JP4546500B2 - パターン計測方法及びパターン計測装置、並びにパターン工程制御方法 - Google Patents

パターン計測方法及びパターン計測装置、並びにパターン工程制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、パターン検査技術に係り、特に、走査型顕微鏡等を用いた非破壊計測により微細パターンのパターン形状を計測する技術に関する。
近年の半導体製造プロセスでは、パターン微細化に伴い、その形状のわずかな劣化をも観測し定量化することが必要になってきている。リソグラフィ工程においては、理想的なレジストパターンのエッジはウエハ面と垂直になるが、実際にはテーパ、逆テーパ、表面部分のみが張り出した庇形(T字型、いわゆるティートップ)といった形状になったりする。
このような断面形状を定量的に評価し、異常を検出する目的は2つある。
第一に、断面形状異常が出現した場合そのまま見過ごして加工すると、不良製品となる可能性が高い。例えばパターンがテーパ状であると、エッジでエッチングやイオン打ちこみに対する強度が不足するために断線などの不良が生じる。また逆テーパやティートップであると上空観察時、表面近傍にさえぎられて、正確な寸法測定ができない。またエッチングでもレジストパターンの表面近傍が残っている時(エッチング初期)と残っていない時とでイオンやラジカルにさらされる領域が異なるため、仕上がりの寸法予測ができない。従って、不良パターンを早い段階で検出し歩留まりを向上させるために、断面形状を定量的に評価する検査方法が必要である。
第二に、断面形状異常の程度を測定することによって露光条件の最適値からのずれを定量的に推測することができる。露光時のフォーカスあるいは露光量が最適値からずれていた場合パターンは不良パターンとなるが、寸法測定だけでは問題が露光量にあるのかあるいはフォーカスにあるのか、またそれらが正負いずれにずれたためなのかは分からない。しかし、フォーカスがずれた場合にはテーパ形状が現れることが多く、そのテーパ傾向とフォーカスのずれとは相関がある。そこで露光量やフォーカスのずれと断面形状との対応を定量的に把握しておけば、ウエハ上のパターンの観察像から露光条件をどのように修正すればよいかを判断できる。
パターン観察の有力な手段である測長機能を有する走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、断面形状を計測する方法はこれまでにも提案されている。例えば特開平07−027549号公報には、従来のSEMよりも照射電子線のエネルギーを高くすることによって、上空観察では隠れてしまっていた部分からも多くの二次電子を発生させ、その形状を得るという方法が述べられている。この手法では逆テーパ形状の計測ができる。しかし、以下に述べるような短所を有する。
第一に、0.10μm以降の微細加工に用いられるArFレジストでは、高いエネルギーの電子線照射によるパターンの縮みが観測されており、この方法は適さない。第二に、ArFレジスト以外のパターンの観察でも高いエネルギーの電子線を使用するとチャージアップが増大する恐れがある。第三に、パターンを構成する物質の平均原子番号が近いとコントラストが得られない。
また、反射電子や二次電子を、その放出される方向によって分類して検出し、その結果から立体的な構造を予測するという手段が特開平11−297264号公報に述べられているが、この方法では検出器が試料表面に近いため信号強度がノイズに比べて小さいという欠点がある。また、逆テーパ傾向は検出できない。
最近では、照射する電子線を傾けてパターン側面を観察できるSEMが開発されているが、この方法を使うとしても結局は得られている画像のエッジが垂直かどうかの判定が必要になる。
次に、上空写真から断面形状を予測する画像処理方法としては、例えば特開平08−014836号公報に述べられている方法や特開2000−269112号公報に述べられている方法がある。これらの方法ではSEM画像内でパターンエッジに垂直な方向の二次電子強度の分布、いわゆるプロファイルを分析している。前者では複数個のしきい値で寸法測定を行い、また後者ではプロファイルが下地領域に向かって裾をひく様子を二次曲線で近似するという方法で、いずれも順テーパ傾向を把握することが可能になる。しかし、これらの方法ではエッジが垂直でもパターンの表面近傍が丸くなっているとテーパとの区別が難しくなる場合があり、また逆テーパの傾向を検出することは不可能である。
他には、例えば「プロシーディングズ オブ アイ・イー・イー・イー エス・イー・エム・アイ アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング・コンファレンス」(Proc. IEEE/SEMI Advanced Semiconductor Manufacturing Conference (1998), pp259-261 )や特開平02−91504号公報に述べられているように、パターンエッジ近傍に相当する二次電子強度の大きい部分に注目し、その領域の幅を測定することによって順テーパ傾向を評価するという方法もある。しかし、この方法では、垂直なエッジであっても側面にラフネスがある場合の幅の広がりと順テーパによる幅の広がりが区別できない。逆テーパ傾向も評価できない。
このような理由から断面形状を正しく把握するためには、従来、パターンを割ってその断面を電子顕微鏡で直接観測してきた。しかし、これは破壊検査である。またウエハ上で観測したい箇所を正確に割るのは徒手では不可能なため、1mm以上の領域に渡るパターンを転写してその範囲内に見当をつけてウエハを割ったり、SEM観察と同時にイオンビームによる切断を行ったりする必要がある。
これに対して、近年Scatterometryという方法が開発されている。この方法は、例として、「プロシーディングズ オブ エス・ピー・アイ・イー」(Proceedings of SPIE 3998(2000), pp147-157)に詳しく述べられており、ラインアンドスペースパターンに光を照射してその散乱光のスペクトルを計測し、スペクトルの特徴によりライン幅やピッチ、さらにはラインエッジのテーパや角の丸みなどの情報を得るというものである。これは非破壊検査であり、かつ、電子顕微鏡に比べて簡便なシステムで行うことができる。
しかし、周期パターン以外は計測することができない。また、周期パターンであっても数十ミクロンの領域が必要である。従って計測対象パターンが孤立パターンであったり、周期的であってもウエハ上のせまい(数十ミクロンに満たない)領域に存在する場合、ウエハ上にこの検査を行うための周期パターンを転写しておく必要が生じる。さらに得られる周期パターンの結果ともとの計測対象パターンの形状との対応をとる必要がある。
上述したように、レジストの断面形状を評価するための方法としては、従来の測長SEMのハードの改良、上空写真の画像解析、断面形状観察、Scatterometryによるスペクトル解析、という手法があげられる。
しかし、第一の方法ではハードの制約やノイズの問題があり、コストもかかる。また、これまでに提案されてきた第二の方法では逆テーパが計測できない。また順テーパであっても垂直なエッジとの区別がつきにくい。第三の方法は破壊検査であり、かつ、1mm以上の領域に渡るパターンの転写あるいは狙った箇所を正確に切断するための大掛かりな装置を必要とするという課題を有する。また、第四の方法には、非周期的パターンや比較的狭い領域のパターンについては計測できないという課題を有する。
そこで、本発明は、いかなるタイプのパターンであっても、その断面形状を順テーパから逆テーパまで、非破壊的に、正確かつ定量的に計測し得るパターン測定技術を提供することを目的とする。
本発明では、前述の上空写真の画像解析という手段を用いるが、エッジ近傍を表す帯状の領域を抽出し、その領域の幅だけではなく形の特徴を数値化することによって、断面形状のテーパ傾向を計算する。以下、レジストのラインパターンをSEMにより観察した画像を例として説明する。
図1は、観察により得られた二次元画像の模式図である。SEM画像上の濃淡は検出された二次電子強度を表しており、白っぽい部分ほど二次電子強度が大きい。図1では、黒に近い部分を全て斜線で表している。検出される二次電子強度は、電子銃から出た電子が試料に入射した結果、試料表面から内部にかけて発生した二次電子のうち、試料の外に放出され、また印加された電圧により集められて検出器に取りこまれたものの量を表している。従って、内部で発生した二次電子が試料表面に到達し、外へ飛び出しやすいエッジ側面近傍では放出される二次電子の強度が大きく、白っぽく見える。以下、この領域をエッジ領域とする。
画像内のエッジ領域に隣接する領域は、下地が現れている領域とパターンが存在する領域である。図1中、101はエッジ領域、102は下地が現れている領域、103はパターンが存在する領域を表している。二次元画像内の横方向(x方向)に沿って二次電子強度の分布を描いたもの、即ち、プロファイルの例を図2に示す。図1内のAA'が、図2の横軸のAA'に相当する。
ここで、プロファイル内のエッジ領域の境界に相当する点、即ち境界点を求める。この境界点は、しきい値法により求めてもよいし、ピークの左右の傾きから直線近似法により求めてもよい。図2は、しきい値法により求めた例である。点Pはエッジ領域とパターンのない(下地が現れている)領域との境界点、点Qはエッジ領域とパターン領域との境界点となる。
断面のテーパ傾向は、第一に、距離PQに現れる。この様子を図3に示す。逆テーパ形状あるいはティートップと形状の傾向が強いほどエッジ領域の幅は狭い。即ち距離PQが短い。これは、以下のように説明できる。
電子線がエッジ端に入射するとき、内部で発生した多くの二次電子はエッジ側面から外へ放出され、そのまま集められて検出器に到達する。しかし、エッジ端から若干パターン領域側に入った位置に電子線が入射するとき、逆テーパであるとエッジ側面から放出された二次電子はエッジ端によって検出器から隠れてしまうため、検出器まで到達しにくい。そのためエッジが垂直な場合に比べてプロファイルのピークの幅が狭くなる。さらに通常は側面に若干の凹凸があるため垂直なエッジでもプロファイルのピークがぼけてPQが若干長くなるが、逆テーパの場合は側面の凹凸はエッジ端で隠れるため殆どピークのぼけに寄与しない。この効果で逆テーパ形状はより検出しやすくなる。また、順テーパ形状の場合はエッジ側面に入射している時間が長いためPQが長い。
しかし、前述のようにこの方法ではエッジ凹凸のエッジ幅への寄与を考慮する必要がある。エッジ幅は装置の分解能を除けばエッジ凹凸によるプロファイルピークのぼけとテーパ傾向両方から決まっている。つまりエッジ領域幅の値の大小だけでは、テーパ傾向は正確に判定できない。
このエッジの凹凸は、上空観察では直接見ることができない。しかし側面の凹凸が大きい場合は上空写真内でエッジ位置のゆらぎを測定した量、いわゆるエッジラフネスも大きくなる。本発明では、エッジラフネスの大きさを測定し、その大きさを側面の凹凸の大きさの目安と考えてこれとエッジ領域の幅の両方からテーパ傾向を評価するという方法をとった。この様子を図4に単純化して示す。矢印の方向に、逆テーパあるいはティートップ傾向が強くなる。
従来法では一次元的な情報であるラインプロファイルの解析に比重がおかれ、ライン方向に沿ったエッジそのものの特徴、即ち二次元情報は考慮されていなかった。エッジラフネスを考慮せずにエッジ領域幅だけで判断した場合、ラフネスが小さい順テーパの場合と若干の逆テーパの場合との区別がつかない。これまでエッジ幅から逆テーパ傾向が計測できなかったのはこのためである。
第二に、エッジ領域の境界点の集合、境界線の形に現れる。二次元画像内において十分な数のプロファイルから、エッジ領域と下地領域との境界点P、エッジ領域とパターン領域との境界点Qを求め、その集合を第一及び第二の境界線とする。
逆テーパ形状あるいはティートップの傾向が強い場合、これら2本の境界線の凹凸の様子は非常によく似ている、即ち相関係数が高い。しかし側面が下地に対して垂直である場合や順テーパの場合、相関係数は0に近い。これは照射される電子線が逆テーパの場合は表面のエッジ端のみの様子を反映しているのに対し、垂直や順テーパの場合はエッジ側面の凹凸の影響を受けるためである。従って、まず得られた境界点の集合(境界線)を理想的な形の曲線あるいは直線で近似し、次にこの近似線と境界点とのずれの集合を求め境界線の凹凸とし、さらに2本の境界線の凹凸の相関係数を算出すれば、その値に逆テーパ傾向が反映される。
あるいは、2本の境界線の凹凸の類似度を、別の方法で表現することもできる。1本のプロファイル上で第一の境界と第二の境界を求め、その位置の差をそのプロファイルにおけるエッジ領域の幅とする。複数個のプロファイルについてエッジ領域の幅を計算し、これらの値の分布を求める。幅の値のばらつきは相関が大きい場合に小さく逆に相関が0に近い場合に大きい。従って、分布の標準偏差を求めることにより類似度を表すことができる。
この方法においても、エッジラフネスを考慮することより正確な判定が可能になる。微細なパターンの逆テーパ傾向が強くなると側面が垂直な場合に比べてエッジラフネスが大きくなる傾向が見られる。また、順テーパ形状のパターンでも、垂直な場合に比べるとエッジラフネスが大きい傾向がある。この様子を単純化して図5に示す。矢印の方向に、逆テーパあるいはティートップ傾向が強くなる。
評価を行う際には、エッジラフネスの大きさとエッジ領域幅の関係、境界線の凹凸の相関係数、エッジラフネスと前記相関係数との関係、あるいはこれらのうちの2つ以上からテーパ傾向を表すひとつの指標を算出し、それを目安にするとよい。また、画像内に複数本のエッジが存在する場合、それぞれのエッジについてこの指標を算出し、平均をとることによって全体の傾向を判定すればより信頼性の高い結果が得られる。
この方法を用いると、パターンの頂上近傍だけが丸くかつエッジは垂直あるいは逆テーパ傾向という場合でもエッジの垂直性あるいは逆テーパ傾向が正しく検出できる。これは以下の理由による。
第一にパターンの頂上近傍だけが丸まっている場合、ピーク形は点Qの側には広がるが、Pの側には広がらない。従って、距離PQは順テーパの場合ほど大きくならない。第二に、エッジラフネスは通常点Pをエッジとみなして計算する。つまり頂上近傍の丸まりはエッジラフネスの大きさには影響を与えない。そのためエッジラフネスの値と合わせて評価すれば、順テーパ形状と頂上だけが丸まっているケースとをより区別しやすくなる。
また、上記の方法を、ビームチルト機能を備えた観察装置による観察画像に適用することによって、より正確な結果が得られる。光、電子線、イオン粒子線等のビームの試料への入射角度をビームのレンズ系あるいは試料台を操作することにより変化させ、そのたびに画像データを取り込んでテーパ傾向の指標を算出すれば、入射角度対テーパ傾向の関係が得られ、逆テーパあるいは順テーパの場合にエッジ側面が垂直から何度ずれているかが推定できる。
また、レジストのパターンにおいては、露光やプロセス条件の違いによるエッジラフネスの大きさの差は、パターンの底部近傍でラフネスを測定して得られる値のほうが表面近傍で測定して得られる値よりも大きい。そのためチルト機能をエッジの角度を変えるためではなくラフネスの変化をより高い感度で測定するために用いても、テーパ傾向の計測がより正確に行える。
また、上記の方法によってテーパ傾向即ち逆テーパか順テーパかあるいは垂直であるか、また垂直でない場合はそのテーパの程度あるいはテーパ角度を求め、その結果から、パターン形成工程が最適条件下で行われたか否かを判定し、また行われていなかった場合その最適値からのずれを見積もることができる。これにより例えばリソグラフィ工程におけるフォーカスのずれを検出し、プラス、マイナスいずれの方向にどれくらいフォーカスを動かせば最適値になるかを求めることができる。
上記例では、主としてレジストパターンを検査した場合について述べたが、本方法をシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、カーボン、あるいは配線用材料のパターンに適用しても有用な情報が得られる。特にドライエッチングによりパターン底部に食い込みが入ったり、あるいは上部の角がおちたりする現象の発生を上空観察により検出することができる。
本発明によれば、いかなるタイプのパターンであっても、その断面形状を順テーパから逆テーパまで、非破壊的に、正確かつ定量的に計測し得るパターン測定技術を実現できる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。尚、以下において、ティートップ形状は逆テーパという表現に含まれるものとする。
(実施例1)
本発明の第1の実施例を、図2、図4および図6〜図14によって説明する。本実施例では、エッジラフネスとエッジ領域幅を算出し、エッジのテーパ傾向を評価した例を説明する。
図6は本実施例の装置構成を示す概念図、図7は本実施例の手順を示すフローチャート、図8及び図9は本実施例で解析した二次電子強度の二次元分を画像化したものの概念図、図10は図7に示した工程のうちテーパ傾向指標を計算する部分の詳細、図11はプロファイルとエッジ点、エッジ領域幅の関係を示す概念図、図12は得られた結果を表示したグラフ、図13はテーパ角算出に用いたエッジラフネス、エッジ領域幅とテーパ角との関係を示すグラフ、図14はテーパ角の定義を示したパターン断面の概念図である。
図6に示す装置を用い、図7に示す手順でラインエッジラフネス及びエッジ領域幅からパターンエッジのテーパ傾向の解析を行った。まず、工程701に示すように走査型電子顕微鏡の制御系611から走査を行って顕微鏡筐体601内のステージ608上に設置された試料607を観察した。走査型電子顕微鏡の電子銃602から放出された電子線603は収束レンズ604、偏向器605、対物レンズ606を通ってステージ608上の試料607に照射され、試料607から放出された二次電子609は検出器610によって検出された。
照射電子線の加速電圧は、照射電子がパターンの表面近傍の情報を反映させるためには1000V以下が望ましい。電子線の進入距離を変えて表面から若干深く入った領域の情報を得たい場合にはこの限りではなく、800〜10000Vで観測するとよい。また、加速電圧が低すぎるとノイズが多くなり、測定結果の再現性が悪くなる。その点からは300V以上の電圧が必要である。本実施例においては表面近傍を観察するため800Vとした。
エッジのテーパ傾向は、場所によってばらつくことがある。なるべく平均化した値を得るためには広い領域の解析を行ったほうがよい。即ち、低倍率で観測することが望ましい。一方でわずかなテーパを計測するためには高い倍率で観察することが望ましい。
この2つのバランスを考えて観察倍率を決定する。本実施例では、得られる画像のデータは走査の方向即ち横方向及びそれに垂直な縦方向とも512個のデータで構成されていた。また、20万倍で観察したときに、視野即ち走査領域は縦横方向とも675nmであった。これらの値から、データ間隔は約1.318nmと十分に小さいので20万倍で観察を行った。
用いた試料607は,シリコン基板上に電子線描画により形成したレジストのラインパターンを有する。まず、試料607をラインパターンが走査方向にほぼ垂直になるようにステージ608上に設置した。
次に工程702に進み、複数回の走査を行って試料607から発生した二次電子強
度の測定結果を積算し、平均値を算出した。エッジラフネスの計測を行うためには十分ノイズの少ないデータが得られるようにデータの積算回数(フレーム数)を決める必要がある。本実施例では、倍率20万倍、電流値4.0pAの観察において128回の積算を行った。
こうして得られた512×512個の配列の二次元の二次電子強度分布について解析を行った。このデータは走査の方向即ち横方向及びそれに垂直な縦方向とも512個の値、即ち合計512×512個の数値の配列で構成されていた。またこの倍率で観察したとき、観察領域即ち電子線が走査される領域は縦横とも675nmであり、1つの数値が代表する領域は約1.318nm平方の面積となる。以下画面左上を原点とし横方向の位置をx、縦方向の位置をyで記述する。データは二次電子強度の値を画素の濃淡に換算され、装置の操作端末の画面上に、x、y方向とも512個の画素からなる画像として表示された。この画像を簡略化して表したものが図8である。図中、斜線部801は2本のライン状のレジストパターン部分を示し、白い部分802と803、804と805は2本のラインの左及び右のエッジ近傍、即ちエッジ領域をそれぞれ示し、横縞線であらわした部分806は下地基板を示している。
電子線が引き続いて試料に照射されるのを停止した後、前記2次電子強度分布データを隣接するコンピュータ612に転送して工程702を終了し、本発明によるテーパ傾向指標を計算するプログラムを実行させた。まずは、ノイズの低減(工程703)を以下の手順で行った。
まず最初に、データをx方向に1列に512個並んだ2次電子強度の組、即ちプロファイルに分割した。各プロファイルはyが一定の場合の2次電子強度のx依存性であり、プロファイルは合計でy方向の画素の個数、即ち512本ある。このデータに関して以下の手順でノイズ低減を行った。
まず、平均化パラメータk1(自然数)、平滑化パラメータk2(奇数)を与えた。k1が偶数のときk1'=k1/2、奇数の時はk1'=(k1−1)/2とする。また、k2'=(k2−1)/2とする。n-k1'番目からk1個のプロファイルの平均をとってこれを平均化後のn番目のプロファイルとした。次に、前記工程で得られた平均化後のプロファイル内の画素番号m-k2'からm+k2'までの領域について、ハミングウインドウを用いた平滑化を行って新たにm番目の平滑化後の値とした。1画素が0.8nmから2nmまでの長さに対応するデータの場合、平均化パラメータk1は4以上11以下、平滑化パラメータk2は3以上11以下が望ましい。どちらの値もこれらの値より小さいとノイズが十分に低減できず、また大きいと細かい空間周期のエッジラフネスが検出できない。本実施例ではk1=4、k2=3とした。
次に工程704に進み、いくつかのパラメータを入力した。本実施例におけるここでの入力内容は、結果の表示形態の選択と解析するエッジの本数の入力である。前者は計算した結果を、図4のようなグラフで表すか、あるいはテーパ傾向の指標となる数値で表すかという選択である。本実施例においては後者のテーパ傾向指標の計算を選んだ。またエッジの数を4と入力し、図8に示した画像内にある2本のラインの左右合計4本のエッジを解析した。
次に、各々のエッジに関してラインエッジラフネスとエッジ領域幅の計算に用いる画像データの領域やエッジ点を検出するプロファイルの間隔を指定した(工程705)。ここでエッジのラフネスを算出するにあたり、注意する点が三点ある。
第一に、ラフネス自体にばらつきがあるため広い領域について計算するかあるいは狭い領域で計算する場合は複数箇所について算出する必要があるということである。本発明では、合計で少なくとも1μmの長さの領域について計算することが望ましいといえる。
第二に、短い領域で計算すると長い周期のラフネスを観測できないことである。ここで算出するラフネスはエッジ側面の凹凸の指標としての意味を持っているので、エッジ側面の深さ方向の距離程度即ちレジストの膜厚程度の長さの領域で計算すれば十分である。
第三に、ラフネスを算出するエッジ点の間隔が大きすぎると、細かい周期のラフネスを観測できないことである。本実施例ではレジストの膜厚が0.42μmであった。そこで、図9に示すように計算領域を指定した。
図9は、図8に示した画像上に計算領域を表示した状態の概念図である。エッジ領域との位置関係を明らかにするため、エッジ領域802〜805を斜線で表した。指定した計算領域は長方形901〜904である。領域のy方向の画素の数は四ヶ所全て360個である。これで合計約2μmの領域についてラフネスを計算することになり、第一の注意点については問題ない。また一ヶ所当たりの長さは約0.5μmであり、レジストの膜厚と同じ程度であるため第二の問題も発生しない。さらにラフネスを算出するためのエッジ点の検出は1本おきに選んだプロファイルについて行ったので、約2.6nmおきにエッジ点を求めたことになり、十分細かいので第三の注意点についても問題ない。
ここではラインエッジラフネスの計算におけるエッジ点の数とエッジ領域幅の計算におけるエッジ点の数を同じにしたが、コンピュータの性能や計算時間の許容範囲によっては同じにしなくともよい。ただし、一般に幅100nm程度の微細パターンによく見られるエッジラフネスの周期は、50nmから100nmの領域にある。このような周期の凹凸を正しく計測しエッジ形状を計測するためには測定点の間隔を20nm以下にすることが望ましい。
次に工程706に進み、テーパ傾向を求めた。具体的にはエッジラフネスとエッジ領域幅とを用いた。この工程の詳細は図10に示した。まず、工程1001において工程1002のパラメータ入力が必要かどうかを判断する。1本目に対する計算である場合、ラフネス算出におけるエッジ点検出のパラメータを入力する(工程1002)。それ以外の場合、パラメータはすでに入力されているので工程1003に進む。
工程1002で入力する内容は、(1)ラフネス計算におけるエッジ点検出、(2)エッジ領域の境界点検出、の各々を直線近似法で行うか、あるいはしきい値法で行うかの選択、また各々の方法におけるパラメータ、である。ここで用いるしきい値法は一般的に知られているものであり、しきい値比率pと2次電子強度最大値Imaxと最小値Iminとから、(Imax−Imin)×p+Iminで与えられるしきい値を計算し、図2のプロファイル上において2次電子強度がしきい値になる点をエッジ点とするという方法である。
エッジ点検出におけるしきい値比率は、小さすぎたり大きすぎたりするとノイズが多くなり、また実際の寸法を反映しなくなる。40〜80%の値がよい。ここでは、しきい値70%のしきい値法で行うこととした。エッジ領域の境界点を算出する際のパラメータも直線近似法でも、しきい値法でも行うことができる。画像のノイズの程度が判断できない場合やノイズが多い場合は、しきい値50〜80%のしきい値法がよい。ノイズが少ない場合は直線近似法を用いるか、しきい値法でしきい値を低く設定すると精度よく測定できる。特に、後者は垂直に近いエッジについてテーパ傾向が精度よく検出できる。複数個のしきい値で計測して信頼性の高いデータを得ることも可能である。本実施例では、しきい値70%のしきい値法で行った。
次に工程1003に進み、以下の手順でエッジラフネスを算出した。まず領域901内の360本のプロファイルのうち、yが小さい方から1番目、3番目…と2n-1番目(n=1,2,3…180)の180本のプロファイルについて、計算領域内のxの範囲における2次電子強度最大値Imaxを検出した。この様子を、図11に示す。
このピーク値を与えるx座標をxmaxとし、xmaxよりも下地基板に近い側で2次電子強度がしきい値になる点Rをエッジ点とした。180本のプロファイルについてこれを行って、180個のエッジ点R1、R2…R180を得た。点Riの位置座標を(xi, yi)とする。この集合を最小自乗法により直線x=ay+bで近似し、この近似直線との差Δxi=a・yi+b−xiを180本のプロファイルについて求め、その集合の標準偏差σの3倍即ち3σをエッジのラフネスとした。
次に工程1004に進み、エッジ領域幅を求めた。ここではエッジ領域の外側即ち下地基板側の境界点は上記のプロセスで求めればよい。このようにして求めた点をPとした。本実施例ではラフネス算出のためのエッジ点検出のしきい値とエッジ領域境界検出のしきい値とが等しかったので点Rと点Pは一致している。内側、即ちレジスト側の境界点はxmaxよりもレジスト側で2次電子強度がしきい値になる点Qである。180本のプロファイルについてP及びQを検出し、P1、P2、…、Q1、Q2、…とし、PiとQiとの距離PQiの平均値を算出し、これをエッジ領域幅wとした。この工程を全ての計算領域について行う。
次に、工程1005に進んだ。ここでは工程704で入力した内容に応じて次工程を選択する。テーパ傾向指標の値を算出するかどうかを工程704で入力しているので、算出しない方を選んでいたら計算工程は終了し、図7の工程707に進む。一方、計算結果から指標を算出する場合は工程1006に進み、エッジ領域の境界線の特徴を数値化する。
本実施例においては、図12に示すエッジラフネス対エッジ領域幅のグラフ内において上記工程で得られた3σとwとの組(例えば、図12中の○印)が垂直エッジをあらわす領域から、(1)テーパ側、逆テーパ側のいずれの方向にずれているか、(2)どれくらいずれているか、を評価する。以下、本実施例で用いた最も単純な方法を一例として示す。
まず、グラフ上のエッジ領域幅をw、エッジラフネスをrと表し、垂直エッジ領域を単純化して直線w=αr+βで表すとする。あるエッジを解析した結果エッジ領域幅w1、エッジラフネスr1が得られたとき、テーパの向きを表す係数Fをこの点が前記直線に対してグラフ内で上下どちら側にあるか判定して以下のように決める。
Figure 0004546500
即ち、Fは逆テーパであれば+1、順テーパであれば−1の値となる。また、この点と前記直線との距離Lは次の式で表される。
Figure 0004546500
テーパ傾向指標γをこの2つの値の積、即ち
Figure 0004546500
とすればよい。本実施例で解析した例では、α=2.5、β=5.0であった(図12中の1201)。また、ここで求めたエッジのテーパ傾向指標の値は4.65であった。
次に、工程707へと進んだ。工程1005にていずれの選択をした場合も、ここで選択したエッジ全てについて計算が終了したかを判定する。本実施例では、4本のエッジを選択していたので、全てについて終了するまで上記の工程を繰り返した。ただし、2本目以降では工程1002は行わなかった。
次に、工程708にて結果を表示した。本実施例では、これにより4組の3σとWの組が得られた。グラフ表示のみの場合は、図12に示すエッジラフネスエッジ領域幅のグラフの上に全てのエッジの解析結果をプロットしたものを表示する。同時にこのグラフ上にテーパ、垂直、逆テーパの場合の結果がプロットされるおよその領域を図4のように示してもよい。また、テーパ傾向指標の計算を行った場合は算出した値を表示する。グラフも同時に表示してもよい。本実施例では、後者を選択していたため4本のエッジに関する指標の値が表示された。指標γの値は4.65、5.85、2.98、4.57であった。
一方、断面の直接観察によるデータ収集結果から、本実施例において用いた装置及びパラメータによる解析では、
Figure 0004546500
の領域にあれば、そのエッジは垂直と判定できることが分かっていた。このことから操作者によっても、これら4本のエッジはいずれも逆テーパであると判断できるが、本例においてはあらかじめこの数値を入力しておくことにより、画面にテーパ傾向を表示させた。その結果、ここでは全てについて逆テーパであるという表示が出た。
また、解析したエッジ全ての平均をとって結果を出すこともできる。レジストパターンに異常なテーパ傾向が現れるときは多くの場合工程に問題があり、ある程度の広がりをもった領域に渡ってその傾向が現れる。従って観察画像の中の一部だけでテーパ傾向指標を算出するよりも、平均値を求めて判断するほうがより信頼性のある結論が得られる。本例では画像全体のパターンの傾向としてγ=4.51の値を得た。全体的な傾向としても、ここで解析したパターンは逆テーパであると結論できた。
上記のように結果を得た後、解析を終了し、観察を終えた。尚、(数1)から(数4)に示した数式によるテーパ傾向指標の計算方法は一例である。式の次数や係数の値は、パターンの材料及び装置の性能、観察及び計算におけるパラメータの値に依存する。
工程1006において指標を計算する方法としては、上記の例のほかr1やw1に関するより高次の項を導入した式を用いたり、r1、w1の値とテーパ角とを対応させ角度そのものを指標として用いることも可能である。この例を図13に示す。
この関係は、実際に多数の試料の上空観察と断面観察を行うか、あるいはSEM観察のシミュレーションを行うかして得ることができる。本実施例では実際に観察を行った。このようなグラフ上に計測したr1、w1の値をプロットすれば、テーパ角が算出できる。本実施例で解析した4本のエッジは、2°から4°の逆テーパであることが分かる。
尚、ここではテーパ角という言葉を、図14にθとして示したように垂直エッジからのずれとし、プラスの場合が逆テーパ、マイナスの場合が順テーパになるよう定義した。
(実施例2)
本発明の第2の実施例を、図2、図6〜図9、および図15によって説明する。
本実施例では、エッジ領域の2つの境界の形状の類似度即ち相関係数から、エッジのテーパ傾向を評価した例を示す。図15は、図7に示した工程のうちテーパ傾向を計算する部分の詳細である。
実施例1に示した方法で、図6の装置を用いて図7の手順に従い工程701から703を行って、試料の観察を行って図8に示した画像データを得、ノイズの低減を行った。
次に工程704に進み、いくつかのパラメータを入力した。本実施例におけるここでの入力内容は解析するエッジの本数の入力である。本実施例においては4と入力し、図8に示した画像内にある2本のラインの左右合計4本のエッジを解析した。
次に工程705に進み、各々のエッジに関して計算に用いる画像データの領域やエッジ領域の境界点を検出するプロファイルの間隔を指定した。本実施例ではエッジ領域境界の形状を数値化する。即ち、エッジ領域境界の凹凸を十分細かく、また十分広い領域に渡って計算に入力しなくてはならない。そのため、実施例1における工程705でラフネス計測に際して注意した内容と全く同じ点について、本実施例においても注意する必要がある。ここでは、実施例1と同じパラメータを入力した。即ち、図9に示す領域について計算を行うこととした。
次に工程706に進み、テーパ傾向を求めた。この工程の詳細は、図15に示した。まず、工程1501において工程1502のパラメータ入力が必要かどうかを判断する。1本目に対する計算である場合、エッジ領域境界点検出のパラメータを入力する(工程1502)。それ以外の場合、パラメータはすでに入力されているので工程1503に進む。工程1502では、エッジ領域境界点の検出を直線近似法で行うか、あるいはしきい値法で行うかを選択し、また各々の方法におけるパラメータを入力する。本実施例では、実施例1における工程1002と同様の注意を払う必要がある。本実施例では、しきい値70%のしきい値法で行った。
次に工程1503に進み、実施例1工程1004中のP、Qを求める手順と同じ方法で、180本のプロファイルについて図2に示す点P及びQを検出しP1,P2,…、Q1,Q2,…とし、集合{Pi}及び{Qi}を外側及び内側の境界点の集合とした。
次に工程1504に進み、相関係数(類似度)を算出した。点Piと点Qiはy座標が同じであるが、x座標の値が異なる。これをxPi、xQi、とする。まず集合{Pi}、{Qi}を2本の平行な曲線あるいは直線で近似した。ここでいう「平行」とは、一方の曲線あるいは直線を平行移動してもう一方に重ねることができる、という意味である。ここでは直線で近似し、また近似には最小自乗法を用いた。
次に、プロファイル上で得られた近似直線とプロファイルとの交点と、実際の境界点とのx座標の差を求めた。これをΔxPi、ΔxQiと記す。この差の集合、{ΔxPi}、{ΔxQi}を外側境界線及び内側境界線の凹凸形状、と定義する。計算した全てのプロファイルについて、これらの値から以下の式に従い相関係数ρを算出する。尚、P、Qは外側エッジ、内側エッジを意味するものとする。
Figure 0004546500
ここでσP、σQは各々{ΔxPi}、{ΔxQi}の分布の標準偏差、また右辺分子は以下のように表される。
Figure 0004546500
以上で、図15に示された工程は終了し、工程707に進み、ここで選択したエッジ全てについて計算が終了したかを判定する。本実施例では4本のエッジを選択していたので、全てについて終了するまで上記の工程を繰り返した。ただし、2本目以降は工程1502は行わない。
それぞれのエッジについて行ってから工程708に進み、結果を表示した。本実施例で解析した4本のエッジについてのρの値は、画面左から順に、0.86、0.91、0.72、0.80であった。一方、断面直接観察によるデータ収集結果から、本実施例において用いた装置及びパラメータによる解析では、
Figure 0004546500
の領域にあるエッジは逆テーパであることが分かっていた。本実施例で解析したエッジは全て逆テーパであることが分かった。また、実施例1工程708で行ったように、解析した画像データ1枚に関する値としてこれら4つの値の平均を表示して判断してもよい。
(実施例3)
本発明の第3の実施例を、図2、図7、および図15によって説明する。
本実施例では、エッジ領域の2つの境界の形状の類似度を各プロファイルから計算したエッジ領域幅の値のばらつきで表し、エッジのテーパ傾向を評価した例を示す。
実施例1と同じ手順により、工程701から工程702により二次元の二次電子分布データを得、工程703及び704によってノイズ低減やエッジ本数。結果表示方法を入力した。次に、実施例2と同様に、工程1501から工程1502及び1503により180本のプロファイルについて、図2に示す点P及びQを検出し、P1、P2、…、Q1、Q2、…とし、集合{Pi}及び{Qi}を外側及び内側の境界点の集合とした。
次に工程1504に進んだ。ここで180本のプロファイルについて点PiとQiの距離wiを算出し、集合{wi}を得、さらにこの集合の分布の標準偏差σを求めた。
この後は工程707に進み、実施例2と同様に指定したエッジ全てについて計算を行った後工程708に進んで結果を表示した。
4本のエッジに関するσの値は、1.43、1.28、3.02、2.57となった。一方、断面直接観察によるデータ収集結果から、本実施例において用いた装置及びパラメータによる解析では、
Figure 0004546500
の領域にあるエッジは逆テーパであることが分かっていた。本実施例で解析したエッジは全て逆テーパであることが分かった。また、実施例1及び実施例2の工程708で行ったように、解析した画像データ1枚に関する値としてこれら4つの値の平均を表示して判断してもよい。
(実施例4)
本発明の第4の実施例を、図5、図7、図8、図9、図10、および図16によって説明する。
本実施例では、エッジラフネスとエッジ領域の2つの境界の形状の類似度とからエッジのテーパ傾向を評価した例を示す。図16は、得られた結果とテーパ傾向の対応を示すグラフである。
まず、実施例1と同じ手順で図7における工程701を実行し、図8に示すデータを得た。また実施例1と同じ手順で工程702から工程704を行って、4本のエッジを解析対象に選び、また結果の表示形式としてグラフとテーパ傾向指標γの両方を選んだ。また実施例1と同様の手順により図9に示す領域を計算領域として指定した。
次に工程706に進み、テーパ傾向を算出した。この詳細を以下図10を用いて説明する。本実施例においてはラフネスと2本のエッジ領域境界線の間の類似度とを用いた。工程1001及び1002は実施例1に示した内容と同じである。工程1002では、エッジ点やエッジ境界点の検出パラメータを入力する。実施例1と同じくエッジラフネスの検出もエッジ領域境界の検出もしきい値70%のしきい値法で行った。
工程1003に進み、実施例1と同じ手順により、エッジラフネスr(3σ)を算出した。次に工程1004ではエッジ領域の境界線の特徴を数値化するが、本実施例では実施例2で述べた手順によりエッジ領域の境界線同士の相関係数ρを算出した。さらに工程1005に進み、ここではテーパ傾向指標γも出力する項目のうちに入れていたので工程1006に進んでγの計算を行った。この詳細を以下に述べる。
レジストラインパターンエッジの観察画像について上記の計算を行うと、得られる3σとρの組は、図16中に斜線で示した領域1601に分布する。ここで、横軸r'はエッジラフネスの程度を表し、r(単位nm)を基準になるエッジラフネスの大きさr0(nm)で割った量である。この分布の特徴は、以下の2点である。
(1)この領域内で、矢印の方向に逆テーパ傾向が強くなる。(2)ただし、ρが0.2以下の場合、相関は殆どないと判定してよい(0と有為差ない)。これらの特徴を数式化すればよい。一例として、次のようにテーパ傾向γを定義する方法がある。
矢印1602は、おおよそ原点を通る直線上にあるのでこれをρ=αr'とする。この直線の上では原点から離れるほど逆テーパ傾向が大きくなるので、点(r',ρ)と、原点を通ってこの直線と垂直な直線との距離を逆テーパ傾向とすればよい。またρがこれ以外の値をとるときはラフネスの程度だけでテーパ傾向を評価すればよい。γは以下のように書ける。
Figure 0004546500

Figure 0004546500
ここで、式(数9)内に2、(数10)内に3という係数がかかっているのは、実施例1で求めたテーパ傾向指標と値をほぼ同じ程度の大きさにするためである。上記の条件を用いて解析を行う場合、r0の値として10が適当であることが分かった。またこのときα=0.8であった。図8中の一番左のエッジについて、この式を用いてテーパ傾向指標を計算したところ、γは2.16であった。
次に工程707へと進んだ。本実施例では4本のエッジを選択していたので、全てについて計算が終了するまで上記の工程を繰り返した。ただし、2本目以降のエッジに関する計算では工程1002は行わなかった。次に工程708にて結果を示した。工程704でグラフ表示のみを選んでいた場合はグラフのみが表示されるがここではテーパ傾向指標の計算も行ったので算出した値が表示された。指標の値は2.16、2.48、2.30、2.56であった。
一方、断面の直接観察によるデータ収集結果から、本実施例において用いた装置及びパラメータによる解析では、実施例1と同じく、γが式(数4)を満たしていれば垂直、1.2以上であれば逆テーパ、−1.2以下であれば順テーパであるとが分かっていた。このことから操作者によってもこれら4本のエッジはいずれも逆テーパであると判断できるが、本例においてはあらかじめこの数値を入力しておくことにより、画面にテーパ傾向を表示させた。その結果、ここでは全てについて逆テーパであるという表示が出た。
また、実施例1及び2で示したように解析したエッジ全てのγの平均をとって結果を出すことも可能であった。この場合はより広い領域について平均化された結果が得られる。
また、ρの代わりに実施例3で求めたエッジ領域幅の分布の標準偏差σwを用いて評価を行うことも可能であった。SEMの画像自体に歪みがある場合、またラインパターンのトップが丸まっていない場合はσwを用いた方がより精確な結果が得られる。しかしそれ以外の場合はρを用いた方が精確な結果が得られる。
上記のように結果を得た後、解析を終了し観察を終えた。
尚、(数9)(数10)に示した数式によるテーパ傾向指標の計算方法及び判定方法は一例である。式の次数や係数の値はパターンの材料及び装置の性能、観察及び計算におけるパラメータの値に依存する。
(実施例5)
本発明の第5の実施例を、図17によって説明する。
本実施例では、複数のテーパ傾向計算方法を用いてエッジのテーパ傾向指標を求めた例を示す。図17は、本実施例の手順を示している。
まず実施例1と同じ手順で、工程1701から1703を行い、図8に示す2本のラインパターン、即ち4本のエッジが含まれる画像のデータを得た後ノイズの低減を行った。次に工程1704でエッジの本数と計算に用いる領域の入力を行った。ここでも実施例1工程704及び705と同じ手順で、図9に示す4本のエッジと解析する領域を指定した。
次に工程1705において、テーパ傾向指標の計算方法を、次の3つから選択した。即ち、(1)エッジラフネスとエッジ領域幅の計算、(2)エッジラフネスとエッジ領域境界線の類似度、(3)(1)と(2)両方、である。ここで(2)あるいは(3)を選択した場合はエッジ領域境界線の類似度を相関係数ρを用いるか、あるいはエッジ領域幅分布の標準偏差σを用いるかを選択する。また(3)を選択した場合は、(1)と(2)から算出したテーパ傾向指標の重みつき平均を算出するが、その重みを入力する。ここでは(3)を選択し、また境界線の類似度は実施例4に記した相関係数ρを用いる方法を選択した。また平均を取る際には(1)の結果を0.4、(2)の結果を0.6の重みで平均することとした。(1)の手法は順テーパの検出が精確で、(2)は逆テーパの検出が精確である。ここでは、パターンが若干ティートップになりやすい傾向があるレジストのパターン観察であったため、前記のような比率とした。
次に工程1706に進み、まず1本目のエッジについてテーパ傾向の計算を行った。詳細を以下に記す。最初に実施例1に示す方法でテーパ傾向指標を求め、これをγ11とした。γ11=4.65であった。次に同じエッジについて、実施例4に示す方法でテーパ傾向指標を求め、これをγ12とした。γ12=2.16であった。次に工程1707においてまだ全エッジについて計算が終了していないと判定され、2本目のエッジの計算を行い、以下同様に3、4本目の計算を行って、γ21、γ22(2本目のエッジに関するテーパ傾向指標)、γ31、γ32(同3本目)、γ41、γ42(同4本目)を得た。次に工程1708に進み、これらを以下の式によって平均化した。即ち、
Figure 0004546500
4本のエッジに関する結果は、3.16、3.83、2.57、3.36であった。γの値が+であり、絶対値が1.2以上であったので、これらのエッジは全て逆テーパであると判断された。工程1709にて、これらの結果を表示し、観察と解析を終了した。
(実施例6)
本発明の第6の実施例を、図18〜図20によって説明する。
本実施例では、複数のテーパ傾向計算方法とビームチルト機能を備えた電子顕微鏡とを用いてエッジのテーパ角を精確に求めた例を示す。図18は本実施例の手順を示すフローチャート、図19は本実施例により得られたレジストパターンエッジに関する解析結果、図20は本実施例により得られた参照用データとレジストパターンエッジに関する解析結果である。
本実施例では、走査する電子線の試料に対する入射角度が可変である走査型電子顕微鏡を用いた。試料に対する電子線の入射角度、即ちチルト角は、ここでは観察画像上で観察者の左方向から右方向に向かって電子線が入射される場合に正になるよう定義した。即ち、画像内ラインの左エッジが垂直形状である場合、これが順テーパとして観測される方向から入射される場合のチルト角は正の値、垂直に観測される場合は0°、逆テーパに見える方向は負のチルト角となる。画像内のラインの左エッジが、チルト角が正の領域で垂直であるように見える場合は、エッジは逆テーパである。右エッジの場合は逆になる。
まず、チルト角を0°の状態にし、工程1801にて実施例1における工程701と同じ手順で試料を観察し、解析を行うべき対象パターンを決定する。ここでは実施例1と同じパターンを同じ観察倍率で解析することとした。次に工程1802にて、観察画像上で解析を行う領域を入力する。詳しくはエッジの本数及び計算に用いる各々のエッジの領域である。ここでは実施例1工程704及び705と同じ手順で同じパターンを選択し領域も全て同様に設定した。次に工程1803にてテーパ傾向指標γの計算方法や計算における諸条件を設定する。ここでは実施例5の工程1705と同じように設定した。
次に工程1804にて、画像データ取得のための条件を入力する。内容は、データの積算回数、オートフォーカスにするか手動でフォーカスを合わせるか、である。ここでは、1枚の画像を得るためにデータの積算、即ち電子線の走査を128回行うよう設定し、またフォーカスは自動で合わせるようにした。
次に工程1805に進み、チルト角を変えて行く際の最小及び最大角度、角度増分を入力する。角度は、ここでは各々−8、+8、2、と入力した。これにより、データをとるチルト角は−8°、−6°、−4°…+6°、+8°となる。数値を入力し終えた後、測定をスタートさせた。すると工程1806に進み、まずチルト角を最小値即ち−8°まで動かした。その後工程1807にて、フォーカスを自動的に合わせて画像を積算した。尚、指定した積算回数の走査が終了するとそのたびに試料への電子線の照射は停止するように設定されていた。
ここで得られた画像には工程1802で設定した解析する領域も同時に画面上に表示された。チルトさせたことによりパターン像の中心がずれて、指定した領域にエッジ点やエッジ領域が含まれなくなっている場合はこの段階で再度、解析の領域を入力しなおすことができる。ここでは、領域設定OKと入力し、そのまま工程1808へ進んだ。ここでは実施例5で述べた計算を行い、さらに4本のエッジについて単純平均をとってテーパ傾向指標γとする。この段階、即ちチルト角−8°におけるγの値は−3.2であった。
次に工程1809に進み、チルト角は設定の最大値に達していないため2°大きくして−6°にした。その後工程1807に進み、チルト角が−8°の場合と同じ計算をチルト角−6°において実行し、γの値を得た。これを指定した最大チルト角に到達するまで繰り返した。設定された最大チルト角で計算が行われると自動的にチルト角は0°に戻った。
次に工程1810にて結果を表示した。ここで得られたグラフを、図19に示す。エッジが垂直形状に観察される点はγ=0との交点を求めればよい。交点の角度は左エッジでは2つともほぼ+1.0°、右エッジは−0.8°と−1.3°であった。このことから観察したエッジは平均すると垂直から約1°程度ずれた逆テーパであることが分かった。
上記のように、画像内に左エッジと右エッジと右エッジの両方を配置して同時に解析すると、テーパの角度が小さくとも、左右エッジのグラフのγ=0との交点の間隔はテーパ角の和になるので、左右のエッジのテーパ傾向が逆である場合を除いて、より検出しやすくなる傾向にある。
また、ここで前もって、基準となる垂直エッジを有するラインパターンの試料を観察して参照用データをとりメモリ領域に記憶しておき、観測及びγの計算はこれを利用して短時間に行うことも可能であった。例を以下に記す。
第一の応用例を述べる。まずシリコン基板を加工して垂直エッジを有するラインパターンを作成し、これを観察して図20中の曲線2001で示す参照用データを取得した。任意のテーパ角を有するエッジに関する観測結果は、この曲線を横軸方向に平行移動したものであると考えられる。その後レジストのパターンエッジについて解析を行う際に、まずチルト角−4°でγを計算したところ、図20内の点2002が得られた。そこで、このエッジについて得られる結果は曲線2001を、点2002を通るように平行移動させたもの、即ち破線2003になると予測し、チルト角を+1°、+2°、+3°にして測定したところ、予測した通り+2.5°付近でγ=0と交わった。これにより2.5°の逆テーパであると分かった。この方法を用いたことにより、観測及び計算の時間の短縮とより詳細な観測が可能になった。
また、上記の参照用データの利用法としては、以下のようにデータ測定時にチルト機能を用いない第二の応用例もある。例えば図20の曲線2001が参照用データとして装置のメモリー領域に記録されているとき、ビームチルト機能を使用せずに、即ちチルト角0°で観測と計算を行って点2004を得た。そこでこのエッジについて得られる結果は曲線2001を点2004を通るように平行移動させたもの即ち破線2003になると予測し、この破線2003とγ=0との交点を求めた。この交点のチルト角は+2.5°だったので、このエッジは2.5°の逆テーパであると分かった。この方法ではチルト機能を最初の参照用データの取得時に用いるだけでテーパ角が算出できるため、さらに時間が短縮できる。
前記の応用例の欠点は、測定点が1点であるため誤差が大きくなる可能性があることである。そこで2つ以上のチルト角で測定を行って測定点のできるだけ近くを通るように参照用曲線を平行移動させ(最小自乗法を使うとよい)、γ=0との交点を求めればより精確な結果が得られる。例えばビームチルトなしの状態で測定し、1回だけビームをチルトさせて測定すれば2点の測定点が得られ、1回のビームチルトで十分精確な結果が得られる。
また、測定すべきパターンが複数個ありスループットをあげたいときには以下のように測定するとよい。まず、特に正確に測定したいテーパ角度あるいはγの領域を決める。ここでは0°近傍を正確に測定するためγの絶対値が1.5以下のエッジについては特に正確な測定を行うものとする。最初はビームチルトなしでエッジの観察を行い、γを算出する。γの絶対値が1.5より大きければ、その段階で逆テーパあるいはテーパのカテゴリーに分類し、そのエッジに関する検査は終了して次のエッジの検査にうつる。γの絶対値が1.5以下であったらビームチルト機能を用いた方法で正確にテーパ角を測定し、チルト角を0°に戻してから次のエッジの検査にうつる。このようにして複数個のエッジの検査を行えば検査にかかる時間を短縮することができる。
(実施例7)
本発明の第7の実施例を、図21によって説明する。
本実施例では、レジストラインパターンエッジに関するテーパ傾向指標γの計算によって、露光時のフォーカスずれを測定した例を示す。図21は、本実施例により得られたテーパ傾向指標のフォーカス位置依存性のグラフである。
まず、KrFエキシマレーザ露光装置を用いてシリコンウエハ上のレジスト膜に11個のパターンを同じマスクを用いて露光した。個々のパターンは露光領域がウエハ上で縦横1cmのサイズで、8インチのウエハのノッチを下にした状態で縦方向に、2cm間隔に並んでおり、上から6番目の露光スポットがウエハの中心にあった。これらのスポットのうち本実施例で観察したパターンは全てピッチ360nmのラインアンドスペースパターンであり、フォーカスが適正であればライン幅は180nmになるような一定の露光量でパターン転写されていた。ウエハの中心にある露光スポットは、装置からの信号でほぼベストフォーカスと思われるフォーカス位置で露光されており、ウエハのノッチを下にした状態で、上方にいくに従いフォーカスが0.05μm刻みでプラス方向にずれていくように露光してあった。
このウエハ上の11個の露光スポットについて、上から順に走査型電子顕微鏡を用いて観察しテーパ傾向指標γを計算した。γの計算方法には、実施例5で述べた方法を用いた。結果は、図21に示すグラフのようになった。グラフの横軸はノッチを下にした状態でスポットを上から数えたときの順番である。γが−1.2から1.2までの間にあればエッジはほぼ垂直であり、−1.2以下であれば順テーパである。フォーカスが最適値に近いほどエッジはより垂直に近くなり、最適値から離れるにつれ順テーパ傾向が強くなる。露光条件によってはフォーカスが最適値からずれたときに順テーパでなく逆テーパが現れることもある。本例での結果では、順テーパが現れた。ベストフォーカスはエッジが垂直にある上から3〜5番目のスポット、特にこれら3つの中心である4番目のスポットで実現されていると考えられる。
このことから、ベストフォーカスは現設定よりプラスの方向にずれていること、またその量はおよそ0.10μmであることが分かった。この情報を元に、装置のフォーカスを0.10μmずらして適正値に設定した。このためこの後にフォーカスを最適値に固定してウエハ露光を行うことができた。
より精確な値を得るために、テーパ傾向の数値化を実施例6で述べた手順により行い、角度で表示してもよい。
本方法により、大量のウエハ露光に先だって装置のフォーカス設定を迅速にかつ正確に行うことができ、フォーカスずれによる不良品の出現率を下げることが可能になった。また、このフォーカスチェックを時間を決めて定期的に行うことにより、さらなるスループット向上が可能になった。
(実施例8)
本発明の第8の実施例を、図22から図24によって説明する。図22は被検査パターンのサイズの露光量及びフォーカス変動に対する依存性、図23は被検査パターンのテーパ傾向指標γの露光量及びフォーカス変動に対する依存性、図24は図23の一部をグラフ化したものである。
本実施例では、リソグラフィ工程を経たウエハのレジストのラインパターンを観察することによって露光条件にフィードバックをかけた例を示す。
まず、以下の手順により露光量及びフォーカスの変動と、パターンの寸法及び断面形状の変化とを対応させる参照用データを作成する。
第一に、レジスト膜を形成したウエハに対して、露光量とフォーカスを変えて参照用パターンの露光を行う。参照用データのパターンは被検査ウエハ上にも存在するパターンでなくてはならない。また、その寸法は小さいほど露光量やフォーカスの変動を受けやすいので、できるだけ寸法の小さいものを選ぶとよい。また、画像の視野に同時に多くのエッジを入れることができるラインアンドスペースパターンであると、少ない画像枚数で多くのデータが得られるためより望ましい。
ここでは、露光装置にArFエキシマレーザ露光装置を用い、バイナリマスクを用いて、NA即ち露光装置照明系のレンズの開口数が0.6、コヒーレンシーが0.7の条件で、ウエハ上に投影されるライン幅とスペース幅が共に0.11μm、0.12μm、0.15μmになるよう設計されたラインアンドスペースパターンを転写した。各寸法のパターンはそれぞれ10本のラインからなっている。ここで用いたパターンは、縦横とも約0.5mmの領域に渡っていた。ウエハのノッチあるいはオリフラを下として前記のパターンを、横方向に露光量D、縦方向にフォーカスFを変化させて縦横とも3mm間隔でマトリクス状に転写した。この際の露光量D及びフォーカスFの最大値と最小値の差は通常の使用で発生しうる変動量をカバーできる程度に大きくなくてはならない。
ここで用いたレジスト膜及び露光条件では、0.11から0.15μmラインアンドスペースパターンの最適露光量が18から20mJ/cmであることがあらかじめ分かっていた。これに対して±20%の変動をカバーできるよう、14mJ/cmから24mJ/cmまで、0.5mJ/cm刻みで変化させた。フォーカスFは、露光装置が認識している最適値を0とし、±0.8μmの範囲を、0.1μm刻みで変化させた。この結果、縦17個、横21個のパターンが転写された参照用サンプルウエハが作成された。
第二に、前述のウエハをSEM観察し、画像データを解析したのち検査用装置として用いているSEMの記憶領域に記録する。解析の内容はビームチルト機能を用いずに観察した画像に対して行うライン幅Wの算出とテーパ傾向指標γの算出である。サンプルのSEM観察条件は、実施例1と同じく電圧800V、電流値4.0pA、観察倍率20万倍で視野は縦横675nm、画素数は512×512個、積算回数は128回であった。また、観察を行う際には必ず10本のラインパターンの中心であるスペースを画像の中心に配置し、2本のラインが画像内に左右対象に入るようにした。ノイズ低減のための平均化及び平滑化も実施例1と同じ方法及びパラメータを用いて行った。
次に、画像内の2本のラインについてライン幅を求め、平均をとってWとした。また、γは実施例5に示した方法で算出した。計算におけるパラメータも全て実施例5に示した値と同じである。この結果、W及びγのフォーカス及び露光量への依存性が得られた。
この結果、Wのフォーカス依存性の曲線はF=0.10μmを中心とすると左右対象になること、また、殆ど全ての露光量においてF=0.10μmのときにγが0でありここからフォーカスがずれるとエッジが垂直からずれることが分かった。即ち、装置がベストフォーカスと認識している位置は、実際には+0.10μmデフォーカスであることになる。
そこで、装置の表示よりも−0.10μmデフォーカスした位置をベストフォーカスと定義しなおし、WのDとデフォーカス量(ベストフォーカスからのずれ)に対する依存性、γのDとデフォーカス量に対する依存性を各々表にして、参照用データとして検査用SEMの記憶領域に記録した。一例として、0.11μmラインアンドスペースの場合について、以下、図22および図23に示す。
図23、図24は、各々露光量(Dose)及びデフォーカス(Defocus)の値が与えられたときのパターンのサイズとγの値をマトリクス状に表わしたものである。露光量が16.5mJ/cm以下の時、またデフォーカス量の絶対値が0.5μmより大きい時にはパターンは解像しなかった。また、図中、数値のないセルはその条件でパターンが解像しなかったことを表わす。特に、露光量が18、20、22、24mJ/cmのときのγのデフォーカス依存性を、図24に示す。γの値がデフォーカスによって変化するため、フォーカス変動の指標として使えることが分かる。
次に、上記のデータを用いて以下の手順により量産におけるリソグラフィ工程後のパターンの観察を行って露光量及びフォーカスの最適値からのずれを検出した。この被検査ウエハ上には、0.11μmラインアンドスペースが含まれていたので、これを被検査パターンとし、参照用パターンの観察及び解析時と同じ方法及びパラメータで画像データを取得しノイズ低減を行った後、Wとγを算出した。この結果、W=122nm、γ=1.2であることが分かった。このWとγの値と図22及び図23に示した表とから、現在の露光量は19.5mJ/cm、フォーカス位置は−0.22から−0.23μmにあると分かる。これらの結果に基づいて、次のウエハ露光の露光量とフォーカスの修正を行った。
測定結果から露光量及びデフォーカス量がただひとつに決まらないときには、他のサイズのパターンについても測定を行い、対応する参照用データと比較すればよい。また、参照用パターンのタイプや寸法は、レジストの種類と照明条件によって異なる。上記の例では、ラインアンドスペースパターンであったが、一般に輪帯照明の場合には孤立スペース、コヒーレンシーが0.6以下では孤立ラインを用いてもよい。
この方法を用いたことにより、露光条件が最適値からずれているときに正確かつ迅速にそれを検出し、修正することができるようになり、歩留まりが向上した。
以上詳述したように、本発明によれば、上空観察結果のみから、パターンの形状から逆テーパ、垂直、順テーパなどのエッジの傾向を評価することが可能になり、非破壊検査により断面形状評価ができる。これにより、評価に要する時間を短縮できる。また、ウエハを破壊する必要がないためコスト低減が可能になるとともに廃棄物量も低減できる。また、この方法を微細パターン加工工程の管理に適用することにより、迅速かつ正確にパターン転写工程の制御を行うことができ、スループットと歩留まりが向上する。
なお、上述した実施例はすべて、電子線を用いた走査型顕微鏡による2次電子の2次元分布の観察を対象に説明してきたが、試料から2次的に放出される、反射電子等のような粒子の2次元分布を用いても適用可能であるし、また、イオン粒子線、電離放射線のような荷電粒子線、さらには光を用いた走査型顕微鏡による場合であっても、本発明は適用可能である。
以上、本発明を整理すると、次のようになる。
(1) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジ近傍を表す帯状の領域を抽出し、前記帯状の領域の形状を数値化することにより、前記パターンのエッジ断面形状の前記基板に対するテーパ傾向を計測するよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(2) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジおよびその近傍を含むエッジ領域と前記パターンが存在しない領域との第1の境界と、前記エッジ領域と前記パターンが存在する領域との第2の境界とを検出する工程と、前記第1の境界と前記第2の境界との位置の差から、前記エッジ領域の幅を求める工程と、前記二次元分布情報から前記パターンのエッジ位置を検出する工程と、検出された前記エッジ位置から前記エッジ表面のエッジラフネスの大きさを算出する工程とを含み、前記エッジ領域の幅および前記エッジラフネスに基き、前記パターンのエッジの断面形状の前記基板に対するテーパ傾向を計測するよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(3) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジおよびその近傍を含むエッジ領域と前記パターンが存在しない領域との第1の境界線と、前記エッジ領域と前記パターンが存在する領域との第2の境界線とを検出する工程と、検出された前記第1の境界線および前記第2の境界線についてそれぞれの近似線を求める工程と、前記第1の境界線および前記第2の境界線と、それぞれの前記近似線との差を求める工程と、前記差に基いて、前記エッジ領域における前記第1の境界線と前記第2の境界線との形状の類似度を表す相関係数を求める工程とを含み、前記相関係数をもとにパターン断面形状におけるパターンエッジの前記基板に対するテーパ傾向を計測するよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(4) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジおよびその近傍を含むエッジ領域と前記パターンが存在しない領域との第1の境界と、前記エッジ領域と前記パターンが存在する領域との第2の境界とを検出する工程と、前記第1の境界と前記第2の境界との位置の差から、前記エッジ領域の幅を複数箇所算出する工程と、算出された前記複数箇所のエッジ領域の幅の値の分布を求める工程と、前記エッジ領域の幅の値の分布から、その標準偏差を求める工程とを含み、前記標準偏差をもとにパターン断面形状におけるパターンエッジの前記基板に対するテーパ傾向を計測するよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(5) 前記(3)又は(4)の構成において、前記二次元画像情報から前記パターンのエッジ位置を検出する工程と、検出された前記エッジ位置から前記エッジ表面のエッジラフネスの大きさを計算する工程とを含んでなることを特徴とするパターン計測方法。
(6) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジおよびその近傍を含むエッジ領域と前記パターンが存在しない領域との第1の境界と、前記エッジ領域と前記パターンが存在する領域との第2の境界とを検出する工程とを有し、かつ、前記第1の境界と前記第2の境界との位置の差から、前記エッジ領域の幅を求める工程と、検出された前記第1の境界および前記第2の境界を表す各点の集合についてそれぞれの近似線を求め、前記第1の境界および前記第2の境界の各点の集合とそれぞれの前記近似線との差を求めて、それにより前記エッジ領域における前記第1の境界線と前記第2の境界線との形状の類似度を表す相関係数を求める工程と、前記第1の境界と前記第2の境界との位置の差から、前記エッジ領域の幅を複数箇所算出して前記エッジ領域の幅の分布を求め、その標準偏差を算出する工程とのうち、少なくとも一つ以上の工程と、前記二次元分布情報から前記パターンのエッジ位置を検出して、前記エッジ表面のエッジラフネスの大きさを計算する工程とを含んでなることを特徴とするパターン計測方法。
(7) 前記(2)、(3)、又は(4)の構成において、前記基板に向けて放射される光もしくは荷電粒子のビームと前記基板とのなす角度を所定の値に設定して、前記二次元分布情報を得るよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(8) 前記(7)の構成において、前記ビームと前記基板とのなす角度を変化させて前記二次元分布情報を得ることを繰り返し、得られる前記エッジ領域の幅と前記相関係数のうち少なくとも一つ以上の量と前記エッジラフネスの大きさから、パターン断面形状におけるパターンエッジの前記基板に対するテーパ傾向を表す指標を算出する工程を含み、かつ、前記エッジ領域の幅と前記相関係数と前記テーパ傾向を表す指標のうち少なくとも一つ以上の量と、前記角度との関係を表示するよう構成したことを特徴とするパターン計測方法。
(9) 荷電粒子源と、前記荷電粒子源より放出された荷電粒子線を収束レンズ、偏向器、対物レンズを通して試料に照射し、偏向・走査する荷電粒子光学系と、前記試料を載置するステージと、前記荷電粒子線照射によって前記試料から放出される2次電子もしくは反射電子の強度を検出する検出器と、前記偏向・走査を制御する制御系と、得られる前記2次電子もしくは反射電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジ近傍を表す帯状の領域を抽出し、前記帯状の領域の形状を数値化する信号処理手段とを有し、前記パターンのエッジ断面形状の前記基板に対するテーパ傾向を計測するよう構成したことを特徴とするパターン計測装置。
(10) パターンが形成された基板上に光もしくは荷電粒子のビームを走査して得られる反射光強度、反射電子強度もしくは2次電子強度の二次元分布情報から、前記パターンのエッジおよびその近傍を含むエッジ領域と前記パターンが存在しない領域との第1の境界と、前記エッジ領域と前記パターンが存在する領域との第2の境界とを検出する工程と、前記第1の境界と前記第2の境界との位置の差から、前記エッジ領域の幅を求める工程と、前記二次元分布情報から前記パターンのエッジ位置を検出する工程と、検出された前記エッジ位置から前記エッジ表面のエッジラフネスの大きさを算出する工程と、前記エッジ領域の幅および前記エッジラフネスに基き、前記パターンのエッジの断面形状の前記基板に対するテーパ傾向を計測する工程とを含み、前記テーパ傾向の計測結果により、前記基板上に所望のパターンを転写する工程を制御するよう構成したことを特徴とするパターン工程制御方法。
(11) 基板上に形成されたパターンを光または電子または電離放射線またはイオン粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次電子強度の二次元分布情報からパターン断面形状におけるエッジの基板に対する角度即ちテーパ傾向を計測する方法であって、二次元面内において反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が大きい領域即ち該パターンのエッジ及びその近傍を表す領域即ちエッジ領域とそれに隣接する反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が小さい領域との境界を検出する工程と、前記エッジ領域の境界のうち、エッジ領域とパターンの存在しない領域との境界を表す点の集合即ち第一の境界と、エッジ領域とパターンの存在する領域との境界を表す点の集合即ち第二の境界とを検出する工程と、前記第一の境界と前記第二の境界との位置の差から、エッジ領域の幅を計算する工程とを含み、かつ、エッジ位置を検出する工程と、検出されたエッジ位置から該エッジのラフネスの大きさを計算する工程とを含むことを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(12) 基板上に形成されたパターンを光または電子または電離放射線またはイオン粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次電子強度の二次元分布情報からパターン断面形状におけるエッジの基板に対する角度即ちテーパ傾向を計測する方法であって、二次元面内において反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が大きい領域即ち該パターンのエッジ及びその近傍を表す領域即ちエッジ領域とそれに隣接する反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が小さい領域との境界を検出する工程と、前記エッジ領域の境界のうち、エッジ領域とパターンの存在しない領域との境界を表す点の集合即ち第一の境界と、エッジ領域とパターンの存在する領域との境界を表す点の集合即ち第二の境界とを検出する工程と、検出された境界それぞれの近似線を得る工程と、それぞれの境界について近似線と境界を表す各点との差の集合即ち境界のゆらぎを得る工程と、第一の境界のゆらぎと第二の境界のゆらぎの相関係数を求める工程とを含むことを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(13) 基板上に形成されたパターンを光または電子または電離放射線またはイオン粒子線を用いた走査型顕微鏡により観察して得られる反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次電子強度の二次元分布情報からパターン断面形状におけるエッジの基板に対する角度即ちテーパ傾向を計測する方法であって、二次元面内において反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が大きい領域即ち該パターンのエッジ及びその近傍を表す領域即ちエッジ領域とそれに隣接する反射光ないしは反射電子ないしは2次電子の強度が小さい領域との境界を検出する工程と、前記エッジ領域の境界のうち、エッジ領域とパターンの存在しない領域との境界を表す点の集合即ち第一の境界と、エッジ領域とパターンの存在する領域との境界を表す点の集合即ち第二の境界とを検出する工程と、これらの境界の位置からエッジ領域の幅を複数箇所算出する工程と、前記工程にて算出されたエッジ領域の幅の値の分布を求める工程と、エッジ領域の幅の値の分布からその標準偏差を求める工程とを含むことを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(14) 前記(12)乃至(13)のテーパ傾向計測方法であって、エッジ位置を検出する工程と、検出されたエッジ位置から該エッジのラフネスの大きさを計算する工程とを含むことを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(15) 前記(1)乃至(4)のテーパ傾向計測方法であって、観察されたエッジに対してエッジ領域の幅、第一の境界のゆらぎと第二の境界のゆらぎの相関係数、エッジ領域の幅の値の分布における標準偏差のうち一つ以上とエッジラフネスの大きさとを算出し、それらの値からエッジのテーパ傾向をあらわす指標を計算する工程を含むことを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(16) 前記(1)乃至(5)のテーパ傾向計測方法であって、基板上に形成されたパターンを観察するために基板に向けて発せられる光または電子または電離放射線またはイオン粒子線と該基板との角度を所望の角度に設定したのち、反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次電子強度の二次元分布情報を得ることを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(17) 前記(16)のテーパ傾向計測方法であって、前記角度として2つ以上の値について反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次元電子強度の二次元分布情報を得ることを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(18) 前記(6)乃至(7)のテーパ傾向計測方法であって、基板上に形成されたパターンを観察するために基板に向けて発せられる光または電子または電離放射線またはイオン粒子線と該基板との角度を変化させては反射光強度ないしは反射電子強度ないしは2次電子強度の二次元分布情報を得ることを繰り返し、エッジ領域の幅、第一の境界のゆらぎと第二の境界のゆらぎの相関係数、これらのひとつか両方とラフネスの大きさからから算出したテーパ傾向を表す指標の値、の3つのうち一つ以上の量と、前記角度との関係を表ないしはグラフとして表示することを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(19) 前記(8)のテーパ傾向計測方法であって、得られた表ないしはグラフからエッジの下地に対する角度即ちテーパ角を算出することを特徴とするテーパ傾向計測方法。
(20) 基板に所望のパターンを転写して基板を加工する工程において、基板上に形成されたパターンの形状を計測してその特徴からパターン転写あるいは基板の加工工程における可変条件の実際の値の最適な値からのずれを算出する方法であって、前記(1)乃至(9)のテーパ角評価方法を用いることを特徴とするプロセス変動検出方法。
(21) 荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源より放出された荷電粒子線源を収束レンズ、偏向器、対物レンズを通して試料に照射し、偏向・走査する荷電粒子光学系と、前記試料を載置するステージと、前記荷電粒子線照射によって前記試料から放出される2次電子もしくは反射電子の強度を検出する検出器と、前記偏向・走査を制御する制御系とを有し、かつ、得られる前記2次電子もしくは反射電子強度の2次元分布から、前記パターンのエッジラフネスおよびエッジ近傍を表わす領域の幅あるいは形状を求める信号処理手段を具備してなることを特徴とするプロセス変動検出装置。
SEM観察により得られたパターンの二次元画像の例を示す模式図。 SEM観察により得られた断面プロファイルの例を示す図。 断面プロファイル信号とエッジ領域の関係を示す概念図。 ラフネス及びエッジ領域の幅とテーパ傾向の関係を表わす図。 ラフネス及びエッジ領域の境界線の相関とテーパ傾向の関係を表わす図。 本発明の第1の実施例の装置構成を示す概念図。 本発明の第1、第2、第3の実施例の手順を示す図。 本発明の第1の実施例で解析した2次電子強度の二次元分を画像化した例を示す概念図。 本発明の第1の実施例で解析した2次電子強度の二次元分を画像化した例を説明する概念図。 本発明の第1の実施例の手順の一部を詳細に示す図。 断面プロファイルとエッジ点、エッジ領域幅の関係を示す概念図。 本発明の第1の実施例により得られた結果を表わす図。 本発明の第1の実施例においてテーパ角算出に用いた図。 本発明の実施例において用いたテーパ角の定義を示すパターン断面の概念図。 本発明の第2及び第3の実施例の手順の一部を詳細に示す図。 本発明の第4の実施例により得られた計算結果とテーパ傾向の対応を示す図。 本発明の第5の実施例の手順を示す図。 本発明の第6の実施例の手順を示す図。 本発明の第6の実施例により得られたビームチルト角とテーパ傾向を示す図。 本発明の第6の実施例における参照用データと測定結果の関係を表わす図。 本発明の第7の実施例により得られたテーパ傾向を表す図。 本発明の第8の実施例により得られたパターン寸法の参照用データを示す図。 本発明の第8の実施例により得られたテーパ傾向の参照用データを示す図。 本発明の第8の実施例により得られたテーパ傾向のデフォーカス依存性を示す図。
符号の説明
101…画像内のラインのエッジ近傍を示す領域、102…画像内の下地部分が露出しており暗く見える領域、103…画像内のラインパターンが存在しており暗く見える領域、601…走査型電子線顕微鏡の筐体、602…電子銃、603…電子線、604…収束レンズ、605…偏向器、606…対物レンズ、607…試料、608…ステージ、609…二次電子、610…検出器、611…走査型電子線顕微鏡の制御系、612…検査を行うコンピュータ、701…パターン観察、702…2次電子強度分布データのとりこみ、703…画像処理によるノイズ低減、704…エッジ本数、結果出力形式入力、705…計算領域指定、706…テーパ傾向を計算、707…全てのエッジについて計算が終了したかどうかの判定、708…結果表示、801…画像内のレジストパターンが存在しており暗く見える領域、802…画像内の第一のラインの左エッジ近傍を示す領域、803…画像内の第一のラインの右エッジ近傍を示す領域、804…画像に写ったラ第二のライン左エッジ近傍を示す領域、805…画像に写った第二のラインの右エッジ近傍を示す領域、806…画像内の下地部分が露出しており暗く見える領域、901…第一のラインの左エッジに関して解析を行うために指定した計算領域、902…第一のラインの右エッジに関して解析を行うために指定した計算領域、903…第二のラインの左エッジに関して解析を行うために指定した計算領域、904…第二のラインの右エッジに関して解析を行うために指定した計算領域、1001…パラメータの数値を入力する必要性の判定、1002…数値の入力、1003…エッジラフネスの計算、1004…エッジ領域境界線の形状の特徴を数値化、1005…テーパ傾向指標γの計算を行うかどうかの判定、1006…γを計算、1201…エッジラフネス対エッジ領域幅のグラフにおいて垂直エッジを表わす直線、1202…実際の画像データから得られたラインエッジのラフネスとエッジ領域幅をあらわす点、1401…レジストパターン、1402…パターンの下地、1501…パラメータの数値を入力する必要性の判定、1502…数値の入力、1503…エッジ領域の境界点の検出、1504…エッジ領域の境界線形状の類似度を計算、1601…ラフネスの程度と相関係数の実際の測定結果が分布する領域、1602…グラフ内の領域で順テーパから逆テーパへと移り変わる方向を示す矢印、1701…パターン観察、1702…2次電子強度分布データのとりこみ、1703…画像処理によるノイズ低減、1704…エッジ本数及び解析する領域の入力、1705…計算方法選択及び計算におけるパラメータの設定、1706…テーパ傾向の指標を計算、1707…全てのエッジについて計算が終了したかどうかの判定、1708…指標の平均を算出、1709…結果表示、1801…パターン観察、1802…エッジ本数及び解析する領域の入力、1803…計算方法選択及び計算におけるパラメータの設定、1804…画像データ取得時の観察条件設定、1805…チルト角入力、1806…最小値までビームチルト、1807…フォーカスを合わせて画像データ積算、1808…テーパ傾向指標γ計算、1809…チルト角が入力範囲の最大値に達しているかどうかの判定、1810…結果表示、2001…標準試料に対してビームチルトを行って得られた標準的なテーパ傾向指標を示す参照用曲線、2002、2004…実際の試料から得られた結果を示す点、2003…1つの測定結果から参照用曲線を平行移動して得られた曲線。

Claims (9)

  1. パターンが形成された試料に対して荷電粒子線もしくは光を照射することにより当該試料から二次的に放出される荷電粒子または前記試料から反射される光を検出して得られる信号の二次元分布データを取得する二次元分布データ取得装置と、
    当該二次元強度分布データを処理するコンピュータとを備えた計測装置において、
    当該コンピュータは、前記二次元分布データから前記パターンのエッジ近傍を表す帯状の領域を抽出し、
    当該抽出領域の形状を数値化することにより、前記パターンのエッジ断面形状の前記基板に対するテーパ傾向を計測することを特徴とする計測装置。
  2. パターンが形成された試料に対して荷電粒子線もしくは光を照射することにより当該試料から二次的に放出される荷電粒子または前記試料から反射される光を検出して得られる信号の二次元分布データを取得する二次元分布データ取得装置と、
    当該二次元強度分布データを処理するコンピュータとを備えた計測装置において、
    当該コンピュータは、前記パターンのエッジ近傍を表す帯状の領域を規定する
    第1の境界に相当するエッジ点のデータと、該帯状領域を規定する第2の境界に相当するエッジ点のデータとを、前記二次元強度分布データから抽出し、
    前記第1の境界のエッジ点のデータと第2の境界のエッジ点のデータとの差と、相関関数とを計算し、
    当該差と相関関数とに基づき前記パターンのテーパ傾向を計測する機能を備えたことを特徴とする計測装置。
  3. 請求項1に記載の計測装置において、
    前記コンピュータは、
    前記帯状の領域を規定する第1の境界に相当するエッジ点のデータと、該帯状領域を規定する第2の境界に相当するエッジ点のデータとを、前記二次元強度分布データから抽出し、
    当該第1の境界のエッジ点データと第2の境界のエッジ点データとの差と、第1の境界のエッジ点データのエッジラフネスと、第2の境界のエッジ点データのエッジラフネスとを計算し、
    前記差とエッジラフネスから前記パターンのテーパ傾向を計測することを特徴とする計測装置。
  4. 請求項1に記載の計測装置において、
    前記コンピュータは、前記帯状の領域を規定する第1の境界に相当するエッジ点のデータと、該帯状領域を規定する第2の境界に相当するエッジ点のデータとを、前記二次元強度分布データから抽出し、
    前記コンピュータは、
    当該第1の境界のエッジ点データと第2の境界のエッジ点データとの相関関数と、第1の境界のエッジ点データのエッジラフネスと、第2の境界のエッジ点データのエッジラフネスとを計算し、
    前記相関関数とエッジラフネスから前記パターンのテーパ傾向を計測することを特徴とする計測装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の計灘装置において、
    前記二次元分布データ取得装置は、前記荷電粒子線もしくは光をチルトさせて前記試料に照射する機能を備えたことを特徴とする計測装置。
  6. 請求項5に記載の計測装置において、
    前記コンピュータは、
    前記荷電粒子線もしくは光を前記試料に前記チルトの角度を変えて照射することにより得られた二次元分布データから前記テーパ傾向を計算し、
    該テーパ傾向のチルト角依存性を計算することを特徴とする計測装置。
  7. 請求項1から4のいずれか1項に記載の計測装置において、
    前記テーパ傾向を、パターンエッジの断面形状を、垂直、順テーパ、逆テーパまたはティートップの3つに分類することを特徴とする計測装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の計測装置において、
    計測されたテーパ傾向あるいはテーパ傾向のチルト角依存性が表示される表示画面を備えたことを特徴とする計測装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の計測装置において、
    前記二次元分布データ取得装置として走査電子顕微鏡を用いることを特徴とする計測装置。
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