JP4549487B2 - 施肥器具及び植物栽培方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物栽培における肥培管理技術に関し、特に肥効調節型肥料を利用する場合に適する施肥器具、施肥材料及びこれらを利用した植物栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に「緩効性肥料」と呼ばれる肥効調節型肥料は、養分の溶出を制御して肥効をコントロールするものであり、被覆肥料、化学合成緩効性肥料及び硝化抑制剤入り肥料に分類される。また、いずれも、培地内に埋めて使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した肥効調節型肥料は、より正確な肥効コントロールを行うために様々なアイデアが提案されているが、そのほとんどは、被膜材料の改良、肥料成分自体の改良によるものであり、コントロール精度が良いものほど、被膜や肥料の材料コストが高くなるという問題があった。
【0004】
また、肥効調節型肥料を、一作に要する全量を培地に充填し、元肥として使用することが一般に行われているが、仮に、一作の中途でこの元肥が全て消費されてしまった場合には、作物が既に成長し、根も張っているため、培地を掘り起こして肥効調節型肥料を元肥と同様に追肥することはできない。従って、このような場合には、培地の上面に散布するしかなかった。しかしながら、元肥として使用されるように調製された肥効調節型肥料の場合、その肥効は、培地中に充填されて使用される場合に適するようにコントロールされており、培地上面に散布するのでは、その性能を十分に引き出すことができなかった。
【0005】
また、被覆肥料は、肥料成分が全て消費された後は、被膜が培地中に残存するため、ある一作が終了した後、次作に備えて残存する被膜を除去しなければならず、手間がかかるという問題もあった。
【0006】
さらに、これらの肥効調節型肥料を販売等するに当たっては、特に被覆肥料の場合、販売、取引段階における被膜の破損を防止するため、被覆肥料単独で取り引きされているのが通常である。従って、これを使用する場合には、培地中に被覆肥料が偏在して集中すると、被覆肥料近辺の作物が過剰摂取による肥料障害を起こすことから、これを防止するため、培地との混合作業を十分行う必要があり、植物を栽植するまでの準備作業に手間がかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、安価な肥効調節型肥料を用いた場合でも、正確な肥効コントロールを達成できると共に、有機肥料のように分解の速さから見て緩効性とみなすことができる他の肥料にも応用することが可能な施肥器具、施肥材料及び植物栽培方法を提供することを課題とする。また、本発明は、元肥と同様な形態での追肥を可能とし、さらには、肥効調節型肥料として被覆肥料を用いた場合に、肥料成分消費後に残存する被膜の除去をきわめて容易にすることができる施肥器具、施肥材料及び植物栽培方法を提供することを課題とする。また、販売、取引時において、予め、所定量の保水材と混合されており、使用時にはそのまま培地に充填するだけで使用することが可能な施肥材料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明は以下の施肥器具を提供する
【0009】
(1)周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される肥料と、前記保持容器内に充填された前記肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具
【0010】
(2)周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される肥効調節型肥料と、前記保持容器内に充填された前記肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具
【0011】
(3)周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される、肥効調節型肥料と保水材とを混合した施肥材料と、前記保持容器内に充填された前記施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具
【0012】
(4)前記(3)に記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料と前記保水材との混合割合が、体積比で2:1〜1:3の範囲であることを特徴とする施肥器具
【0013】
(5)前記(2)〜(4)のいずれか1に記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料が被覆肥料であることを特徴とする施肥器具
【0014】
(6)前記(3)又は(4)に記載の施肥器具であって、前記保水材が、バーミキュライト又は発泡尿素樹脂のいずれか少なくとも一方からなることを特徴とする施肥器具
【0015】
(7)前記(3)又は(4)に記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料が被覆肥料であり、前記保水材が、バーミキュライト又は発泡尿素樹脂のいずれか少なくとも一方からなることを特徴とする施肥器具
【0016】
また、本発明は以下の植物栽培方法を提供する
【0017】
(8)前記(1)に記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲の培地に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填された肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法
【0018】
(9)前記(2)に記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥効調節型肥料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲の培地に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填された肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法
【0019】
(10)前記(3)に記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥効調節型肥料と保水材とを混合した施肥材料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填された施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法
【0020】
(11)前記(10)に記載の植物栽培方法であって、前記肥効調節型肥料と前記保水材との混合割合を、体積比で2:1〜1:3の範囲としたことを特徴とする植物栽培方法
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施の形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2は、本発明の一の実施形態にかかる施肥器具10を示す図である。図に示したように、この施肥器具10は、保持容器11と、散水手段12とを有して構成される。
【0023】
保持容器11は、網目構造のプラスチックや金属等からかご状に形成した容器本体11aと、同じく網目構造のプラスチックや金属等から形成され、容器本体11aの上面開口部を覆う蓋部材11bとを有して構成されている。容器本体11a及び蓋部材11bは、いずれも周壁を形成する部材が網目構造であるため、この網目11cを通じて、液体の出入りが許容され、この網目11cが液体通過部となる。保持容器11は、液体の出入りを許容する液体通過部を周壁に有する構造であればよく、網目構造でなくてもよいことはもちろんである。例えば、周壁に液体通過部となる複数の孔やスリットを形成したものであってもよい。
【0024】
保持容器11は、培地30に対して少なくとも液体通過部の一部が隣接するように設置される。液体通過部を培地30に隣接させることにより、保持容器11内に充填される肥効調節型肥料20の肥料成分が培地30にしみ出ることになる。本実施形態では、図2に示したように、容器本体11aを培地30内に埋設すると共に、蓋部材11bを培地30上から突出させて配置し、容器本体11aの網目11cを培地30に隣接させている。
【0025】
また、容器本体11aは、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されている。上記したように容器本体11aは、培地30に埋設して使用されるが、このようなテーパ状に形成することにより、容器本体11aを引き抜く作業が容易となる。
【0026】
散水手段12は、蓋部材11bの略中央付近において上部に設けられた散水ノズル12aと、この散水ノズル12aに給液源からの液体を供給する給液チューブ12bとを有して構成されている。散水ノズル12aは、保持容器11及び培地30に対して放射状に液体を供給可能であって、より具体的には、例えば、液体の吐出口が、網目11cを通じて保持容器11内に直接液体を供給できると共に、保持容器11の外側周辺部における培地30にも直接液体を供給できるように設けられている。散水パターンは任意であり、保持容器11内とその外側周辺部とに同時に液体を供給できるようにしてもよいし、最初に所定の間、保持容器11内に供給したならば、次に、その外側周辺部に供給するようにして、さらには、保持容器11内とその外側周辺部とに交互に供給するようにしてもよい。このように散水パターンを制御する手段は任意であり、例えば、散水ノズル12aにおける吐出口の形成位置、液体の供給圧力等により制御することができる。
【0027】
保持容器11内に充填される肥効調節型肥料20としては、従来公知の種々のタイプのものを利用できるが、本発明においては、被覆肥料、化学合成緩効性肥料、ク溶性成分を主体とする肥料又はそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0028】
但し、保持容器11内に肥効調節型肥料20のみを充填した場合には、保持容器11内の肥料濃度は非常に高くなる。このため、植物の根が、液体通過部である網目11cを通じて保持容器11内に入っていかず、培地30中にしみ出した肥料を吸収できず、結局、肥料の無駄となる事態が生じ易い。従って、保持容器11内に充填する肥効調節型肥料20は、増量材として機能する保水材21を混合して充填することが好ましい。保水材21としてはバーミキュライト又は発泡尿素樹脂のいずれか少なくとも一方から選択することが好ましい。また、肥効調節型肥料20と保水材21との混合割合は、体積比で2:1〜1:3の範囲とすることが好ましい。
【0029】
保水材21を混合する場合、保持容器11を培地30に設置する際に、肥効調節型肥料20と混ぜてもよいことはもちろんであるが、本発明はまた、予め、肥効調節型肥料20と保水材21とが混合された施肥材料も提供するものである。
両者を予め混合しておくことにより、使用の際に混合しなくてもよく、植物栽培のための準備作業が容易化されると共に、工場等で予め混合されるため、均一に混合されたものを提供できる。
【0030】
このように予め混合された施肥材料を袋詰め等して工場から出荷し、販売する場合、取引過程における運搬作業等において、保水材21は、肥効調節型肥料20のクッション材として役割を果たす。特に、被覆肥料の場合、被膜が非常に薄いため、摩擦によって僅かでも傷がつくと被膜が破損するおそれがあるが、保水材21がクッション材となることで、被覆肥料同士の接触による破損を防止することができる。また、保水材21としてバーミキュライトや発泡尿素樹脂を用いた場合には、被覆肥料よりバーミキュライトや発泡尿素樹脂の方が脆いため、被覆肥料と保水材21との接触によって破損するのは、被覆肥料の被膜ではなく保水材21であり、被膜の破損防止の点から、保水材21としては、バーミキュライトや発泡尿素樹脂を用いることが好ましい。なお、この施肥材料としての肥効調節型肥料20と保水材21との混合割合も、保持容器11にそのまま充填できるよう、体積比で2:1〜1:3の範囲で調整されていることが好ましい。
【0031】
次に、上記した保持容器11及び施肥材料を使用しての植物栽培方法を説明する。図3に示したように、例えば、円筒状の鉢40に培地30を充填すると共に、その略中央部に保持容器11の容器本体11aを埋設する。次に、容器本体11a内に予め肥効調節型肥料20と保水材21とが所定の割合で混合された施肥材料を充填し、蓋部材11bで容器本体11aの上面開口部を覆う。なお、蓋部材11bには、任意の給液源と接続された給液チューブ12bと散水ノズル12aとを備えた散水手段12が設けられている。
【0032】
また、施肥材料の充填量は、任意であるが、元肥として使用する場合には、通常、一作当たりの消費量分に相当する量の肥効調節型肥料20が含まれるように充填する。但し、本実施形態によれば、元肥として使用する場合であっても、施肥材料は、培地30と混在させて用いるのではなく、保持容器11内に培地30と独立させた状態で使用している。従って、一作当たりの消費量分に相当する量を充填してあったにも拘わらず、肥効調節型肥料20の消費が予想外に早かったり、あるいは、当初から少な目に充填していたりした場合などにおいては、栽培期間の中途であっても、保持容器11の蓋部材11bをあけて施肥材料を補充(追肥)することができる。
【0033】
そして、例えば、保持容器11の周囲を取り囲むように、所定の間隔で培地30に植物50を栽植する。
【0034】
次に、任意のタイミングで、上記した任意の散水パターンにより、保持容器11内に液体を供給して散水すると共に、保持容器11の外側周辺部にも液体を供給して散水する。保持容器11内に供給された液体によって肥効調節型肥料20の肥料成分が培地30中にしみ出す。保持容器11外にしみ出した肥料成分は、植物の根から吸収され、あるいは培地30に吸収される一方で、余剰の肥料成分は、保持容器11の外側周辺部に供給された液体によって培地30外へ流出せしめられる。すなわち、余剰の肥料成分は、保持容器11の外側周辺部付近の培地30中に長時間留まることなく、培地30外へ流出するため、肥料の過剰供給による肥料障害が生じにくい。
【0035】
また、保持容器11の外側周辺部に対して液体を供給しないとすると、外側周辺部付近の培地30中に余剰の肥料成分が長時間留まることになり、植物の根は、この余剰の肥料成分が留まっている範囲までしか成長していかず、保持容器11内に進入していくようなことはあまりない。このため、保持容器11内に充填された肥効調節型肥料20は、保持容器11外へその肥料成分が流出しない限り消費されないことになる。しかしながら、本実施形態によれば、保持容器11の外側周辺部付近の培地30中に余剰の肥料成分が長時間留まるようなことがないため、植物の根は肥料成分を吸収しようとして保持容器11内にまで伸長していく。その結果、保持容器11内に充填された肥効調節型肥料20を有効に消費でき無駄が少ない。
【0036】
すなわち、本実施形態の植物栽培方法によれば、肥効調節型肥料20に向かって液体を供給することで肥料成分の滲出を促す一方で、保持容器11の外側周辺部に供給された液体によって余剰の肥料成分を培地30外へ流出させる構成とすることで、保持容器11の外側周辺部付近の培地30中に長時間留まることによる肥料の過剰供給による肥料障害の防止と、従来よりも少ない施与量の肥効調節型肥料20の有効利用とのバランスが図られる。また、このため、本実施形態によれば、例えば、精密な肥効コントロールが可能な高価な被膜を使用した被覆肥料のように、材料コストの高い肥効調節型肥料20を用いなくても、理想的な肥効コントロールが可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、バーミキュライトや発泡尿素樹脂といった多孔質性の保水材21が施肥材料中に含まれているため、微生物が活性化しやすい環境であり、この結果、肥料成分(特に、尿素、アンモニア態窒素)が硝化しやすくなって、植物による肥料吸収が促進される。このため、アンモニア過剰障害が起きにくくなる。
【0038】
植物の栽培が一作分終了した場合、従来であれば、培地中から残根を除去し、また、肥効調節型肥料20として被覆肥料を使用していた場合には、被膜(肥料殻)も培地中から除去しなければならず、その選別作業が面倒であった。しかしながら、本実施形態によれば、一作分終了後、保持容器11を培地30から引き抜けば、保持容器11内に残った残根及び被膜(肥料殻)を容易に除去することができる。特に、本実施形態では、容器本体11aの径が下方部位になるほど細いテーパ状に形成されており、容器本体11aを引き抜く作業がきわめて容易である。なお、根が多量に容器本体11a内に侵入している場合には、容器本体11aを引き抜く前に予め根を切断しておくこと引き抜きやすくなるが、この際、本実施形態によれば、ヘラ状(ナイフ状)の切断用の任意の道具を容器本体11aの外周に沿わせることによりスムーズに動かすことができ、これにより予め根を中途で切断する作業もきわめて容易に行うことができる。
【0039】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではないことはもちろんである。
例えば、上記実施形態において保持容器11の外側周辺部に積極的に散水することによって培地30外へ流出させた余剰の肥料は、流出させた後、そのまま廃棄してもよいが、これを回収して再利用することができ、また、必要に応じて殺菌処理して再利用する構成とすることもできる。また、本発明の施肥器具は、充填される肥料に向かって直接散水できる構造であるため、上記実施形態のように、肥料としては肥効調節型肥料を用いることが適するが、肥料の分解速度から見て肥効調節型肥料と同様に緩効性とみなさせるもの、例えば、有機肥料を充填して使用することもできる。また、この有機肥料と上記した肥効調節型肥料のいずれか1種類以上とを混合して使用することもできる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の施肥器具は、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、前記保持容器内に充填される肥料に向かって散水可能であると共に、前記保持容器の外側周辺部にも散水可能に設けられた散水ノズルを有する散水手段を備えている。従って、余剰の肥料成分が培地中に長時間留まることによる肥料障害の防止を図ることができると共に、肥料を無駄なく利用することができ、従来よりも施与量を少なくすることができる。このため、肥料として特に肥効調節型肥料を使用する場合に適し、また、肥効調節型肥料として高価なものを用いなくても、理想的な肥効コントロールが可能であり、材料コスト、肥培管理コストを低減することができる。
【0041】
本発明の施肥材料は、肥効調節型肥料と保水材とが予め混合されている。従って、それらを施肥器具の保持容器中にそのまま充填して使用することができ、栽培に要する準備作業を簡易化できる。また、保水材が混合されているため、取引段階の運搬時等における肥効調節型肥料の破損を防止できる。
【0042】
本発明の植物栽培方法は、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器を、少なくとも該液体通過部の一部が培地に隣接するように配設すると共に、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥料を、好ましくは肥効調節型肥料を、より好ましくは肥効調節型肥料を保水材と共に充填しておき、植物を前記保持容器の周囲の培地に栽植し、散水の際、前記肥料に向かって散水すると共に、前記保持容器の外側周辺部にも散水し、肥料に向かう散水によって肥料成分を保持容器外の培地中へ滲出させ、保持容器の外側周辺部への散水によって培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させる構成である。従って、余剰の肥料成分が培地中に長時間留まることによる肥料障害の防止を図ることができると共に、肥料を無駄なく利用することができ、従来よりも施与量を少なくすることができる。このため、肥料として特に肥効調節型肥料を使用する場合に適し、また、肥効調節型肥料として高価なものを用いなくても、理想的な肥効コントロールが可能であり、材料コスト、肥培管理コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態にかかる施肥器具を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一の実施形態にかかる施肥器具を培地中に配置した状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一の実施形態にかかる植物栽培方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 施肥器具
11 保持容器
11a 容器本体
11b 蓋部材
12 散水手段
12a 散水ノズル
12b 給液チューブ

Claims (11)

  1. 周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される肥料と、前記保持容器内に充填された前記肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具。
  2. 周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される肥効調節型肥料と、前記保持容器内に充填された前記肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具。
  3. 周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備え、少なくとも該液体通過部の一部が培地に埋設される保持容器と、前記保持容器内に充填される肥効調節型肥料と保水材とを混合した施肥材料と、前記保持容器内に充填された前記施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段とを具備し、前記保持容器が網目構造に形成され、その網目が前記液体通過部として機能するものであり、かつ前記保持容器の培地に埋設される部分全体が、下方部位になるほど径が細くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする施肥器具。
  4. 請求項3記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料と前記保水材との混合割合が、体積比で2:1〜1:3の範囲であることを特徴とする施肥器具。
  5. 請求項2〜4のいずれか1に記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料が被覆肥料であることを特徴とする施肥器具。
  6. 請求項3又は4に記載の施肥器具であって、前記保水材が、バーミキュライト又は発泡尿素樹脂のいずれか少なくとも一方からなることを特徴とする施肥器具。
  7. 請求項3又は4に記載の施肥器具であって、前記肥効調節型肥料が被覆肥料であり、前記保水材が、バーミキュライト又は発泡尿素樹脂のいずれか少なくとも一方からなることを特徴とする施肥器具。
  8. 請求項記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲の培地に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填された肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法。
  9. 請求項記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥効調節型肥料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲の培地に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填され肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記肥効調節型肥料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法。
  10. 請求項記載の施肥器具を用いた植物栽培方法であって、周壁に液体の出入りを許容する液体通過部を備える保持容器の少なくとも該液体通過部の一部を培地に埋設し、該保持容器を培地に設置する前又は後に、その内部に肥効調節型肥料と保水材とを混合した施肥材料を充填しておき、植物を前記保持容器の周囲に栽植し、散水の際、前記保持容器内に充填された施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給可能な散水ノズルを有する散水手段によって、前記施肥材料及び前記保持容器の外側周辺部における培地に対して液体を供給し、肥料成分を培地中へ滲出させ、培地中へ滲出した余剰の肥料成分を培地外へ流出させ、一作分終了後には、前記保持容器を培地から引き抜くことによって、前記保持容器内に残った残根及び肥料殻を除去することを特徴とする植物栽培方法。
  11. 請求項10記載の植物栽培方法であって、前記肥効調節型肥料と前記保水材との混合割合を、体積比で2:1〜1:3の範囲としたことを特徴とする植物栽培方法
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