JP4546373B2 - 偏光分離素子及びバックライトユニット - Google Patents
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Description
このような液晶表示装置に用いられるバックライトユニットにおいて、照射によってより鮮明な表示を得るために、液晶パネルにより多くの光量の照明光を照射できる直下型のバックライトユニットが用いられている。
一方、一方の面が山部と谷部とを交互かつ相互に平行に形成した屈曲面であり、他方の面が平面であってP偏光をS偏光よりも多く透過させる光学板部材を少なくとも一対有し、一対の光学板部材の屈曲面が空気層を介して山部の稜線が互いにほぼ平行となるように対向配置された偏光分離素子が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この偏光分離素子は、ブリュースター角を利用した光学板部材を用いているので構造が簡単であり、一対の光学板部材の間に空気層を介在させることで偏光分離機能を増大させている。
鈴木等著、「バックライトユニット用反射型偏光シート」(Reflective Polarizer Sheet on the Backlighting Unit)、SIDダイジェスト(SID Digest)、1997年、p.813−816
ここで、屈曲面の屈曲角を、偏光分離素子に入射する光のブリュースター角をθB(deg)としたときに、180°−2θB以上180°−2(θB+15°)以下とすることが望ましい。これにより、偏光分離素子の厚さ方向で入射した光のうち一方の第一直線偏光が空気層をほぼ無反射で透過するので、第一直線偏光を第二直線偏光よりも多く透過させて偏光分離機能をより高めることができる。
本実施形態における直下型のバックライトユニットは、図1に示すような液晶表示装置1の照明手段として用いられる。この液晶表示装置1は、バックライトユニット2と、液晶パネル3とを備える。
光源5は、例えば冷陰極蛍光灯で構成されており、無偏光の光を出射する。また、光源5には、この冷陰極蛍光灯を駆動制御する駆動回路(図示略)やインバータ(図示略)などが設けられている。
拡散板6は、光源5から出射した光を拡散し、光源5から偏光分離素子7に向かう照明光の進行方向を均一にする。
第1及び第2光学板部材12、13は、例えば屈折率が1.493のPMMA(polymethyl methacrylate:ポリメチルメタクリレート)で構成されており、一方の面が山部及び谷部が交互に一定の間隔で繰り返して形成された屈曲面12A、13Aとなっており、他方の面が平面となっている。第1光学板部材12は、山部及び谷部の屈曲角θP1が112.4°となっており、山部の頂点の間隔であるピッチP1が例えば50μmとなっている。また、第2光学板部材13は、拡散板6と第1光学板部材12との間に配置されており、屈曲角θP2が112.4°、ピッチP2が第1光学板部材12のピッチP1と異なる75μmとなっている。したがって、ピッチP1とピッチP2との比(P2/P1)は、1.5となっている。
θB=tan−1(nB/nA)
となる。そして、媒質Aと媒質Bとの界面への入射角をブリュースター角θBとすることで、一方の直線偏光であるP偏光が無反射で透過し、他方の直線偏光であるS偏光が界面で反射する。本実施形態では、媒質Aである第1光学板部材12の屈折率nAが1.493、媒質Bである空気層11の屈折率nBが1であるので、第1及び第2光学板部材12、13におけるブリュースター角θBが、33.8°となる。
また、一般的に、媒質Aと媒質Bとの界面に入射するP偏光の透過率とS偏光の透過率との比である偏光分離機能はブリュースター角θBよりも少し大きい入射角において最大となり、本実施形態ではブリュースター角θBよりも15°程度大きい入射角において偏光分離機能が最大となる。以上より、空気層11への入射角として好ましい範囲は33.8°〜48.8°となる。
これより、第1及び第2光学板部材12、13の屈曲角θP1、θP2は、偏光分離素子7に対して第1及び第2光学板部材13の重ね方向、すなわち図1及び図2に示す矢印X方向に進行する光の入射角が33.8°〜48.8°となるように、82.4°〜112.4°であることが好ましいことになる。
一対のガラス基板22、23の互いが対向する内面には、液晶層21に電圧を印加するITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などで形成された透明電極(図示略)が設けられている。
そして、空気層11に入射したP偏光は、第1光学板部材12の屈曲面12Aに至るが、上述した第2光学板部材13と同様に、入射した光の大部分が第1光学板部材12を透過する。
以上のように、偏光分離素子7でP偏光とS偏光とを分離する。
なお、第2光学板部材13の平面に入射する光の入射角が図2に示す矢印X方向と交差する角度を有していても、屈折率の小さい媒質である空気から屈折率の大きい媒質である光学板部材13に入射するため、スネルの法則により、図2に示す矢印X方向に対する角度が小さくなる。例えば、矢印X方向に対する角度がほぼ90°である光が第2光学板部材13に入射したとき、第2光学板部材13中において矢印X方向に対する角度が約42°となる。このため、第2光学板部材13内で集光することができる。したがって、屈曲面13Aにおいて光の入射角をブリュースター角θBに近づけて、偏光分離機能を向上させることができる。
また、人間の目の分解能を1分(1/60°)として液晶表示装置1から1000mm離れた地点を観察位置とした場合、
tan(1/60)×1000=0.290
より、290μm程度が識別下限値となる。したがって、モアレピッチが290μmよりも小さければ、モアレが識別不能となる。本実施形態では、ピッチP1とピッチP2との比(P2/P1)は1.5であり、二次モアレまでを考慮した場合において識別下限値である290μmより小さいので、液晶表示装置1を観察した際にモアレが識別不能となる。なお、三次モアレまで考慮した場合においてモアレピッチがモアレを識別可能なレベルとなっているが、モアレの次数が高くなるにしたがってモアレの濃淡が小さくなる。したがって、三次モアレまで考慮した場合においてモアレピッチがモアレを識別可能なレベルにあっても、モアレの識別を十分に軽減することができる。
また、屈曲面12A、13Aが互いに密接することがないので、屈曲面12Aと屈曲面13Aとの間に空気層11を確実に形成して、P偏光とS偏光との偏光分離機能を維持できる。
第1光学板部材32は、屈曲面32Aの屈曲角θP1が112.4°、ピッチP3が50μmとなっている。また、第2光学板部材33は、屈曲面33Aの屈曲角θP2が112.4°、ピッチP4が82.5μmとなっている。したがって、ピッチP3とピッチP4との比(P4/P3)は1.65となっている。
一方、S偏光は、偏光度増幅膜35の入射側の面で一部が反射されて残部が透過するが、偏光度増幅膜33を設けて反射率を高めているので、屈曲面33Aにおいて大部分のS変更が反射される。
また、本実施形態では、ピッチP3とピッチP4との比(P4/P3)は1.65であり、三次モアレまでを考慮した場合であっても識別下限値である290μmより小さいので、液晶表示装置を観察した際にモアレが識別不能となる。
また、第1及び第2光学板部材32、33のピッチP3、P4の比(P4/P3)を1.65としたので、三次モアレまでを考慮した場合においてモアレを識別不能とすることができる。したがって、偏光分離素子31を透過した照明光の輝度ムラをより低減できる。
ここで、偏光度増幅膜34、35の膜厚を41.7(=380/(4×2.28))nm以上85.5(=780/(4×2.28))nm以下である63nmとしているので、可視光領域の波長のS偏光に対する反射効果を持たせることができる。
以下の表1に示すような材料、屈曲角、ピッチの第1及び第2光学板部材を有する偏光分離素子を形成し、それぞれ第1〜第5実施例及び第1及び第2比較例とした。なお、第3〜第5実施例では、第1及び第2光学板部材のそれぞれの屈曲面に偏光度増幅膜を形成している。
ここで、PMMAの屈折率は1.493、COP(シクロオレフィンポリマー)の屈折率は1.53)、TiO2の屈折率は2.28、Pb2O5(酸化鉛)の屈折率は2.20である。したがって、第1及び第2光学板部材としてCOPを用いた場合、ブリュースター角θBは133.6°である。
なお、偏光度は、P偏光の透過率をTP、S偏光の透過率をTSとしたときに、√((TP−TS)/(TP+TS))で表される。
また、光線利用効率は、TP×50%よりも大きければ、偏光分離素子としての効果が認められることになる。これは、自然光にはP偏光成分とS偏光成分とが50%ずつ含まれているので、偏光要素のない状態において、P偏光に対する光線利用効率は理論的にTPの50%が上限となるからである。
また、実施例3〜5において、偏光度増幅膜を形成することで反射率を高くしてS偏光の透過率を低減し、偏光度が増大していることを確認した。
なお、実施例のいずれにおいても、T.L.Tが50%よりも大きい値となり、光線利用効率が偏光分離素子を設けない場合と比較して増大することを確認した。
例えば、第1及び第2光学板部材の屈曲面上に、それぞれ反射増幅膜として各光学板部材よりも高い屈折率を有する高屈折率膜と、高屈折率膜よりも低い屈折率を有する低屈折率膜とを交互に複数積層してもよい。ここで、高屈折率膜(屈折率:n1)の膜厚と低屈折率膜(屈折率:n2)の膜厚とは、それぞれ(380/(4×n1))nm以上(780/(4×n1))nm以下、(380/(4×n2))nm以上(780/(4×n2))nm以下であることが好ましい。この構成により、反射増幅膜が多重反射膜として機能し、可視光領域の波長のS偏光に対するより高い反射効果を持たせることができ、偏光度を上述した第2の実施形態よりも増大させることができる。
ここで、高屈折率膜として、上述した第2の実施形態における偏光度増幅膜に用いたTiO2のほかに、Nb2O5やITO(酸化インジウム)など、可視光領域において透光性を有し、かつ各光学板部材に用いられる樹脂材料よりも高屈折率な材料を用いることができる。また、低屈折率膜として、SiO2(酸化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)など、可視光領域において透光性を有し、かつ高屈折率膜に用いられる高屈折率材料よりも低屈折率な材料を用いることができる。
また、偏光分離素子は第2光学板部材を第1光学板部材よりも光源側に配置した構成となっているが、第1光学板部材を光源側に配置してもよい。
また、第1及び第2光学板部材としてPMMAを用いているが、光学異方性を持たず、かつ可視光領域で高い透過率を有する樹脂材料であれば、実施例と同様にCOPを用いてもよく、アクリルやPS(ポリスチレン)など他の樹脂材料を用いてもよい。さらに、PC(ポリカーボネート)などのように複屈折性を有する樹脂材料であっても、キャスティング法など、光学異方性の発現を抑制できる手法で作成することで第1及び第2光学板部材として適用することができる。
また、第1及び第2光学板部材の厚さは、設計に応じて適宜変更してもよい。
また、第1及び第2光学板部材のそれぞれの屈曲面における屈曲角は、ブリュースター角θB(deg)に対して、180°−2θB以上180°−2(θB+15°)以下であれば適宜変更してもよい。さらに、第1光学板部材における屈曲角と第2光学板部材における屈曲角とが異なる値であってもよい。
第1及び第2光学板部材のピッチは、第1光学板部材のピッチと第2光学板部材のピッチとの比(第2光学板部材のピッチ/第1光学板部材のピッチ)が1.35、1.5、1.65、2.5または3以上のいずれかを満足する値であれば適宜変更してもよい。ここで、製造誤差などにより各光学板部材のピッチに±3%程度のズレが発生した場合も含まれる。このように、ピッチの比を1.5または3.0以上とすることで、二次モアレまでを考慮したときにモアレピッチをモアレの識別下限値より小さい値とすることができる。また、ピッチの比を1.35、1.65、2.5または4.0以上とすることで、三次モアレまでを考慮したときにモアレピッチをモアレの識別下限値より小さい値とすることができる。
さらに、モアレピッチがモアレの識別下限値より小さい値となる構成であれば、他の値としてもよい。
また、各空気層の厚さも設計に応じて適宜変更してもよい。
また、偏光度増幅膜は蒸着法に限らず、スパッタ法など他の薄膜形成方法によって形成してもよい。さらに、樹脂中に光学板部材に用いられる樹脂フィルムよりも高屈折率のナノ粒子を分散させたものを光学板部材の表面に積層する構成としてもよい。
また、第1及び第2光学板部材の双方に偏光度増幅膜を設けているが、いずれか一方のみに設ける構成としてもよい。
5 光源
7、31 偏光分離素子
11 空気層
12、32 第1光学板部材
13、33 第2光学板部材
12A、13A、32A、33A 屈曲面
34、35 偏光度増幅膜
Claims (8)
- 一方の面に山部と谷部とを交互かつ相互に平行に形成した屈曲面を有し、他方の面に平面を有すると共に、第一直線偏光を偏光方向が該第一直線偏光と直交する第二直線偏光よりも多く透過させる光学板部材を少なくとも一対備え、
該一対の光学板部材のそれぞれの前記屈曲面が、前記山部の稜線が互いにほぼ平行となるように空気層を介して対向配置された偏光分離素子において、
前記一対の光学板部材のうち一方の前記山部のピッチを他方の前記山部のピッチと異ならせることにより、モアレを識別不能としたことを特徴とする偏光分離素子。 - 前記一対の光学板部材の一方のピッチと他方のピッチとの比が、1.35、1.5、1.65、2.5または3以上のいずれかの値であることを特徴とする請求項1に記載の偏光分離素子。
- 前記光学板部材の少なくとも一方の面に、前記第二直線偏光の透過率を小さくする偏光度増幅膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光分離素子。
- 前記偏光度増幅膜の膜厚が、該偏光度増幅膜の屈折率をnとしたときに、(380/(4×n))nm以上(780/(4×n))nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の偏光分離素子。
- 前記偏光度増幅膜が、前記光学板部材よりも屈折率の高い高屈折率膜と該高屈折率膜よりも屈折率の低い低屈折率膜とを交互に積層して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の偏光分離素子。
- 前記高屈折率膜の膜厚が、該高屈折率膜の屈折率をn1としたときに、(380/(4×n1))nm以上(780/(4×n1))nm以下であることを特徴とする請求項5に記載の偏光分離素子。
- 前記低屈折率膜の膜厚が、該低屈折率膜の屈折率をn2としたときに、(380/(4×n2))nm以上(780/(4×n2))nm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の偏光分離素子。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の偏光分離素子と、該偏光分離素子に照明光を照射する光源とを備えることを特徴とするバックライトユニット。
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