下記の数式6のシャルルの法則が成立することを示す。○は、大径のスーパーボール(n=10個)、▲は大径のスーパーボール(n=8個)、■は大径のスーパーボール(n=6個)、●大径のスーパーボール(n=5個)の場合である。圧力Pは、バネの伸びが一定になるように外部固定板26の左右方向の位置を調節することによって、一定に保った。
Figure 0004552012
図11は、圧力Pとスーパーボールの数nが比例関係、すなわち、下記の数式7が成立することを示す。スーパーボールには小径のものを使用した。温度Tは,稼働底板5の往復運動の振動数を一定に保つことによって、スーパーボールの運動エネルギーとして3.45×10−3Jの条件下に保った。体積Vは、nが変化しても変わらないように、外部固定版5の左右方向の位置を調節することによって、一定値(8.0×10−3)に保った。
Figure 0004552012
図12は、圧力Pと温度Tが比例関係、すなわち、下記の数式8が成立することを示す。スーパーボールには小径のものを、n=19個使用した。体積Vは、Tが変化しても変わらないように、外部固定版5の左右方向の位置を調節することによって、一定値(6.52×10−3)に保った。
Figure 0004552012
この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置の一実施の形態を示す概念図である。 図1の装置における稼働底板の三角突条と気体分子モデルの関係を示す説明図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置の未稼働状態を示す概念図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置において、圧力測定側壁部材の位置を変更した場合の未稼働状態を示す概念図である。 この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置の他の実施の形態を示す概念図である。 この発明の気体の状態方程式の視覚化教材装置のさらに他の実施の形態を示す概念図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示す図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示す他図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示すさらに他の図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示すさらに他の図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示すさらに他の図である。 図1に示す気体の状態方程式の視覚化教材装置を用いて気体の状態方程式と同様な関係が成立することを示すさらに他の図である。 従来の気体分子運動モデル実験器の一例を示す説明図である。 従来の気体分子運動モデル実験器の他例を示す説明図である。
符号の説明
1 視覚化教材装置
2 透明カバー体
3 モーター
5 稼働底板
6 圧力測定側壁部材
7 容器
8 気体分子モデル
10 三角突条
11 クランク板
12 従動リンク
22 コロ
25 コイルバネ
26 外部固定板

Claims (4)

  1. 底面と一側面が開放された透明カバー体と、駆動源によって駆動される往復運動機構を介して開放された前記透明カバー体の一側面と直交する方向に往復動可能な稼働底板と、前記透明カバー体内で該稼働底板と同方向に移動可能な圧力測定側壁部材で構成される容器に、高反発弾性の球状気体分子モデルが収納可能とされ、
    前記稼働底板には、その往復動によって収納された気体分子モデルを前記容器内に打ち出すための三角突条の突起が、その長手方向が稼働底板の往復動方向と直交して所定間隔に設けられており、
    前記稼働底板より打ち出された気体分子モデルが前記圧力測定側壁部材に衝突することによって発生する圧力の測定手段を具備することを特徴とする気体の状態方程式の視覚化教材装置。
  2. 前記圧力測定側壁部材が、低摩擦機構に支持されて移動可能とされていることを特徴とする請求項記載の気体の状態方程式の視覚化教材装置。
  3. 前記圧力の測定手段は、前記稼働底板より打ち出された気体分子モデルが前記圧力測定側壁部材に衝突することによって発生する圧力を、圧力測定側壁部材に取り付けられたバネで測定するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の気体の状態方程式の視覚化教材装置。
  4. 前記稼働底板において、駆動源がモーターであり、往復運動機構としてクランク機構を用いていることを特徴とする請求項1、2または3記載の気体の状態方程式の視覚化教材装置。
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