JP4547153B2 - タンパク質プロファイリングのための診断方法 - Google Patents

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Description

(政府の支援)
本発明に至る研究は、国立がん研究所からの公衆衛生局助成金CA−83875によって一部支援された。米国政府は、本発明において一部の権利を有し得る。
(発明の分野)
本発明は、重要な細胞タンパク質(指標タンパク質セットまたはサブセット)の重要なセットについての発現プロファイルを得るための方法および異常な状態または病的状態の存在を診断するために生成されたタンパク質プロファイルの使用に関する。本発明は、指標タンパク質セットの発現プロファイルを変化することが可能な治療的化合物をスクリーニングするための方法をさらに提供する。本発明はまた、目的のタンパクがユビキチン/プロテアソーム経路の標的であるか否かを特異的に決定するための手段も提供する。
(背景)
生物のタンパク質相補体の研究は、プロテオミクスと呼ばれ、薬物標的および新規薬物を同定するための重要なアプローチとして出現している。プロテオミクスの分野は、以下の2つのアプローチを含む:タンパク質発現における全体的な変化を研究する、発現プロテオミクス、およびタンパク質−タンパク質相互作用の系統的研究である、細胞マッププロテオミクス(Blackstockら(1999)Trends in Biotechnology 17:121−127)。固定ゲノムと異なり、プロテオームは、遺伝子発現、安定性および翻訳後改変を反映する動的な実態である。プロテオームは、細胞特異的または組織特異的であり得、かつ生物の代謝状態、健康、および環境によって影響され得る。
全体的な遺伝子発現のモニタリングのための最近の方法は、遺伝子−チップ/DNAマイクロアレイ技術に主に依存する。細胞内におけるタンパク質の発現を研究するための別のアプローチは、高分解能2次元(2D)ゲル電気泳動の使用を必要とする。
ユビキチン(Ub)は、真核生物において高度に保存される76アミノ酸タンパク質であり、他のタンパク質に共有結合的に連結され、プロテアソームと呼ばれるプロテアーゼによって分解されるタンパク質をマークする。タンパク質ユビキチン化の非タンパク質分解性の効果もまた、記載される。Rad23は、核酸除去修復に関与する高度に保存されたタンパク質である。ヒトRad23は、プロテアソームに結合し得るアミノ末端ユビキチン様(UbL)ドメインを含む(Schauberら(1998)Nature 391:715−718)。
(発明の簡単な要旨)
本発明は、細胞における異常な状態または病的状態(例えば、発症した疾患の存在下で生じるかまたは正常な状態から形質転換された状態もしくは異常な状態への移行において生じる)の存在を決定するための新規の診断方法を提供する。本発明は、異なる生理学的状態または条件下で最も変化する可能性が高い、細胞タンパク質の重要なサブセットについての発現プロファイルを確立する方法を提供する。本発明の方法において、代表的に情報価値のない(uninformative)細胞タンパク質のバルクは削除され、そしてその分析は、細胞異常性の診断における高い予測値を有するタンパク質の小セットに限定される。本発明の方法は、「タンパク質プロファイリング」と呼ばれ、そして正常な発現からの変異について検査される重要な細胞タンパク質のサブセットは、「指標タンパク質セット」(「IPS」)と呼ばれる。このIPSは、ユビキチン化調節タンパク質および非ユビキチン化調節タンパク質の両方を含む。
本発明の方法は、ユビキチン結合タンパク質(例えば、Rad23)が重要な細胞タンパク質に結合する能力が、診断的に使用され得ることの認識に、一部基づく。本発明の重要な特徴は、細胞増殖および細胞発達の重要な制御因子を表す細胞タンパク質の特定のコホートを単離する能力である。このクラスのタンパク質レベルは、異常な細胞において代表的に変化するので、これらは、高い診断値を有するタンパク質のセットを表す。
以下に記載される方法論は、IPSプロファイルにおける改変が、異常条件または病的条件の存在を示すように、ユビキチン化細胞タンパク質および非ユビキチン化細胞タンパク質(IPS)を能率的に回復し、このIPSの発現プロファイルを決定し、そして正常発現プロファイルを比較する方法を提供する。
従って、第1の局面において、本発明は、組織または細胞についての発現プロファイルまたはフィンガープリントを確立するための方法を特徴とし、この方法は、(a)生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させることにより、IPSがこのユビキチン結合タンパク質と結合する、工程;(b)IPSタンパク質を単離する工程;および(c)この単離されたIPSタンパク質を分析する工程であって、その組織または細胞についてのIPSタンパク質の発現プロファイルが確立される、工程、を包含する。
本発明のタンパク質プロファイリング方法は、コントロールサンプル、および疾患サンプルまたは病的サンプルについてのフィンガープリントを確立するために使用される。特定の実施形態において、上記生物学的サンプルは、コントロール生物学的サンプル、腫瘍生物学的サンプル、または病的な生物学的サンプルであり、任意の供給源由来の末梢血、体液、組織生検、糞便サンプル、培養細胞、およびタンパク質抽出物を含む、細胞もしくはタンパク質を含む任意の生物学的サンプルである。非常に少量の細胞物質しか必要とされない。例えば、代表的には、約0.1g以下の生検組織が、本発明のタンパク質プロファイリング方法のために十分である。この技術をさらに洗練させると、1〜2mg程度の少量の組織が、本願のタンパク質プロファイリングのために十分であることが、想定される。
1つの実施形態において、このユビキチン結合タンパク質は、ユビキチンに高親和性結合を示す任意の天然もしくは人工のタンパク質である。より特定の実施形態において、このユビキチン結合タンパク質は、直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物である。別の特定の実施形態において、このユビキチン結合タンパク質は、Rad23、Ddil1、Dsk2、Rpn10、またはアタキシン−3である。別の特定の実施形態において、このユビキチン結合タンパク質は、抗ユビキチン抗体である。より特定の実施形態において、この抗ユビキチン抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。これらの抗体は、インタクトなタンパク質に対して生成され得るか、または目的のタンパク質内に存在するアミノ酸配列を示す合成ペプチドに対して生成され得る。
より特定の実施形態において、単離する工程(b)は、このユビキチン結合タンパク質を親和性マトリックスに付着し、生物学的サンプルからIPSタンパク質を捕捉し、その後、そのIPSタンパク質を脱ユビキチン化反応に供することにより結合タンパク質を放出させ、そして高塩処理または他の処理を用いる処理により非ユビキチン化タンパク質を放出させることによって、実施される。
より特定の実施形態において、分析する工程(c)は、この単離された脱ユビキチン化タンパク質を高解像度二次元(2D)ゲル電気泳動に供することによって実施され、その生物学的サンプルに特異的なタンパク質プロファイルが、得られる。
1つの特定の実施形態において、この方法は、ユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質についてのタンパク質プロファイルを生成するために使用され、この方法は、細胞抽出物または組織抽出物を親和性カラムに適用することにより、ここで、グルタチオン−S−トランスフェラーゼに対する融合物として発現された組換えRad23が、グルタチオン−セファロースに付着される。結合したタンパク質が、このカラムから解離され、そしてゲル電気泳動により分解に供される。より特定の実施形態において、親和性カラムからの結合したタンパク質の解離は、高塩条件、界面活性剤(SDSなど)への曝露によるか、または結合したタンパク質をカラムから解離可能な酵素(例えば、ユビキチンイソペプチダーゼ)の使用による。非常に濃縮された単離された脱ユビキチン化タンパク質および他の細胞性非ユビキチン化タンパク質(IPSと呼ばれる)が、さらに処理される(例えば、2Dゲル電気泳動による分離、その後の例えば、硝化銀による染色)。個々の調節タンパク質を示す染色スポットの強度が、コントロール組織における対応する発現と比較される。
種々の細胞が、種々の条件下でユビキチン化調節タンパク質および非ユビキチン化調節タンパク質の独特なプロファイルを示すので、特定の疾患状態により示されるIPSの明確なプロファイルが、決定され得、そして改良された診断目的のために使用され得る。
従って、第2の局面において、本発明は、生物学的サンプル中の疾患または病理の存在を決定するための診断方法を特徴とし、この方法は、(a)試験生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させることにより、IPSタンパク質がそのユビキチン結合タンパク質と結合する、工程;(b)このIPSタンパク質を単離する工程;(c)この単離されたIPSタンパク質を分析する工程であって、発現プロファイルが生成される、工程;および(d)試験発現プロファイルをコントロール発現プロファイルと比較して、その試験プロファイルがコントロールプロファイルと異なるか否かを決定する工程であって、このコントロールプロファイルとの差異は、疾患または病理の存在を示す、工程、
を包含する。
第3の局面において、本発明は、生物学的サンプルにおける病理または疾患の存在を診断するためのキットを特徴とし、この診断は、その生物学的サンプルについてのタンパク質プロファイルを生成し、生成されたタンパク質プロファイルを、試験する生物学的サンプルに対応する正常な健常組織または健常細胞のフィンガープリントと比較することによる。この局面において、本発明は、適切なIPSまたはサブセットに結合可能なユビキチン結合タンパク質を含むキットを特徴とする。さらに、このようなキットは、必要に応じて、以下のうちの1つ以上を備え得る:(1)診断、予後判定、治療的モニタリングまたはこれらの適用の任意の組み合わせのためにユビキチン結合タンパク質を使用する指示;(2)この結合タンパク質に対する標識結合パートナー;(3)この結合タンパク質が固定される固相(例えば、試薬片);および(4)診断用途、予後判定用途、もしくは治療用途、またはこれらの任意の組み合わせについての規制機関の認可を示す、標識または挿入物。この結合タンパク質に対する標識結合パートナーが備えられていない場合、このタンパク質自体が、検出可能なマーカー(例えば、化学発光部分、酵素部分、蛍光部分、または放射性部分)で標識され得る。
さらに一般的には、本発明の方法は、タンパク質発現プロファイルまたはフィンガープリント(通常および通常でない)種々の細胞および組織から本発明のタンパク質プロファイリング方法によって生成される)のデータベースを提供する。腫瘍の各クラスは、例えば、タンパク質の特有の「フィンガープリント」を発現し、診断ツールとしてのために有用な、各疾患状態について別個の分子サインを提供する。
さらに、本発明のタンパク質プロファイリング方法は、IPSのサブセットをさらに与え、IPSのサブセットは、コントロールサンプル(通常、罹患していない)由来の対応セットと比較した疾患または病理の存在における増加した発現または減少した発現を有するタンパク質を反映する。
第4の局面において、本発明は、タンパク質発現フィンガープリント(各々は疾患状態について特有である)のデータベースを特徴とし、以下の工程によって生成される2つ以上のタンパク質プロファイル:(a)生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させ、その結果、指示タンパク質セット(IPS)タンパク質が、ユビキチン結合タンパク質に結合する工程;(b)IPSタンパク質を単離する工程;および(c)単離されたIPSを分析する工程(ここで、各々の組織または細胞についてのIPSの発現プロファイルは、確立されている)、を包含する。
疾患の特定のフィンガープリントの確立は、その疾患の診断についての迅速な方法を提供し、この方法は、対応するコントロールサンプルと比較するために、関連のある生物学的サンプルにおいてIPSのタンパク質プロファイルを検出し、疾患が存在するかどうかを決定する。これらの方法はまた、臨床的スクリーニング、予後判定、治療の結果をモニタリングすること、特定の治療的処置薬物スクリーニングおよび開発に最も応答しそうな患者を同定すること、ならびに薬物処置のための新たな標的の同定に適する。
第5の局面において、本発明は、IPSの重要なサブセットを特徴づけ、この重要なサブセットは、異常な状態(例えば、疾患の開始、病理、形質転換など)の存在において、発現の変化したレベルを示すタンパク質を提示する。変化は、増加した発現および減少した発現ならびに翻訳後改変(例えば、リン酸化)を誘導する。これらの重要な指示タンパク質の存在は、通常の健康状態から異常な状態または病理状態に、細胞または組織が変化することを示すことについて、診断的に有用である。具体的には、抗体が、IPSのサブセットに対して生成され得、これらの抗体が、利用可能な技術を使用してプロテインチップ上に配置され得る。次いで、生物学的サンプルが、直接的にプロテインチップに適用され得、各々のタンパク質のレベルは、チップ上に固定化された抗体の特定のセットによって認識され、通常状態と異常状態との間を識別するために定量化される。
第6の局面において、本発明は試験化合物または薬物の、IPSの発現に対する効果をモニタリングすることによる薬物の発見方法および確認方法を特徴とする。一実施形態において、本発明は、目的の指標タンパク質セット(IPS)のタンパク質プロファイルを調節し得る化合物を同定する方法を特徴とし、この方法は、以下:(a)試験化合物に曝露された生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させる工程であって、その結果、IPSタンパク質がこのユビキチン結合タンパク質に結合する、工程;(b)このIPSタンパク質を単離する工程;および(c)この単離された指標タンパク質セットを分析する工程であって、ここでこの試験化合物の、指標タンパク質セットの発現プロファイルに対する効果が決定される、工程、を包含する。
IPSの発現を異常から正常に調節する化合物の同定が、特に興味が持たれる。このような化合物は、疾患状態を回復させる能力または疾患の発症を阻害する能力について、さらに試験され得る。
第7の局面において、本発明は、以下の方法によって同定された指標タンパク質セット(IPS)を特徴とする:(a)生物学的サンプルと、ユビキチン結合タンパク質とを接触させ、その結果、IPSタンパク質がユビキチン結合タンパク質に結合する、工程;および(b)このIPSタンパク質を単離する工程であって、ここでこの単離されたユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質がIPSを生成する、工程。
ユビキチン化タンパク質は、ユビキチン部分の除去の後に、IPSの成分になる。IPSの同一性(これは、ユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質の両方を含む)は、本発明の重要な局面であり、以下に記載されるように、タンデム質量分析法(MS)によって決定され得る。
タンパク質プロファイリング法は、細胞ユビキチン化タンパク質および細胞非ユビキチン化タンパク質の発現パターン、ならびにそれらの存在の両方の決定を必要とする。利用可能なスキャニングソフトウェアは、2Dゲル分析によって検出されるタンパク質スポットの正確な定量のために使用され得る。
関連の局面において、本発明は、細胞または組織サンプルから単離されたIPSを特徴とし、これは、(例えば、トリプシンを用いる)制限タンパク質分解性消化に供され、次いでタンデム質量分光(MS)分析に供される。このアプローチは、正常で健康なサンプルにおける発現に対して、疾患または病理の存在下において変化した発現を示す重要な指標タンパク質のIPSおよび/またはサブセットの各メンバーの同定を可能にする。このアプローチの重要な利点は、非常に少ない量のタンパク質しか必要でないことである。MS分析におけるシグナルのほとんどの部分は、ユビキチンによって生成されるが、ユビキチンから誘導されるタンパク質分解性フラグメントを表すピークは、既知であり、そして無視できる。MS分析の第2の利点は、これが非常に迅速であり、かつ自動化適用およびハイスループット適用に容易に適合可能であることである。
第8の局面において、本発明は、疾患または状態、および細胞または組織に特異的なタンパク質発現フィンガープリントを特徴とし、これは上記の方法によって単離されたIPS中の1つ以上のタンパク質を含み、ここでこのタンパク質は、対応する非疾患コントロール細胞または組織に対して、疾患状態における変化した発現を示す。
第9の局面において、本発明は、目的のタンパク質がインビボでユビキチン化の標的であるか否かを決定するための方法を提供する。詳細には、この方法は、(a)目的のタンパク質を含む生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させる工程であって、その結果、ユビキチン化タンパク質がユビキチン結合タンパク質に結合する、工程;および(b)この目的のタンパク質が存在するか否かを決定する工程、を包含する。
さらに特定の実施形態において、工程(b)は、当該分野で公知の免疫学的検出方法または他の検出方法を使用して実施され得る。
第10の局面において、本発明は、ユビキチン結合タンパク質と関連したユビキチン化タンパク質のプール全体の試験を可能にし、以前に疾患に関連した十分に特徴付けされた標的のレベルを検査する。詳細には、この方法は、(a)生物学的サンプルとユビキチン結合タンパク質とを接触させる工程であって、その結果、ユビキチン化タンパク質がユビキチン結合タンパク質に結合する、工程;および(b)目的のタンパク質が存在するか否かを決定する工程、を包含する。
別個の局面において、本発明は、IPSの発現プロファイルに対する薬物スクリーンの効果のハイスループット分析のためのタンパク質チップを使用する方法、および末梢血、体液、組織生検または糞便サンプル由来の生物学的サンプルのハイスループット診断分析のためのタンパク質チップ技術を使用する方法を企図する。この生物学的サンプルはまた、培養された細胞および任意の供給源由来のタンパク質抽出物を含み、正常状態と異常状態とを区別する。他の目的および利点は、以下の例示的な図面と共に解釈される続く詳細な説明の参照から明らかとなる。
本発明の別の別個の局面において、多重GST−UBAドメインマトリックスが、単離されたユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質の数を同時に増加させるために使用され得る。各UBAドメインは、制限された基質特異性を有するので、これらは、多数のユビキチン化タンパク質および特定の非ユビキチン化タンパク質を単離するために、組み合わせて使用され得る。
本発明のなおさらなる局面において、UBA相互作用タンパク質を同定するための代替のストラテジーは、UBA含有マトリックスに結合したタンパク質の集団全体を、トリプシンで消化し、そのペプチドを、高速液体クロマトグラフィーで分離し、そして質量分析機による最終分析を実施することによる。ユビキチン由来の配列に対応するペプチドのピークは無視され、そして他の細胞タンパク質から生じるピークのみが特徴付けされる。この代替のストラテジーは、脱ユビキチン化工程およびその後の2Dゲル電気泳動の必要性を排除し、ハイスループットスクリーニングのためのロボットおよび自動化へのこの技術の適合を可能にする。
(発明の詳細な説明)
本方法が記載される前に、本発明が、記載される特定のアッセイ法、試験化合物および実験条件に限定されないので、このような方法および化合物が変化し得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される技術が、特定の実施形態の記載のみの目的のみのためであり、限定することを意図されないこともまた、理解されるべきである。なぜなら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるからである。
本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照を包含する。従って、例えば、「a complex」を参照することは、このような複合体の混合物を包含し、「the compound」または「the method」に対する参照は、本明細書中に記載される型の、1つ以上の処方物、方法、および/または工程を包含し、これらは、本開示などを読む際に当業者に明らかになる。
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるのと類似または等価の任意の方法および材料が、本発明の実施および試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が、ここで記載される。本明細書中において言及される全ての刊行物は、参考によって本明細書中に援用され、引用された刊行物に関連する方法および/材料を記載する。
(定義)
用語「タンパク質プロファイリング」は、細胞制御および細胞増殖に関連する重要なタンパク質の特定のセットの発現を定量化する方法を意味し、このタンパク質は、ユビキチン結合タンパク質(例えば、Rad23)に結合することによって本発明の方法において単離されたユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質を含む。
用語「指示タンパク質セット」または「IPS」は、ユビキチン結合タンパク質に結合することによって同定された細胞性のサブセットを意味し、このタンパク質のサブセットは、細胞または疾患の、特定の異なるタンパク質発現パターンを示す。特定の例において、マルチサブユニット複合体の1つの構成要素のみが、ユビキチン化される場合、そのUBAマトリックスとの相互作用は、単一のユビキチン化タンパク質およびさらなる非ユビキチン化因子を生じ、この非ユビキチン化因子は、この複合体に存在する特定の非ユビキチン化タンパク質を含み得る。しかし、全てのタンパク質は、潜在的な診断値を有し得、従って、「指示タンパク質セット」に含まれる。用語IPSの「サブセット」または「重要なサブセット」は、1つ以上の非ユビキチン化タンパク質を意味し、これは、正常な健常サンプルにおいて見出される対応する発現に比べて、異常な条件(すなわち疾患条件)または生理学的条件において変更された発現を示すように確立されたIPSを含む。重要なサブセットタンパク質は、適切なコントロールに比べて疾患の存在下で発現の増加または減少を示すタンパク質、あるいはコントロールタンパク質に比べて構造変化または機能変化(リン酸化またはグリコシル化の変化を含む)を示すタンパク質を含み得る。
「タンパク質発現フィンガープリント」は、単離された指示タンパク質セットの発現パターンであり、本発明の方法によって分析される。
用語「タンパク質発現フィンガープリントのデータベース」または「タンパク質プロファイルのデータベース」は、正常状態および異常状態の両方において、特定の細胞または組織を特徴付ける2つ以上のタンパク質発現フィンガープリントの集団を意味する。
用語「調節する」は、1つの文脈において、細胞または組織のタンパク質発現フィンガープリントを変化させる化合物の能力を意味する。好ましくは、薬物候補は、対応する正常で非病的細胞のプロファイルに対して細胞のフィンガープリントを変化させる能力により同定される。本開示に基づいて、このような調節は、当業者に公知かまたは本明細書中に記載されるアッセイにより決定され得る。
用語「変化する」は、「増加する」および「減少する」を含み、かつ第2のサンプル(またはサンプルセット)と比較して、第1のサンプルまたはサンプルセットにおける、指標タンパク質の豊富さの相対的な増加もしくは減少、または指標タンパク質の発現または活性の相対的な増加および減少をいう。その観察された増加または減少は、使用される技術に依存して変化するが、変化は、当業者に公知の任意の技術により測定され得る。好ましくは、変化は、下記の実施例において記載されるように本明細書中で決定され、そして例えば、硝酸銀染色強度における差異を含む。
用語「異常」状態とは、正常で、健常で、疾患でない状態の条件とはことなる状態を意味する。異常は、疾患開始、疾患発生、形質転換などの状態を含む。この用語はまた別に、正常細胞におけるタンパク質発現パターンにおける差異を顕示にし得る、環境ストレス(機械的ストレスおよび温度ならびに薬物および他の医薬品の影響が挙げられるが、これらに限定されない)を包含する。
(本発明の一般的な局面)
ユビキチン(Ub)は、真核生物において非常に保存された76アミノ酸タンパク質であり、プロテアソームとよばれるプロテアーゼによる分解に対する他のタンパク質を特徴付けるためにそれらに共有結合される。ヒトRad23タンパク質は、インビボでユビキチン化タンパク質に結合する。この結合相互作用は、高塩条件および変性条件に耐えるのに十分強い。ユビキチン化タンパク質を選択的に精製する方法を開発するために、この特徴を研究した。この特徴は、細胞増殖および細胞発生の最も重要な公知の調節因子を示す。これらの生理学的役割のために、ユビキチン化タンパク質の発現は、病的細胞に対して、健常細胞において、ユビキチン化タンパク質のタンパク質プロファイルフィンガープリントを比較することにより悪性疾患の存在または疾患状態の発生を決定するために診断的に使用され得る。実質的には、細胞増殖および発生のすべての重要な調節因子は、ユビキチン経路による分解に対して標的化される。ウイルスによる細胞の形質転換または癌におけるそれらの変更された増殖特性は、増殖制御のパターンが変更されることを必要とする。ユビキチン経路により分解されるタンパク質の例としては、腫瘍サプレッサー(p53およびRb)、炎症性応答のインヒビター(I Bα)、シグナル伝達分子(c−Jun、c−MycおよびG−α)、細胞周期調節因子(サイクリン、CDKインヒビター、コヒージョンおよびPds1)、トポイソメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
全体的な遺伝子発現をモニタリングするための現在の方法は、遺伝子チップ/DNAマイクロアレイ技術に依存する。このアプローチは、いくつかの不利益を有し、それらとしては、高い費用、アッセイを実施するための長い所要時間および予測的な機能性を有することが期待される遺伝子のみを選択的に試験することが不可能であることが挙げられる。さらに、特定の環境条件下でmRNA発現とタンパク質産物の必要量との間の相互関係は、非常に乏しいものであると示されている。その結果、例えば、DNAマイクロアレイ技術により検出された膨大な遺伝子の大部分は、細胞状態における相異を同定し、特徴付けるには有利ではない。
タンパク質プロファイリングは、これまでは、異常細胞のタンパク質発現を試験し、それを正常細胞と比較することによりアプローチされてきた。このアプローチにおいて、少量の総タンパク質は、目的の組織から単離され、そして2次元ゲル電気泳動により分析される。コンピュータープログラムは、複雑な細胞発現プロファイルを特徴付けるために開発されてきた。しかし、このアプローチの深刻な限界は、細胞中のほとんどのタンパク質の発現が形質転換または発癌により影響されないことである。これは、細胞中のほとんどのタンパク質が、安定かつ豊富であり、正常細胞および異常細胞の両方について必要とされる構造的役割を実行するからである。さらにこのアプローチは、重要なタンパク質(例えば、細胞増殖を調節するタンパク質)を選択的に試験しないので、データの優勢は、情報価値のないタンパク質の発現を反映する。高レベルの安定なタンパク質は、存続時間が短く、低レベルで発現される、重要な細胞調節因子の検出を妨害する。このタンパク質の安定性は、ユビキチン媒介性分解により制御される。このタンパク質のサブセットは、多様な生理学的現象(細胞周期進行、ストレス応答およびシグナル伝達を含む)を制御する際に関与する重要な調節因子を示す。しかし、本発明のタンパク質プロファイリング方法は、ユビキチン化タンパク質および非ユビキチン化タンパク質の選択的精製を可能にする。このことは、重要な細胞タンパク質のセットを示す。総タンパク質抽出物における差異のモニタリングが困難であることを示すために、30分にわたる持続時間タンパク質の安定性を試験した。30分のインキュベーション後にレベルが減少したタンパク質は、ほとんど検出されなかった(結果示さず)。このことは、非常に大量でかつ安定なタンパク質が、存続時間が短い調節因子の検出を不明瞭にしたことを示唆する。従って、総細胞タンパク質の使用が、細胞のタンパク質プロファイルを試験するには非感受的な方法であることは明らかである。
本発明の方法は、正常な細胞から異常な細胞を区別するための新規なアプローチを示し、例えば、本発明の方法は、癌および他の細胞異常の同定のための診断ツールを提供する。この方法は、正常(病理学または疾患の非存在)の細胞における特定のタンパク質のタンパク質発現に対する疾患または病理学の存在下で生じる特定の鍵タンパク質のタンパク質発現の際の変化を利用する。
本発明は、現在のアプローチに対する前進を示す、なぜなら、それは、細胞の成長および発達において重要な役割を果たすこれらのタンパク質の選択的同定および選択的単離という結果を生じるからである。重要な情報を有さない細胞タンパク質のバルクを除去することによって、鍵指示タンパク質(IPS)の小さいサブセットの発現プロファイルは、決定され得る。IPSの発現プロファイルは、細胞異常の存在を決定するために診断的に使用され得る。さらに、鍵指示タンパク質を含む、IPSのサブセットは、IPSからさらに選択され得、対応する正常なコントロールサンプルに関連する疾患または病理学の存在下で変化した発現を示すタンパク質を示す。
さらに、タンパク質プロファイリング法の感度は、複数のGST−UBAドメインマトリックスの使用を通じて高められ得る。この手段において、複数のGST−UBAドメインの刺激的使用は、単離されるユビキチンタンパク質および非ユビキチンタンパク質の数を増加し得る。このことは、各UBAドメインが、制限された基質特異性を有するので、可能である。従って、組み合せにおいて使用される場合、ユビキチン(および特定の非ユビキチン)タンパク質のより大きな群および別種の群は、同定され得る。
本発明のタンパク質プロファイリング法は、IPSまたはサブセットのプロファイルを調節(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレート)するための能力について化合物をスクリーニングするため、ならびに薬物の治療的有効性を検査するために有用である。例えば、薬物は、特定の疾患の有害な効果を逆転するかまたは軽減することを期待される。薬物が、この効果を達成する場合、タンパク質プロファイリングは、処置された細胞のタンパク質プロファイリングが、正常な細胞において発現パターンを回復するかまたは取り戻すことを確実にする。
本発明の別の局面において、各細胞サンプルまたは各組織サンプルについて単離された精製ユビキチンタンパク質または精製IPSは、制限されたタンパク分解消化(例えば、トリプシン)に供され、次いで縦列質量分光計(MS)分析に供される。このことは、確立されるべき各IPSの各要素の同定を可能にする。タンパク質スポットの同定に関する情報なしで、「フィンガープリント」を提供するのみである2Dゲル分析と対照的に、MSは、成長および発達の情報調節因子の直接的同定についての能力を提供し、そのレベルは、疾患状態に影響される。このアプローチの重要な有利な点は、より低い量のタンパク質が必要とされることである。MS分析におけるシグナルの大きな断片は、ユビキチンによって発生されるが、ユビキチン由来のタンパク分解断片を示すピークは、公知であり、そして無視され得る。MS分析の第二の有利な点は、非常に迅速であり、そしてオートメーションおよび高い処理能力適用に容易に適合可能である。
本発明のもう一つの局面において、Protein Profiling Methodの合理化は、脱ユビキチン工程の除去によって達成され得る。この方法において、UBA含有マトリックスに結合したタンパク質の集団全体が、トリプシンで消化され、ペプチドは、高い実施液体クロマトグラフィーによって分解され、そしてピークは、質量分光法によって分析される。他の細胞タンパク質から起始するピークは、特徴付けられるが、ユビキチン由来の配列に相当するこれらのペプチドピークは、無視される。従って、2次元ゲル電気泳動についての必要性は、除去され、従って、高い処理能力スクリーニングのための自動装置およびオートメーションについての技術の適合を可能にする。
以下の実験の節において示されるように、ユビキチン結合タンパク質(例えば、Rad23)によるユビキチンタンパク質および特定の非ユビキチンタンパク質の精製は、単一工程に関し、そして迅速であり、定量的に有効である。結合の親和性は、非常に高い。Rad23は、多量に精製され得、そして親和性マトリックスに容易に結合され得る。これらの物質(例えば、Rad23タンパク質および親和性マトリックス)のコストは、最小である。いくつかの結合薬剤は、市販されており、そしてRad23を固定するためおよび安定化するために使用され得る。
さらに、目的のIPSタンパク質を単離するために所望される時間は、最小である。細胞は、20秒で溶解され得、そしてタンパク質抽出物は、15分間、親和性マトリックスと共にインキュベートした。次いで、親和性マトリックスは、緩衝液で洗浄され、そして結合タンパク質は、目的の調節因子の集団を含む。全体の工程は、1時間未満で達成され得る。単離されたタンパク質を分析する工程は、当業者に公知な多くの方法を使用して実施され得、直接的なタンパク質消化および質量分光法による分析、または2Dゲル電気泳動による分析を含む。一般的に、2Dゲル電気泳動は、約24時間かかることが予期され、そしてさらに硝酸銀による染色法は、約2時間必要であり得る。従って、定量的な結果は、48時間以内に得られ得る。
図1は、プロテアソームに結合するRad23についてのモデルを示す。Rad23は、多重Ub鎖(黒塗りの丸)に連結される基質と相互作用し得る。ユビキチン基質と相互作用は、さらに多重Ub鎖アセンブリを過度的に阻害する。Rad23は、プロテアソーム中で特定の多重Ub鎖結合因子(例えば、Rpn10(図におけるRPN)にユビキチン基質を送達する。各タンパク質は、鎖中で異なる特性を認識するため、基質連結多重Ub鎖は、Rad23とRpn10との間の相互作用を媒介するようである。Rpn10と多重Ub鎖の間の相互作用は、疎水性相互作用によって媒介され、そして多重Ub鎖およびRpn10と同時に陰影線によって示される。対照的に、Rad23は、多重Ub鎖中で遠位のUb部分と相互作用し得る。プロテアソーム関連E2およびE3因子は、有効な分解を促進するため基質をさらにユビキチン化することは、示唆される。このスキームはまた、Ddi1およびDsk2を含む、他のUBAおよびUbLが、プロテアソームのタンパク分解基質および調節因子の送達において同様の役割を実施することを予期する。
(分析的方法論)
本明細書で使用される場合、「2次元電気泳動」(2D−電気泳動)は、等電点電気泳動、その後の変性電気泳動を含む技術を意味し;これは、複数の分離したタンパク質を含む2次元ゲル(2D−ゲル)を生成する。好ましくは、変性電気泳動の工程は、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下でのポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)を使用する。2D−ゲル電気泳動を実施するための高い精度および自動可能な方法および装置が、当該分野において公知であり、刊行物(例えば、WO98/23950および米国特許第6,064,754号)中に記載され、それらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。簡単には、2D−ゲル電気泳動は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定し、選択し、そして特徴付けるための、効率的でコンピューター補助された、方法および装置を提供する。2次元アレイを、これらの電気泳動的移動度および等電点に従う2次元ゲル上で、生体分子を分離することによって生成する。アレイのコンピューター生成デジタルプロファイルを生成し、同一性、見かけの分子量、等電点および、2次元アレイにおいて検出される複数の生体分子の相対量を表し、それによって、複数の生物学的サンプルからのプロファイルのコンピュ−ターの媒介比較ならびに目的の分離されたタンパク質の切除を可能にする。
本発明のタンパク質発現プロファイルフィンガープリントが、当業者に公知のあらゆる方法(本明細書に記載される方法論、キナーゼアッセイ、酵素アッセイ、結合アッセイおよび他の機能的アッセイ、免疫測定ならびにウエスタンブロティングが挙げられる(が、これらに限定されない))によって、定性的にまたは定量的に確立される。1つの実施形態において、フィンガープリントを、それらのMWおよびpIによって、2Dゲルに対する分析による定量的検出によって確立し、ゲルを染色することによって視覚化する。1つの実施形態において、ゲル電気泳動によって分離されるタンパク質を、そして硝酸銀染色またはヨウ化銅染色によって可視化し、そして定量化する。可視化した分離タンパク質についての方法は、当該分野に公知であり、そして、記載される。例えば、Rootら、(1993)Anal.Biochem.209:354−359;Gottliebら、(1987)Anal.Biochem.165:33−37;Syrovyら、(1991)J.Chromatog.569:175−196;Draber(1991)Electrophoresis 12:453−456;Pattonら、(1994)Anal.Biochem.220:324−335;Rootら、(1990)Anal.Biochem 186:69−73を参照のこと。別の実施形態において、IPSまたは重要な指示タンパク質のサブセットを、蛍光染料で染色し、蛍光スキャナーを用いては画像化する。Sypro Red(Molecular Probes、Inc.、Eugene、Oregon)は、この目的のために適した染料である。別の蛍光染料は、ピリジニウム4−[2−[4−(ジペンチルアミノ)−2−トリフルオロメチルフェニル]エテニル]−1−(スルホブチル)−内部塩である。
あるいは、関連する指示タンパク質セットまたはサブセットの発現プロファイルは、免疫測定における検出によって確立され得る。1つの実施形態において、免疫測定を、免疫特異的結合が、IPSまたはサブセット由来のタンパク質が存在する場合に起こり得るような条件下で、試験される被験体からの生物学的サンプルを、関連する抗体と接触させることによって実施し、そして抗体によって、あらゆる免疫特異的結合の量を検出および測定する。抗体を、当該分野に公知の方法および技術ならびに以下に記載される方法および技術によって産生し得る。
発現プロファイルを確立するためのIPSまたはサブセットの定量的検出のための抗体の使用に加えて、あらゆる適切な免疫測定を使用し得る(この免疫測定としては、技術(例えば、ウエスタンブロット、放射免疫測定法、ELISA(酵素結合イムノソルベント測定法)、「サンドイッチ」免疫測定、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降素反応(gel diffusion precipitin reaction)、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体−固定アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光免疫測定およびプロテインA免疫測定を使用する競合アッセイ系および非競合アッセイ系が挙げられる(限定されない))。
(抗体方法)
本発明によれば、IPSまたはサブセットタンパク質は、免疫原として使用されて、このような免疫原に免疫特異的に結合する抗体を生成し得る。このような免疫原は、上記の方法を含む任意の従来手段によって単離され得る。本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異的抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、FabフラグメントおよびF(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、または免疫グロブリン分子のサブクラスであり得る。
1実施形態において、IPSまたはサブセットタンパク質を認識する抗体は、市販され得る。別の実施形態において、IPSまたはサブセットタンパク質に対する抗体は、公知の抗体産生方法によって生成され得る。特定の実施形態において、IPSまたはサブセットタンパク質の親水性フラグメントは、抗体産生のための免疫原として使用される。抗体産生において、所望の抗体についてのスクリーニングは、当該分野で公知の技術(例えば、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ))によって達成され得る。本発明の方法において使用され得るポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清に由来する抗体分子の不均一集団である。分画されていない免疫血清もまた、使用され得る。種々のアジュバントは、宿主種に依存して、免疫学的応答を増強するために使用され得、アジュバントには、完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、界面活性剤(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール)、およびBCG(カルメット‐ゲラン杆菌)またはcorynebacterium parvumのようなアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。さらなるアジュバントもまた、当該分野で周知である。
IPSまたはサブセットタンパク質に対するモノクローナル抗体(mAb)の調製について、培養物中での継続する細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術が、使用され得る。例えば、元々、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497)によって開発されたハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ(trioma)技術、ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunology Today 4:72)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびこれらの任意のサブクラスを含む任意の免疫グロブリンクラスの抗体であり得る。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養され得る。本発明のさらなる実施形態において、モノクローナル抗体は、公知の技術(PCT/US90/02545、本明細書中で参考として援用される)を利用して、胚(germ)を含まない動物において産生され得る。
モノクローナル抗体としては、ヒトモノクローナル抗体およびキメラモノクローナル抗体(例えば、ヒト−マウスキメラ)が挙げられるが、これらに限定されない。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域およびマウスmAb由来の可変領域を有する分子である(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;およびBossら、米国特許第4,816,397号(これらは、その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子のフレームワーク領域を有する、非ヒト種由来の抗体分子である(例えば、Queen、米国特許第5,585,089号(これは、その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、PCT公開番号WO 87/02671;欧州特許出願184,187;欧州特許出願171,496;欧州特許出願173,494;PCT公開番号WO 86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願125,023;Betterら(1988)Science 240:1041−1043;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443に記載される方法を使用する、当該分野で公知の組換えDNA技術によって産生され得る。
(ユビキチン結合タンパク質)
本発明の方法は、ユビキチン結合タンパク質(例えば、Rad23、Ddil、Dsk2およびRpn10)を提供する。しかし、類似の特性を持つ他のタンパク質の使用は、本発明の一部と考えられる。ユビキチン結合タンパク質は、遺伝子が入手可能である任意の種から得られ得る。これらのタンパク質は、グルタチオン−セファロース、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質、His−6エピトープ、Flag−エピトープ、または、親和試薬または抗体が入手可能である、多くの他のよく特徴付けられたエピトープのいずれかの1つとの融合体として発現され得る。ユビキチン結合タンパク質はまた、マトリックスと結合される特定の抗体に結合され得る。上述のユビキチン結合タンパク質の種々の誘導体と結合される、マトリックスの調製は、本発明の一部であると考えられる。加えて、(前述のエピトープおよびタグを欠失している)任意の上述のユビキチン結合タンパク質は、シアン活性化セファロースに直接結合し得、親和性マトリックスとして用いられ得る。さらに、タンパク質ユビキチン化の酵素学に関係するタンパク質は、ユビキチンとの一時的な相互作用を形成し、そしてまた、ユビキチン化タンパク質に結合するのに有用であることが分かり得る。
さらに、任意の種からのUBAドメインは、ペプチド合成によって新たに構築され得、固体支持媒体に架橋され得る。さらに、合成UBAペプチド(約30アミノ酸残基)は、標的タンパク質との相互作用によって検出され得る特異的に高められた特徴を有するドメインを生成するために変えられ得る。この同じ技術を用いて、UBA親和性マトリックスの多量体およびハイブリッド形態を組み立て得る。
インタクトユビキチン結合タンパク質に加えて、Rad23、Ddil、Dsk2、アタキシン−3およびp62からのUBA配列のみを含む親和試薬が、本発明の方法における使用のために作製され得る。同様に、タンパク質中のユビキチン結合モチーフ(例えば、Rpn10/S5a)はまた、本発明の方法において有用な親和性マトリックスの作製のために使用され得る。UBAドメインは、Ubとの特異的な相互作用を形成し、ユビキチン化細胞性タンパク質との高親和性相互作用のために十分である。これらのドメインのいくらかはまた、特定のユビキチン化されていないタンパク質と相互作用する。複数の、直列に結合されたUBAドメインを含む親和試薬がまた、これらが、ユビキチン化タンパク質およびユビキチン化されていないタンパク質に対してより高い結合効率を与え得るので、試験された。これらのタンパク質は、ユビキチン/プロテアソームシステムを欠失するE.coliから発現および精製される。これらのキメラの構築、精製の方法、および親和試薬の調製が、この技術の構成要素と考えられる。(抗体/抗原相互作用のハプテンおよびアロステリックエフェクターを含む)ユビキチン結合分子の認識のための、合成ペプチドおよび他の合成分子の作製が、この技術の一部であると考えられることが、特筆される。
種々のUBA含有タンパク質(Rad23、Dsk2、Ddil、アタキシン−3、p62)が、重複しているが、余剰でない機能を発揮する。従って、これらが、重複しているが完全に余剰である訳ではない範囲のタンパク質と相互作用することが推定される。例えば、Rad23は、活発に増殖している細胞において全ての細胞性のユビキチン化タンパク質の約25%の間で結合する。しかし、UBAを含むタンパク質のファミリーは、細胞性のユビキチン化されていないタンパク質の非常に大きな部分に選択的に結合し得る。この結果は、UBAを含むタンパク質が用いられるところに基づく細胞増殖および発生の重要な調節因子の異なるコホートを選択的に精製するための方法を提供するので、この技術の実行における異なる利点を提供する。
異なるタンパク質由来の配列が、各々Ubに結合し得るので、UBAドメインが、普遍的なユビキチン(Ub)結合ドメインであることが、確立された。酵母Rad23に由来する2つのUBAドメインならびにヒトhR23AおよびヒトhR23B両方に存在する2つのUBAドメインが、各々高い親和性でユビキチン化細胞性タンパク質に結合し得る。すべての6つのGST−UBA配列は、図2に示されるように均質になるまで精製された。酵母Rad23タンパク質から調製されたGST−UBA1が、酵母、マウス、イヌおよびヒト細胞から調製されるタンパク質抽出に適用される場合、ユビキチン化タンパク質との高親和性相互作用が、全ての細胞中で観察された(図3)。
Rad23タンパク質は、構造的に区別できない2つのUBAドメイン(UBA1およびUBA2)を含む。両方のUBAドメインが、Ubと結合し得るが、これらのドメインは、特定のユビキチン化されていない調節タンパク質に対する特異性を有する(図4)。これらの特徴が、個々のUBAドメインの結合特性からわずかに異なり得るので、インタクトRad23タンパク質中の2つのUBAドメインの三次元配置は、さらなる特異性に貢献する可能性がある。
特異的なUBA親和性試薬の使用について、調節タンパク質およびユビキチン化タンパク質の異なるセットが、単離され得る。これは、図5に示されたように、ストレス誘導条件の存在しない場合、インタクトなRad23タンパク質が100より多い細胞タンパク質に結合するので、重要な制約であり、これは、異なるUBAドメインを使用することによって、相互作用因子のセットを細分(refine)するために有用である。
特定のUBAドメインが、図4に示したように、ユビキチン化調節タンパク質および非ユビキチン化調節タンパク質の両方と結合し得る。タンパク質の両方のクラスの同定を許容する特異的試薬が、作製された。
(診断方法)
本発明に従って、疾患あるいは病理を有すると疑われる、またはこれらを有することが知られる非験体より得られた脳脊髄液(CSF)、血清、血漿または尿の試験生物学的サンプルが、診断またはモニタリングに使用され得る。一つの実施形態において、コントロールサンプル(既知の健常なコントロールサンプル/被験体由来)または対応するIPSまたはサブセットの以前に決定されたコントロール参照範囲タンパク質プロファイルに対して、試験生物学的サンプル中の異常状態の存在に典型的なIPSまたはサブセットのタンパク質発現プロファイルは、異常状態の存在を示す。別の実施形態において、1つ以上の主要な指標タンパク質が異常状態を示すと同定された場合、対応するコントロールに対して、1つ以上の主要な指標タンパク質の発現の増加あるいは減少は、異常状態の存在を示す。加えて、IPS中の1つ以上の主要指標タンパク質の改変(リン酸化、アセチル化、メチル化、ADPリボシル化、ニトロシル化、脂肪酸付加および糖付加、タンパク分解性プロセシングまたはユビキチン様修飾因子との結合が挙げられるが、これらに限定されない)は、正常範囲と異なることを示し、そして異常状態を予想する。
現在までに、タンパク質プロファイリング技術が、酵母、マウス、イヌおよびヒト細胞において首尾良く試験され、そして特異的因子が十分量で単離され、それらは質量分析法で同定されている。特に、ヒト細胞におけるタンパク質発現パターンにおける組織特異的相違およびストレス誘導性の相違が、UBAアフィニティー試薬で検出された。さらに、イヌ心臓モデル系において、コントロール動物、ならびに持続性左心室肥大(LVH)を被る動物および心不全(HF)を被る動物からの心臓組織に由来するタンパク質抽出物において異なるタンパク質が検出された。本研究は、異なる量のユビキチン化タンパク質が、これらの異なる細胞状態の間、GST−UBAと結合して単離され得ることを明白に確立し(図6)、タンパク質プロファイリング仮説を証明した。同様の結果は、紫外線により誘導されるDNA損傷に曝露させたヒト乳癌細胞において認められ(図7)、ストレス後のタンパク質発現における相違が検出され得ることを確認した。
本願で同定されるUBA試薬が、細胞増殖の相違をモニタリングするための強力な新しいツールを示すことが想定される。この点を説明するため、ヒト細胞タンパク質をUBAアフィニティー試薬で単離し、そして質量分析法で同定するために十分量で精製した。ヒトRad23タンパク質に由来するGST−UBAアフィニティー試薬は、非常に高いアフィニティーで、ヒト乳癌細胞中の細胞骨格タンパク質の大きいセットに結合する(図8)。対照的に、豊富なハウスキーピングタンパク質(アルコールデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼが挙げられる)は、検出されず、このことは、細胞骨格とタンパク質GST−UBAの間の相互作用が特異的であることを示した。すべての単離された因子は、よく特徴付けられた細胞骨格の成分であり、細胞構造および細胞接着の両方に必要である。悪性細胞の急速な増殖およびそれらの付随する細胞接着性の損失は、直接細胞骨格に関連していることがよく確立されている。従って、GST−UBA試薬は、細胞骨格成分の発現プロファイルのモニタリングにより細胞増殖における変化をモニタリングするためのツールを提供する。従って、この系は、予定外の細胞増殖に向けられた細胞傾向の初期指示薬として有効であることを証明し得る。
さらに、低い結合アフィニティーを有するユビキチン結合タンパク質が容易に同定され得るような方法を微調整することが本発明の目的である。これは、細胞のタンパク質抽出物を様々なGST−UBAマトリックスで予備洗浄することで達成され得る。従って、GST−UBAと結合するより大量の因子、または高い結合アフィニティーを有する因子が最初にGST−UBA1に結合され得、そして除去され得る。次いで、吸着後の上清(おそらく、短いユビキチン鎖と結合したタンパク質(より弱いアフィニティー)、ならびにUBAと結合し得る非ユビキチン化制御タンパク質を含む)が単離され得る。これは、図9に示され、ここで大量の因子が除去される場合、豊富ではないタンパク質の検出が可能となる。従って、本発明に従い、予備洗浄工程は、豊富ではないタンパク質またはより低いアフィニティーのタンパク質の単離を可能にするために必要であり、この工程はまたこれらの診断価値の点において重要であり得る。
(スクリーニング法)
本発明は、異常な発現パターンを改善するように(例えば、正常なフィンガープリントにより類似する)、IPSまたはサブセットのタンパク質の発現パターンを変化させ得るような薬剤(例えば、候補組成物または試験組成物)を同定するための方法を提供する。薬剤、候補組成物または試験組成物の例としては、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物(peptidomimetic)、小分子ならびに他の薬物が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤は、以下を含む当該分野で公知であるコンビナトリアルライブラリー法において、多くのアプローチのうちいくつかを用いて得られ得る;生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ−1化合物(one−bead one− compound)」ライブラリー法;ならびにアフィニティークロマトグラフィー抽出を用いる合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定され、一方他の4つのアプローチは、化合物のペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリーまたは小分子ライブラリーに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145;米国特許第5,738,996号;および同5,807,683号、このそれぞれが、その全体が参考として本明細書中に援用される)。
本発明の別の異なる局面において、複数のGST−UBAドメインが、単離されるユビキチン化タンパク質の数を増加させるために同時に使用され得る。各々のUBAドメインは、限定された基質特異性を有するので、それらは、多数のユビキチン化タンパク質および特定の非ユビキチン化タンパク質を単離するために組み合わせて使用され得る。
本発明のなおさらなる局面において、UBA相互作用タンパク質を同定するための代替のストラテジーは、UBA含有マトリックスに結合したタンパク質の全集団をトリプシンで消化し、高速液体クロマトグラフィーによりペプチドを分解し、そして質量分析法により最終の分析を実施することによる。ユビキチン由来の配列に対応するペプチドピークは無視され、そして他の細胞タンパク質に由来するもののみが特徴付けられる。この代替のストラテジーは、脱ユビキチン化工程およびその後の2Dゲル電気泳動の必要性を排除し、そして高スループットスクリーニングのためにロボットを利用しそして自動化するための技術の適合を可能にする。
1つの実施形態において、IPS直接相互作用を通じてIPSタンパク質の発現を変更する因子は、細胞ベースのアッセイ系において同定される。別の実施形態において、直接相互作用を通じてIPSタンパク質の発現を変更する因子は、無細胞アッセイ系において同定される。この実施形態に従って、ネイティブまたは組換えIPSが、候補化合物またはコントロール化合物と接触され、そしてIPSタンパク質に直接結合する候補化合物の能力が決定される。所望の場合、このアッセイは、複数の候補化合物(例えば、ライブラリー)をスクリーニングするために使用され得る。好ましくは、IPSタンパク質は、例えば、IPSタンパク質と、それを特異的に認識および結合する固定化抗体とを接触させるか、またはIPSの精製された調製物と、タンパク質を結合するよう設計された表面とを接触させることにより、最初に固定化される。IPSタンパク質は、部分的にかもしくは完全に精製され得る(例えば、部分的にかもしくは完全に他のポリペプチドを含まない)かまたは細胞溶解物の一部であり得る。さらに、IPSタンパク質のサブセットは、IPSもしくはサブセット、またはその生物学的に活性な部分、およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼのようなドメインを含む融合タンパク質であり得る。あるいは、IPSタンパク質は、当業者に周知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals;Rockford IL)を用いてビオチニル化され得る。IPSタンパク質に直接相互作用する候補化合物の能力は、当業者に公知の方法によって決定され得る。
別の実施形態において、細胞ベースのアッセイ系は、IPSタンパク質の産生もしくは分解を担うかまたはIPSタンパク質の翻訳後修飾を担うタンパク質(例えば、酵素)またはその生物学的に活性な部分の発現を調節する因子を同定するために使用され得る。一次スクリーニングにおいて、複数の化合物(例えば、ライブラリー)は、IPSタンパク質の産生、分解、または翻訳後修飾を担う化合物を同定するために、(i)IPSタンパク質、その融合構築物、またはそれらのいずれかの生物学的に活性なフラグメント、および(ii)IPSタンパク質のプロセシングを担うタンパク質を天然に発現するかまたは組換え発現する細胞と接触される。所望の場合、一次スクリーニングにおいて同定される化合物は、次いで、目的の特定のIPSタンパク質を天然にかまたは組換え発現する二次スクリーニングにおいてアッセイされ得る。IPSタンパク質の産生、分解、または翻訳後修飾を調節する候補化合物の能力は、当業者に公知の方法(フローサイトメトリ、シンチレーションアッセイ、免疫沈降、およびウェスタンブロットアッセイが挙げられるがこれらに限定されない)によって決定され得る。
別の実施形態において、IPSタンパク質の発現を調節する(すなわち、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)因子は、IPSタンパク質を発現する細胞(例えば、原核生物起源または真核生物起源の細胞)を、候補化合物またはコントロール化合物(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))と接触させ、そしてIPSタンパク質、IPSタンパク質をコードするmRNAの発現を決定することにより同定される。候補化合物の存在下での選択されたIPSタンパク質またはmRNAの発現レベルは、候補化合物の非存在下(例えば、コントロール化合物の存在下)でのIPSまたはmRNAの発現レベルと比較される。候補化合物は、次いで、この比較に基づき、IPSの発現の調節因子として同定され得る。例えば、IPSまたはmRNAの発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下で有意に大きい場合、候補化合物は、IPSまたはmRNAの発現の刺激因子として同定される。あるいは、IPSまたはmRNAの発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下で有意に小さい場合、候補化合物は、IPSまたはmRNAの発現のインヒビターとして同定される。IPSタンパク質またはそれをコードするmRNAの発現レベルは当業者に公知の方法により決定され得る。例えば、mRNAの発現は、ノザンブロット分析またはRT−PCRによってアッセイされ得、そしてタンパク質レベルは、ウェスタンブロットアッセイによってアッセイされ得る。
別の実施形態において、IPSタンパク質の活性を調節する因子は、IPSタンパク質を含む調製物またはIPSタンパク質を発現する細胞(例えば、原核生物または真核生物)を、試験化合物またはコントロール化合物と接触させ、そしてIPSタンパク質の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)試験化合物の能力を決定することにより同定される。IPSタンパク質の活性は、IPSの細胞性シグナル伝達経路(例えば、細胞内Ca2+、ジアリルグリセロール、IP3など)の誘導を検出すること、適切な基質に対する標的の触媒活性または酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(例えば、IPSに応答性であり、検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結されている調節エレメント)の誘導を検出すること、または細胞応答(例えば、細胞の分化、または細胞の増殖)を検出することにより同定される。本明細書に基づいて、当業者に公知の技術は、これらの活性を測定するために使用され得る(例えば、米国特許第5,401,639号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。次いで、候補化合物は、コントロール化合物に対する候補化合物の効果を比較することにより、IPSタンパク質の活性の調節因子として同定され得る。適切なコントロール化合物としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)および通常の生理食塩水(NS)が挙げられる。
別の実施形態において、IPSタンパク質の発現、活性、または発現と活性の両方を調節する(すなわち、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)薬剤は、動物モデルにおいて同定される。適切な動物の例としては、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌ、およびネコが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、使用される動物は、目的の疾患のモデルを表す。この実施形態に従って、試験化合物またはコントロール化合物は、適切な動物に投与(例えば、経口的、直腸的、非経口的(例えば、腹腔内または静脈内))され、そしてIPSタンパク質の発現、活性、または発現と活性の両方に対する効果が、決定される。この実施形態に従って、試験化合物またはコントロール化合物は、適切な動物に投与(例えば、経口的、直腸的、非経口的(例えば、腹腔内または静脈内))され、そしてIPSタンパク質の発現、活性、または発現と活性の両方または発現と活性の両方に対する効果が、決定される。IPSタンパク質の発現の変化は、上記に概説した方法によって評価され得る。
なお別の実施形態において、IPSタンパク質を2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイにおいて「バイトタンパク質」として使用して、他のタンパク質、および/またはRNA(IPSタンパク質に結合するか、または相互作用する)を同定する(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartelら(1993)Bio/Techniques 14:920−924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696;およびPCT公開番号WO 94/10300)。当業者が理解するように、このような結合タンパク質は、おそらく、本発明のIPSタンパク質によるシグナルの伝播に、例えば、本発明のIPSタンパク質が関与するシグナル伝達系路の上流エレメントまたは下流エレメントとしても関与する。
(実験結果)
酵母からヒトまでRad23タンパク質は、プロテアソームサブユニットRpn10/S5aに結合するUbLR23ドメイン、およびユビキチンおよびユビキチン化細胞タンパク質に結合するUBAドメインを含む。以下の実施例1は、Rad23が、ユビキチン化細胞タンパク質に結合し得ることを示す。かなり、この相互作用は、UBAドメインを必要とした。なぜなら、特定の変異体は、ユビキチン化細胞タンパク質に結合しないか、またはインビボで基質を試験しないからである。UbLR23ドメインまたは機能的UBAドメインのいずれかを欠くRad23変異体は、rad23Δrpn10Δの欠点を抑圧しないので、ユビキチン化タンパク質とプロテアソームとの相互作用はともに、Rad23機能を必要とする。Rad23の高レベルの発現は、プロテアソームにおけるユビキチン化タンパク質のレベルの劇的な増加を生じたこともまた、決定された。この興味深い知見は、ユビキチン化タンパク質とプロテアソームとのインビボでの相互作用を明らかにすることの第1の証拠である。さらに、これらの知見は、Rad23が、ユビキチン化タンパク質の、プロテアソームに存在するRpn10へのトランスロケーションを媒介することを示唆する。まとめると、これらの結果は、「シャトル因子仮説」についての反論し得ない支持を提供し、ここで、UbLドメインおよびUBAドメインを含むRad23および他のタンパク質(例えば、Dsk2(Bigginsら(1996)J.Cell Biol.133:1331−1346)およびDdil(Clarkeら(2001)Mol.Cell.Biol.21:1997−2007))は、プロテアソームに対してタンパク質分解基質を転座させる新規な調節因子である。
Rad23は、DAN修復タンパク質として初期に特徴付けられ、このタンパク質の修復因子Rad4(ヒトにおけるXPC)(Guzderら(1995)J.Biol.Chem.270:12973−12976;van der Spekら(1996)前出)との相互作用は、DNA損傷の部位における修復タンパク質のアセンブリを促進した(Guzderら(1998)J.Biol.Chem.273:31541−31546;Jansenら(1998)J.Biol.Chem.273:33111−33114)。Rad23のアミノ末端におけるユビキチン様(UbL)ドメインの発見は、潜在的なタンパク質分解機能を示唆した。これは特に、完全な機能性が、UbLR23が、ユビキチン(Ub)(Watkinsら(1993)Mol.Cell.Biol.13:7757−7765)によって置換された場合に達成されたからである。本発明者らは、Rad23は、そのUbLR23ドメインを介して触媒的に活性なプロテアソームと相互作用したことを以前に報告した(Schauberら(1998)前出)。酵母Rad23におけるUbLR23の喪失は、DNA損傷に対する感受性を生じ、このことは、プロテアソーム相互作用が、DNA修復の間に重要であることを示す。しかし、Rad23/プロテアソーム相互作用が、NERの間のタンパク質分解事象を媒介するか否かは不明である(Gilletteら(2001)Genes Dev.15:1528−1539;Russellら(1999)Mol.Cell 3:687−695)。Rad23/プロテアソーム相互作用は、DNA修復の間に非タンパク質分解機能に関与することが考えられるが、幾つかの一連の証拠は、タンパク質分解においての役割を予想する。本発明者らの研究、ならびに他の報告は、Rad23は、Ubに結合し得(Bertolaetら(2001)前出; Chenら(2001)前出)、基質連結多重Ub鎖のアセンブリを調節し得(Ortolanら(2000)前出)、そしてインビボでタンパク質の安定性を制御し得る(Clarkeら(2001)Mol.Cell.Biol.21:1997−2007)。さらに、Rad23は、インビトロで多重Ub鎖に結合することが最近報告された(Wilkinsonら(2001)Nat.Cell Biol.3:939−943)。別の研究は、Rad23は、Rad4の安定性を制御し得ることを提唱した(Arakiら(2001)J.Biol Chem.276:18665−18672)。このことは、本発明者らが、Rad4−HAが、幾つかのクロマトグラフィー工程の後に、Rad23および26Sプロテアソームとともに同時精製され得ることを以前に示したことから、興味深い(Schauberら(19998)前出)。
高レベルのRad23の発現は、酵母細胞において、ユビキチン化タンパク質の集積を生じた。Rad23におけるUBAドメインは、インビボでのユビキチン化細胞タンパク質との相互作用を媒介し、そしてユビキチン化タンパク質に結合し得ない変異体は、生化学的欠陥および生理学的欠陥を呈した。Rad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用は、DNA損傷後に一時的に増加し、そしてこれらのユビキチン化タンパク質は、時間経過ともに、より高分子量の誘導体に変換した。対照的に、プロテアソーム(ΔUbLrad23)に結合し得ないRad23変異体は、ユビキチン化タンパク質との持続的な相互作用を形成し、より高分子量の結合体の形成の増加は見られなかった。この結果の1つの解釈としては、幾つかの基質について、多重Ub鎖の完全アセンブリは、プロテアソームとの相互作用を必要とし得るということである。
Rad23は、多重Ub鎖と結合するプロテアソームにおけるサブユニットである(van Nockerら(1996)Mol.Cell.Biol.16:6020−6028)、Rpn10(Lambertsonら(1999)前述)と重複する役割を行う。ユビキチン化タンパク質と結合できないRad23変異体は、インビボで試験基質を安定化することも、rad23 rpn10のタンパク質分解および増殖欠損を抑制することもできない。以前のインビトロ解析と一致して、本発明者らは、Rpn10が、インビボでユビキチン化タンパク質と相互作用すること、およびさらには、Rad23と特異的相互作用を形成することを見つけた。Rad23およびRpn10は、異なったUb結合ドメインを包含し、多重Ub鎖における構造的に独特の特徴と相互作用する傾向にある。本発明者らは以前に、Rad23が、短い、基質に結合する多重Ub鎖と結合し得ることを示し、およびここで示される結果が、Rad23はまた、より長い多重Ub鎖を包含する基質とも結合することを示す。長い多重Ub鎖における遠位のUb成分は、厳密に充填されておらず、短い基質に結合する多重Ub鎖と類似し得る(Cookら(1992)J.Biol.Chem.267:16467−16471)。これに対して、Rpn10は、長い多重Ub鎖における、Ub成分の充填の後に産生される疎水性斑を認識する(Bealら(1998)Biochem.37:2925−2934;Throwerら(2000)前述)。Rad23と多重Ub鎖の間の相互作用は、インビトロおよびインビボデータに一貫して(Ortolanら(2000)前述)、Ub特異的プロテアーゼによる分解を防ぎ得、その結果その基質の一過性の安定化を生じさせ得る。プロテアソ−ム中のRpn10へのユビキチン化基質の引き続く送達は、分解を開始し得る。これらの結果は、多重Ub鎖にある異なった領域を認識することによって、Rad23およびRpn10がタンパク質分解基質と同時に結合するという考えと一致する。
Rad23とRpn10の間の重複する遺伝的相互作用は、それらの両方がプロテオソームへのタンパク質分解基質の送達に影響し得ることを示唆した。生物学的研究が、Rpn10およびRad23が共に、インビトロで多重Ub鎖と結合し得、インビボでユビキチン化タンパク質と結合し得、そしてプロテアソ−ムと相互作用し得る(Deverauxら(1994)前述;Glickmanら;(1998)Mol.Cell.Biol.18:3149−3162;Schauberら(1998)前述)。これらの結果および他の結果(Hiyamaら(1999)J.Biol.Chem.274:28019−28025)と一致して、本発明者らは、Rad23およびRpn10が相互作用すると決定した。しかしながら、Hiyamaら(1999)の研究(前述)と比べて、本発明者らは、UbLドメインが、Rad23/Rpn10の相互作用に不可欠ではなく、基質に結合する多重Ub鎖がこれら2つのタンパク質の間の相互作用を架橋し得ることを示唆する。
プロテアソ−ムへの基質の送達におけるRad23およびRpn10の役割を調べるために、本発明者らは、20Sコア粒子(Pre1−Flag)中に存在するサブユニットを用いて、rpn10からおよび野生型細胞からプロテアソ−ムを免疫沈降させた。低レベルのユビキチン化タンパク質が、野生型株からプロテアソ−ムと共に共沈された。対照的に、多重Ub鎖との相互作用に一致して、かなり低レベルのユビキチン化タンパク質が、rpn10から分離されるプロテアソ−ムにおいて検出された。プロテアソ−ム関連ユビキチン化タンパク質のレベルは、Rad23が過剰発現するとき劇的に増加し、Rad23がプロテアソ−ムへ基質を送達するという考えを支持する。重要なことには、これらのユビキチン化タンパク質が、プロテアソ−ムと共に精製され得ないが、rpn10におけるRad23の過剰発現の結果、非常に高レベルの細胞内ユビキチン化タンパク質の蓄積が生じた。これらの結果の適切な解釈は、過剰の遊離Rad23がプロテオソームと相互作用し得、基質結合型Rad23への接近を防ぎ得ることである。その結果、ユビキチン化細胞内タンパク質は、残りがRad23と相関して分離し、プロテアソ−ムへ送達され得ない。この結論と一致して、本発明者らは、Rad23がrpn10において過剰発現されるとき、ずっと高レベルのユビキチン化タンパク質が蓄積することを見つけた。正常な条件下で、Rad23/プロテアソ−ム相互作用は、プロテアソ−ム結合E3(Xieら(2000)前述)およびE2因子(Tongaonkarら(2000)Mol.Cell.Biol.20:4691−4698)によって、さらにユビキチン化を開始するために、基質をRpn10に移行させ得る。ユビキチン化した基質をプロテオソームに効率的に移行させることができないことは、rad23 rpn10の多面発現増殖およびタンパク質分解欠損の根底にあり得る。
要するに、これらの発見は、プロテオソームがマルチユビキチン基質を認識するという、インビボでの初めの証拠を提供する。本発明者らの発見は、タンパク質分解基質のプロテアソームへのトランスロケーションにおけるUbLR23およびUBAドメインの両方にとって重要な役割を支持する。Rad23は、UbLドメインおよびUBAドメインの両方を含む他のタンパク質と重複する役割を行う(Ddi1(Clarkeら(2001)前述)およびDsk2(Bigginsら(1996)J.Cell.Biol.133:1331−1346)ので、このクラスのタンパク質は基質をプロテアソ−ムへ送達する新規のレギュレーターをコードすると考えられている。本発明者のRad23機能に対する今までの理解は、Rad23(ならびにUbLドメインおよびUBAドメインの両方を含む他のタンパク質)が、タンパク質分解基質をプロテアソ−ムにトランスロケ−トする「シャトルファクター」であるという単純モデルによって表され得る(図1)。「シャトルファクター」モデルと一致して、本発明者らは、Rad4がRad23および26sプロテアソ−ムを共沈さることを以前に示した。Png1のプロテアソ−ムへのトランスロケーションは、このタンパク質が分解のための基質であるかどうか明らかではないが、Rad23(Suzukiら(2001)J.Biol.Chem.275:21601−21607)を必要とすることが報告された。最近の研究は、Rad23が細胞周期レギュレーターPds1(Bertolaetら(2001)前述;(Clarkeら(2001)前述)の量を制御しうることを示した。Pds1レベルを制御できないことは、ある意味でrad23 rpn10のG2−>M−期遷移欠損を説明し得る。
実施例2は、単一アフィニティー工程に続いてユビキチン化タンパク質を単離して回復するために、特異的ユビキチン結合タンパク質、組み換えヒトRad23の使用を確認するさらなる実施例を示す。
次の実施例は、本発明をどのように作製し、使用するかについて完全な公示および記載を当業者に提供するために行われ、この実施例は、本発明者がそれらの発明とみなす範囲を制限する意図はない。使用される数(例えば、量や温度など)に関して正確性を保証するための努力が行われたが、幾らかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。他に示さない限り、部は重量部であり、分子量は平均的分子量であり、温度は(℃(摂氏度))であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
(実施例1.材料および方法)
(酵母株およびプラスミド)bar1Δ変異体は、一倍体の酵母株JD47−13C(Dr.J.Dohmenにより提供)(JD47−13C:MATa his3−Δ200trp1−Δ63 lys2−801 ura3−52 leu2−112)中で、プラスミドpJGSST1を用いて構築された。酵母RAD23遺伝子は、プラスミドpDG28(Dr.R.D.Gietzにより享受)を用いて、JD47−13C中で欠失された。KMY1188はこのrad23Δ株のFOA抵抗性誘導体である。Flag−Rad23をコードするプラスミド、およびGSTセットのRad23融合タンパク質は以前に前述している(例えば、Arakiら(2001)J.Biol.Chem.276:18665−18672を参照のこと)。
(タンパク質および免疫学的方法) パルス追跡(pulse−chase)およびイムノブロット実験が、基本的に本明細書中に前述されるようにおこなわれた(Ortolanら(2000)Nat.Cell Biol.2:601−608およびClarkeら(2001)Mol.Cell.Bio.21:1997−2007,共に本明細書中で参考として援用する)。
簡潔に言えば、対数増殖期の酵母細胞(A600=1で約30ml容量)が洗浄され、250μCi35S−Met+35S−Cysを有する標識緩衝液中で懸濁され、30℃で5分間インキュベートされた。ラジオアイソトープの取り込みは、その細胞を0.5mg/mlのシクロへキシミドおよび過剰な非標識メチオニンおよびシステインを有する培養液中で懸濁させることで停止された。間隔をおいて一部を取り出し、液体窒素中で凍結させた。全ての時点で収集された後、0.5mmの酸性洗浄ガラスビーズが添加され、細胞はボルテックスによって溶解された。TCA不溶性物質中への35S標識の組み込みは、シンチレーションカウンティングによって決定され、等量のタンパク質が等容量に調整され、特異的抗体と共にインキュベートされた。免疫沈降は、代表的には、一定に回転させながら、4℃、3時間行われた。結合タンパク質は洗浄され、SDSサンプルバッファー中で再懸濁され、煮沸されそして10%SDS包含ポリアクリルアミドゲル中で分解された。分離したタンパク質は、Hoeferセミドライ式転写装置を用いてニトロセルロース膜に転写され、5%ミルク粉末でブロッキングされた。βーガラクドシダーゼに対する抗体は、Promega Inc,(Madison,Wisconsin)から購入した。抗Flag抗体、抗Ub抗体および抗GST抗体は、Sigma Chemical Co(St.Louis,Missouri)から購入した。GST−Rad23に対する抗体は、Pocono Rabbit Co.によって調製された。イムノブロット検出のために、増大した化学発光キットがDupont/NENから購入された。プロテイン−A セファロースは、Kendrick Laboratories(Cambridge,MA)から、およびGST−セファロースはAmersham/Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ)から購入された。結果はKodak1D−3.5ソフトエアを用いて定量された。
(細胞周期分析) 酵母bar1−1変異細胞が10ng/mlα−因子(Sigma)の添加によって停止された。停止効率は顕微鏡下で決定され、95%より多い細胞がG1で停止した後、その細胞は有糸分裂増殖を再回するためにαー因子を欠く新鮮培地中で再懸濁された。再懸濁後直ぐに、培養液の一部が取り出され、200μCi35S−メチオニン+35S−システインを有する標識緩衝液中に5分間懸濁された。さらに、35S標識のさらなる取り込みは、シクロへキシミドの添加によって決定され、その細胞はさらに60分間(追跡(chase))、インキュベートされた。等容量のアリコートが、追跡中に、各々0分、10分および60分後に取り出されて、液体窒素中で凍結された。同様のパルス追跡実験が30分間隔で行われ、細胞周期の間さらに5回行われた。等量のトリクロロ酢酸(TCA)不溶性物質が元のRad23およびSDS/PAGEによって分離された沈殿タンパク質に対する抗体と反応され、ニトロセルロースに転写され、X線フィルムに感光された。同じフィルターが次に、ユビキチンに対する抗体とインキュベートされ、増強化学発光によって検出された。
(RAD23変異体の構築) UBAを欠失するために、または酵母のRAD23のUBAドメインおよびUBAドメインにおける変異体を産生するために、DNAオリゴヌクレオチドが合成された。RAD23の5’末端および3’末端に相補的なオリゴヌクレオチドは、酵母発現用のFlagエピトープを含むベクターへクローニングするためのEcoR1およびKpn1 DNA制限酵素切断部位を包含した。しかしながら、E.coli中における同じRAD23対立遺伝子の発現用に、本発明者らは、5’末端および3’末端にNco1およびBamH1 DNA制限酵素切断部位を包含するオリゴヌクレオチドでDNAを増幅し、pET11d(Novogen,Inc)中でDNAをクローニングした。UBA変異体を産生するために使用されるオリゴヌクレオチドは下記に示されており、変異遺伝子は、確認のためにDNA配列決定された。UBAの欠失を産生するために使用されるプライマーは、以前に記載されている(Ortolanら(2000)前述):#461:5’−GAATATGCACTGATGGGTATTCCAG−3’(配列番号1)#462:5’−GAATACCCATCAGTGCATATTCCACCGC−3’(配列番号2);#470:5’−GCGGATCCTCAGTCGGCATGATCGCTGAATGCGATATTTGCTGCA−.GC−3’(配列番号3)。
(結果)
(Rad23は、ユビキチン化タンパク質に結合する) Rad23の高レベル発現は、酵母細胞におけるユビキチン化されたタンパク質の蓄積を導く。類似の条件において増殖したコントロール株、または過剰発現したRpn10は、この効果を示さなかった。以前の研究は、Rad23が、フリーのユビキチン(Ub)に結合し得たことを示した(Bertolaetら(2001)Nat.Struct.Biol.8:417〜422;Chenら(2001)EMBO Rep 2)が、その天然の標的がユビキチン化タンパク質を示すことが予想された。高分子量のユビキチン化タンパク質の蓄積により、本発明者は、それらがRad23に結合されたか否かを決定した。
グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)−Rad23融合タンパク質のセットを、ユビキチン化タンパク質との相互作用を特徴付けるために、酵母細胞(Schauberら,(1998)Nature 391:715〜718)から精製した。等量の抽出物を、グルタチオンセファロースとともにインキュベートし、そしてGST融合タンパク質と結合したタンパク質を、Ubに対する抗体を用いた免疫ブロットで試験した。全長Rad23およびN末端のユビキチン様ドメイン(ΔUbLrad23)を欠損する変異体の両方とも、ユビキチン化タンパク質との強い相互作用を形成した。対照的に、GSTドメイン単独もUbLR23ドメイン単独のいずれも、ユビキチン化タンパク質との検出可能な相互作用を形成しなかった。UbLR23は、プロテアソーム(ユビキチン化タンパク質と結合する)と相互作用し得るが、これらの結果は、ユビキチン化基質は、迅速に分解されることに起因して、プロテアソームとの結合において通常検出されないことを示唆する(結果は示されない)。
(Rad23中のUBAドメインは、ユビキチン化タンパク質との相互作用を媒介する) Rad23(van der Spekら(1996)Genomics 31:20〜27)中のユビキチン結合ドメイン(UBA)(Hofmanら(1996)Trends Bio.Sci.21:172〜173)および他のタンパク質は、Ubに結合する(Bertolaetら(2001)前出;Chenら(2001)前出)が、それらがユビキチン化タンパク質にインビボで結合するか否かは、未知であった。この可能性を考察するために、本発明者らは、以前に記載された研究(Bertolaetら(2001))に基づいたRad23変異体のセットを生成した。本発明者らは、Ubとの相互作用を防ぐためにUBAを欠損するか、または各UBAドメインにおける単一のアミノ酸置換を含むRad23変異体を構築した。各誘導体は、酵母細胞からの迅速な精製を促進するためにアミノ末端Flagエピトープとともに発現された。Flag−Rad23は、ネイティブタンパク質と機能上置換し得る。上記の結果に一致して、ユビキチン化タンパク質は、Flag−Rad23とともに効率的に共精製された。しかし、UBA(L183A;rad23uba1)における単一のアミノ酸置換は、回収されたユビキチン化タンパク質の量において80%の減少を引き起こした。対照的に、UBA(L392A;rad23uba2)における類似の変異体は、結合を20%のみ減少させた。これは、以前に記載された(Bertolaetら(2001)前出;Chenら(2001)前出)Ubとのより弱い相互作用と一致する両方のUBAドメイン(rad23uba1,uba2)における変異を含むRad23変異体は、完全な欠損であり、そしてユビキチン化タンパク質との相互作用は、野生型タンパク質と比較して約1%に縮小した。UBA(rad23uba1)における単一のアミノ酸置換とは対照的に、全ドメインの欠損(rad23Δuba1;残基141〜190の除去)は、非常に重症な欠損症を引き起こし、そしてインタクトなUBAの存在にもかかわらず、ユビキチン化タンパク質との相互作用は、約1%に縮小された。Rad23中のUBAドメインは、ホモダイマーの形成に関与することが報告されている(Bertolaetら(2001a)J.Mol.Biol.313:955〜963;Bertoleatら(2001)前出)ので、それらは、タンパク質の立体配座完全性(conformational integrity)に寄与する可能性があり、そして欠損は、有意な構造的摂動(structural perturbation)を引き起こし得る。独立して折り畳まれたドメインを形成すると考えられる(Schauberら(1998)前出、および本発明者らの未公開研究)UbLR23ΔUbLrad23)の除去は、ユビキチン化タンパク質との相互作用に影響を及ぼさなかった。同じフィルターをまた、Cim5/Rpt1(プロテアソームの19S調節粒子中に存在する6つのATPaseのうちの1つ)に対する抗体とともにインキュベートした(Glickmanら(1998)Mol.Cell.Biol.18:3149〜3162)。ΔUbLrad23を除いて、全ての他のRad23誘導体は、UbLR23を含み、そしてプロテアソームと結合し得た。Rad23のヒト相対物(hHR23−AおよびhHR23−B)もまた、プロテアソームと結合し得、そして基質と結合された多重Ub鎖の集合をブロックし得る(Ortolanら(2000)Nat.Cell.Biol.2:601〜608)。酵母タンパク質との類似性をさらに評価するために、本発明者らは、酵母中でGST−hHR23−Bを発現させ、そしてこれが、インビボでユビキチン化タンパク質と結合し得ることを見出した。Ubの配列および構造は、酵母およびヒトにおいて実質上同一であるので、これらの結果は、Rad23タンパク質中のUBAドメインが、ユビキチン化タンパク質との結合において進化的に保存された役割を果たすことを示唆した。このタンパク質およびそのヒト相対物S5aが、未結合の多重Ub鎖とインビトロで結合することが示された(Deverauxら(1994)J.Biol.Chem.269:7059〜7061;van Nockerら(1996)Mol.Cell.Biol.16:6020〜6028)ので、本発明者らはまた、Rpn10がインビボでユビキチン化タンパク質と結合し得るか否かを調査した。インビトロの結果に一致して、本発明者らは、Flag−Rpn10が酵母細胞においてユビキチン化タンパク質と結合し得ることを見出した。
(UBA変異体は、インビボで基質を安定化できない) 次に本発明者らは、UBAドメインにおける変異がRad23の生化学的特性への影響を有するか否かを調査した。第一に本発明者らは、Flag−Rad23とタンパク質分解性の基質Arg−βgalとUb−Pro−βgalの間での結合(これらの結合は、プロテアソームによってユビキチン化され、そして分解される)を測定した(2;Varshavsky(1997)Trends Biochem.Sci.22;383〜387)。Flag−Rad23は、ユビキチン化Ub−Pro−βgalおよびArg−βgalを共免疫沈降し得たが、Met−βgal(分解のための標的ではない)を共免疫沈降し得なかった。対照的に、UBAドメインに変異を含むRad23誘導体は、ユビキチン化細胞性タンパク質と相互作用する能力と比例して、これらの基質との結合における様々な程度を減ぜられた。次の実験で、Flag−rad23uba2およびFlag−rad23uba1 uba2変異体タンパク質の細胞性レベルは、Flag−Rad23より約3倍高く、これは、結合された基質のより高いレベルの原因である。Flag−rad23Δuba1およびFlag−rad23uba1 uba2は、Arg−βgalおよびUb−Pro−βgalと不十分に相互作用したが、Flag−rad23uba2は両方とタンパク質分解性基質との有意な相互作用を示した。
Rad23の過剰発現は、酵母細胞におけるタンパク質分解性基質の安定化を引き起こす。それゆえ、本発明者らは、Flag−rad23uba1 uba2とユビキチン化タンパク質の結合の失敗がUb−Pro−βgalの構造分解を生じることを確認するためにパルス−チェイス方法によってタンパク質の安定性を測定した。予想されるように、Ub−Pro−βgalは、効率的にユビキチン化され、そして野生型細胞中で分解された(t1/2〜7分)(結果は示されない)が、Flag−Rad23の過剰発現はUb−Pro−βgal上での多重Ub鎖の拡大を妨げ、これは強固な安定を生じた(t1/2>100分)。Flag−Rad23と対照的に、Flag−rad23uba1 uba2は、Ub−Pro−βgalの多重ユビキチン化(multi−ubiquitination)および多重分解を抑制せず(t1/2〜10分)、これは、Rad23中のUBAドメインと基質上のUb部分との間の相互作用が、タンパク質の安定性を制御するために重要であることを証明した。
(Rad23は、ユビキチン化タンパク質と一過性の相互作用を形成する) 以前の研究により、本発明者らは、Rad23がプロテアソームにタンパク質分解性基質を送達するうえで役割を果たし得ることを提唱した(Lambertsonら(1999)Genetics153:69〜79;Schauberら(1998)前出)。この考えを考察するために、さらに本発明者らは、タイムコースアッセイにおいてRad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用を測定した。α−マッチング因子(αmating−factor)を培地に添加することによって、酵母細胞の増殖は、G1期から解放された(Maduraら(1990)Nuc.Acids.Res.18:4737〜4742)。培養は、G1停止で停止され、そしておよそ2世代の間(本発明者らが30分間隔でパルス−チェイス分析を実行する間)、同調して増殖させユビキチン化タンパク質とネイティブRad23タンパク質との間の相互作用を測定した。本発明者らは、Rad23が細胞周期を通って高分子量で35S放射性標識物質との結合を形成したことを見出した。以前に記載されたように、プロテアソームとの相互作用にも関わらず(Schauberら(1998)前出)、ネイティブのRad23は、安定である(Watkinsら(1993)Mol.Cell.Biol.13:7757〜7765)。同じフィルターを、抗Ub抗体とともにインキュベートした場合、本発明者らは、高分子種に対する強い反応を検出し、これは、Rad23がユビキチン化された細胞性タンパク質と結合するという仮説と一致する。重大なことに、Rad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用は、チェイスの間に急速に減少した。本発明者らは、この減少はRad23に結合されるユビキチン化タンパク質のプロテアソーム媒介性分解を反映することを予測する。
(Rad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用は、後のDNA損傷を増大した。) 最近の報告は、UBAドメインがRad23のDNA修復に特異的な機能のための必要とされないことを示した(Bertolaetら(2001)前出)。NERの間にRad23とプロテアソームとの間の相互作用はタンパク質分解に関与しないこともまた、提唱された(Gilletteら(2001)Gene Dev.15:1528〜1539;Russellら(1999)Mol.Cell 3:687〜695)。しかし、遺伝的な結果は、Rad23がRpn10(Lambertsonら(1999)Genetics 153:69〜79)、プロテアソーム関連多重Ub鎖結合因子(van Nockerら(1996)Mol.Cell.Biol.16:6020〜6028)と重複する役割を果たすことを示した。そのうえ、ヒトRad23中のUbLドメインは、S5a(Rpn10のヒトの相対物)と結合し得た。最近の研究は、Rad23がUbと結合し得ること(Bertolaetら(2001)前出;Chenら(2001)前出;Wilkinsonら(2001)Nat.Cell Biol.3:939〜943)、ユビキチン化タンパク質と相互作用し、そして基質と結合された多重Ub鎖の集合調節し得ること(Ortolanら(2000)Nat.Cell.Biol.2:601〜608)を示す。Rad23からのUbLR23の除去は、プロテアソームとの相互作用を妨げ(Schauberら(1998)前出)、そしてDNA損傷に対する感受性を引き起こす(Watkinsら(1993)Mol.Cell.Biol.13:7757〜7765)ので、Rad23は、その多様な生物学的活性においてタンパク質分解性の役割を実行する可能性がある。
NERとタンパク分解との間の関連を調査するために、本発明者らは、DNA損傷後の、ユビキチン化タンパク質とのRad23相互作用を試験した。活発に増殖する酵母細胞の培養物を、UV模倣薬剤4−ニトロソキノリン酸化物(4−NQO)またはα接合因子に晒した。タンパク質抽出物を、調製し、そしてFlag−Rad23を、沈殿させた。タンパク質を、SDS/PAGEによって分離し、ニトロセルロースに転写し、Ubに対する抗体と共にインキュベートした。同量のユビキチン化タンパク質を、無処理細胞およびα因子処理細胞において、Flag−Rad23に結合させた(結果は示さない)。対照的に、Rad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用は、4−NQO処理後、約2倍増加した。これらの結果の定量を、沈殿させたFlag−Rad23の量に合わせて調整した。DNA損傷の効果をさらに特徴付けするため、本発明者らは、ユビキチン化タンパク質とFlag−Rad23またはFlag−ΔUbLrad23(DNA修復における欠損を引き起こす変異体)(Watkinsら(1993)(前出))のどちらかとの間の結合を比較した。Flag−Rad23またはFlag−ΔUbLrad23のどちらかを発現する酵母細胞を、4−NQOに60分間晒し、そして次にこのDNA損傷薬剤欠損培地中に再懸濁した。培養物のアリコートを、0分、10分、30分、および60分後に回収し、そしてタンパク質抽出物を調製した。同量のタンパク質を、Flag−アガロースと共にインキュベートし、そしてRad23に結合させたユビキチン化タンパク質を、免疫ブロット法により検出した。本発明者らは、Rad23に結合させたユビキチン化タンパク質の全体量が、60分の間にわたって減少したことを見出した。興味深いことに、本発明者らは、Flag−Rad23に結合させたユビキチン化種が、インキュベーションの経過の間、より高分子量の形態に向かって再分配されることを観察した。Rad23とプロテオソームとの間の相互作用は、Cim5/Rpt1の沈澱により明らかであるように、影響を受けなかった。これらの結果とは対照的に、Flag−ΔUbLradに結合されたユビキチン化種は、より大きさが不均質であり、そして本発明者らは、より高分子量の誘導体への有意な変換を観察しなかった。予期したように、Flag−ΔUbLradは、認め得るプロテオソームとの相互作用を行わなかった。2つのパネル(BおよびEと同じフィルターである、DおよびG)を、抗Rad23抗体でプローブし、そしてFlag−Rad23およびFlag−ΔUbLradの位置を示す。基質−ユビキチン化因子が、プロテオソームにおいて存在する(Tongonkarら(2000)Mol.Cell.Biol.20:4691−4698;Vermaら(2000)Mol.Biol.Cell 11:3425−3439;Xieら(2000)Proc.Nat.Acad.Sci.(USA).97:2497−2502)ので、これらの発見は、Rad23によるタンパク分解基質のプロテオソームへのトランスロケーション後に、タンパク分解基質の完全ユビキチン化が起こり得る可能性を、増大させる。
(UBA変異体は、rad23Δrpn10Δの増殖およびタンパク分解性欠損を抑制しない。)rad23Δrpn10Δ二重変異体は、アミノ酸アナログカナバニン存在下または低温度下では増殖できない(Lambertsonら(1999)Genetics 153:69−79)。rad23Δrpn10Δはまた、タンパク分解性欠損および細胞周期のG期の期間の遅延を示した。これらの多面発現性表現型は、Rad23またはRpn10のどちらかをコードするプラスミドでの形質転換後に、完全に抑制された。Rad23/プロテオソーム相互作用はこの抑制において役割を果たしているか否かを決定するため、本発明者らは、ΔUbLrad23をrad23Δrpn10Δにおいて発現させ、そしてどの欠損を軽減することも不可能であることを見出し、Rad23機能についてのプロテオソームの相互作用の重要性を強調した。ここで本発明者らは、Rad23とユビキチン化タンパク質との間の相互作用もまた、rad23Δrpn10Δの欠損の抑制のために要求されるか否かを、調査した。本発明者らは、Flag−rad23uba1uba2をrad23Δrpn10Δにおいて発現させ、この変異体は、低温度、またはアミノ酸アナログカナバニン存在下において増殖を復元できないことを見出した(今結果は示さない)。UBAにおける変異は、Flag−rad23uba2を、30℃および23℃で充分に増殖することができるようにしたが、13℃では増殖させ得なかった(これは、ユビキチン化タンパク質との調節相互作用と一致した)。対照的に、Flag−rad23uba1uba2は、30℃、23℃および13℃でのrad23Δrpn10Δと同様に、増殖を損なわれた(ユビキチン化細胞タンパク質に結合できないことを反映する)。興味深いことに、両変異タンパク質とも、カナバニン含有培地において増殖できなかった。このことは、アミノ酸アナログによる損傷タンパク質の産生が、完全に機能するRad23タンパク質を要求することを示す。総合すると、本発明者らの遺伝的結果および生化学的結果は、Rad23の生物学的活性と、ユビキチン化タンパク質との相互作用効率との間の一致を明らかにする。
(Rad23はRpn10を結合し、そしてユビキチン化タンパク質とプロテオソームとの間の相互作用を刺激する。)Rad23およびRpn10は、異なった相互作用ドメインを通して、ユビキチン化タンパク質を結合し得(例えば、Bertoleatら(2001)(前出)を参照)、これらは、マルチ−Ub鎖における構造的に異なった特徴を認識することを示唆する。この議論を支持して、本発明者らは、1つまたは2つのUb部分のみを含むタンパク分解基質は、Rpnにとって非常に質の悪い標的である(Piotrowskiら(1997)J.Biol.Chem.272;Throwerら(2000)EMBO J.19:94−102)が、Rad23と容易に同時に免疫沈降し得る(Ortolanら(2000)(前出))ことを言及する。なお、Rpn10は、Rad23と異なり、モノ−Ubとの認め得る相互作用を示さない。その結果、Rad23およびRpn10は、基質のマルチ−Ub鎖に同時に結合し得る。
Rad23の機能ははっきりと明らかにされるべきまま残っているが、本発明者らは、Rad23が、プロテオソームへのRad23送達の制御によって、タンパク分解基質の安定性を調節し得ることを推測した(Lambertsonら(1999)(前出);Ortolanら(2000)(前出);Schauberら(1998)(前出))。Rad23とRpn10との間の遺伝的相互作用に基づき、両タンパク質は、この活性に関与するであろう。Rad23機能の魅力的なモデルは、2つのUBAドメインを通してユビキチン化タンパク質を結合する一方で、その後のプロテオソーム(UbLR23ドメインを含む)との相互作用は、タンパク分解基質のRpn10への移動を許容する。多重Ub(multi−Ub)鎖の拡張は、このタンパク質がRad23に結合される間、阻害される(インビトロおよびインビボの両方の結果と一致する)。Rad23における2つのUBAドメインの存在は、Ubへ連結されるタンパク分解基質との相互作用についての、機構的な根拠を提供する。
以前、ヒトRad23におけるUbLドメインは、S5a(酵母Rpn10の相対物)を結合し得たこと(Hiyamaら(1999)J.Biol.Chem.274:28019−28025)が報告された。Rad23は、Rpn10欠損株においてプロテオソームを結合し得る(Lambertsonら(1999)前出)が、Rpn10を含むプロテオソームにおける多様なサブユニットと相互作用し得た。なお、Rad23のUbLドメインおよびUBAドメインの両方における変異は、rad23Δrpn10Δの欠損を抑制できなかったので、Rad23がFlag−Rpn10と相互作用するか否かを、本発明者らは決定した。本発明者らは、Flag−Rpn10もまた含む酵母株において、GST、GST−Rad23、GST−ΔUbLrad23およびGST−UbLR23を発現させた。同量のタンパク質抽出物を、グルタチオン−セファロースに適用してGST融合タンパク質を沈殿させるか、またはFlag−アガロースに適用してFlag−Rpn10を沈殿させた。本発明者らは、GST−Rad23と共沈殿したFlag−Rpn10を見出し、相反実験において、GST−Rad23を、Flag−Rpn10と共精製した(結果は示さない)。興味深いことに、GST−ΔUbLrad23もまた、Flag−Rpn10との効率的な相互作用を行った。このRad23変異体はプロテオソームに結合し得ないので、Rad23およびRpn10は、プロテオソームとの相互作用前に、ユビキチン化基質に結合し得る。しかし、この興味深い知見を分析するために、さらなる研究が必要とされる。非常に低いレベルのGST−UbLR23が、Flag−Rpn10と共沈殿したが、相反実験においては、多量に検出された。Rpn10がUbLR23と直接相互作用するか否か、またはFlag−Rpn10との共沈殿が起こるか否かは、明らかでない。なぜなら、両タンパク質ともプロテオソームに結合するからである。ヒトhHR23−Bもまた、Flag−Rpn10と相互作用した。このことは予期されていた。なぜなら、本発明者らはヒトhHR23−Bが多重Ub鎖と相互作用し得たことを決定したからである。酵母Rad23とRpn10との間の相互作用は、これらの2つのタンパク質についての重複機能を明らかにした、本発明者らの遺伝子研究(Lambertsonら(1999)(前出))を支持する。
Rad23/Rpn10相互作用の重要性を特徴付けるために、本発明者らは、ユビキチン化タンパク質のプロテオソームへの標的化が影響されたか否かを調査した。本発明者らは、エピトープタグ化プロテオソームサブユニット(Pre1−Flag)を野生型細胞およびrpn10Δ細胞において発現させ、同様に、ガラクトース誘導性GAL1プロモーターからRAD23を高レベルで発現し得るプラスミドを、発現させた。プロテオソームを、Flag−アガロース上で免疫精製し、そしてSDS/PAGEによってタンパク質を分離し、ニトロセルロースに移し、そして抗Ub抗体と共にインキュベートした。低レベルのユビキチン化タンパク質を、野生型細胞から免疫精製したプロテオソームと結合させた(結果は示さない)。対照的に、はるかに低いレベルのユビキチン化細胞タンパク質を、rpn10Δから免疫精製したプロテオソーム(この多重Ub鎖結合タンパク質の非存在に起因し得る)と結合させた。あるいは、プロテオソームは、rpn10Δにおいて不安定であると報告されており(Glickmanら(1998)Cell 94:615−624)、これは、ユビキチン化基質の貧しい回収を生じるという結果となった。有意により多くの量のユビキチン化タンパク質は、Rad23を野生型細胞において過剰発現した場合に、プロテオソームと共に沈殿した。注目すべきことに、Rad23を、Rpn10欠損株において過剰発現した場合には、同様の増加は、検出されなかった。この結果により、なおさらより著しく、rpn10ΔにおけるRad23の高発現が細胞内ユビキチン化タンパク質の劇的な増加量を生じた。集合的に、本発明者らの結果は、Rad23がユビキチン化基質を結合し、そしてプロテオソームにおけるRad23のRpn10への送達を調節するという仮説を支持する。
(実施例2)
(Rad23は、インビボでユビキチン化タンパク質を結合し得る) ヒトhHR23−Bを、グルタチオンS−トランスフェラーゼへの融合体として発現させた。タンパク質抽出物を、グルタチオンセファロースに適用し、そしてGST−hHR23−Bに結合するタンパク質を、免疫ブロット法において試験した。約20kDaから200kDaより多くまでにわたる有意な反応が、抗Ub抗体に対して検出された(結果は示さない)。これらのタンパク質は、非常に堅くhHR23−Bに結合され、かつ、SDSでの処理によってのみ、解離され得た。抗Ub交差反応物質は、GSTのみを含有する第二レーンにおいて、検出されなかった。これらのデータは、ヒトRad23が、次の単一の親和性工程において回収され得るユビキチン化タンパク質を結合することを、証明した。
UbLドメインを介するプロテアソームへのRad23結合のモデルであり、多重Ub鎖がUBA配列を介して結合する。 酵母および両方のヒトRad23タンパク質由来のGST−UBAをコードする融合タンパク質を発現させ、そしてほぼ均質になるまで、E.coliから精製した。これらの構築物全てを、細胞抽出物中のユビキチン化タンパク質との相互作用について試験し、そしてほとんど等価であることを見出した。 酵母Rad23由来のGST−UBA1を、セファロースマトリックス(ポリUbアフィニティービーズ)に架橋し、そして酵母、マウス、イヌおよびヒトの細胞から調製した等量のタンパク質抽出物と共にインキュベートした。ポリUBA1に適用されたタンパク質抽出物は、種にわたって、ユビキチン化タンパク質と相互作用した。このタンパク質抽出物を、抗ユビキチン抗体を使用して、イムノブロッティングによって試験した。パネルA:酵母Saccharomyces cerevisiae由来のタンパク質抽出物を、偽(−)またはポリUbアフィニティービーズ(+)に適用した。パネルB:マウス由来のタンパク質抽出物を、偽(−)およびポリUbアフィニティービーズ(+)に適用した。パネルC:ヒト培養細胞およびイヌ組織由来の全細胞抽出物を試験した。パネルD:パネルCと同様のサンプルを、ポリUbアフィニティービーズに適用した。4個全てのフィルターを、抗ユビキチン抗体でプローブし、そして増加した化学発光によって発色させた。 Rad23の一般的なドメイン構造が示される。Rad23タンパク質は、酵母、植物、マウスおよびヒトから単離され、これらは、全て類似する。アミノ末端ユビキチン様(UbL)ドメインは、触媒活性26Sプロテアソームおよびアタキシン−3(ヒト神経変性条件Machado−Joseph Disease(MJD)における原因因子)と相互作用し得る。さらに、Rad23タンパク質は、2つのUBA配列を含み、これは、構造的に区別できない。UBA1およびUBA2の両方が、ユビキチンおよび多ユビキチン鎖を結合し得ず、UBA2のみが、ユビキチン化された他のタンパク質を結合する。この中で、タンパク質のセットは、HIV−1コードタンパク質(Vpr);タンパク質脱グリコシル化酵素(Png1);メチルアデニンデグリコシラーゼDNA修復タンパク質(MPG);および転写アダプター分子(p300)である。UBA2はまた、Pds1(DNA傷害誘導性チェックポイント、およびG1期→M期細胞周期移行の制御因子)と相互作用しそうである。 Rad23タンパク質は、精製され、その結合された因子は、2Dゲル分析によって分離され、そして銀染色で可視化された。約100のタンパク質スポットが、検出され得る。 タンパク質抽出物は、コントロールイヌ心臓組織(cont)から調製され、左心室高血圧症を罹患するイヌ(LVH)から調製され、そして心不全に罹患した動物(LVH/HF)から調製された。1次元SDS−ポリアクリルアミドゲルの左のレーンのセットは、有意によりユビキチン化されたタンパク質が、cont.抽出物と比べて、LVH抽出物およびLVH/HF抽出物においてGST−UBAを結合することを示す。免疫ブロットは、ユビキチンに対する抗体と反応され、化学蛍光の増加によって検出された。右の3レーンのセットは、ユビキチン化されたタンパク質の全レベルが、LVH細胞およびLVH/HF細胞においてわずかに増加することを示す。 ヒト乳癌細胞は、DNA損傷(UV光)に曝露され、そしてタンパク質抽出物は、GST−UBAとインキュベートされた。上のパネルは、バックグラウンドタンパク質が、親和性マトリックスにのみ存在することを示す。ゲルの真ん中の非常に多いスポットが、GST−UBAタンパク質を示し、顕著な分解生成物が主にGSTを含むことは、留意のこと。しかし、乳癌細胞抽出物とのインキュベーションの後、種々のタンパク質が、GST−UBAカラム上で検出される(丸および線によって示される)。興味をそそることに、UV光での処理は、これらの因子のいくつかのレベルの顕著な減少を生じ、このことは、ストレス条件が、インビボでのタンパク質発現プロファイルを変更し得ることを示す。 技術のバリエーションにおいて、乳癌細胞抽出物は、GST−UBAと共にインキュベートされ、細胞骨格タンパク質の大きなセットは、質量分析法によって同定された。各主要バンドの同一性は、図の右に示される。元のゲルにおいて多くのさらなるタンパク質が可溶であるが、さらなる分析に供されなかったことは留意のこと。本出願人らは、これまでに、同定された全てのタンパク質が、細胞骨格の構成要素であることは重大であり、このことは、細胞分化および細胞形質転換をモニターするための特有の機会を提供し得ると考える。 図7に示されるように、GST−UBAは、乳癌細胞からタンパク質の大きなセットを単離するために使用される(第1適用)。しかし、第1適用からの上清が、真菌のGST−UBAアフィニティーマトリックスに再適用された場合、本出願人は、非常に豊富な因子の全てが除去されたことを観察した。しかし、より少量の因子および少量の新種(矢印によって示される)が、検出された。この結果は、UBAドメインとの相互作用について、非常に豊富な因子とより少量のタンパク質との間に競合が存在することを示す。模擬反応は、右レーンに示される。

Claims (21)

  1. 生物学的サンプルのタンパク質発現プロファイルを確立するための方法であって、
    (a)生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させることにより、IPSタンパク質(指標タンパク質セット)が該ユビキチン結合タンパク質と結合する、工程;
    (b)該IPSタンパク質を単離する工程;および
    (c)該単離されたIPSタンパク質を分析する工程であって、組織または細胞についてのユビキチン化タンパク質の発現プロファイルが確立される、工程、
    を包含し、
    該ユビキチン結合タンパク質は、Rad23、Ddil1、Dsk2、アタキシン−3、p62、Rpn10、ならびに直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物からなる群より選択される、
    方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記生物学的サンプルが、末梢血、体液、組織生検、培養細胞、タンパク質抽出物、または糞便サンプルである、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記ユビキチン結合タンパク質が、直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物である、方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記ユビキチン結合タンパク質が、Rad23、Ddil1、Dsk2、アタキシン−3、p62、Rpn10、およびUBA含有タンパク質からなる群より選択される、方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、前記単離する工程(b)が、前記ユビキチン結合タンパク質(IPS)をUBAドメイン親和性マトリックスに付着することによって実施される、方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、
    脱ユビキチン化反応による前記結合したタンパク質(指標タンパク質セット)の放出をさらに包含する、方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記分析する工程(c)が、前記単離された脱ユビキチン化タンパク質(指標タンパク質セット)を高解像度二次元(2D)ゲル電気泳動に供することによって実施される、方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、前記2Dゲル電気泳動の後に、前記タンパク質の可視化が行われる、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記可視化が、硝酸銀染色を用いて達成される、方法。
  10. 請求項4に記載の方法であって、前記Rad23が、グルタチオンS−トランスフェラーゼに融合された組換えヒト融合タンパク質であり、親和性マトリックスが、グルタチオン−セファロースから構成される、方法。
  11. 請求項6に記載の方法であって、前記指標タンパク質セットの放出が、高塩条件、界面活性剤、または酵素反応への曝露による、方法。
  12. 請求項9に記載の方法であって、前記指標タンパク質セットの酵素的放出が、ユビキチン−イソペプチダーゼへの曝露による、方法。
  13. 生物学的サンプル中の疾患または病理の存在を決定するための検査方法であって、
    (a)試験生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質と接触させることにより、IPSタンパク質(指標タンパク質セット)が該ユビキチン結合タンパク質と結合する、工程;
    (b)該IPSタンパク質を単離する工程;
    (c)該単離されたIPSタンパク質を分析する工程であって、発現プロファイルが生成される、工程;および
    (d)該試験発現プロファイルをコントロール発現プロファイルと比較して、該試験プロファイルが該コントロールプロファイルと異なるか否かを決定する工程であって、該コントロールプロファイルとの差異は、疾患または病理の存在を示す、工程、
    を包含し、
    該ユビキチン結合タンパク質は、Rad23、Ddil1、Dsk2、アタキシン−3、p62、Rpn10、ならびに直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物からなる群より選択される、
    方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    (e)前記単離されたIPSタンパク質(指標タンパク質セット)をタンデム型質量分析法に供する工程、
    をさらに包含する、方法。
  15. (f)前記IPSに対する抗体またはそのサブセットに対する抗体を生成する工程;および
    (g)工程(f)において生成された抗体の選択されたセットを使用して、タンパク質チップを構築する工程、
    をさらに包含する、請求項13または14に記載の方法。
  16. 目的のサンプルについてのタンパク質プロファイルを生成するためのキットであって、
    (a)診断、予後判定、治療的モニタリングまたはこれらの適用の任意の組み合わせのためにユビキチン結合タンパク質を使用する指示、
    (b)ユビキチン結合タンパク質であって、該ユビキチン結合タンパク質は、Rad23、Ddil1、Dsk2、アタキシン−3、p62、Rpn10、ならびに直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物からなる群より選択される、ユビキチン結合タンパク質;
    (c)該結合タンパク質が固定され得る固相;および
    (d)診断用途、予後判定用途、もしくは治療用途、またはこれらの任意の組み合わせについての規制機関の認可を示す、標識または挿入物、
    を備える、キット。
  17. 前記固相が試薬片である、請求項16に記載のキット
  18. 目的の指標タンパク質セットのタンパク質プロファイルを調節可能である化合物を同定するための方法であって、
    (a)試験化合物に曝露された生物学的サンプルをユビキチン結合タンパク質に接触させることによって、IPSタンパク質(指標タンパク質セット)が該ユビキチン結合タンパク質に結合する、工程;
    (b)該IPSタンパク質(指標タンパク質セット)を単離する工程;および
    (c)該単離された指標タンパク質セットを分析する工程であって、該指標タンパク質セットの発現プロファイルに対する該試験化合物の影響が決定される、工程、
    を包含し、
    該ユビキチン結合タンパク質は、Rad23、Ddil1、Dsk2、アタキシン−3、p62、Rpn10、ならびに直列に結合されたユビキチン結合(UBA)ドメインを含む天然または人工のペプチド構築物からなる群より選択される、
    方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記化合物が、前記タンパク質プロファイルを異常から正常へと調節する、方法。
  20. 請求項16に記載のキットであって、
    前記結合タンパク質に対する標識された結合パートナー
    をさらに含み、
    該標識は放射性標識または化学発光標識である、
    キット。
  21. 請求項16に記載のキットであって、
    前記ユビキチン結合タンパク質は放射性標識または化学発光標識で標識された、
    キット。
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