JP4549835B2 - 溝付き巻取コアの保持具、および溝付き巻取コアを保持具により保持する方法 - Google Patents

溝付き巻取コアの保持具、および溝付き巻取コアを保持具により保持する方法 Download PDF

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Description

本発明は、溝付き巻取コアおよびその保持具、ならびに溝付き巻取コアを保持具により保持する方法に関し、とりわけリチウムイオン電池などの非水電解液電池の製造工程において、中間製造物である集電体ロールを捲回・搬送するために用いられる溝付き巻取コアおよびその保持具、ならびに溝付き巻取コアを保持具により保持する方法に関する。
近年の携帯電話、ラップトップパソコン、およびオーティオビジュアル機器などの電子機器が高機能化するにつれて、これらに使用される電源電池に対し、よりいっそうの小型化、軽量化、大容量化、および高エネルギ密度化が要求されている。そこで、従来のアルカリ蓄電池に代わり、リチウムイオン2次電池を始めとするさまざまな非水電解液電池が提案されている。
一般的なリチウムイオン2次電池は、概略、以下の工程を経て製造される。すなわち、
a)長尺で幅広のシート状の集電体金属板を準備する工程と、
b)電極合剤層を形成するための塗工液を調整する工程と、
c)集電体金属板の両面上に塗工液(電極合剤層)が塗布された領域と塗布されない領域を周期的に形成するために、集電体金属板を所定方向に走行させながら電極合剤層塗工液を間欠的に塗布する工程と、
d)電極合剤層が形成された集電体金属板(単に、ウェブという)を乾燥させる工程と、
e)ウェブを圧延(プレス)する工程と、
f)ウェブを走行方向に短冊状にスリット切断する工程と、
g)短冊状にスリット切断された集電体を巻取コアに捲回する工程と、
h)巻取コアに捲回された集電体ロールの最も外側にある一部(最外部)を全体の集電体ロールから切断して、切断された最外部について電極合剤層の膜厚を測定する工程と、
i)正極および負極の集電体にそれぞれ端子を取り付け、両電極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで捲回し、これを非水電解液で満たした電池ケース容器内に密封することにより、リチウムイオン2次電池を組み立てるアセンブリ工程とからなる。
スリット工程で切断された集電体は、巻取コアに捲回された状態にして、後工程に搬送されるが、一般に、フィルム、シートなどのような可撓性長尺材を捲回するための巻取コアがこれまで数多く提案されている。例えば、特開平6−239533号に開示された従来技術によれば、芯材と、その外周面に被膜した発砲樹脂層とを備えたる巻取コアであって、強度を確保し、応力によって変形することなく、繰り返し使用できる巻取コアが開示されている。
特開平6−239533号
とりわけ、スリット工程で切断された集電体を捲回するために従来用いられてきたコア部材は、図7(a)に示す円筒状のコア部材101であって、図7(b)に示すように集電体がコア部材101の周りに捲回されていた。そして、集電体が捲回されたコア部材101は、次のアセンブリ工程に手作業で搬送されていた。
しかしながら、図7(b)に示すコア部材101および捲回された集電体102は、約20kgあり、手作業で工程間を搬送するには非常に重く、捲回された集電体102に作業者の手などが触れてしまうことがあった。集電体102は、上述のように、両面に電極合剤層(図示せず)が形成されており、作業者が不注意で集電体102の側面に触れると、電極合剤層が脱落または欠損し、これを用いて電池をアセンブリすると、電池の充電・放電を繰り返すうちにショート不良などの不具合を生じることがあった。
そこで本発明は、作業者が集電体に直接触れることなく、スリット工程からアセンブリ工程に容易に搬送することができる巻取コアおよびその保持具を提供することを目的とする。
また、作業者が集電体に損傷を与えることなく、工程間を確実に搬送するために、溝付き巻取コアを保持具により保持する方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、電極合剤層が形成された集電体金属板を捲回するための溝付き巻取コアを保持するための保持具に関し、溝付き巻取コアは、円筒状コア部材からなり、外周面および内周面ならびに一対の端面を含み、前記一対の端面の近傍において一対のフランジおよび溝が前記外周面上に形成され、前記一対の溝の間において電極合剤層が形成された前記集電体金属板が捲回可能であり、前記保持具は、隙間を隔てて板状馬蹄部を固定するU字状部材と、一対のハンドルを有し、前記U字状部材に固定される支持部材とを備え、前記溝付き巻取コアの一方の前記フランジを前記隙間に嵌め込むことにより、巻取コアを着脱可能に係合することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明の溝付き巻取コアによれば、前記円筒状コア部材は、アルミニウムを含む金属からなる。
請求項に記載の本発明の保持具によれば、前記板状馬蹄部が前記溝から外れるのを防止するためのストッパ機構をさらに有する。

請求項に記載の本発明は、電極合剤層が形成された集電体金属板を捲回するための溝付き巻取コアを保持具で保持する方法に関し、円筒状コア部材からなり、外周面および内周面ならびに一対の端面を含み、前記一対の端面の近傍において一対のフランジが前記外周面上に形成された溝付き巻取コアを作製するステップと、隙間を隔てて板状馬蹄部を固定するU字状部材と、一対のハンドルを有し、前記U字状部材に固定される支持部材とを備えた保持具を作製するステップと、前記溝付き巻取コアの一方の前記フランジを前記隙間に嵌め込むステップとを有し、これにより前記溝付き巻取コアを前記保持具により着脱可能に保持することを特徴とする。
本発明の溝付き巻取コアおよびその保持具によれば、作業者が集電体に直接触れることによる不具合の発生を未然に防止して、スリット工程からアセンブリ工程に容易に搬送することができる。
以下、添付図面を参照して本発明に係る溝付き巻取コアの実施の形態を説明する。実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「X方向」、「Y方向」および「Z方向」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。
本発明に係る溝付き巻取コア1は、図1〜図3に示すように、概略、Y方向(軸方向)に延びる円筒状コア部材10からなり、アルミニウムなどの軽量な金属で構成されることが好ましい。
円筒状コア部材10は、外周面12および内周面14を有し(図1(a)および図2(b))、Y方向に対向する一対の端面16,18を有する(図1(a)および図2(a))。また、円筒状コア部材10は、図2(a)に示すように、これらの一対の端面16,18に隣接した位置の外周面12上に延びる一対の溝20,22(幅W)を有する。すなわち円筒状コア部材10は、一対の端面16,18において、一対のフランジ24,26を有する。
さらに、図2(a)および(b)に示す円筒状コア部材10は、外周面12において直径R、半径方向に延びる溝20,22の底面28において直径Rを有する。
こうして構成された溝付き巻取コア1において、図1(b)に示すように、一対の溝20,22の間において、短冊状にスリット切断されたシート状集電体30を捲回することができる。
一方、本発明によれば、この溝付き巻取コア1を保持・搬送することができる専用の保持具2が提供される。本発明に係る保持具2は、図3および図4に示すように、概略、U字状部材40と支持部材50とを備える。U字状部材40および支持部材50は、円筒状コア部材10と同様のアルミニウムなどの軽量な金属で形成されることが好ましい。
U字状部材40は、とりわけ図5および図6に示すように、U字状の本体部42の一方の端面43に板状馬蹄部(ガイド部)44が複数のボルト45でねじ止めされて構成され、Z方向(軸方向に垂直な方向)に開口部46と、これに対向する湾曲部47を有する。この湾曲部47は曲率rの内径を有し、これは円筒状コア部材10の外周面12上の直径Rより小さく、溝20,22の底面28における直径Rより大きくなるように設計されている(R<r<R)。また、板状馬蹄部44の厚みDは、一対の溝20,22の幅Wより若干小さくなるように設計されている(例えば、溝の幅Wを3.5mmとしたとき、厚みDは3.0mmに設計されている。)。さらに、U字状本体部42と板状馬蹄部44の間にY方向に隙間48が形成されている。
図4に示すように、このような構成を備えたU字状部材40に、円筒状コア部材10をZ方向からスライドさせて、溝20,22のいずれか一方の中に板状馬蹄部(ガイド部)44を嵌め込む(係合する)とともに、円筒状コア部材10の一方のフランジ24,26を、隙間48内に挿入することにより、溝付き巻取コア1を保持具2により着脱可能に保持することができる。
さらに、保持具2の支持部材50は、X方向に延びる長尺の金属板52の両端に一対のハンドル54,56を有し、その中央部分においてU字状部材40と同様の寸法および形状で開口する開口部58および湾曲部59を有する。図4に示すように、U字状部材40の開口部46および湾曲部47と、支持部材50の開口部58および湾曲部59を位置合わせした状態でU字状部材40と支持部材50を固定するために、ボルト、ねじ、接着剤、溶接などの任意の固定手段を用いてもよい。
択一的には、上記説明したような溝をU字状部材40の他方の端部51付近に設け、これと係合させるための板状馬蹄部を支持部材50に配置することにより、U字状部材40と支持部材50を着脱可能に固定してもよい。
なお、支持部材50は、溝付きコア部材10と同様のアルミニウムなどの軽量な金属で形成されることが好ましく、さらには、くり貫き部59を形成し、強度に支障を与えない範囲で重量を軽減することが好ましい。
なお、U字状部材40は、円筒状コア部材10のフランジ24,26がU字状部材40の隙間48内に係合すると、円筒状コア部材10がU字状部材40から離脱することを防止するための任意のストッパ機構60を有していてもよい。
ストッパ機構60は、例えば、図5(a)および図6に示すように、ばね62などにより付勢され、ピボット軸64の周りを回転自在に配置されたアーム66付き爪部68であってもよい。作業者がアーム66を押さえると、ばね62の付勢力に打ち克って、爪部68が本体部42と板状馬蹄部44の間に退避し、円筒状コア部材10のフランジ24,26をU字状部材40の隙間48内に案内することができる。同様に、作業者がアーム66を放すとばね62の付勢力により、爪部68がU字状部材40の隙間48内に案内された円筒状コア部材10のフランジ24,26を所定位置に固定し、溝付き巻取コア1が保持具2から脱落することを防止することができる。
上記説明したように構成された溝付き巻取コア1および保持具2は、実際の工程において次のように使用される。
まず、溝付き巻取コア1を巻取ロール装置(図示せず)に固定し、ウェブを走行させながら短冊状にスリットして切断された集電体30を、円筒状コア部材10の一対の端部16,18の間に巻き取る(図1(a))。U字状部材40は、支持部材50に事前に固定して、保持具2を準備しておく。巻き終わった溝付き巻取コア1は、円筒状コア部材10の一方のフランジ24を、U字状部材40の本体部42と馬蹄部43の間の隙間48に嵌め込むことにより、円筒状コア部材10をU字状部材40に係合させる。こうして、作業者は、手が円筒状コア部材10に捲回された集電体30に直接に触れることなく、一対のハンドル54,56を支持して、集電体30を電池アセンブリ工程へと搬送することができる。したがって、本発明の溝付き巻取コア1および専用の保持具2によれば、集電体30に損傷を与えることなく、これを容易に搬送することができる。
実際の上記製造工程において、本発明の溝付き巻取コア1および専用の保持具2を用いて、リチウムイオン電池(A)を100個作製した。同様に、従来の溝付きでないコアを用いて、通常の工程作業を行い、最終的にリチウムイオン電池(B)を100個作製した。コアおよび保持具以外は、すべて同じ工程条件および工程作業者によりリチウムイオン電池を作製した。
それぞれのリチウムイオン電池(A,B)について、3.0Vから4.0Vの間で充電と放電を10サイクル繰り返した後、開回路電圧を測定することにより、リチウムイオン電池が短絡しているかどうかを確認した。その結果は、本発明の溝付き巻取コア1および専用保持具2を用いて製造されたリチウムイオン電池(A)は、100個中ショート不良は確認されなかった。一方、従来式のコアを用いて製造されたリチウムイオン電池(B)は、100個中ショート不良が4個確認された。これらの不具合電池を詳細に解析したところ、集電体30の数多くの箇所において作業者の手が接触したことにより、電極活物質(電極合剤層)に脱落などの損傷が認められた。
(a)は本発明に係る溝付き巻取コアの斜視図であり、(b)はこれに集電体を捲回した後の斜視図である。 (a)は図1に示す溝付き巻取コアの平面図、(b)はその正面図である。 本発明に係る溝付き巻取コアを保持するための専用保持具の斜視図であって、U字状部材を支持部材に固定する前の状態を示す。 図3と同様の斜視図であって、U字状部材を支持部材に固定した後の状態を示す。 (a)は図3および図4に示すU字状部材の正面図、(b)はその平面図である。 図3および図4に示すU字状部材の側面図である。 (a)は従来技術による巻取コアの斜視図であり、(b)はこれに集電体を捲回した後の斜視図である。
符号の説明
1 溝付き巻取コア、2 保持具、10 円筒状コア部材、12 外周面12、14 内周面、16,18 端面、20,22 溝、24,26 フランジ、28 溝の底面、30 シート状集電体、40 U字状部材、50 支持部材、42 本体部、44 板状馬蹄部(ガイド部)、46 開口部、47 湾曲部、48 隙間、54,56 ハンドル、59 くり貫き部、60 ストッパ機構、62 ばね、66 アーム、68 爪部。

Claims (4)

  1. 電極合剤層が形成された集電体金属板を捲回するための溝付き巻取コアを保持するための保持具であって、
    溝付き巻取コアは、円筒状コア部材からなり、外周面および内周面ならびに一対の端面を含み、前記一対の端面の近傍において一対のフランジおよび溝が前記外周面上に形成され、前記一対の溝の間において電極合剤層が形成された前記集電体金属板が捲回可能であり、
    前記保持具は、
    隙間を隔てて板状馬蹄部を固定するU字状部材と、
    一対のハンドルを有し、前記U字状部材に固定される支持部材とを備え、
    前記溝付き巻取コアの一方の前記フランジを前記隙間に嵌め込むことにより、巻取コアを着脱可能に係合することを特徴とする保持具。
  2. 前記円筒状コア部材は、アルミニウムを含む金属からなることを特徴とする請求項1に記載の溝付き保持具。
  3. 前記U字状部材は、前記板状馬蹄部が前記溝から外れるのを防止するためのストッパ機構をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の保持具。
  4. 電極合剤層が形成された集電体金属板を捲回するための溝付き巻取コアを保持具で保持する方法であって、
    円筒状コア部材からなり、外周面および内周面ならびに一対の端面を含み、前記一対の端面の近傍において一対のフランジが前記外周面上に形成された溝付き巻取コアを作製するステップと、
    隙間を隔てて板状馬蹄部を固定するU字状部材と、一対のハンドルを有し、前記U字状部材に固定される支持部材とを備えた保持具を作製するステップと、
    前記溝付き巻取コアの一方の前記フランジを前記隙間に嵌め込むステップとを有し、これにより前記溝付き巻取コアを前記保持具により着脱可能に保持することを特徴とする方法。
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