JP4549244B2 - 合成床版用デッキプレート及びこれを用いた合成床版 - Google Patents
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Description
このデッキプレートをコンクリート床版を構築する際の型枠として用いる場合に、その断面形状を、床版が荷重で撓んだ時にコンクリートから剥離しない形状にすることで、デッキプレートがコンクリートと一体となって荷重を負担する合成効果を持つ合成床版を構築できる。
また、デッキプレートの傾斜ウェブや下フランジの表面に多数のエンボスを設けるとともに、さらに、図7に示すように、傾斜ウェブ4の下端部にデッキプレート長手方向に伸びる凸条(リブ)5を形成して剥離防止の向上を図ったものがある(特公昭52-1566号(特許文献2))。同図において、1Aは合成床版用デッキプレート、2は上フランジ、3は下フランジを示す。
また、図8に示した合成床版用デッキプレート1Bのように、傾斜ウェブ4のデッキプレートせい中央位置より上方位置に、上下の折曲点6a、6b間の段差面6cの向きが水平より下向きとなる段差部6を設けて剥離防止効果を一層向上させたものがある(特公平3-11341号(特許文献3))。この段差部6は、デッキプレートとコンクリートとを一体化させて剥離防止を図ることができるとともに、その位置が上方位置にあることで剥離防止効果が一層向上するものである。また、図9に示した合成床版用デッキプレート1Cは、基本構造としては特許文献3のデッキプレートと同様である(特許第2759580号(特許文献4))。
また、図10に示した合成床版用デッキプレート1Dのように、傾斜ウェブ4の下端部にV字状溝7を形成したものもある(特公平7-107298号(特許文献5))。
これらはいずれも、デッキプレートとコンクリートとの合成効果の発揮を最大化し、耐力と剛性の向上、あるいは軽量化の実現を狙ったものである。
また、特許文献2のデッキプレート1Aにおいて傾斜ウェブ4の下端部に設けた凸条5の下面部も、前記段差部6と同様に働くと言えるが、凸条5の下面部のフランジ面3(水平面)に対する角度θ1(段差面相当角度と呼ぶ)については同様に特に問題とされていない。しかし、描かれた段差面相当角度θ1は実測すると約40°である。
また、特許文献5においては、傾斜ウェブ4の下端部に形成したV字状溝7の上側面のフランジ面3(水平面)に対してなす角度θ1(同じく段差面相当角度と呼ぶ)は、約40〜70°が望ましいと記されている。
上記の通り、従来のデッキプレートは、コンクリートと一体化するための段差面角度(あるいは段差面相当角度)θ1は、特に問題とされていないか、少なくとも30°より大である。なお、公報の記載のみでなく、従来から実際に使用されている合成床版用デッキプレートにおいても、それらの段差面角度(あるいは段差面相当角度)θ1は少なくとも30°以上である。
しかし、傾斜ウェブ面4に設けた前記段差部6や凸条5やV字状溝7等のデッキプレート長手方向に連続する変形部の形状、寸法などと合成性能との関係に関しては、未だ研究されておらず、これらを解明することができれば、これまで以上に経済的な合成床版用デッキプレートの断面形状を提案できると考えられる。
上記の通り、従来のデッキプレートではいずれも段差面角度が30°より大とされていたのであるが、このことは、段差面角度が30°以上あればコンクリートと当然一体化するであろうと考えられることに加えて、冷間ロール成形において、水平より下向きの段差面を持つ断面形状の成形は必ずしも簡単ではないが、段差面の下向き度合いが小さい(すなわち段差面角度が大きい)ほど成形が容易であることから、段差面角度を敢えて小さくすることに思い至らなかったと考えられる。
前記傾斜ウェブは、その途中に段差面の向き(法線方向)が水平より下向きとなる段差部を有するとともに、前記段差部の上側折曲点位置がデッキプレートせいの中央位置より上方に位置し、かつ、前記段差面の水平面に対する段差面角度θ1がマイナス10°〜プラス23°であり、かつ、デッキプレートのせいが100mm以上であることを特徴とする。
請求項3は、請求項1又は2の合成床版用デッキプレートスパンが4m以上の単純支持用として用いられたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成床版用デッキプレートを型枠として用いてコンクリートを打設し、コンクリート打設後には傾斜ウエブに設けた段差部により当該合成床版用デッキプレートがコンクリートと一体となって荷重を負担する合成床版であって、
上フランジ面からのコンクリート厚みを90〜100mmとしたことを特徴とする。
また、段差部16の上側折曲点16aの位置はデッキプレートせい(デッキプレート高さ)Hの中央位置より上側に位置している。上フランジ面12aと段差部16の上側折曲点16aとの間の距離h(図1参照)を段差部高さhと呼ぶ。なお、図1及び段落番号[0015]で説明する試験体のように、段差部16の上側折曲点16aの位置は、デッキプレートせい(デッキプレート高さ)Hの中央位置と上フランジ面との概ね中央位置(せいが120mmの場合、段差部高さhが約30mm)に位置させるのが好適である。
また、図示例のデッキプレート11は、上フランジ12の中央に当該上フランジ12の剛性を高めるための溝12aを持ち、下フランジ13の中央に当該下フランジ13の剛性を高めるための凸条13aを持ち、さらに幅方向の両端部に、隣接して敷き並べたデッキプレート11どうしを互いに係合させるための係合部17、18を備えた断面形状である。
図3(ロ)のように、デッキプレート11とこれを型枠として打設されたコンクリート23とが一体化して合成床版22が得られるが、この場合、前記段差面角度θ1がマイナス10°〜23°であることで、以下の実験結果に示す通り、従来より高い合成効果を持つ合成床版が得られた。
なお、最大耐力とは載荷試験において終局(破壊)までの間に示した最も高い耐力である。
また、要求荷重とは、「デッキプレート版技術基準解説及び設計・計算例」に合成スラブの耐力の目安として示されている耐力であり、その付録A.『合成スラブ認定における標準検討項目』に「試験最大耐力と理論値による最大耐力との比は、おおむね70%以上としており・・・」と記載されているように、最大耐力理論値の70%の値である。また、最大耐力理論値とは、合成スラブとしてのずれ止めが有効で合成効果が保たれたまま試験体断面が曲げ降伏することを仮定して求めた断面終局曲げモーメントから得られる耐力である。なお、上記の試験体の場合の要求荷重は約58.2kNとなる。
また、図4に示すように、段差面角度θ1が27°以上では最大耐力が54.0kN程度、15°以下では最大耐力が65kN程度であり、段差面角度27°と15°との間の領域において、最大耐力に顕著な変化が生じていることがわかる。本発明では、最大耐力実験値曲線と要求荷重ラインとの交点の段差面角度である23°を、段差面角度の上限に設定した。
このようなマイナスの段差面角度の段差部を成形する際、段差面角度を精度良く出すためには、図5(ロ)に示すように水平キャリアロール24a、24bで成形する必要があるが、そこでの成形可能な角度はマイナス10°程度が限界である。そのため本発明において、デッキプレートの段差面角度θ1はマイナス10°が限界となる。
現行の合成床版においては、コンクリート厚さはデッキプレートの上フランジより50〜100mmとしている。合成床版の厚さはデッキプレートのせいにコンクリート厚さを加えたものであり、最近のマンション等のスラブ厚(床版厚)は遮音性、経済性を考慮し150〜200mmが主流となっている。より遮音性を要求する用途では厚さ300mm程度のものも存在し、この場合は生活騒音はほぼ完全に遮断される。それ以上厚くすることは特殊な用途以外ではほとんど要求されず、一般的な使用範囲においては不経済な設計となる。したがって、合成床版として機能する最大コンクリート厚さを100mm、デッキプレートせいを200mm以下として用いることで、現状において要求される性能を十分満足させることができる。
12 上フランジ
13 下フランジ
14 傾斜ウェブ
16 段差部
16a 上側の折曲点
16b 下側の折曲点
16c 段差面
20 山部
21 谷部
22 合成床版
θ1 段差面角度
Claims (4)
- 水平な上フランジと水平な下フランジと両者をつなぐ斜めの傾斜ウェブとで台形の山部と谷部とが交互に形成された断面形状をなす、冷間ロール成形による鋼板製の合成床版用デッキプレートであって、
前記傾斜ウェブは、その途中に段差面の向き(法線方向)が水平より下向きとなる段差部を有するとともに、前記段差部の上側折曲点位置がデッキプレートせいの中央位置より上方に位置し、かつ、前記段差面の水平面に対する段差面角度θ1がマイナス10°〜プラス23°であり、かつ、デッキプレートのせいが100mm以上であることを特徴とする合成床版用デッキプレート。 - 前記段差部の上側折曲点位置がデッキプレートせいの中央位置と上フランジ面との中央位置に位置することを特徴とする請求項1記載の合成床版用デッキプレート。
- スパンが4m以上の単純支持用として用いられたことを特徴とする請求項1又は2記載の合成床版用デッキプレート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成床版用デッキプレートを型枠として用いてコンクリートを打設し、コンクリート打設後には傾斜ウエブに設けた段差部により当該合成床版用デッキプレートがコンクリートと一体となって荷重を負担する合成床版であって、
上フランジ面からのコンクリート厚みを90〜100mmとしたことを特徴とする合成床版。
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JPS62107825A (ja) * | 1985-11-06 | 1987-05-19 | Nippon Steel Metal Prod Co Ltd | デツキプレ−トの端部閉塞加工方法 |
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