JP4551859B2 - 折戸 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室や各居室の出入り口等に設けられる二つ折り可能な戸本体(扉)を有する折戸に関する。
従来から、浴室と脱衣室との間に設置される折戸が知られている(例えば特許文献1)。この特許文献1の折戸は、方形状に枠組みした枠体に、二つ折り可能な戸本体を取り付けたものである。枠体の上枠内には上枠の軌道に沿って摺動可能に支持された摺動部材を2つ設け、戸本体の上側の二隅に上側基台を設けている。そして、上側基台の連結部を各摺動部材に回転可能にかつ摺動方向に移動できないように連結し、一方の摺動部材を上枠の端部にビスで固定することで回転軸側とし、他方の摺動部材を上枠に沿って移動可能にすることで戸本体を二つ折りして開いたり、閉じたりすることができるように構成していた。
特許第3085645号公報
ところで、近年では、浴室内での不測の事故が発生した際に浴室内の人を救出できるように、戸本体が施錠されている場合でも、脱衣室側から戸本体を取り外すことができるように構成することが求められている。
しかしながら、前記特許文献1では、回転軸側とされた摺動部材のビスを外して摺動部材の位置をずらさないと戸本体を摺動部材から取り外すことができない。このため、戸本体が施錠されている場合、脱衣室側から戸本体を取り外すことができないという問題があった。
また、回転軸側とされた摺動部材は上枠にビス止めしなければならず、その分、現場での施工作業性が低下するという問題もあった。
このような問題は、浴室ドアに限らず、食事室、応接室、寝室等の各部屋の出入り口等に設けられる折戸においても共通する問題であった。
本発明の目的は、施工作業を容易に行うことができ、かつ、緊急時に部屋の外側から戸本体をドア枠に対して取り外すことができる折戸を提供することにある。
本発明の折戸は、上枠、下枠および縦枠を枠組みして構成された枠体と、二つ折り可能に構成されて前記枠体内に開閉可能に取り付けられた戸本体とを備えた折戸であって、前記枠体の上枠には、上枠に沿ってレールが設けられ、このレールの両端部には切欠部が形成され、前記戸本体の両端には縦框が設けられ、各縦框の上端部には上戸車が設けられ、前記上戸車は、縦框の上端部に取り付けられたケースと、このケースに対して上下方向に移動可能にかつこの上下方向を回転軸として回動可能に収納されたガイドホルダと、前記ケース内に配置されて前記ガイドホルダを上方に付勢する付勢手段と、前記縦框表面側に露出し、かつ、前記ガイドホルダを前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動可能な操作部材と、前記ガイドホルダに対して着脱可能に取り付けられたガイド片とを備えて構成され、前記ガイドホルダは、円筒状に形成されて前記ケースに対して上下方向に移動可能にかつ回動可能に設けられ、かつ、その内部に前記各ガイド片が着脱可能に取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体の下方に設けられた円板状のフランジと、フランジから下方に向かって延長され、かつケース下面に係合されてガイドホルダがケースから外れることを防止する係止軸部とを備え、前記付勢手段は、前記フランジおよびケース下面間に介在されたバネで構成され、前記操作部材は、前記フランジの上面に係合する係合突起を備え、前記ガイド片は、前記ガイドホルダ内に挿入されて取り付けられる取付部と、前記ガイドホルダの上面に配置される上面プレート部とを備えて構成され、一方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、一端側のみがガイド片側面に開口され、他端は係止壁部で塞がれている吊元用ガイド溝が上面に形成され、この吊元用ガイド溝に前記上枠のレールが配置されて前記係止壁部が前記切欠部に当接することで前記レールに対して移動不能に形成された吊元側ガイド片とされ、他方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、両端がガイド片側面に開口された可動用ガイド溝が上面に形成され、この可動用ガイド溝に前記上枠のレールが配置されて前記レールに沿って移動可能に形成された可動側ガイド片とされていることを特徴とする。
ここで、折戸としては、少なくとも二つ折り可能な戸本体を備えていればよく、例えば、この二つ折り可能な戸本体に対してレールに沿ってスライド移動可能な引戸が連結されたものでもよい。
また、上枠のレールの切欠部とは、レールの端部近傍に、所定幅寸法の切り込み(凹部)を設け、その切り込み部分を切欠部としてもよいし、レールの端部を縦枠まで延長せずに所定の幅寸法の隙間を設け、その隙間部分を切欠部としてもよい。要するに、前記切欠部は、吊元側ガイド片の係止壁部を配置可能に構成されていればよい。
本発明では、上枠のレールに切欠部を設けているので、吊元用ガイド溝を有する吊元側ガイド片を前記レールの切欠部に係合させるだけで吊元側ガイド片すなわち一方の縦框をレールに沿った方向に移動不能にできる。このため、摺動部材を上枠にビス止めする必要がないため、現場施工作業を簡略化できる。
一方、可動用ガイド溝を有する可動側ガイド片は、レールに沿って移動可能であり、かつガイド片が取り付けられるガイドホルダはケースに対して回動自在であるため、可動側ガイド片をレールに沿って移動しながら、戸本体を二つ折りして開閉することができる。
また、操作部材を下方に移動すれば、前記ガイドホルダおよびガイド片も下方に移動してレールから外すことができるので、戸本体を枠体から容易に取り外すことができる。
さらに、各ガイド片は、ガイドホルダに対して着脱可能であるため、ガイドホルダや操作部材を取り外すことなく各ガイド片のみを交換することで、吊元側および可動側の縦框の変更も容易に行え、また、ガイド片を現場で取り付けるようにすれば、ガイドホルダ、ケース、操作部材は、各縦框で共通化できるので、左右のどちらを吊元側にする戸本体でも同一構造にでき、戸本体の生産性を向上できる。
その上、付勢手段であるバネによって上方に付勢されているガイドホルダは、係止軸部によってその上方への抜け止めがなされているので、例えば、工場において、戸本体の縦框にケース、バネ、ガイドホルダを組み込んだ状態で、戸本体を輸送、設置でき、作業性や取扱い性を向上できる。
また、ガイドホルダに円板状のフランジが形成されているので、縦框の内周面に沿ってガイドホルダが回動しても、前記操作部材の係合突起は常にフランジに係合する位置に配置できる。さらに、操作部材は、その係合突起をフランジに係合させるだけでよいので、操作部材の構成も簡略化できる。
ここで、前記吊元側ガイド片は、前記吊元用ガイド溝のみが形成された吊元側専用のガイド片で構成され、前記可動側ガイド片は、前記可動用ガイド溝のみが形成された可動側専用のガイド片で構成されていることが好ましい。
この際、前記吊元側ガイド片および可動側ガイド片は、平面形状または平面サイズの少なくとも一方が異なるものであることがより好ましい。
吊元側ガイド片および可動側ガイド片をそれぞれ専用の部品で構成すれば、両縦框に同じガイド片を誤って取り付けることを効果的に防止でき、現場施工作業性も向上できる。
さらに、各ガイド片の平面形状や平面サイズが異なっていれば、各ガイド片を区別するための視認性が向上し、両縦框に同じガイド片を誤って取り付けることをより一層効果的に防止できる。
また、本発明の折戸は、上枠、下枠および縦枠を枠組みして構成された枠体と、二つ折り可能に構成されて前記枠体内に開閉可能に取り付けられた戸本体とを備えた折戸であって、前記枠体の上枠には、上枠に沿ってレールが設けられ、このレールの両端部には切欠部が形成され、前記戸本体の両端には縦框が設けられ、各縦框の上端部には上戸車が設けられ、前記上戸車は、縦框の上端部に取り付けられたケースと、このケースに対して上下方向に移動可能にかつこの上下方向を回転軸として回動可能に収納されたガイドホルダと、前記ケース内に配置されて前記ガイドホルダを上方に付勢する付勢手段と、前記縦框表面側に露出し、かつ、前記ガイドホルダを前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動可能な操作部材と、前記ガイドホルダに対して着脱可能に取り付けられ、かつ、上面に、一端側のみがガイド片側面に開口され、他端は係止壁部で塞がれている吊元用ガイド溝と、両端がガイド片側面に開口された可動用ガイド溝とが形成されたガイド片とを備えて構成され、前記ガイドホルダは、円筒状に形成されて前記ケースに対して上下方向に移動可能にかつ回動可能に設けられ、かつ、その内部に前記各ガイド片が着脱可能に取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体の下方に設けられた円板状のフランジと、フランジから下方に向かって延長され、かつケース下面に係合されてガイドホルダがケースから外れることを防止する係止軸部とを備え、前記付勢手段は、前記フランジおよびケース下面間に介在されたバネで構成され、前記操作部材は、前記フランジの上面に係合する係合突起を備え、前記ガイド片は、前記ガイドホルダ内に挿入されて取り付けられる取付部と、前記ガイドホルダの上面に配置される上面プレート部とを備えて構成され、一方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、ガイドホルダに対して前記吊元用ガイド溝が前記上枠のレールに対して平行となる向きに取り付けられ、前記吊元用ガイド溝に前記レールが配置されて前記係止壁部が前記切欠部に当接することで前記レールに対して移動不能に形成された吊元側ガイド片とされ、他方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、ガイドホルダに対して前記可動用ガイド溝が前記上枠のレールに対して平行となる向きに取り付けられ、前記可動用ガイド溝に前記レールが配置されて前記レールに沿って移動可能に形成された可動側ガイド片とされていることを特徴とする。
吊元用ガイド溝および可動用ガイド溝が形成されたガイド片を用いれば、例えばガイドホルダに対して所定角度回転させるなどして各ガイド溝のいずれか一方を上枠のレールを配置可能な向きに設けることができ、前記ガイド片を吊元側ガイド片および可動側ガイド片として兼用できるので、部品点数を少なくでき、コストも低減できる。
但し、吊元側ガイド片および可動側ガイド片を同一のガイド片で兼用する場合、誤って各縦框とも吊元側ガイド片としてしまうと開閉できなくなり、可動側ガイド片としてしまうと両縦枠とも移動してしまうため、このようなことがないように各ガイド片の取り付け向きに注意しなければならない。このため、前記専用品を用いた方が、誤って両縦框に同じガイド片を取り付けてしまう可能性が低下し、現場施工作業性を向上できる利点がある。
また、付勢手段であるバネによって上方に付勢されているガイドホルダは、係止軸部によってその上方への抜け止めがなされているので、例えば、工場において、戸本体の縦框にケース、バネ、ガイドホルダを組み込んだ状態で、戸本体を輸送、設置でき、作業性や取扱い性を向上できる。
さらに、ガイドホルダに円板状のフランジが形成されているので、縦框の内周面に沿ってガイドホルダが回動しても、前記操作部材の係合突起は常にフランジに係合する位置に配置できる。さらに、操作部材は、その係合突起をフランジに係合させるだけでよいので、操作部材の構成も簡略化できる。
ここで、前記ガイド片は、上面に前記吊元用ガイド溝および可動用ガイド溝が互いに直交して形成されていることが好ましい。
吊元用ガイド溝および可動用ガイド溝が互いに直交して形成されたガイド片を用いれば、ガイドホルダに対して90度回転させて取り付けるだけで、前記ガイド片を吊元側ガイド片および可動側ガイド片として兼用できるので、部品点数を少なくでき、コストも低減できるとともに、各ガイド溝の向きの設定作業も容易に行うことができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態は、浴室出入口に設けられる折戸1であり、図1は折戸1を浴室側から見た正面図、図2および3は折戸1の縦断面図および横断面図である。
折戸1は、浴室出入口に固定される枠体10と、この枠体10内に配置される2枚の障子20A,20Bを備えた戸本体20とを備えて構成されている。
枠体10は、上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13とを四周枠組みして構成されている。上枠11および下枠12には戸本体20を案内するガイドレール14,15が設けられている。
ガイドレール14,15は、上枠11、下枠12の長手方向に連続して形成されているが、各縦枠13間の長さ寸法(見付け寸法)よりも短くされている。このため、ガイドレール14,15の両端と縦枠13との間には、隙間(図示略)が形成されている。本実施形態では、この隙間によってレールの両端部に形成される切欠部が構成されている。
戸本体20は、前記2枚の障子20A,20Bと、これらの各障子20A,20Bを二つ折り可能に連結する連結框20Cとを備えたものである。
各障子20A,20Bは、上框21と、下框22と、左右の縦框23,24とを四周枠組みした内部に面材25を配置して構成されている。
縦框23,24は、戸本体20の左右両端に設けられる縦框(戸先框)23と、戸本体20の見付け方向中央部に設けられて前記連結框20Cで回動自在に連結された縦框(召合せ框)24とされている。
各縦框23の上端には、前記ガイドレール14に沿って移動する上戸車30が設けられている。
上戸車30は、ガイドレール14に沿って摺動される摺動戸車である。そして、戸本体20の左右の各縦框23のうち、一方の縦框23に設けられる上戸車30Aはガイドレール14に沿って移動できないように設けられ、この縦框23は吊元側(支持軸側)とされている。また、他方の縦框23に設けられる上戸車30Bはガイドレール14に沿って摺動移動可能に設けられ、この縦框23は可動側とされている。
次に、上戸車30A,30Bの構成について詳細に説明する。
上戸車30Aは、図4〜6に示すように、縦框23の上端内部に取り付けられたケース31と、ケース31内に挿入配置されたガイドホルダ32と、ケース31内に配置されて前記ガイドホルダ32を上方に付勢する付勢手段としてのコイルバネ33と、前記ガイドホルダ32をコイルバネ33の付勢力に抗して下方に移動可能な操作部材34と、ガイドホルダ32に対して着脱可能に取り付けられた吊元側ガイド片35とを備えている。
一方、上戸車30Bは、上戸車30Aと同様に、ケース31、ガイドホルダ32、コイルバネ33、操作部材34を備えており、さらに吊元側ガイド片35の代わりに可動側ガイド片36を備えている。
ケース31は、図6に示すように下面部311を備えた略中空筒状に形成され、縦框23の上端内部に挿入固定されている。
ガイドホルダ32は、図4に示すように、略円筒状に形成されて内部に前記各ガイド片35,36が着脱可能に取り付けられるホルダ本体321と、前記ホルダ本体321の下方に設けられた円板状のフランジ322と、フランジ322から下方に向かって延長された係止軸部323とを備えている。
そして、ガイドホルダ32は、前記ケース31内に上下方向に移動可能にかつ回動可能に挿入されている。
ホルダ本体321の内周面には、ガイド片35,36を上下方向に移動可能に案内する突条部321Aが形成されている。また、ホルダ本体321の下端部には、前記ガイド片35,36が係止される係止溝321Bが形成されている。
フランジ322は、円板状に形成され、ホルダ本体321の下面から所定寸法離れて配置されている。
係止軸部323は、コイルバネ33で付勢されたガイドホルダ32が、ケース31から外れないように係止するために設けられている。具体的には、図6にも示すように、係止軸部323は下方に向かって延長され、その先端(下端)は二股に分かれている。ケース31の下面に突出された係止軸部323の先端には、係止部324が左右方向に突設されており、この係止部324をケース31の下面部311に形成された係止穴に係合することで、ガイドホルダ32はケース31から抜け出ることがないように係止されている。
コイルバネ33は、ケース31内において、前記係止軸部323に挿通され、ケース31の下面部311および前記フランジ322間に介在されている。
操作部材34は、縦框23の側面に形成された開口231に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。この操作部材34は、利用者が指を掛けて操作部材34を押し下げるための操作摘み341と、前記フランジ322の上面に係合する係合突起342とを備えている。
吊元側ガイド片35は、図4,5に示すように、ガイドホルダ32内に挿入、取り付けられる取付部351と、ガイドホルダ32の上面に配置される上面プレート部352とを備えている。
取付部351には、前記突条部321Aに案内される溝部351Aと、前記係止溝321Bに係合する係合部351Bとが設けられている。このため、吊元側ガイド片35は、ガイドホルダ32に対して回り止めされた状態で着脱可能に取り付けられている。
上面プレート部352には、前記ガイドレール14に係合する吊元用ガイド溝353が形成されている。この吊元用ガイド溝353は、戸本体20の見付け方向に沿って形成され、その両端のうち、戸本体20の内周側の一端側は上面プレート部352の端縁まで形成されて上面プレート部352の端部に開口されている。一方、吊元用ガイド溝353の他端側は、上面プレート部352の端縁手前までしか形成されておらず、その端部は係止壁部354で塞がれている。
可動側ガイド片36は、吊元側ガイド片35と同様に、ガイドホルダ32内に挿入、取り付けられる取付部361と、ガイドホルダ32の上面に配置される上面プレート部362とを備えている。
取付部361は、吊元側ガイド片35の取付部351と同一構造であり、突条部321Aに案内される溝部361Aと、前記係止溝321Bに係合する係合部361Bを備えている。従って、可動側ガイド片36もガイドホルダ32に対して回り止めされた状態で着脱可能に取り付けられている。
上面プレート部362は、前記上面プレート部352とは平面形状やサイズが異なるとともに、前記ガイドレール14に係合する可動用ガイド溝363が形成されている。この可動用ガイド溝363は、戸本体20の見付け方向に沿って形成され、その両端は上面プレート部362の端縁まで形成されて上面プレート部352の端部に開口されている。
なお、下戸車は、図示しないが、上戸車30とほぼ同様に構成されている。すなわち、縦框23の下端部に取り付けられたケースと、このケースに対して回動自在に取り付けられたガイドホルダと、このガイドホルダに対して着脱可能に取り付けられた吊元側ガイド片および可動側ガイド片とを備えている。また、下戸車には、戸本体20の荷重を支持しつつ移動できるようにレールに案内される戸車も設けられている。
但し、ガイドホルダおよび各ガイド片をガイドレール側に付勢したり、上下方向に移動する必要がないため、コイルバネや操作部材は設ける必要がない。このため、ガイドホルダと各ガイド片とを一体化し、ケースに対して着脱可能かつ回動自在に取り付けてもよい。
〔折戸の施工手順〕
次に、このように構成された本実施形態の折戸1の施工手順に関して説明する。
まず、工場などにおいて、戸本体20を製造する際には、図5に示すように、上戸車30のケース31、ガイドホルダ32、コイルバネ33、操作部材34は、予め縦框23に組み付けておく。同様に、下戸車のケース、ガイドホルダも予め縦框23に組み付けておく。
なお、上戸車30および下戸車の吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36は、折戸1の施工現場において、吊元側が戸本体20の左右どちらの縦框23となるかを確認した後、各ガイドホルダ32に取り付ければよい。
そして、枠体10を浴室開口部に取り付けた後、吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36を取り付けた戸本体20を枠体10に取り付ける。
すなわち、図6(B)に示すように、操作部材34で上戸車30をコイルバネ33に抗して下方に押し下げた状態で、戸本体20の下戸車をガイドレール15に係合する。次いで、戸本体20を垂直に配置した後、図6(A)に示すように、前記上戸車30を上方に戻して各吊元用ガイド溝353、可動用ガイド溝363をガイドレール14に係合する。
この際、上戸車30Aの吊元側ガイド片35は、前記吊元用ガイド溝353の係止壁部354が、ガイドレール14の端面に当接する位置に配置される。このため、吊元側ガイド片35はガイドレール14に対して移動不可能に取り付けられることになるので、吊元側ガイド片35が取り付けられた縦框23は吊元側の縦框23となる。
一方、上戸車30Aの可動側ガイド片36は、ガイドレール14に対して移動可能であるため、可動側ガイド片36が取り付けられた縦框23は可動側の縦框23となる。
なお、下戸車においても、吊元側ガイド片はガイドレール15に対して移動不可能に取り付けられるため、吊元側の縦框23に取り付けられる。また、可動側ガイド片はガイドレール15に対して移動可能であるため、可動側の縦框23に取り付けられる。
〔折戸の開閉時の動作〕
折戸1の通常使用時には、可動側の縦框23を吊元側に移動すれば、可動側ガイド片36はガイドレール14に沿って移動する。この際、各縦框23は上戸車30、下戸車に対して回動する。このため、各障子20A,20Bは、各縦框23を回動軸にしてガイドレール14,15に対して浴室内に傾斜し、戸本体20は連結框20C部分で二つ折りされ、折戸1は開かれる。折戸1を閉める場合には、上記と逆の操作を行えばよい。
〔事故時の折戸の取外作業〕
また、万一、浴室内で事故が発生したために、折戸1を取り外す必要がある場合には、作業者は操作摘み34を操作し、ガイドホルダ32および吊元側ガイド片35や可動側ガイド片36を押し下げる。これにより、ガイドレール14と各ガイド片35,36との係合状態が解除されるので、戸本体20を枠体10から取り外すことができる。
なお、浴室内の人を救出した後は、取外作業と逆の手順(ドア施工時と同様の手順)で戸本体20を取り付ければよい。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) 上枠11のガイドレール14の端面と縦枠13間に隙間(切欠部)を設けているので、吊元用ガイド溝353を有する吊元側ガイド片35を前記レール14の端面に係合させるだけで吊元側ガイド片35および縦框23をレール14に沿った方向に移動不能にできる。このため、従来のように摺動部材を上枠にビス止めする必要がないため、現場施工作業を簡略化できる。
(2) ガイドホルダ32に対して吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36を着脱可能に構成したので、戸本体20において、吊元側および可動側の縦框23を変更する場合も、各ガイド片35,36のみを交換するだけでよく、簡単な作業で変更できる。
また、仮に各ガイド片とガイドホルダとが一体化されている場合には、吊元側および可動側を交換する場合、操作部材34を取り外してガイドホルダを縦框23から取り外して交換しなければならず、作業が繁雑になるとともに、操作部材34を紛失し易いという問題がある。これに対し、本実施形態では、ガイドホルダ32を取り外す必要がないため、操作部材34は縦框23に取り付けたままでガイド片35,36を交換でき、その分、作業が簡易になり、操作部材34の紛失も防止できる。
(3) さらに、折戸1は、吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36を取り付ける縦框23を選択することで、脱衣室側から見て左側の縦框23を吊元側にすることも、右側の縦框23を吊元側にすることもできる。従って、各ガイド片35,36を現場で取り付けたり、交換するようにすれば、工場で戸本体20を製造する場合には、吊元側が左右の縦框23のいずれであっても共通した戸本体20を製造でき、生産性を向上できる。
(4) 吊元側ガイド片35および可動側ガイド片36をそれぞれ専用の部品で構成しているので、両縦框23に同じガイド片を誤って取り付けることを効果的に防止でき、作業者の確認作業の負担も軽減できるので、現場施工作業性も向上できる。
さらに、本実施形態では、各ガイド片35,36の平面形状や平面サイズが異なっているので、各ガイド片35,36の視認性を向上できて作業者はその違いを容易に把握でき、両縦框23に同じガイド片を誤って取り付ける誤装着を効果的に防止できる。
(5) 浴室内で事故が発生した場合には、操作部材34を下方に移動して各ガイド片35,36をガイドレール14から外すことで、簡単な作業で戸本体20を枠体10から取り外すことができ、容易に救出することができる。
(6) ガイドホルダ32は、係止軸部323によって上方への抜け止めがなされているので、戸本体20の縦框23にケース31、ガイドホルダ32、コイルバネ33、操作部材34を組み込んだ状態で、戸本体20を輸送、設置できる。このため、戸本体20の施工作業性や取扱い性を向上できる。
また、ガイドホルダ32に円板状のフランジ322が形成されているので、縦框23の内周面に沿ってガイドホルダ32が回動しても、前記操作部材34の係合突起342は常にフランジ322に係合する位置に配置できる。さらに、操作部材34は、その係合突起342をフランジ322に係合させるだけでよいので、操作部材34の構成も簡略化できる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36は、それぞれ専用のガイド片を用いていたが、吊元側および可動側に兼用できるガイド片37を用いてもよい。ガイド片37は、図7,8に示すように、上面プレート部372に、吊元用ガイド溝353および可動用ガイド溝363が直交して形成されたものである。そして、ガイドホルダ32は、図7に示すように、吊元用ガイド溝353がガイドレール14に沿った方向となる向きと、図8に示すように、可動用ガイド溝363がガイドレール14に沿った方向となる向きとに、ガイド片37を取り付けることができるように構成されている。
図7に示すように、吊元用ガイド溝353をガイドレール14に沿った方向に向ければ、ガイドレール14と縦框23間の隙間141部分に係止壁部354が配置される。このため、ガイド片37は係止壁部354がガイドレール14の端面に当接し、ガイドレール14に沿った方向に移動不可能となる。従って、図7のガイド片37は、吊元側ガイド片として利用される。
一方、図8に示すように、可動用ガイド溝363をガイドレール14に沿った方向に向ければ、ガイド片37はガイドレール14に沿った方向に移動可能となる。このため、図8のガイド片37は、可動側ガイド片として利用される。
なお、各ガイド片37が吊元側ガイド片として設置されているのか、可動側ガイド片として設置されているのかを視認できるように、ガイド片37の側面にその向きに応じて異なるマーク373を付けておくことが好ましい。
このような吊元側および可動側で兼用できるガイド片37を用いれば、吊元側ガイド片35、可動側ガイド片36を用いる場合に比べて、ガイド片37の種類を1種類にできて生産効率を向上できる利点がある。但し、前記実施形態のように専用品を用いたほうが、誤装着を防止しやすい利点がある。
なお、1つのガイド片に吊元用ガイド溝および可動用ガイド溝を設ける場合には、各ガイド溝を直交配置する場合に限らない。すなわち、各ガイド溝は所定の角度で交差するように形成してもよいし、交差しないように形成してもよい。要するに、ガイドホルダ32に対する取付方向(角度)や取付位置などを変更することで、ガイドレール14を吊元用ガイド溝に配置する場合と、可動側ガイド溝に配置する場合とに切り替えることができるように構成されていればよい。
前記実施形態では、ガイドレール14の両端と縦枠13との間に隙間を設けてガイドレール14の切欠部としていたが、切欠部はこの構成に限定されず、ガイドレール14の端部近傍に所定幅の切り込み(凹部)を設けて切欠部としてもよい。要するに、切欠部は、吊元用ガイド溝の係止壁部を係止してガイドレールに対して吊元側ガイド片を移動不可能にできるものであればよい。
さらに、ガイドホルダ32、コイルバネ33、操作部材34の具体的な構成、形状などは前記実施形態のものに限らない。例えば、付勢手段としてはコイルバネに限定されず、他のバネ材を用いてもよい。
本発明の折戸は、緊急に戸本体20を取り外すことができる点で浴室ドア用に最も適しているが、例えば、居室の出入口に設けられるドアなどに用いられる折戸にも適用できる。すなわち、本発明は、浴室ドアに限らず、各居室のドア等の折戸に適用することもできる。
本発明の実施形態にかかる折戸の浴室側を示す正面図。 前記折戸の概略縦断面図。 前記折戸の概略横断面図。 前記折戸の上戸車の構成を示す分解斜視図。 前記折戸の上戸車においてガイド片のみを取り外した状態を示す斜視図。 前記上戸車の縦断面図であり、(A)はガイドホルダがコイルバネで付勢された状態の断面図、(B)はガイドホルダを下方に移動した状態の断面図。 本発明の変形例において吊元側ガイド片として設けた状態を示す斜視図。 本発明の変形例において可動側ガイド片として設けた状態を示す斜視図。
符号の説明
1…折戸、10…枠体、11…上枠、13…縦枠、14,15…ガイドレール、20…戸本体、20A,20B…障子、20C…連結框、21…上框、23…縦框、30,30A,30B…上戸車、31…ケース、32…ガイドホルダ、33…コイルバネ、34…操作部材、35…吊元側ガイド片、36…可動側ガイド片、37…ガイド片、141…隙間、321…ホルダ本体、322…フランジ、323…係止軸部、342…係合突起、351…取付部、352…上面プレート部、353…吊元用ガイド溝、354…係止壁部、361…取付部、362…上面プレート部、363…可動用ガイド溝、372…上面プレート部、373…マーク。

Claims (3)

  1. 上枠、下枠および縦枠を枠組みして構成された枠体と、二つ折り可能に構成されて前記枠体内に開閉可能に取り付けられた戸本体とを備えた折戸であって、
    前記枠体の上枠には、上枠に沿ってレールが設けられ、このレールの両端部には切欠部が形成され、
    前記戸本体の両端には縦框が設けられ、各縦框の上端部には上戸車が設けられ、
    前記上戸車は、
    縦框の上端部に取り付けられたケースと、
    このケースに対して上下方向に移動可能にかつこの上下方向を回転軸として回動可能に収納されたガイドホルダと、
    前記ケース内に配置されて前記ガイドホルダを上方に付勢する付勢手段と、
    前記縦框表面側に露出し、かつ、前記ガイドホルダを前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動可能な操作部材と、
    前記ガイドホルダに対して着脱可能に取り付けられたガイド片とを備えて構成され、
    前記ガイドホルダは、
    円筒状に形成されて前記ケースに対して上下方向に移動可能にかつ回動可能に設けられ、かつ、その内部に前記各ガイド片が着脱可能に取り付けられるホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の下方に設けられた円板状のフランジと、
    フランジから下方に向かって延長され、かつケース下面に係合されてガイドホルダがケースから外れることを防止する係止軸部とを備え、
    前記付勢手段は、前記フランジおよびケース下面間に介在されたバネで構成され、
    前記操作部材は、前記フランジの上面に係合する係合突起を備え、
    前記ガイド片は、前記ガイドホルダ内に挿入されて取り付けられる取付部と、前記ガイドホルダの上面に配置される上面プレート部とを備えて構成され、
    一方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、一端側のみがガイド片側面に開口され、他端は係止壁部で塞がれている吊元用ガイド溝が上面に形成され、この吊元用ガイド溝に前記上枠のレールが配置されて前記係止壁部が前記切欠部に当接することで前記レールに対して移動不能に形成された吊元側ガイド片とされ、
    他方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、両端がガイド片側面に開口された可動用ガイド溝が上面に形成され、この可動用ガイド溝に前記上枠のレールが配置されて前記レールに沿って移動可能に形成された可動側ガイド片とされている折戸。
  2. 上枠、下枠および縦枠を枠組みして構成された枠体と、二つ折り可能に構成されて前記枠体内に開閉可能に取り付けられた戸本体とを備えた折戸であって、
    前記枠体の上枠には、上枠に沿ってレールが設けられ、このレールの両端部には切欠部が形成され、
    前記戸本体の両端には縦框が設けられ、各縦框の上端部には上戸車が設けられ、
    前記上戸車は、
    縦框の上端部に取り付けられたケースと、
    このケースに対して上下方向に移動可能にかつこの上下方向を回転軸として回動可能に収納されたガイドホルダと、
    前記ケース内に配置されて前記ガイドホルダを上方に付勢する付勢手段と、
    前記縦框表面側に露出し、かつ、前記ガイドホルダを前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動可能な操作部材と、
    前記ガイドホルダに対して着脱可能に取り付けられ、かつ、上面に、一端側のみがガイド片側面に開口され、他端は係止壁部で塞がれている吊元用ガイド溝と、両端がガイド片側面に開口された可動用ガイド溝とが形成されたガイド片とを備えて構成され、
    前記ガイドホルダは、
    円筒状に形成されて前記ケースに対して上下方向に移動可能にかつ回動可能に設けられ、かつ、その内部に前記各ガイド片が着脱可能に取り付けられるホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の下方に設けられた円板状のフランジと、
    フランジから下方に向かって延長され、かつケース下面に係合されてガイドホルダがケースから外れることを防止する係止軸部とを備え、
    前記付勢手段は、前記フランジおよびケース下面間に介在されたバネで構成され、
    前記操作部材は、前記フランジの上面に係合する係合突起を備え、
    前記ガイド片は、前記ガイドホルダ内に挿入されて取り付けられる取付部と、前記ガイドホルダの上面に配置される上面プレート部とを備えて構成され、
    一方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、ガイドホルダに対して前記吊元用ガイド溝が前記上枠のレールに対して平行となる向きに取り付けられ、前記吊元用ガイド溝に前記レールが配置されて前記係止壁部が前記切欠部に当接することで前記レールに対して移動不能に形成された吊元側ガイド片とされ、
    他方の縦框に設けられた上戸車の前記ガイド片は、ガイドホルダに対して前記可動用ガイド溝が前記上枠のレールに対して平行となる向きに取り付けられ、前記可動用ガイド溝に前記レールが配置されて前記レールに沿って移動可能に形成された可動側ガイド片とされている折戸。
  3. 前記ガイド片は、上面に前記吊元用ガイド溝および可動用ガイド溝が互いに直交して形成されている請求項2に記載の折戸。
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