JP4546944B2 - Pcm電流差動リレー - Google Patents
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Description
また、多重化タイミングは、PCM伝送装置の伝送開始により決まるため、PCM伝送装置の電源瞬断や回線切替などが発生すると伝送遅延時間も変化する。
そのために、従来のGPS時刻同期信号を使用しない場合には、伝送遅延時間が一定で、自端と相手端間の相互の伝送遅延時間が等しくなるように特別に構成されたPCM伝送装置が電流差動リレー用に適用されており、高価であった。
この問題を解決する手段としてGPS時刻同期信号を利用したPCM電流差動リレーが提案された。前記特許文献2では、GPS受信信号が正常な場合、GPS受信機からのパルス信号にサンプリング周波数を同期するようにサンプリングパルス周波数を補正している。GPS時刻同期信号が異常になる(例えば受信不良などの影響で正しく受信できなくなる)と、両端電流の差電流を零にしたり、両端電流の位相差を零にしたり、GPS信号が正常であった期間に測定した伝送遅延時間を元に補正したりして同期を確保するように構成している。
しかし、このようにGPS信号が正常の場合と異常の場合で同期処理が大幅に異なるため、処理が複雑になる。
しかも、差電流や電流位相差などの電流情報は、送電線内部故障発生時には大きく変化するので、サンプリング周波数が当該変化によって影響を受けないように、故障発生前の状態の電流情報に固定しておく必要があるため、別の故障検出手段などで系統に故障が発生していない条件を確認する必要があるなど、信頼性に欠ける問題がある。
また、電流伝送遅延時間を元に同期を採る手段では、PCM伝送装置の電源瞬断や回線切替などで遅延時間が急変するためそれ以降については、適用に問題がある。
以下この発明の実施の形態1を図1〜図3により説明する。図1はPCM電流差動リレーの構成の事例を示す図、図2はPCM伝送信号を使ったサンプリング同期処理の方法の一例を示す図、図3は具体的なサンプリング同期処理手法の一例を説明する図である。
また逆に、相手端リレーの電流は、PCM伝送装置4を介してリレー3内のPCM受信手段14によりリレーに取り込まれる。
Master端から発信されるサンプリングパルスは、GPS信号が正常受信の場合には、GPS信号に同期して発信される。
GPS信号が正常受信できない場合には、自走タイミングでサンプリングパルスが発信される。つまり、GPS信号が正常受信できない場合には、Master端から発信されるサンプリングパルスは、GPS信号が異常になる直前のサンプリングパルス発生以降は自走する。ここで、自走とは、本実施の形態の場合、リレー内部の発振器が発生する発振器クロックによる時間計測により一定周期で次のサンプリングパルスが発信されることを言う。なお、本実施の形態の場合、GPS信号が正常受信の場合でもGPS時刻同期信号は1秒周期であり1秒に1回しか得られないことから、GPS装置5からのGPS時刻同期信号が得られてから次のGPS時刻同期信号が得られまでの間は前記自走が行われる。
T1+ts=T(サンプリング周期時間)となるようにサンプリングタイミングをサンプリング信号発生手段17で制御する。
T1−Δt+ts=T (Δt=同期外れ時間)
Δt+T2+tm=T (T2=Slave端からMaster端への伝送遅延時間)
これら両式から、Δt=0となると T1+ts=T,T2+tm=Tとなる。
これから、Δt=0となると、tm−ts=T1−T2が成立する。
前記差時間tmのデータは、Master端からSlave端へのPCM伝送信号に載せて送る。tsのデータはSlave端からMaster端へのPCM伝送信号データに載せて送ることで、夫々の端でts、tmを入手でき、tm−tsをモニターできる。
このときのts、tmデータからT1−T2の互いの伝送遅延時間差が計算される。このパルス信号に続く次の1秒後のGPS時刻同期信号を受信するまで、Master端からは前記自走によるサンプリングパルスが発信される。
Master端から発信されるサンプリングパルスは、GPS時刻同期信号に同期して発信されるが、前述のようにGPS時刻同期信号は1秒周期でしか得られないため、その次のサンプリングパルスから1秒後のGPS時刻同期信号までの間は、リレー内部の発振器クロックによる時間計測で一定周期で次のサンプリングパルスが発信される。
その場合、
T1−Δt+ts=T
Δt+T2+tm=T
∴ Δt=((T1−T2)+(ts−tm))/2
となるのでΔt=0とするには
tm−ts=T1−T2 (T1−T2はGPS時刻同期信号による時刻同期時に計算された値)となるようにSlave端のサンプリングパルスの発生タイミングを制御することで実現できる。
Slave端のサンプリングパルス発信周期はリレー内部の発振器が発生する発振器クロックによる時間計測で一定周期で行われており、Master端と同期するために(即ちΔt=0にするために)サンプリングパルスの発生タイミングを時間的にシフトさせる制御あるいは操作をしている。
このようにGPS時刻同期信号による時刻同期は1秒周期、PCM伝送装置による時刻同期はPCM信号周期(1秒間に数10回)とすることで精度の高い同期が得られる。
つまり、Δt=((T1−T2)+(ts−tm))/2
=(K+(ts−tm))/2
から得られるΔtを0にするようにSlave端のサンプリング制御を行う(ステップ6)が、サンプリング同期制御は1秒間に数十回行われ、一方、GPS時刻同期信号は1秒に1回の周期であるので、GPS時刻同期信号と次のGPS時刻同期信号との間は、保存されたK値を使用して、PCM伝送信号によるサンプリング制御が実行され、また、GPS時刻同期信号が無効になった場合にも、保存されたK値を使用して、PCM伝送信号によるサンプリング制御が実行される。PCM伝送信号が一旦無効になると以降、PCM伝送信号が正常に復帰してもK=0としてMaster端のサンプリングパルスは自走(リレー内部の発振器が発振する発振器クロックによる時間計測で一定周期のサンプリングパルス発信で実行)される。
以下、この発明の実施の形態2を、図4〜図6によって説明する。図4は電流差動リレーの動作特性の事例を示す図、図5はPCM伝送信号による同期ずれによる差電流の事例を示す図、図6は具体的なサンプリング同期処理手法の他の例を説明する図である。
なお、前記最大の伝送遅延差(伝送遅延時間差)は、伝送遅延時間差T1−T2の最大値である。PCM伝送装置の電源瞬断などの場合、伝送遅延時間が変化するが、その変化を考慮して、前記最大の伝送遅延差(伝送遅延時間差)は、T1(最大伝送遅延時間)−T2(最小伝送遅延時間)で計算される。この最大の伝送遅延差(伝送遅延時間差)は、適用される装置・伝送システムによって異なる値となるが、例えば、64kbpsの伝送装置では最大500μs程度である。
Id > a x Ires + b --------式(1)
Id > K1 x Ires --------式(2)
Id > c x Ires + d ---------式(3)
で表される。
ここで式(1)はIresが小さい電流領域の場合で、感度を上げるために比率は小さく設定されている(例えばa=0.1)。
式(3)は故障電流が大きいIres領域でCT飽和による誤動作を防ぐために比率を大きくしている(例えば、c=1)。
式(2)はその中間の電流領域で通常(K1=0.2〜0.3程度)に設定されている。
θ= (|T1−T2|)x180°/Fn 、ここでFn=1サイクルの周期
差電流Idは、図5より Id=2I x sin(θ/2),Ires=2I
従って、この差電流は図4上の比率特性としては、Id=( sin(θ/2))xIres
に相当するので、動作特性はこの比率直線より余裕を持って設定する(K2値)必要がある。ここで、PCM伝送装置によって決まる最大の伝送遅延時間差による両端の位相角のずれをθmaxとすると
K2 > sin(θmax/2)
にすることで誤動作を防ぐことができる。
従って、GPS時刻同期信号による同期処理やK値が有効な場合のPCM信号による同期処理が実行される通常状態の場合、式(2)の特性のところ、前記GPS時刻同期信号およびK値の無効時の場合には式(2)を自動的に
Id =(K1+sin(θmax/2)) xIres
に変更させる。
以下、この発明の実施の形態3を、具体的なサンプリング同期処理手法の更に他の例を説明する図よって説明する。
前述の実施の形態1や2では、GPS時刻同期信号が有効な場合に計測されるtm,tsを使って計算されるK値(tm−ts)をその都度K値として保存していたが、実施の形態3では、計測されたK値がある一定の期間Tにおける安定性を確認(図7におけるステップST08を参照。一定時間Tの間の最大K値と最小K値がある設定される値ε1未満に収まることをことを確認することで安定性を見る)して、その間のデータの最大K値と最小K値との平均値をK値として使用する(図7におけるステップST09を参照)。このK値を使用してPCM伝送信号による同期処理を実行することで、より安定したK値を得ることができ、GPS時刻同期信号が無効になった場合におけるK値に適用できるようにしたものである。このようにすれば、伝送遅延時間が変動幅を監視してその変動幅がリレー特性に影響のない範囲に対してのみK値が設定されるのでより誤動作に対して信頼性のあるリレーを実現することができるという効果がある。
3 PCM電流差動リレー、 4 PCM伝送装置、
5 GPS装置、 11 AD変換手段、
12 演算回路、 13 PCM送信手段、
14 PCM受信手段、 15 GPS受信手段、
16 同期手段、 17 サンプリング信号発生手段、
18 出力回路。
Claims (6)
- 電力送電線の保護対象領域の両端に設置されたリレーの電流情報をPCM信号により互いに送受信するPCM電流差動リレーにおいて、
前記両端のリレーの各々にGPS受信機を設けると共に、前記GPS受信機からのGPS時刻同期信号に同期させて相手端へ自端情報をPCM信号で送信する手段を有し、
前記両端のリレーの少なくとも一方に、相手端から前記PCM信号を受信した時刻と前記GPS時刻同期信号の時刻との時間差T1を計測する手段と、前記相手端から前記PCM信号を受信した時刻と次のPCMサンプリング信号時刻との時間差tsを計測する手段とを有し、
当該PCMサンプリング信号の前記GPS時刻同期信号との同期ずれΔtが、前記時間差T1と前記時間差tsとから計測され、当該同期ずれΔtが記録手段に記録され、当該記録された同期ずれに基づいて前記同期ずれΔtを無くす方向にサンプリングパルスの発生タイミングをシフトしてPCMサンプリング同期処理が行われる
ことを特徴とするPCM電流差動リレー。 - 請求項1に記載のPCM電流差動リレーにおいて、前記GPS時刻同期信号との同期ずれΔtの計測は1秒間隔で実行され、前記記録された同期ずれに基づくPCMサンプリング同期処理は、1秒間に複数回実行されることを特徴とするPCM電流差動リレー。
- 請求項1または請求項2において、前記GPS受信機からの前記時刻同期信号及び前記PCM信号が共に有効でない場合は、リレー動作領域が変更されリレー動作感度が下げられることを特徴とするPCM電流差動リレー。
- 電力送電線の保護対象領域の両端に設置されたリレーの電流情報をPCM信号により互いに送受信するPCM電流差動リレーにおいて、
前記両端のリレーの各々にGPS受信機を設けると共に、前記GPS受信機からのGPS時刻同期信号に同期させて相手端へ自端情報をPCM信号で送信する手段を有し、
前記両端のリレーの各々においてGPS受信機からのGPS時刻同期信号に同期させて相手端へ信号送信した信号を受信した時刻と次のサンプリング信号との時間差tm,tsが計測され、これら各リレーにおける時間差tm,tsの差(tm−ts)が記録手段に記録され、当該記録された差(tm−ts)に基づいて同期ずれを無くす方向にPCMサンプリング同期処理が行われる
ことを特徴とするPCM電流差動リレー。 - 請求項4において、前記GPS受信機からの前記時刻同期信号及び前記PCM信号が共に有効でない場合は、リレー動作領域が変更されリレー動作感度が下げられることを特徴とするPCM電流差動リレー。
- 請求項1〜5の何れか一において、所定期間における同期ずれの平均値が求められ、この同期ずれの平均値が記録部に記録され、この記録された同期ずれの平均値に基づいて同期ずれを無くす方向にPCMサンプリング同期処理が行われることを特徴とするPCM電流差動リレー。
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